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小日向美穂「こひなたぬき」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:43:05.54 ID:xT7KgNMd0
アイドルマスターシンデレラガールズの小日向美穂のSSです。
ファンタジー要素、独自設定など含みますため、ご留意ください。
※台本形式、地の文、両方あります。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1508431385
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:44:05.41 ID:xT7KgNMd0
あんたがたどこさ 肥後さ
肥後どこさ 熊本さ
熊本どこさ 船場さ
船場山には狸がおってさ それを猟師が鉄砲で撃ってさ
煮てさ 焼いてさ 食ってさ
それを木の葉で ちょいとかぶせ――――
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:44:49.43 ID:xT7KgNMd0
―― 事務所
美穂「へぷちっ。……う〜」
美穂「ふぇ、あ、ふぁ、ふぁっ……ぺしゅんっ」
モバP(以下P表記)「どうした美穂、風邪か?」カタカタ
美穂「プロデューサーさん……いえ、そんなことないと思うんですけ、ぇぅ、ぱみ゙ゅっ」
美穂「なんだか鼻がむずむずし、あ゙じゅっ」
P「いちいちくしゃみがやたら可愛い」
美穂「おっぺすっ」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:45:39.56 ID:xT7KgNMd0
P「やっぱ風邪の初期症状かもしれんなぁ」
P「美穂、大事を取って午後からは休んどきなさい。連絡は俺が回しておくから」
美穂「えっ!? そ、そんなっ悪いですよ! 私なら大じょ、ぷしゅっ」
美穂「……ゔ〜……ごめんなさい、やっぱりそうして貰っていいですか……?」
P「はいよ。ちょっと待ってな、スケジュール確認するから」カチカチ
美穂(……私、どうしちゃったんだろ。本当に風邪じゃないと思うんだけど、鼻の調子が……)
美穂(ぁ、お、おっきいの出そう……っ)
美穂「ん、ふぁ、はぇ――」
美穂「ぱぇっくしゅっ!!」
ポンッ!
美穂「――――――っ!!!?」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:46:56.84 ID:xT7KgNMd0
P「お、出た出た。この後はボーカルレッス……」クルッ
P「……なんでテーブルの下に尻突っ込んでんの?」
美穂「あ、あのいえっ、ひょっとしてお尻を冷やしたのがいけなかったのかなって、あは、あははっ!」
P「なに、お尻が……!? それは良くないな。美穂の美尻に何かあったらコトだ」
美穂「びっ……ぷ、プロデューサーさんっ! それセクハラですよ!?」
P「小日向尻は重要文化財」
美穂「何言ってるんですか、もうっ!」ポコポコ
P「ムハハ! ムハハ! そよ風に撫でられたようだわ!」
P「……っていうのはともかく、じゃあトレーナーさんには俺から伝えとくよ」
P「美穂は寮に帰って、あったかくして休んでなさい。そろそろ寒くなってくる時期だしな」
美穂「は、はい、ごめんなさいプロデューサーさん」
P「いいっていいって。健康が一番大事なんだから」
美穂「じゃあ、お言葉に甘えちゃいますね。お疲れ様でしたっ」
美穂「……ふぅ」トコトコ
美穂「あ……危なかったぁ〜〜〜〜……っ!」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:48:58.21 ID:xT7KgNMd0
―― アイドル女子寮、共用トイレ
ジャー パシャパシャ
美穂「つめたっ。……ふう、もう大丈夫かな」
美穂「くしゃみも、なんとか収まったみたい。プロデューサーさんとトレーナーさんに後で謝らなくちゃ……」
美穂「なんだったんだろ。ううん、それより、もっと気を引き締めなきゃっ」グッ
美穂「――ちょっと、尻尾が出ちゃったし」
お尻を触って、確かめて……よしっ、ちゃんと引っ込んでる。
本当に、気を付けなきゃ。だって――
私、小日向美穂は、人間に化けた狸だから。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:50:04.09 ID:xT7KgNMd0
船場山には狸がおってさ――
っていう童謡が熊本にはありますけど、そういう名前の山はほんとはありません。
なんでもその昔、熊本城近くの川に船着き場があって、そこが「船場」って呼ばれてたんだとか。
川の近くにあった小高い丘がいわゆる「船場山」らしいんですが、どっちにしろ、ずっとずっと昔のお話。
私の故郷は、八代市から太い球磨川を上流までぐぐーっと遡った先、人吉は鏡山の山頂付近にあります。
山にはぽかぽか陽気の降り注ぐ静かなお堂があって、その日当たり良好な縄張りを巡る熾烈な化け合戦を制したのが、私のご先祖様。
そもそも「小日向」っていう氏は、その武勇伝に因む……らしいです。お爺ちゃんが言ってました。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:51:01.48 ID:xT7KgNMd0
狸は人間が大好きです。
人間も人間の暮らしも大好きで、みんな憧れてます。
だから、ある程度大きくなって力を蓄えた狸は、みんな通過儀礼みたいに人間に化けてみるんです。
そうして山を降りて、人と話したり、街で遊んだり、商売なんてやってみたり、
人と結婚しちゃったり(これには狸界でも賛否両論ありますけど!)――
狸は化けるにも何をするにも尻尾が、あとお尻が大事です。とにかくお尻を冷やしちゃダメって教わりました。
私のお尻が、身長に対してその、ちょ、ちょっと大きめ……なのも、それが関係してたり。
それじゃあ私は、人に化けて何をしたかっていうと――
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:52:00.19 ID:xT7KgNMd0
「――ん。――ちゃん――」
響子「美穂ちゃんっ」
美穂「ふぇ!? ――あ、響子ちゃん? どうしたの?」
美穂(ここは……寮のリビング)
美穂(そっか、私、ソファで寝ちゃってたんだ……)
響子「ご飯できたよーって呼んでも来なかったから……。寝ちゃってました?」
響子「そういえばプロデューサーさんが、美穂ちゃんがくしゃみしてたって……ひょっとして風邪とか?」
美穂「ううん、大丈夫っ。ごめんね心配かけちゃって。今行くね」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/20(金) 01:52:32.90 ID:K+7b8m5SO
かわいい
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:52:52.82 ID:xT7KgNMd0
―― 食堂
響子「今日は、響子特製の和風ハンバーグですっ!」
輝子「フヒ……ナイス醤油ソース……しめじ君の、きらめき……」
みく「いっただきまーすっ! ……ん〜〜〜、おいしいにゃあ!」
みく「響子チャン、ちょっと食感が変わってるけど、何か入ってるの?」
小梅「うん……しゃきしゃき、してる……ね。それに……」ピリッ
小梅「なんだか……ちょっと、ピリッと……する。おいしい……」モムモム
響子「えへへ、実はですねぇ……」ゴソゴソ
響子「じゃーんっ! 美穂ちゃんの実家から送られてきた、辛子蓮根です!」
響子「これをちっちゃく刻んで、ハンバーグのタネに混ぜてみましたっ!」
蘭子「火の国より授かりし黄金の宝玉! 我が魔翌力は極限まで高められようぞっ!」ムフー
美穂「わぁ……! 私も、いただきますっ!」
美穂「……くしゃみ、もう大丈夫かな。大丈夫だよね……?」スンスン
周子「………………」ジー
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:53:55.22 ID:xT7KgNMd0
>>10
みほたんはかわいい(真理)
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:55:14.35 ID:xT7KgNMd0
何の話だったっけ――そう、私が人に化けて何をしたか。
その前に、私がまだタンポポみたいな小さい仔狸だった時のお話をしますね。
ある日。
ぽかぽか陽気の古びたお堂に、誰かがゴミを捨てていきました。
たまにあるんです、こういうこと。人って言ってもいい人ばっかりじゃないから。
こういう時、小日向の狸たちはぷりぷり怒りながらゴミをまとめて、人に化けて出しに行きます。
私はというと、ごちゃごちゃしたヘンテコなガラクタが物珍しくて、お父さんたちの周りをちょろちょろしていました。
「向こうで遊んどかんね」と言われても、すっかり私はゴミに夢中。
辟易したお父さんは、ゴミの中でもそこそこ状態のいいものを掴み出して、私に一つくれたんです。
古びたポータブルテレビでした。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:56:06.56 ID:xT7KgNMd0
だいぶボロボロで、ぜーんぜん型落ちの、ほんとに壊れる一歩手前みたいな代物でしたけど。
尻尾で撫でたり前脚で叩いたり、がじがじやったりしてる内に、なんと息を吹き返しました。
中に残った電池が、最後の力を振り絞ったんだと思います。
宝箱が開くんだと思いました。
けど実際はちょっと違いました。
なけなしの電力がボロの体に火を入れて、折れたアンテナが電波を掴んで、ひび割れた画面にノイズまみれの映像が映し出されて。
そこで、女の子が踊っていたんです。
それは、私が生まれて初めて見た人の姿。
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:56:49.99 ID:xT7KgNMd0
すっごく綺麗で、可愛くて、何もかもがキラキラしていました。
画面の汚れとノイズを簡単に吹き飛ばして、彼女は私の両目に焼き付きました。
アイドル――って言うんだそうです。
アイドル。
テレビはすぐに壊れちゃったけど、私はそれからアイドルのことを考えるようになりました。
お父さんが人里で買ってきた辛子蓮根をぽりぽり齧ってる時も、
お堂の境内で化学(ばけがく)の稽古を付けてもらってる時も、
隣山の狸一族との化け合戦にてんやわんやぽんぽこしてる時も、
アイドルは、私の中にずっといました。
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:57:51.38 ID:xT7KgNMd0
―― 事務所
美穂「――っていうことがあって、昨日は大変だったよー」
卯月「そうなんだ……今は大丈夫なの?」
美穂「うん、全然平気だよ。でも原因がわからなくって……あれ何だったのかなぁ」
ガチャ
P「ちーす」
卯月「あ、プロデューサーさん!」
美穂「おはようございまっもぺっしゅっっ!!」
P「グワーッ唾!!」
美穂「ええっ!? ああああごめんなさいわたっぁひゅっぺじょんっ!!」
P「グワーッ割と嫌じゃない!!」
卯月「わああっ美穂ちゃん! どどど、どうしましょう、まず口を塞いで!」
美穂「んぅ……っちゅん! ……っぷし! …………な、なんとか落ち着きましたぁ」
卯月「よ、良かったぁ……。あ、プロデューサーさん、お顔拭きますね?」フキフキ
美穂「本当にごめんなさいっ」
P「いやいや、気にするなってこれくらい」フカレフカレ
P「けど、いよいよもって風邪じゃないか? 一回お医者さんに見て貰おう。俺が連れて行くから」
美穂「そうですね、ごめ……」
P「言いっこなし、だ。すまん卯月、記者さんには説明しとくから、インタビューの時間をずらさせてくれ」
卯月「はいっ、私ここで待ってますね! 美穂ちゃんも、あんまり気にしないでね?」
美穂「うん……ありがとう卯月ちゃん。ちょっと、行ってくるね」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 01:59:13.83 ID:xT7KgNMd0
人里に降りるばかりか、上京までする。
そんな私の決断に両親は大反対。お母さんなんか小川が出来るくらい泣いちゃうし。
説得はかなり大変だったんですが、お爺ちゃんとお婆ちゃんは私の味方をしてくれました。
長い説得の結果、両親は私の上京と人界での暮らしを許可してくれました。
山を降りて新幹線に乗る前の夜、お母さんは私の化け姿に目を丸くしました。
まうごつ、もじょか(訳:めっちゃ可愛い)――ですって。えへへ。
別れ際にお父さんは、とにかく気を付けるようにと口を酸っぱくして言いました。
都会では何があるかわからないし、どこで化けの皮が(文字通り)剥がれるかわからないから。
大丈夫だよと元気に返して、私は熊本を出ました。
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 02:00:10.07 ID:xT7KgNMd0
とはいえ、行った先で具体的に何をどうするかは決めていませんでした。
奥多摩の山にお父さんの知り合いの狸がいて、一時ちょっとお世話になって、考えました。
まず、街を見に行こう。
テレビで見たあの子たちが暮らして、笑ったり泣いたりして、アイドルをやっている街――東京。
その街の空気を浴びて、どんな人たちがどれだけいるのか、自分の肌で感じようって。
かくして私は熊本狸の最先端ファッションに身を包み、東京の街に繰り出したのです。
最初に出かけたその一度では、ほとんど何も考えてませんでしたが。
私は、そこで――
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 02:00:57.03 ID:xT7KgNMd0
「君、アイドルになってみないか?」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/20(金) 02:06:34.78 ID:xT7KgNMd0
―― 一ノ瀬志希のラボ
志希「ん〜〜〜。あたしが見たところでは、キミは全然まったく健康だよー?」
美穂「そう……かな? お医者さんもそう言ってたけど……」
志希「フムン。あたし、医学は専門じゃないからにゃ〜。何らかのアレルギー反応か、呼吸器系の異常?」
志希「てゆーかキミってなんだか薬の効きが人と違うよね? 前から思ってたんだけどさー」
美穂「そ、そうかなぁ」ドキッ
志希「いえーっす。効き目が早かったり遅かったり、むしろ効果ゼロだったり」
志希「志希ちゃんは、キミのその体質にヒントがあると見たっ!」ピシ
志希「てことでちょっとシンキンタイム。未知の事象には、再現性があるかないかを確認することが肝要なのだよ」
美穂「再現性……それが起こる条件、みたいな?」
志希「そそそ。ざっくりキミ自身の所感を聞いてみよっか。ずばり、くしゃみが出る時ってどんな時?」
美穂「くしゃみが、出ちゃう時……」
美穂「――プロデューサーさんと一緒にいる時、かなぁ」
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