ガヴリール「戻らぬ時間と叶わぬ恋」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 01:50:46.70 ID:cTVZwN9W0
「あのねガヴ……えっと、その……」

夕日のような顔をしてヴィーネが私に何かを言おうとしている
いや、何かというのはおかしいか
これから彼女の口から発せられるであろう言葉はなんとなく分かる
分からないほうがおかしいだろう

「その……ずっと、ずっと好きでした!付き合ってください!」

私の予想は当たっていた
予想は当たっていたのだけど、それが当たったところで何も変わらない
むしろ当たってしまったからこそになんて返すべきか悩むことになる
もちろん私はヴィーネが好きだ
しかし、その好きはヴィーネとは違うものだろう
だから私の返答は

「ごめん……」

これしか考えられなかった


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509814246
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 01:51:55.56 ID:cTVZwN9W0
―――――――――

これは私にとっての恋愛の物語
天使と悪魔、異なる種族間での恋愛だ

そして同時に私の後悔の物語でもある

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 01:54:03.58 ID:cTVZwN9W0
………

きっかけはヴィーネからの告白なのだと思う

それが直接的な原因なのかは分からないが間接的にこの結末に影響を及ぼしたのは確かだ

あの時に私が自分の気持ちを理解しておればこのような結果にはならなかったのだろうか

もしくは遊び感覚で付き合っていれば……

たらればの話をしても仕方がないか

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 01:55:42.78 ID:cTVZwN9W0
―――――――――

私の返答は拒否だった

異なった気持ちで付き合うのは相手に失礼だからそこははっきりと断った

「ごめん……もちろん私もヴィーネが好きだけど種類が違う」

「……そっか」

「だから、その……ごめん」

「もう……謝らないで。ガヴが悪いわけじゃないんだから」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 01:57:55.59 ID:cTVZwN9W0
「でも……」

「でももだってもないの。ごめんね変に気を遣わせちゃって。今日はもう帰ろっか」

「……そうだな」

断るにおいて私が一番懸念したことはこれからの関係性だ

この告白のせいで私たちの関係が崩れることだけは嫌だった

だから色々と言い訳の言葉を紡ぎ出そうとするのをヴィーネに止められた

顔だけじゃなく目も真っ赤にして泣きそうな顔で言うのだ

話を続けようとは思えなかった
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:00:06.35 ID:cTVZwN9W0
「ほらガヴ起きなさい!」

だけどそこからの関係が変わることはなかった

次の日、ヴィーネは私を起こしに来たのだ

昨日の今日だ、来ないものだと思っていた

関係性の変化は望んではいなかったが流石に今日は気持ちを落ち着かせたかった

だからどちらかというと来ないでほしかった
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:01:25.08 ID:cTVZwN9W0
しかしそれとは別に嬉しい気持ちもある

関係を変えたくないのは私だけではないのだ

ヴィーネも今まで通り私との関係続けたいのだと

今日の行動でそれが分かったのだから
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:03:46.10 ID:cTVZwN9W0
それからは告白なんてなかったかのように私とヴィーネの関係は変化がなかった

私はものぐさであり続け、彼女は私のお世話を続けた

私が真面目になるか彼女が私を見捨てるまでこの関係は続くのだろう

私が真面目になるなんてことは天地がひっくり返ってもあり得ない

また彼女が私を見捨てることも同様にあり得ないのだ

高校を卒業しても大学へ行ってもこの関係は変わらない

私はそう思っていた
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:07:02.79 ID:cTVZwN9W0
………

思い返せばこの時にはもう変化があったのだ

いつからだろう

彼女が私の部屋へ来る頻度が減り始めたのは

いつからだろう

彼女が私の部屋にいる時間が短くなったのは

もちろん今の私には分かる……いや知っているが正しいか

しかし、この時の私はそんなこと何一つ知らなかった
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:08:18.24 ID:cTVZwN9W0
この時の自分の鈍感さを悲しく思う反面よろこびを感じてしまう

この時に気付いていれば何か変わっていたのかもしれない

だけど、この時気付いていれば私の今もないかもしれないのだ

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:11:14.70 ID:cTVZwN9W0
―――――――――

しかしこの関係に綻びが出来始めるのは意外に早かった

高校を卒業し、大学に進学してから綻びが生まれたのだ


私はサターニャとヴィーネはラフィエルと同じ大学に進学することになった

異なる大学だがなんだかんだ近いところにある

だから私たちの仲が薄れることはなく

月に3,4回、つまり1週間に1回は4人で集まっていた

サターニャが企画をし、ラフィエルとヴィーネが大きくする

私はいつも嫌そうな顔をしながらもなんだかんだ皆出会うのを楽しみにしていた
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:12:17.75 ID:cTVZwN9W0
この時にも流石に毎日来ることはなくなったが私とヴィーネの関係は続いたままだった

嫌がる私を無理やり連れだすのがヴィーネの役割で、そのついでに部屋の掃除などをやってくれていた

たまには授業がない日も来て、なんだかんだ高校時代から不変な関係を続けていたのだ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:15:06.25 ID:cTVZwN9W0
………

皆で集まることをサターニャが企画することに何故違和感がなかったのか

こういうイベントごとに一番乗り気なのは彼女だろうに


彼女はよく私の家に来ていたが、私は一度も彼女の家に行ったことがないのも

高校時代の関係から考えると不自然なはずだ


それをなぜ当然のように、不変であると私は思い続けていたのだろう……

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 02:17:11.79 ID:cTVZwN9W0
ひとまずここまで

ぼちぼち進めていきます
そんなに長い作品にはならないと思います
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 02:53:43.28 ID:yNEsVzoso
これ系のSSってなんか普通に大学生になったり社会人として生きてったりしてるが
ガヴ達って高校生の間だけ人間界に来てるだけとちゃうの
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 23:00:31.54 ID:cTVZwN9W0
訂正
>>10
この時の自分の鈍感さを悲しく思う反面よろこびを感じてしまう

この時に気付いていれば何か変わっていたのかもしれない

だけど、この時気付いていれば私の今もないかもしれないのだ


そう、私たちの関係が壊れるのは意外に早かったのだ

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/05(日) 23:02:48.61 ID:cTVZwN9W0
>>11
高校も無事卒業し私たちは大学に進学をした

私はサターニャとヴィーネはラフィエルと同じ大学に進学することになった

異なる大学だがなんだかんだ近いところにある

だから私たちの仲が薄れることはなく

月に3,4回、つまり1週間に1回は4人で集まっていた

サターニャが企画をし、ラフィエルとヴィーネが大きくする

私はいつも嫌そうな顔をしながらもなんだかんだ皆出会うのを楽しみにしていた
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/06(月) 13:26:11.18 ID:WKcn6FOE0
期待
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/06(月) 23:07:26.09 ID:e7qN/tvX0
少しだけ進めます
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/06(月) 23:09:42.55 ID:e7qN/tvX0
―――――――――

変化が起きたのは2年生の春だ

3年生へ進級前、ラフィエルがお酒を飲めるようになったこともあり

週に1回あるいつもの集まりで居酒屋に行ったのだ

どうにも私はお酒に弱いらしく最初にお酒を飲んでからの記憶がごっそりとない

意識が戻ったのはもうお開きにしようという時だった
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/06(月) 23:15:11.93 ID:e7qN/tvX0
それぞれが帰路に着くとき私はふと思い出した

私はヴィーネの家に行ったことがないと

意識が戻ったとはいえ酔いがきれいさっぱりと治まったわけではない

そんなふわついた頭で思い浮かんだのはヴィーネを驚かせようってことだった

だから私は彼女に気付かれないように彼女の後をつけていたのだ

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/06(月) 23:25:28.28 ID:e7qN/tvX0
………

これが彼女との関係が壊れる直接的な原因になった

彼女の家に行こうと考えてなければ、酔ってさえいなければ

少なくともこんな最悪なことにはならなかっただろう

この出来事が私たちの関係を変え、そして私たちのこれからにも変化を与える

本当に悔やんでも悔やみきれない


しかし……




今の私はその時を待ち望んでいるのだ
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/07(火) 18:13:07.14 ID:6no9P3Nh0
ドキドキする
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/07(火) 22:44:12.50 ID:GS89J4Z+0
訂正
>>21
それぞれが帰路に就くとき私はふと思い出した

私はヴィーネの家に行ったことがないと

意識が戻ったとはいえ酔いがきれいさっぱりと治まったわけではない

そんなふわついた頭で思い浮かんだのはヴィーネを驚かせようってことだった

だから私は彼女に気付かれないように彼女の後をつけていたのだ
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:05:44.01 ID:3MUmcV/F0
進めます
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:07:20.79 ID:3MUmcV/F0
―――――――――

その時のヴィーネを言葉で表すと上機嫌だろうか

鼻歌交じりに早足で歩いていた

今日の集まりもヴィーネにとって、もちろん私にとってもだが楽しいものだったのだろう

ヴィーネの鼻歌を聞きながら私は彼女の後をつけていく

それなりに近い距離なのにヴィーネは私に気付く様子がない

どうやらあいつも酔っているのだろう
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:10:10.83 ID:3MUmcV/F0
ヴィーネの家は予想を超えて大きかった

高校時代の部屋とは比べ物にならない物件だ

一人暮らしにしては立派過ぎるのではないだろうか

しかし酔いが醒めきっていない私には然程違和感を抱くことはなかった

ヴィーネが郵便受けを覗き建物に入っていく
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:13:06.88 ID:3MUmcV/F0
私も後に続こうと思ったのだが、扉が開かなかった

どうやらオートロックのようだ

諦めて帰っても良かったのだけど、折角ここまで来たのだから当初の目的を果たしたい

幸いなことにヴィーネが覗いていた郵便受けから部屋の番号も分かった

開かない扉は天使にとってはないものと同じである

29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:16:32.64 ID:3MUmcV/F0
運命の時が来た

ヴィーネの家の前に来たのだ

後はインターホンを押し私の存在を知らしめるだけだ

どんな反応をするのだろう

ヴィーネのことだから笑いながら家に上げてくれるだろう

インターホンを押す

ピンポーンと間抜けな音が響いた
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:19:59.86 ID:3MUmcV/F0
………

ついにこの時が来た

私の人生を変えた瞬間だ

これから起こることを思うと心が痛む

何で冷静になれなかったと何で相手の言い分を聞かなかったのかと

しかし、今はどうでもいいことだ

今の私にあるのはこれからのことに対しての期待だ

これからは後悔を幸せで上書きするのだ



そのためにどうか犠牲になってくれ
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/08(水) 03:23:38.82 ID:3MUmcV/F0
―――――――――

「はい」

知っているようで知らない声が返答をする

これはヴィーネの声ではない

部屋を間違えたのか不安になってくる

「すいません。ここは月乃瀬さんのお宅でしょうか?」

「そうですが、どちら様でしょう?」

「えーと、月乃瀬さんの友人です」

「……そうですか。少々お待ちください」

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