武内P「絶対にアイドルに手を出したりしませんッ!!」

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1 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:41:14.66 ID:qZdx75aV0
注意事項

・武内Pもの

・武内Pもの

・HAPPY END





武内P「惚れ薬……ですか?」

志希「そうそう♪ 男の子から女の子まで、皆の夢のアイテム惚れ薬ができちゃったんだー♪」

武内P(頼みたいことがあるんだー、という一ノ瀬さんの言葉を聞いて部屋に入ってみると、広い机の中央に一つだけ置かれていた物に目が引かれました)

武内P(それはピンク色の小瓶で、不思議に思った私の問いに彼女はあっけらかんに答えたのです)

志希「あれれ〜? ひょっとして信じてないのかな?」

武内P「……ええ、正直なところ。私の固い頭ではにわかに信じられません」

志希「いいよいいよ。それが当然の反応だから。まま、とりあえずそっちに座って」

武内P「は、はあ」

志希「よっし、あとはミステリアスな音楽をかけてっと。これで説明準備かんりょーう♪」

武内P「あの……頼みたいこととはもしや」

志希「慌てない慌てない。さて、惚れ薬って聞いてどんなものを連想しちゃう? 飲んでから最初に見た人に胸キュンとか、エッチな気持ちになっちゃうとかかなー?」

武内P「ええ、創作物ではたいていそのような内容ですね」

志希「これはどっちでもないの。言うなれば想いを強くするお薬」

武内P「想いを……?」

志希「飲んでから効果が出るまで……個人差があるけど40分から50分までの間に抱いた感情が増幅されて、それが数年、場合によっては数十年継続するんだ」

志希「キミの年齢を考えると一生かもしんないねー♪」





一ノ瀬志希
http://imcgdb.info/card-img/1529802.jpg

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509169274
2 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:42:52.57 ID:qZdx75aV0
武内P「それは……ぞっとしますね」

志希「んっふっふっふ。じゃあもっと怖いことを話そうかー♪」

志希「感情が増幅されるわけだから、効果が出るまで無感情でいたら効果は無いに等しいんだけど……誰かにイライラしてたらずーっとその人のことが嫌いになっちゃったりするわけ」

武内P「……そうなったら、気が狂いかねません」

志希「そうならないための名前と色。惚れ薬だよ? ピンク色だよ? そんなもの飲んじゃったら、効果が出るまでドキドキのワクワクで、目の前にいるあの娘とか、普段から気になってたあの娘についてあれこれ考えちゃってにゃはーっ! ってなっちゃうよね?」

武内P「なるほど。意識を負の感情ではなく、正の方に向きやすいようにするわけですか」

志希「まあ行き過ぎた愛情だってお互いを傷つけちゃうかもしんないけど、まゆちゃんを見てると結果オーライかなって」

武内P「あの……まゆPは担当アイドル、それも未成年に手を出すまいと必死なんですよ」

志希「にゃははっ。諦めちゃえば楽になれるし幸せなのにねー」

武内P「……一ノ瀬さん」

志希「あ、ごめん怒らせちゃった? ごめんねー。あたしも女の子だから、ついついまゆちゃんを応援しちゃうんだー」

武内P「いえ、悪気が無いようですし」

志希「んー、それは甘いんじゃないかなあ? あたしって悪気無しで酷いこととかしちゃうタイプだよ」

武内P「それは世間の尺度と照らしてのことで、貴女は自身の良心を裏切りはしないでしょう」

志希「……」

武内P「一ノ瀬さん?」

志希「ふーん、そうやって美嘉ちゃん口説き落としたんだー?」

武内P「く、くど!?」

志希「にゃははっ。冗談だって。さて、話をもどそっか」

志希「この薬かなり自信があるんだけど、サンプルデータがまだまだ足んなくてね。キミにも協力してほしいな〜」

武内P「……その、申し訳ありませんが」

志希「まだダメ?」

武内P「小日向さんではありません」

志希「そっかー、ダメなんだ」

武内P(妙ですね。あまり気落ちした様子に見えません。駄目元の頼みだったのでしょうか)

志希「あ、ごめんごめん。頼み方を間違えちゃってたよ」

武内P「……?」





志希「協力してもらってるから」





武内P「〜〜〜〜〜っっっ!!?」ガクッ

武内P(体に……力が、入らな――!?)
3 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:43:42.44 ID:qZdx75aV0
志希「これが惚れ薬ってのはウソ。感情をコントロールするために薬を服用したりするのは、トランキライザーや抗鬱薬で知ってるよね? 薬はなんだってそうだけど副作用があって、依存性もあったりする」

志希「例えばSSRIってやつがあるんだけど、アメリカで3000万人以上が服用していて、なんとそのうち30%が性機能障害を経験してるんだよ」

武内P(視界が……ぼやけて)

志希「そこで! 薬を服用することなく感情をコントロールできないかという点に着目してみたんだなー♪」

志希「薬物療法ではなく、催眠療法による脳へのアプローチ手段としてあたしが利用したのは部屋の光彩、キミにだけ向けられた指向性の音、話術、そして匂い」

志希「んっふっふっふ。キミは説明を受けながら、一ノ瀬志希流催眠療法を体験していたのだ!」

志希「あ、催眠療法っていうのは文字通り催眠を用いる心理セラピーの一種で、日本ではほとんど行われていないけどアメリカだとけっこう一般的なんだよ」

武内P(……私の座る場所を指定したのは……一ノ瀬さん。音楽も……ひょっとして私にだけ、聞こえていた?)

志希「ちなみにこの見るからに惚れ薬っぽい、小瓶に水を入れただけのやつはキミの思考をピンク色に誘うための小道具に過ぎないわけだ―♪」

志希「あ、でも効果についての説明はウソじゃないから」

志希「目まいはもう数分もすれば収まるから、それから40〜50分までの間に、キミが最も意識した相手を好きになってしまう。既に結婚している人とか、手を出したら犯罪になっちゃうロリロリちゃんを下手に考えないようにしてねー、バイバーイ♪」

武内P(ま……待ってくださ――)

志希「……」ピタッ

武内P(……?)

志希「……さすがにこのまんま去るのは酷過ぎるかなぁ? キミって相手の良心を突くのがうまいかもね」

志希「キミを幸せにできそうな人に連絡しとくから、そこで大人しくしておいてね。まあ、これでも酷過ぎることに変わりはないけどねー。アデュー♪」

武内P(そういって一ノ瀬さんは今度こそ……立ち去って行ったのでした――)
4 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:44:59.15 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※



武内P「……ッ。とりあえず、なんとか動ける程度には回復しました」

武内P「一ノ瀬さんには大人しくしているように言われましたが……最善なのは誰のことも好きにならないことです。誰も来ない部屋で、極力何も考えずに過ごし――」


タタタタタタタタッ、ガチャバタンッ!!


美嘉「ほ……本当にいた」ゼエハア、ゼエハア

武内P「じょ、城ヶ崎さん!?」

美嘉「志希から連絡来て……冗談だとは思ったんだけど胸騒ぎがして急いで来てみたら……あ、アンタ体の方は大丈夫なの?」

武内P「ええ、なんとか動ける程度には回復しました」

美嘉「まったく、志希のやつ。叱るのは後として、とにかくアンタの安全を確保しなきゃ。さ、立って」

武内P「ありがとうござ――」


ムギュ、ムニュウ


武内P「」

美嘉「///」

武内P「あの……城ヶ崎さん?」

美嘉「あ、アンタまだ体ふらついてるみたいだし、一刻も争うんだから肩を貸すのは当然でしょ!」

武内P「いえ……このままだと、私が城ヶ崎さんのことを――」

美嘉「はいはい! 今はとにかく急いで避難! 話は後で聞くから」

武内P「そ、それもそうですね」

美嘉「し、しっかり体につかまんなさいよ」

武内P「は……はい。ところでどこに向かうかは決めているのですか?」


テクテク、テクテク


美嘉「うん。アタシが思いつく中で一番安全な所」





美嘉「アタシの家よ」





武内P「―――――――はい?」





城ヶ崎美嘉
http://imcgdb.info/card-img/3437501.jpg
5 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:46:07.46 ID:qZdx75aV0
美嘉「そ、そんでアタシの部屋に一緒に居れば大丈夫よ。うんうん」

武内P(ひょっとすると、一ノ瀬さんは正しく城ヶ崎さんに状況を伝えていないのでしょうか?)

武内P「待ってください城ヶ崎さん。どうも話に食い違いが見られるようです」

美嘉「は、話は後で聞くって言ってるでしょ! まずは安全な所にいかないと」

武内P「いえ、これは今じゃないと――」





「――ねえ、何してるの?」





武・処『!!?』

凛「そんなに体くっつけて歩いてちゃって。今のプロデューサーの症状じゃ、美嘉のことを好きになっちゃうよ。それとも――」

凛「そうさせるのが目的なの?」

美嘉「そ、そんなわけないじゃない! これはコイツの体がふらついているから、仕方なくアタシが支えていただけ!」

凛「ふーーーーーん。それならいいや」

武内P「あの、もしかして渋谷さんは私の今の状況を把握されているのですか?」

凛「ん、まあだいたいはね」

美嘉(早い……ッ!! もう勘付かれた!!)

凛「美嘉はプロデューサーを心配して来てくれたんだね。ありがとう、あとは私がいるからもういいよ」

美嘉「も、もういいって! 凛だけでどうするつもりなのよ!」

凛「どうするって、決まってるでしょ」

凛「時間が来るまでプロデューサーと二人っきりになるだけ」

美嘉「なっ……」

武内P「し、渋谷さん。それでは私が渋谷さんのことを……」

凛「だってしょうがないでしょ。もしプロデューサーが変な人を好きになったりしたら、私だけじゃなくてプロジェクト全員に迷惑がかかるんだから」

凛「変な人じゃなくても、その人が普段は遠くに住んでる人だったりしたらプロデューサー仕事辞めちゃうかもしれないでしょ。どっちにしろ困るよ。蘭子にいたっては泣くかも」

武内P「そ、それは……」

美嘉「だからって何で凛なのよ!!」

凛「だって私は担当アイドルで、普段からプロデューサーの隣にいるから。適任でしょ」

美嘉「え、いやでも……プロデューサーであるコイツが、まだ十六歳未満の担当しているアイドルに惚れるなんてマズイでしょっ」

凛「……まるで元担当で、結婚できる年齢なら問題が無いみたいな言い方だね」

美嘉「そそ、そんなこと言ってないし」





渋谷凛
http://imcgdb.info/card-img/2427301.jpg
6 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:47:10.80 ID:qZdx75aV0
凛「……別に大丈夫だよ。プロデューサーは良識のある人だから、仕事にみだりに私情なんか持ち出さない。パワハラとかセクハラとか、細心の注意を払ってくれるよ」

凛「それとも美嘉はプロデューサーが私のことを好き過ぎるからって、未成年の、それも担当アイドルに手を出すような人だと思うの?」

美嘉「う……そんなこと、思わないけどさ」

武内P「……今の症状が未知である以上、私が相手にどれだけ入れ込むかわかりません。信頼していただけるのは嬉しいのですが、万が一の場合も考えた方がいいかと」

美嘉「そう! それそれそれ!!」

凛「ビンタして終わりでしょ」

武・処『え?』

凛「ありえないけど、もしプロデューサーが血迷って私を襲いかかってきたらビンタして終わるから」

美嘉「いや……そんな簡単な話じゃ」

凛「簡単だよ。力じゃどうしたって勝ち目なんかないけど、プロデューサーだよ? 私に我慢できずに手を出すことすらありえないけど、我慢できずに手を出すほど好きな私に頬を叩かれて目を覚まさないなんて、もっとありえない」

凛「万が一なんて表現はしょせんは比喩だけど、万が一が同時に起きる確率は億が一。そんなちっちゃな可能性について考える時間、今は無いでしょ」

美嘉「う……」

武内P「その……渋谷さんはそれでいいのでしょうか? 私のように倍も歳の離れた男に好かれて、気持ち悪いでしょう。仲間のために自分を犠牲にすることは止めてください」

美嘉「そう! それそれそれ!! 下手したらコイツ、凛のこと何十年も想い続けるんだよ! それについてはどうするの!!」

凛「結婚すれば解決でしょ」

武・処『え?』

凛「数年で効果が解ければそれで終わり。でも私が子どもと呼べない年齢になっても効果が続いたら、その時は結婚するから」

美嘉「ななななななな、何言ってるかわかってんの!?」

武内P「」

凛「別に私は今好きな人はいないから、プロデューサーとの距離が近いことで勘違いされて困ることは無い。プロデューサーのことは尊敬して信頼もしているから、プロデューサーに好かれたからって気持ち悪いだなんてこれっぽっちも思わない」

凛「結婚するのはプロデューサーがかわいそうってのもあるけど、多分その頃には私もプロデューサーのこと好きになってると思うから。私は人よりちょっと冷たいところがあるけど、プロデューサーみたいに誠実な人に何年も想われて好きになれないほど冷徹じゃないよ」

凛「まあそうはいかなくても、愛する人より愛してくれる人と結婚するのが幸せだって聞くし」

美嘉「だ、だったらアタシが! 後輩にそんな重い役目させらんないから!」

凛「美嘉じゃダメ」

美嘉「な、なんでよ! 別にアタシだってコイツに好かれても、気持ち悪いだなんてまったく思わないから!!」

凛「そっちじゃなくて。美嘉はプロデューサーが本気で迫ったら、ビンタするどころか受け入れそうだから」

美嘉「なっ――――――」

武内P「」

凛「プロデューサーに壁まで押し寄せられて、怒るでも叫ぶでもなく、顔を真っ赤にして震えながら目を閉じそう」

美嘉「りぇ、れんりゃい経験ほうちゅなアタシが、しょんなブジャマしゃらしゅわけないでしょ!!」

凛「説得力皆無だね」

美嘉「くっ……」
7 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:48:15.48 ID:qZdx75aV0
凛「さ、そんなわけだから。私と一緒に行くよプロデューサー」

武内P「それは……えっ?」


ギュッ


美嘉「……」

武内P「城ヶ崎さん?」

凛「どうしたの美嘉? 時間は無いんだから手を放してほしいんだけど」

美嘉「アンタは……それでいいの?」

武内P「……いい、わけではありません。ですが」

美嘉「あ、アタシは!」

武内P「……はい」

美嘉「アンタが望むなら……望んで、くれるんなら!」

凛「……プロデューサー。わかってるよね?」

武内P(いったい……何を?)

武内P(わかりません。彼女たちが私に何を求めているのかを)

武内P(二人とも私を心配してくれているのはわかるのですが……それだけでは、この胃を締めつける緊迫感は説明できません)

武内P(誰か……誰か助け――――)





「そこまでです!!」





蒼・処『何奴!?』

武内P(いったい誰が!?)

???「まったく。事態を聞いておっとり刀で駆けつけてみれば、さっそくプロデューサーさんを困らせる人が二人もいるとは」

???「しかしそんな横暴はここまでです!!」





幸子「このカワイイボクが来たからには!!!」フフーン





凛「……なんだ、幸子か」

美嘉「お姉ちゃんたち真剣な話をしてるの。さ、帰って」

幸子「なっ……!?」

武内P(私に救いなど無いのか……)





輿水幸子
http://image02.seesaawiki.jp/i/g/imascg/df5198712991aabd.jpeg
8 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:50:57.01 ID:qZdx75aV0
幸子「帰るわけにはいきませんね。何せ、プロデューサーさんの命がかかっているんですから!」

蒼・武・処『命!!?』

美嘉「ちょ、どういうことよ! まさか志希の実験に危険なことが含まれてたの!?」

凛「……おいたがすぎるね」

武内P「輿水さん、説明してもらえますか」

幸子「ええ、皆さんボクのカワイイ説明をよく聞いてくださいね」

蒼・武・処『ゴクリ』

幸子「まず第一に、プロデューサーさんはカワイイボクを心底愛してしまっています」

蒼・処『ちょっと待て』

武内P「」

幸子「まったく、歳が半分にも満たないボクにぞっこんだなんてダメダメなプロデューサーさんですが、カワイ過ぎるボクにも罪があるのでここは置いておきましょう」

幸子「問題は催眠療法とかいう方法で、寝ても覚めてもボクをカワイがることばかり考えているプロデューサーさんの感情を、無理やり捻じ曲げることです」

幸子「これが普通レベルの愛情でも苦しいことなのに、プロデューサーさんのボクへの入れ込みようは異常ですからね。カワイイボク以外の誰かを愛することに耐え切れず、間違いなく発狂して最悪死に至ります」

凛「なるほど……」

美嘉「理屈としては、なくはないのかな?」

武内P「いえ、あの……輿水さん?」

幸子「プロデューサーさんがこれまで通り日常を過ごすには、今と同じようにカワイイボクのことで頭いっぱいじゃなければいけません。さあ、そういうわけでプロデューサーさん! 二人っきりでボクを存分にカワイがりましょう!」

武内P「」

凛「……幸子、いい加減にしなよ」

幸子「なんですか? ボクの完璧でカワイイ理論を理解できなかったんですか?」

凛「理解はしたよ。うん、プロデューサーが好きな人を変えるのは危険だってことはよくわかった」

幸子「だったら――」

凛「だから、好きな人は私のままでいさせないと」

武内P「…………………………はい?」

幸子「な、何をとぼけたことを!!」

美嘉「……うん、幸子ちゃんの言うとおりだね」

幸子「美嘉さん! もっと言って――」

美嘉「コイツが好きなのは―――――――アタシなんだから」

幸子「なっ……!?」

武内P「………………………じょ……が…さき、さん?」
9 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:52:55.87 ID:qZdx75aV0
凛「ふーーーーーん、面白いこと言うね」

幸子「ちっとも面白くありませんよ二人とも!!」

美嘉「そうだね。本当のこと言っただけで、面白いはずないから」

蒼・処・幸『』┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

武内P「あ……あの、皆さん?」


『プロデューサーさん……逃げるなら、今のうちだよ』


武内P(この声は……!)


『このままじゃ……三人のうち、誰かを好きになっちゃうよ。さあ、ゆっくり……けど急いで』


武内P(三人をこのまま置いていくのは気が引けますが……このまま私がここにいて、誰であっても好きになるのはまずいです)ジリジリ


『そう……その調子。そして、角を左に曲がってから――』


凛「蒼穹の果て、私はここにいる! ヴォルト・オブ・ヘヴン!」

美嘉「うわ、何これ!?」

幸子「ヒイイイイィッ!? ってプロデューサーさん、どこに行くんですか!?」


『――走って!』


武内P「くっ……」


ダダダダダダッ


『次の角も左で――』


ダダダダダダッ


『階段を下りて――』


ハアッ……ハアッ……


『右に走って――』


武内P(うまく……まけた?)


『左の部屋に入って……ゴール』


ピタ


『プロデューサーさん……?』
10 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:53:33.16 ID:qZdx75aV0
武内P(なぜでしょう。このままこの声に従って部屋に入るのは、非常にまずい気がします)

武内P(彼女には申し訳ありませんが、ここはこのまま立ち去らせて――)クルッ

小梅「ジー」

武内P「し、白坂さん!? 部屋の中にいたのでは?」

小梅「プロデューサーさんを誘導し終わってから……入ろうと思って」

小梅「ねえ、プロデューサーさん。今の、何?」

小梅「違うよね? 私のおかげで逃げ出せたよね? 私のこと……信じて、くれてるんだよね?」

武内P「も、もちろんです。ですが、今の私は――」

小梅「うん、良かった。プロデューサーさんが私のこと、疑うはず……ないもんね」パアッ

武内P「当然です。しかし、まず聞いてください。今の私は――」

小梅「うん……聞くから、部屋に入ろ。見つかっちゃう」

武内P「………………わかり、ました」


ガチャ、バタン

カチャリ――


小梅「フフ」

武内P「……白坂さん?」

小梅「フフ……フフフフフフ」

武内P「あの……何かおかしなことでも――ッ!?」


ギュウウウウウッ


小梅「二人っきり……プロデューサーさん、プロデューサーさん♪」

武内P「い、いけません白坂さん。このようなことをしては!」

小梅「ねえ、プロデューサーさん」

武内P「なんでしょう。まずはいったん――」





小梅「私にしようよ」





白坂小梅
http://imcgdb.info/card-img/2435901.jpg
11 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:54:26.42 ID:qZdx75aV0
武内P「…………………………白坂、さん?」

小梅「私は……イヤだよ。プロデューサーさんが変な人を好きになったり……好きになっちゃいけない人を好きになって、罪を犯したり……叶わない恋をして、苦しむ姿なんて……見たくない」

武内P「それは……」

小梅「好きな人に振り向いてもらえないって……とても苦しいことなんだよ。それを、何年も何年も……自分の意志じゃなくて、変な実験のせいで」

小梅「そして……変な実験のせいで……プロデューサーさんが私に振り向いてくれないなんて……死んでもイヤ」

小梅「叶わない恋なんて……させたくないし、したくもない」

小梅「お願い……私にしてよ、プロデューサーさん」

武内P「……白坂さん」

武内P(まだ子どもの告白――そう流すには、あまりに白坂さんの顔は真剣でした)

武内P(拒絶されるではないかという怯えと、それを克服する願いが叶うのではないかという期待)

武内P(時には心配になるほど透き通った白い肌は淡く紅潮し、濡れた瞳が真っ直ぐに私を見上げる)

武内P(本気……なのでしょう。ですが、私は――)

武内P「白坂さん……私は貴女にそこまで想ってもらえて、とても光栄に思います」

小梅「……やめて、そんな言い方しないで。本当にそう思ってくれるなら……何も言わずに、きつくきつく抱きしめて」

武内P「……許してください白坂さん。私はプロデューサーで、貴女はアイドル。何より、私は大人で貴女は子どもなんです」

小梅「でも……でも……私が大人になるまで……待て、ないんでしょ」

小梅「楓さんや……美嘉さんを好きになって……結ばれるのなら、まだ諦められる。けど、こんな変な形で……こんなんじゃ、将来私が大きくなっても……ダメのまま。納得なんか、できっこない」

武内P「……申し訳、ありません」

小梅「…………わかった。じゃあせめて、最後に一度だけ――抱きしめて」

武内P「…………………………わかりました」

武内P(許されることではありません。ですが、彼女に納得してもらうには、これしかないのでしょう)

武内P「白坂さん……本当に、すみません」ギュウッ

小梅「……ううん。謝らなくていいよプロデューサーさん。謝るのは……プロデューサーさんの立場がわかっているのに、困らせる私の方。ごめんなさい……ごめんなさい……」

武内P「白坂さん……」

小梅「ごめんなさい……許して……問答無用で――」

武内P「……白坂さん?」





小梅「問答無用でプロデューサーさんを幸せにすることを、どうか許して」





武内P「……ッ!!?」ギシィッ

武内P(体が……動かない!? “あの子”が!?)
12 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 14:55:14.92 ID:qZdx75aV0
小梅「プロデューサーさん……このままじゃ、誰を好きになっても……自己嫌悪に陥りそう。私がこの人を好きなのは、実験のせい。そんな私が想いを告げるのは……失礼だ」

小梅「私があの時、この人のことを考えすぎてしまったせいで迷惑をかけてしまっている。……そんな風に、考えちゃう」

小梅「大丈夫だよ、プロデューサーさん。プロデューサーさんは……今でもだいぶ、私のことが好き。心の底から愛するのが……ちょっと早くなるだけ」

小梅「実験の効果が出るまで、私のことを考えすぎちゃうのは……チュ」

武内P「……ッ」ビクッ

小梅「私が……いけない娘だから。プロデューサーさんは……悪くなんて、ないんだから」

小梅「何も……心配いらない。きっとこの後も、プロデューサーさんは……アイドルで、まだ中学生の私を好きになったことに苦しむけど……そんなもの、私が全部吹き飛ばしちゃう」

小梅「自分の幸せについては二の次で……私たちアイドルのことばかり考えるプロデューサーさんを……私が、問答無用で幸せにしちゃうから」

武内P(なんという……ことに。このままでは、私は白坂さんを好きになってしまう。なんとか、なんとか何も考えないようにしなけれ――ッ!?)

小梅「プロデューサーさんの体……とっても大きくって……固くって……でも弾力もあって……暖かい。包まれて、とっても気持ちいいよぉ」サスリサスリ

武内P「」

小梅「ここも……そうなの?」サワッ

武内P「〜〜〜〜〜っっっ!!?」

小梅「わっ!? ちょ、ちょっとさわっただけなのに……我慢、してたんだね? 一気におっきくなったよ?」

武内P(……遺言状の書き方……調べなければ)

小梅「金縛りなのに、こんな風になるなんて……うん、プロデューサーさんの気持ち、わかったよ。その……下手かもしれないけど」

武内P(い、いけません! 貴女がそんな汚いモノに手を触れては――!!)


――カイサード アルサード


小梅「……え?」


――キ・スク・ハンセ・グロス・シルク


武内P(これは……?)





「灰塵と化せ!!!! 冥界の賢者!!」

「七つの鍵をもて開け 地獄の門!!!!」

「七鍵守護神(ハーロ・イーン)!!!!!」





ガチャ


蘭子「天地を引き裂く友の嘆きを聞き届け――我、参上!」

武内P(神崎さん……ッ)





神崎蘭子
http://imcgdb.info/card-img/2434701.jpg
13 :大亜門「ハロウィンの季節に七鍵守護神(ハーロ・イーン)とかないわー」 [sage]:2017/10/28(土) 14:58:49.94 ID:qZdx75aV0
小梅「……普通にドア、開けるんだ」

蘭子「……カッコよく蹴破ろうとして、くじいたことがあるから」

小梅「あ……ごめんね、訊いちゃって」

蘭子「別に……別に、いいよ」

小梅「ところで……鍵はどうやって――」

まゆP「武内!!」ババッ

小梅「キャッ。……これは、塩!?」

武内P「体が……動く!」ガタッ

小梅「あ――」

あの子<ゴメンネ、力ガ抜ケチャッテ

まゆP「幽霊なんかなあ! まゆに手を出しちまうことに比べたら怖くも何ともねえんだよ!!」

小梅「そっか……まゆPさんが事態を察して、鍵を用意しつつ蘭子ちゃんを呼び出したんだ」

蘭子「冥界の魔術師よ……汝の気持ちもわからんでもない。故に、これまでの所業は見逃そう(小梅ちゃん……気持ちがわかるけど、これ以上はダメだよ)」

蘭子「されど! 我が友の運命を歪めんとするのなら、ここから先は闇を総べる我が相手だ!!(プロデューサーの結婚相手は決まってるんだから、邪魔はさせない!!)」

まゆP「……毒を以て毒を制する。武内、今のうちに逃げるぞ。……両方からな」

武内P「しかし、二人をこのまま置いていくのは――」

蘭子「我が友よ、案ずるな」

武内P「神崎さん……?」





蘭子「ここは我にまかせて先に行け!!」





武内P「……わかりました、あとは任せます」タタタタッ

まゆP「お互いケガだけはするなよ」タタタタッ

小梅「あ……そんな……プロデューサーさん」

蘭子「むふー♪」←前々から言いたかったセリフを言えて満足

小梅「……蘭子ちゃん、どいて。プロデューサーさんを追えない」

蘭子「ならぬ。たとえ汝であってもな(小梅ちゃんでもダメです)」

小梅「……わかった。痛くしたら……ううん、怖くしたらごめんね」

蘭子「ハーハッハッハッ!! 恐怖など闇の一端に過ぎぬ! 見せてくれよう、闇を総べる我の力を!」

蘭子「祝福されし完成をとくと見よ!」


ドドゥン!!


抹消者<ドーモ、小梅=サン。祝福されし完成です


小梅「……四肢切断」


抹消者<アイエエエエエエエェッ


蘭子「ぴいいいいいいいいいぃぃ!?」


祝福されし完成
http://diarynote.jp/data/blogs/l/20110407/88045_201104070022126252_1.jpg

四肢切断
http://img21.shop-pro.jp/PA01380/734/product/115275493.jpg?cmsp_timestamp=20170320134254
14 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 15:00:27.78 ID:qZdx75aV0
※ ※ ※



タタタタタタッ


まゆP「武内、時間まであとどれくらいだ!?」

武内P「早ければあと30分です」

まゆP「……時間が無い。アイドルたちにアレコレされたことを考えると、どこかに一人で閉じこもって何も考えないようにしても……思い出しちまうだろ?」

武内P「情けない話ですが……」

まゆP「しょうがないさ。うん、しょうがない。アイドルにアレコレされたら、反応してしまうのは仕方ない仕方ない。仕方ねえんだよ!」

武内P(まゆP……不憫な)

まゆP「だがそれ以上はダメだ。何としても――チッ、もう来たか」



音ガシタシ、キットコノ辺リにプロデューサーガッ!!

チョ、チョット凛落チ着キナッテ

コンナニカワイイボクカラ逃ゲルダナンテ、今日トイウ今日ハ最後マデカワイガラナイト許セマセン!!

オ?

ハ?

フフーン?



まゆP「仲間割れしながら器用に追いかけんじゃねえよ……武内、ここは俺にまかせて先に行け!!」

武内P「しかし……っ」

まゆP「余計なことは考えるな! オマエはアイドルに手を出さないことだけを考えればいい!!」

まゆP「たとえそのために、お前が倫理道徳を踏みにじることになっても……オマエと同じ立場の俺だけは、味方だからな」

まゆP「だから……何があっても、絶対に諦めんなよ!!」

武内P「……わかりました」


タタタタタタッ


武内P「絶対にアイドルに手を出したりしませんッ!!」
15 : ◆SbXzuGhlwpak [sage]:2017/10/28(土) 15:01:25.26 ID:qZdx75aV0
序盤終了、今回はここまで
一応全部書き終わってはいるんですが、中盤以降の細部の確認がまだ終わっていないので、確認が終わりしだい投稿します
できれば今日中、遅くとも明日までには終わります
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 16:47:07.35 ID:0giDWbqeO
あきらめんなよ………💃
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 17:17:06.84 ID:6AK1vIJJo
どうせまゆPとくっつく
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 17:31:53.06 ID:CukkwRwIo
やっぱりホモじゃないか!
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 17:35:31.51 ID:lgCOgoZWo
今度こそ臍下さんが大勝利するルートかな?
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 17:47:13.33 ID:oofzfTIwO
新章は近々始めますが、それにあたって作者からお願いがあります。といっても、単に「作品の連載中、読んでる人は随時コメントをして欲しい」という、それだけです。連載が終わってから纏めて、とかではなくて、“連載中に”コメントが欲しいのです。

ここでもmixiのコミュニティでも再三言ってることですが、私はSSの作者として、「SSとは読者とのインタラクションの中で作っていくものである」というポリシーを持っています。
つまり、読者からの声がなく、作者が淡々と書いて投下しているだけという状況では、全く意味がないということです。それなら「書かない方がマシ」といっても大袈裟ではありません。
特にこの都道府県SSは、本来3年前に終わっている作品を、需要があると言われて新たに書き続けているものです。投下しても1件2件しかコメントが付かないのでは、その「需要」があるのか否かさえ曖昧になります。
全ての読者にレスを求めるのは酷な事だと思いますが、出来る限り「ROM専」というのはやめて下さい。少なくとも、一夜投下する度に10〜20件くらいのレスは付いてほしいです。この数字は、私の考える、SSが正常に連載の体裁を保てる最低限度のレス数です。
連載を続けるにあたり、そのことだけは、皆さんにお願いします。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/28(土) 17:47:39.43 ID:yiNLREOuO
新章は近々始めますが、それにあたって作者からお願いがあります。といっても、単に「作品の連載中、読んでる人は随時コメントをして欲しい」という、それだけです。連載が終わってから纏めて、とかではなくて、“連載中に”コメントが欲しいのです。

ここでもmixiのコミュニティでも再三言ってることですが、私はSSの作者として、「SSとは読者とのインタラクションの中で作っていくものである」というポリシーを持っています。
つまり、読者からの声がなく、作者が淡々と書いて投下しているだけという状況では、全く意味がないということです。それなら「書かない方がマシ」といっても大袈裟ではありません。
特にこの都道府県SSは、本来3年前に終わっている作品を、需要があると言われて新たに書き続けているものです。投下しても1件2件しかコメントが付かないのでは、その「需要」があるのか否かさえ曖昧になります。
全ての読者にレスを求めるのは酷な事だと思いますが、出来る限り「ROM専」というのはやめて下さい。少なくとも、一夜投下する度に10〜20件くらいのレスは付いてほしいです。この数字は、私の考える、SSが正常に連載の体裁を保てる最低限度のレス数です。
連載を続けるにあたり、そのことだけは、皆さんにお願いします。
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