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【モバマス】龍崎薫「せんせぇはやさしいのに……」
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40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 14:41:09.99 ID:oa2CQTedO
>>39
訂正
P「ええ、ブライダルモデルを頼みたい。人選はそちらに任せる、とのことでした」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 15:05:33.11 ID:oa2CQTedO
ちひろ「(な、何て間の悪い!)」
ちひろ「(でも、ここで反応しちゃいけない。何も知らないフリをしないと……)」
ちひろ「大人組に頼んでみてはどうです? 和久井さんや川島さんとか」
P「先方は、出来れば母性がある方が良いとか何とか言っていまして……」
ちひろ「それはまた……何とも漠然とした注文ですね。母性のない女性なんていないでしょうに」
P「そうですね。ですから、見た目は柔和で優しそうな方に頼もうかと思っていました」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 15:08:30.37 ID:oa2CQTedO
ちひろ「(なるほど、見た目『は』ですか)」
ちひろ「(プロデューサーさんの中で大人組に対する見方は出来上がってしまったようですね。悪い意味で……)」
P「あ、そうだ。千川さんがやってみます?」
ちひろ「えっ!? 無理無理!無理ですよ! 大体、私はアイドルじゃないですから!」
P「冗談ですよ」サラリ
ちひろ「……分かりにくい冗談は止めて下さいよ。というか、冗談言うんですね」
P「冗談くらい言いますよ。僕を何だと思っているんですか?」
ちひろ「(ちょっと突っ込んでみよう)仕事には真面目だけど、付き合いが悪くて取っ付きにくい人。ですかね」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 15:14:44.97 ID:oa2CQTedO
P「………」ピクッ
ちひろ「(あっ、これは駄目なやつだ! ど、どうしよう、怒られーーー)」
P「あははっ!」
ちひろ「(えっ?)」
P「それはよく言われます。最近は別部署の方に付き合いが悪いと言われたばかりです」
P「あまりお酒が飲めないので遠慮しているだけなのですが、そう見えるのでしょうね」
ちひろ「………」ポカーン
P「?」
ちひろ「……笑ってる顔、初めて見ました」
P「そうですか?」
ちひろ「そうですよ」
P「以前、千川さんに打ち解けるように言われてからは態度を改めたつもりだったんですが……」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 15:43:31.96 ID:oa2CQTedO
ちひろ「(そうだったんだ)何か変わりました?」
P「……そうですね。あ、そう言えばこの前、三村さんにシュークリームを頂きました」
ちひろ「へ〜、良かったじゃないですか。他の子はどうですか?」
P「渋谷さんは犬の写真を見せてくれましたね。神谷さんには最近のアニメを教えてもらったり」
P「北条さんには爪に何かを塗られそうになったので逃げました。彼女なりの冗談だったようですが……」
ちひろ「あら、見ない間に随分と仲良くなったんですね」
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 15:48:53.97 ID:oa2CQTedO
P「自分でも意外に思います」
P「あまり近付くと鬱陶しいかと思い、極力干渉しないようにしていたんですが……分からないものですね」
ちひろ「(そんな風に考えていたんだ……)」
ちひろ「(人付き合いが下手。なわけではないんだ……なら、何で今まで……)」
ちひろ「(と言うか、初めてプロデューサーさんの本音を聞いた気がする。印象変わるなぁ)」
P「……皆、個性的で良いアイドルです」
P「堂々とステージに立つ姿を見ていると、とても誇らしく思います」
ちひろ「今の言葉は、是非本人達に言ってあげて下さい。きっと喜びますよ」
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 18:28:38.14 ID:8HaQXbL9O
P「それはもう少し大きなステージに立ってからにします。満足されては困りますから」
ちひろ「少しくらい褒めても満足しませんよ。言いたいことは、きちんと言わないと駄目です」
P「そうかもしれませんね。ですが、言わなくて良いこともあります」
P「後先考えずに口にした言葉が、誰かを深く傷つける結果になるかもしれない」
P「言葉は、大事にしないと駄目です」
ちひろ「(……これは例の一件を言っているのかしら。それとも、プロデューサーさん自身の心構え?)」
P「さて、そろそろ仕事の話に戻しましょうか」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 18:30:39.75 ID:8HaQXbL9O
IDが変わっていますが
>>1
です。続きを投下します。
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 18:36:02.74 ID:8HaQXbL9O
ちひろ「そ、そうですね」
P「ブライダルモデルの件ですが、本来であれば三船さんに頼んでいるところです」
P「ですが、今の状態では先方が納得するような仕事は出来ないでしょう」
ちひろ「(惚けよう)私は適任だと思いますよ。何故、美優さんでは駄目なんですか?」
ちひろ「大人組と何かあったようですが、薫ちゃんのお陰で仲直り出来たじゃないですか」
P「………」
ちひろ「(ちょっと露骨だったかな)」
ちひろ「(でも、プロデューサーさんの本心を知りたい。そうすれば、彼女達をフォロー出来るかもしれない)」
ちひろ「(自業自得とは言え、あんな顔を見るのは私も辛い……)」
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 18:39:08.61 ID:8HaQXbL9O
P「詳しくはお話出来ませんが……」
ちひろ「それでも構いません。話して下さい」
P「……過ぎたことだから気にしないようにと言ったんですが、上手く伝わらなかったようです」
P「僕自身はもう気にしてはいないのですが、どうも彼女達の方が重く受け止めているようで……」
ちひろ「(本当に困ってる。じゃあ、昼間に思ったことは私の勘違い?)」
P「そう考えると、昼間の握手は強引でしたね。もう少し話してみるべきだったかもしれません」
ちひろ「(やっぱり、あれは私の勘違いだったんだ)」
ちひろ「(プロデューサーさんは、本当に仲直りするつもりで握手をしたのかしら?)」
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 18:40:49.75 ID:8HaQXbL9O
ちひろ「……あの、何で握手をしたんですか?」
P「あの時に握手をしなかったら、薫が泣いていたかもしれないので……」
ちひろ「(優しい人で良かった。あいさんはあんなこと言ってたけど、気にしすぎですよ)」
P「千川さん?」
ちひろ「はい、聞いてますよ。彼女達には、私の方からそれとなく話してみます」
P「本当ですか? 助かります……」ペコリ
ちひろ「いえいえ」
ちひろ「それで、他にブライダルモデルの候補はいるんですか?」
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 18:43:30.55 ID:8HaQXbL9O
P「安部さんはどうでしょうか?」
P「他の子と比較すると、母性と言うか安心感や安定感が桁違ーー」
ちひろ「菜々さんは17歳です。菜々さんにはまだ早いですよ」
P「……そうでしたね。千川さんは誰が良いと思いますか?」
ちひろ「そうですねぇ……母性、母性ですか……う〜ん……」
ちひろ「あっ! でも、イメージ的にこのお仕事はちょっと合わないかも……」
P「構いません。思い浮かんだのは誰ですか?」
ちひろ「えっとーーー」
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 18:50:34.84 ID:i+vxjs1SO
17歳240ヶ月
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 19:06:44.64 ID:L6kAax1VO
ちゃま
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 19:16:20.96 ID:8HaQXbL9O
翌日朝 事務所
あい「……君は本気。いや、正気かい?」
P「ええ、僕は正気で本気です」
あい「自分で言うのも何だが、私が持たれているイメージを分かった上で言っているのかな?」
P「勿論です。僕は、これは東郷さんの可能性を拡げる良い機会だと考えています」
P「この雑誌はファッション誌に近い。より多くのファンを獲得出来るはずです」
P「正直に言うと意外性を狙っている部分もあります。ですが、それだけではありません」
あい「どういうことかな?」
P「これを見て下さい。千川さんにお借りしたものです」スッ
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 19:18:06.95 ID:8HaQXbL9O
あい「私と薫の写真? これがどうかしたのかい?」
P「千川さんはこの写真を見て、貴方に母性を感じたと言っていました。それで東郷さんにーーー」
あい「君は」
P「?」
あい「君はどう思う? 先方は母性ある女性と言ったのだろう?」
あい「プロデューサーである君は、私が適任だと本気で思っているのか。私はそれを聞きたい」
P「本気です」
あい「……分かった。そこまで言うなら引き受けよう」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 19:30:54.13 ID:8HaQXbL9O
P「ありがとうございます」
あい「……何かしらの形で詫びをしなければ、私の気が済まないからね」ポツリ
P「何か?」
あい「いや、何でもないよ。それより、これから顔を見せに行くのかい?」
P「ええ、出来るだけ早い内に衣装合わせなどをしたいとのことなので……急で申し訳ありません」
あい「構わないよ」
P「では、行きましょう。昼前には着くはずです。ところで、朝食は?」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 19:35:20.11 ID:8HaQXbL9O
あい「……えっ?」
P「何か変なこと言いましたか? 朝食は食べましたかと聞いただけですが……」
あい「い、いや、まだ食べていない」
P「そうですか。では、途中で何か買いましょう。血色が悪いと印象も悪いでしょうから」
あい「…………」
P「どうしました?」
あい「何でもない。勝手に勘違いしただけさ。さあ、そろそろ行こう」ツカツカ
P「そうですね。千川さん、ちょっと出ます。何かあれば連絡して下さい」
ちひろ「は、はい、分かりました。気をつけて」
ガチャ パタン
ちひろ「……あの二人、大丈夫かしら。何もないといいけど……」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 20:41:33.96 ID:8HaQXbL9O
移動中 車内
P「………」
あい「………」
P「………」
あい「……薫から聞いたよ」
P「薫から? 何をですか?」
あい「彼女達と握手して仲直りしたそうじゃないか」
P「仲直り出来たかどうか分かりませんが、握手はしましたね」
あい「……本当に許したのか、それともその場限りのことなのか。そこを聞かせてくれないか」
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 20:56:42.76 ID:8HaQXbL9O
P「許すも何も、なかったことです。彼女達は何もしていない、僕も何も言っていない」
P「傷付けた人間も、傷付いた人間もいない。それで終わりです」
あい「君は感情を表に出すのが苦手なのか? それとも感情を表に出さないようにしているのか?」
P「……今日は、よく喋りますね」
あい「君という人間が分からないからだよ。信頼関係とは理解することから始まる。違うかい?」
P「他人の過去を知りたがるのも理解したいからですか? 僕には配慮の足りない好奇心とかしか思えませんでしたよ」
P「それから、僕の過去が信頼関係の構築に繋がるとは到底思えません。違いますか?」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga sage]:2017/11/12(日) 21:06:24.34 ID:i+vxjs1SO
好奇心は猫をも殺す
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 21:08:58.57 ID:8HaQXbL9O
あい「それはーーー」
P「僕は、東郷さんの過去の恋愛に興味はありません。東郷さんだけでなく、アイドル全員です」
P「僕と貴方達アイドルは家族でも友人でも恋人でもない。これは、仕事です」
P「もし仮に、僕の過去が皆さんの人気向上に繋がるのであれば、喜んでお話ししますよ」
あい「っ、聞いてくれ。私が言いたいのはそういうことじゃない」
P「なら、どういうことですか?」
あい「過度な詮索や接触をしろと言っているわけじゃないんだ。何と言えばいいかな……」
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 21:16:09.20 ID:5Gwqr0Lto
こんな面倒くさいプロデューサーと信頼関係築きたくないだろ
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 21:20:37.17 ID:pYIusbgVo
面倒くさいPだな
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 21:56:07.42 ID:muTkEcYro
酒の席で亡くなった妻の事聞いてくる方も嫌だわ
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 22:19:20.94 ID:JNrYt8LT0
故人の扱いは慎重にせねばね、野球と宗教と政治の話くらい飲み会の場でも気をつけねばならん話題やで
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 22:21:09.14 ID:ueCKLAUQo
その件に関しては聞いた方が圧倒的に悪い
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 23:08:32.58 ID:8HaQXbL9O
P「………」
あい「……もう少し、寄り添ってあげてもいいんじゃないか?」
P「薫や仁奈ならまだしも、貴方達は子供じゃない。お酒の飲める立派な大人じゃないですか」
あい「随分と、嫌味な言い方をするんだね……」
P「嫌味ではなく事実です」
P「誤解しないで下さい。僕はただ、責任を持った行動をして欲しいと言っているんです」
P「お互いに責任を持って全力で仕事に取り組む。そして成功させる。これが僕の理想なんです」
P「その為なら、僕は最大限出来る限りのことをするつもりです。何があっても、誰に対しても……」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 23:10:42.73 ID:8HaQXbL9O
あい「……私に対しても、かい?」
P「ええ、勿論」
あい「なら、笑わせてくれないか。こんな顔で現場に行くわけにはいかないだろう?」
P「はい?」
あい「出来ないのかい?」
P「いや、急にそんなことを言われても………ああ、そうだ。僕の鞄を取って下さい」
あい「えっ?」
P「ほら、早く」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 23:12:44.95 ID:8HaQXbL9O
あい「わ、分かったよ」
P「鞄の中に青いファイルがあります。開けて見て下さい。きっと笑顔になれますよ」
あい「本当にいいのかい?」
P「ええ、構いません」
あい「そ、そうか……青いファイル、青いファイル。えっと、これかな?」
P「あ、はい。それですね」
あい「…………これは、似顔絵?」
P「ええ。どうやら、それが薫から見た僕みたいです」
あい「フフッ、一生懸命書いている姿が目に浮かぶよ。先生へ、か……」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 23:14:26.73 ID:8HaQXbL9O
P「どうですか?」
あい「毒気を抜かれたよ。君に突っ掛かっていた自分が馬鹿らしく思えてきた……」
P「顔が戻ってますよ。せっかく笑顔になれたんですから、笑っていて下さい」
あい「……これは、いつ頃?」
P「つい最近です」
あい「最近? 似顔絵の隅に小さく書いてある日付は二ヶ月前のようだが」
P「……意外と意地悪なんですね。分かってて聞いたでしょう」
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/12(日) 23:18:48.94 ID:8HaQXbL9O
あい「フフッ、すまないね。でも……」
P「何ですか?」
あい「君はきっと、良い旦那様だったのだろうと、そう思ったんだよ」
P「……そうだと良いですね。もう聞くことは叶わないので何とも言えませんが」
あい「渡された似顔絵に日付を書いて大事に保管している男性を、悪い旦那だと思う女性はいないよ」
P「そうですかね」
P「案外気味悪がられたりしそうですけど……皆には言わないで下さいね。恥ずかしいので」
あい「言わないさ。誰にもね」
P「そうですか。それは助かります」
あい「……………今回の仕事、上手く行くだろうか?」
P「上手く行かせますよ。必ず」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/12(日) 23:24:46.24 ID:+Dj+EcBqO
丸く収まったのか?
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 00:00:39.56 ID:Hl7zZ10GO
夕方 事務所
ちひろ「(ちょっと遅いですね)」
ちひろ「(スケジュール調整はしてくれていたので問題はありませんでしたけど……)」
ガチャ
ちひろ「あっ、お帰りなーーー」
あい「………」
ちひろ「(あれ、何か様子がおかしい)あの、あいさ………!!?」
ちひろ「あいさん、目が真っ赤ですよ!? 大丈夫ですか?何があったんですか!?」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 00:03:24.56 ID:Hl7zZ10GO
P「千川さん」
ちひろ「あ、プロデューサーさん。一体何がーー」
P「急で申し訳ありませんが東郷さんをお願いします。落ち着くまで傍にいてあげて下さい」
ちひろ「え、えっ? ちょ、ちょっと!」
P「ブライダルモデルの件を少し考え直さなければならないので、僕はこれで失礼します」
ガチャ パタン
あい「………」
ちひろ「……あいさん、取り敢えず座りましょう?」
あい「…………」コクン
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 00:19:45.55 ID:iE+GxeLao
元の理由がアイドル達にあるとはいえ、仕事に影響が出ちゃうようだと、
プロデューサーとしての責任問題になっちゃうよね
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 00:35:34.57 ID:Hl7zZ10GO
ちひろ「(あいさんが語り始めたのは、それから暫くしてのことでした)」
ちひろ「(泣いていた原因は、向こうの担当者からの心ない言葉だったようです)」
ちひろ「(プロデューサーさんが紹介したところ、呼んだのは新郎役じゃないと言われたとか)」
ちひろ「(そこからは女性であることを否定するような言葉……数々の暴言を受けたそうです)」
ちひろ「(聞くに堪えない暴言に、周囲で聞いていた子達も唖然としていました)」
ちひろ「(ですが、それは一瞬で怒りへと変わり、その矛先はプロデューサーさんにも向きました)」
ちひろ「(何故、何も言わずに置いていったのか。こんなことを言われても、代役を用意して撮影するのか……)」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 00:49:00.33 ID:Hl7zZ10GO
ちひろ「(あいさんはか細い声で否定していましたが、その声が届くことはありませんでした)」
ちひろ「(遂には抗議の電話を掛けるべきだとか何とかで大騒ぎになってしまい……)」
ちひろ「(レッスンで事務所にいた早苗さんや美優さん楓さんの大人組と私で、どう収拾を付けるか慌てていた時……)」
ちひろ「(その子は、立ち上がったのです)」
薫「せんせぇはそんなことしない!」
薫「せんせぇはやさしいから! ぜったいぜったい、そんなことしないっ!」
薫「せんせぇが言ってたんだよ!?」
薫「天国のおよめさんに、やさしい人になる約束したって!!」
ちひろ「(目尻に涙を浮かべ、小さな体から振り絞るように声を出している姿)」
ちひろ「(何より最後の一言は、冷静さを失った皆を黙らせるには十分なものでした)」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 01:56:34.19 ID:1IV85vrO0
>>「呼んだのは新郎役じゃない」
こんな事言ったら全国7兆8千万人のあいさんファンにグチャミソにされっぞ…
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 02:00:14.47 ID:pbXhIdbJo
もうした
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 02:02:02.71 ID:hYZl/4Czo
ナムアミダブツ!
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 02:11:00.00 ID:Hl7zZ10GO
薫「ん〜」
あい「……薫、ありがとう」
ちひろ「さっきので一気に疲れたんでしょうね。でも、薫ちゃんのお陰で助かりましたよ」
あい「そうだね……」
ちひろ「(あの後、彼にはきちんと考えがある。君たちが思っているようなことはない)」
ちひろ「(あいさんがそう告げると、一人、また一人と事務所から出て行きました)」
ちひろ「(特に最後の一言が衝撃的だったようで、皆一様に複雑な表情をしながら……)」
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 02:13:13.67 ID:Hl7zZ10GO
あい「しかし、まさか薫に話していたとは思わなかったよ」
ちひろ「私も驚きました。仮眠室で聞いたと言っていましたね」
あい「眠る直前に聞いたんだが、一人でいるのは寂しいからと、薫が眠るまで傍にいてあげたようだ」
あい「その時に指輪を見て、気になったから聞いたらしい。先生と二人だけの秘密、そう言っていたよ」
ちひろ「無邪気って凄いですね……」
あい「子供は疑問に真っ直ぐだからね」
ちひろ「………あいさん、プロデューサーさんは何と言っていたんですか?」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 02:14:53.27 ID:Hl7zZ10GO
あい「彼は最後まで担当者と揉めていたよ」
あい「そっちが任せると言った以上、代役は有り得ない。そう言って車に乗ったんだ」
あい「私はそこまでしなくても良いと言ったんだが、これは私の為の仕事だからと言って聞かなかった」
ちひろ「………プロデューサーさん、何をしているんでしょうね」
あい「分からない。ただ、このままでは代役を立てるか仕事を断るしか方法はないと思う」
ちひろ「…………」
ガチャ
P「……東郷さん、いてくれて良かった」
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 02:16:18.95 ID:Hl7zZ10GO
あい「えっ?」
ちひろ「あっ、プロデューサーさん……」
P「千川さん、ありがとうございます。それから、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」ペコリ
ちひろ「い、いえっ、そんな……頭を上げて下さい。と言うか、何で事務所に?」
P「仕事の話がまとまりましたので、その報告に来ました」
あい「………」
ちひろ「えっ、でもまだ……」チラッ
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 02:17:56.11 ID:Hl7zZ10GO
あい「いいんだ。ちひろさん、申し訳ないが少し外してくれないか」
ちひろ「分かりました。じゃあ、薫ちゃんは私がーー」
薫「んっ。あっ、せんせぇ……」
P「……薫もいたのか、丁度良かった。そのままでいいから話を聞いてくれないか」
ちひろ「(何だか分からないですけど、外した方が良さそうですね)」ソソクサ
P「薫、眠いなら寝てもいいんだよ? あいお姉ちゃんとは静かにお話しするから」
薫「ううん、起きてる……せんせぇ、あのね?」
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 02:21:59.67 ID:Hl7zZ10GO
P「ん? どうしたんだい?」
薫「かおるね、約束破っちゃったの。ごめんなさいっ……」
P「……そっか」
薫「おこらないの?」
P「まさか、怒ったりしないよ。何か理由があったんだろう?」
薫「う、うんっ!」
P「なら、それでいいんだ」
ナデナデ
薫「えへへ……でも、ほんとにいいの?」
P「薫が間違ってないと思うなら、それでいいんだよ……」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 02:24:16.90 ID:Hl7zZ10GO
あい「………」
P「さて、次は僕の話を聞いてくれるかな?」
薫「はーい」
P「ありがとう」
あい「……それで、仕事の話とは? 君は先ほど『まとまった』と言っていたね」
P「ええ、東郷あいは下ろさない。ただ、アイドルを一人追加させて欲しいと言って話を決めました」
あい「追加?」
P「はい、追加です」
あい「美優さんか楓さん辺りかな?」
P「向こうもそう思っているでしょうね。ですが違います。もう一人は、薫です」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 02:25:41.35 ID:Hl7zZ10GO
あい「馬鹿な。そんなこと認められるわけがーーー」
P「いえ、認めさせます。この仕事は僕と東郷さんと薫で成功させるんです」
薫「かおるは? かおるは何をするの?」
P「薫には、あいお姉ちゃんの隣にいて欲しいんだ。一人は寂しいだろうからね」
薫「それだけ? あいお姉ちゃんといっしょにいればいいの? お仕事なのに?」
P「そう、一緒にいるだけでいいんだ」
P「だけど、これはとっても大事なことなんだ。薫、僕とあいお姉ちゃんを助けてくれないか」
薫「うんっ、いいよ!」ニコッ
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 02:27:33.02 ID:Hl7zZ10GO
また明日書きます。ありがとうございました。
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 02:30:30.66 ID:d5UUAbsMO
Pさん大人気ない大人に見えてしまう
仕事仕事というなら自分も割り切れと
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 02:35:57.16 ID:pbXhIdbJo
割り切らなくなってく変遷の話だろうに
乙
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 04:23:56.68 ID:GVJ80Itto
おつ
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:20:51.17 ID:MN2cPlzoO
あい「君は」
P「?」
あい「君は何故、そこまで私を? 素直に代役を立てた方が楽に済むはずなのに」
P「どんなアイドルを起用するかはそちらに任せる。そう言ったのは向こうです」
P「そう言っておきながら、あんな理不尽な理由で約束を反故するようなことがあってはならない。違いますか」
あい「……君は冷静さを欠いているんじゃないか? 意地になっているようにも見える」
あい「こんなことは言いたくないが、以前の君は冷たいくらいに冷静で、熱くなるタイプではなかった」
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:21:54.23 ID:MN2cPlzoO
P「……そうかもしれせんね」
あい「なのに何故、そこまで拘るんだ?」
P「以前にもこういったことはありましたが、今回のように酷く侮辱されたのは初めてです」
P「だから認めさせたい。東郷あいというアイドルを、貴方の持つ魅力を見せてやりたい」
P「貴方は素晴らしいアイドルです。僕はそう断言出来る。だから……」
P「あんな偏った見方しか出来ない人間に、東郷あいはこんなものではないと分からせたい」
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:23:15.56 ID:MN2cPlzoO
あい「………」
P「不快な想いをしたばかりで気乗りしないとは思います。ですが、その上でお願いします」
P「どうか、最後まで付き合って下さい。僕の、我が儘に……」
あい「………馬鹿だな、君は。そんなことを言われたら、断れるわけが……ないだろう……」
薫「あいお姉ちゃん? だいじょうぶ?」サスサス
あい「心配しなくても大丈夫だよ。これは、嬉しくて泣いているだけだから……」
P「……………」
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:24:27.55 ID:MN2cPlzoO
薫「せんせぇ」
P「ん?」
薫「かおるにはむずかしくて分からなかったけど、せんせぇはあいお姉ちゃんが大好きなんだね」ニコッ
P「ああ、僕はあいお姉ちゃんが大好きだ。だから、負けて欲しくないんだよ。何があっても」
あい「!!」
薫「大好きだって!」
あい「あ、ああ、そうだね。とても嬉しいよ」
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:25:37.14 ID:MN2cPlzoO
薫「ねーねー、あいお姉ちゃんは?」
あい「え?」
薫「あいお姉ちゃんは、せんせぇのこと好き?」
あい「………好きだよ。大好きに決まってる」
薫「せんせぇ、大好きだって!」
P「うん、ちゃんと聞いてたよ」ニコッ
薫「うれしい?」
P「勿論。あいお姉ちゃんに大好きって言われて嬉しくない人なんていない」
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:27:06.23 ID:MN2cPlzoO
薫「そっかー、えへへっ」
P「……薫も、あいお姉ちゃんが大好きなんだね」
薫「うんっ、あいお姉ちゃんもせんせぇも大好きっ!」
P「そうか……」
あい「………」
P「…………ん? もう、こんな時間か。薫を送らないとな」
ちひろ「あ、薫ちゃんなら私が送りますよ?」ヒョコ
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:28:30.35 ID:MN2cPlzoO
P「……千川さん」
ちひろ「お二人にはまだ話すべきことがあると思いますので……薫ちゃん、行きましょう?」
薫「えーっ……」
P「薫、実はまだお仕事の話は終わっていないんだ。また今度、沢山お話ししよう」
薫「ほんとっ!?」
P「約束するよ。だから、今日はもう休みなさい」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:31:28.72 ID:MN2cPlzoO
P「いいね?」
ナデナデ
薫「えへへ……うん」
ちひろ「(……何だか、本当にお父さんみたい)」
ちひろ「さ、薫ちゃん、行きましょう?」
薫「はーい!」
ちひろ「じゃあ、送ってきますね」
P「千川さん、ありがとうございます」
ちひろ「いえいえ」
薫「あいお姉ちゃん、せんせぇ、おつかれさまでー!!」
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:34:50.91 ID:MN2cPlzoO
P「うん。お疲れさま、薫」
あい「薫、お疲れさま。ありがとう」
ガチャ パタン
あい「………」
P「………」
あい「……一つ、気になったことがあるんだ。聞いてもいいかな」
P「何を聞いても構いませんが、答えるかどうかは内容によります」
あい「ついさっき、薫と話している時の君の顔は、何だか……その、悲しそうに見えた」
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:40:38.92 ID:MN2cPlzoO
P「………」
あい「いや、あれは一つの感情が生み出せる表情じゃない。複雑な想いを感じた」
あい「答えなくとも構わない。ただ、何故そんな顔をするのかと疑問に思ったんだ」
P「……そこまで見えている貴方なら、僕が答えずとも分かると思います」
あい「…………そうか。では、これ以上は何も聞かないことにするよ」
P「そうしてくれると助かります」
あい「……私から話を脱線させておいて何だが、仕事の話に戻そう。何故、薫を?」
P「それは、これを見て思い付きました」ペラッ
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:42:50.75 ID:MN2cPlzoO
あい「ブーケを持った花嫁、寄り添う女の子」
あい「なるほど、こういった写真も掲載されているんだね」
P「ええ、撮影はこれで行こうかと思います」
P「カメラマンの方には既に見本を見て頂いて了承は得ています」
あい「見本?」
P「見本と言っても千川さんにお借りしていた写真ですが、かなりの好感触でした」
あい「しかし、カメラマンの了承を得ても担当者は首を縦には振らないだろう」
P「でしょうね。ですから、先に撮影します。担当者抜きで、ですが」
あい「……大胆と言うか無謀と言うか、最近の君には驚かされてばかりだよ」
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:44:18.95 ID:MN2cPlzoO
P「あの担当者がいてはまともに撮影も出来ない。ですから、先に撮影するんです」
P「そして、出来上がった写真を見て貰う。それで、この仕事は終わりです」
あい「あの担当者が納得すると思うのかい?」
P「心配ありませんよ」
P「首を縦に振るしかない、納得せざるを得ない、最高の写真が出来上がりますから」
あい「………はぁ、その自信がどこから来るのか、是非とも教えて欲しいよ」
P「先程も言ったでしょう。東郷あいは素晴らしいアイドルだと」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 15:44:24.32 ID:Tnuyc8g6O
妻と一緒に子供も亡くしたのかな
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:55:48.95 ID:MN2cPlzoO
あい「私を素晴らしいアイドルだと思う。それが、自信の源?」
P「はい。だから、今回の仕事も必ず成功します」
P「これは貴方に限ったことではなく、この事務所のアイドル全員に言えることです」
P「躓くことや停滞することはあっても、前を見ている限り終わりはない。先に進める」
あい「………」
P「努力して努力して、前へ前へ……」
P「そこから更に突き進んで行くアイドル達。僕は、その姿を見ていたい」
あい「……口は災いの元と言うが、君はもっと喋った方が良い。その気持ちは言葉にして伝えるべきだよ」
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:57:05.54 ID:MN2cPlzoO
P「そうですか? 口にすると安くなるような気がするんですが……」
あい「君の言葉は安くならないよ。それだけの熱意があるのなら大丈夫さ」
P「……そうですか。ありがとうございます」
あい「ところで、彼女達とは話したかい?」
P「いえ、千川さんが話してくれると言ってくれたので……」
あい「それでは駄目だよ。君自身が、君自身の言葉で話さなければ意味がない」
あい「私もそうだったが、彼女達も君のことを誤解していると思うんだ」
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 15:59:35.15 ID:MN2cPlzoO
P「誤解?」
あい「心の冷えた人。関わりを避ける人。自分達に幻滅して突き放しているのではないか。とね」
P「……意外と繊細なんですね」
あい「フフッ、女性は実に繊細で面倒な生き物だよ?」ニコッ
P「貴方も、ですか?」
あい「フフッ、そうかもしれないね」
P「……上手く行くかは分かりませんが、きちんと向き合って話してみます」
あい「大丈夫。きっと上手く行くさ……」
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 17:03:17.76 ID:1IV85vrO0
・実は薫の父親
・妊娠中の奥さんを事故で亡くした
さぁどっち
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 18:02:57.22 ID:hYZl/4Czo
Pの正体はダークサイドに堕ちたアナキンに決まってんだろこれだからSS速報素人は困る
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/13(月) 21:49:16.47 ID:bKaEfe0G0
今日はもうないのか?
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 22:06:20.07 ID:MN2cPlzoO
P「あ、一つ忘れていました」
あい「?」
P「ウエディングドレスの参考資料を……ちょっと待って下さい。えっと、これになりますね」
あい「ふむ、結構な種類があるんだね」
P「大まかに分けて8種類」
P「しかし、袖の有無や裾の広がりなど細かに分類すると凄まじい量になるので省いています」
あい「そ、そんなにあるのか。知らなかったよ」
P「本来であれば、今日の現場で実物を見て判断して貰うはずだったのですが……どれが良いですか?」
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 22:08:59.55 ID:MN2cPlzoO
あい「私が選んでいいのかい?」
P「ええ、それもこちらで選んで良いとのことです。向こうも指定された型を用意するだけで済みますからね」
P「ですので、この中から東郷さんが気に入ったものを選んで下さい」
あい「……そうは言われても、これはちょっと悩んでしまうな。色々あるようだし」
P「急がなくても良いですよ。後日、改めて実物を見てからでも遅くはないので」
あい「それでは先方に迷惑を掛けてしまう」
あい「あの担当者はどうでもいいが、カメラマンや、衣装を運んだスタッフの方々には申し訳ないことをしてしまった」
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 22:13:15.26 ID:MN2cPlzoO
あい「あれらをまた運び直すとなれば相当なものだろう」
あい「だから、ドレスは思い切ってこの場で決めてしまおうと思う」
P「……そうですか、分かりました。では、この中から二つ選んで下さい」
あい「二つ、二つか……」
ペラッ ペラッ
あい「……先程は少しばかり浮かれていたが、冷静になって考えると選択肢は少ないな」
あい「8種類あると言っても、私が着られるのはこのスレンダーライン以外にないだろう」
P「もう一種類。他にはないですか?」
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 22:15:03.68 ID:MN2cPlzoO
あい「……自分ではこれしかないと思う」
あい「どれにも言えることだが、私にはお姫様のような恰好は似合わない」
P「そんなことはないと思いますが」
あい「私の中の私はそうなんだ。だから、もう一つは君が決めてくれないか?」
P「僕が?」
あい「プロデューサーとして、東郷あいというアイドルにはどんなドレスが似合うのか、意見を聞かせて欲しい」
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 22:16:39.68 ID:MN2cPlzoO
P「……そうですね」
あい「………」
P「マーメイドライン。これが良いかと思います」
あい「私が選んだものと、あまり形状が変わらないものだね」
P「いえ、裾の広がりが違います。これでは分からないでしょうが、印象はかなり異なる」
P「東郷さんは裾が大きく膨らんだものを避けているようなので、これにしました」
あい「…………」
P「東郷さんの意向を抜きに、個人的に着て欲しいのは、このAラインです」
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 22:19:04.35 ID:MN2cPlzoO
あい「わ、私がこれを?」
P「これまでのイメージとは違った、新しい東郷あいを見せられると思います」
P「これにティアラやグローブなどの小物を取り入れれば、更に良くなるはずです」
P「この場合は袖なしで肩あり、露出は控え目なものが良いでしょう」
あい「(……僅かに折り目が付いている……君は、あれからずっと考えてくれていたのか)」
あい「(本当に何も知らなかったんだな。勝手にこんな人間だろう決め付けて……)」
P「このドレスを選んだ理由はもう一つあります。撮影現場は教会だけでありません」
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 22:40:17.14 ID:MN2cPlzoO
P「海、波打ち際での撮影もあります」
P「マーメイドラインでも構いませんが、裾が膨らんでいる方が風を受けた場合に映えるかと思います」
P「……それを考慮すると、プリンセスラインも良いかもしれませんね」
P「それから、カメラマンの要望によっては撮影に費やす時間も長くなる。天候に左右されることもあるでしょう」
P「カメラマンが夕陽が欲しいとなれば、それまで待たなければならない」
P「薫がいるのであまり無理はさせないでしょうが、納得の行くものが出来るまでやってみましょう」
あい「(彼がこんなにも真摯で熱心な人間だなんて思いもしなかった)」
あい「(寄り添うべきは私達の方だったのかもしれないな。そうすれば、もっと早くにこうなれたかもしれない……)」
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 22:42:16.00 ID:MN2cPlzoO
P「話が逸れましたね。次はドレスの色です」
P「このように様々な色がありますが、僕はやはり、純白が良いかと思います」
P「東郷さんは肌が白いですから、見劣りするようなこともないでしょう。どうですか?」
あい「…………」
P「東郷さん?」
あい「え? ああ、すまない。あまりに熱心に話すものだから、少々驚いてしまった」
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/13(月) 22:44:45.35 ID:MN2cPlzoO
P「……あの、聞いていました?」
あい「勿論、ちゃんと聞いていたよ。私は、君の意見を取り入れようと思う」
あい「撮影に使用するウエディングドレスは、マーメイドラインとAラインにする」
P「良いんですか?」
あい「これまでとは違った『東郷あい』を見せたい。君はそう言ったね」
P「ええ、それはそうですが東郷さんはーー」
あい「私も挑戦してみたいんだ」
あい「どこまでやれるかは分からないが、全力でやってみようと思う」
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 00:39:13.97 ID:cuwXkIIhO
P「ありがとうございます」
あい「礼を言われるようなことじゃない。互いに全力で仕事に取り組む。そうだろう?」
P「それは、僕が車内で言ったことですね」
P「その、覚えてくれているのは嬉しいのですが、恥ずかしいので止めて下さい」
あい「フフッ、茶化したつもりはないんだけどね」
P「そうですか。では、仕事の話は以上で終わりです。夜も遅いですし、そろそろーー」
あい「担当者の件はどうするんだい? そう長く目を欺けるとは思えない」
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 00:41:11.55 ID:cuwXkIIhO
P「何をしてでも、何とかします。何も心配はいりませんよ」
あい「…………」
P「その辺りの調整も含めて、撮影日が決まり次第、連絡します」
あい「了解した。ただ、無茶な真似はしないでくれ」
P「分かりました。では、僕はこれで失礼します。送りましょうか?」
あい「いや、私はちひろさんが事務所に戻って来てから帰ることにするよ」
P「そうですか。では、お先に失礼します」
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 00:43:26.76 ID:cuwXkIIhO
あい「今日は済まなかったね。色々と」
P「……そんなことはありません。では」
あい「ああ、お疲れさま」
P「お疲れさまです」
ガチャ パタン
あい「やれやれ、素っ気ないのは相変わらずか。少しくらい粘ってもいいだろうに……」
P『はい。だから、今回の仕事も必ず成功します』
P『これは貴方に限ったことではなく、この事務所のアイドル全員に言えることです』
P『躓くことや停滞することはあっても、前を見ている限り終わりはない。先に進める』
あい「ふぅ、どうやら彼の熱に当てられたようだ。何だか、顔が熱いな……」
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/14(火) 00:54:28.73 ID:cuwXkIIhO
会話が長い上に話が進んでなくて申し訳ない。
また明日書きます。ありがとうございました。
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/14(火) 01:02:10.77 ID:Q8UdD4zW0
おもしろい
乙
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/14(火) 01:03:17.88 ID:PVMrXqgeO
おつつ
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/14(火) 01:53:16.66 ID:Z7Zr5kv00
担当者「フッ、ようやく本気になってくれたか…それでこそケツを叩いた甲斐があるというものだ」
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/14(火) 02:56:39.48 ID:Pxu7MRx2O
やめろ担当者イケメンすぎるw
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/14(火) 09:09:55.65 ID:CGUAUEhF0
薫も担当者の差し金の可能性…?
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 13:22:14.83 ID:esCiUhQLO
数日後 教会
薫「わー、おっきいねー!」
あい「フフッ、そうだね」
薫「かおるもけっこんしきしたいなぁ」
あい「ん? 結婚式?」
薫「あいお姉ちゃん、けっこんしきするんでしょー?」
あい「ち、違う違う。結婚式じゃないよ」
あい「これはお仕事。ドレスを着て、カメラマンに写真を撮って貰うんだ」
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 13:24:47.77 ID:esCiUhQLO
薫「かおるも?」
あい「そうだよ?」
あい「薫も素敵なドレスを着て写真を撮って貰うんだ。彼もそう言っていただろう?」
薫「んー? せんせぇは、あいお姉ちゃんがおよめさんになるって言ってたよ?」
あい「……まあ、間違ってはいない。のか?」
薫「せんせぇは?」
あい「細かい打ち合わせがあるとかで、先に行って待っててくれと言っていたよ」
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 13:26:37.36 ID:esCiUhQLO
薫「あいさつ?」
あい「うん、そうだね。それもある」
あい「他にも色々なことをお話して、撮影をどうするか決めるんだ。さ、そろそろ行こうか」
薫「はーい」
ーーー
ーー
ー
P「皆さん、撮影を始める前にお話があります」
ザワザワ
P「先日は大変失礼なことをしてしまい、誠に申し訳ありませんでした」ペコリ
P「カメラマン、衣装や美粧など、此処にいるスタッフの方々全員に深く謝罪します」
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 13:28:44.24 ID:esCiUhQLO
P「それから、もう一つ」
P「先日の件は私個人の意志であり、アイドルの意志ではありません」
P「全てはプロデューサーとして冷静さを欠いた私の責任であります」
P「……それでも協力してくれた皆さんには、心より感謝申し上げます」
P「このような私の我が儘を聞いて下さり、誠にありがとうございます」
P「良い撮影が出来るよう私も尽力します。皆さん、改めて、本日は宜しくお願い致します」ペコリ
ーーー
ーー
ー
薫「……せんせぇ、おそいね」パタパタ
あい「もうすぐ来るさ。もう少しの辛抱だよ」
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 14:11:13.96 ID:esCiUhQLO
ガチャ
あい「!!」
スタイリスト「お待たせしました!」
あい「あっ…いえ、そんなことは……」
スタイリスト「?」
薫「せんせぇは?」
スタイリスト「せ、先生?」
あい「あ、プロデューサーのことです。彼はどこに?」
スタイリスト「プロデューサーさんなら、カメラマンさんと打ち合わせしてますよ?」
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 14:12:27.77 ID:esCiUhQLO
あい「……そうですか」
あい「あ、申し訳ない。今日は宜しくお願いします。さ、薫」
薫「あっ、そうだった。きょうはよしろしくおねがいしまー!!」
スタイリスト「ふふ。はい、宜しくお願いします」ニコッ
スタイリスト「さて、あいさんはヘアメイクやコーディネートなどがありますので、私と別室へお願いします」
あい「分かりました。あの、薫は?」
スタイリスト「あ、ごめんなさい。薫ちゃんのお着替えは此処で別のスタイリストが行います」
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 14:15:23.34 ID:esCiUhQLO
薫「かおるは何をきるの?」
スタイリスト「プロ…じゃなかったわね。先生の選んだ可愛いワンピースよ?」
あい「(いつの間に……)」
薫「せんせぇが!?」
スタイリスト「そうよ? 薫ちゃんの為だけに選んだの。だから、楽しみにしててね?」ニコッ
薫「えへへ、やったー!」
スタイリスト「ふふ。すぐに衣装を持ったお姉さんが来るから、ちょ〜っとだけ待っててね?」
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 14:20:05.56 ID:esCiUhQLO
薫「はーい!」
スタイリスト「じゃっ、行きましょうか」
あい「(先程から気になってはいたが、やけに元気な人だ。元気というか、機嫌が良いのか?)」
スタイリスト「あいさん? どうしました?」
あい「いえ、何でもありません。行きましょう。薫、また後でね」
薫「あいお姉ちゃん!」
あい「ん?」クルッ
薫「およめさんなったら、すぐ来てね!」
あい「フフッ、分かった。これからお嫁さんにしてもらうから、少しばかり待っていてくれ」
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 14:23:14.43 ID:esCiUhQLO
薫「はーい!」
スタイリスト「じゃっ、行きましょうか!」
あい「(先程から気になってはいたが元気な人だな。元気というか機嫌が良いのか?)」
スタイリスト「あいさん? どうしました?」
あい「いえ、何でもありません。行きましょう。薫、また後でね」
薫「あいお姉ちゃん!」
あい「ん?」クルッ
薫「およめさんなったら、すぐ来てね!」
あい「フフッ、分かった。これからお嫁さんにしてもらうから、少しばかり待っていてくれ」
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/14(火) 15:27:22.72 ID:esCiUhQLO
>>>>>
スタイリスト「どうですか?」
あい「……言葉も出ないよ。自分がこんな恰好をするなんて夢にも思っていなかった」
あい「これがウエディングドレス。確か、マーメイドラインだったか」
あい「こんなに細かなところまで……服飾の技術とは凄いものだな……」
スタイリスト「ふふっ」
あい「あ、申し訳ない。あまりに綺麗なものだから、つい」
スタイリスト「あいさんも綺麗ですよ? ドレスに負けないくらい、綺麗です」
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