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バットマン「グランド……オーダー?」
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292 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:03:46.42 ID:sSo3P/wF0
トゥーフェイス「どうした、まだウォーミングアップ中か!?」パァンパァン
バットマン「くっ……」バッババッ
マシュ「マスター、下がって……!」
デオン「余所見か、余裕だね!」ヒュンヒュンヒュンッ
マシュ「っ……」ガガッガッ
ジークフリート「ハァッ!」
ファヴニール「グオォォォォォォウル!!」ドォッ
ジークフリート「ちいっ」ダダッ
ワイバーン達「「「シャアッ!!」」」バサバサッ
ジークフリート「この……」
ゲオルギウス(駄目だ、ワイバーンの数が多すぎる! 手が回らない!)ズバッ‼ドシャッ‼
ワイバーンT「ゴアアアアアアア!!!」
ワイバーンU「ギャアアアアアアア!!」
ワイバーンV「ギギアアアアアアア!!」
ゲオルギウス(単純な物量で押し寄せられては……太刀打ちが出来ん!!)
黒ジャンヌ「こっちが押し気味じゃないの! 今のうちに降伏しとけば!?」ガガンッ‼ガインッ‼
ジャンヌ「いいえ、いいえ! 断ります! 世界が焼かれるのを伏せって見ているより、立って戦う事を選ぶ!!」ギィン‼ギャリィン‼
黒ジャンヌ「アンタたちが戦おうと戦うまいと、どうせ世界は焼かれるのよ!
ジャンヌ(わたし)が死ぬのを見捨てた、こんな世界ですら末端に過ぎない! アンタも分かってるでしょう! 私達を倒したところで、根本的な解決には……」ガッギィィィィ‼
ジャンヌ「なら、私の敵は貴女の中の『諦め』です!
世界は腐っていない! 人間は腐った部分だけではない! 必ず光の部分がある! 私はそれを信じます!」ギャギャギャッガァン‼
バットマン(……しかし、このままでは物量負けするのも確かだ。何処かに巻き返しの要素は無いか……)
???「騎兵隊、構えー!!! 突撃!!」
兵士達「「「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」
ジャンヌ「……!! ジル!!」
293 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:05:15.48 ID:sSo3P/wF0
ジル「ワイバーン達はお任せを! 必ず片付けます!」
兵士A「負けてたまるかァァァァァァ!!」
兵士B「押せ、押し切れ!!!」
兵士C「やっちまえええええええ!!!」
マシュ「……皆さん、あの時の……!」
ゲオルギウス「手が空いた! 助太刀に来たぞ!」
マシュ「助かります!」
デオン「ふっ、二対一でも譲る気はないさ!」ヒュォンッ
トゥーフェイス「ハン、こんな戦場に駆り出されるなんざ運の悪い連中だぜ。ひとりずつ、撃ち殺して……」カチャッ
バットマン「……」ヒュッ
トゥーフェイス「おっとぉ!」ザザァッ‼
バットマン「お前の相手は私だ」
トゥーフェイス「大口叩きやがる!」パァン
サンソン「ぐあああああああ!! うぐああああああああ!!」
アマデウス「まだまだ第一楽章だ、倒れられたら困るな! ここからが楽曲の真骨頂さ!」グォォォォン‼
サンソン「ぐ……うグ……」
サンソン(きょ、狂化が……これ以上精神攻撃を受ければ、理性のタガが外れる……)ガクガクガクガク
294 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:06:23.57 ID:sSo3P/wF0
マシュ「やあっ!」ズガッ
デオン「!! くっ」ズサアッ
ゲオルギウス「ここで仕留める……! 『汝は竜、罪ありき!』」
デオン「しまっ……」
ゲオルギウス「『力屠る祝福の剣(アスカロン)』!」ズガガガッ‼
デオン「ぐあっ……っまだだ! 王妃に認められた者として、私はまだ終われない……!
『王家の百合、永遠なれ……』」グググググッ
マシュ「ゲオルギウスさんっ、危ない!」バッ
デオン「『百合の花咲く豪華絢爛(フルール・ド・リス)』!」ギュオオオオオオオオ
マシュ(……っ……力が、入らない……盾を支えていられないほどの脱力……これは、呪い!)
トゥーフェイス「どうやらもうすぐ佳境だな、この戦場も! こっちもそろそろ終わらせるか!?」ブゥン‼
バットマン「うぐっ……」ガッ、ドサァ……
トゥーフェイス「『ジャッジだ』!」
295 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:09:22.33 ID:sSo3P/wF0
マシュはその叫びを聞き、後ろを振り向いた。
彼女のマスターがトゥーフェイスの宝具に縛られ、立ったまま苦悶の表情を浮かべているのを。二面の怪人が懐からコインを取り出すのを。
「テメエの罪はここで決まる。生存か、死刑か。陪審員の皆様はどうぞ静粛に……」
マシュは殆ど考える猶予も無く、ブルースの前に立った。未だデオンの宝具影響下にある彼女は、盾を構えられるほどの力が肢体に籠らない。
だが、それでも、背後に庇ったマスターは、命を懸ける価値があるのだと思えた。覚悟に唇を引き結んだ。
トゥーフェイスは一瞬驚いたような表情になり、すぐにまた、諦めたように冷酷な顔に戻った。
「公平な、裁きの時間だ」
キィン……コインが弾かれ、回転して宙を舞った。
その音は、アマデウスの演奏を切り裂き、サンソンの耳に届いた。サンソンは理性がほぼ消し飛んだ瞳で、それを見た。マスターを庇って立つマシュを。かつて二度処刑した王妃と同じ、真っ白な顔を。
その瞬間、卑怯な自己擁護を繰り返していたサンソンの理性は吹き飛び、ただ、自分は間違っていたのだという、どうしようもなく決定的な結論だけが、彼の剥き出しの心に突き刺さった。気が付けば彼は走り出していた。
トゥーフェイスはコインをキャッチし、掌のそれを見た。そして溜息を吐き、銃を向けた。
「……あばよ、お嬢さん」
二面の怪物は発砲した。
弾丸は真っ直ぐマシュを狙って飛び……飛び込んできた影が、それを受け止めた。サンソンだった。彼の心臓を貫き、弾丸は止まった。
トゥーフェイスは驚いたような表情でそれを見ていた。横からゲオルギウスに斬り付けられ、膝をついた時も、地面に倒れたサンソンをじっと見詰めていた。
「……たち、間違ってたんだ、僕達、間違ってたんだ……トゥーフェイス……トゥーフェイス、僕達、間違ってたんだよ……トゥーフェイス……」
嗚咽混じりの声が漏れる。トゥーフェイスは呆れたように溜め息を吐き、やがて仰向けに倒れた。底抜けの青い空が彼を見下ろしていた。
「……そんな事は、分かってんだよ……」
誰かが呟いた。悪人は、それが自分の口から出た言葉だと気付き、苦笑した。
296 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:11:53.79 ID:sSo3P/wF0
バットマン「……」
マシュ「――デオン、トゥーフェイス、シャルル・アンリ・サンソン。消滅しました」
清姫「ファイヤーーーー!!」ゴゴウッ‼
ヴラド三世「ぐっ……」ボボボボッ
兵士達「「「撃て! ご婦人の援護に回れ!!」」」
ヴラド三世「おのれ……」シュウシュウシュウ
エリザベート「この!! 年増! アイドルは若いのがセンターやるって決まってんの!」ガッゴッガガッ
カーミラ「フン、大人の魅力を知らないなんて可哀想なちんちくりんですこと! 精々吼えてるが良いわ!」ギャンッギャリッギギギギッ‼
兵士達「「「耳栓を用意しろ! 一応、あの大人の方が敵だ!」」」
ファヴニール「グオォォォォォォル……」シュルシュルシュルシュル……
ジークフリート「……言ってなかったが、ここで終わりだ。『邪悪なる竜は失墜し、世界は今落陽に至る。撃ち落とす』……」
ファヴニール「ゴアアアアアアッ!!」ゴゴゴゴゴゥッ‼‼
ジークフリート「――『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!!」ジュゴゴゴゥッ、ズバァァァン‼
ファヴニール「……ゴ……ガ……」ドッサァァァァァン
ジークフリート「……さらばだ、ファヴニール」
297 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/11/30(木) 22:13:33.62 ID:sSo3P/wF0
黒ジャンヌ(趨勢は決まりつつある……このままでは負ける)
黒ジル「ジャンヌ! 一度砦へ撤退を! 新たなサーヴァントを召喚し、立て直しましょう!」
黒ジャンヌ「ジル……ええ、ここからでも十分巻き返せる……聖杯さえあれば!」ダダッ
ジャンヌ「待ちなさ……」
ワイバーン達「「「グギャアアアアアアアアス!!!」」」
ジャンヌ「くっ」
バットマン「ワイバーンを突破し、追うぞ。焦りで足並みを乱すな。このメンバーで突入する」
ジャンヌ「っはい!!」
マシュ「いきます!!」
298 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/11/30(木) 22:16:31.21 ID:sSo3P/wF0
中途半端で申し訳ない。今回の更新はここまでです。
バットマンのスーツ良いですよね。円卓守ってた時のも好きです……
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/30(木) 22:26:30.49 ID:gLtuQvtRo
乙
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/01(金) 13:18:45.12 ID:tqsvSCobo
乙
サンソンとトゥーフェイスの言葉が凄いグッと来た
トゥーフェイスは根っからの悪人じゃなかったもんね…
301 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:17:38.61 ID:9GE5vrzP0
彼女が死んだのは、世界の冷たさゆえである。
両親が死んだのには何の理由も無い。
人の為にと立ち上がった彼女は、人がゆえに殺された。
私の為にと立ち向かった両親は、私が原因で殺された。
だからこそ、私は世界を憎む。世界は何一つ、彼女を顧みなかったのだから。
だからこそ、私は自身を憎む。闇の中で震え、世界を変えられなかった自分を。
302 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:24:11.12 ID:9GE5vrzP0
…………
黒ジル「ファヴニールは滅び、ワイバーンたちもこのままでは……」
黒ジャンヌ「わかっています。新たなサーヴァントを召喚しましょう」
黒ジル「おお! 私が時間稼ぎを受け持ちます、ゆるりと強力なサーヴァントを召喚なされるとよろしい。
そうですね……騎士王などはいかがでしょう?」ニコリ
黒ジャンヌ「……イングランドの騎士が召喚に応じるとは思えませんが。やるだけはやってみます。その間の守りは任せましたよ、ジル」
黒ジル「勿論です。では、行ってくるとしましょう」
黒ジャンヌ「武運を」
………………
バットマン「……砦の門を開く! 突入するぞ!」
マシュ「はい!!」
ジャンヌ「行きます!!」
303 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:31:22.68 ID:9GE5vrzP0
バットマン(……血の匂い。腐敗臭。これは……)
ゾンビ達「「「ぁー……」」」ガチャ、ガチャ
マシュ「くっ……ゾンビ兵です! 死した兵士が魔力によって操られています! それに……あ、足場が悪すぎる……」
ジャンヌ「破壊の痕跡をそのまま城の護りにしている……?」
バットマン「注意しろ、少しの過負荷で崩壊が起こる! フッ!」ガシッドシャア‼
ゾンビA「ぅぁー……」グッタリ
マシュ「ますた……」
ブォンッ
マシュ「!!」ガキィン‼
黒ジル「――おやおや、お久しぶりですな」
マシュ「……!」
304 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:34:46.01 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「ジル……!」
黒ジル「まさかファヴニールを倒し、このオルレアンまで乗り込んでくるとは……」
黒ジル「正直に申し上げまして、感服致しました」
バットマン「……」
黒ジル「しかし! しかしだ! ああ、聖女よ! そしてその仲間たちよ!」
黒ジル「何故私の邪魔をする!?」
黒ジル「私の世界に土足で入り込み、あらゆるモノを踏みにじり、
あまつさえジャンヌ・ダルクを殺そうとするなど!」
305 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:39:58.21 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「……その点に関して、、私はひとつ質問があるのです」
ジャンヌ「ジル・ド・レェ。彼女は本当に、ジャンヌ(わたし)なのですか?」
バットマン(……? ……!!)
黒ジル「……何と、何と何と何と許せぬ暴言!
聖女とて怒りを抱きましょう、聖女とて絶望しましょう!」
黒ジル「あれは、確かにジャンヌ・ダルク。その秘めたる闇の側面そのもの!」
バットマン(……そういう事だったのか。ようやく事のあらましが読めたぞ……)
ジャンヌ「――そうですか。ではいずれにせよ、闇ではない私は彼女と対決しなければ」
黒ジル「ジャンヌ。たとえ貴女といえども……その邪魔はさせませんぞ!」クワッ
ゾンビ達「「「ぁー……」」」ガシャ、ガシャ
マシュ「敵、来ます! マスター!」
バットマン「やるぞ。ここで止める」
マシュ「はい!」
ジャンヌ「ええ!」
306 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 20:53:38.82 ID:9GE5vrzP0
バットマン「フッ!」ドドッ
ゾンビB「あぁー……」バタッ
バットマン「……ハァッ!」ガガガッ
ゾンビC・D「「ぅああぁ……」」ドササッ
バットマン(動きは鈍い……対処は可能。問題は……)
ゾンビB「ぁー……」ムクリ
バットマン(……何度倒しても起き上がって来る。きりがない)
バットマン「……良いだろう」カチャッ、プシュー……
マシュ「やあっ!」ヒュゴッ
黒ジル「ぐぅっ……」ズザザ
ジャンヌ「はあぁっ!!」ブンッ
黒ジル「ぬぐ……まだだ!」ゴオッ
ジャンヌ「しまっ……」
マシュ「危ない!」ガァン‼
黒ジル「チィ……」
黒ジル(この盾の少女……厄介だ。このままでは押し負ける……)
黒ジル「かくなる上は……」
バットマン「……させん!」バッ、バサササササササ……ドドッ‼
307 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:03:00.08 ID:9GE5vrzP0
マシュ「マスター!?」
バットマン「フッ!」ヒュゴッ
黒ジル「チィッ、貴様は何だ!?」ガガッ
バットマン「知る必要は無い」プシュー……ガッ、シュドドッ
黒ジル(なんだ? 床に手をついた時、何かをスプレーした……? いや、それよりもこの巧みな攻め手……!)
黒ジル「何者かは知らないが、所詮は人間! 冒涜され、死ぬが良い!」
バットマン「……マシュ!」
マシュ「は、はい!」
バットマン「押し込め!」
マシュ「……? ……あ! はいっ!」ブォン‼
黒ジル「ぐわあっ!? おのれ、『螺湮城(プレラーティーズ)……』」
バットマン「そこだ……」ポチッ
床「」ドドドドドドォッ、ガラガラガラガラ……
黒ジル「なにっ……」ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ…………
バットマン「……よし、成功した」
ジャンヌ「ゆ、床が爆発して……ジルが落ちて行った……?」
308 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:10:11.50 ID:9GE5vrzP0
バットマン「……アレは爆破ジェル。老朽化が激しかったからこその荒業だ。それと……」シュポッガシッ
ゾンビ達「「「ぁ……」」」
バットマン「……フンッ!」グイイイッ
ゾンビ達「「「ぁぁぁぁぁ……」」」ヒュゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……ゾンビ達も落としておく。あの男、ゾンビ兵からは距離を置いていたからな……恐らく、連中の細かな制御は出来ないんだろう。穴の中で互いに争う事になるハズだ、時間稼ぎにはなる」
マシュ「……は、はい」
バットマン「行くぞ。今の内に竜の魔女を倒す。この奥に居るはずだ、準備は良いか」
マシュ「はい、いつでもいけます!」
ジャンヌ「いけます。いきましょう。私(ジャンヌ)を止めます」
309 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:18:04.24 ID:9GE5vrzP0
……
黒ジャンヌ「……思っていたより、早かったですね。なら、術式を組み替えるしかありませんか――」
ジャンヌ「――“竜の魔女”」
黒ジャンヌ「とうとう、此処まで辿り着いてしまったのですね。
ジルは――まだ生きていますが足止めされましたか」
黒ジャンヌ「まあいいでしょう、こちらも準備は整っています」
バットマン「……始める前に、聞きたい」
黒ジャンヌ「何ですか。今更問いかけなど……」
バットマン「お前は、憎悪を持つ前の生活を覚えているのか?」
黒ジャンヌ「……え?」
ジャンヌ「…………」
310 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:21:55.64 ID:9GE5vrzP0
バットマン「……やはり」
ジャンヌ「えぇ。戦場での記憶がどれほど強烈であろうとも、私はただの田舎娘としての記憶の方が、はるかに多い……」
ジャンヌ「……たとえ私の闇の側面だとしても、あの牧歌的な生活を忘れられるはずがない」
ジャンヌ「いえ、忘れられないからこそ……裏切りや憎悪に絶望し、嘆き、憤怒したはず」
黒ジャンヌ「……私、は……」
ジャンヌ「……記憶が、ないのですね」
バットマン(……やはり、竜の魔女は……)
311 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:26:55.65 ID:9GE5vrzP0
黒ジャンヌ「それが……それが、どうした!」ギリィ
黒ジャンヌ「記憶があろうがなかろうが、私がジャンヌ・ダルクである事に変わりはない!」
ジャンヌ「確かに、その通りです。貴女に記憶があろうがなかろうが、関係ない。
……ですが、これで決めました。私は怒りではなく哀れみを以て“竜の魔女”を倒します」
黒ジャンヌ「――サーヴァント!」グワッ
影達「「「……」」」
マシュ「冬木で戦ったのと同じ……シャドウサーヴァントです! それもこんなに……」
バットマン「……」
黒ジャンヌ「通常のサーヴァントを召喚する暇はありませんでしたが、この程度ならば幾らでも量産できます」
黒ジャンヌ「では……屠れ!」
マシュ「マスター、来ます!」
バットマン「まずは周囲から片付ける」
マシュ「はい!」
312 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:35:59.36 ID:9GE5vrzP0
影A「……」ヒュォンッ
マシュ「っく……」ガガッ
マシュ(力任せに戦わず……)ドドッ、ドォッ
影B「……」ジャギィィィ‼
マシュ「ふっ……!」ギャリィン
マシュ(盾だけに、頼らず……!)ドガッ
影C「……」ギュオォォォッ‼
マシュ「……!!」ズォッドゴッ
マシュ(動きの無駄を減らし、限られた時間の中に身体をねじ込み……)ガシャリ
影D「……」スッ
マシュ「……やあっ!」ブォンッ
バットマン(駄目だ、あれはフェイント!やられる……! 間に合うか!?)ガシッ
影D「……ッ!」ガギリ
マシュ「……安易な手に掛からないよう、敵を、恐れる……!」ギリギリギリィ‼
バットマン「……!」
影D「……!!」ヒュンッ
マシュ(そして、足元を見れば、敵の考えは読める……!)
マシュ「やああっ!!」ドッゴォ
影達「「「……」」」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……」
マシュ「やりました、マスター! 全シャドウサーヴァント、消滅!」
バットマン(凄まじい成長……一度戦場を経験しただけで、こんな……)
黒ジャンヌ「くっ……」ガギッ‼
ジャンヌ「はあっ!!」ギャリィン‼
313 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:48:01.85 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「今度こそ決着の刻です、“竜の魔女”!」ギリギリギリ……
黒ジャンヌ「黙れ! ここからだ! ここから私の殺意を、絶望を! 見せてやる……ジャンヌ・ダルク!」ギャギャアン‼
マシュ「敵サーヴァント、魔力が急激に増大していきます……これは、宝具展開の前兆!」
バットマン「下がれマシュ……(いや、間に合わない。逃走経路……ジャンヌが殺される。ならば竜の魔女の妨害……この距離では不可能。残された手はひとつ)」
黒ジャンヌ「『これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮……』!」
バットマン「『令呪をもって命ずる』! マシュ、宝具を展開しろ!」キィィィィィ……
マシュ「っはい! 真名、偽装登録……行けます!」
バットマン「ジャンヌ・ダルク!」シュポッガシッ、ギュルギュルギュルギュルッ‼
ジャンヌ「きゃあ!?」
黒ジャンヌ「『吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュヘイン)!』」ゴゴゴゴゴゴゴゥッ‼
マシュ「はあああああああああっ!!!」ドォォォォォォォォォォォ……
314 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:53:01.22 ID:9GE5vrzP0
黒ジャンヌ「……ぐ……はあ、はあ……」
黒ジャンヌ「……ふ……あははははははっ、灰も残らないでしょう! あれだけの火力で、生き残るヤツなんて……」
黒ジャンヌ「……」
黒ジャンヌ「な……に……」
315 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 21:57:19.47 ID:9GE5vrzP0
マシュ「……敵宝具、受け切りました」シュウゥゥゥゥゥ……
黒ジャンヌ「そん、な。馬鹿な。有り得ない。嘘だ。だって、あれほど全力で撃って……」シュウシュウシュウ
黒ジャンヌ(肉体が崩れ始めるほどの魔力を込めたのに、受け切られただと……!?)シュウシュウシュウ
黒ジャンヌ「私は……聖杯を所有しているはず……! 聖杯を持つ者に、敗北はない。その筈なのに……!」
黒ジル「おお、ジャンヌ! ジャンヌよ! 何というお痛ましいお姿に……」ヨロヨロ
黒ジャンヌ「ジ、ル……」ドサリ
316 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:00:20.35 ID:9GE5vrzP0
黒ジル「ですが、このジル・ド・レェが参ったからにはもう安心ですぞ。
さあ、安心してお眠りなさい」
黒ジャンヌ「でも――私は、まだ、まだ、フランスを滅ぼせては……」
黒ジル「それは私が引き受けます。私に全てお任せを」
黒ジル「大丈夫、貴女が死ぬはずがない。
ただ、少しだけ……少しだけ、疲れただけ」
黒ジル「瞼を閉じ、眠りなさい。目覚めたときには、私が全て終わらせています」ニコリ
317 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:02:05.28 ID:9GE5vrzP0
黒ジャンヌ「……」
黒ジャンヌ「そう、そうよね」
黒ジャンヌ「ジル……貴方が戦ってくれるなら、安心して……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
聖杯「」カラン
黒ジル「……」
318 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:06:52.46 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「……やはり、そうだったのですね」
黒ジル「勘の鋭い御方だ」
バットマン「……」
マシュ「あの、ジャンヌさん? いったい……」
ジャンヌ「聖杯を持っているのは、“竜の魔女”ではありません。
……いえ、そもそもあのサーヴァントは英霊の座には決して存在しないサーヴァントです」
ジャンヌ「私の闇の側面ではない以上、そう結論せざるを得ません」
ジャンヌ「……では、あの強力な力をどうやって手に入れたのか。
それは即ち、聖杯に他なりません。つまり“竜の魔女”そのものが……」
黒ジル「その通り。“竜の魔女”こそが、『我が願望』。すなわち、聖杯そのものです」
マシュ「な……!?」
バットマン「……」
319 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:20:52.89 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「貴方は……ジャンヌ・ダルク(わたし)を作ったのですね。聖杯の力で」
バットマン(ジル・ド・レェ。軍人。初めはジャンヌ・ダルクの監視を命じられていたが、いつしか彼女に感化され、協力してオルレアンを守護……)
ジル「私は貴女を蘇らせようと願ったのです。心から、心底から願ったのですよ。当然でしょう?」
バットマン(……彼女が火刑に処された後は荒れた生活を送り……絞首刑)
黒ジル「……しかし、それは聖杯に拒絶されました。万能の願望器でありながら、それだけは叶えられないと!
だが、私の願望など貴女以外には無い! ならば、新しく創造する……!」ギリィ
黒ジル「私が信じる聖女を! 私が焦がれた貴女を! そうして、造り上げたのです!
ジャンヌ・ダルク――“竜の魔女”を。聖杯そのもので!」
ジャンヌ「……そう。彼女は無論、最後までそのことを知らなかったのでしょうね」
ジャンヌ「ジル。もし、私を蘇らせることができたとしても、私は“竜の魔女”になど、決してなりませんでしたよ」
ジャンヌ「確かに私は裏切られたのでしょう。嘲弄もされたでしょう。
無念の最後――と言えるかもしれません」
ジャンヌ「けれど、祖国を恨むはずがない。憎むはずがない。何故なら、この国には貴方たちがいたのですから」
320 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:24:18.22 ID:9GE5vrzP0
黒ジル「……お優しい。あまりにお優しいその言葉。
しかし、ジャンヌ」
黒ジル「その優しさゆえに、貴女はひとつ忘れておりますぞ。たとえ、貴女が祖国を憎まずとも――
私は、この国を、憎んだのだ……! 全てを裏切ったこの国を滅ぼそうと誓ったのだ!」」
ジャンヌ「ジル……」
黒ジル「貴女は赦すだろう。しかし、私は赦さない! 神とて、王とて、国家とて……!」ギシギシギシ
黒ジル「滅ぼしてみせる。殺してみせる。それが聖杯に託した我が願望……!」
黒ジル「我が道を阻むな、ジャンヌ・ダルクゥゥゥゥゥッ!!!」
321 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:28:35.82 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ「…………………そう、ですね。確かにその通りだ。
貴方が恨むのは道理で、聖杯で力を得た貴方が国を滅ぼそうとするのも、悲しいくらいに道理だ」
ジャンヌ「そして私は、それを止める。聖杯戦争における裁定者、ルーラーとして。
貴方の道を阻みます。ジル・ド・レェ……!」
黒ジル「ならば、今の貴女は私の敵だ。決着をつけよう。救国の聖女、ジャンヌ・ダルク――!」
ジャンヌ「望むところ……!」
マシュ「マスター、聖杯を確認しました。指示をお願いします!」
バットマン「ああ、最後の戦いだ。行くぞ」
マシュ「はい! これより、聖杯回収へ向かいます! マシュ・キリエライト……行きます!」
322 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:48:12.10 ID:9GE5vrzP0
彼の者のクラスはキャスターだ……そう報せる通信を受けながら、バットマンは腹部に光球を食らい、吹き飛んでいた。
マシュが入れ替わりに飛び込み、盾を突き出す。
ジルはまともに受け、吹き飛びながらも何事かを詠唱した。途端、マシュの身体がすくむ。おぞましい何かを覗き込んだ時のように……。
「どれほどあなた方が強かろうと、黒魔術は私が上だ。精神汚染を受けていない者など、話にならない」
ジャンヌが歯を食い縛り、恐怖を抑え込んで打ち込む。だが腰の引けた打撃は通用せず、魔術師に弾き返された。
「貴女もです、ジャンヌ・ダルク。貴女たちは純粋すぎる」
ジルは微笑み、瘴気を放つ闇を全身から放出した。ジャンヌは咄嗟に口を覆い、マシュはマスターを背に庇う。
「終幕です。フランスは滅ぼす。我が道は、ついに憎悪の果てへと到着する」
朗読じみたキャスターの声が響く。
(あれは詠唱だ)
バットマンは理解する。何かが来る。マシュの宝具を展開させるべきか……いや、これは。
「『螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)』!」
ジャンヌは見た。ジルが掲げた本から、冒涜的な、存在してはならない存在が飛び出すのを。
マシュは少し遅れて認識した。黒い触手がのたうち回り、津波じみて向かって来ているという事実を。
バットマンは直感した。アレはまだ、発端に過ぎない。いずれ本体が飛び出してくる。
「あ、あ、あ……」
「……え……」
聖女は膝をつき、マシュは頭を抱えてうなだれる。異様なまでに冒涜的な光景を目の当たりにした彼女らの精神は、汚染を防ぐため、シャットダウンを開始したのだ。
「仕方のない事です! 諦めなさい! フランスは終わる! この手で、必ず終わらせる!」
「そうはさせない」
キャスターはふと、おのれの呪文がもたらした触手の上を見た。一匹の巨大なコウモリが、意志の力に目を光らせ、こちらを睨んで立っていた。
「何故……」
何故、狂わない? キャスターは問おうとし、愚問を取りやめた。
簡単な事だ。ヤツは既に狂っている。狂人だったのだ。
バットラングが投擲され、ジルの腕に突き立った。激痛が彼の集中を遮り、呪文が消失した。
323 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:50:06.72 ID:9GE5vrzP0
ジャンヌ・ダルクの旗が振るわれ、甲高い音と共に血しぶきが舞った。
324 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 22:55:53.64 ID:9GE5vrzP0
黒ジル「馬鹿、な……! 聖杯の力を以てしても、届かなかった……だと……
そんな筈はない! そんな理不尽があってたまるか! 私、は、まだ……!」
ジャンヌ「ジル。もう、いいんです」
ジャンヌ「もう大丈夫です。休みなさい。貴方はよくやってくれた。
右も左も分からぬ小娘を信じて、この街の解放まで」
ジャンヌ「……今の貴方がどうあれ、私はあの時の貴方を信じている。
大丈夫。私は最後の最後まで、決して後悔しません。
私の屍が、誰かの道へ繋がっている。……ただ、それだけで良かったんです」
ジャンヌ「さあ、戻りましょう。在るべき時代へ」
黒ジル「……ジャンヌ。地獄に堕ちるのは、私だけで――」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
聖杯「」カラン……
325 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 23:11:24.70 ID:9GE5vrzP0
ドクター『聖杯の回収を完了した! これより、時代の修正が始まるぞ!
レイシフト準備は整っている、すぐにでも帰還を!』
マシュ「了解しました、ドクター!」
バットマン「……」
ジャンヌ「もう、行かれるのですか?」
バットマン「ああ。まだやるべきことが残っている」
――――
エリザベート「……っはあ、この……」
カーミラ「いい加減、しぶと……あら?」シュウシュウシュウ
エリザベート「……アンタ」
カーミラ「ちっ、終わりみたいね。……まったく、鬱陶しい小娘だったわ……」
エリザベート「ふん、こっちこそ! 絶対にアンタみたいにならないんだから!」シュウシュウシュウ……
カーミラ(……まったく、終わった途端に狂化が消えるんだもの。次は、もっと……)
カーミラ「……選り好みできる立場でもないわよね。全く」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
エリザベート「……馬鹿なやつよね、我ながら。ほんとに……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
…………
清姫「……あら?」シュウシュウシュウ
ヴラド三世「ふむ。終わりか」シュウシュウシュウ
清姫「……やってくれたようですわね。ワイバーン達が消えていきます」
ヴラド三世「敵ながらあっぱれ、と言っておこう。そして……礼を言う、名も知らぬ婦人」
清姫「あら、これはどういたしまして」
ヴラド三世「お前が居なければ、更に多くの無為なる魂を屠っていただろう。……次があれば、お前のように戦いたいものだ」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
清姫「……手のかかる御人でした事。マスターは……もう、砦の中ですのね。いくさの勝利は妻も祝うものですのに、まったく」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
…………
ゲオルギウス「……聖杯戦争、というにはあまりに歪んだ形でしたが。ともあれ、ドラゴンスレイヤーと共に戦えて光栄でした」
ジークフリート「俺の方こそ、名高き聖ゲオルギウスと同じ陣営で戦えるとはな……ともあれ、あのマスターの旅路はまだ続くだろう。
俺達も、もう一度助力できると良いのだが」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
ゲオルギウス「フ……その日も遠くないでしょうな。ああ、待ち遠しいものだ」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
アマデウス「ようやくお役目ゴメンか。ああ疲れた、働き尽くしでケツが痛い!
……っと、その手のネタはマリアから禁止されてたな。失敗失敗」
アマデウス「まあ、いい指揮だったよ、ネコミミさん。実に、実にやり甲斐のある仕事だった」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
326 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 23:18:09.94 ID:9GE5vrzP0
――――
バットマン「……そろそろか」
マシュ「はい、マスター。空間が……」
ジャンヌ「……これは、夢のようなもの。世界の可能性から既に除外された、小さな枝葉のような世界。
恐らく、こうしてマシュさん達と出会った事も、戦った事も、失った命すら……無かったことになるのでしょうね。私はそれが、少し悲しい」
バットマン「……」
ジャンヌ「……もちろん、失ったはずの命が戻ってくるのは喜ばしいことでしょうけれど。
お二人とは、また何処かで会えそうな予感がします。私の勘は、結構当たるんですよ?」
マシュ「ジャンヌさん……」シュウシュウシュウ……
ジャンヌ「――さようなら。そして、有難う。
全てが虚空の彼方に消えるとしても、残るものが、きっと……」
バットマン「……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……
ギュォォォォォォォォオオオオオッ
327 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 23:29:09.45 ID:9GE5vrzP0
バットマン「……」ムクリ
所長「……! レイシフト完了、ブルースが帰還したわよ!」
――――
ドクター「お帰り、マシュ、ブルースくん! お疲れさま! 初のグランドオーダーは君達のおかげで無事遂行された!」
バットマン「グランド……オーダー?」
ドクター「ああ、人理修復の事ね。まだ第一歩だけど、これは大きな一歩だ!」
マシュ「……はい! やったんですね、私達!」
ドクター「――うん、本当によくやってくれた。
補給物資も乏しい、人員もいない、さらには実験段階のレイシフトという最悪の状況だったんだ。君達はこれ以上ない成果を出してくれた」
バットマン「……いや、カルデアのサポートがあってこそだ。礼を言う」
職員A「! おい聞いたかよ!」
職員B「やったぁ! 完遂できた!」
職員C「ヤッホー!! 俺達やり遂げたんだ! 初仕事、初レイシフト、初サポートで! ノーミスだ!」
所長「……ま、まあ、当然よね。私が指揮したし」
ドクター(所長、ブルースが倒れた時には捨てられた子犬みたいな目でじっとバイタルを確認してたなぁ……)
328 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 23:37:24.66 ID:9GE5vrzP0
レオナルド「おや、お帰り。大分お疲れみたいだね。
はい、これ最新の観測記録。見てごらんドクター」
ドクター「お……おおおおお! やった、十五世紀フランスの修正は完璧だ! まだ七つの内、たった一つだけだが……
我々は人類史をきちんとあるべき姿に戻したという訳だ! やったな、ブルースくん!」
バットマン「ああ。だが、レフ・ライノールは現れなかった……奴の事だ、妨害に来てもおかしくないと思ったが」
ドクター「なら、彼は残り六つのうちどれかの時代に潜んでいるんだろう。……いや、潜むはずがないか。
彼はそれほどの力を手にしている。同じ時代にいれば必ず僕たちを妨害してくる」
バットマン「……近い内に、必ずまた現れるだろう」
ドクター「ああ。それまでに、こちらの陣営も強化しておかないとね」
バットマン「……」
ドクター「……まあ、そんな細かいことはどうでもいいさ! 今日のところはこれでミッション終了だ!
暖かいベッドとシャワーが恋しいだろう? 遠慮せず、部屋に帰って休むと良い」
バットマン「……ああ、そうしよう」スタスタ
マシュ「それでは失礼します、ドクター」ペコッ、スタスタ
329 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 23:39:08.22 ID:9GE5vrzP0
バットマン「……」スタスタ
マシュ「……」スタスタ
バットマン「……」スタスタ
マシュ「……あの、マスター。ひとつだけ、お尋ねしても良いでしょうか?」
バットマン「……なんだ?」
330 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/02(土) 23:42:28.03 ID:9GE5vrzP0
マシュ「トゥーフェイスさんの弾丸から、サンソンさんが庇ってくれた理由が……私には、分からなくて。マスターなら、分かるかと」
バットマン「……」
マシュ「あ、いえ、どうしても知りたいという訳ではなく。ただ、心に引っかかっているというか」
バットマン「……いや、言いたい事は分かる。敵なのに助ける理由がない。そういう事だな」
マシュ「……はい。疑問が、離れないのです」
バットマン「……」
331 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/03(日) 00:10:44.44 ID:FCqtF21y0
バットマン「……人には常に、二つの道がある。そして二つの側面がある」
マシュ「……」
バットマン「誰もが正しい道を歩き続けられるとは限らない。どんな悪人も、悪の道だけを歩き続けるとも限らない」
マシュ「はい。分かります」
バットマン「……そして、人は後悔する生き物だ。自分の選択の間違いを受け、悩み、行動を翻すこともある。だからこそ、人は不確定だ。特に、愛は」
マシュ「……はい」
バットマン「人は変わらない。だが世界は呆気ないほど簡単に変わり、人を翻弄する。サンソンは……恐らく、後悔を抱えたまま、戦場でその後悔への結論が出てしまったんだろう」
マシュ「…………」
バットマン「……マシュ、お前が思い詰める必要は無い。だが、知っておくべきだ。世界は人を殺し、人は世界を支える。サンソンは彼自身にとっては至極真っ当な行動をとっただけだ」
マシュ「……は、い……」
バットマン「……それだけだ」スタスタ
マシュ「おつかれさまでした、マスター……」
マシュ(……マスターは、世界を怖がっているのでしょうか……)
332 :
◆GmHi5G5d.E
[saga ]:2017/12/03(日) 00:12:18.73 ID:FCqtF21y0
第一章
邪竜百年戦争 オルレアン
生存者 ブルース・ウェイン マシュ・キリエライト
死者 無し
333 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/12/03(日) 00:13:50.18 ID:FCqtF21y0
第一章はこれで終わりです。お付き合いいただきありがとうございました。
334 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/03(日) 00:17:13.41 ID:zIlNEsnP0
乙
335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/03(日) 00:57:19.82 ID:nj/eHGQmo
乙
336 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/12/03(日) 01:03:51.75 ID:FCqtF21y0
間違いを見つけたので修正させてください……()
>>325
ヴラド三世「お前が居なければ、更に多くの無為なる魂を〜」
↓
ヴラド三世「お前が居なければ、更に多くの無垢なる魂を〜」
337 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/12/03(日) 11:05:13.45 ID:FCqtF21y0
幕間
338 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/03(日) 11:11:35.60 ID:FCqtF21y0
ブルース「……召喚システム?」
ドクター「そうそう、召喚。余剰電力が発生したことによって誰か……英霊を召喚できるようになったんだ」
ブルース「成程」
ブルース(信頼できない要素をわざわざ呼び込む事になるかもしれないが……)
マシュ「現状、こちらの戦力は不足しがちなので……どんな英霊の方でも、助力は助かります」
ブルース「……分かった。召喚してみよう」
ドクター「その気になってくれてよかった! それじゃあこっちへ、部屋に案内するよ」
339 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/03(日) 11:17:50.37 ID:FCqtF21y0
ブルース「……ここが?」
ドクター「そう。このサークルの中に魔力を照射、触媒無しでランダムな召喚を行うんだ。
まあ難しい話じゃないよ、キミはそこに立ってくれていればいいだけだからね」
ブルース「……ふむ」
ブルース(召喚した途端、襲い掛かってくるようなヤツかもしれない……)
マシュ「大丈夫です、マスター。私が傍に付いていますので」
ブルース「……ああ」
ドクター「まあ、百聞は一見にしかずって言うしね。早速誰かを召喚してみよう!」ガチャ
バチバチバチ……ギュオォォォォォォォォォォォォッ
ブルース「……」
カッ‼
340 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/03(日) 11:22:50.54 ID:FCqtF21y0
シュゥゥゥゥゥゥゥ……
???「……あら、あらあら」
ブルース「……」
清姫「サーヴァント、清姫。またお会いできましたね、旦那さm」
ブルース「……」ガチャリ
ドクター「ぶ、ブルースくん? ドアを開けてあげなきゃ、いきなり閉めたらビックリさせちゃうよ」
ブルース「ドクター。召喚システムの故障だ。もう一度機器をチェックし直す必要がある」
ドクター「いや、でも、あれは……え? いや……え?」
マシュ(マスター……)
341 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/03(日) 11:37:40.43 ID:FCqtF21y0
清姫「こうして召喚された事、とてもうれしく思いますわ。やはり旦那様もわたくしを恋しく思っていてくださったのですね」
ブルース「……」
ドクター「ああ、うん。カルデアへようこそ清姫くん! 歓迎するよ、僕はロマニ・アーキマン」
マシュ「私はマシュ・キリエライトと言います。お久しぶり……ですね、清姫さん」
ブルース「……ブルース・ウェインだ」
清姫「よろしくお願いしますね皆様、そしてマスター。……うふふ、見れば見るほど安珍様の魂がにじみ出てくるようで……うふふ……」
ブルース「……」
ドクター「さっそく仲が良いようで何よりだ! ところで、カルデアの施設を案内したいんだけど良いかな?」
清姫「あら、それは是非ともお願いいたします。マスターのお部屋を拝見しなければ……ふふふ」
ブルース「…………」
342 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/03(日) 11:45:52.04 ID:FCqtF21y0
――――
ドクター「ここが君達サーヴァントのプライベートエリアになるだろう。部屋が47個あるから、そのうちのひとつを使って欲しい」
清姫「成程、それでマスターのお部屋は……」ニコニコ
ドクター「う、それは……」
ブルース「……構わない。連れて行ってやってくれ」
ドクター「……いいのかい?」
ブルース「ああ。見られて困るものはない」
マシュ「そ、それじゃあ私も失礼しますね!」ワクワク
ドクター「う、うん! じゃあ僕もお邪魔するよ!」ドキドキ
ブルース「……?」
343 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/03(日) 12:00:38.13 ID:FCqtF21y0
――――
ドクター「お、おじゃましまーす……」
マシュ「失礼します……こ、これは……」
清姫「……ずいぶん殺風景なお部屋ですね? それに何処となく薄暗いような……」
ブルース「暗い方が落ち着く。それに、物が多すぎるとかえって本当に欲しいものが見つけられない事がある」
マシュ「でも、これは……」
マシュ(電気スタンド、机、ベッド、置き時計……部屋にはこれだけ……)
ドクター「……カウンセリングとか必要ないかい、ブルースくん?」
ブルース「頼めるならしてもらいたい」
344 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/03(日) 12:19:00.92 ID:FCqtF21y0
清姫「ふふふ……こういう時は、ベッドの下に何か隠してあると相場が決まっていますわ」ゴソゴソ……ガシッ
清姫「やっぱり、見つけました……? これは!?」
マシュ「マスター、あれは……?」
ブルース「……いつものスーツだ」
清姫「これ! これ着ても良いですか、マスター!?」
ブルース「サイズが合わないだろう……駄目だ」
マシュ「じゃ、じゃあ私は!?」
ブルース「……レオナルドに頼め」
ドクター「そ、それじゃそろそろ他の施設の紹介に行ってみようか!」
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/03(日) 13:25:11.93 ID:5SiTtfGrO
うーん、このペースだと来年いっぱいかかりそう。
346 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/03(日) 21:18:21.62 ID:lWBb/Vw50
エターならなければどんなペースでもいいよ
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 05:29:26.57 ID:trhOOmXVO
エタらなければ大丈夫
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/12/04(月) 17:16:38.78 ID:87+EmTJ0O
いやあこれは終わんないでしょー
ダイジェストにして何章かすっ飛ばしたら?
ブルースと相性のいいサーヴァントって誰やねん……
349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 17:37:48.62 ID:X6eCqEMFO
今はともかく、ただでさえボリューミーな5章以降を考えればある程度カットせざるを得ないだろうな
能力を考えると後方支援できるキャスター、特にシェイクスピア辺りが相性良さそう
一方的にバッツに題材的な意味で好意を抱く、という構図になりそうだが
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 18:05:28.37 ID:Q0m+DXTTo
長編SSは確かにエタりやすいが稀に二年とか三年続ける人もいるからあんまり外野が
ガタガタ言うべきではない。カットした方がいいと作者が判断したらカットするだろうし
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 18:45:59.18 ID:4JiNMEuIo
是非とも新宿まで続いて欲しい
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 19:44:38.58 ID:FLHb+D7U0
バッツの性格的に本人がまともに戦えない奴は相棒と認めなさそうだし、ロビン見てると不平不満からスタンドプレイしたりするタイプなんかもダメだし、バッツ本人も割とコミュ障なとこあるし……
って消去法にすると燕青みたいな適度に殴り合いで強くて変な能力無くてコミュ力ある上に言うこと聞く奴じゃないとダメそうだな
353 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 21:36:06.34 ID:KJqMH88b0
外野なんか気にせず自分のペースでやってくれよ
354 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2017/12/05(火) 10:01:05.54 ID:SQuTCXrbO
遅レスだけど
>>341
清姫「見れば見るほど安珍様の魂がにじみ出てくるようで」
安珍どんだけ屈強だったんだよww
355 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 18:38:36.79 ID:It0I8GJxo
ニンジャバットマンは面白そうだな
メンツがいつもの奴ら過ぎるが
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 20:19:36.95 ID:eQnQfnaDO
>>354
真っ黒なのが黒焦げになったのとだぶったんだろう
357 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2017/12/06(水) 02:09:00.49 ID:QnT/yd9k0
更新遅れてすみません、生きています。
ただいま二章へのつなぎの作成、そしてシナリオ見直しのために二章を復習しています。思った以上に二章を見返すのが苦痛で手間取っています。本当に申し訳ない。今少し待って頂きたい。
358 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 11:43:45.82 ID:BDhD3khAo
こういった二次創作のための復習でも無い限り二章を読み返す機会なんて無いだろうな
359 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 12:19:21.50 ID:XT5bkWDXO
まぁ炎上するほど悪い訳でもないから、ある意味繋ぎとしては理想的なシナリオなのかもしれない
360 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 18:22:43.82 ID:dhwITxV9o
2章って言うほど悪くない気もするが。
出てくる鯖に好きなのいれば普通に読める。
アガルタはそれでも無理だった。
361 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:02:14.52 ID:QnT/yd9k0
ドクター「ここがレクリエーションスペース! どうだい、ビリヤードや卓球、ダーツなんかもできるぞ! こっちには昔懐かしのゲーム筐体だってある!」
マシュ「ドクター、管制室以外でたまに見かけるといつもここにいらっしゃいますよね……」
ドクター「やっぱりゲームは楽しいしね! メタルスラッ〇とか、いつまでも飽きないよ……ブルースくんも今度どうだい?」
ブルース「……いいや、遠慮しておく」
ドクター「そうかい? まあ、また今度お付き合いを頼むよ」
ブルース「……ああ、また今度にな」
清姫「わたくしは卓上の札遊びなど……花札や百人一首などはいかがでしょうか?」
ブルース「極東のゲームか……いや、私は詳しくないんだ」
マシュ「じゃあポーカーとか」
ブルース「……ポーカーは苦手だ」
ドクター「成程ね、まあブルースくんは得意そうな……えっ」
マシュ「マスターの表情って読みにく……えっ」
清姫「旦那様は感情が表に……えっ」
職員C「えっ」←とおりすがり
362 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:03:22.83 ID:QnT/yd9k0
ブルース「なんだ」
ドクター「いや……いやいや! キミ、絶対強いだろ! 手の内絶対読めないよ!」
マシュ「そ、そうです! いつも何を考えているのか分からないし、ポーカーをやらせたら鬼のように強いに決まってます!」
清姫「旦那様、まずルールをご存知なのですか……?」
職員C「ま、まさか賭け事はやらないとかそういう……」
ブルース「……本当に強い相手は目を読んでくる。アルフ……いや、昔の友人と何度かプレイした事はあったが、一度も勝てた事がない」
ドクター「ああ、成程。次元の違う戦いだね……うん、カードゲーム極め過ぎじゃないかなぁ、そのご友人さん……」
マシュ「一度会ってみたいですね……」
ブルース「……次の施設を、ドクター」
363 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:04:17.95 ID:QnT/yd9k0
…………
職員C「ここはカルデアスの観測ルームです。今はまだアレは真っ赤ですが、いつか青く染め直せる日が来ます!」
清姫「まあ、大きな球体ですわね。真っ赤だとどうなっているのです?」
職員C「……残念ながら、人類の死滅を意味します。青は生存です。あ、このロープの仕切りを超えないで下さい。あまり近付くと危険です」
ブルース「……この部屋を取り囲むように置かれたレンズは何なんだ? 何枚もあるが」
職員C「これは『シバ』と呼ばれるカルデアスの観測装置です!
レイシフトを行うにはまずこのシバで時代を『観測』して楔を打ち込み、AI達が危険度や必要電力量を計算、結果を我々職員が協議し、所長の許可を得ることで初めて、レイシフトの許可が出されます!」
マシュ「……あらためて聞くと、人理崩壊後もこれほど体制を重視しているのは凄いですね。そんな場合ではないと抗議する人も出そうですが」
ドクター「うぅん、それがそうでもないんだ。こんな時だからこそ、体制というのはとても重要でね……ほら、こんな狭い空間でバラバラになっちゃったら酷いしさ」
ブルース「……オルガマリー所長は上手くやっているようだな」
ドクター「ああ、うん。彼女なりに必死にやってくれてる。おかげで職員達も少しずつ、彼女を尊敬し始めてるしね」
清姫「……」ソォーッ
ブルース「……」ガシッ
清姫「……あ、あら旦那様! いきなり腕を掴まれるなんて……」
ブルース「ロープを越えるなと言われたはずだ。好奇心で動くな」
清姫「むぅ……」
364 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:05:58.50 ID:QnT/yd9k0
…………
ドクター「ここが中央管制室だよ」
レオナルド「やあロマニ、そっちは新入りかい?」
清姫「どうも、この度マスターの妻になりました、清姫と申します」
レオナルド「はっはっは、パンチが強いね。私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。ダヴィンチちゃんとでも呼んでくれたまえ。
あ、ロマニ。そろそろ次のレイシフト先の観測が完了しそうだからブルースとマシュの健康診断を済ませておいてくれ」
ドクター「あ、もうそんなになるのか……うちの職員は優秀だなあ。
よし、じゃあブルースくん、マシュくん。今日の16時からキッチンに集まってくれ。健康状態のチェックを行うよ」
ブルース「分かった」
マシュ「了解しました、ドクター」
365 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:06:41.39 ID:QnT/yd9k0
ブルース(そうなると、16時までは)
清姫「そうすると16時までは暇ですね、ますたぁ! さあ、ここはわたくしとめくるめく愛の物語を……」
マシュ「ま、マスター。私の特訓にまた付き合って頂けないでしょうか」
清姫「駄目ですマシュ! マスターは私と……」
ブルース「分かった。いつも通り手加減は無しだが」
清姫「マスター!? ふ、ふつうは新入りの娘をちやほやする場面では!?」
ブルース「……来たいならお前も来い、英霊の参考になるかは知らないが」
清姫「勿論ついて行きます! 特訓と称してふしだらな行為をされては困りますので!」
マシュ「そ、そしそそそんな事するワケないじゃないですか!」
ブルース「……」
366 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:07:12.44 ID:QnT/yd9k0
ブルース「……」ガチャ、ガチャリ。ガチッ
ブルース「……」ガチッ、ギュッ。カチャッ
マスク「」
ブルース「……」スッ
バットマン「……今回は五感の訓練だ」
マシュ「はい! よろしくお願いします、マスター!」
清姫「よろしくお願いいたします」
367 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:07:46.99 ID:QnT/yd9k0
バットマン「バットラングを投げる。その中にいくつかホログラムを混ぜる、認知して動け」
マシュ「分かりました!」
清姫「ではそのように……急所は避けて下さいね?」
バットマン「当然だ。行くぞ」カチャリ
368 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:08:26.06 ID:QnT/yd9k0
マシュ「くっ」ギギギィィィン‼ ギャリィン‼
バットラング「」ヒュォォォォォンッ‼
マシュ「っ!」ギャァン‼
バットラング「」ズオッ‼
マシュ「っきゃあ……あれ?」スカッ
バットマン「それはホログラムだ! 五感を駆使しろ!」シュパッ、シュパパパパパッ
清姫「うふふ、旦那様からの愛がこんなに……」ゴゴゥッ、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ‼
バットマン「全て溶かさず見極めて溶かせ! マシュ、立て! まだ投げるぞ!」シュパパパパッ
マシュ「はい!!」ムクッ
マシュ(五感……五感……五感を、全て使う……!)
369 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:09:54.90 ID:QnT/yd9k0
バットラング「」ヒュォォォォゥゥゥゥゥゥッ‼
マシュ「本物!」ギィン‼
バットラング「」ズォォッ‼
マシュ「……本物!」スカッ
マシュ(ホロ、グラム……)
マシュ「くっ……」ギリッ
マシュ(落ち着いて……見る。聴く。感じる。五感だ。張り巡らせて。戦場を、自分の身体の一部の如く……)
バットラング「」ヒュォォォォォンッ‼
マシュ「!」ガキィン‼
マシュ(本物。音を聴けば判別可能。いや……
マスターの目を読めば。ブラフか、本気か。全ての動作は次につながる)
バットマン「……」チラ
バットマン「……」カチャリ
バットマン「……」ブォンッ
マシュ(アレは)
マシュ(アレは、ホログラム)ピタッ
バットマン「……!」
マシュ「……」スカッ
マシュ「……あっ! や、やりました! マスター、見てくれましたか!?」
バットマン「……ああ、よくやった。だがもう一度だ、偶然を必然へ引き上げる」
マシュ「はっ、はい!」
370 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:11:03.93 ID:QnT/yd9k0
バットマン「……今回はここまでだ」
マシュ「は、はいっ……かなり、つかれ、ました……」ハァ、ハァ
清姫「あらあら、修行が足りませんよ。いえ、わたくしも若干息切れならぬ燃料切れを起こしてはいますが……」
マシュ「清姫さんは純粋なサーヴァントですし……」ムー
バットマン「そろそろドクターの健診の時間だ。マシュ、行くぞ」
マシュ「あっ、はい! 行きましょう!」
清姫「あら、それではわたくしもご一緒に……」
マシュ「き、清姫さんが来る必要は……」
清姫「ですから、健康診断と称して旦那様とチョメチョメされては困りますので……」
マシュ「そそそそんな事しないって言ってるじゃないですか!」
371 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:11:34.07 ID:QnT/yd9k0
バットマン「……」スタスタ
所長「……」コソコソ
バットマン「……所長。そこで何をしている」
所長「ひゃああああっ!? ぶ、ブルース!? なんでそこに!?」
バットマン「……ドクターの健診の前にトイレに寄ろうと思っただけだ。廊下の隅に屈んで何をしている」
所長「い、いいえ何も!? た、ただその、廊下の埃が気になっ『フォウ、フォウ』……」
バットマン「……フォウ?」
所長「……」
372 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:12:17.68 ID:QnT/yd9k0
所長「……ちょっとアンタ、黙ってなさいって言ったばっかりでしょ……! な、なんでもないの! ほんとうよブルース!」
バットマン「……ならその後ろで、もぞもぞ動いている白い塊は何だ?」
所長「こ、これはほら……近頃のルンバは埃を絡めとれるようにふかふかにしてあるのよ!」
???「フォウ、フォーウ」
バットマン「そうか。機械が鳴く時代か」
所長「え、ええそうね! 技術は日進月歩ってよく言うわよね!」
バットマン「……所長」
所長「ごめんなさい。話します」
マシュ「マスター、遅かったのでお迎えに……ど、どうしたんですか、オルガマリー所長……?」
373 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:13:32.52 ID:QnT/yd9k0
バットマン「……つまり、こうか。
ドクターに『竜種の召喚は不可能』と言われた事が気に障り、召喚術を試したら……この獣が?」
???「フォウ。」ノソノソ
マシュ「わわ、もふもふですね……よしよし」ナデナデ
???「フォーウ……」ウットリ
所長「結局召喚は失敗した挙句、こんな小さな獣が出てきちゃって……私、魔術師としての才能は壊滅的だなって……」ズーン
バットマン「……召喚してしまったからには仕方ないだろう。返す事はできないのか」
所長「そ、それはちょっと……この子の体力が尽きるまで殴ればどうにかなるかもだけど」
マシュ「倫理に反します! 駄目です!」
所長「うぐっ……」
バットマン「……どうしようもないのなら世話をするしかないだろう。名前は?」
所長「いえ、まだ何の情報も分かってないのよそれが……」
???「フォウ、フォウ」
マシュ「この特徴的な鳴き声……フォウ、という名前なんてどうでしょう?」
バットマン「フォウ……」
所長「フォウ……」
フォウ「フォウ……」
マシュ「……ええ、はい。ネーミングセンスの無さは自覚しています」
374 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:14:28.90 ID:QnT/yd9k0
…………
ドクター「……うん、特に問題は無いようだ。どうする? カウンセリングも、本当に必要ならするけど」
バットマン「……いや、今は健診だけで良い。有難うドクター」
ドクター「いやいや、こっちこそお礼を言わなきゃね。次のレイシフトも大きな負担になる事は想像に難くない……
……ところでキミ、全身の傷は元からかい?」
バットマン「……ああ。戦闘に支障はない」スクッ
ドクター「そうか、あまり深くは聞かないよ。でも、あんまり自分を追い詰めるやり方はしないように」
バットマン「善処しよう……」スタスタ
ドクター(……うーん、本当に何者なんだろう。あのコスプレと胆力、そして完成された肉体に常人なら何度も死んでるほどの傷跡……人間離れしてるよなぁ)
375 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:15:43.86 ID:QnT/yd9k0
ブルース「……」スタスタ
レオナルド「あ、ブルース。丁度いいところに」
バットマン「レオナルド。何か用か?」
レオナルド「ああ、キミのスーツをまた預かりたい。良いアイディアが浮かんでね、そのブレーサーを少し改造したり、色々してみたいんだけど良いかな?」
バットマン「……そういう事なら」スッ
ブルース「スーツは預けよう。ただ、前回と同じように、カラーリングは変えないように頼む。
それと、防御力が上がったのは良いが関節が動かしにくい場面が何度かあった。対処可能ならそれも」
レオナルド「おおう、そんな欠点が……そうだなぁ、関節の防御はいっそ捨ててみるのも……」
ブルース「ある程度は動きやすさを……急所だけの防御でも私が動いてカバーして……」
レオナルド「しかし、人間とサーヴァントの最低限の壁を考えると……キミのテクニックと私の技術の妥協点は……」
ピーンポーンパーンポーン
所長『あー、あー。カルデア内の職員は今すぐ管制室へ集まりなさい。次のレイシフト先の特定が完了、これより協議を行います』
レオナルド「おっと、朗報だね。行こうブルース、呼ばれてる」
ブルース「ああ、行こう」
376 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:17:39.31 ID:QnT/yd9k0
…………
所長「集まったわね? 良いわ、これより協議を始めます。よろしく」
職員達「「「よろしくお願いします」」」
所長「今回のレイシフト先は西暦が始まって間もない古代ローマ。シバでの特定には苦労していましたが、ようやく時代が固定され『フォウ、フォーウ』……されました」プルプル
マシュ(ふぉ、フォウさん! こっちに戻って!)ヒソヒソ
フォウ「フォーウ」ピョンッ
マシュ「もう、勝手に飛び出しちゃ駄目です」ナデナデ
フォウ「フォウ……」ウットリ
ブルース「……」
職員A「なんだアレ?」
職員B「ペットかなぁ?」
職員C「リスみたいな……猫?」
ドクター「いや、アレは狐じゃない?」
所長「……えー、ごほん! 今回特に注意して欲しいのは、『皇帝』という存在です!」
ブルース「皇帝……古代ローマにおいての実質的な独裁者か」
所長「まあ議会が力を持っていたのはそうだけど、暴君の前では殆ど気休めみたいなモノだったと聞きます。まだ私達が言う所の『モラル』も確立前の時代ですし。
気に入らなければ下の者が蜂起し、上の者を殺して成り代わる……それが常の世界」
マシュ「か、かなり恐ろしい世界ですね……」
レオナルド「それが中世頃まで続いてたんだ、恐ろしいけど常識さ」
377 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:18:22.63 ID:QnT/yd9k0
所長「問題が無ければレイシフトは明日にでも行いたいのだけど……ロマニ!」
ドクター「健康診断の結果は良好、ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライトの両名ともに問題ありません」
所長「二人とも、本当ね?」
ブルース「問題ない」
マシュ「はい!」
所長「良いわ。レイシフト班は解散を許可します。次、サポート班! 明日に向けての手順の再確認をします!」
職員達「「「はい!」」」
レオナルド(スーツは明日の朝にキミに渡すからね)コソコソ
ブルース(ああ。頼んだ)スタスタ
378 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:19:28.06 ID:QnT/yd9k0
マシュ「それじゃあ、私はこれで。また明日お会いしましょう、マスター」ペコッ
ブルース「ああ。また明日に」スタスタ
マシュ「……」スタスタ
…………
電灯「」ジー……
ブルース「……」ペラッ
ブルース「ローマはロムルスが建国し……王政期、共和政期、帝政期に分けられ……」ペラッ
ブルース「……ネロ帝の大迫害によってキリスト教が弾圧され……コンスタンティヌス帝がミラノ勅令を……」ペラッ、ペラッ
コンピューター『警告! 警告! ワード感知!』ビープ‼ビープ‼
ブルース「……?」ピタリ
379 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:20:37.74 ID:QnT/yd9k0
…………
電灯「」シーン……
職員C「えーと……『ゴッサム 猫 コスプレ』……検索」カタカタッ、タン
職員B「……なにこれ、キャットウーマン? ブルースさんは男だよ……」
職員A「えーと、じゃあ……いや、待て。見ろよこれ、そのキャットウーマンを縛り上げて警察に渡してる奴の映像……」
職員C「あ、これ……このスーツ、ブルースさんじゃねえか」
職員B「本当だ! これは、ええと……バットマン? って呼ばれてるのかな」
職員A「それじゃあ……『ブルース・ウェイン バットマン ゴッサム』で検索して、と」カタカタッ、タン
職員C「……うわ、なんだこれ……ウェイン・エンタープライズのパーティー……? そこで暴れてた男達がボコボコに……」
ブルース「なにをしている」
職員達「「「うっひゃあああああ!?」」」
380 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:21:51.50 ID:QnT/yd9k0
…………
ブルース「……成程、それで正体が気になって調べていたと」
職員A「す、すみません……」
ブルース「……言ってくれれば教えた。真夜中の管制室でわざわざ電気を消して調べるまでも無い事だ」
職員B「はい……」
職員C「そ、それでブルースさんは一体……」
ブルース「……ゴッサムシティの自警団じみた活動をしていたんだ。一時期、警察すらも汚職で機能していなかった事があったからな……横行する犯罪を止めるには、あれが一番だった」
職員A「つ、つまりヒーロー活動みたいな!?」
職員B「悪党を派手に吹き飛ばしたり!?」
職員C「正義の鉄槌を!?」
ブルース「……さあな。最初の頃は自信があった筈だが、今はもう分からない。戦っていく中で、誰かを信用する事が……少なくなって……」
ブルース(……そして、誰もついて来なくなった……?)
職員達「「「……」」」
ブルース「……そうだな。戦う理由を失いつつあるのは確かだ」
職員C「で、でも今は俺達が! 俺達が居ます!」
ブルース「……あぁ、有難う。まだ戦える」
職員B「あ……その」
ブルース「それより、もう夜も遅い。君達も休むべきだろう……おやすみ」スタスタ
職員A「……お、おやすみなさい……」
381 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:23:02.50 ID:QnT/yd9k0
…………
ブルース(……まったく油断していた。必要以上の情報漏洩は防ぐべきか……)ドサッ
ブルース(今の内にネット上のデータをハッキングし、バットケイブの位置や時計塔の秘密特定に繋がりそうなモノは消す……)ピッピッ
コンピューター『これらのデータをデリートしますか? Y/N』
ブルース「……」ピッ
コンピューター『処理中……処理完了』
ブルース「……ついでだ。コンピュータのファイルクリーンアップも頼む」ピッピッ
コンピュータ『了解。不要・不審なファイルを除外領域へ移行させます。この作業には暫くかかる事があります』クォォォォォォン
ブルース「……」チラ
時計『02:20』
ブルース(そろそろ眠るか。明日はレイシフトだ……)トサリ
382 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:24:25.93 ID:QnT/yd9k0
…………
シーン……
???「ふふふ……この扉の向こうが旦那様の……げへへへ」コソコソ
???「おっと、いけない。思わず下卑た笑いが……抜き足差し足、忍び足で……」コソコソ
扉「」ウィーン
???「お邪魔しま〜……?」プツッ
???「何か脚に触れたような……」シャガミ
バットラング「」ヒュオォォォォオォォンッガガッ‼
???「ひゃっ!?」ドサッ
ブルース「……誰だ」ムクリ
電灯「」パッ
清姫「あ……う、うふふふ。こんばんは、旦那様」
ブルース「……」
383 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:25:03.51 ID:QnT/yd9k0
ブルース「……清姫か。扉の外に『呼び鈴を鳴らせ』と張り紙をしていたと思うが」
清姫「あ、はい、見ました」
ブルース「……何故無視して入って来た? 仕掛けていたトラップが発動しただろう」
清姫「だってぇ……気付かれたら旦那様、絶対逃げ出しちゃいますし」
ブルース「……時と場合によるが」
清姫「ではわたくし、正直に申し上げますわね! 夜這いに来ました!」カッ
ブルース「……」シュポッガシッ
清姫「あ、あ〜れ〜?」ギュルギュルギュル
ブルース「……」ギチギチギチッ、グイッ
清姫「あ、あの……こんなミノムシじみて吊り下げられては身動きが……」
ブルース「……」ジーッ、ピッ
清姫「むむーっ! むーっ! むぅーっ!」(ガムテープ越しの悲鳴)
ブルース「……」トサリ、ゴロン
清姫「むーっ! むぅーっ!」ビヨンビヨン
ブルース「……」スゥ、スゥ……
384 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:25:54.69 ID:QnT/yd9k0
…………
ピピピ‼ ピピピ‼ ピピピ‼
ブルース「……」ムクリ
時計『07:00』
ブルース「……」チラ
清姫「……」スゥスゥ
グラップネルガン「」カラーン
ブルース(縄抜けか……)
385 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:26:41.19 ID:QnT/yd9k0
ピーンポーンパーンポーン
ドクター『もしもし、聞こえてるかな? って確認しても答えは返ってこないよね、うん。
おはよう、第二回レイシフトのミーティングを始める。職員、レイシフト要員は管制室へ集まってくれ。朝食もそこで用意してある』
ブルース「……起きろ、清姫」
清姫「う、うーん……もう朝ですか……あと5分……」クシクシ
ブルース「先に管制室へ行っているぞ」スクッ、スタスタ
清姫「あっあっ、お待ちを……わたくしもすぐに支度を、ああっ!」ドターン
ブルース「……」
386 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:27:53.13 ID:QnT/yd9k0
マシュ「あ、マスター。おはようございます」ペコリ
フォウ「フォウ、フォフォーウ!」パタパタ
ブルース「ああ……おはよう」
マシュ「……その、腕にくっついている清姫さんは……」
清姫「妻として、夫の傍に居るのは当然ですわ♡」ピース
ブルース「……『古代ローマ 川 人を沈める』で検索してくれ」ピッピッ
清姫「!?」
マシュ「……なんだか、察したしまった自分が居ます。ご愁傷様です、マスター」
フォウ「フォーウ……」
387 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:29:20.53 ID:QnT/yd9k0
ドクター「おはようブルースくん、マシュ! 今日も体調は大丈夫かな?」
ブルース「問題ない」
マシュ「はいっ、平気です!」
ドクター「清姫くんは一応初めてのレイシフトだけど、平気かな?」
清姫「れいしふと、というのが何かは分かりませんが……旦那様の居る場所へなら何処へでも付いて行きますわ」
ドクター「あはは、心強いなぁ。ところで、ブルースくんの手首と繋がってるその手錠は……」
清姫「勿論、いつ如何なる時でも離れないようにと……うふふ」カチャリ
ドクター「なるほどなぁ……ブルースくん、マジ?」
ブルース「……」バキィ
清姫「ああっ、手錠が! 愛の絆である手錠が!!」
ブルース「……この通りだ」
ドクター「うん、そうだろうとは思ったけど……」
所長「はい、静かに! これより第二回レイシフト前、最後のミーティングを行います!」
職員達「「「はい!」」」
388 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:30:03.93 ID:QnT/yd9k0
所長「今回のレイシフト先は古代ローマ。精確な年代特定は例の如くレイシフト後になると思います。到着後の行動には重々気を付けるように」
ブルース「分かった」
マシュ「了解です!」
清姫「分かりました……旦那様の束縛も無しで?」
所長「無しに決まってるでしょ、それにブルースはアンタの旦那じゃないわよ。ブルース、清姫の動向には目を光らせておいて」
ブルース「ああ」
清姫「むぅ……」
所長「まったく……今回のレイシフトも、令呪の数は三画に定めます。それ以上使うと存在証明式に危険が出るから、いいわねブルース」
ブルース「把握した」
所長「……頼んだわよ。それじゃあサポート班! 今回の動きを確認します!」
職員達「「「はい!」」」
ドクター「は、はい!」
389 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:31:51.82 ID:QnT/yd9k0
…………
レオナルド「見てくれブルース、今回のスーツはちょっとした細工があってね。防御力はもちろんだが、このブレーサー。ちょっと意識して手のひらを開いてみてくれ」
ブルース「……こうか」
ブレーサー「」プシュッ‼
レオナルド「どうだい、スプレーが手のひらから発射できる優れものだ! キミの『爆破ジェル』が入った瓶もこのブレーサーに嵌め込んで使えるぜ! わざわざ取り出す手間が減るってものさ」
ブルース「成程……前腕の内側からノズルが流れているから衝撃にも強いと」
レオナルド「そういう事だ! 爆破ジェルだけじゃない、ビンの中身を入れ替えればオイルや水なんかもスプレーできる! このスプレーは結構広範囲に広がるから、狙ったものに当たらないって事はないと思うぜ」
ブルース「……役に立ちそうだ。礼を言う、レオナルド」
レオナルド「ふふん、天才だからね。今回も是非生きて帰ってくれたまえ、そしてスーツの使用感の感想を待ってるよ」
ブルース「ああ、勿論だ」
390 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:33:17.82 ID:QnT/yd9k0
ブルース「……」ガチャガチャ、ガチッ
ブルース「……」ガチリ、シュッ。カチッ
マスク「」
ブルース「……」スッ
バットマン「……」
ドクター「よし、今回もバッチリだね。コフィンへ入ってくれ、そろそろ時間だ」
バットマン「ああ」
マシュ「はい!」
清姫「できれば旦那様と同じ筐体で……」
バットマン「駄目だ」
清姫「ああん、もう!」
391 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2017/12/06(水) 23:34:07.79 ID:QnT/yd9k0
ドクター「時刻、08:56。ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライト、清姫の三名ともにコフィンにスタンバイ完了」
所長「……ふぉ、フォウは何処に行ったのかしら……」キョロキョロソワソワ
職員A「存在証明開始! 三名ともに証明続行中!」
職員B(あれ、一瞬だけスクリーンに緑のハテナマークが浮かんだような……き、気のせいだよね。疲れてるのかなぁ)
職員B「電子機器類に異常、ありません! こちらも良好!」
職員C「シバによる時代特定も良好です!」
所長「分かりました。古代ローマへのレイシフト、カウントダウン開始!」
職員達「「「了解、カウントダウン開始!」」」
ドクター「よし、今回もよろしく」
レオナルド「大雑把な八割は任せたまえ。大事な二割はキミの仕事だ」
ドクター「よぉし、やるぞ!」
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