志希「愛に堕ちよ! ヤンデレニナール(ヤンデレになる)』だよ♪」

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1 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:51:14.13 ID:F4Oykd0T0
志希博士の薬シリーズ第17弾。
今作は飲んだ人が「ヤンデレ」になる薬です。

ヤンデレといってもバイオレンスな要素はありません。いつも通りキャッキャするだけのコメディです。

またしばらくの間、お付き合いいただけると嬉しいです。
始めます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1508507473
2 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:52:05.59 ID:F4Oykd0T0
(事務所)

グツグツグツ...ボ-ン!!

志希「あ、やべ」

志希「『デレデレニナール』を作ろうとしてたのに…ちょっと焦がしちゃったよ」

志希「これ…飲んだら『ヤンデレ』になっちゃうんだろうなぁ」

志希「…」

志希「むしろ、こっちの方が面白いか♪」

志希「よーし♪ 深く考える必要もなし! どんどん投薬していくぞー!」

志希「にゃははは♪」
3 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:52:43.15 ID:F4Oykd0T0
【別の場所】

P「よくわからないけど今ゾッとしたよ」

まゆ「風邪ですか?」

P「急に寒くなってきたからなぁ」

まゆ「では、温かい紅茶でも淹れますね♪」

P「ありがとう」
4 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:53:26.80 ID:F4Oykd0T0
ケース1. 二宮飛鳥

テクテクテク

志希「♪」

飛鳥「おや、志希じゃないか…キミが朝の事務所にいるなんて珍しいな」

志希「あ、飛鳥ちゃんおっはよう♪」

飛鳥「ああ、おはよう」

飛鳥「…」ジッ

志希「?」
5 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:54:51.41 ID:F4Oykd0T0
飛鳥「…目の下にはクマ、けれど寝不足に反して上機嫌…また何か怪しい薬でも完成させたのかい?」

志希「ご明察だねぇ♪ シャーロック・ホームズさん」

志希「探偵の断定したことは正解だよん♪」

飛鳥「ボクは断定なんかしていないし、探偵じゃないが…ああ、そうか言葉遊びか」

志希「探偵、断定、端的、ダンテ♪」

飛鳥「ふふ。まるで唄を歌っているようだね」

志希「ダンテの神曲だけに?♪」

飛鳥「さあね」フッ
6 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:55:23.65 ID:F4Oykd0T0
飛鳥「ボクが当てることができたのは、キミのライフスタイルを多少なりとも知っていたからこそだよ。知ってさえいれば推察することくらい誰だってできるさ」

志希「ん〜、でもアタシのことを知ってくれてるだけで嬉しいねー♪」ハスハスハス

飛鳥「お、おい。どうしてそこで匂いを嗅いでくるんだ。離れてくれ」グイ-

志希「ああん、もういけずぅ〜♪」

飛鳥「まったく…で、どんな薬を開発したんだい?」

志希「このやり取り。普段はプロデューサーとしてるから新鮮だなー」
7 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:56:06.92 ID:F4Oykd0T0
志希「この新しい薬はね、ざっくりいうと『愛』が深くなる薬なんだー♪」

飛鳥「愛、ね…つまり『愛情ホルモンの分泌を高める薬』といったところかい?」

志希「ん〜、ふふふ♪」ニマニマ

飛鳥「…違うのか?」

志希「当たらずとも遠からす、ってところかな〜♪」

飛鳥「…へぇ」

飛鳥「まあいいさ。人と人との問い問答では100点満点の回答ができるとも思わないし、そもそも存在するとも思わない」

飛鳥「問いに対して完璧な解答ができるものなんて、ボクらの生きるセカイには学校のテストくらいしかないものなんだ。正解はいつだって虚ろに移ろうものなのさ」
8 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:56:35.73 ID:F4Oykd0T0
志希「詩的だねぇ♪」

飛鳥「ふふ。志希なら理解るんじゃないかい?」

飛鳥「薬の配合に失敗したら思いがけず良いものができてしまうように、コインの裏と表は時と場合よって変わるように、本来、見方によって正解は不正解になりうるし、不正解は正解になりうるものなんだ」

飛鳥「人生はそれの連続さ。ボクの正解は誰かの不正解になり得る。どこかで日が昇ればどこかで月が輝くんだ」

飛鳥「まあ…決してノーマルとは言えない斜に構えた14歳の個人的な考えだけどね」
9 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:57:06.11 ID:F4Oykd0T0
志希「いやいや、志希ちゃんは好きな考え方だけどな〜♪」

飛鳥「ふふ。そうかい」

志希「てなわけで、飛鳥ちゃん。薬を飲んでわざと『失敗』してみよう! 思いがけず幸運が訪れるかもよ〜♪」ニヤニヤ

飛鳥「強引だな。それとこれとはまた話が違う気もするが…」

志希「ん♪」スッ

飛鳥「…」

飛鳥「…まったく。仕方ないな。ボクも多少興味はあるんだ。愛が深まるというのはどんな感覚なんだろうかってね」

志希「やったね♪ 飛鳥ちゃんは話がわかるっ! ささ、一気にぐびっとイッちゃってよ♪」

飛鳥「そう急かさないでくれ。飲むと決めているんだからね」
10 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:57:54.91 ID:F4Oykd0T0
飛鳥「…」スッ...スンスン

飛鳥「妙な匂いはしない、か」

飛鳥「まあいい。毒ではないんだ。飲んでやろうじゃないか」

グビグビ...ボンッ!!

飛鳥「…」

志希「…プロデューサーはもうすぐ仕事終わるよ♪」

飛鳥「…へぇ」ハイライトオフ
11 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:58:34.08 ID:F4Oykd0T0
(少しして)

P「あー、疲れた」グデ-

P「…もう予定もないし。荷物まとめてさっさと帰るか」

カチャ...パタン

飛鳥「…やあ、プロデューサー」

P「おや、お疲れ様。飛鳥。残ってたのか」

飛鳥「レッスン終わりに志希と偶然会ってね。話をしていたら少し長くなったんだ」

P「そういや飛鳥って志希と仲良かったんだよなぁ」

飛鳥「フフッ。フィーリングが少しばかり合致しているだけさ」
12 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 22:59:13.52 ID:F4Oykd0T0
飛鳥「…それよりプロデューサー。ちょっとこっちに来てくれないかい?」

P「ん? どうかしたのか?」

飛鳥「頼みたいことがあるんだ。来てくれ」

P「いいけど…」

P「(飛鳥が頼み事なんて珍しいな…)」

スッ...テクテクテク...

P「で、何の用ーーー」

ガシッ...ギュム-

P「…」

飛鳥「…」

P「…何故いきなり抱きついたんだ?」

飛鳥「大した理由はないさ」

P「そうなのか?」

飛鳥「そうさ。フフッ♪」

ムギュ-...スリスリ...
13 : ◆hAKnaa5i0. [saga]:2017/10/20(金) 23:00:01.39 ID:F4Oykd0T0
P「(何やら飛鳥が甘えてきているようだ)」

P「(…志希に『アマエタクナール』でも飲まされたかな?)」

飛鳥「ああ…キミに抱きついているのは思いのほか安心するものだね…♪」

P「そうか」

P「(可愛いなー)」

飛鳥「…あと言い忘れていたことがあるんだ。プロデューサー」

P「ん?」

飛鳥「もし…いまからボクを引き離そうとしたり、ボクを咎めるようなことを言った場合、迷わず『刺す』」ニコリ
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