少年「お母さ……せ、先生!」女教師「……っ!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:18:56.84 ID:vXDEcx4ho
―小学校―

女教師「今日この時間は、自由に絵を描いて下さい!」


はーいっ!


少年(先生……美人だなぁ)ポー…

少年(ところで何を描こうかなぁ……思いつかないや。先生に聞いてみよう)

少年「お母さ……せ、先生!」

女教師「……っ!」

少年(しまった! お母さんっていいそうになっちゃった!)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509369536
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:19:33.85 ID:vXDEcx4ho
同級生A「お前今、先生のこと“お母さん”っていいそうになったろ!」

同級生B「間違えてやんのー!」

少年「うっ、うるさい!」

女教師「……」ドキドキ

同級生A「ほら、先生もビックリしてるじゃん!」

同級生B「キャハハ〜」

少年「うぐぐ……」

女教師「――!」ハッ
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:21:45.96 ID:vXDEcx4ho
女教師「コラコラ、みんな静かにしなさい!」

同級生A「ちぇっ」

同級生B「はーい」

女教師「え、えぇ〜と……なにかしら?」

少年「あっ、はい! なにを描こうか迷ってて……」

女教師「だ、だったら好きな食べ物でも描いてみたら?」

少年「は、はいっ! そうします!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:24:04.23 ID:vXDEcx4ho
―少年の家―

少年「ただいまー!」

母「お帰り」

少年「おやつは?」

母「戸棚に入ってるわよ」

少年「わーいっ!」

母「手を洗ってからにしなさい!」

少年(先生に比べて、うちのお母さんは……大して美人じゃないし、ガミガミうるさいし)

少年(つまらないや)
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:27:23.57 ID:vXDEcx4ho
父「ただいま」

少年「お帰りなさい」

父「ゲームばかりやってないで、ちゃんと勉強するんだぞ」

少年「はーい」



少年(お父さんは平凡なサラリーマン……)

少年(うちの親は、お父さんもお母さんもつまんないんだよなぁ)
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:28:43.03 ID:vXDEcx4ho
少年(あーあ、もっとかっこよかったり美人だったり、ドラマチックな両親のもとに生まれたかった)

少年(たとえば、先生みたいな……)

少年(そういえば今日、先生に“お母さん”って言いかけた時)

少年(先生やたらビックリしてたよなぁ……ちょっと大げさだった気がする)

少年(もしかして、何かあるんじゃ……?)
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:30:17.07 ID:vXDEcx4ho
―小学校―

少年(よーし……今日は先生の反応を見てみよう!)

少年「先生!」

女教師「な、なに!?」

少年「ごめんなさい、なんでもない」

女教師「そ、そう」

少年(やっぱり……あの一件以来、よそよそしくなってる)
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:33:09.85 ID:vXDEcx4ho
少年(先生は、ぼくの“お母さん”に敏感に反応してた……)

少年(ってことはもしかして、先生って……)

少年(ぼくのお母さん!?)

少年(いや、そんなまさか……いくらなんでも……ありえないよな……)

少年(だけど、確かめてみる価値はある!)
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:35:31.94 ID:vXDEcx4ho
少年(よーし……)

少年「お母さん!」

女教師「!!!」ビクッ

少年「やっぱり……!」

少年「先生、ぼくが“お母さん”って呼んだら、ものすごくビクッとしてたよね」

少年「どうして? どうしてなの?」

女教師「そ、それはね……」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:37:36.58 ID:vXDEcx4ho
少年「ねえ、ずばりいってあげようか」

女教師「な、なに?」

少年「先生はぼくの本当のお母さんなんでしょ?」

女教師「……っ!」

女教師「違うわ! なにをいってるの……」

少年「だって、そうとしか考えられない! おかしいよ、あの反応は!」

女教師「いいから……授業が始まるから教室に戻りなさい!」

少年「……はい」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:42:08.71 ID:vXDEcx4ho
―少年の家―

少年「お母さん」

母「なに?」

少年「こないだ、担任の先生に間違えて“お母さん”呼びしちゃったら、ものすごくビックリしてたんだ」

母「あら、まあ」

少年「普通、そこまでビックリしないよね。なんでだと思う?」

母「そういえば、担任の先生替わったんだったわね。その先生の名前は?」

少年「えーとね……」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:43:48.02 ID:vXDEcx4ho
母「……っ!」

少年「なんでそんな驚くの?」

母「え……」

少年「先生の名前を聞いた途端に、どうしてそんなに驚くのさ!」

母「お、驚いてなんかいないわよ」

少年「ウソつき! 驚いてたじゃん!」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:47:42.43 ID:vXDEcx4ho
少年「そういえば、先生に冗談で“先生はぼくの本当のお母さん?”って聞いたら」

少年「先生もっと驚いて、しどろもどろになってたよ」

少年「ねえ――」

母「もうその話はやめなさい!」

少年「!」ビクッ

母「いい? もう二度と先生に変なこといっちゃダメよ!」

少年「なんで――」

母「いいから!」

少年「……分かったよ」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:49:31.60 ID:vXDEcx4ho
少年「おやすみなさーい」スタスタ…

少年「……」モゾッ…





ヒソヒソ… キョウセンセイガ… マサカアノトキノ… スゴイグウゼンダナ… エエビックリシタワ… ヒソヒソ…





少年(お父さんとお母さんが何か話してる……)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:50:45.91 ID:vXDEcx4ho
ドタタタタッ

少年「なにをコソコソ話してるの!」ガラッ



母「きゃっ!?」

父「お、起きてたのか……!」



少年「ん? 二人してなに見てるんだよ!」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:54:55.28 ID:vXDEcx4ho
少年「これは……!? 新聞の記事……?」



≪男児誘拐事件、犯人特定できず……≫



少年「なんだよこれ! 男児誘拐事件……!?」

母「あっ……」

父「これは……」

少年「やっぱりそうだ! ぼくは正しかった!」

少年「やっぱり先生が本当のお母さんだったんだ!」

少年「うわぁぁぁん!」タタタタタッ

父「おいっ!」

母「待ちなさい!」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:59:07.38 ID:vXDEcx4ho
……

…………


―先生の家―

ピンポーン…

女教師「はーい」

少年「やっと見つけた……」ボロッ…

女教師「どうしたの!?」

少年「先生……ぼく、家出してきたんだ。今日からここで暮らすからね」

女教師「ど、どうして!?」

少年「だって、あの人たちはぼくの両親じゃないから」

女教師「またそんなこといって……」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 23:00:23.45 ID:vXDEcx4ho
女教師「あの二人は、間違いなくあなたのご両親よ。私が保証します」

少年「でも……でも!」

少年「先生の話をしたら、お父さんとお母さん、ある誘拐事件の新聞記事を見てた!」

女教師「……」

少年「犯人は見つかってないって……あの人たちが犯人なんだ!」

女教師「違うのよ!」

少年「何が違うの!?」

女教師「あなたの両親は犯人じゃない!」

少年「じゃあ誰が犯人なの!?」

女教師「……私よ」

少年「……え?」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 23:03:12.96 ID:vXDEcx4ho
少年「先生が……犯人……?」

女教師「……驚いたでしょ?」

女教師「まだ学生の頃、私、子供を流産してしまってね」

女教師「あ、流産っていうのは、お腹にできた赤ちゃんが死んで出てきちゃうことね」

女教師「それがきっかけでその時の彼氏とも別れてしまって……人生に絶望してたの」

少年「……」

女教師「そんな時、まだあなたのご両親と幼いあなたを見かけたの」

女教師「私の目には、あなたたちがとても幸せそうに、輝いて見えたわ」

女教師「そして……ふと魔が差してあなたを誘拐してしまったの」

少年「……!」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 23:06:01.31 ID:vXDEcx4ho
女教師「一週間……だったかしら。私はあなたを育てた」

女教師「警察の捜査は難航してるみたいだったし、もうこのままあなたを育てちゃおうとも考えた」

女教師「だけど、やっぱり……あなたを家まで返しに行ったの」

女教師「全ての事情を話して、警察に突き出されることも覚悟してたわ」

女教師「そうしたら……」



父『あなたの事情とお気持ちはよく分かりました。息子を返してくれてありがとう』

母『あなたのことは警察には言いません。警察には家の玄関に息子が置かれていた、と伝えます』

父『ただし、これからは真っ当な人間になって下さい。二度とこんなことはしないで下さい』

父『これがあなたを見逃すただ一つの条件です……』



女教師「二人は……私を見逃してくれたの」

女教師「元々大学で遊んでた私だけど、それから心を入れ替えて先生を目指したのよ」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 23:08:21.39 ID:vXDEcx4ho
少年「そうだったんだ……先生がぼくを……」

女教師「私は……先生でありながら犯罪者よ。許して……とは言わないわ」

少年「……先生」

少年「一週間、ぼくを傷つけたりせず育ててくれてありがとう!」ペコッ

女教師「!」

少年「じゃあ、そろそろぼく帰るね」

少年「安心してよ!」

少年「ぼく、甘さも口の堅さも親譲りだから!」

女教師「もう……この子ったら……」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 23:11:44.94 ID:vXDEcx4ho
―少年の家―

少年「ただいま!」

母「ああっ、お帰り!」

父「心配してたんだぞ……!」

少年「ごめんね、お父さん、お母さん」

少年「ところでぼく、先生から全部聞いちゃったんだ」

父「……! そ、そうか」

母「先生が……話したのね」

少年「うん! だけどぼくぜーんぜん気にしてないよ!」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 23:13:48.54 ID:vXDEcx4ho
少年「それとさ……ぼく、うちの両親はなんてつまらないんだって思ってたけど」

少年「お父さんとお母さんもすごいドラマを抱えてたんだね」

父「お、おいおい……」

母「ドラマってほどのものじゃないわよ」

少年「だからってわけじゃないけど……お父さんもお母さんも大好き!」

父「……ありがとう」

母「さ、今度こそ寝なさい。明日、遅刻しちゃうから」

少年「はーい!」







〜 おわり 〜
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/30(月) 23:24:41.89 ID:/af6BSNe0

面白かった
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 17:09:52.26 ID:Or5GIdjro
予想外の展開だったわ。乙
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/31(火) 17:48:04.98 ID:x4GvLmyl0
面白かった。
乙。
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/02(木) 21:48:17.93 ID:Y83R+9oy0
こういうオムニバスドラマ調のやつすこ

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