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【ミリマス】星梨花「つまり、勃起させればいいんですね?」
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1 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/10/25(水) 21:54:48.94 ID:8N2uv+mG0
===
瞬間、時間が止まったと言ってしまってもいいと思う。
場所は例によって例の如くの我らが765プロ劇場。
その第二企画室の場において、星梨花が口にしたこの一言が発端だ。
「つまり、ファンの人たちを勃起させればいいんですね?」
まさかと耳を疑った。でも残念ながら現実だ。
その証拠にさっきまではあれだけ騒がしかったハズの室内が、今は水を打ったようにシンと静まり返っている。
とはいえ、それも無理からぬことだろう。
なぜなら「クレシェンドブルー」の新曲お披露目イベントの段取り確認の最中に、
天使のような女の子が、無垢な少女が"勃起"という、卑猥な単語を突然口にしたのだから。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1508936088
2 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/10/25(水) 21:57:53.24 ID:8N2uv+mG0
ここまで驚くためにはそう、仮に天地を引っくり返しでもしなければ――。
「わわわわっ、きゃーっ!!?」
「春香ー! だから廊下は走っちゃダメだって――」
訂正。例え天地が引っくり返っても、これほどの驚きを人生で味わう場面というのは中々ないんじゃないだろうか?
私は部屋の外、廊下から聞こえて来た惨事の様子から意識を戻すと改めてこの場に集められたメンバーの顔を見回した。
まず、ホワイトボードを背にして座っているのは我らが頼りなきプロデューサー。
今日も寝癖をそのままにしたような髪型で(本人曰く、あれはセットだそうだけど)目の前の少女に死んだ笑顔を返している。
そして次に、彼の表情筋を死滅させる原因を作った本人でもある星梨花は両手を胸元で握りしめ、
今か今かと質問の答えが返って来るのを待っていた。
その横に私、そして机を挟んだ反対側には麗花さん、茜さん、それから静香の三人が。
全員もれなく真顔になってピクリとも動かないところを見るに、
各々星梨花の放った単語、つまりは"勃起"の意味を理解はしているようだった。
3 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/10/25(水) 21:59:59.61 ID:8N2uv+mG0
普段は天然畜生気味の麗花さん――ああ、訂正再び。
普段は天然ボケ気味の麗花さんでも固まることがあるなんて意外だな。
まぁそれだけ星梨花の一言が、核爆弾並の破壊力をもって私たちを直撃したということだけど。
「あ、えぇっと……なんだって?」
永遠とも思える沈黙を破りプロデューサーさんが声を出す。でも間抜け。
質問に質問で返したら、再び同じ惨劇を繰り返す羽目になるのがどうして予想できないかな?
「ですから、男の人は興奮するとおち――」
「そうなるなるなるそうなるのはっ! 生理現象だよ星梨花ちゃん!!」
でも、すんでのところで二発目の爆弾投下は免れた。流石は茜さんナイスフォロー。
いつも「茜ちゃんはチームのムードメーカーだからね!」と大口叩いてるだけはありますね。
星梨花の口からおちんち[ピー]という単語が飛び出す直前に、自らの台詞を被せるというファインプレー。
……私? 私は別に普段から、弟のモノを見慣れているので今さら恥ずかしいとかは。
まぁ、それは別にいいじゃないですか。
4 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/10/25(水) 22:01:57.94 ID:8N2uv+mG0
「プロちゃん、ちょっと気をつけて!」
「お、おう?」
「迂闊にそんな聞き方して、オーバーキルでも狙ってたの!?」
「そ、そうだな、そうだ。……すまん、俺も流石に動転して……」
茜さんに指摘されたことで、プロデューサーさんも自分の失態に今頃気づいたようだった。
自分を取り戻すためか、「おっほん!」なんてわざとらしい咳払いを一つ。
そうして今度はさっきよりしっかりと星梨花の方に向き直り。
「星梨花、問題は一つずつ解決していこう」
テーブルの上に両手を組んで、いつものお茶らけた態度を取り戻す。
「まず最初に確認なんだけど、星梨花は勃起のことを知ってるんだな?」
上手い。濁さず勃起と言うことで、単語の持つ卑猥感を薄めようとする魂胆だ。
それに星梨花が勃起について(ここでは勘違いではなく正しい性の知識として)
知っているという前提で話を進めてる。……こうなると、彼女から引き出される返事は高確率で一つだけ。
5 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/10/25(水) 22:03:11.47 ID:8N2uv+mG0
>>4
訂正
〇テーブルの上に両手を組んで、いつものおちゃらけた態度を取り戻す。
×テーブルの上に両手を組んで、いつものお茶らけた態度を取り戻す。
6 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/10/25(水) 22:05:04.26 ID:8N2uv+mG0
「はい。知ってます!」
「だなー! 知ってるなー! が、学校で習ったりするもんなー!」
「そうなんです! この前学校の授業で教えてもらったばかりでして」
無邪気な笑顔で話してるけど、中々エグイ真実だ。
まだおしべやめしべどころじゃなく、コウノトリやキャベツ畑を信じてそうな星梨花なのに……。
私? 私ももちろん習いました。でも知識はしょせん知識ですし、
そういうことに人並みの興味も無いとは言いませんが……話を元に戻します。
今現在、星梨花はプロデューサーさん相手に保健体育の復習を。
麗花さんもまるで生徒のように彼女の話に聞き入って、
茜さんはいつでも「待った!」と飛び出せるように猫のごとく身構えている。
そしてそんな茜さんの隣に座る静香はと言えばさっきから気味が悪くなるほどニコニコと――。
7 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/10/25(水) 22:07:41.81 ID:8N2uv+mG0
「なに、志保、どうかしたの?」
「別に……。ショックを受けてるかと思ったけど、案外大丈夫そうなのね」
「うふふ、なによ、変な志保。……それにしても――」
「どうしたの?」
「星梨花ったら来るのが遅いわね。ミーティング、もう終わりそうよ?」
……ああダメね、見事なまでにぶっ壊れてる。
目の前にいる星梨花のことを星梨花と認識できないほどに……見るに忍びないとはこのことだわ。
私は余りの気の毒さに静香からそっと目を逸らすと、
この場は最後まで傍観者としての立場に終始しようと決め直した。
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