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【安価】勇者「勇者になってみっか……」
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63 :
◆9adxNUF.8s
[saga]:2017/11/19(日) 00:18:05.93 ID:N71AOo7n0
〜翌朝・はじまりの街〜
轟音。砂煙。怒号と悲鳴。
飛び散った城壁の欠片が整然と並んだ民家を次々と破壊してゆく。
曇天の下、姿を現したのは一人の少年……ではなく、山のように巨大な二足歩行の怪物だった。
怪物は歩くだけで何もしないが、それだけで甚大な被害が出ている。
国王「なんじゃ、あれは! 背中から青い電磁波のようなものが出ておる!」
次の瞬間、怪物が蒼白い光線を放った。凄まじい衝撃波が街の家屋を木っ端微塵に撃ち砕く。空へ舞い上がる火災旋風。
地獄絵図を目にした国王は、さっそく大臣らを集め、巨大不明生物特設災害対策会議を開いた。
国王「わずか数分にして、城下町のほとんどが焼き尽くされた。避難すらままならん。将軍、どうすればあの怪物を倒せる」
将軍「そもそも、あれは魔族なのですか? 私は長年、前線基地で軍配を振り続けていましたが、あのような化け物は知りませぬ」
宰相「だが現に街を襲っておるではないか。貴殿も蒼白い光線を見ただろう。数万もの尊き命が失われた。人間に仇なす者は、全て魔族に決まっておろう」
科学者「化学班が調べたところ、体内に熱核反応があるようです。つまり、古代技術との関連性が高いでしょう。古代、核を利用した原子炉や兵器が多数、作られていたと文献には残っていますしね。さらに、先人はあの怪物を破壊の化身『GODZILLA』と呼んでいたそうです」
国王「ゴジラ……」
将軍「私の出る幕はなさそうだな」
国王「将軍、貴様には陽動の任務を与える。ゴジラを引き付け、隙を作るか城下町から追い出すのじゃ」
64 :
◆9adxNUF.8s
[saga]:2017/11/19(日) 00:48:02.74 ID:N71AOo7n0
その後、沈黙したゴジラに化学班がバリスタやカタパルト、大砲に中距離弾道ミサイルなどありとあらゆる攻撃をしかけたが、効果はなかった。
ゴジラ自身が超耐久を誇るのもあるが、その前に何やらバリアのようなものを張っており、弾がことごとく跳ね返されてしまうのだ。
再び蒼白い光線が、燃え盛る城下町を薙ぎ払った。
科学者「あのバリア、気になりますね……」
一方、将軍はゴジラを城下町から引き離すため、陽動作戦志願兵を500人ほど集め、100人隊、10人隊と細かく分けていた。
それぞれに隊長がついており、鏑矢を用いて位置を確認し合うのである。
将軍「陽動だからといって、ただ逃げればいいというわけではない。ゴジラを挑発し、おびき寄せねばならん」
500名の決死隊を前に、将軍は語る。
将軍「生き残ることも、死ぬことも考えるな。ただ任務を遂行する、それだけを頭に入れておけ」
将軍「化学班でも手に負えなかったのだ。弓と剣しか扱えぬ我らでは、勝負にすらならないかもしれん。しかし、ここで軍が立ち上がらずして誰が民をゴジラから守る。誰が国家を守る。答えなど、決まっているだろうが」
将軍「皆の者、健闘を祈る」
将軍は馬の背にまたがると、腹を蹴った。辛うじて災厄を免れた東門から、500頭の馬が列をなして駆けてゆく。
将軍「散開せよ!」
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/19(日) 00:55:40.39 ID:ttJu9Ke4o
(あ、これシンじゃねーや)
66 :
◆9adxNUF.8s
[saga]:2017/11/19(日) 19:01:38.22 ID:N71AOo7n0
エアロスミス(やめてくれ、僕は国王に会いに来ただけなんだ。街を破壊しようとなんてこれっぽっちも考えていない!)
身体に泥を塗っていたら、ゴジラになってしまった。
人類を魔族から救うつもりが、これはまるっきり逆ではないか。
気を緩めると、ついつい口から荷電粒子砲のようなものが放たれてしまう。
エアロスミス(ダメだ、国王にお目通りを願う状況じゃない。ひとまず洞窟に戻ろう。どうしようもないよ)
エアロスミス(……おや?)
エアロスミスは、瓦礫の間に挟まって身動きの取れない少女を見出した。
両手首に枷が嵌められており、背中には奴隷であることを示す焼き印があった。
エアロスミス(奴隷として連れてこられ、酷い扱いを受け、最期は瓦礫に潰されて死ぬ。なんて可哀想な人生なんだ)
エアロスミス(罪滅ぼしのつもりじゃないけど、ここで彼女を助ければ、ひとつの命が救われるんだ。見殺しには……できない)
エアロスミスは長い尻尾で少女の倒れている地盤ごと持ち上げた。
エアロスミス(この子を山賊のところまで連れて行こう)
ズズーン……
ズズーン……
国王「見よ、ゴジラが去ってゆくぞ! やった……人類は救われたのだ! 将軍よ、貴様に終身独裁官の座を与える!」
宰相「ちょ、ちょっと待ってください。それでは、私の立場がありません」
国王「知るか! 貴様は死刑!」
宰相「え、ええ〜……」
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