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「目を覚ますと黒澤ルビィになっていました」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/17(金) 15:53:20.77 ID:0DdbjQLo0
ダイヤ「ルビィ? ルビィ! 起きなさいルビィ!」
「……」
ダイヤ「あら? 顔が赤いわね?」
「なんか……ふらふらする……よ」
ダイヤ「熱があるよう……ふむ、だいぶ熱いですわね」
「頭痛い……ガンガンする……」
ダイヤ「落ち着きなさいルビィ、ええと、氷嚢はあったかしら? お手伝いさんも両親もいないときに……」
「……?」
ダイヤ「ひとまず学校に連絡をして、今日はお休みすることを伝えて……」
「あの……」
ダイヤ「どうかしました? ふふ、安心なさいな、この黒澤ダイヤ、この程度の事態で動じるほどやわではありませんわ」
「あなた誰ですか?」
ダイヤ「はいっ!?」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1510901600
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/17(金) 16:06:13.68 ID:0DdbjQLo0
目を覚ますと、知らない部屋のベッドで眠っていた。
壁には女の子が並んでいるポスター(たくさんある)
薄いピンク色のカーテン。
女の子が寝そべっているような、デフォルメされたぬいぐるみ。
そして目の前には同い年くらいの女の子。
ダイヤ「冗談はおよしなさいルビィ、いくらあなたが浦の星に合格するのも
ギリギリの成績だったとは言え、
姉の顔を忘れるほど頭は悪くなかったはずです」
姉……姉かあ……。
そして私はルビィという名前らしい。
さきほど黒澤ダイヤと名乗っていたから、この子は……
ダイヤにルビィ……ご両親はよっぽどの……
「あの……ちょっと記憶が混濁してて」
ダイヤ「ええ、ええ、混濁しておりますわね、熱で悪い冗談をいうほどに!
とはいえ病人を責めるなど言語道断です」
あ、ちょっと涙目。
この子言うまでもなくちょっとシスコンの気がある?
――痛!
ダイヤ「ルビィ!?」
ああ、身体揺らさないで、頭が、頭が割れそうなくらい痛い!
何かが、何かが流れ込んでくるような……!
これは……誰かの記憶?
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/17(金) 16:18:45.35 ID:0DdbjQLo0
ふむふむなるほど。
私は今、黒澤家の次女、黒澤ルビィ15歳ということらしい。
今流れてきたのは生前(と言って良いものか)の彼女の記憶。
生まれてからしばらく、そして前日に亡くなるまで。
前世と呼ぶべき"私”麻衣の18年間分の記憶がいま結合した。
いやあ、まさかトラックに轢かれて本当に転生するって、
人生って本当にわけわからないものですね。
「ダイヤさん」
知らない人間を(今記憶は戻ったのだが)姉と呼ぶには抵抗があった。
ダイヤ「……ふう」
「……?」
ダイヤ「さ、学校に行きましょう……そう、これは悪い夢……悪い夢……入学式の挨拶をしなくっちゃ!」
このように砕けた口調で喋る姉は、ルビィの記憶を辿っても観たことがない。
それほど動揺しているということだろうか。
そのまま部屋から出ていってしまい、部屋に静寂が取り戻される。
???「こんにちは」
「うひぃ!?」
ナイン「人は私をナインと呼びます、どうぞよろしく」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/17(金) 16:27:56.95 ID:0DdbjQLo0
ナイン「目を覚ましたようですね、原村麻衣さん」
記憶を遡ってみても、目の前の少女には見覚えがなかった。
そして彼女は、前世の私の名前を呼んだ。
これはアレだ。
物語でありがちな
『すまん、ワタシの手違いでお前を殺してしまった』テヘペロッ!
というやつだ。
ナイン「何を考えているのか走りませんが、概ねその通りです」
「私は、トラックに跳ね飛ばされたはず……?」
ナイン「ええ、現世での肉体を失ったあなたは……どうしました?」
髪の毛が赤い。
ナイン「ああ、髪ですか? それは当然でしょう」
そして目の前の少女は銀髪だ、これはなにかおかしい。
ありえない。
ありえなさすぎる……!
ナイン「ここは物語の世界ですからね」
気が遠くなった。
ナイン「アニメ版、G's版、シーサイドダイアリー版、それぞれありますが、
この世界はあなたの世界にあった、ラブライブ!サンシャイン!!の世界です」
世界言い過ぎやで。
ナイン「現世で肉体を失った麻衣さんを不憫に思った私は、
その魂をちょうど儚く終えることになった黒澤ルビィに転生させ……どうしました?」
「いや、ところどころ記憶があやふやになるのって……もしかして……」
ナイン「ああ、原作での設定がない部分でしょうね」
「やっぱりー!?」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/17(金) 16:46:33.46 ID:0DdbjQLo0
ラブライブ!サンシャイン!!なる物語は知らないけど
本を読むのが好きだった私は空想の世界に浸ることが多かった。
まさかあの時主人公になりきる……
「黒澤ルビィってラブシャの主人公なの?」
ナイン「ラブシャて、その問いに対する答えはNOです」
「えー!? こういうのってさ! たいてい私が主人公になって世界を蹂躙するのが
ご都合主義的な世界において、世界のあり方を変える、たった一つの冴え方やり方じゃないの?」
ナイン「世界言い過ぎやで」
急な関西弁!?
ナイン「麻衣さんをルビィに入れたのはそうしなければならない都合があったからです」
「都合?」
ナイン「この世界は今、崩壊の危機にあります」
え、この世界そんな殺伐とした世界だったの?
記憶を反芻してみても、心当たりがない。
ナイン「この物語は、高海千歌によって集められた9人の少女、Aqoursが廃校寸前だった
浦の星女学院をその危機から救い、ラブライブなる大会で優勝するサクセスストーリーです」
「は、はあ……」
ナイン「しかし、9人のうちのひとり、黒澤ルビィが物語開始前に死亡……これが何を意味するのかはわかりますね」
確かに。
9人組のユニットで9人揃わなかったら物語として成立しない。
ナイン「全国のラブライバーは悲嘆に暮れ、自殺者は急増、悲しみに暮れた世界は滅びます」
ラブライバーすげえ!
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/17(金) 17:42:52.52 ID:0DdbjQLo0
ナイン「ラブライブ!を失った世界……想像するに恐ろしい……」
そんなバカな。
ただのオタ系文化の1コンテンツでしょうに。
……いや、私が知らないだけで大衆向けコンテンツなのか?
○ザエさんとかドラ○もんとかと同じような?
ナイン「とまあ、そんな冗談はともかく」
「冗談なのかよ!」
ナイン「この世界での生活をできるだけ私もサポートいたします、麻衣さんを
無理やり転生させた手前、何かイレギュラーな事態が起こっても困りますから」
「えと、私は一体何をすればいいわけ?」
ナイン「ひとまずAqoursを結成するために、高海千歌をサポートしましょう、もちろん陰ながら」
「なんで? 諸手をふってAqoursっていうのを作らせるために行動すれば良いんじゃないの?」
ナイン「そういう訳にはいかないのです……よろしいですか、Aqoursのメンバーは9人」
「ふむ」
ナイン「尺の都合でルビィばかりが活躍することは許されないのです」
しゃくぅ!?
ナイン「麻衣さんの行動は、現実世界におけるラブライブ!サンシャイン!!の世界に大きく影響します
アニメ、G's、ドラマCD、シーサイドダイアリーなどの世界……パラレルワールドのラブライブ!サンシャイン!!に
ラブライブ!は多くの世界観で構成され、正史と呼ばれるものが存在しませんが
それでも多くの人が認知する、廃校阻止、ラブライブ、μ's、Aqoursの物語が存在します
その世界観に、麻衣さんの行動は多分に影響するのです」
な、なんか頭くらくらしてきた……熱のせいかな?
ナイン「まあ、なにはともあれ、レッツ転生ライフ!」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/17(金) 17:54:22.31 ID:0DdbjQLo0
ダイヤ「ルビィ……! ルビィ! 起きなさいルビィ!」
「ふぇ……?」
ダイヤ「ああ、よかった……まったく、今日は入学式なのですよ? そんな日から寝坊をしそうになるなんて
気が抜けているにもほどがあります。いいですか、わたくしが面倒を見るのは今日まで
高校一年生になったのだから、身の回りのことはきちんと自分でするように!」
「お、お姉ちゃん……」
ダイヤ「なんですの?」
「お、おはよう」
ダイヤ「おはようございます」
「う、うん……」
ダイヤ「まだ気が抜けていますの? 顔を洗って、制服に着替えれば少しはましになるかしら?
まったく本当にグズね貴女は。起きられます? 手を引っ張ってあげないといけませんか?」
「だ、だいじょうぶ、顔、洗ってくるね!」
ダイヤ「ああ、そんなドタバタと……まったく、慌てん坊なところは注意しないと治らないんですから」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/17(金) 18:01:40.93 ID:0DdbjQLo0
夢じゃない!
私、黒澤ルビィになってる!
そしてちょっと時間が巻き戻ってる!
――ナインの姿を見かけないけど、アレはきっと霊的存在だから背後霊観たくくっついているに違いない。
顔を洗って、朝食をとるための部屋に向かうと、私はさっそくむせた。
ナイン「おはようございます、お姉ちゃん、大丈夫ですか?」
「げほっ! げほっ! なんでここにいるのよ!」
ナイン「なんでここにいるんですか、ですよ、麻衣さん」
「……サポートするって言っても、アレだよ? マスコットみたく、キーホルダーとかに変身してもいいんだよ?」
ナイン「そんな非効率的な、私もこの世界を楽しみたいのですよ」
それが本音か。
ダイヤ「あら、サファイア、先に食べてもいいと言いましたのに」
ナイン「朝食はみんなで食べたほうが美味しいのです」
ダイヤ「それはまあ、そうですが、こらルビィ、ぼさっとしてないでさっさと自分の場所に座りなさい!」
「は、はい!」
私が朝食を食べ始めると、素知らぬ顔で同じように食事をするナインを見ながら
後で絶対しつこく事情を聞いてやると、心に誓うのだった。
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