【艦これ】ウキウキ!!首相の鎮守府訪問!!のようです

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1 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:05:40.45 ID:f6oSF7N00
提督「触ってねえよテキサスクローバーホールド極めるぞ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425908876/

【艦これ】武蔵がチャリで来た
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428585375/

加賀「乳首相撲です」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429706128/

【艦これ】ウンコマン あるいは(提督がもたらす予期せぬ奇跡)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431856590/

時雨「流れ星に願い事」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464825792/

【艦これ】居酒屋たくちゃん〜提督のクソ長い夜〜
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468896662/

磯風「蒸発した……?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1477871266/

【艦これ】加古ちゃん空を飛ぶ、めっちゃ長く飛ぶ、すごい
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1479816994/

鈴谷「うわ不思議の国こわい、キモい」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1484788439/

【艦これ】ヒトミとイヨの恰好がスケベなので
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493211800/

川д川 ウホウホ!!鎮守府に颯爽と登場した貞子ゴリラ、トランスフォームウホ!!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494169295/


ご 無 沙 汰
半年ぶりの新作です。ずっと天華百剣やってましたすいません


◆vVnRDWXUNzh3さん作

ある門番たちの日常のようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1501859857/
( ´Д`)離れ小島の提督さんのようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510952546/

こちらのお話の後日譚となります


・提督の表記は『( T)』になっています。マスク超人です
・マッスル鎮守府初のガッツリシリアス。牛乳をかけて食べるおいしいやつ
・提督はドウェイン・ジョンソン並みのマッスルです
・『IT〜それが見えたら終わり〜』メガヒット上映中(ノルマ達成)
・ドウェイン・ジョンソン主演最新作『セントラル・インテリジェンス』大ヒット上映中(ノルマ達成)






SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1511697940
2 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:10:16.72 ID:f6oSF7N00
コトリと音を立てて執務机に何かが置かれた


( T)「……」

時雨「……」


書類から顔を上げれば、目の前にはほんのりと熱を発するコーヒー……コーヒーだよなこれ?
見た感じミルク入れたコーヒーだよな?コーヒーの匂い全くしないけどコーヒーだよな?


時雨「提督への気遣いを忘れない僕ってやっぱり最高の駆逐艦だと思わない?」

( T)「別に……」

時雨「思うよね?」

( T)「いや別に……」

時雨「褒めちぎって良いよ」

( T)「後で遊んでやるからちょっと集中させて」

時雨「そう言ってもう三日間もぶっ通しで仕事してるじゃないか」プンスコ!!

( T)「仕事が悪い」


まぁ……マグカップに入れて持ってきたんなら飲めるもんだろ……
温めたコーラにミルク混ぜたくらいならデコピン(岩をも砕く)で済ませてやるか……


( T)「じゃあ……頂きます……」

時雨「どうぞ」

( T) ズズッ


(;T)・'.。゜「ばおあ!!!!!!!!!!!!??????????????」ゲボッバ!!!!


時雨「wwwwwwwwwwwwwww」


温めた泥水だった
3 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:11:05.58 ID:f6oSF7N00
(#T)「テメッ全部飲み干せオラーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

時雨「待っ無理これ艦娘虐待ガボボボボボボボ!!!!!!!!!!」




『ウキウキ!!首相の鎮守府訪問!!のようです』




時雨「おえええええええ!!!!」

(#T)「おえええええじゃねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
4 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:12:56.12 ID:f6oSF7N00
よう、俺だ。すっかり秋も深まったな。秋深まりサンバでもいっちょ踊るか
えっ?何?前回の続き?解決したよ。銀髪金眼で抜き身の日本刀持ってたお姉さん送り届けて時雨迎えに行ったよ異世界まで
なんかこう素敵な出会いとか命がけの戦いとか色々あったけどその話はまた今度にさせてくれ。長いんだよ……


叢雲「ちょっと何遊んで……泥だらけじゃない!!」

( T)「だってこいつが」

時雨「だってこいつが」

叢雲「だってじゃない!!片付ける!!今!!」


貞子の件から数か月が経ち、夏の大規模作戦やロシア遠征、そして毎年恒例秋刀魚祭りなど、忙しい日々が続いていた
机に積み上がる書類はその諸々のモノばかり。大半はロシア、ムルマンスク関係が占めている
作戦内容としてはムルマンスク内に置ける市民暴動の鎮圧と深海棲艦の迎撃で、俺も直々に矛を振るった一戦だ
終盤には『寄生体』とかいうドえらい数の謎のキモいゾンビもどきを相手にさせられたが

正直B級映画の世界に飛び込んだ気分になって不知火と一緒に写メ撮りまくった。その後えらい怒られた


叢雲「終わったらこれ、追加の書類」ドサッ

( T)「焼き芋食べたいなぁ」

叢雲「一枚でも燃やしたら濡れた新聞紙とアルミホイルで包んでキャンプファイアーに放り込むわよ」

( T)「まどろっこしい焼殺かよ」


泥水でビッチャビッチャになった床をティッシュで拭きながら、机の上に置かれた新たな書類を一枚手に取る
『寄生体に対する見解と今後の対応策について』だと。筋肉で殴ったら死ぬ程度のクソザコナメクジなんざ興味ねーし対応策とか思い浮かばねーよ筋肉足りてねーだけだろ


叢雲「ま、これで最後だから気張って片付けましょう」

時雨「早く終わらせてハロウィンやろうよ」

( T)「お前が邪魔せず手伝ってくれたらちょっとは早く終わるんだけどなぁ」

時雨「時間外労働はしない主義でね」

( T)「手伝え」

時雨「やだ」
5 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:14:38.92 ID:f6oSF7N00
時雨「邪魔と嫌がらせも済んだし僕戻るね。死ぬ気で頑張って」

( T)「お前は俺の懐の深さに日々感謝すべき」


時雨が軽い足取りで出口へと向かい、ドアノブに手を伸ばした瞬間


青葉「司令官」ガチャ

時雨「あだっ!?」ゴンッ!!


ノック無しで勢いよく開かれた扉に、鈍い音を響かせて頭をぶつけた


青葉「あっ、ごめんなさい」

時雨「ッ〜〜〜〜〜〜〜……」

( T)「草通り越して森生えるwwwwwww」

時雨「この……クソ重巡!!」ブンッ

青葉「ごめんなさいってば。司令官、近海警備に当たっている天龍さんからご報告が」ヒョイッ


時雨が放った切れ味鋭いローキックを一瞥もせず軽く躱すだけに留まらず
ほんの一瞬隙を見せた軸足を払い体勢を崩した後、額を人差し指でトンと押しのけ、応接用のソファーへと倒れ込ませた


時雨「このっ!!」

叢雲「おすわり」

時雨「はっ……いぃ……」


すぐさま反撃に移ろうとしたが、天下の副司令艦様のドスの利いた一声で昇った血も一気に引いたようで
ぶつけた額を擦りながら、涙を浮かべた瞳で忌々しく青葉を睨みつけた
6 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:16:06.21 ID:f6oSF7N00
( T)「そんで?」

青葉「はい。身元不明の民間船が一隻、無線にて当鎮守府への入港許可を求めているそうです」

( T)「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜??????このご時世に呑気にクルージング〜〜〜〜〜〜〜?????」

叢雲「そうとも限らないでしょ。船体は?」

青葉「天龍さん曰く、『不自然なほど無傷』ですって」

( T)「うわめっちゃ怪しい奴じゃん……叢雲、海軍の方からなんか連絡来てたか?」

叢雲「寄港に関しては定期補給船以外には全く。その船、護衛艦隊は?」

青葉「海上には出ていないようですが、船内に僅かながら手練れの気配がすると」

叢雲「天龍が言うなら十中八九確かね……空は?」

青葉「対空レーダーには何も引っかかって無いですね」


怪訝な表情を浮かべる叢雲と顔を見合わせる。『呼び込んでいいものか』と
正直な話、特殊遊軍として海軍階級に組み込まれない独特の立ち位置にいるウチを快く思っていない連中は多い
前にも一度、中将だか少将だか忘れたがマッスル鎮守府の人員を各方面に分散させようと脅しに近い命令をしてきたバカが居た
その手のバカが寄越した敵襲の可能性もある。が、そうだとしたら余りにも不自然で頭が悪い

まぁ正直な話、民間船に収まる程度の人員でウチが陥落するかって聞かれたら確実に『No』と言い切れるが
自爆テロとかされたらクソめんどくさくて仕方がない。後片付けするこっちの立場にもなって欲しい。花火になるなら空でやれ空で


( T)「じゃあまぁ……一瞬でも怪しい動きしたら沈めるって脅して……だいじょぶそうなら上げてやるか……」


とは言え、別の可能性も無いとは言い切れない。例えば、情報漏洩を警戒してアポなしで訪れる要人とかな


叢雲「時雨、仕事」

時雨「はーーーーー……めんどくさ……」


叢雲と時雨は艤装を取りに腰を上げる。俺も続いて立ち上がった


青葉「こう警戒した時に限って拍子抜けするようなオチってことも多いですけどねぇ」

( T)「なんでフラグ立てるの?」

青葉「つい」

( T)「何がついなの?」
7 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:17:18.33 ID:f6oSF7N00
―――――
―――



【マッスル鎮守府の今日の湾港】ワンワン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


( T)「……」


結論から話すと、身元不明の民間船は『敵襲』では無かった
しかし、中から出てきたのはもっと厄介な連中だ


( ФωФ)「……」


此方はご存知海上自衛隊一等海尉にして『海軍』准将、杉浦六真。通称『ロマ』だ
ムルマンスクで人型でもないクソザコ深海棲艦に殺されかけたのは記憶に新しい
現場指揮執ってる奴があの体たらくだったのは正直失笑を禁じ得ない。お精子からやり直せ


( ФωФ)「おいテメー今すげえ失礼な事考えてるだろ」

( T)「は?自意識過剰乙」


被害妄想甚だしいクソメガネだ。しかもアンブッシュ訪問にも関わらずアイサツもしやがらねえ。スゴイシツレイだ


(,,゚Д゚)「……」

(・∀ ・)「……」


それと湿気たツラをぶら下げる兵士連中。服装こそカジュアルだが、両手にはMP5を抱えている
加えて、護衛と思われる艦娘五名。内四名は……ありゃ阿賀野型だっけか。御大層にフル装備の艤装を背負ってやがる
残り一名は、白髪で左頬に傷のある女だ。こいつ一人だけ雰囲気が違って、口元に笑みを浮かべながら周囲を見回している


( T)「カチコミにでも来たのかよ。ウチは龍虎門じゃねーぞ」

( ФωФ)「だったら部下じゃなくて羅刹門のボス連れてくるわ」

( T)「暗黒仏塔程度のクソザコ技で俺が殺せるかよウォン・ホンロンじゃあるまいし」
8 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:18:26.77 ID:f6oSF7N00
叢雲「いつまで中身のないアンタらの会話を聞かなくちゃならないのかしら?」


割って入った叢雲が、近接艤装である槍の柄で地面を叩く。この人数ならこいつ一人でも皆殺しに出来るな


叢雲「将官階級とは言え、事前連絡なしの訪問は感心しないわね。飛び込み営業じゃあるまいし」

( ФωФ)「手厳しいであるな。だが、今回ばかりはやむを得なかった」

( T)「便利な言葉だな、俺も今度から使ってみよう。所在不明の民間船を『誤って』沈めちまった時とかにな」

叢雲「ちょっと黙ってて」

( T)「はい」

( ФωФ)「怒られてやんのwwwwwwwwwwwwww」

叢雲「真面目に」

( ФωФ)「はい」


「そうロマ助を責めんといてくれや」


最後に船を降りて出た奴の顔を見て、『やむを得ない』理由が一発で理解できた
コテコテの関西弁に、出目金みてーにギョロリとした両目。質の良さげなスーツが全く似合っていないその男は
驚くべきことに、連日テレビや新聞で報道されている現状世界一有名な日本人だ

職業は『日本国内閣総理大臣』及び、『海軍最高司令補佐官』
我が国における政治家の頂点であり、海軍に置ける最高司令に次ぐ2


彡(゚)(゚)「ワイが無理言うて連れてきてもろたんや。堪忍な」


『南慈英』である
9 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:20:49.94 ID:f6oSF7N00
( T)「……」

叢雲「……」

青葉「……」

時雨「……」

天龍「じゃあ俺警備に戻るわ」

( T)「面倒かけたな。引き続きよろしく」


彡(゚)(゚)「あれっ……何この……反応薄ない?」

( T)「歓迎されるとでも思ってたのかよ。イカレてんのは顔だけにしろ」

彡(゚)(゚)「えっ、ワイ一国の首相……」

( T)「一国の首相はアポイントも取れないんですかぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?????????」

彡#(゚)(゚)「ムカつくゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」

( ФωФ)「……気持ちは分かるが、海軍二位のお方だぞ。敬意を払えとは言わんが、言葉遣いくらい正したらどうだ?」

彡(゚)(゚)「お前も結構失礼なこと言うとるからな?」

( T)「だからって『はいそうですか』と従うとでも?海軍と政治家が俺らに何をしたか忘れたとは言わせねえぞ」


空気が―――特に、時雨が放つ殺気によって急速に冷めていく


時雨「……」


(・∀ ・;)「っ……」

( T)「その銃口を一瞬でも此方側に向けてみろ。顔見知りでも容赦はしねえぞ」


その空気に触発された兵士連中が、今まで放していたトリガーに『指』を掛けた
阿賀野型に到っては、俺が警告をしなければ艤装の砲口を向けていただろう

白髪のねーちゃんだけはなんか他人事みたいに腕組んで面白そうに眺めていた。見せもんちゃうんやぞ
10 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:22:24.84 ID:f6oSF7N00
青葉「まぁまぁ時雨さん。ここで暴れたら司令官も怪我するかもしれないし、ちょーっと落ち着きましょう?」

時雨「提督は怪我しない……」

( T)「するけど?」

青葉「ロマさんごめんなさい。青葉には止められなかったようです」

(;ФωФ)「諦めが早いのである……お前の愛犬だろ何とかしろよ」

( T)「ハァ……わーったよ。時雨、こいつらはいつでも殺せるから今は堪えろ」

彡;(゚)(゚)そ「ファッ!?早かれ遅かれ殺されんのは確定なんか!?」

( T)「冗談だよ。一割は」


俺も流石に大人げなかったと反省し、今にも12.7p連装砲をぶっ放ちかねない時雨を宥める
露骨に大きな舌打ちをした時雨は、踵を返し鎮守府内へと歩き出した


青葉「どこ行くんですか?」

時雨「不愉快だから山風で遊んでくる」

( T)「おうやめたれや」


とんだとばっちりを食らう山風には同情を禁じ得ない


彡;(゚)(゚)「到着して早々冷や汗かくとは思わんかったで……躾がなってへんのとちゃうんか?」

( T)「アンタの親にも是非聞いてみたいもんだな首相閣下」

彡;(゚)(゚)「こいつホンマズケズケと物言いよるな……」

( ФωФ)「そうですね(棒)」
11 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:23:46.21 ID:f6oSF7N00
叢雲「で、情報漏洩を防ぐために事前連絡なしに加え偽装した民間船使ってまでウチに来た理由をそろそろ教えて貰いたいのだけれど?」

( ФωФ)「話が早くて助かるのである。Гангут、此方へ」

( T)「なんて?」

( ФωФ)「『ガングート』」


白髪のねーちゃんが前に出て、海軍式の敬礼をする


ガングート「Гангут級一番艦、Гангутだ。これより貴官の指揮下に入る」

( T)「えっ、なん……えっ?」

ガングート「何だその反応は?」

( T)「聞いてないんだけど……」

ガングート「は?一体どういう……」

彡(^)(^)「サプラ〜〜〜〜〜〜〜〜イズ!!!!!!」


( T) ブチッ


叢雲「あっ」

青葉「あっ」


(#T)「タワーブリッジィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」ギチギチギチ!!!!

彡;(゚)(゚)「ウギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッス!!!!!!!!????????」ゴキゴキゴキ!!!!

(;ФωФ)そ「オイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!首相に何やってんだお前ーーーーーーーーーー!!!!!!??????」

(#T)「海外艦娘着任させんのなら一言くらい断り入れてからにしろやーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」ギッチイイイイイイイ!!!!!

彡;(゚)(゚)「アカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!腰骨砕けるーーーーーーーーーー!!!!!!」ゴキゴキゴキゴキィ!!!!!


ガングート「ハッハッハッ!!愉快な提督ではないか!!ここなら楽しく過ごせそうだ!!」

叢雲「アンタは慣れるの早そうね……」
12 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:24:54.47 ID:f6oSF7N00
:彡;( )( ):「死……死ぬる……」

( T)「技の感想の前に俺に言う事あるんじゃねえのか?」

:彡;( )( ):「こ……断りなく海外艦配備の話を進めてスマンかった……」

( T)「次こんな真似しでかしやがったら初代ブロッケンの後を追わせてやるからな」


(・∀ ・;)「しゅ……首相って一応、海軍階級の二位っすよね……?」

(,,゚Д゚)「あの人は気に入らなければ最高司令どころかローマ法王ですら関節極めるぞ」


人を悪行超人みたいに言いやがってあの野郎


(;ФωФ)「気は済んだか?」

( T)「そこそこ。あー、ガングートだっけか?経緯はどうあれ、新入りは大歓迎だ」

ガングート「その割には、最高司令補佐に対する扱いが雑に見えたがな?」

( T)「殺してないだけ丁重に扱ってやってる」

ガングート「ハハハ、聞き及んでいた通り面白い男だ!!これからよろしく頼むぞ!!」


一体どんな話を聞かされたのだろうか?ロマは陰湿だからある事ない事吹き込んでそうだ。これだからクソメガネは


( T)「青葉、鎮守府の案内ついでに部屋を一つ用意してやれ」

青葉「青葉、了解です!!さぁさぁこちらへ!!長旅でお疲れでしょうから数日はゆっくりしていってください」

ガングート「ん、いや、私ならすぐにでも訓練に移れるが……?」

青葉「どうせ後で祖国に帰りたいと泣きわめくほどシゴかれますから安心してください。お荷物失礼します」ヒョイッ

ガングート「泣きわめいた奴がいるのか?」

青葉「ビスマルクさんは泣きわめきました」
13 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:26:38.30 ID:f6oSF7N00
二人が建物に入っていくのを見送ってから


叢雲「……本題は?」


と、叢雲は切り出した


( ФωФ)「ほう?国内では唯一のロシア艦娘の譲渡が本題では無いと?」

叢雲「茶化さないで。その程度ならわざわざ首相を引っ張り出さなくても済む話でしょう?」

( T)「よっぽど暇なんだろ……オラさっさとルルイエに帰れよ」

彡(゚)(゚)「こちとら忙しい合間を縫って訪問してるんや。それと誰が神話生物やねん」

(;T)「ち、違うのか?人間の顔じゃないからてっきり……」

彡(゚)(゚)「おい嬢ちゃん、司令官の教育どうなっとるんや」

叢雲「私は今、准将と話をしているの」

彡(゚)(゚)「ファーーーーーーーーーーーwwwwwwwwwwwww」


なんでこんな奴が総理大臣になれたのだろうか


( ФωФ)「ふぅ……ここではなんだ、中へ通しては貰えぬか?」

叢雲「……」


『どうする?』と言いたげに俺の顔を見上げた叢雲に、肩を竦めて返してみせる
話が進まないってのなら仕方がない。こちとら忙しい身だ。サッサと帰って貰おう


( T)「武器は置いてけ。無駄に緊張を広げれば怪我すんのはお前らだからな」

(・∀ ・)「俺らが信用できねえってのかよ筋肉の旦那。仲間だろ?ええ?」

( T)「俺が心から信用すんのは家族とこいつらだけだ。テメーはいつから俺の兄弟になった?」

(・∀ ・;)「ッ……!!」


たじろいだ若造の姿を見て、叢雲がクスリと微笑を漏らした
奴さんにはそれが大層気に食わなかったようで、わかりやすく額に青筋が奔る
14 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:28:58.79 ID:f6oSF7N00
(・∀ ・#)「ああそうかよ、ムルマンスクじゃ呂布みてーに暴れまわってたが、タマは小せえ臆病者だったとはな」

(・∀ ・#)「『硫黄島の英雄』と聞いてたが、とんだ虚仮威しだ!!ご自慢の筋肉もクスリで作ったのか?アアン!!」


( T)「……」

叢雲「あーあ……」

(;ФωФ)「オイ止せ」

( T)「うるせえどけ」


ロマを押しのけ(ついでにメガネにたっぷりと指紋をつけて)、俺とは違って『度胸』のある若造へ近づく
MP5が僅かに揺れたが、若造は一歩も引かずに目の前に立つ俺を睨めつけた
一方で隣に立つギコは、涼しげな顔で遠慮なく大きく一歩下がる。賢い判断だった


(・∀ ・;)「な、なんだよ……」

( T)「ふむ……ロマとギコ以外はここは初めてだな。一つレクチャーしてやろう」


頭二つ分ほど小さな身長に視線を合わせる。奴の瞳に映り込んだ俺の顔が見える程だ


( T)「我が鎮守府の艦娘の半数は、余所で騒ぎを起こしてこの場所に送られた連中だ」

( T)「そしてその殆どが、『人間』に痛い目を遭わされた。創作と現実の区別も付かねえバカ共にな」


(・∀ ・;)「ッ……」


MP5を掴み、ゆっくりと引いていく
若造の体が竦み僅かな抵抗をしたが、軽く首を傾げると引き潮のように力を抜き、銃を手放した
15 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:30:55.38 ID:f6oSF7N00
( T)「今じゃ元気なじゃじゃ馬娘だが……心の奥底には常に沈んでいる。『不信感』がな」


マガジンを落とし、ボルトを引いてチャンバー内の実弾も抜く
波音と、鎮守府から聞こえる喧噪が響く湾口に似合わぬ、キンと冷えた音が加えられた


( T)「俺も提督やって長いし、そこそこ良い関係を築けている。だが、万が一間違いを犯せば……」

( T)「この場所に、墓標が立つだろうな?『欲望に溺れたクソ野郎、ここに眠る』と刻まれたヤツが」

(・∀ ・;)「ングッ……」

( T)「そんな場所に……海軍関係者とは言え銃を持ち込む意味が、理解できるか?」


秋も深まったと言うのに汗をダラダラと流す若造は首を縦に振った
警告を真摯に受け止める程には常識が備わっているらしい。結構な事で


( T)「銃は……無しだ!!」


トドメに、MP5を腕力で真っ二つにへし折って突き返した


(・∀ ・;)「あ、ああ……わかっ、わかった……」

( T)「ご協力、感謝する。聞こえたかその他の連中ゥ!!」


ギコを除く兵士連中の体がビクリと跳ねる
阿賀野型の一番小さい奴に到っては『ぴゃあ!!』と謎の悲鳴を上げた。舐めてんのか


( T)「文句があるなら受け付けてやるが、俺ァ辛抱強かぁねえ!!腕の一、二本覚悟してもらうぞ!!」

( T)「それが嫌ならこの若造を見習って素直に言う事を聞くんだなぁ!!」
16 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:31:59.07 ID:f6oSF7N00
(,,゚Д゚)「おい、俺の分も置いてけ」

(・∀ ・;)「りょーかいっす……」


バタバタと慌ただしく動き出した兵士たち。ギコは若造に自身の武器を渡してパシらせた


( T)「ギコ」

(,,゚Д゚)「あん?」

( T)「『忘れもん』」


左脇をちょいちょいと指さし、うっかりさんな元同僚に伝えてやる
苦虫を噛み潰したように顔をくしゃりと歪ませると、ジャケットの裏に潜ませていた刃渡り20cmほどのナイフを取り出した
勿論、ただのナイフではない。戦車道にも使われる特殊カーボンを用いた、深海棲艦の装甲も貫ける仕込みブレードだ


(,,゚Д゚)「斎藤!!こいつもだ!!」ブンッ


<うわっ、ちょ、投げないでくださいよ!!


(,,゚Д゚)「……他に何か?」

( T)「全裸にひん剥いて身体検査されたきゃ、やってやるが」

(,,゚Д゚)「ふざけろ」

( T)「ムルマンスクじゃご苦労だったな。時雨が言ってたぞ、『ちょっと運動しただけでめっちゃ吐いてた』って」

(,,;゚Д゚)「あの野郎……」

( T)「ま、積もる話は後だ。行こうか」
17 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:41:19.25 ID:f6oSF7N00
―――――
―――



【執務室】


彡(゚)(゚)「葉巻、ええか?」シュボッ

( T)「答える前に火ぃ着けてんじゃねえかクソの極み乙女かよ。川谷健太に改名した方がいいんじゃねえのか?」シュボッ

彡(゚)(゚)「本名」


ド田舎+濃密な事故物件というのも相まって、ウチの鎮守府には来客は少ない。人間じゃない奴の方が良く来るとかいう謎の場所だ
だが来たら来たらでマジで面倒くさい連中しか来ない。目の前でふんぞり返って座る首相と、その隣で仏頂面を嫌と言うほど見せつける海軍准将はいい例だ

そして扉の両脇に仁王立ちする護衛のギコと若造。他の兵士と阿賀野型は食堂でお茶しばいている


彡(゚)(゚)「ところでさっきから待ってんやけど、ここは来客に対してコーヒーの一つも出せへんのか?」

( T)「なんで?」

彡(゚)(゚)「なんで??????」

( ФωФ)「首相、こいつに構ってると話は一向に進みませんぞ」

叢雲「次から水筒でも持参する事ね」

彡(゚)(゚)「お隣の国々でももうちょい丁重に扱ってくれんのに」

( T)「細けえことでグチグチうるせえ工場長だな……」

彡(゚)(゚)「総理大臣な」

( T)「現場監督が……」

彡(゚)(゚)「なんかドンドン役職ランク下がってへんか?」
18 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:42:42.01 ID:f6oSF7N00
ダラダラ文句を言い続けられるのも鬱陶しいので、冷蔵庫から人数分の缶コーヒーを取り出し、それぞれに投げ渡す


叢雲「さてと、本題へと移ってもらいましょうか」

( ФωФ)「うむ。その前に……」


ロマがチラリと護衛二人を一瞥すると、敬礼をして退室した
廊下からは偶然通りかかったであろう江風の『うおっ!?ギコさンじゃん何してンの!?』という驚いた声が響く


彡(゚)(゚)「嬢ちゃんはええんか?」

( ФωФ)「彼女抜きではこの鎮守府は回りませんから」

叢雲「あら、世辞がお上手ねロマさん」

( ФωФ)「この脳筋に難しい仕事とか絶対無理だろ常考」

( T)「死ね」

( ФωФ)「お前が死ね」

彡(゚)(゚)「ロマ助ロマ助、引き込まれとるぞ」

( ФωФ)「おっと、脳筋バカに構っている場合ではありませんでしたな」

( T)「クソm 叢雲「おだまり」 はい」


首相は大きく葉巻を吸い込むと、無遠慮に鼻から紫煙を吐き出す
シチュエーションが違えば悪の幹部に見えなくもない姿だ。今の内に始末すべきではないだろうか
19 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:44:15.13 ID:f6oSF7N00
彡(゚)(゚)「ま、そう構えんでもええ。今回の訪問はガングートの譲渡に加え、鎮守府の監査も兼ねとる」

( T)「抜き打ち監査とか余所の鎮守府だと引っくり返る事態じゃねーか。それでよく構えるなとか言えたな?顔と一緒で神経も歪んでんのか?」

彡(゚)(゚)「会話の節々に罵倒入れらな気ぃ済まへんタイプなんか?」

( T)「言っとくが、ガチガチの規律を押し付けられても守る気は一切ねえぞ?好き勝手出来る事を条件に提督やってんのに」

( ФωФ)「そこは重々承知しているのである。建前でも監査をしておかねば他の海軍上層部が納得しないのでな」

( T)「上層部、ねえ……叢雲、どう思う?」

叢雲「ねぇロマさん、ウチに不満と文句がある連中に伝えて貰えるかしら?『クソくらえ』と」

( ФωФ)「スモーカーかよ」

叢雲「あと『緩いケツの穴でもほじってろ』も」

( T)「アナーキー」

彡(゚)(゚)「叢雲ってどいつもこんな口悪いんか?」

( ФωФ)「彼女だけです」


彡(゚)(゚)「ふむ……この調子なら心配ないな」

( T)「?」

彡(゚)(゚)「ロマ助、そろそろ時間や」

( ФωФ)「はい」
20 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:45:45.78 ID:f6oSF7N00
『帰んのかな』と思ったが、残念ながらそうでは無かった
ロマは持ち込んだバッグからノートPCとWebカメラを取り出し、セットアップしていく
ついでに、『着けろ』と言いながら俺達に投げ渡されたのは無線式のインカムだ


( T)「実況動画でも録んの?」

叢雲「Youtubeで広告収入でも稼ぐのかしら?海軍がそこまで財政難とはね」

彡(゚)(゚)「お蔭さんで潤っとるわ」

( T)「チッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

彡(゚)(゚)「潤わなお前らも好き勝手でけへんからな?」

( T)「他人の褌で相撲取ってる分際で偉そうに……」

彡(゚)(゚)「ロマ助はよしてくれ。この兄ちゃんの相手してたら心が折れそうや」

(;ФωФ)「今更ですがやはりやめておいた方が無難では……?」

彡(゚)(゚)「そんなん言うても彼方さんの要求やし引かれへんって」

(;ФωФ)「しかしこれ以上、日本の印象を悪くするのも……」

彡(゚)(゚)「これに関してはワイは場を用意してやってる立場やし、責任は全部そこの兄ちゃんが取るやろ」

( T)「ヘイヘイヘイなーに盛り上がってるのかしらねーが俺ァ今から誰とお喋りさせられんだよ?」

彡(゚)(゚)「アメリカ一の美女や。嬉しいやろ?」

( T)「トム・シックスかジェラルド・バトラーの方が数億倍嬉しい」
21 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:47:15.75 ID:f6oSF7N00
叢雲「……ロマさん」

(;ФωФ)「何だ?」

叢雲「やめときましょう」

(;ФωФ)「察したか……だが最高司令補佐の指示だ。断れんよ」

叢雲「どうなっても私は責任取らないわよ?」


叢雲はどうやら答えを見つけたらしい。俺はアホなので全然わからん
アメリカ一の美女って言われてもピンとこねーよ。スカーレット・ヨハンソンかガル・ガドットくらいしか思い浮かばねーわ


( T)「なぁ叢雲、ブラック・ウィドウかワンダーウーマンのどっち?弥生呼んできていい?めっちゃ喜ぶわ」

叢雲「女優じゃない。ていうか、アンタも察しなさいよ。わざわざ首相がこんなド僻地までやって来たのよ?」

( T)「嫌がらせじゃないのか?」

叢雲「それもあるだろうけど」

彡(゚)(゚)「そんな暇ちゃうっちゅうねん。まだかロマ助」

(;ФωФ)「ちょうど今……終わった所であります」

彡(゚)(゚)「ほな、はじめよか」

(;ФωФ)「ッ……ええい、ままよ!!」

( T)そ「うわ、『ままよ』とかいうやつ大泉洋以外で初めて見た」
22 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:49:07.32 ID:f6oSF7N00
直前まで散々迷い倒したロマは、観念してPCの画面を此方へと向けた


( T)「ん……んんん?」


映し出されていたのはどこかの映像だ。左下に、俺ら側の映像を映す二回りほど小さなワイプがある

人の身の丈を軽く越す引き上げ色の窓に、黄金色のカーテン
両脇には、星条旗とアメリカ国章の旗が掲げられている
どうも見覚えのある内装だった。だが俺はこの場所へと訪れたことは無い


( T)「あっ、うわっ……マジか……」


しかし人並にニュースや映画を見る者なら、世界中にいる人間が一度は目にしたことがある部屋だ
そして海軍階級や内情にクソ疎い俺でも、ここまで見たらお喋りの相手が誰かはわかってしまった


《『うわ、マジか』とはご挨拶ですね》


凛としつつ、それでいて堅苦しい声がスピーカーから響き
その主が、カメラの前に現れ椅子に座った。歴代の『それ』の中では、若々しい姿の女性だ
首相を前にしても、いつもの調子を崩さなかった叢雲も、背筋をピンと伸ばし表情を引き締めた


( T)「……いきなりなもんでね、つい本音が出ちまった」

《ミナミの事です。どうせ何も知らされていないのでしょう?》

( T)「ああ全くその通りだ。アンタの国じゃ確かこういう時に言うんだよな?『Holy shit!!』と」

《間違ってはいないですが、この場に置いては適切では無いですね。先ずは自己紹介をしましょう》



(゚、゚トソン《初めまして【Fighter】。アメリカ合衆国大統領兼海軍最高司令官、『トソン=カーヴィル』です。以後、お見知りおきを》



ああ、全くなんてこった。今日は間違いなく厄日だ
23 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:50:47.36 ID:f6oSF7N00
( T)「……そのコールサインはあんまり好きじゃねえ。2コス2/2のニュートラルフォロワーっぽくてウッ!!」


隣から放たれた肘打ちが脇腹に刺さる。放った本人は素知らぬ顔でカメラに向かい敬礼をした


叢雲「失礼致しました。地獄の血みどろマッスル鎮守府所属、副司令を務める叢雲です。お目に掛かれ光栄です大統領」

:(;T):「ド……ドーモ、マッスルです……」


だって使わねえじゃんファイターなんて。マゾじゃない限りユニコ入れるだろユニコを


(゚、゚トソン《楽にしてください叢雲さん。形式ばったやり取りは私もあまり好きでは無いので》

叢雲「か、畏まりました」

( T)「じゃあ遠慮なく」

叢雲「アンタは……!!」


奥歯をギシリと噛み鳴らしながら横目で睨めつけてくる叢雲を尻目に、二本目のタバコに火を着け缶コーヒーのプルタブを開ける
自由と平等を掲げる大国のトップがこう言うんだから別に良いだろうが。何怒ってんだこいつ


(゚、゚トソン《あなた方の目覚ましい戦果は常々耳にしています。先日のムルマンスクでは獅子奮迅の活躍だったとか》

( T)「ああ、ハハッ。現場指揮執ってた奴がザコ助過ぎて危うく死に掛けてたな」


今度は向かいのロマがメンチを切ってくる。事実を言ったまでなのになんで怒ってるのだろうか?
図星だったからムキになってるのだろうか。大人になれよ、三井


(゚、゚トソン《物量に圧倒的差がある深海棲艦との戦いに置いて、非常に質の高い艦娘兵力には……》

( T)「御託はいいから、サッサと本題に入れ」


大統領の口から出かけた話の続きは、喉の奥でせき止められ
一瞬の硬直を挟んだ後に、『厄介だ』と言いたげに眉間を抑えた
24 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:53:23.91 ID:f6oSF7N00
叢雲「バッ……」

(;ФωФ)「おまっ……!!」


なんか知らんけどこっち側の連中も爆弾を前にした奴のように構えていた
唯一、首相だけは右手で顔を覆いつくし笑いを堪えている。非常に不愉快な姿だった


( T)「大統領だか最高司令だか知らねえが、ダラダラと長話する気はねえんだよ。お互い、忙しい身だろ?そこにいる首相閣下とは違ってな」

彡(゚)(゚)「忙しい言うとるやろ」

( T)「世辞もおべっかもヨイショも勲章もいらねえよ。スパッと始めてスパッと終わらせろ。こっちはハロウィンがあるんだよ」


(-、-;トソン《……噂に違わぬお方ですね。ミナミですら匙を投げるのも頷けます》


なんかある事ない事吹き込まれてるらしい。後でじっくり話を聞かねばなるまい


(゚、゚;トソン《いえ、失礼を。お時間を頂いているのはこちらでしたね》

( T)「謙虚で結構。爪の垢を送ってくれりゃ、そこのブ男に煎じて飲ませてやる」

(゚ー゚;トソン《フフ。魅力的な提案ですが、私の爪の垢如きではアレは矯正出来ないでしょうね》

彡(゚)(゚)「うわなんかめっちゃディスられとる」


この首脳同士でどんな外交が成されているのか気になる
二国間の海軍パワーバランスを鑑みるにお察しだが


(゚、゚トソン《コホン。其方の鎮守府は日本海軍内でも唯一の立場と聞いています。階級に組み込まれない独立した戦力だとか》

( T)「見ての通り上下関係が苦手でな。俺がここに着任する条件の一つとして飲ませた」

(゚、゚トソン《しかし一方で、戦果に見合う評価はされていないそうで。私の耳に入るのも悪評ばかりです》

( T)「なんでやろなぁ」

叢雲「大統領、恐らくその半数は真実です」


冗談じゃねえよ身に覚えがねえっつうの
25 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:55:06.39 ID:f6oSF7N00
(゚、゚トソン《我が海軍としては苛烈を極める深海棲艦との戦争に置いて、絶対無二の『質』を持つ戦力を野放しにするのは好ましくありません》

( T)「ほう、それで?」

(゚、゚トソン《『准将』のポストを用意しました。アメリカでその手腕を発揮しませんか?【Fighter】》

叢雲「ッ!?」

( T)「……」


また、えらい爆弾をぶち込んでくれたもんだ
深呼吸の代わりに紫煙を吸い込み、視線を画面から男連中へと移す


(;ФωФ)「……」

彡(゚)(゚)「……」


特に声を上げない所を見るに、この話は上層部にも通っているらしい


( T)「それは、『命令』か?」

(゚、゚トソン《いいえ、『勧誘』です》


よくわかっていらっしゃるようで


( T)「この場を用意するためにアンタが支払った代償が気になるな?」

(゚、゚;トソン《ご勘弁を。自分の不甲斐なさは身に染みています》

( T)「ご愁傷様。で、詳細は?わざわざアメリカくんだりまで俺らが引っ越さなきゃいけない理由は?」

(゚、゚トソン《大きな理由の一つとしては、欧州奪還の戦力強化ですね。ヨーロッパ各地の現状は勿論ご存知でしょう?》

( T)「うんまぁ」

叢雲「ちょっとは真剣に受け止めなさいよ……!!」

( T)「おフランスがマヌケやらかしたってのは笑えないジョークだったな」
26 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:57:03.67 ID:f6oSF7N00
(゚、゚トソン《日本からも自衛隊及び海軍部隊が欧州奪還の為に集結しています。あなた方にも是非そこに加わって戴きたい》

(゚、゚トソン《戦力としてもそうですが、所属艦娘を『最強』とまで言わしめるほどに鍛え上げた指導力にも期待しています》

( T)「ふむ、まぁ、シカトは出来ねえわなぁ」


ベルリンを発端にした、欧州の陥落。犠牲者が二千万を下らないという歴史上類を見ない深海棲艦の大規模強襲
何の冗談か、陸に一万を超える深海棲艦が展開されてるって話だ。クソ映画でもここまで胸糞悪くはならないだろう
ちょっと前までウチにいたビス子は元気でやってるだろうか。ウチに駐在しているもう一人の方は見事に腐を拗らせちまったけど大丈夫だろうか


( T)「……他には?」


筋は通ってるが、口には出さずに続きを促した
お相手は大統領だ。口先八丁の交渉戦ならお手の物だろう。隙を見せれば会話の主導権を奪われる


(゚、゚トソン《場合によっては、人間を主戦力にした対ヒト型白兵部隊の編成も考えています。その兵力の育成も……》

( T)「無理だ諦めろ」

(゚、゚トソン《……理由を伺っても?》

( T)「筋肉は一朝一夕で出来上がるもんじゃねえんだよ。付け焼刃の兵士で編成してもおフランスの二の舞だ」

( T)「そもそも、身体が鍛え上げられても度胸まで追随するとは限らねえ。アンタ、ゴジラを前にしてビビらねえ自信はあるか?」

(゚、゚;トソン《……ありません》

( T)「だろうな」


ベルリンで『一般兵が身一つで軽巡棲姫を撃破した』という知らせは、俺にとっちゃ別に驚くべきことでは無かったが
どうも諸外国では衝撃の事実だったらしく、おフランス軍がその為の部隊を設立して文字通りの返り討ちになった
当然だ、奴らと人間とじゃ膂力も、担いでる武装にも大差がある。俺レベルの筋肉の持ち主がいりゃ話は別だったろうが

そしてもう一つの大きな要因としては、相対する敵への『恐怖』が挙げられるだろう
ましてや相手は深海棲艦。未知のバケモノにして圧倒的火力を持つクソ共だ
例え俺が兵士を鍛え上げ、部隊を編成したとしても、奴らを前にした恐怖まではどうしようもない
恐怖は足を竦ませ、肺を委縮させ、思考を奪う。その大きな隙を見逃す程、連中は甘い存在じゃない
27 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 21:59:18.38 ID:f6oSF7N00
( T)「深海棲艦とキスをしても動じないクソ度胸に、臨機応変に動けるセンス、筋力の三つが揃ってる兵士が前提となる」

( T)「そんなイカレ野郎なんざ、世界に誇るアメリカ国内でも一つまみだろう。そんで、そいつらを鍛え上げても『決定力』にはなんねえ」

(゚、゚;トソン《……》

( T)「『コンコルド効果』って奴だ。時間と労力に見合わない戦力を育て上げても意味を為さない。普通に火器兵力として運用した方がマシだ」

( T)「まぁ、『場合によっては』ってんだからそこまで期待はしてねえんだろうがな」


アメリカ兵が全員チャックノリス並みのスペック持ちだったら、俺もやぶさかじゃなかったんだが
いやその場合普通に艦娘いらねーわ。一方的虐殺で戦争終わるわ。勝ち格だわ


(゚、゚;トソン《貴方ならあるいは、とも思っていましたが》

( T)「そりゃ、俺なら通常種ル級程度なら素手でもぶち殺せる。だが俺意外は俺じゃない」

彡(゚)(゚)「川谷健太やんけ」

( T)「うるせえ。とにかく、ヨーロッパ奪還が主な目的だな」

(゚、゚トソン《はい。階級の昇格はこれまでの功績を鑑みた結果と捉えてくれれば》

( T)「ふーん……悪い話じゃあねえな」

(゚、゚トソン《ですが、こちらの条件を飲んで貰う事になります》

( T)「出たよ……」


ほーら二言目には条件だよ絶対裏あるもんこの話
28 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:01:28.68 ID:f6oSF7N00
(゚、゚トソン《多くはありません。一つはアメリカ海軍への移籍》

( T)「ええ……?」

(゚、゚トソン《ああ、いえ、正式にでは無くてですね。表向きで構いません》

( T)「アッハイ」

(゚、゚トソン《この条件については詳しい理由も付いてくるので、それは後程》

( T)「うん」

(゚、゚トソン《もう一つは、ヨーロッパ奪還が完遂するまでアメリカ海軍上層部の指示への絶対服従です》

(;T)「うわっ……」

(゚、゚トソン《とは言っても、加減はします。ミナミが言うに、あなた方は泳がせた方がより大きな働きをするそうなので》

(;T)「アンタ、このオッサンの言う事を真に受けてんの?」

彡(゚)(゚)「失礼なやっちゃな……」

(゚、゚トソン《データと照らし合わせた上で、ですね。いくらミナミの口が達者と言えども、話だけでは信じられない戦果なので》

( T)「信用度よ」


チラリと叢雲に目くばせをしてみる


叢雲「……」


特に何も応えず、いつも通りのすました表情で小首を傾げた
『決めるのはアンタだ』とでも言いたげな仕草だ。そうなんだけどさぁ、助け船とかさぁ


( T)「……」

(゚、゚トソン《決め兼ねますか?》

( T)「……まぁな。生まれてこの方、権力っつーもんに縁がなくて」


嘘だ。既にこの勧誘の返事は決まっている
だがそれをすぐさま突き付けてしまえば、『それまで』だ。この話は終わる


( T)「見返りはなんだ?」


目の前にいる、海軍のトップだと名乗る人物を見極めるために
俺はもう少し話を掘り下げることにした
29 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:03:28.84 ID:f6oSF7N00
(゚、゚トソン《言うまでも無いですが、指揮権が大幅に拡大されます。それと、海軍内で少なからずの発言力が》

( T)「ふぅん」

(゚、゚トソン《其方の直属指揮下にアメリカ海兵隊、特技兵、給仕部隊などの人員増強も》

( T)「うむ」

(゚、゚トソン《更にアメリカ所属艦娘である戦艦『Iowa』と空母『Saratoga』を各一隻ずつ配備》

(;T)「まーた余所の国の小娘が増えんのかよ……」

(゚、゚トソン《給与は今の倍に。更に、戦果に応じてボーナスを追加します》

( T)「ほう」

(゚、゚トソン《そして……これがアメリカに移る『詳しい理由』となるのですが、貴方の指揮下に所属する艦娘全員に『米国国籍及び市民権』を与えます》



( T)「」



左手の中に納まるアルミ缶が、音を立ててへしゃげる
半分ほど残っていた中身が溢れ出て、香ばしい匂いを放つ茶色の水たまりがテーブル上に広がり、縁から水滴となって床に零れ落ちていった


(゚、゚;トソン《    ?   ……》


(;ФωФ)「    !!    !?」


彡;(゚)(゚)「……」


この場にいる人間が、俺が今し方起こしたアクションに対して何かしらの発言、反応を示しているが
その一切合切が耳にも、頭にも入らなかった。ただ、俺が出来たことは


( T)「……」


油切れを起こしたゼンマイ人形の様に強張った首を動かし、傍らにいる『相棒』を見る事だけだった
30 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:04:43.03 ID:f6oSF7N00
叢雲「……」


彼女もまた、俺と同じように顔を見返す
ほんの数分前に、画面の中にいる女に見せていた緊張感は憑き物が落ちたかのように消え失せ
琥珀色の瞳には濁った失望が浮かんでいる。叢雲は右手の指先をピンと揃えると


叢雲「……」


首筋に、スッと横切らせた


( T)「……」


クソッタレ、こいつらは本当に……


( T)「『断る』」


俺らの神経を逆撫でしやがる
31 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:06:00.98 ID:f6oSF7N00
(゚、゚;トソン《なっ……ぜですか!?国籍と市民権の譲渡は艦娘に対して初の試みd》

( T)「まず一つ!!ハッキリさせておくぞ!!」

(゚、゚;トソン《ッ……》


グチグチと説得を聞く気は無い。もう十分だ、底は知れた
長さが半分ほどにまで減ったタバコをもう一吸いし、灰皿に押し付ける


( T)「俺らは最初から海軍なんてもんは信用してねえ。准将のポスト?いらねえよ死ね」

(゚、゚;トソン《どうしてそこまで頑なに拒むのですか!?》

( T)「どうして?良いだろう見せてやる。海軍が俺にした仕打ちを」

(;ФωФ)「待て、やめろ!!」ガタッ!!

叢雲「座ってなさいッ!!」

(;ФωФ)そ「ッ!!」


力づくで止めようと立ち上がりかけたロマは、叢雲の叱咤によって硬直する
見られたらマズいか?構うものか、百聞は一見に如かずだ
顔を覆うマスクの縁に両手の親指を突っ込み、引き剥がした


(゚、゚;トソン《ヒッ……!!》


口元を咄嗟に手で覆っていたが、抑えきれない短い悲鳴は質の良いマイクがしっかりと拾い、俺の耳にも届いた


彡;(゚)(゚)「なん、や……それ……」


久方ぶりに人目に曝した自分の素顔。歯を剥き出しにして笑い、お道化て見せた


「じゃじゃ〜ん」


『大火傷』によって焼け爛れた、余りにも醜い顔面で
32 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:07:44.99 ID:f6oSF7N00
「なんだ、ご存じなかったのか?伊達や酔狂で年がら年中マスクを着けてると思ってたのか?冗談じゃねえ」

「デッドプールだって金玉の裏みてーな顔面がコンプレックスでマスクヒーローやってんだ。俺もそれに倣っただけだ」

(゚、゚;トソン《……スギウラ准将、聞いておられるのでしょう?これは一体……?》

(;ФωФ)「……」

(゚、゚;トソン《准将!!》

「言えねーんだとさ。まぁいい、掻い摘んで話してやるよ」


マスクを再び被る。あんまり長い時間外気に晒していると、激しい痒みに襲われる
耐え切れず掻き毟ると肌が裂けて血みどろになる。だから寝ている時も必須だ。顔を洗い、軟膏でケアをする僅かな時間しか外さない


( T)「海軍のお偉いさんを名乗るどっかのオッサンが、海自やめてプラプラしてた俺を拉致して何かしらを施し……」

( T)「気づけば顔面を丸焦げにされ、この鎮守府に叢雲と二人放り出された。当時はまだ『地獄の鎮守府』と呼ばれていた、曰くつきの場所にな」

(゚、゚;トソン《……ミナミから聞いています。着任した提督、艦娘が悉く不審死を遂げる呪われた場所であると》

( T)「なぁ、どう思うよ?顔面を丸焦げにされ、挙句の果てには『ここで提督をやれ』だ。ガンジーでも助走つけてぶん殴るレベルの話だろ?」

( T)「だが俺は従うしかなかった。隣にいる叢雲に『首輪』が着けられていたからな。アクション映画でよくある奴さ。『逆らえばドカン』」

叢雲「お陰様で今日まで元気に過ごせたわ」

( T)「そいつぁ結構。まぁ、ロマがそれなりに権力を握った頃には外してもらったがな」

(;ФωФ)「う、うむ……」

( T)「今となっちゃ提督業も悪かねえし、それなりに楽しくやれてる。だが奴らは一向に説明しようとはしねえ。俺の顔面がこうなった原因を」

(゚、゚;トソン《……ミナミはご存知なのですか?》

彡;(゚)(゚)「ワイかて初めて知ったわ……どういう事やロマ助?」

(;ФωФ)「……」

( T)「な?硫黄島で共に血と汗を流した戦友が、このダンマリだ。信用しようたってどだい無理な話なんだよ」
33 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:09:27.57 ID:f6oSF7N00
(゚、゚;トソン《なら、尚更アメリカに来るべきです!!研究チームを派遣し、原因究明を》

( T)「いや、もういい。既に見切りはつけてある。大本営がダンマリを決め込むってんなら、こっちもそれなりに距離を置こうってな」

( T)「だからこそ孤立し、海軍内でも正当な評価は付けられてない。お偉いさん方は小難しい言葉ならべてこう言うよ。『軍人だろ?国と人を守るために黙って従え!!』」

( T)「俺はいつもこう返事をする。『嫌なこった。喉にクソ詰まらせて死ね』と」

彡;(゚)(゚)「オタクの叢雲の口が悪い原因がよーわかるわ」

(゚、゚;トソン《ですが……》

( T)「まだ納得いかないか?良いだろう。一つ一つ『アメリカに行かない理由』を教えてやる」


新しいタバコを咥える。マスク着けたままどうやってタバコ吸ったり飯食ったり出来るのかって?
よく聞かれるけど俺もわからん。そういう仕組みなんやろ。メイドインジャパンだからなんかこう凄いんやろ


( T)「まず一つ目は、独立遊軍としての強みが死んじまう事だ」

(゚、゚;トソン《此方でも同等の働きを》

( T)「話は最後まで聞けババア」

Σ(゚、゚;トソン《ババ……!?》

( T)「俺の言う独立遊軍ってのは、指揮官や国に左右されない『自由』な兵力を指す」

( T)「何処が攻められようが、その時最も重要なポイントに身を置ける立場であり続けなければならない」

(゚、゚;トソン《米軍では、それが成せないと?》

( T)「准将なんて階級貰っちまったら、部隊率いる責任が生じるだろが。そんなもん引きずったまま自由に動けるかボケ」

(゚、゚;トソン《く……で、では、ヨーロッパ奪還はどうするおつもりで?》

( T)「そんときゃいつも通り、そこのクソメガネに着いて暴れ回ってやるよ」

( ФωФ)「誰がクソメガネだ」
34 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:11:23.92 ID:f6oSF7N00
(゚、゚;トソン《海軍を信用していないと言いながら、彼には従うのですか?》

( T)「ああ信用はしてねえよ。だが利害は一致してる。『深海棲艦を一匹残らずぶち殺す』、この点だけは俺もアンタらも同じだ」

( T)「独立部隊として海軍に嫌々身を置いてるのは、それが最も手早く、有効な手段であるから。従ってるんじゃなく、対等な協力関係とでも思え」

(゚、゚;トソン「……それは、あなた方艦娘の総意ですか?叢雲さん」

叢雲「ええ、当然」


叢雲は既に畏まった態度を解き、ソファーに深く座って足を組んでいる
缶コーヒーを傾け、リラックスした姿勢だ。大統領及び海軍総司令に対して、こんな不躾な態度を見せる艦娘はウチの連中くらいだろう


叢雲「国も人間も私たちにとってはクソどうでもいい。生娘のように目を輝かせながら、使命感や義務に燃える時期なんてとうに過ぎてるの」

叢雲「私たちが連中を殺すのはね、楽しくて楽しくて仕方がないから。この司令官の指揮下にいるのは、その欲望を肯定して一緒に『楽しんでくれる』から」

(゚、゚;トソン《……》

叢雲「私は言ったわよね?『悪評の半分は事実』だと。これがその理由よ、大統領閣下?」


人間ってのは不思議なもんで、世に災いをもたらすバケモノを『ただ楽しみながら殺している』だけで苦言を漏らす
『民間人に必要以上の恐怖を与えるな』だの『人類としての品位を貶める行為だ』だのと、好き勝手に言ってくれる
馬鹿馬鹿しい、泣こうが笑おうがやってることは変わらない。『殺し』だ。正義も品位もクソもあるか。そう返すと連中は決まって


(゚−゚;トソン《……》


こんな風に、息苦しそうな顔をする
35 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:12:21.36 ID:f6oSF7N00
( T)「さて、二つ目だが」

彡;(゚)(゚)「もうやめたれや……」

( T)「うるせえ。両成敗で良いんじゃないじゃ済まねえんだよこっちは」

彡;(゚)(゚)「川谷健太」


そろそろゲス極のレパートリーも無くなってきた


( T)「艦娘の育成に期待してるようだが、恐らく成果は発揮できない」

(゚、゚;トソン《……》


最早、口も開こうとはしないか。楽で助かる


( T)「ウチの練度がズバ抜けてる理由は二つ。人数と時間だ」

( T)「一応、ここは警備府より規模のデカい『鎮守府』として扱われているが、艦娘の人数は余所と比べて控えめだ」

( T)「だからこそ一人当たりの訓練をより濃密に、集中的に行える。着任して一か月は俺と一緒に基礎体力作りだ」


( T)「……」


(T )「叢雲、これって教えて良い情報?」

叢雲「良いんじゃない?艦娘より体力のある人間なんてこの世に数えるほどしかいないだろうし」

(゚、゚;トソン《一緒にとは、まさか貴方も艦娘と同じトレーニングメニューを熟すのですか?》

( T)「うん。最初の一週間くらいは先に向こうがバテて終わる」

(゚、゚;トソン《えっ、あの、建造されたての艦娘でもトップアスリートの数倍の基礎体力がある筈なのですが……?》

( T)「大したことねえな。続けても?」

(゚、゚;トソン《……もう一つ。貴方までトレーニングをする必要があるのでしょうか?》

( T)「だって半分は趣味だし」

(゚、゚;トソン《》
36 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:15:12.39 ID:f6oSF7N00
( T)「まぁー……ここに来る連中は『人間』に反発抱いてる奴も結構いるから、それを煽って対抗心に変換させる狙いもあるな」

( T)「で、使った体力分、しっかり休ませる。食って寝て遊んで、また訓練。これを繰り返す」

( T)「目的は練度の向上だけじゃない。『心身ともに充実にして健康』、これが理想だ。だから時間が必要なんだよ」

叢雲「上層部からの出撃命令に従う義務がないウチだからこそできるサイクルね。さて、私からも質問よ大統領」

(゚、゚;トソン《何か?》

叢雲「ヨーロッパ奪還で急を要す連合海軍が、こんな悠長に時間を掛ける訓練方法を二つ返事で容認するかしら?」

(-、-;トソン《……一蹴されて終わりでしょうね》

叢雲「あらあら、それでよく『指導力に期待する』と吐けたものね?」

(゚、-;トソン《ぐ……》

( T)「いや、大多数の練兵も出来ないワケじゃねえ。だが提案が遅すぎた。時間と戦況の余裕さえあればちょっとはマシな戦力にしてやれたが」

( T)「既に深海クソ棲艦の手は首元にまで伸びてる。連中はレベリングの時間を待っちゃくれねえよ。残念ながらな」


まぁ早期に依頼されたからと言って必ずしも稽古付けてやるってワケじゃないが


( T)「もう一つ残念なお知らせだ」

(゚、゚;トソン《まだあるのですか……?》

( T)「遠慮するなたっぷり楽しめ。人数と時間、この条件が整っていたとしても『普通』の艦娘がご要望の強さにまで成ることはまず無い」

( T)「精々、表向きは日本国内最強艦隊と言われる青ヶ島鎮守府程度のレベルに留まるだろうな。ああ、いや、勘違いするな。アレはアレで上等だよ。八頭とかいう指揮官は良い腕をしている」


クソメガネが作戦立案をした『イツクシマ作戦』に置いて主導艦娘部隊を率いた『八頭進』とその配下
陰湿かつ横暴で、悪魔超人もビックリな冷酷さを持つロマが称賛したその実力は、俺も叢雲も認めている
だがそれは『一般』レベルの上限に留まっているのだ。普通の艦娘が普通に鍛えた、その限界を体現している
37 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:17:25.59 ID:f6oSF7N00
( T)「戦う理由として挙げられる『人』『国』『大儀』『正義』……これらは全て他者やそれに準ずるモノへの奉仕だ」

(゚、゚;トソン《何も間違ってはいないでしょう?それが我々と深海棲艦との違いではないですか!!》

( T)「そこに拘っているから、強さの限界が定まっちまう。大層ご立派な精神だが、俺に言わせりゃただの『枷』だ。家族でもなんでもねえ見ず知らずの人間に命を懸け続けるなんざしんど過ぎる」

( T)「間違ってるとは言わねえよ。戦争なんてこの世で一番狂った行いだ。殺しをする大義名分がなきゃ兵士なんてすぐに潰れちまうだろうよ」


だが、だからこそ


( T)「大義名分を捨て、戦争に順応する為に俺は『戦いを楽しめ』と教育を施す」

( T)「『好きこそ物の上手なれ』だ。ゲームと一緒で楽しいからのめり込める。他者の幸せの為でなく、自己満足の為に鍛える。楽しさに上限はないからな」

(゚、゚;トソン《ッ……そんな、あえて戦闘狂を作り上げていると!?》

( T)「いや元からバグってる奴も結構いるけど……?」

(;ФωФ)「頭痛い」

(゚、゚;トソン《人道に反します!!貴方は、艦娘をなんだと……!!》


叢雲「くっ……あはははははは!!」


急に腹を抱えて笑い出した叢雲の姿を見て、画面越しでも伝わるほど大統領の顔が青ざめていく
奴さんもようやく、会話をしている相手の異常性に気が付いたようだ。一般的視点から見て、だが


叢雲「人道?片腹痛いわ!!最初に私たちを『兵器』扱いしたのは他でもない政治家のアンタらよ?」

叢雲「今更善人ぶって、個人的な感傷で私の司令官を責めるのはお門違いなんじゃなくて?」

:( 、 ;トソン:《……》
38 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:19:53.28 ID:f6oSF7N00
ご勝手な連中だ。この期に及んでモノを殺す『兵器』と決めつけた艦娘に道徳を重んじることを求めていやがるとは
この世の大多数が好むお綺麗な精神と行動は、我々人類と深海棲艦との違いと、大統領閣下は仰った
ああ、間違っちゃいない。その通りだ。だから人間は存亡の瀬戸際にまで追い込まれている

だったら、今一度ハッキリ教えてやろう


( T)「深海のクソ共が過去に類を見ない犠牲者数を叩き出せたのは何故か?それはな、『良心』っつータガが無いからだ」

( T)「連中に善悪という概念があるかどうかは知らないが、殺す行為そのものに快感を覚えているのは確かだ。それは間違いなく『悪』という性質そのものだ」

( T)「要は『楽しんだもん勝ち』。そこには責任も義務も生じない。『守れなければ他人が死ぬ』『勝たなければ国が亡びる』、そんな重たい憂いもない」


『正義は勝つ』、世界中に轟くテンプレートがある。間違っているとは言わないし、信じないと否定もしない
だが俺はあえてこう返そう。その言葉を頑なに信じ、殉じて逝く連中に向けて


( T)「『悪は強い』。自分勝手で、自己中心的で、欲望に忠実な奴こそ、最も『強さ』ってモンに近いんだよ」


『ドン』と、力強く机を叩く音がインカムから聞こえた
向かいの男二人がビクリと体を跳ねさせる。笑うからやめろ


:(゚、゚#トソン:《……報いを、受けますよ……!!》


音を放った張本人は、今度は顔を真っ赤に染め上げ絞り出すような声を出した


叢雲「想像と違ったからって怒らないでくれない?幼稚で恥ずかしいから」

(゚皿゚#トソン《……》


画面越しに噛みついてきそうな形相だ。隣の副司令艦はまたもクスリと笑い
『最高の肴だ』と言わんばかりに、美味そうに缶を傾ける。これが酒ならさぞかし上機嫌だっただろう。常にこうならいいのに
39 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:20:41.09 ID:f6oSF7N00
( T)「あー……もういいだろ。後は細々としたしょうもない理由だ。時間の無駄だぜ?」


あくまで『善意』で会談の終了を申し出たが、怒りで染まる瞳には諦めの色が無い


(゚、゚#トソン《いいえ。非常に不本意かつ不愉快ですが、まだ納得していません》

彡;(゚)(゚)「いやもうええやろ……ワイが言うのもなんやけど想像以上にエグい連中やでこいつら」

(゚Д゚#トソン《口を挟むなミナミィ!!!!!》

彡;(゚)(゚)「アッハイ」


どこの国でもキレた女ってのは手がつけられねえな
40 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:23:09.07 ID:f6oSF7N00
(-、-#トソン《フーッ、フー……失礼しました……》


それでもやはり大統領。ヒステリックを引きずるような真似はしない
息を整え水を飲み、落ち着きを取り戻していく。このまま喚き散らされたら一方的に終わらせちまう所だった


(゚、゚トソン《フゥー……最後に、お聞かせ願えますでしょうか?》

( T)「何をだよ」

(゚、゚トソン《『国籍及び市民権の譲渡』。あなた方の空気が一変したのは、この取引報酬を伝えてからでした》

( T)「……」

(゚、゚トソン《艦娘を『兵器』という扱いに分類したのは、ええ、間違いなく我々政治家です。それが彼女達にどんな苦悩をもたらすのかも、重々承知しています》

叢雲「……チッ」

(゚、゚トソン《だからこそ、『兵器』から『人』として生きる権利の譲渡は、その苦悩を取り除く第一歩としての試みでした。だけど、それを真っ向から突っぱねた》

(゚、゚トソン《今更どんな言葉や報酬を並べたって、提示した答えは変わらないのでしょう。だったら、今後の取り組みの為に教えて戴きたい》

(゚、゚トソン《一体、何が気に食わなかったのかを》


( T)「……」

叢雲「……」


『苦悩』、簡単に言ってくれる。俺が目にしたものは、そんな二文字で済むようなもんじゃない
人間という生き物が、ゴミに思えるほどの惨状だ。気になると言うのなら、良いだろう。聞かせてやる
41 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:25:11.36 ID:f6oSF7N00
( T)「兵器に限らず、創造物……まぁロボットでもプログラムでも何でもいい。それに『意思』を持たせることは是か非かってのは、昔から大きなテーマになってる」

( T)「元はと言えば人間社会を豊かにする『物』だ。黙って従ってくれんのが一番だろうが、世の夢見る天才はその上を目指す」

( T)「例えば、人間と変わらぬ感情を持ち楽しくお喋り出来るロボットや、常に有益な判断を下し続ける人工知能なんかだな。世の中が便利で楽しくなるだろうよ」

( T)「だが、ターミネーターを代表した娯楽作品のように、そこには一定の危険が付きまとう。『人間に謀反を起こす』可能性だ」


大統領は『こいつは何を言っている?』と怪訝な表情を浮かべたが、構わず続けた


( T)「まぁ人工知能なんざ当分完成しねーだろうし、お茶の間を盛り上げるSF設定の一つくらいにしか認知されてないだろう。だが艦娘はどうだ?」


造られた存在でありながら、血の通う一つの生命体
感情と知能を持ち、自己判断が可能で、艤装を背負わなければ人間と殆ど変わらない存在


( T)「見ての通りこいつらには喜怒哀楽がある。艤装の性能も付け加えりゃ、人間が生み出した最高傑作だと言っても過言じゃあねえ」

( T)「だがアンタらはあろうことか、人として扱うより先に兵器と言う『モノ』として扱った。それが何を意味するか」


第一条。艦娘は人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条。艦娘は人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条。艦娘は、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己を守らなければならない。

この、『艦娘三原則』が最たるものだ。小難しい言葉で飾り立てられているが、早い話が『何があろうと人間に逆らうな』


( T)「人間は完璧じゃない。どの生物よりも欲望に忠実で、過去の過ちを度々繰り返す救えない存在だ」

( T)「艦娘に携わる全員がその類たぁ言わねえ。だが、アンタらが頑なに信じてやまない人間の『善性』なんてもんはな、風が吹けば飛んでいく位の頼りねえモンだ」

( T)「結果として発生してしまったのが、無謀な特攻命令や、性的暴行。更には口にするのも憚られる事件の数々」


昔と比べ制度が定まり、発生数こそ減少傾向にあるが
それでも艦娘に対する過剰なまでの虐待は後を絶たない。世界一の艦娘保有国である日本だからこそ起こり得る現象だ
42 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:27:29.43 ID:f6oSF7N00
( T)「艦娘は何やっても許してくれる体のいい生きたサンドバッグじゃねえ。人間に対する恐怖や憎しみを抱くようになっちまう」

( T)「その先にあるのは、娯楽作品内でしか無かったような『兵器』の謀反だ」

(゚、゚;トソン《ですからそれを起こさぬ為の》

(#T)「あったんだろ!!数年前から頭の片隅にその可能性が!!!!」

Σ(゚、゚;トソン《ッ!!》


今度は、俺が声を荒げる番だった


(#T)「国籍!?市民権!?人として生きる権利!?そんなもんは艦娘が産まれたその瞬間には与えるべきだった『大前提』だ!!」

(#T)「俺らがキレたのはその大前提を分かりやすい餌として差し出した、テメーの浅はかさにだ!!」

(#T)「俺ァテメーら政治家や軍の上層部のように利口じゃあねえ!!こいつらを兵器と分類したのには政治的観点や国際社会や世論やらクソッタレな理由があるんだろうよ!!」

(#T)「だがあえてこう言わせてもらう!!提督として、艦娘の保護者として、一人の人間として!!お前らには……」




(#T)「人としての『情』ってもんがねえのか!!!!!!」




43 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:28:52.87 ID:f6oSF7N00
(゚、゚;トソン《……》


トソン=カーヴィルは反論をしようとしたのか、口を金魚のようにパクつかせたが
そこから漏れたのは声ではなく、浅く早い呼吸の音だけだった


彡(-)(-)「……」


相対して日本のトップである南慈英は目を瞑り沈黙を保った


叢雲「司令官」


叢雲に袖を引かれて、俺は初めて身を乗り出していたことに気づく
つい熱くなっちまった。改めてソファーに深く座り、背もたれに身を預け天井を見上げる


( T)「ハァー……つまり俺が言いたいのは、最初っから艦娘を人間扱いしてりゃ、身に抱える爆弾のサイズを小さく出来たってこったよ」

( T)「それと、具体的な法案すら決まってねーのに市民権だけポンと渡されても差別の的だ。後ろ指刺されながら人権を得るよりバケモン扱いされながらでも楽しく生きた方が億倍はマシだってこった」


可能性はゼロには出来ない。だが、今よりかはよっぽどマシだったろう
おフランスを始めとした、歴史上で人類が多々起こした『革命』の原因。色々あるだろうが大々的に見りゃ市民への圧力に尽きる
俺が長年抱いてた懸念は、正にその繰り返しだった。本当に人間ってのは過去から学ばねえバカ共だ


( T)「叢雲、艦娘代表として言いたいことはあるか?」

叢雲「そうね……じゃあ遠慮なく」


『きっと俺以上にエグい事言うんだろうな』。そんな予感はしたが、面白そうなんで放っておいた
44 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:30:17.28 ID:f6oSF7N00
叢雲「アンタ方が今の今までこの問題に着手しなかったのは……まぁ、海軍の末席にいる私達には知る由もない理由があったのでしょうね」

叢雲「だけど、その間にも人間に不満を持つ艦娘は着実に増え続けている。確か、時雨達がムルマンスクで出会った『Верный』もその類だったのよね?」

( T)「正確には海軍に、だけどな。まぁ大した違いはねえさ。どちらもクソだ」

叢雲「それもそうね。不満ってのは膨らんでいく風船よ。今はどれほどの大きさになっているのかはわからないけども……」


叢雲はコーヒーを飲み干すと、『スチール缶』を両手で挟み込み


叢雲「私達なら、いつでも破裂させられることが出来る」


紙でも丸めるかのように、ぐしゃりと握りつぶした


(゚、゚;トソン《っ……全員が全員、どうだとは限らないでしょう。私は彼女達や、それを率いる人間の正しさを信じています》

叢雲「この期に及んでまだそんな甘い事が言えるのは大したものね。そう、確かに謀反の規模としては小さいかもしれない……」


片手に収まるほどにまで小さくなった空き缶を、更に握りつぶしていく


叢雲「でもね、例えば……共通の敵である深海棲艦の勝利が確定した瞬間、『正しさ』の支えとしていた守るべきものが失われた瞬間ってのは」

叢雲「これまで良い子を演じていた小娘が掌を返すには十分な衝撃でしょうね」

(゚、゚;トソン《そんな最悪の結末をっ……!!》


ああやっぱりエグい事を言ってらぁ。お相手もそれに気が付いたらしい


(゚、゚;トソン《最悪の、結末を……引き起こせると言うのですか?》

叢雲「ええ」


『なんてことはない』と軽い口調で返し、コインサイズにまで小さくなった空き缶だったものを親指で弾く
クルクルと回転しながら放物線を描いていくその金属片は、執務室のゴミ箱へ寸分違わず着地した。分別しろよ
45 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:31:51.57 ID:f6oSF7N00
(゚、゚;トソン《夢物語もいい加減にしてください!!いくらあなた方が最強だと言っても、四、五十名程度の少数戦力ではないですか!!》

(゚、゚;トソン《そのような寡兵で世界を相手取るつもりなんですか!?ハハッ、馬鹿馬鹿しい!!冗談もほどほどに……》


大統領の言葉を遮ったのは、意外にも


( ФωФ)「お言葉ですが大統領」


このメンバーの中で最も戦略に明るい者だった


( ФωФ)「冗談でも誇張でもなんでもなく、こやつらはその気になれば世界を滅ぼせます」

(゚、゚;トソン《准将、貴方まで!!何のために手綱を握らせていると思っているのですか!!》


おい今本音出たぞ大統領


叢雲「確かに、私たちが強いと言っても物量で攻められたら幾ばくもせず全滅するでしょうね。ただし、それなりの道連れを伴って」

叢雲「だけど向かってくる全員をぶち殺す必要なんてない。この国に一つでも穴を開ければ十分。では司令官殿?」

( T)「なんだ副司令艦殿?」

叢雲「お好きな拠点を一つ」

( T)「あー……横須賀司令府」

叢雲「私らに死ねと?」

( T)「じゃあもう青ヶ島でいいよ」

叢雲「ふむ、妥当ね。イツクシマ作戦の成功で国内外に名が売れてるし、ここを潰したら大混乱は免れないわ」
46 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:33:28.50 ID:f6oSF7N00
叢雲の言う『穴』とは、日本の主要防衛拠点を潰すことだ
青ヶ島を始め、南鳥島、八丈島、硫黄島等。離島に設置された鎮守府とその勢力は、世界一の艦娘保有国である日本を守る重要な盾
特に青ヶ島は艦娘戦力がウチのたった二倍程度なので、落とすにはさほど苦労しない……はず……多分……

提督が有能で、配下の艦娘達が精鋭だとしても、所詮規格内の連中だ
指揮官が誠実の塊なら、尚更やりやすい。『お味方』に銃口を向ける躊躇いは避けられないだろう


叢雲「ではロマさん?青ヶ島とウチが全力でぶつかったら、どっちが先にくたばるかしら?」

(;ФωФ)「貴様こんな答え辛い……」

叢雲「直感で良いからサッサと答えて」

(;ФωФ)「……青ヶ島だ」


やや躊躇いがあったものの、軍配は此方へ下った


(゚、゚;トソン《准将、ふざけないでください!!》

(;ФωФ)「誠に遺憾ながら真実であります大統領。拠点の破壊のみを目的とした場合、こやつらはそれを成す。『成し得てしまう』」


俺らの手綱を握っている『らしい』海軍准将殿の言葉は、叢雲のそれよりも深く刺さったようで
反論の言葉を探すかのように口を開いては閉じ、結局出てきたのは


(゚、゚;トソン《……詳細を》


の三文字だけであった
47 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:35:59.89 ID:f6oSF7N00
(;ФωФ)「青ヶ島は確かに日本国内で屈指の実力を持つ鎮守府です。だが既に『次元が違う』」

(;ФωФ)「こやつらの戦は理屈ではない。異常とも言える練度に狂気とも呼べる高すぎる士気、嬉々として殺しを行う姿は正に獣」

(;ФωФ)「策も包囲網もただの『力技』だけで破り、目標の喉元を食いちぎる力を持っている」


ロマは息苦しそうに、襟を指でグイと引っ張った
恐らく、奴の脳裏には炎に包まれる青ヶ島が浮かんでいるのだろう


(;ФωФ)「更に厄介な事に、こやつらは艦娘です。深海棲艦とはワケが違う。何かと理由を付けて青ヶ島に近づくなど容易い」

(;ФωФ)「懐に潜り込んだ所で口火を切られれば、援軍到着前にはカタを着けられるでしょう」

叢雲「海上戦なら、もうちょっと粘られるでしょうけどね。ただ、島に上がってしまえば直ぐに終わらせられるわ」


ベルリンでの一件のように、至近距離からの一撃は深海棲艦にとって致命的なダメージとなる。それは逆に艦娘にも言える
こちとら白兵戦最強軍団の自負があるのだ。夕立一人放り込むだけで青ヶ島は血で染まるだろう


叢雲「で、青ヶ島を潰せばその後どうなるのかしら?」

(;ФωФ)「防衛網の穴を突き、深海棲艦の大艦隊が領海内へ侵攻。そのまま物量で押し切られ……」


お手上げだ。と両手を浮かべる


(;ФωФ)「早かれ遅かれ日本は詰み。だ」


日本は世界最大の艦娘保有国。連中は千載一遇の好機に手を抜きはしない
それこそベルリンを超える大艦隊を用いて、全力で潰しに来るだろう。ではその先は?


叢雲「深海棲艦と唯一対抗しいれる貴重な戦力供給源を失えば、後はもう『ポテトチップスとアイスクリーム』を楽しむしか無いわよねぇ……」


余命幾ばくかの重病患者に掛けられる言葉だ。『最後の時間を好きなように過ごせ』の意がある
多少の抵抗はするのだろう。だが反撃の要を失い、受け身しか出来なくなった戦争など長くは続かない

それはそうとポテチ食べたい。ハロウィン用だけどいいや食べちゃおう
48 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:37:12.94 ID:f6oSF7N00
( T)「ちょっとゴメン」ガタッ

彡;(゚)(゚)「おいおいどこ行くねん」

( T)「いや……お菓子取りに?」

(;ФωФ)「後にしろバカが」

( T)「いやもう終わりでいいだろ……見ろよ死にそうな顔してんぜ?」


PCをひっくり返し、戸棚に仕舞ってあるお菓子を取りに行く
深海魚みたいな顔した首相は、なんか可哀想な物を見る目をしていた。多分、普段より十歳は老いたのだろう
ババアに拍車を掛けてしまったか。悪い事をしたな


叢雲「わかった?アンタが手を出そうとした鎮守府が、どんな場所なのかを」

( T)「よいしょっ」ガバッ

叢雲「私たちはいつでも、シカゴ大学にある『時計』の針をゼロに指し向けることが出来る」

( T)「うんうん」バリバリ

叢雲「アンタ達に出来るのは、顔色を窺いながらご機嫌を取る事だけ。私達が上機嫌である限り、其方側に付いて暴れ回ってやるわ」

( T)「そうそう」バリバリッ



叢雲「食うのやめろ」

( T)「はい」



49 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:38:46.78 ID:f6oSF7N00
( 、 ;トソン《……わかり、ました》


威勢の良さはすっかり消え失せ、がっくりと項垂れている
手に入れようとした戦力に、まさか脅しをかけられるとは思ってもいなかったのだろう
浅ましい魂胆と的外れな餌をぶら下げた結果だ。精々重く受け止めてろ


( 、 ;トソン《今回は……いえ、以後このような勧誘は行わないでしょう。我々の手には余りますので》

彡(゚)(゚)「遠慮せんでええやで。これやとアンタただボロカスに言われただけで得たもんないやんけ」

( T)「マゾなんだろ」

彡(゚)(゚)「草」

( ФωФ)「お前らちょっと黙れ」


首相はともかく俺に向かって黙れとはなんだこの野郎


(゚、゚トソン《いえ、収穫はありました。ミナミ、貴方の提案に付加価値がついた》

彡(゚)(゚)「おっ、そりゃ何よりやな」

(゚、゚トソン《ええ。後は頼みましたよ》

( T)「なんか酷いことされそう……大人ってこわい……」


最後に、大統領は日本式の頭を下げる礼をして


(゚、゚トソン《お時間を取らせ、申し訳ありませんでした。今後ますますのご活躍を期待しています》


お祈りメールの定型文みてーな挨拶をした


( T)「ああ、そっちもな」

叢雲「大変有意義な時間でしたわアメリカのクソババア大統領閣下。悔し泣きで枕を濡らす様をお目に掛けられないのが残念でなりません」


鬼かよこいつ
50 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:40:40.29 ID:f6oSF7N00
通信は八つ当たりのように、それでいて逃げるかのように切断された


( T)「お疲れ」

叢雲「アンタもね」


ポテチの袋をねぎらい代わりに差し出すと、ごそっと鷲掴みにして口に入れtああもう溢してる溢してる雑かお前


(;ФωФ)「やってくれたな貴様ら……」

( T)「ピリピリすんなよ更年期障害か?」

( ФωФ)「まだギリギリアラサーだボケ」

( T)「老け顔だからわかんなかったわ」

( ФωФ)「誰かさんの所為で絶賛ストレスフルだからな」

( T)「マジかよ部下の管理能力ゼロじゃね?使えねえ中間管理職だな」

( ФωФ)「あ?」

( T)「は?」

彡(゚)(゚)「ほっといたらいつまでもやってそうやなお前ら」

( T)「こちとらいきなり大統領閣下と会談したんだぞ?文句の一つくらい言わせろ」

彡(゚)(゚)「会うてから文句しか言ってへんけどな?」

( T)「つーかこうなることはわかってただろうがロマ。なんでわざわざ無駄な時間を使わせた?」

( ФωФ)「フン、それはだな……」


叢雲「牽制と誇示、でしょう?」


口の端に付いたポテチのカスを舐めとり、手を払った叢雲が応える
手についた油をソファーで拭かれる前にウエットティッシュを投げ渡す
疲れてるからってやることなすこと適当過ぎる。鬼の副司令の姿どこ行った
51 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:44:06.53 ID:f6oSF7N00
叢雲「ヨーロッパ奪還を理由にウチをアメリカ勢力に取り込みたいババアに条件を提示して、『交渉の場』だけを用意した」

叢雲「司令官の性格上、断ることは確定してるから此方の懐は痛まない。実質コスト無しで条件だけを飲ませられる」

叢雲「その上で啖呵の一つでも飛ばしてくれたら上等……日本国内に置ける絶対無二の攻撃力は今後とも手元から離れないと伝える。本人の、口からね」


ウエットティッシュで口と手を拭いた叢雲は、クシャクシャに丸めてゴミ箱へと投げる
今度は重量が足りず、中間あたりの位置で墜落した。さっきから散らかしまくりかよ


叢雲「って、算段があったんじゃない?」

( ФωФ)「う、うむ……」

彡(゚)(゚)「凄いなこの嬢ちゃんお見通しやんけ」

叢雲「ま、この結果は想定の範囲外だったみたいだけれど。ヤりすぎちゃった?ごめんなさいね」


そう言ってチラリと舌を出す。一見可愛げのある仕草だがどう見ても悪意の塊だった


(;ФωФ)「余計なことまでベラベラベラベラと……そこのバカはともかく、貴様なら海軍内での立場が更に悪くなると予測できたろうに」

叢雲「私はね、腹に一物抱えてすり寄ってくる舐め腐った連中に猫被るような真似はしないのよ?」

叢雲「それで首相閣下?私たちを便所のネズミもゲロを吐くような利権争いに巻き込んだ代償は如何ほど支払ってくれるのかしら?」


腕と足を組み、向かいの男共を見下すような視線は完全に大物マフィアのそれだった
そういやこの深海魚、総理大臣だった。やべぇ、国を相手にした裏取引じゃん。しかも見た感じこっちが強請る側じゃん


彡(゚)(゚)「お気に召すかわからんがな、ホイこれ」


しかし首相は一片も臆することなく、鞄から資料を取り出しテーブルに滑らせた
52 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:45:39.21 ID:f6oSF7N00
叢雲「ふざけた内容だったら身の振り方を考えておくこと……」


資料を手に取り、目を通した叢雲の口が止まった。そのまま、手早く読み進めていく


( T)「?」バリィ

叢雲「食うな」

( T)「理不尽じゃね?」

叢雲「……」

彡(゚)(゚)「どや?」

叢雲「……御見それしたわ」


( T)「えっ」

( ФωФ)「えっ」

( T)「えっ?」

( ФωФ)「えっ?」


彡(゚)(゚)「なんやねんその反応」


( T)「いや……叢雲が人間を、それも政治家褒めるなんて今まで無かったし……」

( ФωФ)「何かしらの穴を見つけて罵倒するとてっきり……」

彡(゚)(゚)「おどれら普段どんだけボロクソにされてんねんや」

叢雲「司令官」


読み終えたであろう資料を受け取り、俺も目を通す


( T)「……ああ、なるほど」


叢雲が手放しで称賛した理由は、その資料を読んで一発で理解できた
会談の終わり間際、大統領が言っていた『付加価値』とやらにも納得がいく。ここまで全て計算済みでこの場を組んだのだとしたら


( T)「バケモンかよアンタ」


俺達は目の前にいる男の掌の上で、まんまと踊らされていたってワケだ
53 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:48:51.75 ID:f6oSF7N00
彡(゚)(゚)「お褒めに預かり光栄やわバケモン筆頭」

( T)「ハン、よく言うぜ顔面SANチェック案件が」

彡(゚)(゚)「おまいう」


資料に記載されていたのは、艦娘の在り方を根底からひっくり返すとある『法案』だ
これがもし可決したら、人権云々の話も現実味が帯びてくる。アメリカに飲ませた条件も、ある程度の予想が出来る


叢雲「だけど、これだけじゃ足りないわよね?」


その条件が可決要素の一つだとしても、国会で野党連中を納得させなければ意味がない
確か艦娘・鎮守府関連法案は一党一票制が適応されている。現政党の内部事情を鑑みれば、確実にまとまった反対票が挙がるだろう
中には、艦娘三原則を可決まで導いたクソ野郎が党首を務める共栄党もある。サッサと死んでくれないかなっていつも思う


彡(゚)(゚)「そこは、ワイの腕次第やな」


醜悪な顔を更に歪ませた現首相。気持ち悪い顔で笑わせにきたんじゃなくて笑みを浮かべたのだと気づくのに少しの時間を要した
こんな顔面でも、深海棲艦との戦争の中で国力および武力の覇権を維持し続けるド変態鬼畜野郎なのだ。認識を改めなければならないだろう忌々しい


叢雲「そう、多少の期待はしているわ。なんせ、世界の寿命が懸かっているのだからねぇ」

彡(゚)(゚)「またまた。ワイにハッタリは通用せんで嬢ちゃん」


叢雲は一瞬、目を丸くさせると
握り拳を口元に添えてクスクスと笑い始めた


叢雲「あら、気が付いていたの?」

彡(゚)(゚)「『集英社がまともに働いている限り、あの男は我々に反旗を翻さないのである』……やっけ?ロマ助」

( ФωФ)「その通り。漫画家は我々より強力な手綱を握っているのであります」

( T)「俺にとっての神はあそこに集まってるからなぁ。最終回を読み終えるまで世界終わらせてたまるかよ」


結局のところ、世界など滅ぼしても俺たちになんの得もない。精々、多少の気が晴れるだけだ
やはり人生は楽しんでナンボ。俺の魂の財産を築き上げてくれる作家の方々を殺してまで成すべきことではない
大統領の不幸は、世界平和からしてみれば矮小な理由で戦っている俺たちを知らな過ぎたってのに尽きる
54 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:50:44.12 ID:f6oSF7N00
彡(゚)(゚)「案外、俗っぽいんやな兄ちゃん」

( T)「そういうもんじゃねえか?大それたもんより己の幸福の為に戦う方が、命の懸け甲斐があるってもんだろ」


正直な話、大義を理由に戦うなんて狂気の沙汰にしか思えない
『社会の為に』だなんて意気込みを抱き続けながら労働をする人間などいないからだ
美味い飯やのめりこんでいる趣味、快適な家、家族の扶養など、自分自身の目的の為に働くのだ


彡(゚)(゚)「クク、どんな悪鬼かと内心ヒヤヒヤしとったが。中々どうして、気持ちのええ男やないかい」

( T)「きっしょ」

彡(゚)(゚)「前言撤回するわ」


ただまぁ、あえて触れようとはしていないが
世界を滅ぼせるってのは、あながち嘘でもない。恐らく、ロマの言葉を聞いた総理大臣も薄々感づいてはいるのだろう
四年近く。この歳月は諸刃の剣を磨き上げるには十分な時間だった。その間に何らかの制約を付け加えなかったのは

艦娘先進国たる日本の僥倖であり、奇禍でもあるのだろう






( ФωФ)「トリックオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





なんだこいついきなり
55 : ◆L6OaR8HKlk [sage saga]:2017/11/26(日) 22:51:51.53 ID:f6oSF7N00
彡(゚)(゚)「」

叢雲「」


( ФωФ)「オアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッシャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」ダッバァン!!!!!


いきなり奇声を上げ始めたロマは、勢いよく立ち上がり半ば体当たりのように扉を開けて走り出す


(,,;゚Д゚)そ「うおっ!?」

Σ(・∀ ・;)「ハァ!?」

江風「ンああ!?」


そして扉の前で談笑していた三人を押しのけ、そのまま去っていった


彡(゚)(゚)「なんやあいつ……」

( T)「あー……憑かれたっぽいな」

叢雲「突然ね……」


なんか凄い真面目な話を続けていたから遂に気が狂ったのかと思ったが
よくよく考えたらあいつ真面目な話してる方が多いわ。先に俺が狂うわ


彡(゚)(゚)「そんならアレかい?ここじゃよく出るって噂のオバケか?」

( T)「噂っつーか事実かな……これだからシリアス次元からやってきた人間は……」

彡(゚)(゚)「ウッソやろお前wwwwwwwwwwwwwwww」

(,,;゚Д゚)「おい先輩!!ロマさんになにしたんだゴルァ!!」

( T)「いや俺関係ない……何かに憑りつかれたらしい」

(,,;゚Д゚)「またかよクソ!!」

(・∀ ・;)「前にもこんなことあったんスか!?」

( T)「ヒーロー映画でニューヨークが壊滅するくらいの確立かな……」

(・∀ ・;)「ほとんどじゃねーか!!!!!!!」
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