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千歌「これはきっと、悲劇だ」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 22:57:46.55 ID:BmOILOmbo
世界を何も知らない私は幸福だった。
それなら、世界を知ってしまった私は不幸なの?
それを受け止めるには、まだ私は弱すぎたんだ。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1507730266
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 22:58:42.88 ID:BmOILOmbo
千歌「ねー見てよ。また喰種だって」
曜「また?……ほんとだ。沼津だね」
千歌「怖いなぁ。大丈夫かな……」
曜「千歌ちゃん、食べられないようにね?」
千歌「怖いこと言わないでよ!てか、沼津に住んでる曜ちゃんの方が危ないんじゃない…?」
曜「私は鍛えてるから大丈夫だよー」
千歌「鍛えてても喰種には勝てないと思うよ!?」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 22:59:10.44 ID:BmOILOmbo
曜「まぁそれは冗談にしても……身近に隠れてたりするかもしれない、ってテレビでも言ってたし、まだ表沙汰になってないだけでここも十分危ないかもしれないんだからさ。夜道を一人で歩いたりしないようにね?」
千歌「曜ちゃんお母さんみたいだよ……。それは曜ちゃんもね。気を付けてよ?とくに、水泳の練習の後とか!」
曜「大丈夫だいじょーぶ!いつもママに送ってもらってるし!」
千歌「それなら安心だね!」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 22:59:38.42 ID:BmOILOmbo
曜「千歌ちゃんは心配だけどねぇ……私が喰種だったら三秒で食べれちゃいそうだよ!がおー!」
千歌「喰種はがおーなんて言わないと思う」
曜「うっ…」
千歌「それに……喰種だったら松月になんて来ないよね。人間の食べ物は食べれないんでしょ?曜ちゃん、みかんケーキ食べてるし」
曜「うっ……」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:00:20.18 ID:BmOILOmbo
千歌「それにそれに、曜ちゃんみたいな優しい子が人を殺して食べる、なんてできないと思うし!」
曜「あはは、ありがとっ」
千歌「もしも私が喰種だったらさ……」
曜「うん?」
千歌「みかん食べれないんだよね……?」
曜「あー。なんかすごいまずく感じるらしいね?」
千歌「…………喰種って大変だね」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:00:46.88 ID:BmOILOmbo
曜「いや、みかんが食べられないことは大した問題じゃないと思うけどね」
千歌「そんなことないよ!みかんが食べられないなんて死も同然……!」
曜「えー……そこまでかな…」
千歌「あっ!?曜ちゃんアレ終バス!」
曜「嘘っ!?ごめんまた明日!ばいばい!」
千歌「ばいばい!」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:01:58.70 ID:BmOILOmbo
コトッ
千歌「あ、あれ?わたしこれ頼んでないですよ……?」
店員「それ自分が作った新作のみかんタルトなので…よければ食べてもらえませんか?」
千歌「え、いいんですか!?」
店員「えぇ、お話が聞こえてきたので……みかん、お好きなんですね」ニコッ
千歌「はいっ!わ〜おいしそう……!」
店員「結構自信作なんですよ」
千歌「いっただきまーす!……んっおいし!」
千歌「すごいおいしいですっ!」
店員「本当ですか?それは良かった。近々商品化する予定なので…そのときはよろしくお願いしますね」
千歌「もちろん!楽しみだな〜」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:02:24.29 ID:BmOILOmbo
店員「……」
千歌「へ?私の顔になにかついてます?」
店員「あ、いえ…すみません。なんでもないです」
千歌「そう…ですか?」
店員「すみません、そろそろ戻らないといけないので……ゆっくりしていってくださいね」
千歌「あ、はい……ありがとうございます!」
千歌(……なんだったんだろ?まぁいっか。おいしかったし!発売前の新作食べれるなんてラッキーだなぁ…)
ピロンッ
千歌「ん……?」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:02:56.77 ID:BmOILOmbo
【千歌ちゃん、早く帰りなよ〜!もう帰ったかもだけど(笑)
気を付けてね!ヨーソロー!】
千歌(曜ちゃんは心配性なんだから……曜ちゃんだって危ないのは変わらないじゃんっ!)
千歌(それにしても……)
千歌「喰種なんて本当にいるのかなぁ」ボソッ
千歌(……ま、考えてもわからないし。帰ろうかな)
千歌「ごちそうさまでしたー」
「ありがとうございましたー!」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:03:46.62 ID:BmOILOmbo
千歌「ただいまー」
美渡「おかえりー」
千歌「何見てるの?」
美渡「なんか……喰種特集?」
千歌「あ、出た。小倉ちゃんだ。喰種研究家の」
小倉【……というわけでね。東京で活動していたはずの喰種が静岡に移動しているみたいなんですよ。つまりこれは東京に存在しているなんらかの喰種の組織みたいなものが静岡に拠点を移動する前触れみたいなものなのかもしれないね】
美渡「……アホくさ」
ブチッ
千歌「あー!なんで消しちゃうのー」
美渡「ほら、もうすぐご飯だよ千歌」
千歌「小倉ちゃん見たかったのに…」
志満「二人とも手伝ってー」
美渡「はいよー」
千歌(東京の喰種、か)
千歌(……うーん)
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:04:28.82 ID:BmOILOmbo
―――
――
千歌「…………よしっ。できた!」
千歌(私にしては珍しく期限内に歌詞ができた!これは自分へのご褒美でみかんアイス食べてもいいよね)
千歌「みっかん♪みかん〜♪」ルンルン
ガラッ
千歌「な、ない……!?」
千歌「あーもー……完全にみかんアイスの気分だったのに……」
千歌「じゃあみかんジュース……も、ない」
千歌(…………こっそり行けばバレないよね。すぐ近くだし)
美渡「……が…………喰種……」
志満「…………だと……けど」
千歌(喰種の話?)
千歌(ま、いっか。今ならバレないだろうし……)
千歌(んー……なんかお腹すいちゃったな。ご飯食べたけど……頭使ったからかな)
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:05:31.95 ID:BmOILOmbo
「いらっしゃいませー」
千歌(パン買っちゃおうかなー……一個くらい太らない……よね?)
千歌(みかんアイスとー、みかんジュースとー、パン!これ、穂乃果さんが好物だって雑誌に書いてあったんだよねー)
千歌(しかもみかん味っ!これは運命感じるよ……!)
「後ろいい?」
千歌「あっ、すみませ……って、あれ。梨子ちゃん?」
梨子「こんな時間にコンビニなんて危ないよ?」
千歌「梨子ちゃんだって人のこと言えないくせにー」
梨子「はいはい……とりあえずそこどいてくれる?コーヒー取りたいんだけど……」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:06:01.78 ID:BmOILOmbo
千歌「げー……よく飲めるよね」
梨子「砂糖とかミルク入れても飲めないの?」
千歌「入れてもコーヒーの味はするじゃん……」
梨子「……お子ちゃまね」
千歌「あー!自分はちょっと飲めるからってそういうこと言うんだ!」
梨子「ほら静かにして?もう夜なんだから」シーッ
千歌「……むぅ」
梨子「千歌ちゃんはそれ全部みかん……?まさか、今食べようとか思ってないよね?」
千歌「ま、まさかー!」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:06:39.03 ID:BmOILOmbo
梨子「まぁいいけど……歌詞は?」
千歌「聞いて聞いて!もう終わったんだよ!」
梨子「ほんと?じゃあ明日から曲作りに入れるな。珍しいわね?」
千歌「ふふーん、えらいでしょ!」
梨子「いつもそれくらい早いといいんだけどね……さ、そろそろ帰りましょ?喰種に襲われても助けてあげないわよ」
千歌「なになにー?梨子ちゃんそんなに強いの?」
梨子「こう……目つぶしとかで」
千歌「ひどいっ!」
梨子「さすがに無理かな……って、ほんとに帰らないと喰種よりもお姉さんたちの方が怖いんじゃない?」
千歌「……たしかに。パパッと買って帰ろ!」
梨子「えぇ」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:07:06.11 ID:BmOILOmbo
―――
――
千歌「……じゃ、また明日!」
梨子「うん。気を付けてね」
千歌「もー、目の前だよ?」
梨子「いや、お姉さんに怒られないように……ね」
千歌「うっ……気を付けます」
梨子「ふふ、おやすみ。千歌ちゃん」
千歌「おやすみー!」
千歌(あ。表から戻ったらバレるよね……裏口から行かないと)
千歌(……え?あれ、人……?うずくまってる……)
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:07:34.65 ID:BmOILOmbo
千歌「あのっ!大丈夫ですか!?」
「……ごめんなさい、もしよかったら肩を貸してもらえないかしら。実は足をくじいてしまって…」
千歌「もちろん貸しますよ!おうちはどちらに?」
「少し歩くのだけど……ここから10分もかからないと思うわ」
千歌「……よっと。じゃあ…案内お願いします!」
「……えぇ、ありがとう」ニコッ
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:08:16.88 ID:BmOILOmbo
千歌「……へぇ、お姉さん大学生なんですね!どんなことを学んでるんですか?」
「そうね……簡単に言うと音楽、かな」
千歌「音楽……作曲とかもできたり?」
「少しだけだけどね」
千歌「すごい……かっこいいなぁ」
「そんなことないよ。あ、ここを右に曲がったとこよ。ありがとね」
千歌「……あれ?ここって」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:08:49.87 ID:BmOILOmbo
瞬間、頭が吹っ飛ぶような衝撃。右肩が熱い。
何が起きたかなんて理解できない。
千歌「はぇ……?」
「あなたは…………どっち?」
千歌「ッッ!?え、あ、れ?これ、血?なん、で」
「……なんだ。妙な匂いだったから混血なのかと思ったのに」
千歌「その、め、ぐー、る……ッ?」
「期待して損した」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:09:28.13 ID:BmOILOmbo
必死に肩を押さえるが血は一向に止まらず、白いシャツを赤く染めあげる。
痛みと出血量で千歌の頭は朦朧としていた。
「じゃあ、腹の足しにしてあげる」
死にたくない。
死ぬのは怖い。
奪われるくらいなら――
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:10:00.79 ID:BmOILOmbo
「ッ!?」
千歌「ハーッ…ハーッ……」
闇夜に紅く輝く瞳。尾てい骨から突き出る大きくうねる物体。それはまさしく、喰種そのものだった。しかし、千歌の赫眼は右目のみ変化している。
「……隻眼。本当にいたとはね。なんだ、やっぱり喰種じゃない」
千歌「わたしは……」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:10:27.19 ID:BmOILOmbo
奪われるくらいなら――奪え。
「っと。いきなり攻撃なんて危ないわね」
千歌「………人間だッッ」
「どこが?」クスッ
千歌「うるさいッッ!黙れ…!!」
痛みで理性などは残っていなかった。ただ目の前の障害を排除することしか頭になかった。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:11:21.81 ID:BmOILOmbo
気がつくと、目の前には血の海が広がっていた。あれほど痛んだ肩の傷も塞がっている。
千歌「………………え?」
千歌「なに、これ……っ」
先程まで余裕そうに笑っていた女性は原型をとどめないほどにグチャグチャになっている。
千歌「ちが、ちがうっ!わたしじゃ……私じゃ、ない……っ」
その惨状を前に、千歌の口の端から涎が垂れた。
千歌「…………おいしそう」
ほとんど無意識に口から出た言葉でハッとした。
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:11:47.79 ID:BmOILOmbo
千歌「ッ!?や、だっ……なん、で、わたし……」
千歌「わたしは……人間、だよ……ね?」
意識をすれば急に腹の虫が空腹を主張してくる。目の前のモノを食べろ、と。
千歌「そ、そう、だ……パン、パン、あった!」
震える手で近くに転がったビニール袋からパンを取り出す。衝撃によって潰れてしまっているが、気にしなかった。
ひと口かじれば口の中に広がる腐ったような臭いと味で体がそれを受け入れない。噛みきることもできずに口から離してしまう。
千歌「う、……っ」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:12:42.49 ID:BmOILOmbo
ビニール袋からみかんジュースとすっかり溶けてしまったみかんアイスを取り出し、一気に飲み込んだ。
千歌「ッッ……」
千歌「ヴッ……オェ……ッ」ビチャッ
体内のものを吐き出してしまえばより一層感じる空腹感。それに耐えられるほど千歌は強くなかった。本能のままに、目の前の肉に食らいつく。
一転して、多幸感が千歌を包む。その感覚が、もう人間ではないのだと、現実を認めろと、言っているようだ。
不意に、聞きなれた懐かしい声が後ろから響いた。
曜「…………千歌ちゃん?」
千歌「よ、う、ちゃ……?」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/11(水) 23:13:09.10 ID:BmOILOmbo
続きは後日。
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/12(木) 23:11:45.04 ID:1MDAZCRA0
待ってる
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/12(木) 23:18:55.87 ID:bsQfg/e40
期待
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/13(金) 23:02:58.65 ID:jZU3HQNKo
見られた。見られてしまった。私が……人間でなくなったことを知られてしまった。
曜「それ……千歌ちゃん、が?」
千歌「ちがっ…わたし、は、」
曜「……千歌ちゃんは人間だと思ってた。喰種……にしても片目だけだし…どういう、こと、なんだろ」
千歌「わた、しは……喰種じゃ……っ」
曜「あれ。これ喰種?んー……顔も潰れてて誰かはわかんないや。髪の毛長いし女かな?」ヒョイッ
千歌(なんで曜ちゃんはそんな冷静に……?もしかして、曜ちゃん、は)
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/13(金) 23:03:53.21 ID:jZU3HQNKo
曜「そっかぁ。千歌ちゃんもだったんだ?……んっ?でも赫包残ってる…まだ途中だった?ごめん。邪魔しちゃったね」
千歌「違うッ!」
曜「え?」
千歌「私は喰種なんかじゃない!人間だよッッ!」
千歌「わけ、わかんない……なんでいきなり喰種なんかに……っ」
曜「……」
千歌「最悪だよ……意味わかんない……なんで私がこんな体に…………」
曜「…………先に謝っとく。千歌ちゃん、ごめんね?」
千歌「……へ?」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/13(金) 23:04:22.74 ID:jZU3HQNKo
ドゴッ
千歌「ギッ!?ッア……」
曜「……最悪?」スタスタ
千歌「ゃ、だっ」
曜「ねぇ、じゃあさ」グイッ
千歌「いっ…」
曜「喰種の私は生まれたときから最悪かな
」
千歌「っ……!」
パッ
千歌「は、はっ……っ」
曜「痛い?」
千歌「ぃだ…やめ、やめて……っ」
曜「はい。鏡。……ねぇどこが人間なの?見てみなよ自分の顔をさ」
千歌(わたし、は)
千歌(鏡に写った真っ赤に染まる顔)
千歌(右目だけが変色して、睨み付けてるみたいだ。アイドル、なのにね。滑稽だ)
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/13(金) 23:05:57.64 ID:jZU3HQNKo
曜「そうだ!千歌ちゃんの赫子、見せてよ。気になるな」
千歌「かぐ、ね……?」
曜「…………まさか、知らない?」
千歌「う、ん」
曜「え、と……見せた方が早い、かな…」ズッ…
曜の尾てい骨から四本の骨が連なったような白い赫子が出現する。
曜「こういう……戦うときに使うやつ?」
千歌「わ、かん、ない…」
曜「えー……出せない、とか?」
千歌「さっき、は……出たけど……どうやるのかがわかん、なくて」
曜「そっかぁ……んー…………」
曜「ま、いっか。それより聞きたいこととかあるんだよね」
千歌「ききたい、こと……?」
千歌(さっきから……曜ちゃんが怖い。蹴り飛ばされてから……知らない表情ばっかだ…………)
曜「…………でもここで話すのもアレだよね。とりあえず梨子ちゃんの家行こ!」
千歌「ぅえ!?り、梨子ちゃん……?で、も」
曜「あー……大丈夫だよ。梨子ちゃんも仲間、だからさ。ほら、来てもいいって」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/13(金) 23:06:50.40 ID:jZU3HQNKo
千歌「…………梨子ちゃんも、だったんだ」
曜「そ!じゃあ先に行ってて?私はここ片付けとくから!」
千歌「わ、私もっ!手伝う、よ」
曜「んーん。いいよ。……あ、まだ食べる?」
千歌「いっ、いらないっ」
曜「そっか。じゃ、終わったら私も行くね」ニコッ
千歌「う、うん……ありがと!」
タッタッタッ
曜「……よっ、と」ヒョイッ
曜「あー……ん…もぐ……ごくんっ」
曜「…………まっず」
曜「八つ当たりなんて……最低だ」
曜「千歌ちゃん……」
―――
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/14(土) 00:38:07.51 ID:W9NnsA8d0
おもしろい
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/14(土) 08:48:28.11 ID:/xwx7uSSO
狂気
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/14(土) 15:12:46.30 ID:sIJzjr9Qo
ピンポーン
梨子「……いらっしゃい。さっきぶりね?」ニコッ
千歌「…………梨子ちゃん」ジワッ
梨子「とりあえず入って?お風呂準備できてるから先にその血落とした方がいいよ。お話はあとで聞くから…ね?」
千歌「うん……ごめんね梨子ちゃん。ありがとう」
梨子「ううん。あとで着替えとタオル持ってくね。ゆっくりあったまるのよ」
千歌「うん…!」タッタッ…
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/14(土) 15:13:12.45 ID:sIJzjr9Qo
千歌「…………はぁ」
千歌(曜ちゃんに蹴られたとこ……あんなに痛かったのになんともない)スリッ
千歌(それに……肩の傷も)
千歌(……なんともないんじゃない。治ったんだ)
千歌(なんで……?昨日まで……さっきまで、普通だった、のに)
千歌(もう……わかんない……)ブクブク
千歌(……曜ちゃんのあんな怒った顔初めて見た、な。…………そりゃそっか。自分の人生、丸々否定されたら誰だって怒る……むしろ、曜ちゃんは優しすぎるくらいで……)
千歌「……あとでちゃんと謝らないと」
千歌「…………わたしは」
千歌(人間じゃ……ないんだ…………っ)
千歌(……でも、喰種にもなりきれない…………中途半端なわたしは――――)
千歌(……なんなんだろう)
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/14(土) 15:13:46.21 ID:sIJzjr9Qo
曜「おっじゃましまーす!」
千歌「わぁっ!?」バシャッ
曜「わぷっ!」
千歌「よ、よう、ちゃん!?な、ななっ……」
曜「えへへ……処理してたから汚れちゃってさ」
千歌(そうだ……謝らないと……!)
千歌「よ、曜ちゃん!そ、の……さっき…」
曜「……謝らないで」
千歌「え?」ビクッ
曜「謝るのは……私の方。痛かったでしょ」
千歌「そ、そりゃ痛かった……けど。でも私は曜ちゃんの人生を否定するようなこと……言っちゃったん、だよ?」
曜「それでいいんだよ。喰種なんて……そう思われるのが普通でしょ?でも……」
曜「もう千歌ちゃんは“こっち側”なんだよ」
千歌「―−っ!」ゾクッ
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/14(土) 15:14:15.06 ID:sIJzjr9Qo
曜「ちかちゃん吐いてたでしょ。……大好きなはずの、みかん」
千歌「そ、れは……」
曜「まずいの我慢して食べてるのかと思ったけど……もしかして、今までは本当においしくて食べてたの?」
千歌「……うん。おいしかったはず、なのに」
曜「……あーごめん。なんか、責めるみたいな言い方しちゃった」
千歌「ううん。それより……のぼせてきちゃった。先に上がるね?」ザバァ
曜「うん。梨子ちゃんは部屋にいるよ。服も貸してくれたし」
ピタッ
曜「ん?どしたの?」
千歌「……やっぱ言わせて。ごめんなさい」ペコリ
曜「…………千歌ちゃんらしいや」クスッ
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/15(日) 17:07:31.69 ID:lUVTLEFDo
千歌「梨子ちゃん、いろいろ…ありがとね」
梨子「気にしないで。コーヒー、飲む?」
千歌「……苦手なの知ってるくせに」ムゥ
梨子「でも飲めるの水かコーヒーくらいしかないわよ?」
千歌「………….そ、っか」
梨子「チャレンジしてみれば?みかんジュース」
千歌「すごいまずかったからやだ……なんか、腐った油……みたいな味だった」
梨子「……ちょっと待っててね」
千歌「う、うん?」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/15(日) 17:07:58.95 ID:lUVTLEFDo
曜「おまたせー」
千歌「……コーヒー」
梨子「うん。飲んでみて?」
千歌「しかもこれブラックじゃ……」
曜「砂糖とミルクなんて入れたら飲めなくなっちゃうよ」
千歌「うぅ……」ゴクッ
梨子「どう?」
千歌「あ、れ……飲める……?」
曜「おぉー!」
千歌「これコーヒーだよ、ね?」
梨子「えぇ。飲めるもんなのね……」
千歌「……実験台にされた気分」
曜「正解!千歌ちゃんが飲めるようになってるか梨子ちゃんと賭けてたんだよねー」
梨子「嘘言わないの」ピシッ
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