【安価コンマ】箱庭系萌えソシャゲの世界へ異世界転移Part2【オリジナル】

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496 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/22(水) 00:21:54.94 ID:Zqj25LGco

湯から上がった後、あなたは二階のバルコニーでのんびりとしていました。

時刻はこれから夕暮れを迎えようかという所。
残念ながら西向きのバルコニーでは無いため直接夕日を楽しむ事は出来ません。
しかし、徐々に赤く染まっていく丘を眺めるのも中々乙な物です。

それに、こうしていると中々面白い物も良く見えます。

例えば丘の一角を走り抜ける二台の自転車は、ルシュとロコでしょう。
あなたと対する時とは違い、スピードを競っている様子はありません。
ただ単に風を切って走る楽しさを二人で共有しているのでしょう。
あるいはもしかしたら、二人だけの内緒話でもしながら、という事もあるかも知れません。

運良く見つけられれば良い暇つぶしになるのはスピナです。
彼女の移動は軌跡がまるで一定せず、次に何をするかが予想できません。
サクランボの木を眺めていたかと思えばおもむろに登ってみて昼寝の姿勢に入り。
どうにも寝難かったのか降りたかと思えば、風車小屋に使われているレンガを数えにかかります。
もしかしたらこうするか、という予測が正解だった事は二度あるかないかです。


遊戯室のように分かりやすい楽しみではありません。
ですがここも十分良い場所だと、あなたは気付いたのです。
497 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/22(水) 00:28:31.61 ID:Zqj25LGco

ポットごと持ち込んだヒゲ茶を一口。
あなたの午後は優雅に過ぎていきます。

と、そこに突然の来客がありました。


「おにいさま、見て!」

「できあがったの!」


ちっちゃい双子姉妹、さくらとちえりです。

今日はちょっと普段と違った装いでした。
先日、ツバキを召喚した日に相談していたものでしょう。
可愛らしく華やかな、サクランボの花を模様にした着物……というよりも浴衣です。

二人はその場でくるくる回り、あなたからのお褒めの言葉を待ちました。
目は期待にまみれ、顔は楽しさに綻び、何と返って来るかを分かりきっている表情でした。

勿論、あなたがそれを裏切る訳がありません。


「うん、良く似合ってる。
 さくらもちえりも、凄く可愛いよ」
498 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/22(水) 00:38:34.86 ID:Zqj25LGco

わぁっ、と二人は同時に喜びました。
顔を見合わせあってきゃいきゃい騒ぎはじめます。


「ちえり、きいた? かわいいんだって!」

「きいたわ、さくら。 かわいいっていった!」


もう止まりようの無い上機嫌。
あなたが座った椅子の周りをくるくる走り、あなたの目を回させました。

ですが、更に二人を可愛くする物が届きます。


「あ、あのっ、さくらさん、ちえりさんっ。
 これ、これもつけないとっ」


わたわたしながら走ってきたのはツバキでした。
きっと彼女が着させてあげていたのです。
手には髪飾りらしきものが二つ。
勿論、言葉の通り双子の髪を飾るのでしょう。

追加と聞いて、二人はぴたりと止まりました。
元気に駆け寄り、されるがままにツバキの手を受け入れます。

そうして出来上がったのは二人の天使でした。
浴衣と髪色、そして髪飾りが完全に一体となり、さくらとちえりの魅力を最大限に引き出しています。
499 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/22(水) 00:49:35.40 ID:Zqj25LGco

あなたが先程よりも声のトーンを上げて賞賛すると、二人はえへんと胸を張りました。

皆にも見せてくる。
そう宣言して、凄い勢いで階段を駆け下りていきました。

あなたはそれを苦笑で見送ります。
あの様子では、誰かを探している内にどこかしらが崩れてしまう事でしょう。
最初に会った相手にズレを直してもらう姿が目に見えるようでした。

……さて、さくらとちえりは去りました。
となればこの場に残っているのは、当然二人だけ。


「あ、ぇと……こんに、ちは」


置いていかれて戸惑うツバキと、バルコニーの先客であるあなたです。

どうしたものか。
少し考えて、ちょうど良い物が目の前にある事に気付きます。
ヒゲ茶です。
流石にポット一つを一人で、というのは無理がありました。
正直、持て余し気味だったのです。


「うん、こんにちは。
 良ければだけど、一緒にお茶でもどうかな。
 ……あぁ、お茶っていってもヒゲ茶だけど」


誰かが突入してくる事態に備えて、カップは多めに用意してあります。
ツバキが頷いてくれさえすれば、そのまますぐに初められる態勢です。

出来たら受けてほしいなぁ、とあなたは祈るように見守り。
か細い声と共に上下に動いた頭に、よしっと内心で拳を握りました。
500 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/22(水) 00:55:24.28 ID:Zqj25LGco

ツバキはあなたの対面に座りました。
早速ヒゲ茶を注いだカップを受け取り、一口。


「……ぁ、美味しい」


思わず、といった具合に零れた言葉に、そうだろうそうだろうと頷きます。
トウモロコシのヒゲで淹れたそれは確かに本当のお茶ではありません。
ですがこれまで、あなた達の団欒と常に共にあったのです。
不味いわけがないのです。


更にもう一口を啜るツバキを前に。
あなたは、さて、と考えました。

ツバキはどうやら弱気で、酷く臆病な子のようです。
あなたが何もしなければ話題を出すのは難しいでしょう。
ここはあなたからまず動くのが良いだろうと、何かしらきっかけは無いかと自身の内に問いかけます。



>>下1  何か話題や行動をどうぞ (何も無ければ、沈黙を選べば問題なく進行します)
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/22(水) 01:07:13.79 ID:t+F9XFWxO
バルコニーから見える景色について
502 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/22(水) 01:09:58.98 ID:Zqj25LGco
ねむし
ごめんなさい、続きはまた明日で
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/22(水) 01:14:42.77 ID:LM9547f/o
おやすみ
504 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga sage]:2017/11/22(水) 19:37:02.53 ID:Zqj25LGco
今日は遅くなってます
多分やるとしても10時
もしかしたら無理かも
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/22(水) 19:54:10.76 ID:H7ATpQvr0
おk
リアル大事
506 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga sage]:2017/11/23(木) 18:41:18.39 ID:QfiED4J8o
遅くなって申し訳ないです
9時からやります
507 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 21:01:11.94 ID:QfiED4J8o

あなたは視線を動かしました。

見つめる先は、周囲の景色です。
すぐ下には畑を望み、その先には遥か地平線まで続く緩やかな丘。
所々に小規模な林……というよりも、幾らかの木々の集合と呼ぶべきものがある程度。

人によっては寂しいと言うかも知れません。
ですが、あなたにとっては愛すべき絶景でした。
牧歌的なのどかさはまさしく欲していた物に他なりません。
また、これから先の平穏な暮らしを暗示してくれているようで、何だか幸せな心地になってきます。

ですから自然と、ツバキへと投げかける話題は決まりました。


「ツバキは、ここからの景色は好きになれそう?」


その問いに、ツバキはおどおどとしました。
小さく肩を震わせて、慌てたようにカップを置きます。
口に含んだ分を飲み込むタイミングを見計らったのはどうやら正解です。
この様子では下手に話しかけただけでむせかねません。
508 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 21:11:43.12 ID:QfiED4J8o

思わずあなたが苦笑するとツバキは恥じるように少し俯きました。
それでもすぐに顔を上げて、あなたへと返答します。


「は、はい、とても。
 寝る前にいつも、ここに来てるんです」


おや、とあなたはちょっと嬉しくなりました。
同じ物を「良し」と思ってくれている事に一つ。
未だ短いここでの生活の中で、早速楽しみを見つけてくれている事にもう一つです。

これは良いきっかけでしょう。
あなたはこの話題を続ける事にしました。


「それは良かった。
 俺もここは好きでさ。
 皆が楽しくしてるのが良く見えるし、どこまでも広がってそうな丘も見応えがあるしね」


あなたの言葉は勿論本音です。
精霊達の姿を見るのは言うまでもなく。
地平線までの丘というのもあなたにとって貴重でした。

なにせ、あなたは日本で暮らしていたのです。
どこへ行っても建物ばかり。
一切遮る物が無い、などという光景は余程の田舎にしかありません。
山さえ見えないという条件をつけるなら、それこそ北海道にでも足を伸ばさねばなりませんでした。

憧れと言ってしまって良いでしょう。
それはそれは、どれだけ眺めていても飽きるという事が無いのです。
509 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 21:23:40.80 ID:QfiED4J8o

さて、では対してツバキはどうでしょうか。
彼女はこの景色のどこをそんなに、毎晩眺める程に気に入ってくれたのか。
あなたは当たり前に問いかけました。

ツバキはその問いに、静かに立ち上がりました。
そうしてバルコニーの端で手すりを掴み、見下ろします。


「えと、私は……あの畑が一番、凄いと思います」


はにかんだ顔で、ツバキは言いました。
頬は僅かに赤く染まり、どこか興奮した様子です。

あなたはそれに釣られ、隣に立ち、同じように眼下を見下ろします。
今は収穫を終え、茎や葉も土に還り、茶色い土しかありません。
にも関わらずツバキは素晴らしいのだと賞賛していました。

良く分からず首をひねるあなたです。
だってそこにあるのは、酷く見慣れたいつもの畑でしか無いものですから。

その疑問は、本人がすぐに解決してくれました。


「だって……あれが、たくさんの人を救ったんですよね?」
510 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 21:34:08.07 ID:QfiED4J8o

あぁ、とあなたは納得しました。
同時にどこか抜けていた自分を僅かに自嘲します。

最近はすっかり平和だったせいでしょう。
ほんの少し前までこの土地を覆っていた物の事をすっかり忘れていました。

ツバキの言うとおり、畑こそがこの聖域の中心。
多くの民を絶望から救い上げた、救済の象徴なのです。


「凄いなぁ、って。
 見るたびにいつも思うんです。

 やっぱり、皆さんは特別な人達で。
 お手伝いが出来るのが、その、とっても光栄だなぁ……って」


えへへ、と。
ツバキはどこか恥ずかしそうに言いました。
そうして自分の胸の前を両手で押さえて、この生活に感じている喜びをあなたに伝えました。
511 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 21:35:12.13 ID:QfiED4J8o

そんな彼女に、あなたは一つ伝えなければなりません。

とてもとても大事な事。
ツバキがどうにも気付いていないらしいそれを、あなたは言葉にしました。



『選択肢』


◆ ツバキもその一員になるんだ

◆ 誰も特別なんかじゃない

◆ 手伝いだけなんて勿体ないよ

◆ その他(自由記述)


>>下2
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 21:37:15.25 ID:UJ6CeltX0
誰も特別なんかじゃない
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 21:37:44.48 ID:DB+qSKpC0
誰も特別なんかじゃない
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 21:38:00.39 ID:dSexrpYDO
ツバキもその一員になるんだ
515 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 21:55:46.50 ID:QfiED4J8o

「特別な誰かなんて、ここには居ないよ」


あなたはそう思いの丈を伝えます。
ゆっくりと、ツバキの中へ確かに届くようにと。


「えっ、で、でも、人を救うなんて本当に、凄い事で……」


ツバキは納得いかない様子です。
それもまぁ、そうでしょう。

事実として、あなたは特別です。
女神様の目に叶い、救済を役として背負った数少ない御使いなのです。
そんな者が特別ではないなどと吹いた所で説得力には欠けるでしょう。

ですが、あなたは言い張ります。


「誰も特別なんかじゃない。
 みんな、当たり前の事なんだ」
516 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 22:14:49.89 ID:QfiED4J8o

事実として、あなたは知っています。

例えば、銀の髪をなびかせる、あの貴族の少女。
高い身分の生まれであるという他に特別な力を持たない彼女が、己が身と心をどれ程削って民を生かし続けたか。
まるで先の見えない暗闇の中、吹き出る血を抑える術も無くただ拭う事しか出来ず。
それでも決して歩みを止めずに進み続け、あなたの降臨までの時を稼ぎ出したか。

それを知ってなお、自分が特別だからと驕る事など出来ようもありません。
力を持たない者が懸命に、本当に命を賭けて辿り着いた今。
たまたま力を持った者が手を引き救い上げるのは、きっと当たり前の事なのです。


それに、とあなたは苦笑しました。

ロコも、スピナも、さくらも、ちえりも。
そしてやってきて日の浅い残りの四人も。
みんな普通……とは若干言い難い所もありますが、大体普通の女の子です。
天上人のような手の届かない何かではありません。


あなたはそっと、ツバキに微笑みかけました。
自分を下に、周りを上に。
そんな風に置いてしまう事は無いのだと。


「大丈夫。
 みんな、ツバキと何も変わらないよ」
517 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 22:25:35.49 ID:QfiED4J8o

その言葉に、ツバキはしばし戸惑ったようでした。
困り果てたように着物の袖を弄り、視線をさ迷わせます。

そうしてしばし。
静かに言葉の咀嚼が終わるのを待っていたあなたへと、ツバキは口を開きます。
では、と。


「……だとしたら、私にも。
 皆さんみたい、に……出来るん、でしょうか」


自信は無く。
それでも御使い様の言う事ならもしかしたらと。
俯いて顔を隠しながら。

そんな彼女に、あなたは確信を与える事としました。

離れていた距離を詰めるために、一歩。
そうしてツバキの肩に、あなたは手を添えました。


もう片方の手は優しく顎へ。
勿論、目を瞑るようにとの言葉も忘れずに。

それで、あなたが何をするつもりか分かったのでしょう。

ツバキは顔を急激に赤くして、ぎゅっと目を閉じ……ほんの少し触れるだけのあなたのキスを受け入れました。
518 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 22:36:17.94 ID:QfiED4J8o

……生まれた種を手に、あなたはツバキを窺います。

マトではないですが、まるでトマトのようでした。
耳まで真っ赤に染めて、あわあわとしています。

何だか久しぶりの罪悪感を感じなくもないですが、幸い彼女に嫌がる様子はありません。
むしろ、本当にできてしまった、という風です。
役目を果たせる事に対する喜びが大きすぎて混乱しているのだろうと、あなたには読み取れました。


そんなツバキの手をあなたは引きました。
浮き足立って抵抗も出来ない彼女を連れ、階段へ。


「あ、あのっ、どこへ……?」


向かう先は勿論畑です。
あなたは平然と返しました。

既に今日の種まきは終わっています。
本来空いたスペースは無いのですが、少しぐらいならば許容もできます。
畑のどこか隅っこに、明日は茶の木を生やすとしましょう。

ツバキと他の精霊の間に、変な垣根など存在しない。
その事を分からせるためには必要な事ですから。
519 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 22:53:20.88 ID:QfiED4J8o

翌日。
見事に育った葉を、あなた達は皆で摘みました。
蒸して、煎って、午後のひと時を初めての緑茶と共に楽しみます。

その最中、ツバキはあなたにそっと微笑みかけてくれました。
ありがとうございます、と、そこには含まれていたのでしょう。
あなたもまた、笑みに言葉を篭めて返しました。

ツバキがこの家に馴染んでいくための一助にはなれた事でしょう。
ホッと息を吐く安堵は、懐かしい緑茶だけが齎すものではありません。

よかったよかった。

あなたは頷き、茶を啜ります。
今日も平和で茶が美味い。
全くもって良い日々でした。


ですので。

ソファに座るあなたに寄り添おうとして、さくらとちえりに先を越され。
おろおろとしてから別のソファにしょんぼりと腰を落ち着けた所は、きっと見なかった事にしてあげるべきなのでしょう。
520 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 22:53:53.34 ID:QfiED4J8o

■ 好感度上昇判定


パーフェクトコミュニケーション!

最低保証好感度 +7


>>下1 コンマ下一桁が更に加算
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 22:54:39.61 ID:DB+qSKpC0
ツバキちゃんかわいい
522 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 22:57:03.65 ID:QfiED4J8o

『ツバキ』

10 + 1 + (7+1) = 19
523 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 23:04:04.51 ID:QfiED4J8o

■ 10月 月末



「こちら、今月のまとめです」


あ、はい。
そう言うしかないあなたは、ルシュから数枚の紙を受け取りました。
キッチリした読みやすい字体で、今月領内に起こった変化がまとめられています。

エラの報告を事前にルシュが噛み砕き、簡便にした資料です。
専門の教育を受けた事の無いあなたにも一読で理解できるようになっていました。

流石敏腕秘書。
あなたはそう唸る他ありません。
ありがとう、とのあなたの言葉にいえいえと頭を下げて、緑髪の優等生は去っていきます。


さて、肝心の内容についてです。
あなたが読み進めるのに合わせて、対面に座ったエラが説明をしてくれました。


「まず施設に関してですが、牧場の建設計画が進んでおります。
 領内には既に幾らかの羊や馬が流入し、その有用性を知る者も増えました。
 民の間からも飼育・繁殖を是非試みたいとの声が聞かれます。

 自然の緑も復活してきている今ならば、何とか可能でしょう。
 私としましても、この流れは後押ししたいと考えております」


背筋を伸ばしたエラはいつもの引き締まった表情ですが、どことなく嬉しそうに見えます。
きっと、民自身が今後の展望に対して意見を上げられるようになってきた事が喜ばしいのでしょう。
この銀髪の少女貴族がどれ程に領民思いかは、あなたもこれまでに十分知っている事です。
524 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 23:07:46.00 ID:QfiED4J8o

「次に作物です。
 こちらは新たに大豆の栽培研究が開始されました。
 ですが残念ながら、調味料への加工に関しては予定にありません。

 ショウユにミソ……でしたか。
 それらは未だ価値を知る者が少ないようです。
 現在では栽培に成功したとして、通常の豆として食されるに留まるでしょう」


あなたは僅かにガッカリします。
が、それはそうだろうな、との納得もあります。

何せ、醤油も味噌も余りに独特な風味なのです。
どちらもこの辺りの人々が慣れている訳も無く、浸透には時間がかかるに違い有りません。
今はただ大豆の生産体制が整い始めている事だけで良し。
その内に価値を知ってもらえるはずだと、元日本人であるあなたは考えました。




「文化面でも多少の変化がございました。
 にわかに創作活動が人気を博しております。
 中心となっているのは楽団の一部の人員による弾き語りですね。
 今は特に、建設中の大聖堂前で詠われる恋物語が好評だと聞き及んでいます」


……そして、次の話題にあなたは顔を熱くしました。
エラは触れませんでしたが、その恋物語というのはきっとあなたにも関わりある事でしょう。

もしかすれば、というかもしかしなくとも。
エラが精霊達から聞き出した話を民に浸透させるため、何やら手を回しているのかも知れません。
525 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 23:08:14.10 ID:QfiED4J8o

その後の部分は、やや難しい話になりました。
ルシュの作成した資料のおかげで何とか理解できるそれは、難民流入や交易の収支に関する物です。

どれ程の人数が入ってきたか。
どこの町、あるいは村にどれ程振り分けたか。
これによる食料消費量の変化や、配給の運搬コストやら。

あるいは交易を担う商隊の規模変化。
商材、つまりは作物の売れ行きや販売後にどう利用されているかといった情報。
代表者の各所感なども付記されています。

正直な話、良く分からない事も多くあります。
それでも僅かでも深く理解できるよう、あなたは必死に努めました。
526 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 23:09:17.75 ID:QfiED4J8o

「――お疲れ様でございました。
 報告は、以上となります」


エラのその言葉に、あなたは体から力を抜きます。

今月も乗り切れました。
難しい話は苦手中の苦手ですが、今の所は何とかなっています。

不敬にならない範囲で可能な限り言葉を崩し、理解できるまで根気強く付き合ってくれるエラ。
それを更に小さく噛み砕いて並べなおしてくれるルシュ。
この二人以外が相手だったならと考えて、思わず身震いするあなたです。
527 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 23:10:24.94 ID:QfiED4J8o

さて、報告が終わったならば、最後の用件です。

エラはあなたの前に跪き、頭を垂れました。
前月と同じく、あなたの求める所を知るべく、言葉を待っています。





■ 領主への要望



>>下1 何かを要求しますか? (要求する場合は内容を指定して下さい、デメリットはありません)
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 23:11:54.45 ID:9j32gPBH0
何も要求しない
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 23:22:29.16 ID:dSexrpYDO
遅かった…
獲得金貨量+を要求したかった
530 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 23:23:32.17 ID:QfiED4J8o

あなたは何も求めない事にしました。

今、特に切羽詰って必要な物はありません。
正確には幾らか「あれば良いなぁ」という類はあります。
が、わざわざエラ達に何らかの重荷を負わせる程では無いのです。


「御使い様のお言葉、確かに賜りました」


しかし、エラは若干落ち込んだ様子でした。
一見普段通りに見えますが、ほんの僅か自身を責めるように力が篭もった手をあなたは見逃していません。

自分たちが力不足であるために、御使い様は命を下さらない。

そんな風に考えている可能性が濃厚です。
あなたは少々フォローを入れなければならないと考えました。
531 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 23:35:23.00 ID:QfiED4J8o

エラ達は十分に良くやってくれている。
努力に努力を重ねている者に、更に尽力せよと言う事が果たして正しいのか。
とてもそうは思えない。
こちらに不足している物は無いのだから、君達の時間は自分達自身を労わるために使うべきだ。

そんな感じの事をあなたはエラに告げました。


「……御身の、っ。
 御身の慈悲に、深くっ、感謝いたします」


あ、ちょっとまずいかも。

そう気付いたあなたですが少々遅すぎました。
エラの手は更に固く固く握り締められ、血が流れないかと心配になるほど。
声には明らかに涙が混じり、もうこれ以上ないのではないかというレベルでエラの心を揺らしてしまったようです。

あなたの間違いない本心だったのですが、直接伝えるべきでは無かったのでしょう。
気遣いにオブラートを、というちょっとおかしな配慮をするべきでした。



忠誠を一段と深めた銀色の少女は、涙を拭いて退出しました。
どうやら来月からは、更に気疲れする時間となるようです。
彼女の期待と信仰を裏切る訳には参りませんので。

反省の溜め息を一つ吐きながら、あなたは一人冷め切った緑茶のカップを持ち上げるのでした。



■ 要望受諾

何も起こりません。
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 23:36:55.47 ID:DB+qSKpC0
求められない事が逆に苦痛か…。
533 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 23:45:24.51 ID:QfiED4J8o

■ 11月 月初イベント


月は替わり、11月。
いよいよ寒さも本格的な物になってきました。

話によると、この辺りでは冬には雪が降るそうです。
毎日積もる程ではないという話ですが、畑仕事も防寒着無しでは難しくなるでしょう。
ともすれば雪かきの必要にかられるかも知れません。

ですが家の中は大丈夫そうです。
どっしりした作りの壁は断熱が驚く程しっかりしております。
そうそう簡単には冬の寒さも通らないでしょう。

また、妖精達が「ふゆじたくサービス」と称して立派な暖炉を作ってもくれました。
これでもう何も心配ありません。



と、その暖炉を見て、あなたは思い出しました。

暖炉といえば煙突。
冬の煙突といえば……そう、赤白の服のあの人です。
534 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 23:54:58.73 ID:QfiED4J8o

どうやらこの世界にはクリスマスという物が無いようです。
十字架の宗教におけるあの偉い人が生まれていないのですから当然といえば当然でしょう。

ですが勿論、あなた達が独自にやってはいけないという理由にはなりません。
何かプレゼントを用意したり、パーティーのための準備を進めたり。
町で探すか、エラに頼むか、はたまた遠方から取り寄せるか。
あなたはうきうきとした気分で今後の予定を考えました。

いっそこの際、こんなイベントもあるのだと発信してしまうのも有りです。
領主代行たるエラの手を借りれば、事は簡単に進むに違い有りません。
特に、これは御使い様主導となるのです。
民はこぞって盛り上がる事でしょう。


クリスマスは12月の末。
準備には少々早い気もしますが、なに、遅いよりは良いというものです。
前の世界には慌てんぼうの何とかさん、という歌もあったのですから。



■ 新規クエスト発生


◆ サブクエスト 『メリークリスマス!』

12月4週目を迎える。
イベント発生までにどんな準備をしたかで内容が変化します。
535 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/23(木) 23:57:16.15 ID:QfiED4J8o

さて、浮かれ心地のあなたに声をかける者がありました。

いつもの女騎士です。
お馴染みの彼女は何やら、あなたの元へ急ぎ駆けてきます。

何やら報告があるようですが……?



>>下1 コンマ判定
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 23:57:28.72 ID:CGC/mpm2o
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 23:57:39.43 ID:DB+qSKpC0
538 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:07:03.74 ID:swc8pzL/o

報告は良い物でした。

なんでも、難民達の一部で互助のための組織が作られているそうです。
領主に手を引かれるままを良しとする事無く、早急に自分たちの足で立ち上がれるようにと。

今はまだ大きな効果は上がっていないようですが、幾らかの効果はあるそうです。
一番大きいものは彼らが自分達の状態を正しく把握・申告できるようになった事。
これが配給や医師の派遣の効率改善にどれだけ寄与するかは言うまでもありません。

全くもって、この領地は良い事ばかりが起きています。

これも女神様の思し召しか。
いや、さては御使い様が何やら魔法でも使ったのでは?
明るい表情で冗談を交し、あなた達は肩を叩きあったのでした。



■ 領地状況改善

『生活』 および 『健康』 の自動減少量が一ヶ月間 『1』 軽減されます。
539 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:11:32.83 ID:swc8pzL/o

■ 11月 1週目


◆ 領地状況

『生活』 ☆☆☆☆
『健康』 ☆☆☆☆☆
『嗜好』 ☆
『文化』 ☆☆


◆ 作付状況(4/4) 拡張費用 『2000金貨』

『畑@』 トウモロコシLv7   生活+4 文化+1  70金貨/週
『畑A』 ホウレンソウLv10  健康+7 文化+1  80金貨/週
『畑B』 トマトLv6       健康+3 文化+2  70金貨/週
『畑C』 サクランボLv6    嗜好+3       60金貨/週


◆ 待機作物リスト

キャベツLv4    健康+2             50金貨/週
アスパラガスLv1  健康+2             40金貨/週
カカオLv1      健康+1 嗜好+3 文化+1  65金貨/週
お茶Lv1       健康+2 嗜好+2        50金貨/週


◆ 精霊リスト(8/9) 拡張費用 『2000金貨』

『ロコ』        N+   トウモロコシの精霊    好感度 75/100
『スピナ』      R+   ホウレンソウの精霊    好感度 100/100
『さくら&ちえり』  R    サクランボの精霊     好感度 60/60
『ルシュ』      N    キャベツの精霊      好感度 48/60
『マト』        R+   トマトの精霊         好感度 60/100
『ラスペル』     R    アスパラガスの精霊   好感度 10/60
『ショコラ』     SSR  カカオの精霊       好感度 10/60
『ツバキ』      SR   お茶の精霊        好感度 19/60


◆ フレンドリスト

『南方の御使い ユーリ』   欧風文化 友好度37
『草原の御使い フィオ』   ??文化  友好度30
『山岳の御使い レーヴェ』 ??文化  友好度10
『離島の御使い イブキ』   ??文化  友好度23


◆ 倉庫

『981金貨』


◆ 家具

『三人がけソファセット』
『源泉掛け流し露天風呂』 ※ 混浴解禁 ※
『ひろびろダイニングテーブル』 ※ パーティー解禁 ※
『精霊をダメにするクッション』
『アロマディフューザー』
『快適ダブルベッド』 ※ ピロートーク&朝チュン解禁 ※
『大容量本棚』
540 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:12:11.00 ID:swc8pzL/o

■ 今週の領地変動 / 詳細


◆ 領地状況

『生活』 僅かに成長しました。
『健康』 現状を維持しています。
『嗜好』 現状を維持しています。
『文化』 成長しました。


◆ 嗜好品(自領)

『トウモロコシ』を用いた酒造りが研究されています。
『サクランボ』の栽培が行われています。
『タコス』が流行しています。


◆ 嗜好品(流入)

『砂糖菓子』が高級贅沢品として極一部で取引されています。
『サトウキビ』の栽培研究が行われています。
『チーズ』が高級贅沢品として極一部で取引されています。
『醤油』が高級贅沢品として極一部で取引されています。
『味噌』が高級贅沢品として極一部で取引されています。
『大豆』の栽培研究が行われています。


◆ 文化(自領)

『運動場』が整備されています。
『猫の居る広場』が整備されています。
『彫金細工』が流通しています。


◆ 文化(流入)

『楽団』が小規模な活動を行っています。
『劇場』の建設計画が議論され始めています。
『牧場』の建設計画が議論され始めています。
『創作活動』が一部で始まっています。
『羊毛』が僅かに流通しています。
『農耕馬』が僅かに利用されています。
541 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:12:38.25 ID:swc8pzL/o

■ 待機イベント一覧


◆ メインクエスト 『聖域は愛に満つ』
『生活』が☆☆☆以上
『健康』が☆☆☆以上。
『嗜好』と『文化』の合計が☆☆☆☆☆☆以上。
精霊の好感度の合計が500以上。
上記の条件を満たした状態で月末を迎える。


◆ サブクエスト 『南方の御使い-2』
「南方の御使い ユーリ」の友好度が60以上。
上記の条件を満たした状態で週を跨ぐ。


◆ サブクエスト 『鋼の少女』
「領主の館」への外出回数が2回以上(0/2)
「?????」を召喚済み。
上記の条件を満たした状態で月末を迎える。


◆ サブクエスト 『愛の日、その顛末』
「ショコラ」を召喚済み。
上記の条件を満たした状態で、2月2週目を迎える。


◆ キャラクタークエスト 『褐色の誘い』
「ロコ」の好感度が80以上。
「快適ダブルベッド」を購入済み。
上記の条件を満たした状態で、ロコとの混浴を行う。


◆ キャラクタークエスト 『楽園の夜』
「スピナ」の好感度が80以上。
「快適ダブルベッド」を購入済み。
上記の条件を満たした状態で、スピナとの交流を行う。


◆ キャラクタークエスト 『わかってきたわ、わかってきたの』
「さくら&ちえり」の好感度が40以上。
サクランボを作付している。
上記の条件を満たした状態で、さくら&ちえりとの交流を行う。


◆ キャラクタークエスト 『目には目を、歯には歯を』
「ルシュ」の好感度が40以上。
「ルシュ」の召喚から1ヶ月以上が経過している(8月3週召喚)
上記の条件を満たした状態で、ルシュとの交流を行う。


◆ キャラクタークエスト 『トマトが赤くなると?』
「マト」の好感度が80以上。
家にバルコニーが存在する。
上記の条件を満たした状態で、マトとの交流を行う。


◆ キャラクタークエスト 『泰然自若』
「ラスペル」の好感度が40以上。
過去にウリボーの被害が発生した事がある。
上記の条件を満たした状態で、ラスペルとの交流を行う。


◆ キャラクタークエスト 『罪深き者』
「ショコラ」の好感度が40以上。
カカオを過去に作付した事がある。
町に「牧場」が建設済み。
町に「羊毛」が流通している。
上記の条件を満たした状態で、ショコラとの交流を行う。


◆ キャラクタークエスト 『こんな私にも出来る事』
「ツバキ」の好感度が40以上。
ツバキ「以外」の精霊の好感度が、全員20以上。
精霊の総数が「5人」以上。
「ひろびろダイニングテーブル」を購入済み。
上記の条件を満たした状態で、ツバキとの交流を行う。
542 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:13:34.46 ID:swc8pzL/o

■ 条件達成済みイベント一覧


◆ キャラクタークエスト 『楽園の夜』

「スピナ」の好感度が80以上。
「快適ダブルベッド」を購入済み。
上記の条件を満たした状態で、スピナとの交流を行う。


◆ キャラクタークエスト 『わかってきたわ、わかってきたの』

「さくら&ちえり」の好感度が40以上。
サクランボを作付している。
上記の条件を満たした状態で、さくら&ちえりとの交流を行う。


◆ キャラクタークエスト 『目には目を、歯には歯を』

「ルシュ」の好感度が40以上。
「ルシュ」の召喚から1ヶ月以上が経過している(8月3週召喚)
上記の条件を満たした状態で、ルシュとの交流を行う。
543 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:19:52.49 ID:swc8pzL/o

■ 行動選択 / 交易


その日の夜、あなたは自室で机に向かいました。
今月の交易をどうするか、考える時間です。

前月は中々良い結果に終わりました。
領地に流れ込んだ文化と嗜好品は、悪くない成果を出しています。

また、交易相手にも十分喜んでもらえたようです。

特に好評だったのはホウレンソウでした。
すっかり絆の深まったスピナとの間に生まれた種は、今やちょっと目を剥く程の味と栄養を備えた作物となるのです。
フィオとイブキからの感謝の書状には、決して社交辞令では有り得ない賞賛が綴られていました。



◆ 作物レベルによるボーナス友好度加算

『フィオ』

30 + 10 = 40

『イブキ』

23 + 10 = 33
544 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:21:56.39 ID:swc8pzL/o

それを踏まえて、さて今月はどうするかをあなたは決定します。


◆ フレンドリスト

『南方の御使い ユーリ』   欧風文化 友好度37
『草原の御使い フィオ』   遊牧文化  友好度40
『山岳の御使い レーヴェ』 ??文化  友好度10
『離島の御使い イブキ』   和風文化  友好度33


>>下1  交易する相手を 「0〜2名」 選択してください
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 00:22:58.51 ID:PRVlvYqk0
フィオ レーヴェ
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 00:23:15.68 ID:XRAoR/UNo
レーヴェ、イブキ
547 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:26:26.29 ID:swc8pzL/o

■ 交易作物の決定


◆ 作付状況(4/4) 拡張費用 『2000金貨』

『畑@』 トウモロコシLv7   生活+4 文化+1  70金貨/週
『畑A』 ホウレンソウLv10  健康+7 文化+1  80金貨/週
『畑B』 トマトLv6       健康+3 文化+2  70金貨/週
『畑C』 サクランボLv6    嗜好+3       60金貨/週


◆ 待機作物リスト

キャベツLv4    健康+2             50金貨/週
アスパラガスLv1  健康+2             40金貨/週
カカオLv1      健康+1 嗜好+3 文化+1  65金貨/週
お茶Lv1       健康+2 嗜好+2        50金貨/週
548 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:26:53.25 ID:swc8pzL/o

>>下1

畑を「2つ」選択して下さい。
この場で作付変更をした上で指定する事も出来ます。
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 00:29:21.81 ID:XRAoR/UNo
ホウレンソウ、トウモロコシ
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 00:30:28.62 ID:hmW3fORDO
ホウレンソウ トマト
551 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:39:44.40 ID:swc8pzL/o

※ 友好度に差がある場合は、最終的な合計金額がより高くなるように振り分けられます ※



■ 交易計算式 / ホウレンソウ

基礎金額 : 80 × 4 = 320

評価倍率 : Lv10 × 5% = 50%

友好倍率 : 友好度 = 40% (高い方を採用)

最終金額 : 320 + 50% + 40% = 608



■ 交易計算式 / トウモロコシ

基礎金額 : 70 × 4 = 280

評価倍率 : Lv7 × 5% = 35%

友好倍率 : 友好度 = 10% (低い方を採用)

最終金額 : 280 + 35% + 10% = 406



■ 交易開始

『1014金貨』 を獲得しました。

一ヶ月間、フィオとレーヴェの文化が流入します。
552 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:42:22.34 ID:swc8pzL/o

■ 11月 1週目


◆ 領地状況

『生活』 ☆☆☆☆
『健康』 ☆☆☆☆☆
『嗜好』 ☆
『文化』 ☆☆


◆ 作付状況(4/4) 拡張費用 『2000金貨』

『畑@』 トウモロコシLv7   生活+4 文化+1  70金貨/週  ※ 交易中 ※
『畑A』 ホウレンソウLv10  健康+7 文化+1  80金貨/週  ※ 交易中 ※
『畑B』 トマトLv6       健康+3 文化+2  70金貨/週
『畑C』 サクランボLv6    嗜好+3       60金貨/週


◆ 待機作物リスト

キャベツLv4    健康+2             50金貨/週
アスパラガスLv1  健康+2             40金貨/週
カカオLv1      健康+1 嗜好+3 文化+1  65金貨/週
お茶Lv1       健康+2 嗜好+2        50金貨/週


◆ 精霊リスト(8/9) 拡張費用 『2000金貨』

『ロコ』        N+   トウモロコシの精霊    好感度 75/100
『スピナ』      R+   ホウレンソウの精霊    好感度 100/100
『さくら&ちえり』  R    サクランボの精霊     好感度 60/60
『ルシュ』      N    キャベツの精霊      好感度 48/60
『マト』        R+   トマトの精霊         好感度 60/100
『ラスペル』     R    アスパラガスの精霊   好感度 10/60
『ショコラ』     SSR  カカオの精霊       好感度 10/60
『ツバキ』      SR   お茶の精霊        好感度 19/60


◆ フレンドリスト

『南方の御使い ユーリ』   欧風文化 友好度37
『草原の御使い フィオ』   遊牧文化  友好度40
『山岳の御使い レーヴェ』 ??文化  友好度10
『離島の御使い イブキ』   和風文化  友好度33


◆ 倉庫

『1995金貨』


◆ 家具

『三人がけソファセット』
『源泉掛け流し露天風呂』 ※ 混浴解禁 ※
『ひろびろダイニングテーブル』 ※ パーティー解禁 ※
『精霊をダメにするクッション』
『アロマディフューザー』
『快適ダブルベッド』 ※ ピロートーク&朝チュン解禁 ※
『大容量本棚』
553 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 00:54:46.37 ID:swc8pzL/o

■ 11月 1週目



あなたの部屋に、控え目な、しかし確かな水音が響きました。

音の出所は……おっと、これはちょっと言えません。
ただ確かな事は、音が一つ鳴る度にあなたが身を悶えさせている事。
それと、あなたの手が真っ赤なツインテールの頭を撫でている、という事。

あなたが撫でると赤い少女、マトはより行いを深くし。
そして、少しずつあなたを追い詰めていくのです。

「あの日」からこちら、時折見られる光景でした。
羞恥心の強い彼女は未だ最後までに踏み切る事は出来ていません。
その代わりにと言うのでしょうか。
一歩手前まではこうして許してくれています。

というよりも、嬉しそうというか楽しそうというか。
随分上達した手管は、早くもスピナ顔負けでした。
554 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 01:02:16.07 ID:swc8pzL/o

「ん、く。
 うへぇ、いがいが」


今日もまた、あなたはあっさり崖から追い落とされました。

顔を上げたマトは何かを飲み下します。
その感触に顔を歪めながらも、滲み出る達成感は隠しきれていません。
今にも「ふふん」だなんて言いそうな、ドヤ顔ならぬドヤ雰囲気でした。


「……ほら、今度はそっちな。
 じゅ、順番じゃん?」


そうして、後始末までを済ませると今度はあなたの脚の間に座ります。

これから与えられる物への期待でしょう。
体中をほんのり赤く染めて、瞳は早速潤み始めていました。

勿論あなたが断る訳がありません。
ゆるゆると、小さな―― 一部はやたら大きな――体を包むように腕を回します。
555 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 01:06:15.14 ID:swc8pzL/o

と、そこに思わぬ邪魔が入りました。


「主様、今日も……あら?」


扉をガチャリと開けて、さも当然のように現れたスピナです。
ノックも何も無し。
明らかに季節にそぐわない薄着で、自分の枕まで携えての登場でした。

あなたの腕の中からは、ぴぃっ、という妙な悲鳴。
致し方の無い所です。
そういう気分になっていた姿を乱入者に目撃されてはそうもなります。


それから数瞬を空けて、再起動したマトは慌てて身を整え、扉に突撃しました。
556 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 01:15:50.10 ID:swc8pzL/o

「きょ、今日は私の番だから!
 スピナは帰って! 自分の部屋で寝よう! な!」

「あ、はぁ……私はご一緒でも大丈夫ですよ?」

「んなっ……!
 こっ、こっちはダメだから! ほんとに帰って!」


そうでしたか、ダメでしたか。

しょんぼりと萎びたスピナはそれで帰ってくれました。
本気で嫌がっている相手に無理強いをするようなスピナでもありません。
部屋の中には、焦りからの興奮で息を荒くするマトと、それを微笑ましく見守るあなただけが残りました。


うー、と声を上げるマトがあなたに振り向きます。

では続き、とは行きません。
先程までの雰囲気は、ちょっと壊れてしまいました。
修復には幾らかの時間とが必要となるでしょう。

それまでを色を含まない触れ合いで過ごすのも悪くありません。
マトは元々、色々と愉快な女の子なのです。
きっと少しの退屈も感じません。


おいでと手招くあなたに近付きながら、マトはぶつぶつと愚痴を零します。
その中に本気の怒りが含まれてはいない事を確認して、あなたは安堵しつつマトの飛込みを受け入れました。

艶っぽく、けれどどこか間の抜けている。

今日はどうやら、そんな一夜となりそうでした。
557 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 01:17:55.37 ID:swc8pzL/o

■ 好感度自動上昇

『ロコ』

72 + 3 = 75

『マト』

57 + 3 = 60


◆ 作物レベル上昇

トマトLv6  健康+3 文化+2  70金貨/週
558 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 01:23:13.92 ID:swc8pzL/o

■ ログインボーナス


明けて翌朝。
ちょっと女の子としてどうかと思う寝相で枕に涎まで垂らすマトを置いて、あなたは部屋を出ました。
向かう先は勿論、礼拝堂です。


「おはようございます、ご主人様。
 今日も良い天気で、素敵な一日となりそうですよ」


そこに居る先客にもすっかり慣れました。
黒い修道服は今日も皺の一つも無く、貞淑かつ清楚な様です。
二者の落差にあなたは少しおかしくなりました。

そんなショコラと共に、あなたは今日も朝の祈りを捧げます。



>>下1 コンマ判定
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 01:24:49.88 ID:PRVlvYqk0
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 01:29:25.31 ID:hmW3fORDO
ゾロ目か
561 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 01:34:47.61 ID:swc8pzL/o

祈る二人の間に、ぽとりと何かが落ちました。

はて今日は何かと、あなたが視線をやると。
そこにはなんと仄かに光を放つ種が落ちていました。
精霊召喚の触媒となる「輝く種」です。

喜びに声を上げたショコラがすぐにしゃがみ、それを拾い上げます。
そうしてあなたの手を包むように種を渡しました。


「おめでとうございます、ご主人様!
 あぁ……日々の祈りを欠かさない姿を、母なる女神様は見守って下さっていたのですね」


我が事のように喜ぶショコラは、あなたの手を取ったまま踊り出しそうな程でした。
幸福そうな溜め息を吐く彼女が冷静になるまで、まだ幾分かかりそうです。
あなたの手が解放されるのも、勿論その後となるのでしょう。

まぁそれも良いか。
嬉しそうな顔が見れるのは、それこそ嬉しい事であるのだし。

あなたはそう考え、しばらくのんびりと成すがままにされるのでした。



■ アイテム獲得

『輝く種 x1』
562 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 01:42:22.27 ID:swc8pzL/o

■ 精霊召喚 / 種


手に入ったばかりの種を前に、あなたはむむむと唸ります。

これを早速使うかどうか。
あなたは選択を迫られておりました。


この種は極普通の召喚を行うための物です。
レアリティの下限はノーマルから。
空き部屋が一つしかない現状で使用すべきかどうかは判断の分かれる所でしょう。

ただ、ノーマルレアリティの精霊が不足している事も事実です。
生活の根幹となる日々の主食。
そこをロコのトウモロコシにだけ負担させている現状、むしろノーマルは歓迎すべきかも知れません。

特に、もし運良く同じ穀物類の精霊を引き寄せられれば生じる波紋は大きな物となるはずです。


慎重に慎重を重ねて考え、熟考の末にあなたは結論を出しました。
563 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 01:43:05.20 ID:swc8pzL/o

◆ 倉庫

『輝く種 x1』 (ノーマル〜)



『選択肢』


◆ 精霊を召喚する

◆ 今回はやめておく

◆ ○週間保留する (2〜4週間の自由指定 保留中はこの選択が発生しません)


>>下2
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 01:43:46.76 ID:NsUXqEV70
精霊を召喚する
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 01:45:09.30 ID:hmW3fORDO
566 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 01:52:08.35 ID:swc8pzL/o

※ 時間がアレなので、急ぎコンマだけ取って詳細は明日書きます。



■ アロマディフューザー


『選択肢』


◆ ノーマル (通常50% → 80%)

◆ レア (通常35% → 50%)

◆ Sレア (通常10% → 20%)

◆ SSレア (通常5% → 10%)

◆ 確率変更無し


>>下1
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 01:54:31.98 ID:hmW3fORDO
ノーマル
連取りダメなら安価↓
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 01:55:59.33 ID:XRAoR/UNo
のーまる
569 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 01:56:05.11 ID:swc8pzL/o

※ 平気平気 ※


01〜80 ノーマル
81〜90 レア
91〜95 Sレア
96〜00 SSレア

>>下1 コンマ判定
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 01:56:42.37 ID:NsUXqEV70
そい
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 01:58:03.57 ID:XRAoR/UNo
ほいさ
572 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 02:07:39.08 ID:swc8pzL/o

01〜10 コメ
11〜20 ミレット
21〜30 ジャガイモ
31〜40 ひよこ豆
41〜50 大豆
51〜60 小豆
61〜70 小麦
71〜80 キャッサバ
81〜90 ソバ
91〜00 カラスムギ


>>下1 コンマ判定
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 02:08:06.66 ID:XRAoR/UNo
えい
574 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 02:10:13.89 ID:swc8pzL/o
穀物御三家のコムギちゃん御当選。

ではここまでで。
おやすみなさい。
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 02:13:51.50 ID:XRAoR/UNo
乙〜

個人的にだけど最近ちょっと表現やりすぎっていうかギリギリ狙い過ぎじゃないかなーと思うので
もちっと控えるというかオブラートに包んでくれると嬉しいっす
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 02:31:38.45 ID:hmW3fORDO
乙です
幼馴染風田舎娘キター
>>1の文章力でさくちえとの営みは個人的に怖いもの見たさな部分はある
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 04:07:47.27 ID:wCrC1vy+o
びみょんなようならもう片方に移って描写このままとかでもいいのです
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 08:23:06.14 ID:Kkfso4ie0
エスカレートしそうならバッサリキンクリしてそこだけR板で書くとか?

そんなことよりうどんが食えるやったー!
579 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 13:06:19.99 ID:swc8pzL/o
(冷静に考えてやりすぎだったので自重スイッチを入れる音)

ご意見ありがとうございます。
今日は8時からやります。
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 14:35:56.71 ID:LCUTZuRl0
主人公が吹っ切れたあたりから次第にエスカレートしてた感はあるね。個人的にはもう少し葛藤フェイズ見たかったな……
581 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 20:01:50.31 ID:swc8pzL/o
葛藤フェイズは書いてる方も楽しかったんですけど長くやると苛立ちを生みかねないっていうアレが。
このスレではストレス要素を可能な限り排除しようとしてるので何とも難しいです。



ちょっと30分ほど遅れます、申し訳ない。
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 20:23:24.82 ID:X/v/TtkVo
マタ-リと待機
583 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 20:37:46.33 ID:swc8pzL/o

「……で、またこれですか?」


ルシュはじっとりとした目で、あなたを見ました。
その手が指差す先にはアロマディフューザー。
前回のように盛大に蒸されると思っているのでしょう。

あなたは慌てて否定しました。
流石に10個で取り囲むのはやりすぎだったと反省しているのです。

もうあんな風にはしない。
今回は地下の四隅に配置するだけ。
あなたは弁解し、何とか矛を収めてもらいます。


そうして、皆で地下の召喚陣前に集まりました。

あなた達は、現在ちょうど十名です。
それなりに広く作られた地下もそろそろ手狭ではあります。
ですが、折角召喚された新しい仲間を全員で迎える事には小さくない意味もありましょう。
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 20:38:54.60 ID:oNAlH84Q0
ストレス排除しようとして自分にストレス溜めないでね?(`・ω・´)つ旦スッ
585 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 20:40:59.09 ID:swc8pzL/o

「――――」


四方にアロマディフューザー。
後方に精霊達。
召喚準備を整えたあなたは、種を乗せた手を突き出した状態で瞑想しました。

消すべきは煩悩。
より良い結果を引き寄せたいという願いこそを悪と定義し、まず滅ぼす。
かの名高き物欲センサーを騙し切る事を主眼とした不惑の瞑想こそが無欲教の真髄なのです。


やがて訪れた、完全なる空白の一瞬。
思考が全くの無に溶けた瞬間に、あなたの掌から種が零れ落ちました。


余りにも緩やかな時の中。
種が落ち、そして発せられた光は――。
586 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 20:43:48.32 ID:swc8pzL/o

地下の空間は、柔らかく発せられた銅の光に塗り潰されました。
レア以上を示す甲高い音は無し。
つまりはノーマル、最も普遍的な種の精霊を引き当てたようです。

それにこそ、あなたは「良し」と拳を握りました。
丁度もっとも不足していたレアリティです。
生活の根幹を支える穀物や芋、豆類。
そういった物はどれだけあっても困りません。


さて、となれば一体誰が来たのか。
あなたは光の中に目を凝らしました。
587 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 20:54:00.11 ID:swc8pzL/o

「――お待たせっ」


光の中から真っ先に届いたのは、快活な言葉でした。

明るく弾むように。
あるいは軽く背を叩くように。

初めて出会うはずであるというのに、何故でしょうか。
その声は十年来の親友に対するような親しみを篭めて投げかけられました。


たたん、と。
軽快な足音に続いて、その姿が現れます。

ふわりと靡く白いワンピース。
柔らかく流れる亜麻色の髪。
それを隠すように覆うのは、大きな麦藁帽子。

息を呑むような麗しさはありません。
目を見張るような可憐さもありません。
それでも、あなたはそこにある美しさをただ理解します。


新しい精霊は帽子を外して胸に抱き。
ニカッと相好を崩して、あなた達に名を告げました。


「麦の精霊、コムギ。
 呼んでもらえたからやってきました!

 これからよろしくね?」


そこに居たのはどこまでも普遍的な。
きっと誰もが思い描けるであろう、当たり前の少女像でした。
588 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 21:14:14.21 ID:swc8pzL/o

さて、いつも通りの一階です。
今回少し違うのは、歓迎の準備が完璧に整っていた事でした。

種を使うと朝に決め、収穫を終えて今は午後。
呼ぶとわかっていて時間もあるなら歓迎会だとのロコの号令で、諸々用意されたのです。
地下に入る前に殆どを終わらせておいて、再度温めた物が次々に並べられました。


「わー、すっごいね!
 どれも美味しそう!」


コムギが手を叩いて喜びます。
その横にはツバキもいました。
更に挟むようにラスペルとショコラも。
未だそれらしい歓迎会をしていなかった三人もまとめて今日の主役です。

彼女達の前には様々な料理がどどんと。
ほかほかと湯気を立てるそれらは今日までの努力の賜物。
畑で取れた野菜は勿論、交易で得たチーズやバターや調味料。
それらをフルに活用した、今のあなた達が出来る最大の贅沢です。


長々と話をして折角のご馳走が冷めてはもったいない。
話は食べながらすれば良いと乾杯の音頭はごく短く、あなた達は各々のカップを掲げました。
589 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 21:37:48.06 ID:swc8pzL/o

「ねぇ、そのぼうし見てもいい?」

「わたし、とっても気になるわ!」


楽しく進む食事の中、最初にコムギへと突撃したのは最も幼い双子でした。
椅子の脇に置いてあった麦藁帽子に興味津々の様子です。

精霊達は殆ど皆、妖精から購入した服で着飾るのに凝っています。
日頃からブレザー姿を崩さないルシュ、着物のツバキ、修道服のショコラの三人が今の所の例外です。

さくらとちえりは、その中でも筆頭と言って良いでしょう。
日々全く違った衣服を纏い、様々なファッションをこれでもかと楽しんでいます。
幼くとも女の子。
興味だって人一倍のようです。


「もっちろん、いいよー。
 こっちおいで、被せてあげる」


コムギの方もそれに快く応じます。
ぱたぱた駆け寄ったさくらの小さな頭を、すっぽり帽子が覆いました。
サイズが合わずズレていくのを、コムギは後ろから支えます。


「ちえり、どう? にあってるかしら?」


得意げに片目を瞑るさくらに、ちえりとコムギはちょっと微妙な表情。


「さくら、なんだかキノコみたい」


流石にサイズ違いではどうしようもありません。
ぷぅと膨れるさくらを、笑いながらなだめるコムギでした。
590 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 21:51:35.07 ID:swc8pzL/o

それを皮切りに、話は少しずつ盛り上がっていきました。

騒がしい日々の楽しさ。
時々起こるちょっとしたトラブルの刺激。
当たり前の家族の生活も、十人の女の子達の手にかかれば何だか夢物語のようです。

一つ一つは紛れも無い真実。
だというのにまとめて聞いてみれば、現実味の無い御伽噺じみていました。

そこまで考えてあなたは苦笑します。
じみている、というかまさにその物ではありませんか。
何せここは楽園だと、あなた自身いつだったか自覚していたのですから。


「あっ、御使いさん。
 何か取る?」


と、その時。
コムギがあなたに手を伸ばして言いました。

それにあなたは少しキョトンとし、気付きます。
確かに、ちょうどバターコーンを食べきっていました。
お代わりが欲しいけれど大皿が遠く、立ち上がろうとした所であったのです。


「うん、じゃあそれを取ってもらっていいかな」


どうやら良く気の利く子です。

取ってもらった新しいバターコーンを匙で掬いながら眺めていると、同様の光景は何度かありました。
どちらがホストか分からない程に周囲を見ています。
それを、どうもコムギは負担と感じてはいなさそうです。
勿論、無理をしてあなた達の中に溶け込もうという風でもありません。

生粋の気遣いの人なのだなと、あなたは納得しました。
591 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 22:14:17.92 ID:swc8pzL/o

食事を終えても、歓迎会は続きました。

今のあなた達の家には遊戯室があるのです。
親睦を深めるにはうってつけでしょう。

ダーツで的を外す度に。
ポーカーで読みを外す度に。
ビリヤードで玉を明後日の方向に飛ばす度に。
コムギは分かりやすく嘆きました。

ただそれは陰性ではなく陽性の嘆き。
笑いを誘うおどけた様に、距離はますます縮まった気がします。


そうしてたっぷり遊んだ末に、皆で裸の付き合いとなりました。

一日の締めは何と言っても露天風呂。
かがり火以外に何の明かりも無い野外では、夜になれば驚く程星がよく見えます。
体をふにゃふにゃにしてしまう心地良い温泉の中から見上げるのはまさしく最高の贅沢なのです。
これを味合わずに聖域を楽しんだとは言えません。


ただ勿論、そして残念な事にあなたはそこに参加できません。
手持ち無沙汰になった唯一の男はただ一人、食卓に戻って後片付けです。
本格的なものは後で皆でやりますが、触りでもやっておくと色々楽になるでしょう。

そこへ。


「御使いさん、御使いさん。
 ちょっといい?」


ひょっこりと、コムギが一人で戻ってきました。
592 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 22:23:31.27 ID:swc8pzL/o

はて、何でしょう。
あなたは片付けの手を止め、向き直りました。


「ちょっと考えたんだけど思いつかなくって。
 御使いさんの事、これからどう呼べばいいかな?」


そういう用件のようです。

てっきり御使いさんで呼ばれるものと思っていましたが、彼女の中では違ったのでしょう。
あくまで暫定の呼び名であったようです。


「ロコはロコだし、ルシュもルシュだし。
 さくらちゃんにちえりちゃん。
 スピナさんはピーちゃん呼びが気に入っちゃったみたいだし……冗談のつもりだったんだけど」


ぺろっと舌を出しておどけるコムギです。

他の皆には敬称無し。
中にはあだ名も早速つけているのに一人だけ「御使いさん」はどうかと思ったようでした。
593 : ◆qwMXGMSbw5bw [saga]:2017/11/24(金) 22:30:07.50 ID:swc8pzL/o

自分がどう呼ばれたいか。
他の精霊を参考にするとなると。


旦那様。
主様。
ご主人様。
御使い様。
お兄様……お兄ちゃん、お兄さん?


むむむ、とあなたは唸りました。
いざ聞かれると中々迷うものです。

それでも何とか思考をまとめ、何でもいいよー、と待つコムギへとあなたは返答しました。



>>下2  希望する呼び名を指定して下さい。
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 22:31:37.25 ID:PRVlvYqk0
ミッちゃん(御使いだから)
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 22:34:22.41 ID:+uCVXdTC0
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