【艦これ】提督「クソッタレな世界を」長門「生き残るために抗おう」【安価スレ】

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224 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/11/29(水) 03:39:28.20 ID:qCwL35SI0
「うぅ…。狭いとはいえ、なにも食堂で着替えなくても…」

せっかく二つの大浴場があるのだから、そちらで着替えた方が色々と良かった気がするが。

発育のいい娘が多かった先ほどの光景は、些か提督には刺激が強すぎた。

「司令官ー!良かった…やっと見つかった…」

ぜぇぜぇと息を切らす水無月。なぜ自分を捜していたのか分からない提督は、

「どうした?何かあったのか?」

と問い掛ける。対する水無月の返答は、意外とあっさりとしていた。

「あ、うん…。さっちんが酔ってるから、介抱してほしいんだ」

「…え!?皐月は結構お酒に強かったはずだけど…。あ」

そこで昨日、長門は一杯だけしか飲んでいなかったことを思い出す。

「まさか…。あのワイン一本を丸々飲んだんじゃ…」

「飲んでたね。少し前から」

いつの間にワインを貰っていたのだろうか。調査を頼んでから、長門はずっと寝ていたはずなのに。

だが、酔っている人を放置するわけにはいかない。

早く行った方が良さそうだが、まずは現状を確認しなければ。

「皐月はご飯を食べたのか?」

水無月は首を横に振りながら答える。

「ううん。何も食べてないよ」

とすると、お粥とかを作った方がいいか。お酒だけというのは非常に不味い。

「じゃあ、俺は簡単な食事を作ってから行くよ」

「分かった。こっちもさっちんに言っておくね」

勢いよく走り出す水無月。駆逐艦の娘はよく、あんなに元気に走れるものだ。

――俺は、本を読んでただけだったしな。…それが、あれの原因だったんだろうけど。

「ぐ…!う…!?」

よろめいた提督は、壁にもたれ掛かる。

「嫌だ…。嫌なのに…どうして皆は俺を…」

忌まわしき記憶。それは、ふとしたことで簡単に蘇る。

心の傷を治すには、それを乗り越えるか、違うもので塞ぐしかない。

「…大丈夫だ…。同じ目に遭うことは、今はないから…」

しかし今は、目を背けて誤魔化すことしか出来ない。

乗り越えられる心の強さが今の彼には無い。

既に彼の心は、何度も壊されているから。

たとえ癒えたとしても、傷ついた、壊れた事実は変わらない。

その傷は確かに、提督の心を蝕んでいる。
225 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/11/29(水) 03:39:58.34 ID:qCwL35SI0
厨房に移動し、調理を始める。

本当に簡単な料理、お粥を作っているだけである。

だが、この系統の料理が最も、提督が得意であり、思い出がある料理だ。

母親を看病する時は毎食、多少は味付けを変えていたが同じ物を作っていた。

体に染みついているそれは、まさにルーティーンのようで、手際よく調理を進めていく。

「…これくらい、かな」

土鍋いっぱいに入ったお粥。

今の皐月がどれほど食べるのか分からないので、なるべく多目に作っておいた。

冷めないうちに(すぐ冷めるような物ではないが)皐月へと届けるために、提督は小走りで向かう。

開かれたドアから中を見ると、二段ベッドの下の方で布団から顔を出す皐月と、隣で水を注いでいる水無月が。

「おまたせ皐月、水無月」

「あっ、司令官。水無月は行くね。ごゆっくり〜」

そそくさと退散する水無月。心なしか、悪戯をしている子供のような笑みを浮かべていた。

「…?それより皐月。お粥を作ってきたんだ。食べるかい?」

隣の椅子に腰を下ろす。すると、皐月は口を大きく開く。

「ん。ほ〜らしれいかん〜。早く食べさせてよぉ〜」

いつもとは違い、まるで甘えるような声を出す皐月。

戸惑いつつも、提督はお粥を匙に取り、息を吹き掛けて食べやすいように冷ます。

「あ〜…んむ…♪」

それを満足そうに頬張る皐月が何だか新鮮で、提督も、口を開けては入れ開けては入れを繰り返す。

あっという間に、土鍋いっぱいのお粥を平らげた。
226 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/11/29(水) 03:40:37.97 ID:qCwL35SI0
「えへへ〜…。しれいかんが、分身してる〜」

ゆらゆらと揺れる皐月は、メトロノームのように見える。

皐月は、揺れながら提督に抱き着く。

「本物は捕まえたよぉ。ぎゅー…♪」

頬を紅潮させながら、皐月は顔をお腹にうずめる。そして、先ほどとは打って変わって、弱々しく口を開く。

「しれいかん…。ボクたちを置いて行かないで…。一人に…しないで…」

それは、純粋な願い。普段は奥に押し込んでいる、皐月の本心。

それがポロッと、お酒によって緩くなった心の隙間から出てしまった。

――いや、安心したから、の方が正しいのだろうか。

少しずつ、抱きしめる力が強くなる。返答を待っているのだろう。

提督もそれに応えるように、皐月を抱きしめる。

「…置いて行かないよ。そんなこと、してたまるか」

一度、孤独を味わわせてしまった。だから、次も味わわせるわけにはいかない。

「何があっても、俺はもう君たちの前から消えない。だから…」

「だから…?」

――君たちも、いなくならないでくれ。

その言葉を聞いた皐月は微笑み、静かに寝息を立てる。

解放された提督はもう一度、皐月を優しく抱きしめ、一言呟く。

――おやすみ、皐月。

そして、音を立てることなく、部屋を後にした。
227 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/11/29(水) 03:41:07.58 ID:qCwL35SI0
土鍋を片付けた提督は、食堂の机を見渡す。

そこでは、深海双子棲姫が仲睦まじく談笑していた。

一見、ほのぼのとした雰囲気が流れている。

しかし、二人の目には、お互いの姿しか映っていない。

大井と北上たちと同じように見え、全く違う。

彼女らは、本当に『自分たち以外はどうでもいい』と思っている。

霞が提出した書類を思い出す。

―――――――――――――――

早急に、周囲と信頼関係を築かせるように。

―――――――――――――――

過去の行いを鑑みれば、拒絶されるのは目に見えている。

昨日の握手だって、彼女らからしたら、他の人がしていたから仕方なくやった、程度の認識だろう。

――それでも、関わらないといけない。

これからは仲間なのだ。提督だって、仲間を喪う目には二度と遭いたくない。

だから、まずは理解する。

彼女らがどういう人なのかを。それからでも遅くないはずだ。

まずは相手を知り、そして分かり合う。

――きっと出来る。

そう信じた提督は、腹を括って声を掛ける。
228 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/11/29(水) 03:41:37.98 ID:qCwL35SI0
「…誰?邪魔しないでくれる?」

冷たい視線が、提督の全身を突き刺す。

やはり、その目には提督は映っていない。目の前にいるというのに。

「…邪魔したいわけじゃないんだ。ただ、君たちのことを知ろうと…」

刹那、黒い方が襟を掴む。

「…忘れたわけじゃないから…!あなたが…あなたが私たちを傷つけた…!」

実際に攻撃をしたのは艦娘だ。

だが、その命令を出したのは提督だ。

提督がそんな命令を出さなければ、彼女らが傷つくことは無かった。かもしれない。

「罰は受けるさ…!それだけのことを君たちにした…」

「だけど…その上で君たちのことを知りたいんだ…!」

「はぁ!?私たちのことを知って何になるのよ!」

「仲間…だから…。昔は敵だったとしても…今は違う…から…」

襟を掴む手が固まる。同じように、二人は硬直していた。

「何言ってるの…。今は味方でも、過去は消えないでしょ…?」

白い方が口を開く。

「そうよ…。あの悲しみが…苦しみが消えるわけじゃない…!」

忌々しげに、黒い方も同調する。

「そうだよ…。過去が消えることはない…。でも…!」

「それでも…!君たちだって大切な仲間なんだ…!喪いたく…ない…んだよ…」

立場は違えど、共に歩む者たち。

それを喪うのは、辛いものだ。

喪う怖さを、痛みを知っているから、提督は動いた。

自分を拒絶する二人を、理解しようとした。

「…バカみたい。私たちに話しかけようって」

「…でも、あなたみたいなバカは一人しかいないでしょうね」

二人は顔を見合わせ、一緒に口を開く。

「「あなたのこと、憶えたわ。おバカさん」」

そして、微かに笑い、二人は水底へと消えた。
229 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/11/29(水) 03:42:22.29 ID:qCwL35SI0
深海双子棲姫が消えた方向を見る。

何の変哲もない、廊下へと続く通路。

その先にある、ただの水の壁。

「知ることは出来なかった…。…けど憶えてもらったのなら…前進した、かな」

一般人Aではなく、提督として。二人の脳に、はっきりと記憶された。

それは、確かな進歩だった。

「ふふ。凄いね提督は。あの二人に憶えられるなんて」

「わひゃっ!?」

ピトッと首筋に当てられる冷たい手。

堪らず、提督はビクンと飛び跳ねた。

「ふふふ…。びっくりした?」

子供のように笑うヲ級。右手にはペットボトルが握られている。また、触手にはコップが。

「久しぶりに、お話がしたいんだ。大丈夫かな?」

「え?ああ。大丈夫だけど」

その言葉を聞いたヲ級は満面の笑みを浮かべ、席に座る。

それにつられて、提督も前の席に座る。
230 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/11/29(水) 03:43:00.17 ID:qCwL35SI0
「どうぞ」

「ありがとう」

コップに注がれた緑茶。市販のラベルが貼られているところ、どこかから買ってきたものなのだろう。

「それで、どう?ここの生活には慣れた?」

「あ、うん。ちょっと寒いくらいだから大丈夫」

「ふぅん…。私がギュッてしたら温かくなるかな?」

「それはちょっと…」

「ふふ」

何気ない会話が暫く続く。

その後で、提督は決心したこと、これからのことを話す。

「…これからさ、どうするか決めたんだ」

「へぇ。どんなこと?」

「…まず、深海棲艦の人たちを理解する。これは昨日言ったけどね」

それでも、それだけ本気なのだと伝えるためには必要だ。

だから、何度でも言う。

「次に、他の提督…俺が信頼している人と交渉して、補給線の確保をする」

無自覚の兵糧攻めを喰らっているのと同義なこの状況。

どうにかしなければ、このままではジリ貧だ。

「その後どうするか…はまだ決めてないんだ…。先に何でも決めるのはどうかと思って…」

先に全ての行動を決めてしまうと、不測の事態に対応出来ない。

そのため、当面の目標を立てて遂行し、目標に到達出来たら、その時の状況を判断してまた新しい目標を決める。

このスタンスで進めていくことを決めている。

「…うん。いいと思うよ」

「私たちがいくら口出ししても、最後に決めるのは提督だから」

「…私は、何があっても提督について行くけどね」

この純粋な心に、提督は救われた。

だから、それに報いなければならない。

信じてくれる彼女たちのために。


↓2 自由安価です。

※短いですがこれで終了です。水曜日に更新できなかったら、土曜日になると思います。お疲れナス!
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/29(水) 07:23:03.10 ID:tHJrt5+nO
kskst
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/11/29(水) 11:21:52.80 ID:U6Y36J8E0

最初はあんたはクソ提督どころかへタレ提督と罵るが
でもあんたは私みたいなひねくれ者を見捨てずにいてくれた
だから逃げたいのなら逃げてもいいのよ、協力もしてあげる

逃げたら恨まれるけど恩があるから一緒についててあげてもいいのよ
ここに残って女に囲まれて堕落してもいいのよ。善ではないがしれでもあんたを受け入れてくれる子もいるだろう
ただ、どの道を選ぶにしてもちゃんと決断してよねと言う
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/11/29(水) 11:26:27.81 ID:U6Y36J8E0
全員ではないがそれでもあんたを受け入れてくれる子もいるだろう
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/29(水) 11:54:44.56 ID:ZGp/e3EA0
一番修理が必要なのは提督だな
メンヘラとDT拗らせてるのが面倒くさすぎるw
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/29(水) 20:13:13.90 ID:oBNumAFZ0
修理ってかもう解体必要なレベルだがな
こんな自分でも慕ってくれるヲ級や長門達に少しでも感謝し報いたい気持ちあるならとっと覚悟決めろと
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/29(水) 22:28:42.37 ID:HecSY4QF0
鎮守府運営かと思ったらまさかのメンヘラ男の介護スレだしな
ちゃんと行動させようと安価取っても溜息ものの行動になってここまで共感も応援もする気が湧かない主人公も珍しいw
このまま先細る補給とともにここでゆっくり朽ち果てさせたほうが良かったかも知れんね
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/11/30(木) 01:31:37.00 ID:ZD1wNljt0
その辺は安価で遠隔操作する楽しみはあるかな
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/02(土) 00:53:50.46 ID:aeH388b50
確かに優しさや謙遜は美徳だが提督はそれをはき違えてるただのダメ男じゃねえか
ヲ級達はそんなダメ男に釣られて貢ぐ(養う)哀れな女と変わらないし、盲信に近いものすら感じる
これ程未来が暗い組織も珍しいよ
239 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/03(日) 02:20:04.76 ID:HKpSPRui0
>>234、DTとメンヘラが備わり最強に見える。なお。

>>235、流石に、何度もしっかりするように言われてるのでちゃんと動きます。これでネガってたら…ね…?

>>237、やっと始まる鎮守府運営。提督の性格を拗らせすぎたと後悔なう…。

>>238、提督自身は文句なしのダメ人間ですね。ヲ級と艦娘たちが提督について行くのにも、一応理由がありまして…。

凄い提督がディスられてて若干ゃ草。気持ちは分かりますよ、ええ。今回はちょっと無理そうです…。

完成した中将編だけでも投下します。火曜日なら再開出来るはず…。
240 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/03(日) 02:20:47.54 ID:HKpSPRui0
二〇一X年 ある日の舞鶴鎮守府

「王手、です」

「ふむ…。では、私はこれを使うか」

パチリと、駒を打つ音が部屋に響く。中将と提督は、将棋に興じていた。

「う…。どうすればいいんだ…」

提督が王手をかけて十手後、逆に提督が王手をかけられていた。

「…参りました」

「悪くはないが、視野が狭いというか、先入観に囚われているというか」

中将は将棋盤の上の、王手をかけた桂馬を手に取る。

「…物事の解決方法は一つじゃない。先ほどだって、あの王手から抜け出すことも容易だったし、王手をお前がかけた時も勝っていた」

「正しいと思ったことでも、それ以外に手段が在るのか考えろ。それが、起死回生の一手となり得る」

「…承知しました」

深々と頭を下げる提督。

それを見て、中将は桂馬を戻す。

「…して、他にも将棋を指す人はいないか?」

「…いえ、存じ上げませんが…」

右手で頭を押さえながら、中将は口を開く。

「最近、指す相手がいなくてな…。提督の存在はありがたく思っている」

「無論、提督のことも評価はしている。度々、提督の戦果を耳にするぞ」

「嬉しい限りです」

頭を下げる提督だが、それを見て中将は睨む。

「…謙遜は美徳だ。だが、謙遜と卑下は違う。そこを理解しろ」

「…理解しています。ですが、今更変わりはしませんし、変えられないものだと思います」

――何が、提督をここまで悲観的にさせたのだ?

そんな疑問が浮かぶが、悟られないように隠す。

「…もういい。ラバウルまで距離はあるんだ。養生して帰ることだ」

「はい。失礼します」

一人になった和室で、中将は頭を抱える。

――どうして、お前はこうも自分を卑下するのだ。

中将は、部下一人矯正出来ない未熟さを恨めしく思った。
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/04(月) 09:58:27.31 ID:819rPEmb0
途中で切れてるがどうした?
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/04(月) 11:02:30.15 ID:mlH+xHg50
よく読め次は早くても明日だ
243 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/06(水) 00:03:47.48 ID:0UmsHVeT0
お ま た せ 。残業ばっかりで辞めたくなりますよ〜仕事〜。saikaisystem,stand by.
244 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/06(水) 00:07:06.15 ID:0UmsHVeT0
「クソ提督、今話せる?」

椅子に座っていると、曙が声を掛けてきた。

「うん。大丈夫だけど」

「じゃあついてきて」

そう言って、曙は提督の手を引いて歩く。

座ったままだった提督はこけかけるが、何とか態勢を整えて歩き出す。

曙が連れてきたのは、食堂の片隅。垂れ幕によって隠されている場所。

「…ここなら、見られないわよね」

チラリと提督は後ろを見る。壁には、何かで削られたような跡が。

しかし、それが曙に関係しているものではないだろう。

「ねえクソ提督。あたしが鎮守府に配属された時のこと、憶えてる?」

「…ああ」

それは、鎮守府正面海域の脅威を排除した時のこと。

それを称し、大本営から一人の少女が配属された。

『綾波型駆逐艦の曙よ。本日付でここの所属になるわ』

海軍式の敬礼をする曙。

『俺がこの鎮守府の提督だ。まだ未熟で頼りないが、それでも良ければよろしく』

それに応え、提督も敬礼をする。

『…あんたの方が上官なんだから、下手に出るのはおかしいでしょ』

提督の物言いに嫌悪感を抱き、曙は物申す。

『まだ未熟だからな。艦としての記憶を持つ…経験がある君たちの方が上のはずだよ』

『呆れた…。クソはクソでも、色々とアレな方のクソ提督じゃない』

『あはは…。否定は出来ないかな』

罵倒されたというのに、反論もせず受け止めた提督に、曙は苛立ちを募らせる。

『あー…もうっ!少しも言い返さないなんて、クソ提督じゃなくてヘタレ提督じゃない!』

『もういいわ!あんたと話していたら、こっちまでナヨナヨしてくる!』

強くドアを閉めて、曙は出ていった。

『凄い罵倒されたなぁ…。俺が未熟だから、なのかな』

それに対し、提督はどこ吹く風、とでもいうような感じだった。
245 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/06(水) 00:07:57.43 ID:0UmsHVeT0
「懐かしいなぁ…。あれから四年…か」

「…普通に考えたら、初対面で罵倒するあたしなひねくれ者、見捨てるはずなのよね」

感傷に浸るように零していく曙。その表情からは、どういう感情なのか読み取れない。

「罵倒には慣れてるよ。殴られるよりはよっぽど楽だし」

提督の発言に目を見開くが、意識を戻して、曙は話を続ける。

「…提督の過去は知らないわ。…だけど、あんたはあたしを見捨てなかった。あんなことを言ったあたしを、一人の人間だと言ってくれた」

「それは確かな、変えようのない一つの事実よ」

「まぁ…。感謝はしてるわ。一応。たぶん他の人も同じよ」

そして、曙は提督の顔を掴む。

「いきなりこんな状況に直面して、どうしても逃げたい時もあると思うわ。その時はそうして構わない」

「あたしも、その時は手伝ってあげる」

提督は、その提案を拒む。

「…それは駄目だ。皆に申し訳が立たない」

「…どうしても、だから。あくまで、最後の手段よ」

「逃げたら、皆から恨まれるでしょうね。だけど、恩があるし…。その時は、一緒にいてあげても…いいわよ…」

語尾が弱くなりながらも言う曙。一回目を背けながらも、視線を戻して再度口を開く。

「それに、何もしないでここで堕落してもいいわ。全員ではないでしょうけれど、受け入れる子もいるはずよ」

――そういう風に出来ているのがあたしたち、だし。

咳払いをして、どうにか押し込める曙。

「コホン!…まぁとにかく、どんな道を選ぶかはクソ提督の自由」

「だけど、選ぶなら後悔しないように、自分の意志で決断すること。いい?」

きっとこれは、彼女なりの励ましだろう。

いつまでもうじうじしてる自分への。

――何度腹を括ってるんだって話だしな。俺も。

腹を括ってばかりで、行動に起こしていない。

そんな自分とはさよならをしなければならない。

それを、そんな簡単なことを自分は出来なかった。

だけど。

――これほど皆に言われて、それが出来ないとしたら、それこそ末代までの笑い者だ。

「…大丈夫だよ、曙。迷惑を掛けたな」

「ふん…。手の掛かる提督の下に就いて大変ったらありゃしないわ」

そう言う曙の顔は少し楽しそうで。

「あはは…。俺も精進しないとな。人間として」

「まぁ、期待しないで待ってるわ。マトモな人間になるところを、ね」

手を振って垂れ幕の外に出る曙。

――別に、逃げてもあたしとしては良かったんだけど。

思わず口から零れた言葉の意味を思い出し、曙は顔を少し赤く染めながら、風呂へと向かった。


アンカニング…ラァァァァァブ!↓1 自由安価にゃしぃ。
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 00:21:25.93 ID:LcAcwjYd0
曙の件以降も似た様な事はあった
早霜BRR再開で顔を出して少し飲んでいたら
早霜と従業員の不知火も似た様な事を言ってきた
逃げてもいい、堕落してもいいと
247 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/06(水) 01:09:00.54 ID:0UmsHVeT0
曙が去った後、食堂に再度顔を出すと、せっせと荷物を運ぶ不知火の姿があった。

「おや、司令。そのようなところで何をしているのでしょうか?」

「ん?ちょっと駆逐艦の娘と話をして、な」

うんうんと頷く不知火。納得したのだろう。

「それより、その大荷物はどうしたんだ?」

「諸々の許可を頂いたので、早霜のバー再開のための物資搬入です」

「…というと、間宮さんや長門たちの許可かな?」

こくりと頷き、不知火は口を開いた。

「はい。提督の許可を頂かなかったのは詫びます。申し訳ありませんでした」

「いや、別に駄目とか言うわけじゃないけど…。娯楽とかは必要だろうし…」

「早霜としても、再開の要望があったからそれに応えたのだそうです」

鳳翔のところで、談笑しながら酒を飲むのも悪くなかったが、個人的には、静かに飲むのが好きだった。

提督にとって、早霜のバー再開は結構嬉しいことだ。

「そうだ、司令も一杯どうですか?久しぶりに飲むのですし、早霜もきっと喜ぶでしょう」

「そっちが良ければ、是非そうさせてもらうよ」

「では、不知火についてきてください」

不知火の後を追い、宿舎を進む。

階段を何度も上がり、宿舎の最上階へ。

通路の最奥に、それはあった。

ドアには『OPEN』と書かれた看板が掛けられている。

「チッ、手が塞がってるから開けられないわね。すみません司令、開けてくれますか?」

「分かった」

ゆっくりドアノブに手を掛け、引く。

カランカランとベルが鳴り、扉が開く。
248 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/06(水) 01:41:59.08 ID:0UmsHVeT0
「不知火さん、お疲れ様…あら、司令官もですか?」

「ええ。搬入中に会ったから連れて来ました。不知火に何か落ち度でもありますか?」

「いえ…問題ないですよ…。うふふ…」

カウンターにタンブラーが置かれ早霜は、不知火の木箱からカシスリキュールを取り出す。

タンブラーに氷を入れ、リキュールを注ぐ。

次に、炭酸水をリキュールの約二倍ほど注いで、マドラーで丁寧に、上下に混ぜてからサッとかき混ぜる。

「ごめんなさい。ロックアイスがあれば、もう少し上等な物が作れるのですが…」

提督は一口、カシスソーダを口にしてから答える。

「…いや、充分美味しいよ」

「良かったです…」

安堵したように、早霜は息を漏らす。

そして、どこか暗い雰囲気を漂わせて早霜は顔を近づける。

「司令官…。二日前と比べると、明るくなりましたね…」

「…色々と発破を掛けられてね。流石に、これ以上悩んでもいられなかったんだ」

「そうですか…」

早霜はカウンターから出て、提督の隣の椅子に座る。

「そうやって、前を向いて進むのもいいと思います…」

「ですが、どうにもならない時が来るかもしれません…」

ポツリポツリと言葉を発する早霜。その目は、髪に隠れて窺えない。

「その時はどうぞ、私たちを頼ってください。共に、ここから逃げ出しても構いません…」

「司令官が、私たちに縛られることもないのですから…。私は、喜んで司令官を受け入れますよ。ふふ…」

そう言った早霜は顔を上げる。その潤んだ瞳に吸い込まれそうで、思わず目を背ける。

「不知火も同意見です。不知火たち艦娘は、司令のために尽くすように作られた存在です」

「何があってもこの命、司令に捧げましょう」

そう述べる不知火の瞳は、どこまでも真っ直ぐに。

感情が本当にあるのか考えさせるほどに、それは真っ直ぐだった。

「…生憎、君たちの中で誰かを棄てられるほど、俺は精神がタフじゃなくてね」

「こうなってしまったなら仕方がないよ。最期まで共に進むさ。無論、全員でな」

少しの間続く沈黙。

当然、それは簡単に崩れた。

「そうですか…。何があっても…私は司令官を見ていますよ…。たとえ、この身が朽ちても…ふふふふ…」

「下す命があれば、いつでもお呼びください。不知火が完遂致します」

「…君たちこそ、俺に縛られることはないんだよ」

「そういう存在ですので、仕方がありません」

不知火の瞳に、提督が映る。

それは揺れることなく、ただ真っ直ぐと。


安価戦隊、出撃します!↓1 自由安価でげす。
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 02:03:10.18 ID:hPMY6le10
明石を訪問
水中通信機開発指示
深海化したことで艦娘に起きた精神的肉体的変化の所見を報告させる
250 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/06(水) 03:01:39.96 ID:0UmsHVeT0
酒を飲み終え、外に出た頃には、時間は夜になっていた。

不知火たちはバーで客を待っているつもりらしく、既に食事は終えているとのことだ。

「目下の課題は…と」

メモ帳を取り出し、問題を箇条書きしているページを開く。

「…水中での通信手段が欲しいって霞は書いていたな。明石に打診してみるか」

今の時間は、食堂が賑わってる頃だろう。

――もし明石がいなくても、他の娘から情報を得られるはずだ。

そう思い、提督は食堂へと向かった。

「あれ?提督もご飯ですか?」

「夕張か。明石がどこにいるか知らないかな?」

「うーん…。最近はずっと工廠に籠りっきりですねぇ」

どうしてかと提督は問うと、夕張は待ってましたと言わんばかりに熱弁する。

「それはですね!こんな体になってからというもの、原理不明の謎兵器が偶に開発されるようになったんですよ!」

「それで、今は少し前に開発された粒子内蔵魚雷のメカニズム、特殊効果の解明に勤しんでいるんです!」

「そもそも、粒子が散布されることで通信が妨害されるということは、粒子が持っているであろう何かしらの電波による干渉も考えられて…」

「も、もういいよ…。正直何を言っているか途中から分からないんだ…」

「あー…。提督文系ですからね」

こんなことなら、兵器関連の文献も読み漁っておくべきだった。

そんなことを思う提督に、夕張は再度口を開く。

「とりあえず、明石とお話したいなら工廠に行ってください。ご飯も持って行ってあげてくださいね」

「あ、場所とか分かります?執務室辺りの廊下なんですけど」

「場所は何とか、ね。ありがとう」

軽く手を振って、夕張の前を歩いていく。
251 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/06(水) 03:36:47.26 ID:0UmsHVeT0
「…なるほど。何かの微粒子が崩壊することで出来てるのか…」

「フォトン…は理論上崩壊しないしなぁ…。でも、そこを深海棲艦の不思議パワーでどうにかしてると考えれば辻褄が…。ううむ…」

魚雷の内部にある小さな発生器を分解して、頭を悩ませる明石。

未知の物質、テクノロジーを前にして、技術者の好奇心が刺激されていた。

「…まあいっか。性質の方は…通信妨害と、重力等の影響の減衰、物質に付着すると表面を滑面化させる…かな。何だこれ…」

「ともかく、一旦保留かなぁ…。設備が足りない…」

椅子にもたれ掛かる明石は、水を一杯飲み干す。

コンコンコンと工廠中にノック音が響く。

「はぁーい。入っていいですよ〜」

「お疲れ様、明石。晩御飯にしようか」

「おおぅ。提督、気が利いてますね〜」

このこの、と肘で提督を小突く明石だが、疲れているのが目に見える。

「とりあえずご飯だ。あと、しばらく休憩しような?クマが酷いぞ」

「あはは…。提督に言われるとは、世も末ですね…」

「普段は逆だったからなぁ…」

感傷に浸る二人。思えば、随分と昔のことに思える。

「それで提督、ご飯を届けに態々来たわけではないでしょ?」

「え?ああ。水中用の通信機を開発出来るかな?ってね…」

「…なるほど。深海棲艦と共に戦う以上、有って損は無いですからねぇ」

「二日ください。その間に終わらせます」

「自分のペースで大丈夫だよ…」

工作艦としての意地です、と意気込む明石。

悪い方向に向かないといいのだが。

「あ、それと、私たちの精神、肉体の変化を纏めた書類がそこの机に」

「…随分頑張ったようで」

「えへへー。今度パフェ奢ってくださいねー」

「それくらいなら喜んで」

何気ない会話をしながら、書類を取る。

そこにはこう記されていた。

―――――――――――――――

艦娘の深海棲艦化による変化


身体的変化

細胞レベルで深海棲艦に近づいており(同じではない)、耐性が上昇している。有志の検証によると、マグナム、日本刀までなら耐久可能。

代償として、艤装への適合性が著しく低下。深海棲艦の細胞を艤装に組み込んで、無理矢理装備させている現状である。

また、艦娘からの性質反転が起きていることが確認されている。具体的には、艦娘の加護の無力化である。

精神的変化

大きな変化は見られないが、肉体が変わったことに認識が追い付かなくて、不安定になっている娘がいる可能性がある。

なお、全体的な傾向としては、生命への執着心が損なわれている。(提督のことは皆信じてますよ!大丈夫!by明石&大淀)

―――――――――――――――


私も、新しい安価欲しいなぁ〜。きらきら…にひっ!↓1 そ の た め の 自 由 安 価

※これで今回は終了でごわす。次回は水曜日だから今日!てなわけで皆さん、オツカレサマドスエ!
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 08:26:12.61 ID:NIIZ8vFJ0
資源の運搬をしていた潜水艦らが戻ってきた
鎮守府時代ではオリョクルーは苦しい時以外はしない様にしてたが
必要な時には酷使してたのが心苦しい
だが今の彼女らは疲労があっても明るい
大本営から解放されて本当の意味で提督と自分達の為に頑張れるのが嬉しいからだ
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 20:56:58.57 ID:GSMekr4P0
なんか気持ち悪い安価とる奴が常駐しだしたな
npcの反応まで事細かに指示しまくってら
254 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/06(水) 23:57:04.47 ID:Dint8LZe0
>>252>>152で書いてるけど、オリョクルは一度も実行してないんやで。それと、反応まで指定されるのはこちらとしてもつらたん…。

今回は、資材の搬入の部分だけ採用させていただきます…。
255 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/06(水) 23:58:00.18 ID:Dint8LZe0
書類を見て、一つ気になることがあったため、それを問う。

「執着心が損なわれている…ってどういうことなんだ?」

「んー…」

人差し指を唇に当てて、黙考する明石。数秒して、口を開いた。

「何というか、『死ぬのが怖くない!』って感じですかねぇ。一度経験したから、なのかもしれません」

飛び込みとかと同じ感覚なのだろうか、と提督は思う。

したことは一度も無いのだが。

しかし、良くない傾向だとも思う。

このままでは、自分の命を軽視した行動を取りがちになってしまいかねない。

「…だけど、死んだらそこで全てが終わるんだ。…しないでくれ。絶対に」

「分かってますよぉ。恐怖心が無くなったりしただけで、死にたいわけじゃないですし」

「…でも、恐怖心が無いのか危険なことだよ」

恐怖心が無いということは、どんなに危険なことでも、躊躇わずに実行出来るということだ。

死ぬ気がある無いとかは関係ない。そんな行動を起こせることが問題なのだ。

「…まぁ、恐怖心があるのは、自己防衛のためらしいですしね。無いと困ることもあるかもしれませんね」

「恐怖心があったが故に、人間は進歩してきた。それを失うのは、不味いことなんじゃないかな…」

死ぬのが怖いから医療が発展した。夜が、暗闇が怖いから、光源に関する技術が確立した。

――殺されるのが怖いから、敵を殺す武器が造られた。

「…提督の言うこと、私は良く理解出来ないですけど。だけど、心配してくれてるのなら、嬉しいですね」

「心配だよ…。もう二度と、喪いたくないから…」

前に進む意志は持っているが、それとこれとは別である。

大切な人を喪うことの辛さ。それを忘れてしまっては、人として終わってしまうだろう。

「…だから、そんなことが起きないように、俺が頑張らないといけない」

「それが、俺なりに考えたケジメでもあるんだ」

「…提督が望んだことなら、私は何も言いません。決断することは提督に、人間にしか出来ないことですからね」

それは、自分という存在が兵器でしかない、と暗に示しているようだった。

「…暗い話はやめです!やめや」

「ゴーヤ!戻りましたー!」

「なの!」

暗い雰囲気をぶち壊す潜水艦組、爆誕。
256 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/06(水) 23:58:39.91 ID:Dint8LZe0
「い、イクちゃんたちおかえり!どれくらい手に入った?」

一人一個ずつ抱えているドラム缶。心なしか、軽く見える。

「えーっと…。燃料は600、弾薬は100あるかないかくらいなのね」

「鋼材とボーキは?」

「ラバウルの廃倉庫内はもうダメでちね。廃棄された油田も、そろそろ枯れそうかなぁて…」

「むむむ…。やはり、他人が使った後の物だから期待は出来ないですね…」

カリカリと家計簿に記載していく明石。

資源の収支を家計簿に書く人なんて、彼女しかいないんじゃあるまいか。

「あー…。深海棲艦の人たちは、資源を自力で作ってるらしいけど…。貰ってこようか?」

「駄目です。その資源は彼女たちに使わせてください。自分たちの分は、自分たちで賄わなきゃ」

「深海棲艦の人たちにも申し訳ない…と、はっちゃんは思います」

「なんだかんだで頼ってばかりでしたから。これくらいは自力でどうにかしないと、彼女たちに悪いです」

そこまで言うのなら、こちらも黙るしかない。

最悪の場合は、こっそり頭を下げて融通してもらおう。

「そういえば、資源はどれくらいあるんだ?」

「んーと。大型建造をフルで五回分ですかねぇ。私たちの出撃分は、それぞれでどうにかしているので減らないですよ」

ざっと35000。それが我々の全資源。

相当上手くことが運んだ中規模作戦を突破出来るくらいだろうか。

どこかの提督が『資源は二万で充分なのよ』とか言っていたが、その程度で済むわけがない。

「…出撃するにしても、まだ警戒網はあるだろうから無理だしなぁ…」

「今は潜伏期間ですから。はっちゃんたち的には、そっちの時間の方が長いかもですね」

「まぁ、焦ってもいいことは無いしね。出来ることを進めていくしかないか」

鎮守府内でも出来ることは案外あるものだ。

無為に過ごすくらいなら、それをしていく方がいいだろう。


安価隊、発艦はじめッ!↓1 じゆーあんかちほー
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 01:51:47.07 ID:xHPB0kGm0
ぽっぽちゃんと遊ぶ
258 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/07(木) 08:29:18.03 ID:IrPx8tpSO
ああああ!寝落ちしてたァァァァァ!すみません金曜日再開です(自害)
259 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/09(土) 01:31:54.88 ID:kFscebcc0
すみません…。嘔吐下痢症に罹りました…。インフルエンザも併発してるかも、だそうです…。

復帰するまでもうしばらくお待ちください…。申し訳ない…。
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/09(土) 02:00:01.06 ID:hU84hrbT0
了解
お大事に
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/09(土) 08:25:12.77 ID:hefyiBB20
了解
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/09(土) 08:47:07.63 ID:S5r93ns3O
>>1がクソッタレになってしまった……


いや、ホントお大事に
ノロウイルスはマジ地獄
263 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/16(土) 19:22:12.89 ID:RgQUZHzvO
結局、インフルエンザにも感染してました。ようやく快復しましたので、明日から再開します。皆も体調には気をつけよう!
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/16(土) 21:08:16.95 ID:5VSXCobTO
ああ、やっぱそのコンボ食らったか……
冬場は併発や連続発症あるからお大事に。治ったと思って油断するのも危ないから気をつけて
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/17(日) 01:02:45.11 ID:xr6/O2AT0
了解
266 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/18(月) 02:35:54.84 ID:DRS0HH9X0
ごめんなさいー…。今日も本当に少ししか更新出来ないです…。書き溜めする暇がナッシング…。
267 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/18(月) 02:37:45.61 ID:DRS0HH9X0
外に出てまず思いついたのは、深海棲艦の人たちとの交流だ。

現時点では険悪とまではいわないが、どこか壁があるようにも提督は感じている。

あちらとしても、人間と関わるのは初めてだろうから仕方のないことなのだろうが。

それでも、好意的に見てくれている人もいる。

――その人たちと友好を深めておいた方が良さそうだ。

下卑た考えだな、と心の隅で自嘲しながら提督は思う。

そんな中、後ろから裾を引く感覚が。

「ん?」

振り向いても、そこには廊下が広がっているだけ。

「下見て。私はこっち」

「え?あ、ごめん…」

下を見ると、そこにはちょこんと立っている北方棲姫が。

「どうしたんだい?」

提督が問うと、北方棲姫は、

「提督と遊びたい」

とだけ返す。

「いいけど…。遊ぶっていっても、何をすればいいのかなぁ…」

ここ鎮守府は、娯楽があまりにも少ない。というか皆無だ。

浦風がトランプを持っているらしいが、生憎、提督は『大富豪』と『ババ抜き』くらいしか知らない。

二人で遊ぶゲームじゃないのは確定的に明らかだ。

「ん」

顎に手を当てて、思考する提督。そんな彼に、少女は両手を向ける。

「…?」

「アレ…レ級…?にもしてたの。お願い」

その言葉を聞き、北方棲姫が望んでいたことを理解する。

「…それくらいのことなら喜んでするよ」

「ありがと」

提督が背を向けると、北方棲姫は背中に飛び乗る。

予想はしていたが、軽い。非常に。

幼子と変わらない外見をしているから当然ではあるのだろうが。

それでも、軽いのだ。

彼女が、一人で壊滅的な被害を出すことさえあり得る、強力な存在であることを忘れてしまいそうになるほどに。
268 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/18(月) 02:38:55.32 ID:DRS0HH9X0
北方棲姫を背負い、鎮守府をしばらく巡り歩く。

鎮守府巡りを終えたところで、北方棲姫は口を開く。

「…私は、今まで遊んだことはなかった」

「守られることはあっても、遊ぶことは無いの。私たちは世界の防衛機構、それが形を、命を持っただけだから」

世界の防衛機構。海を守ることが、それを意味しているのだろう。

「…でも今日、提督と初めて遊んだ。遊びという経験をした」

「人間からすれば、大した遊びじゃないと思う。だけど、それは私にとって大きな意味があるの」

たしかに、普通の人にとっては、おんぶをして適当に歩くことなど、遊びとは言えないだろう。

それでも、彼女にとっては、初めてのことだった。

「ありがとう、提督。遊びは楽しいということを、私は知ることができた」

「楽しいという感情を、理解出来…た気が…する…」

そう言って、寝息を立てる北方棲姫。

肉体的には、子供と変わらないのだろう。

「楽しい…か。俺は何をして、楽しいと感じていたんだろう…」

北方棲姫の言葉を反芻し、提督は記憶を辿る。しかし、思い当たるものが全くない。

精々、読書程度のものだ。

内心虚しく思う提督の傍。の水壁から、港湾棲姫の顔が突然、飛び出して来た。

「…!?」

「ご、ごめんなさい。驚かすつもりじゃなかったの…」

ペコペコ頭を下げる港湾棲姫だが、すぐに顔を上げる。

「あの、その子を渡してくれる?そろそろ戻らないといけないから」

「あ、ああ。こちらこそすまなかった」

背負っていた北方棲姫を抱きかかえ、港湾棲姫に手渡す。

大事そうに抱えた港湾棲姫は、再度頭を下げて海へと消えた。

「…もう夜も更けたな。風呂くらいは済ませなきゃ」

提督は執務室から着替えを持ち出し、風呂へと向かった。


直下に、誰が風呂にいるかor乱入してくるかをオナシャス!センセンシャル!

※クッソ短いですが、今回はこれで終了にさせていただきます。次回は水曜日予定です。先週はホントすみませんでした(ドゲザー)。
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/18(月) 07:20:13.57 ID:iX1/5qjjO
金剛四姉妹

一人なら比叡で
270 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/21(木) 00:57:37.82 ID:NyCf5LGM0
お待たせしました。今から再開しやす。
271 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2017/12/21(木) 00:59:05.50 ID:NyCf5LGM0
「…よし、いないな」

脱衣所に入ってまず行ったことは、バスケットの確認。

前に行った時は、服は無かったのに南方棲戦姫がいた。

しかし、今は深夜。深海棲艦は皆、別の拠点――たまり場――に戻っている。

即ち、フリーということである。

ゆっくり戸をスライドさせるとそこには無人の風呂が。

誰もいないことに安堵し、提督はシャワーを浴びる。

全身を洗ってから湯船に浸かり、ため息を漏らす。

「ふぅ〜…。やっぱり風呂はいいなぁ。疲れが取れる」

だらんと脱力している提督は、だらしないとしか言いようがない。

今は一人だからそれでもいいのかもしれないが。

「…あれ?何か騒がしいな…」

何やら外から声が聞こえる。それも四人分。

「…いやいや、流石に入って来るようなことはしないだろう。性別とか考えたら…」

「失礼します」

――そう思っていた時期が私にもありました。

提督の考えを飛び越してくるのが艦娘である。南無三。

「…入浴中なんですけど」

「知ってますよ。でも、裸の付き合いとか言うじゃないですか。親交を深めようと思いまして」

「オレ、オトコ。キリシマタチ、ジョセイ。OK?」

「OK。あ、別に襲う気でも襲われる気でもありませんよ?司令のことを信頼してるから、こうしているんです」

こちらも、艦娘を襲う気になどなれない。

第一そんな対象として見ていないし、もし抵抗されたら瞬く間にミンチと化す。

百害あって一利なし、である。

「…でも、せめて前とかは隠そうよ…」

「き、霧島…。姉さまたちも…。提督が困っているみたいですし、一度出た方が…」

「駄目。司令とは、まだ一度も腹を割って話してませんから。司令の本音、比叡は聞きたいです」

「話すから…。とりあえず隠して…」

榛名以外、堂々と立っているものだから色々と見えかねない。

突然湯気が濃ゆくなったので、どうにか回避出来てはいるが、それがいつまでも続くとは限らない。

「まぁ、私たちもDelicacyがNothingでしたからネー…」

仕方ないといった感じでバスタオルを体に被せる金剛。

それを見た他の三人も、同じようにする。

目のやり場が無かったので、従ってくれてありがたかった提督であった。


直下、↓2に、何か話したいことがあったらお願いします。
272 : ◆k5OCMHkyEc [sage]:2017/12/21(木) 01:42:42.82 ID:NyCf5LGM0
まだ安価が取られるまで当分かかりそうなので今回はこれで終了にします。申し訳ない…。

安価は下にずらします。次回予定は来週の火曜日となります。
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 02:29:28.63 ID:ONzfPG5L0
治そうとは思っているがなかなか治らない自虐癖をなんとかできないだろうか相談
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 08:49:44.25 ID:FkCObrUe0
時々このスレを見てるけどいつもではないからなあ
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 11:39:50.84 ID:pUtSBjB70
俺は起きてたが他を見てた
276 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 01:51:04.90 ID:Iksk9ieKO
一月近く音沙汰無しで申し訳ありませんでした…。色々と立て込んでました。本日の昼から再開出来ます。本当に申し訳ありません。
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 02:42:12.84 ID:tsjVnd/o0
舞ってた
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 08:36:48.94 ID:Y4w0bYZv0
キター
279 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 17:17:03.93 ID:xiIR93I40
昼というか夕方だなこりゃ…。遅れてすみません。今から再開します。
280 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 17:18:12.39 ID:xiIR93I40
「本音…本音かぁ…」

比叡の言ったことを思い出し、思考する。だが、これといったことがない。

別に彼女たちに不満を持っているわけでも、何かを取り繕っているわけでもない。

提督としては、普段から本心を曝け出しているつもりである。

「別に拘る必要は無いですよ?こんな悩みがあるーとか言ってくれるだけでも、私は嬉しいですから」

「は、榛名も同意見です!」

「同じく。さあ、存分に吐き出してください」

そんなことを言いながら、ずいっと体を近づける三人。

「こんなに優しいSisterを持てて、私は嬉しいデース」とか言ってないで少しは抑えてほしい。

そんな提督の想いは届くことなく、金剛は比叡たちの後ろから眺めている。

妙にウズウズしているように見えるのは、気のせいだと思っている。

「悩み…。あっ」

何かに気付いたように、提督は口に手を当てる。

「何ですか?何ですか!?」

更に距離を狭める比叡。流石に近すぎる気がする。

「あーっと…。その…。前に中枢棲姫に色々と言われたんだ」

「それで、自虐しないように気を付けてるんだけど…。どうにも上手くいかなくて…」

言動には気を付けているが、体に染みついたそれは払拭出来ない。

――艦娘側の視点から何かアドバイスが貰えれば。

答えが分からない提督は、何にでも縋るつもりでいた。

「なるほど…。では、艦隊の頭脳たる霧島がチャチャッと解決いたしましょう」

胸を張り、自信満々といった感じで言い張る霧島。これなら期待できそうだ。

「まず司令。司令は自分のことをどう評価していますか?」

「大した取り柄のない凡人以下の存在」

「ダウト」

なんでさ。
281 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 17:19:20.66 ID:xiIR93I40
「いや…。自分のことを駄目な存在と思っていたら、そりゃ自虐するでしょう」

「まずはそこをどうにかしないと、ですね」

霧島が腕を組んで思考している間に、榛名が隣に寄って問う。

「あの…。提督はどうして、そんな風に思っているのですか?」

「あ、それは私も気になるなぁ。お姉さまもですよね?」

「Yes」

何でって言われても、と口に出して提督は黙考する。

数秒ほどしてから再度、口を開いた。

「…実際、俺は凡人以下だからね。皆の指揮をしていた時とか顕著だったよ」

「常人以上に努力を重ねたにもかかわらず、常人と同等の働きしか出来なかったんだから」

駄目でしかないよ、と提督は笑う。不変のことなんだからしょうがない、とでも言っているように。

「…本当に駄目な人が、艦隊を運営出来るわけないじゃないですか」

ジト目で提督を見やる比叡が零す。

「あの命令が下されるまで撤退こそすれ、轟沈はしなかったでしょ?」

「百人以上いた鎮守府を機能させながら、円滑に運営してたんですから充分凄いと思いますよ」

何度も倒れたけどね、と返す提督。比叡の表情がふて腐れたようになる。

「…解決策、ではありませんが、アドバイスはあります」

思考を終えた霧島は、提督の目の前に進む。

そして、ハキハキとした声で言い放つ。

「はっきり言っておきます。司令は自己評価が低すぎです」

「え?」

理解出来ない、とでも言わんばかりに首を傾げる提督。

「だって低すぎでしょう?あれだけ仕事をしておいて、役立たずとか笑えない冗談ですよ」

しかし、それでもそう思わせてしまう環境に提督がいたのではないか。

そう考えると、霧島の心にも痛みが生じた。

「…過去の人たちがそうだったとは断言出来ませんが、今のことなら言えます」

「司令が思っているほど、周りの評価が低いとは限りませんよ」

出来る限り優しい言葉で投げ掛ける。

――色々な娘の態度を見れば分かるはずなのに、しょうがない人。

――でも、そこで否定してしまうところが司令らしいわね。

そんな提督を哀しく思った霧島だった。
282 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 17:20:31.64 ID:xiIR93I40
まるで嵐のように過ぎ去っていった金剛型四姉妹。

入浴を終え、執務室へと戻る。その間に、小さな光が幾つか見え、消えていく。

「あの光は何だろうな。他の提督の艦娘か、あの娘たちか」

今は誰も出撃していないはずなので、おそらく敵だろう。

近づいてこないということは、気付かれていないと見ていいだろう。

情報だけを目的としているのなら、何も言えないが。

「…まあ、明日くらいには何か分かるだろう…。たぶん」

執務室へと入るが、誰かがいるわけでもなく。

手探りで自室の扉を開け、布団に倒れ込む。

「いいところ…か。うーん…」

出来る限り挙げてみようと思った提督だったが、何も出てこなかったので諦めて眠りに付いた。


第三日 終
283 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 17:21:48.04 ID:xiIR93I40
静寂が広がる鎮守府を、女性が駆ける。

給糧艦・間宮がとある通信を傍受し、それを伝えるために執務室に向かっている。

そして、その部屋主は起きたばかり。

勢いよく間宮が扉を開けると、ちょうど自室から出てきた提督が怯む。

「お、おはよう」

「おはようございます。今日のご飯はサンマのつみれ汁ですよ」

「それは楽しみだなぁ」

「…じゃなくて!報告があるんです!」

何を報告しに来たのか、と提督は問い、間宮は返答する。

「ラバウル、リンガ方面の基地に『深海棲艦の捜索を中止、通常業務へと戻れ』という指示が出たんです」

「これで、行動出来るようになったのか…」

捜索されなくなることの恩恵は大きい。

こちらの行動の幅が広がるので、他の提督と接触することも出来るだろう。

同じく、鎮守府を攻略することも。

「…数日間だけど、身を潜めていたんだ。こちらも打って出ないと、それはそれで問題だ」

ようやくまともな行動が出来るようになったことに、提督は喜びを感じた。


↓2 自由安価 止まるんじゃねえぞ…。
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 17:26:04.59 ID:JNERktNS0
潜水艦を建造しよう
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 18:52:54.23 ID:QdeKdggrO
秋月型や皐月文月を交えた深海対空訓練
286 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 19:53:16.36 ID:xiIR93I40
「海上で堂々と動けるなら…」

艦船名簿を取り出し、駆逐艦の部分を捲っていく。

「ひいふうみい…。よし、ちょうど六人か」

「ええと…。秋月型の娘たちと皐月ちゃん、それに文月ちゃん。対空に強い娘ばかりですね」

提督は頷く。

これからのことを考えれば、防御面の強化が最優先だと提督は考えた。

前は、海域で待ち構えている深海棲艦に対抗するので、同時に相手にするのは最大でも十二人だった。

しかし、今は攻められる側。不特定多数の艦娘を相手取る必要がある。

それはつまり、今まで以上に対空戦闘での練度が求められているのと同じだ。

だから、警戒が解かれている間に、対抗出来るようになっておきたい。

その時になって後悔しても遅いから。

「今から、海上で対空訓練をしようと思ってね。だから、朝御飯を食べる時間は無いかな…」

申し訳なさそうに提督は言うが、間宮は不満を隠さない。

「そんなだから、倒れるんですよ…」

「う…」

「…まあいいです。あとで訓練に参加する娘に、おにぎりと魔法瓶を持たせますから。ちゃんと食べてくださいね」

「…ありがとう」

間宮の優しさが五臓六腑に染み渡る。それ以上に申し訳ない気持ちでいっぱいだが。

「私が参加する娘に連絡しておきますから。提督は深海棲艦の娘たちの方をお願いします」

「ああ。本当にありがとう」

「いえいえ。提督たちも頑張ってくださいね」

静かに扉が閉められる。

静かになった執務室で、提督は顔を二回叩く。

――気を引き締めろ。二度と喪いたくないなら。
287 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 20:30:37.11 ID:xiIR93I40
「ふわぁ…。これが司令官の朝御飯?寂しくない?」

「仕方ないだろう。ただでさえ、補給が出来ないから節制しなければならないのに、僕たちの分の食事を作らないといけないのだから」

初月がきっぱりと、言い淀むことなく言い切る。

「でも、これからは補給艦を襲えるからね。豪華にはなるはずだよ」

「豪華な食事…。私は、今のままでもいいんだけど」

「あたしもいいかなぁ〜。ご飯はそんなに食べられないしぃ」

「…そろそろ提督が来るみたいですね」

涼月の言葉を聞き、艦娘たちは海中を見やる。

水中を漂う黒い影は、少しずつ大きくなる。

そして、それは正体を現した。

「ん…と。提督、もう大丈夫だよ」

「ありがとう、ヲ級。それに、レ級と空母棲姫も快諾してくれて助かったよ」

「いーよいーよ。僕だって暇だったし」

「…私も退屈だったしな」

ケラケラと笑いながらレ級が答え、空母棲姫がそれに同調する。

「あれ…三人だけ、ですか?」

深海棲艦をそれぞれ見て、照月は首を傾げる。

「確かに、積載数は圧倒的な方々ですが…」

「俺もそう思ったんだけど…。何か、とっておきがあるらしくて」

「そういうこと。ほらほら、早く始めようぜ」

レ級の言葉を聞いた艦娘たちが距離を取る。

豆粒程度の大きさになったところで、訓練開始という掛け声が無線で届けられた。


直下コンマ判定でございますです。〜30でE敗北、〜70でA勝利、〜00でS勝利となります。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 20:32:27.76 ID:5liMujbVo
はい
289 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 20:59:35.82 ID:xiIR93I40
「…それで、とっておきってどういう…」

「こういうこと…だ!」

レ級が言うのと同時に、深海棲艦たちは指を噛み千切り、血を海に振り撒く。

赤く濁った海水が、徐々に黒に染まっていく。

「まっ、数時間もしたら消えるんだけど」

「…!?」

いつの間にかレ級はelite、ヲ級は改へと姿を変えていた。

「さあさあ、新たな僕たちの誕生だ…!」

そして、黒い海水が凝縮して、赤い光がこちらを向く。

海水は人へと形を変え、液体だった表面が、肌のように白くなる。

「………」

レ級、ヲ級、空母棲姫が新たに三人ずつ、目の前で誕生した。

しかし、それらは言葉を何も発さず、黙々と艦載機を射出する。

「さて…と…。贋作だけにやらせてないで、私たちもやろうか」

「ああ」

「りょーかい」

空を無数の艦載機が覆い尽くす。朝のはずなのに、夜のように真っ暗だ。

――もしかして、複数の同型艦と会敵していたのって、これが理由なのか?

目の前の光景を見て、一つの謎が解けた気がした提督だった。
290 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 21:30:15.60 ID:xiIR93I40
「わぁ〜。いっぱいだねぇ〜」

「滅茶苦茶だが…。まあ、僕たち秋月型が四人もいれば、問題ないだろう」

「ふぅ…。長10cm砲、目標左舷の艦載機!撃てぇ!」

凛々しい声で初月が叫び、それに呼応するように長10cm砲が火を噴く。

まるでカトンボのように墜ちていく艦載機だが、普段とは数が違う。

本来であれば、半分近くは墜としていたのだろうが、今回は一割にも達していない。

だが――。

「長10cm砲ちゃん!照月たちの力、提督に見せつけちゃお!」

「私たち秋月型は防空艦!墜とせなければ、存在理由が無くなります!弾幕を強化して!」

長10cm砲がありったけの弾を撃ち出す。

それは的確に、急降下する艦載機を穿っていく。

「秋月姉さん…凄い気迫…。私も負けてられませんね」

電探が感知する艦載機の数が減ってきている。それでも圧倒的で、空を埋め尽くすほどなのだが。

「…もしこれが実戦だったら、私はどうすべきか…。いえ、実戦も訓練も変わらない。私は防空艦。…ならば、役目を果たすのみ!」

「一機たりとも近づけさせるわけにはいきません!全主砲、撃て!」

涼月も姉、妹たちと同じように対空射撃を行う。

秋月型四人による対空射撃は航空戦力を根こそぎ削り取る。

「銃身が焼き付こうと構わない!僕たちは防空艦だ!艦載機を一機残らず墜とすだけ!」

「照月!涼月!私と初月が左舷を請け負います!二人は右舷を!」

「「了解!」」

そして、黒い空から光が差し込んできた。
291 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 21:45:08.87 ID:xiIR93I40
「わっとと。文月、大丈夫かい?」

「大丈夫だよ〜。皐月ちゃんこそ、気を付けてね」

「もちろんさ!」

背中合わせで機銃を連射する皐月と文月。

秋月型ほどではないがそれでも、数多の艦載機を海へと沈める。

「ボクたちだって、対空射撃は出来るんだよ!」

「第二次改装をしたからねぇ〜。あたしも頑張らないと」

射撃、射撃。更に射撃。

機銃の摩耗を無視して、ただひたすらに機銃を連射する。

「皐月ちゃん!」

「うん!」

不意打ちのように降下してきた艦載機は、文月向かって一直線に進む。

「しないよ。仲間を司令官を守るためにも、撃ち漏らしたりなんか絶対にね!」

皐月の機銃が放った銃弾は、艦載機を蜂の巣にし、爆ぜさせた。

訓練を開始して五分。

空を覆い尽くしていた艦載機は全て、海の藻屑となった。

「へっへーん。これが、睦月型の力だよ!」

「文月も、やる時はやるんだから〜」

仲良く腕を組み、ピースをする二人。

その笑顔は、太陽のように眩しかった。


※今回の訓練に参加した艦娘を艦隊に組み込んだ場合、航空戦での損害を減衰されるようになりました。
292 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 22:01:10.00 ID:xiIR93I40
「へぇ…。あの数を墜としたかぁ。凄いね、提督の艦娘は」

感心しているように零すレ級。その目は、真っ直ぐと艦娘たちに向けられている。

「…俺が凄いわけじゃない。あの娘たちの実力と努力が本物なだけ、だよ」

そう言って、提督はおにぎりを頬張る。具は焼き鮭だった。

「フフ…。いいなぁあの目。私は好きだ」

不敵に笑む空母棲姫。言葉から棘は感じられず、寧ろ晴れ晴れとしているように聞こえた。

「…うん。全力で私たちも当たって良かった。これで、あの娘たちは大丈夫」

魔法瓶のカップに汁物を注ぎながら、ヲ級は口を開く。

「ああ…。だけど、これだけじゃ足りない」

「他の娘たちも強化しないと…。かな?」

「だいたい合ってる。でも、それよりも先に褒めないと、だよね」

手渡された汁物を飲み干し、帰って来る艦娘たちを眺めていた。

――皆、訓練お疲れ様。

提督は順番に、艦娘たちを労っていく。

その間、後ろでヲ級はただ、その光景を優しく見守っていた。


死の果てに、安価は無い!↓1 自由安価!
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 23:26:40.24 ID:ryvj4S0X0
偶には駆逐艦らと遊ぶ
294 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/21(日) 23:30:10.20 ID:xiIR93I40
遊ぶ場所を↓1で決定します。屋内(鎮守府)なのか、屋外(この場合はどこで遊ぶのかも記述)なのかもお願いします。
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:04:19.66 ID:Q8hmGLhSo
屋内
296 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/22(月) 00:16:21.85 ID:W6Fm4rYS0
遊ぶ駆逐艦を↓2までで募集します。
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:19:12.86 ID:6HBDdQWOo
うーちゃん
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 00:34:21.38 ID:T8nu+oAAO
じゃながなが
299 : ◆k5OCMHkyEc [saga]:2018/01/22(月) 02:13:27.80 ID:n9PVPmd20
うぅ…。また寝落ちしかけてた…。すみませんがこれで終了です。次回予定は明後日くらいです。

遊ぶ中で行う予定だった安価を先に出しておきます。二人に聞きたいこと、提案したいこと、何でもOKで↓2までです。お疲れ様でした。
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 02:18:52.85 ID:Pb60hogR0
気分転換に深海駆逐級との散歩
・・・という名前のジェットスキー
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 12:06:02.15 ID:F5WN47av0
トランプのダウト
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