【ガルパン】まほ「温泉旅行」

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1 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:29:39.52 ID:vBBzxIdC0
※大学生編妄想

※各校の隊長達が揃って温泉旅行する話です

※お気に召さない表現があるかも知れません

良ければまたお付き合い願います

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509769779
2 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:33:31.85 ID:vBBzxIdC0
【一蓮托生の西住まほ】

父が言っていた。
戦車と普通の自動車は別であると。
当たり前の事のようにも聞こえるが、戦車道経験のある女子は、その違いへの対応に苦労するそうだ。
公道で危険な運転をしているドライバーに若い女性が多いのは、そうした理由があるかららしい。

その事を思い出しながら、成程なあと思っている。
まさしく今、戦車道経験者の若い女性が運転する車に揺られているが、なんとも筆舌に尽くし難い。

黒のライフ。
私は今、その後部座席に座っている。
運転手はダージリン。
3 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:35:31.82 ID:vBBzxIdC0
大学一年生。
去年まで高校戦車道の隊長として鎬を削りあった我々は、進学後、ライバルから親しい友人へと変わった。

元隊長同士が高校卒業後に親しくなるケースというのは、よくある事らしい。
高校時代から面識があり、元隊長同士だからこそ合う話題も多いのだから、考えてみれば自然な事だ。

この度、ダージリンが車の免許を取ったので、お祝いに彼女の運転で旅行しようという話になった。

ちなみに、卒業後に仲良くなったのは私とダージリンだけではない。
後部座席の私の隣には涙目の安斎、助手席にはカチューシャが座っている。
カチューシャは先程までピギャアアなどと騒いでいたのだが急に静かになったので、気絶でもしたのかも知れない。

こんな運転でよく免許が取れたものだと、逆に感心する。
4 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:37:20.75 ID:vBBzxIdC0
いや、案外、彼女は教習所では優等生だったのだろうか。
点を取るための運転という名目があれば、しっかりこなせるのかも知れない。

だとすれば、公道でもそのように振る舞って欲しかった。
目的地の温泉旅館に辿り着けるか、甚だ心許ない。

「安斎さん、一蓮托生という言葉を知っているかしら」
「知らん事も無いが、ドライブの最中に聞きたくはなかったぞ」

二人の会話を耳にしつつ、思案する。
思えば身の危険という意味での危機など産まれて初めての事かも知れない。
特殊なカーボンがコーティングされている戦車は逆に安全、だったという事に、皮肉ながら今さら、気付く。
5 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:38:54.39 ID:vBBzxIdC0
だが、この車はまだ、マシなのかも知れない。
もう一台、同じく温泉旅館を目指している車がある。
ケイの運転する、傷だらけのラングラー。

そちらに乗るのはどうしても嫌だったので、運転手二人に気付かれないよう皆でジャンケンをした。
この車に、乗っ、ている我々は勝ち組なのだ。

ジャンケンに負け、ケイ車に乗る羽目になったミカ。
そして何故かジャンケンを辞退して、自らケイ車を選んだ角谷。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/04(土) 13:40:11.26 ID:CeHKXBAb0
支部でやってたやつか
7 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:40:37.68 ID:vBBzxIdC0
彼女らは無、事、だろうかと思い、を巡



「あっ、おい、ダージリン、どっかその辺のコンビニで停めろ。西住がヤバいぞ」
「ええっ、この辺にコンビニなんてあったかしら」

突、然の指示に狼狽え、るダージリ、ンが尚も。

車を、揺ら

「静かだとは思ってたけどこういう事か。堪えろよ西住、もうちょっとだから」



車内に昼食のカレーの香りが漂い、目を覚ましたカチューシャがまたピギャアアと叫んだ。
酸鼻を極めるとは、こういう事を言うのだろうか。

ちなみに、新車である。

【まほ編終了】
8 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:43:56.40 ID:vBBzxIdC0
【前途多難のミカ】

雲が揺れる
色数多溢れて川明かり
並び止まる
指先の淡くありたる音

なんてね。
なかなか良い日和だ。
景色も悪くない。

「アンジー、チヨミは何だって」
「ちょっとトラブったから遅れるって。事故とかじゃないから心配するなってさー」
「うーん、不幸中の幸いかな。ああそれと、私達がちょっと遅れても大した支障は無いって事ね」

ちょっとで済めばいいけどねぇ。
二人と少し離れた所で花を摘みながら、心の中で合いの手を入れた。
9 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:45:26.75 ID:vBBzxIdC0
束の間の休息。
よく野宿をしていた高校時代を思い出す。
まだ一年も経っていないというのに、随分昔の事のように思える。
こんな私でも新生活に気疲れしたりしているのかな、なんて思う。

カーナビを信じたと言い張るケイの運転で、我々は今、山の中で道に迷っている。
エンジンも調子が悪く、折角だからと車を降りて付近の散策を始めた。

ケイは楽観、杏は泰然、私は暢気。
そんな集団だからか喧嘩になる事もなく、とても平和に迷っている。

千代美、まほ、カチューシャ、ダージリンのグループは流石に山に分け入るような真似はしていないと思うけれど、あちらも何かしらのトラブルに見舞われているらしい。
いやはや、温泉旅行ってこんなに前途多難なものだったかな。
まだ目的地にすら着いていないというのに。
10 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:47:01.46 ID:vBBzxIdC0
ちょろちょろという水音が止み、さてと顔を上げると、いつからそこに居たのか、こちらを見つめる視線と目が合った。
今日は災難が続くなあとは思っていたけれど、これほどの災難はそうそう無いんじゃないかな。

熊だ。

しかもどうやら既に臨戦態勢らしい。
ああそうか、この辺はあの熊の縄張りだったのか。
それなら私は今、とても申し訳ない事をしてしまった所だ。

武器になる物と言えば、その辺に落ちている木の枝くらいか。
襲い掛かって来るより先に気が付いたのが、幸いと言えば幸いなのかな。
11 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:48:52.03 ID:vBBzxIdC0
>>6
そうです
あちらで既に読んでいただいた方には既出となります。ごめんなさい
12 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:50:00.31 ID:vBBzxIdC0
さて、逃げたところで碌な事にはならないだろうね。
二人を巻き込む事になるし、運良く車に戻れたとしても、すんなりエンジンがかかるとは思えない。

ひとまず、お約束の死んだ振りだ。

熊に死んだ振りは有効だとか無効だとか言われるけれど、それはどちらも正解とは言えない。
というか自然界において、必ず正解になる行動など無いと言って良い。
有効な時もあるし、無効な時もある。
全ては状況次第だ。

熊はのそのそと寄ってきて私の体を嗅ぎ始めた。
それでいい。
対峙していては状況が動かないし、時間も掛かる。
13 : ◆nvIvS/Qwrg [saga]:2017/11/04(土) 13:51:49.44 ID:vBBzxIdC0
私は落ちていた木の枝を鞭のようにしならせ、熊の眼の辺りを狙ってぴしゃりと叩いた。
不意を突かれた熊が怯んでいる隙に、土を掬い、ギュッと握りしめ、鼻に向かって投げつける。
弾のようになった土塊は熊の鼻に命中して派手に飛び散り、驚いた熊は足を滑らせて斜面を転げ落ちていった。

ごめんね熊くん、私だって死にたくはないんだ。

さあ、今のうちに逃げようか。

「Hey、ミカ。何か大きな音がしたけど大丈夫かしら」

ガサガサと茂みをかき分けて顔を出したケイが、こちらを見て呆気に取られたような顔をしたあと、盛大に笑い出した。
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