サイタマ「俺より強い奴に会いに行く」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/17(火) 21:50:09.87 ID:UJptFGymO
サイタマ「なぁ、ジェノス」ピコピコ

ジェノス「はい、なんですか? 先生」

サイタマ「俺より強い奴ってどーやったらアポとれるかな」ショーリューケン

キング「隙ありッ!!」ピコピコ

サイタマ「ぬあっ⁉︎」ウーォウーォウーォ

キング「サイタマ氏。昇竜拳は技をだした後にワンフレーム隙が」

サイタマ「汚ねえぞキング! なに小足見てから昇竜余裕でしたみたいな発言してやがる!」ビターン

キング「常識だよ。このゲームの基本ルールさ」

サイタマ「知るかそんなもん」

キング「だいたいたかがゲームじゃないか。なんでそこまでムキになるのさ」

サイタマ「お前、1990年代後半にゲームセンターでリアルファイトが勃発してたって知ってる? そいつらにも同じこと言えんの?」

キング「はぁ……。まぁ、気晴らしか」

ジェノス「スッポンポンファイターの話ですか?」

サイタマ「あ? あぁ、違う違う。わりと真面目な話だ」

キング「え……」

サイタマ「どっかにいねーかなぁ。俺より強いやつ」

ジェノス「弟子の俺が不甲斐ないばかりに」

サイタマ「いやいや、それも違うから。なんでそうめんどくさい方向に向かうんだお前――」

ジェノス「さっそくクセーノ博士の元に向かってバージョンアップしてきます。お待ちください」ピポパピ

キング「え、え……?」

サイタマ「や、待て。やめろ。足の下からなんか火がでてる。ここ普通のマンションだからな? 耐火設備なんかないからな?」

ジェノス「もしもし? クセーノ博士ですか。これからそちらに向かいます」シュゴコゴゴゴゴゴ

キング「ひぃっ⁉︎」アタフタ

サイタマ「ジェノおおおおスっ! 足からジェット噴射みたいな火が!!」

ジェノス「失礼、博士。少々お待ちを。……先生、連絡がつきました。では、行ってきます」シュゴーーーーーーー

キング「さ、サイタマ氏ぃっ!」ギュウ

サイタマ「修繕費は必ず請求するからな!」クワッ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1508244609
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/17(火) 21:51:15.07 ID:/ekJ2imA0
両津なら勝てるかも
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/17(火) 22:02:41.19 ID:UJptFGymO
キング「行っちゃったね……」ポカーン

サイタマ「壁にどでかい穴あけやがって」

キング「見晴らしがよくなったんじゃないかな」

サイタマ「そのかわりプライベートはなくなったぞ」

キング「ほら、布とか被せれば」

サイタマ「風と虫が入ってき放題なんだが?」

キング「……さむ」ビュー

サイタマ「これから冬だしな」

キング「げ、ゲームって気分でもなくなっちゃったし、僕はそろそろ――」ソソクサ

サイタマ「待て」ガシッ

キング「用事思い出したんだ。今日は新刊の発売日だった」

サイタマ「塾が新刊に変わっただけのとってつけたような誤魔化しはやめろ」

キング「……」

サイタマ「なぁ、お前んちって広い?」

キング「ううん、ワンエルディーケー」

サイタマ「なんで目を逸らす?」

キング「さぁ」

サイタマ「困ってる人を助けるのがヒーローなんじゃないのか」

キング「そうだよ」

サイタマ「今のこの状況は?」

キング「だって僕ヒーローじゃないもん」

サイタマ「は?」

キング「え?」

サイタマ「お前S級ヒーローだろ」

キング「それ本当だったらサイタマ氏じゃん。僕はただの一般人」

サイタマ「……そうだった」

キング「でしょ? じゃあ、僕は帰るね」ソソクサ

サイタマ「……?」

キング「お邪魔しましたー。また遊ぼうねー」ガチャ バタン

サイタマ「……はっ! なんの解決にもなってねぇ! おい、キング!」シーン
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/17(火) 22:28:05.39 ID:UJptFGymO
【S市 ハゲ丸スーパー前】

おばちゃんA「ねぇ、奥さんヒーロー協会日報読みましたぁ?」

おばちゃんB「見ましたよぉ〜。なんでもヒーロー狩りが勃発してるんですってぇ〜ん? こわいわぁ」

通りすがりの少年A「(こわいのはお前の顔面だよ)」

おばちゃんB「あぁんっ⁉︎ なんか言ったか自転車に乗ってる小僧ッ! 貴様の内臓捌くぞボケカスコラッ!」クワッ

通りすがりの少年A「こ、心を読んだ⁉︎ 怪人だ!!」

おばちゃんB「誰が怪人よ! 待ちなさい!」ダダダッ

通りすがりの少年A「待てと言われて待てるかよッ!
――わっ⁉︎ わ、危ない! お姉さん、よけっ!」チリンチリーン

フブキ「……」スッ

通りすがりの少年A「あ……えっ? 体が浮いてる」

フブキ「ボク。元気なのは良いことだけど、怪我しないようにね」

マツゲ「フブキ様! お怪我はありませんか⁉︎」キキーッ バタン

リリー「フブキ様!」タタタッ

フブキ「なんともないわ。騒ぎすぎよ」

通りすがりの少年A「フブキって……! ボク知ってる! B級1位ヒーロー。23歳。身長167cm、体重非公開の――」

フブキ「なんの説明してるのかしら、ボク?」ニコ

通りすがりの少年A「ひっ」

おばちゃんB「ぜえっ、ぜぇっ。ったく、よーやく追いついた」ドスドス

通りすがりの少年A「こっちからも⁉︎ まさに四面楚歌! ボクはいま狼の群れの中に投げ込まれた子羊のごとく」

おばちゃんB「うるさいよ」ゴチン

フブキ「(か、変わった子ね)」

通りすがりの少年A「いだぁっ! ……うあああああぁぁ! ばばあが殴っだああぁあああっ!!」

おばちゃんB「こ、こら。周囲の目があるのに」

通りすがりの少年A「ゴリラばばあがあああああぁっ!! ぴぎゃあああああぁっっ!!」

おばちゃんB「ええぃっ! こ、こーなったら……あたしゃ帰る!」

フブキ「え……?」ポカーン

通りすがりの少年A「ぴぎゃああああん!」

フブキ「え? えっと、その」オロオロ

山猿「フブキ様、如何致しますか?」

リリー「(うろたえるフブキ様っ! たまらないわぁっ!)」カシャカシャ

マツゲ「リリー。カメラのシャッターを連射するのを控えろ。鼻血をだすな」

フブキ「はぁ……。夕飯の買い物にきただけだったのに。なんでこうなるのよ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/17(火) 22:30:32.73 ID:qR6Ix4HxO
サイヤ人と勝負しろ
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/17(火) 22:34:20.67 ID:jCIwV6iGo
プリキュアオールスターズ
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/17(火) 22:35:50.54 ID:FMwxjpmbO
天照を頭に着火
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/17(火) 22:54:41.07 ID:UJptFGymO
【スーパー内】

サイタマ「なんだか店外に人だかりができてるなぁ」ボケー

店員「お会計1980ツルピカハゲおねしゃーす」

サイタマ「はいはい」カチャ

店員「あざーっす。ハゲからツルピカハゲいただきましてござーす」

サイタマ「(ここの店員毎回おかしいよな)」

店員「ちっ、次の客がつかえてんのが見えねーのかよハゲが。会計済んだならとっとと散れ。お前の毛根と共に」ボソ

サイタマ「いまなんつったコラ」

通りすがりの少年A「ほんとっ⁉︎ ほんとになんでも好きなお菓子買っていいの⁉︎」

リリー「いいわよ」

通りすがりの少年A「マジラッキー!! 嘘泣きはしてみるもんだぜ!」

サイタマ「ん……? あいつは、どっかで見たような」

フブキ「……」テクテク

サイタマ「あぁ、そうだ。たしか、なんて言ったか……フブキ組の」

フブキ「……? なにやら、視線を感じるような――……サイタマ?」

サイタマ「(うわ、見つかった。めんどくさそうだし気がついてないふりしよ)」ゴトッ

フブキ「……」ヒソヒソ

山猿「はっ! 承知いたしました!」ビシッ!

サイタマ「(しっかし、あの穴どうするべきか。とりあえず今日はビニールシートでもかぶせて)」

山猿「おい、そこのハゲ」

サイタマ「(ガムテープで補強になるか。やっぱキングに手伝ってもらえば)」

山猿「聞こえんのか、ハゲ」

サイタマ「……?」

山猿「お前だ、お前」ポンッ

サイタマ「は? てゆうかなに気安く肩に手を置いてんの? おまけに身体的特徴で呼ぶっていじめじゃない?」

山猿「フブキ様がお呼びだ。御同行願おう」

サイタマ「やだよ。めんどくさそうだしパス」

山猿「なにぃ?」ピキッ

サイタマ「ほら見ろ。既にめんどくさくなりそうじゃねーか。だいたいだな、お前らはいつもこっちの都合を――」

店員「な、なんダァっ⁉︎ 地面が盛り上がって」

リリー「こ、これは……っ⁉︎」

モグラ怪人「ぎゃーはっはっはっ!」ボコンッ

フブキ「怪人⁉︎」

一般客「か、かかかかか怪人だぁーーっ!!」ワーワーキャー

モグラ怪人「おうおう、こいつは良いところを掘り当てたようだ! 人間どもがうようよいやがる!」

マツゲ「リリーっ! 山猿っ!」ザッ

山猿「応ッ!!」

リリー「フブキ様! ここは私達が時間を稼ぎます! 今のうちに一般客の避難を!!」

モグラ怪人「モーグモグモグ! こいつは傑作だ! この俺様とやりあおうってのか!」

フブキ「ふん、雑魚風情が」スッ

モグラ怪人「っ⁉︎」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/17(火) 23:16:39.90 ID:UJptFGymO
フブキ「人間どもがうようよ? 生憎だったわね。あなたが這い出た先はモグラ叩きをされる場所よ」ゴゴゴッ

モグラ怪人「な、なんだこいつ……! まさか、ヒーローか……!」

リリー「お、お待ちください! こんな狭い場所でフブキ様のお力を使えば被害が」

モグラ怪人「ん……?」キョロキョロ

一般客「」ガタガタブルブル

モグラ怪人「そぉ〜か! そうゆうことか! モーグモグモグ! 残念だったな、ヒーロー! 人質がいるぞ!」

フブキ「……」チラ

マツゲ「フブキ様、ここは我らにおまかせを」

山猿「我々を信じてください」

リリー「行くわよ、マツゲ、山猿」

モグラ怪人「はっ、お前らからはなにも脅威を感じない」

マツゲ「な、なんだと……!」

モグラ怪人「取り引きしないか?」

フブキ「どういう意味かしら」

モグラ怪人「お前が俺様を見逃せば、お前とお前のお仲間には手をださないでおいてやる。もっとも、ここにいる他の人間どもは地中に引きずりこむが」

フブキ「人質だと自分で言ったのを忘れたの? 誰か一人に手をだしたら、即座に“地獄荒らし”をお見舞いさせるわ」

モグラ怪人「……」ゴゴゴッ

フブキ「……」ゴゴゴッ

モグラ怪人「交渉は決裂か」

フブキ「そのようね。ただ、あなたには交渉のテーブルすら用意されてなかったけど」

モグラ怪人「下等な人間がッ!! 調子こくのも大概に――」

サイタマ「うるさいよ、もう」パァンッ

モグラ怪人「え……? あぴゃ」ビチャ

サイタマ「はぁ……あーあ、服汚れちゃった」

フブキ「……」ポカーン

リリー「う、えっ? ……え?」

一般客「」ポカーン

サイタマ「これ気に入ってたパーカーなのにさ。血って落ちづらいんだよなぁ」ブツブツ

店員「ひ、ひ……」

サイタマ「あ、あの。お釣りください」

店員「は、はいっ⁉︎」

サイタマ「2000円渡したから20円あるだろ?」

店員「あっ! すいませんしたぁっ!」

サイタマ「……どっかにいねぇかなぁ。俺より強いやつ」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/17(火) 23:34:19.39 ID:UJptFGymO
【サイタマ退店から数分後】

通りすがりの少年A「な、なんだぁー。あの怪人が弱かったんだよ、きっと!」

一般客「そ、そうだそうだ! じゃなきゃあんな弱そうな奴に負けるわけがないもんな!」

通りすがりの少年A「見た目モグラだったし! ビビって損した!」

フブキ「……ほしい。やはりほしい」

マツゲ「フブキ様……?」

フブキ「予定をキャンセルするわ。このままサイタマの自宅に向かうわよ」

リリー「え、でも、今日は」

フブキ「ヒーロー協会の会合と天秤にかけてもあの男は別格よ。存在がインチキだわ」

山猿「それほどですか? あの怪人がたいしたことなかっただけでは」

フブキ「はぁ……これだからあなた達を信用できないのよ」

マツゲ&リリー&山猿「……っ⁉︎」

フブキ「私が念打ではなく“地獄嵐”を使うと判断する強さだったわ。念動金縛りをずっとかけていたからこそわかる」

マツゲ「あっ……! し、しかし!」

フブキ「我々フブキ組が次のステージに上がるためにはサイタマが必要なのよ」

リリー「次のステージ? A級ですか?」

フブキ「それは通過点。姉さんに対抗しうる勢力になるのが最終目標」

山猿「あの、S級の……“戦慄のタツマキ”ですか」ゴクリ

フブキ「いくら強いといっても姉さんには勝てない。サイタマがインチキならあの人はバケモノだもの」

リリー「……」ゴクリ

フブキ「でも、私達が手を組めば芽は必ずでるはず……!」

マツゲ「我々は、足手まといですか」

フブキ「今は、ね。もっと強くなって」

マツゲ「ふ、フブキ様ぁっ!」

リリー「なります! なってみせますっ!」

山猿「筋トレの量を三倍に増やすか……!」

フブキ「期待してる」

マツゲ&リリー&山猿「はいっ!!」

フブキ「とりあえずはサイタマよ。住んでるマンションに向かいましょ」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/17(火) 23:59:10.69 ID:UJptFGymO
【サイタマ宅 数十分後】

サイタマ「粗茶ですが」コトッ

フブキ「おかまいなく」

マツゲ「てめーコラハゲっ! 粗茶しかだせねぇのかよ! 玉露もってこい玉露!」

サイタマ「……」ピキッ

山猿「やめろ、マツゲ。このハゲにそんな経済力はない」

サイタマ「……」ピキピキッ

リリー「てゆーかさぁ、なんで壁に穴あいてんの? 隙間風ってレベルじゃないんですけどぉ?」

サイタマ「そいつはだな」

リリー「うわっ、きんも。なんか変な毛が落ちてる」

サイタマ「……」ピキピキピキッ

フブキ「サイタマ」

サイタマ「あんだよっ! さっさと飲んで帰れや!」

フブキ「先日、勧誘した件を覚えてる?」

サイタマ「あぁ? 勧誘?」

フブキ「そう。あなたを特別会員だと認めはしたけど、正式な会員とまではいっていない」

サイタマ「興味ないしな」

フブキ「なぜ? なぜあなたはそこまでヒーローランキングに無頓着なの? ヒーローなら誰しもが認められたいはずでしょう?」

サイタマ「そこがズレてんだよ、お前は。アイドルじゃねーんだからさ」

フブキ「……目立ちたいだけじゃない、認められたいわけじゃないわ。勝ちたい相手がいるのよ」

サイタマ「ほーん」

フブキ「ふっ、あなたは知らないのよ。あの人の恐ろしさを」

サイタマ「……」

フブキ「幼少の頃から姉さんは……! 姉さんはバケモノだった! 規格外だったわ!」

リリー「フブキ様……」

フブキ「A級上位に勝てないから上がらないんじゃない。本当の理由は、姉さんに目をつけられないためなのよ……! 力を蓄えるまではそれだけは避けなくちゃ」

サイタマ「S級ねぇ」

フブキ「あなたはたしかに強い。でも、姉さんほどじゃないわ」

サイタマ「どういう基準で?」

フブキ「さっきも本気じゃなかったんでしょ?」

サイタマ「……」

フブキ「私だってそれぐらいはわかる。サイタマの強さの底が見えないってこと。……でも、それを差し引いたとしても、“姉さんよりはこわくない”」

サイタマ「……そいつ、強いのか?」

フブキ「今までの話聞いてた? サイコキネシスやテレキネシスの能力において右に出るものはいないわ」

サイタマ「超能力者か」

フブキ「簡単に片付けないでよ」

サイタマ「いや、いい。そこだけわかれば。ちょっと会ってくる」

フブキ「は、はぁっ⁉︎」ガタッ

サイタマ「飲んだら流しに置いといてくれ。よっこらせっと」

リリー「死ぬ気なんじゃ?」

サイタマ「なんでだよ? ただ見に行くだけだぞ」

フブキ「姉さんは気に入らない相手には――」

サイタマ「うん、そうか。鍵は閉めなくていいから」ガサ
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/18(水) 01:08:13.70 ID:gQPzP+wTO
【ヒーロー協会 本部】

受付「それで? なぜここに」

サイタマ「暇だったから」ドーン

受付「頭いかれてんじゃねぇのかこのハゲ」

サイタマ「心の声の時は()をつけるというお約束が」

受付「つける必要もねーわ」

サイタマ「あ、はい」

受付「タツマキさんならここにゃいないよ」

サイタマ「どこに行けば見れる?」

受付「あんたねぇ、いくら憧れのS級だからといって動物園のパンダじゃないんだよ?」

サイタマ「いや、別に俺は……でも、そうか、動物園の動物か。言い得て妙だな」

受付「たまにいるのよねぇ、あんたみたいなの。協会が露骨な特別待遇してるってのを良いことにヒーローをアイドルかなにかと勘違いしちゃって」

サイタマ「……」

受付「いい? みんな多忙なのよ。暇ならさ、怪人の巣穴のひとつでも見つけてやるぐらいの意気込み示したら?」

サイタマ「それで、ランキングを上げれば会えるのか?」

受付「聞いてた⁉︎ 人の話!」

サイタマ「え……聞いてたけど、なに?」

受付「なんなのよ、こいつ、もぉ。えーと、ヒーロー名鑑にも載ってないし……うぅ〜ん」カタカタ

サイタマ「なぁ、質問の答え」

受付「あぁ、いたいた。ハゲマントさんですね」

サイタマ「……」イラァ

受付「現在C級27位。ははぁ〜ん、駆け出しが自分の力量もわからないで言ってる感じか」

サイタマ「そもそもよ。大層な御託並べちゃいるが、誰が最強だなんだと勝手に格付けしてるのはあんたらヒーロー協会だろ」

受付「……?」

サイタマ「S級が本当に一番つえーのかよ?」

受付「なにを言いだしたかと思えば、今度は嫉妬?」

サイタマ「いや、そうじゃなく」

受付「そうとしか見えないんですケド。物事には説得力ってものがあんの。ハゲマントさんがS級上位にいれば、問題提起として上層部に告訴できるでしょう」

サイタマ「だから、組織然とした構造がな」

受付「あなたもこの協会に属するプロヒーローでしょ? 規約に目を通してるはずだし、納得して入った、違うの?」

サイタマ「よく読んでなかった」

受付「ヒーローのランクは働きに応じて格付けされています。個々の強さは状況によって変化する事案も否めないけれど、災害レベルの解決度合いを見て適正に判断しているわ」

サイタマ「そうか」

受付「あなたもS級になりたいんだったら、災害レベル鬼や竜の規模をひとりで解決するぐらいの貢献をしなさいよ、ハゲマント」

サイタマ「なんだかなぁ」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/18(水) 01:46:58.92 ID:wJAX+0uIO
【Z市 住宅地】

キング「あれ……? サイタマ氏」キキーッ

サイタマ「ああ、キング。自転車に乗ってどこへ……って、そうか、ここお前んちの近くか」

キング「うん。どうしたの、暗い顔して」

サイタマ「いや……ちょっと、思うところがあってな」

キング「……⁉︎ そんな、やっぱり気にしてたんだ……ハゲは遺伝だから仕方ない」

サイタマ「待て、俺がいつそんな話をした」

キング「違うの?」

サイタマ「当たり前じゃ」

キング「そっか。傷ついてたのかと不安になったよ、俺。これからも遠慮なく言うね」

サイタマ「そこは気をつかえよ」

キング「わがままだなぁ」

サイタマ「なぁ、キング」

キング「ん?」

サイタマ「S級って嬉しいか?」

キング「いや、胃が痛くなるだけかな。ほら、弱いし」

サイタマ「実力が伴ってないとそんなもんか」

キング「うん。どしたの? 突然」

サイタマ「俺、なんでヒーロー協会にいるんだろなぁと思ってさ」

キング「……? ヒーローになりたかったからじゃないの?」

サイタマ「格付けしてるのが気にくわねーんだよ。B級もC級も怪人と戦ってんだろ。誰かを守ってる。なのに、ランクをつけて互いに競争してよ」

キング「……え? それのなにがいけないんだい?」

サイタマ「バカバカしいとは思わねーのかね」

キング「色んな側面があるものだよ。協会的にはランクを振り分けることで脅威に対応しやすくなる」

サイタマ「……」

キング「擁護してるわけじゃないよ。だけど、災害レベルが高い怪人相手にC級を向かわせられないでしょ。そんなのは無駄死にだ」

サイタマ「めんどくせーな」

キング「組織だって力なんだよ。情報の共有ができるぶん、出遅れは少なくなり初動で先手を打つことができる」

サイタマ「まぁ、そりゃあ」

キング「サイタマ氏だって、協会に入れば怪人の出現を把握できるという打算があったんじゃない?」

サイタマ「うっ、お前人に説教できるほどヒーローやってないくせに」

キング「だって変なこと言いだすから。サイタマ氏はさ、退屈してるんだよ。要するに」

サイタマ「……」

キング「暇な人間ってのは考えすぎるものさ。だって暇だから、刺激がないから。だから、不満ばかりに目がいってしまう。その内に組織という枠からはみ出してっちゃうよ」

サイタマ「退屈なのは認めるよ。S級のタツマキに会おうと思ったんだけど無理だった」

キング「タツマキ……? あぁ、そういや今日が会合だったっけ」

サイタマ「S級もそうなのか?」

キング「出席率はまちまちだけど全ランクそうだね。俺も着信あったけどでてないし」

サイタマ「どーやってか会えねぇかなぁ」

キング「会いたいの? 紹介してあげようか」

サイタマ「なに言ってんだよ、お前がS級になんのツテがあって……あっ」

キング「気がついた? 俺、一応S級なんだよね」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/18(水) 01:49:35.96 ID:kFjxVlb6O
女ヒーローとしてはNo. 1のタツマキと子作りすれば自分より強いのが生まれそう
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/18(水) 02:08:36.72 ID:sSAiVrZ8o
サイタマってこんな奴だっけ?
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/18(水) 08:15:33.08 ID:FigOekcQo
ヒーロー物で細かいランキング付けてるヤツっておかしいよな。大まかなランクをつけといた方が
便利なのはキングの言う通りだけど、◯位まで細かくランク付けしたら本来協力しなきゃいけないのに
手柄を競って争いあうことになるし。クレイモアみたいに組織が絶対的存在じゃないと無意味
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