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W号戦車「ドゥルルルルルルン……!?」 エリカ「貴女の名は」
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49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/18(水) 12:27:30.44 ID:waQ4NgNho
>>48
うるせぇsageろks
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/18(水) 18:20:23.01 ID:LlPLpfsdO
悪魔が敵にいなくてよかった
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/18(水) 19:59:45.84 ID:/Wj6aO0J0
追いついた
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/22(日) 23:36:27.78 ID:3Vu9QBK1o
またもキン肉マンの時間に投下頻度がグッと落ちるでしょうが投下します
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/22(日) 23:38:54.44 ID:3Vu9QBK1o
千代『徹底的に叩きのめしなさい、西住流の名が地に落ちるように』
愛里寿「……」
千代『かつては王道の西住流、柔軟さの島田流とある種の住み分けが行われていたけれど……』
千代『よもや人間戦車などという超のつく絡め手をあの黒森峰で作ってくるとは……』
千代『それであの継続高校に勝利までされたとあっては、島田流の名折れ』
千代『本当の変幻自在の忍者戦法とは何か』
千代『日本の戦車道此処にありと言わしめた島田流の本気を見せつけなくては』
愛里寿(人間戦車……???)
千代『我々に出来なかった発想を有効だと思わせてはいけないわ』
千代『なんとしてもあれはただの愚行だと思わせるのよ』
愛里寿「はあ……」
愛里寿(言われなくても普通は愚行だとわかるんじゃ……)
千代『さもないと、下手したら人間戦車が流行るようになるわ』
愛里寿(お母様は何と戦っているんだろう……)
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/22(日) 23:46:01.82 ID:3Vu9QBK1o
エリカ「……」
エリカ(戦車道で学校を守った少女たち裏切られる――)
小梅「何見てるの?」
エリカ「ッ!」
小梅「逸見さんボクササイズの効果か咄嗟に出る右ストレートが日に日に威力上がってるよね……」 イテテ
エリカ「……悪かったわよ」
エリカ「でもいきなりケータイ覗くのやめなさいよね」
小梅「?」
小梅「なんで?」
エリカ「ちっ……これだから携帯の中身を人に見せられる健全極まるクソ一般人は……」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/22(日) 23:51:28.80 ID:3Vu9QBK1o
小梅「……大洗の記事だったよね、さっきの」
エリカ「しっかり見てたのね」
小梅「……私もさっきまで見てたから、写真見るだけでわかったよ」
小梅「残念だよね……」
小梅「みほさん達、あんなに頑張ってたのに……」
エリカ「……そうね……」
エリカ(まあ、廃校阻止のためにって理由で頑張ったのって、準決勝以降だけど)
直下「あ、大洗の話?」 ヒョイ
ドドメ色星「まったく酷い話でゴンス」
エリカ「ええい、揃いも揃ってなんで私の周りでその話するのよ」
直下「え?」
直下「だって一番気にかけてそうなの、逸見さんだし」
エリカ「はあ?」
マウス車長「毎日ウェブニュース見てたよね」
小梅「続報、気になってるんでしょ」
エリカ「そ、そんなことは……」
エリカ「……」
エリカ(ない、とは言えないか……)
エリカ(また入れ替わりが起きないから、さっぱり情報が入ってこない……)
エリカ(なまじ入れ替われば情報が入るとわかってるからこそ、ヤキモキするわね……)
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/23(月) 00:00:10.17 ID:zDe5U/E7o
ブロッケンJr「それにしても政府の連中は許せねえぜ!」
黒星「公平な立場であるべき組織がそんなんじゃあ……」
エリカ「……まあ、正直、そうね」
エリカ「あの子達が廃校になると、リベンジも出来ないもの」
エリカ「……」
小梅「私達で何とか出来ないかな」
ブロッケンJr「ああ、そうだ! 黒森峰の今まで築いた地位がありゃあ、多少は物申せるんじゃあないか!?」
エリカ「……ダメよ」
エリカ「もうあの子は黒森峰の生徒でもなんでもない」
エリカ「……もう仲間じゃあないのよ」
エリカ「私たちに出来ることなんてないわ」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/23(月) 02:25:17.57 ID:zDe5U/E7o
小梅「でも……」
エリカ「それに、黒森峰が今まで築いた地位があればそりゃ発言権はあるでしょうけど――」
エリカ「それは全て、黒森峰のために使われるべきものよ」
エリカ「……黒森峰を捨てたあの子のために、これまで築いたものを使えるわけないじゃない」
エリカ「下手に首を突っ込んだら黒森峰の評価にも関わるし、手は出せないわよ」
ブロッケンJr「何でぇ、さっきから聞いてたらグチグチグチグチ言い訳を」
ブロッケンJr「どこの学校だなんて関係ねえ、助けたいから助ける」
ブロッケンJr「それが友情パワーじゃねえのか!」
小梅「そうだよお」
小梅「副隊長仲間だったんだしさあ」
エリカ「でも……あの子はもう……」
ブロッケンJr「でも、じゃあねえ!」
ブロッケンJr「お前は逸見エリカで」 サッ
ブロッケンJr「あの子は西住みほだ!」
ブロッケンJr「そこになんの違いもありゃしねぇだろうが!」
エリカ「違うのよ!!」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/23(月) 02:26:25.61 ID:zDe5U/E7o
カナディアンマンに夢中になってたらこんな時間で舟漕ぎだしたので中断します申し訳ない・・・
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/23(月) 11:19:37.41 ID:cLAA8WcA0
このまま戦車でLの陣形を作りそうな勢い
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/23(月) 20:36:04.42 ID:IJwhUjEf0
乙です。
薄い胸板でもパンツァージャケットを破く膂力を誇る愛里寿。
でもゆで理論なら許せてしまう。
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/23(月) 23:03:27.15 ID:8gSFlVSpO
君の名は要素よりキン肉マン要素の方が多い
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/23(月) 23:25:54.85 ID:Iv6z02bbo
下手するとガルパン要素より多い
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/24(火) 19:02:38.12 ID:locrF/LwO
冷静に考えて、ガルパンと君の名はのクロスオーバーで平然とブロッケンが居るのはおかしい
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/25(水) 23:38:43.21 ID:fd/OcNalo
ここからドンドン君の名は要素が強まるからセーフ
のんびり投下します
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/25(水) 23:45:58.42 ID:fd/OcNalo
エリカ「……もうあの頃とは違うの」
エリカ「あの子だって……」
エリカ「ううん」
エリカ「あの子の方こそ、もう、あの頃とは全然違う」
エリカ「……あの子は、全く別の場所で、全く違う形で戦車に乗り、全く違う生き方をすることを選んだ」
エリカ「それは揺るぎない事実よ」
エリカ「……それだって、楽な選択肢なわけがない」
エリカ「今更何もかも元のように、なんてこと、出来るわけないじゃない……」
エリカ「違えた道に真剣であればあるほど……」
小梅「逸見さん……」
小梅「ちょっと真面目すぎるっていうか、やっぱり戦車になると頑固だよね」
エリカ「るっさいわね……」
小梅「でもまあ……逸見さんがそう言うなら、私もそれに合わせるよ」
エリカ「はあ?」
小梅「みほさんのことは今でも友達だと思ってるけど、でも……」
小梅「昔も今も、逸見さんの方が、よっぽど私よりみほさんと繋がってるって思ってるから」
エリカ「何言ってンのよ、そんなわけ――」
小梅「勿論、ベタベタとした仲良しこよしってわけじゃないのは分かってるし、そういう意味じゃないよ」
小梅「当然、しっぽりねっとり的な意味でもないし」 グッ
エリカ「親指を人差し指と中指で挟むな」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 00:36:52.30 ID:+nAf7Zmdo
小梅「実際さ」
小梅「こう、ウェットな感じじゃないけど、すごく互いに理解し合ってるなあって」
エリカ「買いかぶり」
エリカ「……それに万が一そうだったとしても、アンタが私に合わせる理由はないじゃない」
小梅「まあね」
小梅「……でも、みほさんも逸見さんも、大切な友達だから」
小梅「私は、どんな形であれ、二人がまた関係を始められたらなって思うんだ」
エリカ「……」
小梅「逸見さんも、前の大会で何か変わろうとしているし、見守りたいなあって」
小梅「……例えその選択の結果、二人が絶交しちゃったとしても」
小梅「過去ばっかり見て怯えたり懐かしんだりするだけより、いいかな、なんて思ってさ」
小梅「だから、黒森峰の副隊長として、成り行きを見守るって言うなら、私はそれを尊重するよ」
エリカ「赤星……」
小梅「そんなわけで、逸見さんは助けに行くのかどうかの結果は、『いかない』でしたー!」
マウス車長「よーっし、儲け!」
直下「ぐあーっ! やっぱり手堅く賭けておくんだったー!」
小梅「なかなか綺麗に割れたよねえ」
小梅「それじゃあ配当するから並んで並んでー」
エリカ「赤星!!!!!!!!!!!!!!」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 01:05:45.32 ID:+nAf7Zmdo
小梅「あはは、冗談冗談」
エリカ「そういうセリフは配当する手を止めてから吐きなさい」
小梅「まあ賭けてたのは本当だけど……」
小梅「でも、さっきの言葉も本心だよ」
小梅「ブロッケンJrちゃんなんて、ギャンブルに参加してもいなかったし」
エリカ「ったく……」
エリカ「鬼の副隊長と呼ばれたときを思い出させてやろうかしら」
小梅「みんなちゃんと覚えてるよ」
小梅「練習中は相変わらず意識が高すぎて怖いだけで」
小梅「怖い理由も、根っこにある信念も、皆分かってきたからグッと距離が近づいたんだよ」
エリカ「距離の詰め方間違ってンのよアンタは」
エリカ「……ま、それでも少しくらいは、感謝しておいてやってもいいけど」
小梅「逸見さん……」 ジーン
エリカ「色々面倒かけてる自覚くらいあるわよ」
小梅「そうだよね、エリカさんの射出したハンバーグとか濡らした布団とか全部片付けてあげてたもんね」
エリカ「感謝じゃなくて謝罪しなきゃいけない気持ちにさせるのやめろ」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 01:17:56.02 ID:+nAf7Zmdo
小梅「皆も大分打ち解けて逸見さんを分かってきたし……」
小梅「逸見の森はもう封鎖してもいいかもね」
エリカ「何ちょっぴり寂しいけどみたいなツラしてンのよさっさと潰せそんなクソみたいな森」
小梅「うん、じゃあ今夜焼き払うね」
エリカ「結構急ね……いや早いに越したことはないけど」
小梅「ゲリラ的に森が燃え広がったってことにしようかな」
小梅「最後は皆でお祭り騒ぎ」
エリカ「森焼けてるのになんでキャンプファイアー気分」
小梅「皆で炎に焼かれ悶え苦しむ逸見さんのロールプレイをして遊ぶの」
エリカ「キャンプファイアーの方がマシなの出してきやがったわね……」
小梅「最後だし、思い思いの焼死を演出し、最期を彩る盛大な花火にしなくちゃ」
エリカ「狂気」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 01:49:54.46 ID:+nAf7Zmdo
エリカ「……」
エリカ(ほんと、冷静になればなるほどどうかしてるノリね)
エリカ(黒森峰のお硬いイメージとも離れているし)
エリカ「……」
エリカ(でも……)
エリカ(不思議だし腹立たしいけど、慣れてきちゃった自分もいる……)
エリカ(……案外……変わるものね……)
エリカ「……」
エリカ(あの子は、大洗にいって、驚くほど上手くいった……)
エリカ(最初は渋々駆り出されてたみたいだけど、最終的にはとんでもなく馴染んでいたし、大洗が居場所になってた……)
エリカ(きっと……)
エリカ(このまま廃校になったとしても、あの子なら大丈夫)
エリカ(入れ替わった時に見た表情は、もう諦めて受け入れていたように見えるし)
エリカ(あの子の愛したクマのぬいぐるみみたいに、きっと今回も、しれっと立ち直るわよ……)
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 02:36:02.62 ID:+nAf7Zmdo
☆ ★ ☆ ★ ☆
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 02:42:07.10 ID:+nAf7Zmdo
エリカ「ん……」
エリカ「この景色……この感覚……」
ツチヤ「今日は頼んだぞー」 カチャカチャ
エリカ「やっぱり戦車……」
エリカ「んあっ、ば、どこ触って……!」
エリカ「あひいっ!」
エリカ(こンのアホボケカスぅ……!)
エリカ(整備ならもっと違うタイミングあるでしょーが!)
エリカ(なんでこんな朝方にやってンのよ……!)
エリカ「……って……」
エリカ「今日は頼んだって……試合でもするつもりかしら」
エリカ「まあ最近聖グロとやって、知波単のポンコツどもに足引っ張られて無様晒したっていうし、やっててもおかしくはないわね……」
エリカ「っていうか、私たちに負ける前に聖グロなんかに負けるんじゃないわよっ……んあっ、そこはダメだってっ……!」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 02:48:53.89 ID:+nAf7Zmdo
エリカ「あー……朝からとんでもない目にあったわ……」
エリカ「……それにしても、気合の入った整備だったわね……」
エリカ「廃校になるけど、最後の思い出に目一杯みたいなやつかしら」
エリカ「……ってわりには広いわね……」
エリカ「っていうか、戦車道連盟でちらほら見かける顔ぶれが……」
エリカ「うわっ、っていうかあの観覧席にいるの、もしかして……!?」
エリカ「いやでもそんな……」
エリカ「一応、サンダースの連中の話じゃあ、戦車はなくしたことにして隠したってことだったわよね……」
エリカ「いくら練習試合でも、こんな大掛かりにやったら問題になるんじゃあ……」
エリカ「……」
エリカ「!?」
エリカ「相手……もしかして最近話題の大学選抜!?」
エリカ「ちょ、何なのよ、この試合は……」
蝶野「整列!」
みほ「……」 ゴクリ
優花里「西住殿……」
みほ「……いってきます」
エリカ「あの表情……ただの練習試合のソレじゃない、わよね……」 ゴクリ
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 02:56:37.54 ID:+nAf7Zmdo
沙織「うう……大丈夫かな、みぽりん……」
麻子「……なるようにしかならんだろう」
沙織「そうだけどさあ」
華「私たちに出来ることと言えば、少しでもみほさんの負担を軽減してさしあげることだけです」
エリカ「何やらいつになく真面目なのが怖いわね……」
沙織「そうだよね……」
沙織「みぽりんのことだもん、今だってどうしようか考えて悩んで苦しんですはずだもんね」
沙織「少しでも私達が負担を減らしてあげなくちゃ!」
優花里「そうですよ!」
優花里「そりゃあ、確かに8対30の殲滅戦なんて無謀極まりないですけど……」
優花里「でも、西住殿なら――」
優花里「いえ、我々なら、きっと何とか出来ます!」
エリカ「い、今しれっと無謀と阿呆を両方極めたみたいなこと言わなかった???」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 03:02:03.32 ID:+nAf7Zmdo
華「そうですね。一撃一撃集中して、少しでも沢山減らさなくては」
沙織「こっちが一輌でも残っていればいいんだし、麻子、頑張って避けてよね!」
麻子「めんどい……」
エリカ「ほ、本気でやるつもりなわけ?」
エリカ「8対30を????」
エリカ「1輌につき4輌くらい倒さないと勝てない計算なの分かってる?????」
麻子「……が、今回ばかりはそうも言ってられないか」
優花里「そうですよ!」
優花里「ここで勝てば、廃校を撤回させられるんですよ!」
沙織「うん!」
沙織「皆で大洗に戻るためにも、絶対勝たなくちゃ!」
エリカ「はあ!?」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 03:15:46.40 ID:+nAf7Zmdo
エリカ「何? つまりこいつら……廃校を賭けて試合するわけ!?」
エリカ「社会人チームにも勝ったとかで、今一番ホットな大学選抜チームと!?」
エリカ「それも8対30の殲滅戦を!?」
エリカ「ばっっっっっっっっかじゃないの!?!?!」
エリカ「……」
エリカ「いや……」
エリカ「でも、その条件を取り付けるのも苦労した、ってところかしら……」
エリカ「堂々と黒森峰全体では手助けできなくても、戦車道連盟の“後ろ”にいる一個人としてなら別だし……」
エリカ「多分、持ってるカードを全部切って、この状況……」
エリカ「……」
エリカ「普通なら逃げてるし、無謀の極みで逃げ出したっていいくらいなのに……」
エリカ「アンタは震えながらも……それでも諦めず、整列するのね…・・」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/26(木) 03:18:10.62 ID:+nAf7Zmdo
もうこんな時間なので投下を終了します
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/26(木) 04:21:28.08 ID:sS7jN1fZ0
乙
始まっちゃうけどエリカどうするんだこれ?まさか・・・
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/26(木) 09:07:13.40 ID:fqRn2bkY0
エリカ不在か(´・ω・`)
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/26(木) 11:25:59.67 ID:zvIHSDHdO
エリカは戦車として参戦してるだろ!!
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/27(金) 00:49:18.41 ID:RQCt9eLQO
生身のエリカ(中身は4号)に落とされるバミューダか……
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/27(金) 12:32:32.96 ID:qNPPEeDhO
ラストのアレをエリカが受けたらどうなってしまうんや…
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/27(金) 19:36:24.66 ID:nieR52vsO
アナルが壊れて小さい方だけじゃなく大きい方まで……
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 22:09:55.60 ID:pMImErVXo
たまには早い時間に投下を始めます
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 22:17:25.84 ID:pMImErVXo
エリカ「……逃げない、か」
エリカ「黒森峰からは、逃げ出したのにね」
エリカ「……」
エリカ(……分かってる)
エリカ(そうさせたのは、私だ)
エリカ(そして――今回逃げ出さなかったのは、どれだけキツくても守りたいと思わせる存在があったから……)
優花里「とにかく、まずは有利な位置を陣取ることです!」
沙織「確かに、黒森峰との試合でも、地形を活かしたり色々やったもんね!」
麻子「……どこへだろうと行ってやる」
沙織「頼りにしてるよー、麻子」
華「私も、どこでだろうと絶対に命中させてみせます」
沙織「ち、近い近い!」
優花里「頑張りましょうね、みなさん!!」
エリカ(私は、あんこうチームにはなれなかった――)
エリカ(それだけのことよ……)
エリカ(そんなことは、分かっている。何度でも思い知ってる)
エリカ(なのに――)
エリカ(変ね……この胸の疼きだけは、いつまで経っても慣れそうにないわ……)
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 22:23:18.86 ID:pMImErVXo
エリカ「……」
エリカ「しっかしまあ……」
エリカ「島田流も大人げないわね……」
エリカ「たかが8輌相手にこのオールスターとは」
エリカ「……あの子の常識にとらわれない発想」
エリカ「それが本家忍者戦法の虎の尾でも踏んだのかしら」
キュラキュラキュラキュラキュラ
エリカ「……っと、ついたわね」
エリカ「久々だと、やっぱり変な感じね、自分の意識とは別に体を動かされるって……」
エリカ「まあ、さんざん変な所いじられた影響か、体はすっごく軽いけども」
エリカ「……」
エリカ「あの車輌の砲撃お尻に食らって、私明日から生きて行けンのかしら……」 ゾゾゾ
エリカ「ま、まあ、今そんなことを考えても仕方ないわよね」
エリカ「来ちゃったモンはしょうがないわ」
エリカ「折角だから、特等席でしっかり観戦させてもらうわよ」
エリカ「……島田流の戦いと、大洗の戦いを」
エリカ(……今の私じゃあ、隊長にとっての“あんこうチーム”にすらなれていない……)
エリカ(ムカつくけど、アンタらの戦いを見て、参考に出来る所はさせてもらうわ……!)
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 23:14:22.79 ID:pMImErVXo
エリカ「……とは言ったものの……」
エリカ「高所を取って有利を得る、なんていう極々普通の戦法ねえ……」
エリカ「ポルシェティーガーを引っ張り上げる奇策も相手にはバレてそうだけど、特に茶々入れもなし、と」
エリカ「……」
エリカ「何でもかんでも奇策ってわけじゃないのは、強みなのかもしれないわね……」
エリカ「腐ってもあの黒森峰に1年居て、西住流を長年仕込まれてたわけじゃない、か」
エリカ「……」
エリカ(何か奇策を仕掛けるとしたら、完全に包囲された後で、ってところかしら)
エリカ(でも相手も、何をしてくるか分からない島田流……)
エリカ「どうするつもりかしら……」
ツチヤ「よーしよしよし、いい子だー」
ホシノ「今の内にしっかり整備し直さないと」
エリカ「あの無能戦車はあの程度の高所でまーた煙を吐いてるし……」
エリカ「ノンキに表出て整備までしてるし、ホントなんでこんな連中に負けたのかしら……」
エリカ「……ん?」
エリカ「何かしら、あれ……」
エリカ「流れ星……?」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 23:21:35.60 ID:pMImErVXo
油断していたわけじゃない。
だが――皆、眼下の敵しか見ていなかった。
最初に気付いたのは、傍観者に過ぎないが故に、あれこれ見合わせていた私。
それから少し遅れて、上半身を出したあの子。
私の叫びは届かない。
誰にも聞こえない。
あの子の声も、間に合わない。
流れ星は真っ直ぐにこちらに向かい、そして――
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/28(土) 23:22:08.81 ID:pMImErVXo
絶望と爆炎を乗せて、203高知へと着弾した。
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 00:23:28.63 ID:v++O7ijAo
一体どこで間違えたのか。
一体何が悪かったのか。
一言で言えれば、何か一つに押し付けられたら、きっともっと楽なのだろう。
今まで使用が禁止されていたものを、ロクに練習もせず軽率に持ち出したことも悪かった。
今まで使われなかったのも納得な高すぎる威力もいけなかった。
一応危険性は認識し、発射前にこちらの様子を双眼鏡ででも見て、それから着弾点を決めたのだろう。
それでも発射から着弾までラグはあるだろうし、双眼鏡で見ている人間と発射した人間もしくはその護衛が別人なら、更にラグは大きくなる。
それも、きっとこの悲劇の一因だ。
だが、まあ――一番の原因は、自動車部の連中の存在だろう。
試合中、高所を陣取った状況で、突然車外に出て整備を始める。
まともに動く戦車を使っている大学選抜チームには、出てこない発想だ。
移動中何か起こって足を止めたわけでもないのに、整備が必要となり外に出て来るなど、想定していなかったのだろう。
だから、工具を取ろうとしていてか、キューポラから身を乗り出してなかったポルシェティーガーが狙われたといったところか。
他にもM3など顔を出してない戦車はあったが、真っ先に潰すならポルシェティーガーあたりだろう。
まあ、だから、一言で言うと、不運が重なりすぎた。
そんな簡単な言葉で片付けられないけど。
いや、そもそも、言葉なんて何も出なくて、ただ叫び声を上げるしかできなかったのだけど。
とにかく、私の目の前で――
ポルシェティーガーに跨った自動車部の連中が、爆炎に巻かれ、何か言葉を発することもなく肉塊へと成り果てた。
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 00:24:15.16 ID:jARwkN5eo
ええ…
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 00:31:23.77 ID:v++O7ijAo
麻子「っ!」
麻子「よせソド子!!!」
最早誰だか分からない、炎に巻かれた人間の悲鳴で我に返った。
きっと他の連中もそうだろう。
不幸にも、大洗の連中は、人が良すぎた。
区別のつかないおかっぱの奴らが戦車を飛び出し、炎に巻かれた人間を救おうとする。
他にも何人か、反射的に飛び出したヤツがいたようだった。
みほ「ダメ……」
みほ「戦車から出たら――――」
声は届かない。
空から降ってきた流れ星は、あまりにも威力が高すぎた。
爆発による土煙は、肝心要の爆心地を覆い隠す。
恐らく想定していなかったであろう地獄が展開されていることも。
あの爆発を見てなお戦車を飛び出す阿呆がいるということも。
全て全て、覆い隠してしまう。
そして――二発目。
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 00:33:05.47 ID:vTQuqJbCo
という夢を見たとかだったらつまらんぞ
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 00:41:03.30 ID:jARwkN5eo
唐突な君の名は要素
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 00:41:29.62 ID:jzgCx/GxO
ワロタ
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 00:44:06.87 ID:v++O7ijAo
悲鳴。絶叫。また悲鳴。流星。悲鳴。爆音。悲鳴。
みほ「あ、ああ……」
助けようとする者。逃げようとする者。動けない者。
様々だった。そして、例外なく、地獄であった。
優花里「に、西住殿!」
沙織「ど、どど、どうしたら……」
血と、死と、絶望の臭い。
戦車道では無縁のはずだった、肉が焼けるような臭い。
もう、どうしようもない有様になってしまっていた。
それでも。
エリカ「――――――っ!」
エリカ「また次が来るッ……!」
エリカ「次はこっちよ、早く中に入――――」
せめてあの子には。
自分に乗っている連中くらいは、生かしてやりたかった。
それでも。
優花里「西住殿――?」
みほ「……ごめんね……」
最後に見たあの子の顔は、黒森峰から消える日の前日と同じ、諦めと絶望に満ち溢れていた。
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 00:56:32.71 ID:v++O7ijAo
何を言えばいいのか分からなかった。
どうすればこの絶望から一時でも立ち直らせてあげられるのか分からなかった。
何かを言った所で、あの子の耳には届かなかったのだろうけど。
エリカ「――――――――」
轟音と共に、全身が引き千切れたかのような痛みに襲われる。
きっとこれが人間の身体なら、痛みだけで泡を吹きのたうち回っていただろう。
カーボン加工されていても、痛いものは痛いのだ。
エリカ「…………!」
でも――カーボン越しの爆破なんかよりもずっと。
胸の辺りで引き千切れ、炎を纏ったあの子の体を見せられた時の心の方が、ずっとずっと痛かった。
みほ「…………」
炎の隙間から覗く、生気のない、絶望に満ち溢れた瞳。
それが、更なる一発による痛みで意識を失う直前に見た、最後の光景となった。
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 00:56:43.37 ID:3bhB0X3RO
始めて生で見たけどやっぱ面白いな
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 00:57:53.00 ID:v++O7ijAo
☆ ★ ☆ ★ ☆
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 01:02:55.11 ID:v++O7ijAo
エリカ「あああああああああああああああああああああああああっ!!!」 ガバッ
小梅「うわあっ!」 ビクッ
エリカ「……はあ……はあ……」
小梅「……大丈夫?」
小梅「うなされてたけど……」
飛び起きると、見慣れた自分の部屋だった。
……特殊カーボンに守られ、いつものように、私一人だけ生還したのだ。
W号戦車が守ってほしかったであろう大洗女子学園どころか、あの子達の誰ひとりとして守れずに、一人だけ。
エリカ「……っ!」
最後の光景がフラッシュバックする。
せり上がってくる胃液に絶えられず、弾かれたようにベッドを飛び出した。
足に力が入らずに、ガクリとその場に崩れ落ちる。
激痛の記憶がまだ残っている。
体にはダメージがないはずなのに、意識としてダメージを認識してしまっているため、肉体的にもダメージが現れてきたということか。
エリカ「うっ……うぇぇぇ……」
せり上がってきたものを、堪えきれずカーペットへと撒き散らした。
入れ替わり中に散々吐いていたのか、出てきたのは透明な液体が少々だけだった。
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 01:10:43.72 ID:v++O7ijAo
小梅「だ、大丈夫……?」
大丈夫なはずがない。
それは赤星にも分かっているのだろう。
普段ならあんな花京院みたいな飛び起き方をしてたら小ボケでも挟んでくるところだ。
それをしないということは、それ相応に大丈夫そうじゃない顔をしているのだろう。
エリカ「……」
全身が痛い。
記憶も鮮明。
胃袋の中身も恐らく空っぽ。
激痛のあまり緩んだのか、恐怖のせいか、パジャマとぱんつもぐっしょりだ。
何もないのに、そこまでの醜態を晒すはずがない。
エリカ「……テレビ……」
――間違いなく、あの惨撃は夢じゃない。夢じゃないのだ。
エリカ「テレビを……つけて……」
ならば――確認しなくては。
あの子は死んでしまった。
それでも、W号の中には、まだ四人もいたはずだ。
私は――W号は、せめてその四人だけでも守れたのだろうか。
確認しなくては。逃げずに、確認、しなくては。
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 01:31:27.97 ID:v++O7ijAo
テレビ『パワフルニュースの時間です』 ティロリーン
テレビ『本日の試合は10対1で横浜ベイスターズが33−4へと一歩近づく結果となりました』
テレビ『注目選手となっていたパワプロ選手は5打数4安打2HRと絶好調も、打率を下げています』
エリカ「ちゃ、チャンネル……」 ピッ
テレビ『今日のわんこ♪』
テレビ『今日のわんこは、秋田県の銀ちゃん』
テレビ『凶暴な人食い熊・赤カブトに立ち向かうほど、とってもわんぱく』
エリカ「……」 ピッ
テレビ『次のニュースです』
テレビ『不動高校で起きた殺人事件に関して、校長は』
エリカ「……」 ピッ
テレビ『本日の天気予報です』
テレビ『福岡県は晴れ、佐賀県と長崎県では曇り、熊本県は曇りのち雨、思い出はいつの日も雨となることでしょう』
エリカ「……」 ピッ
小梅「……」 オロオロ
エリカ(……テレビではやってない……)
エリカ(ネットニュースなら……) スッスッ
エリカ「……」
エリカ「……」
小梅「あ、あの……」
エリカ「……どういうことなの……」
小梅「……え?」
エリカ(あの事件が……記事になってない……?)
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 01:38:01.43 ID:v++O7ijAo
エリカ(もみ消し……?)
エリカ(いや、それが可能な規模なんかじゃない)
エリカ(少なくとも、試合を観戦していて、戦車道のお偉方とも密接な関係にあり、被害者の保護者である家元には伝わっているはず……)
エリカ(家元正式襲名前から影響力を持っていたのに、今では名実ともに西住流の家元よ……)
エリカ(もみ消すとしても、家元には絶対に伝わる……)
ガチャッ
小梅「あ、た、隊長!」
まほ「……ん。なんだ、起きたのか、エリカ」
エリカ「隊、長……」
エリカ(家元に伝わった以上、隊長にも何らかの形でアクションは絶対にあったはず……)
エリカ(そして、隊長は、そんな大事なことを、一人隠し通す人間じゃあない……)
エリカ(隠した方がいい、と判断するには、規模が大きすぎるもの……)
エリカ(絶対に……切り出してくるはず……)
まほ「……ひとまず、着替えるか?」
まほ「腹も減っただろう、朝食を持ってきた」
まほ「……相当うなされていたらしいからな、心配したんだぞ」
エリカ「……っ」
エリカ(この反応……)
エリカ(まるで、あの惨撃を知らないかのような……)
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 01:45:23.15 ID:v++O7ijAo
エリカ「……」
エリカ(あれは、夢……?)
エリカ(いや、そんなわけがない……)
エリカ(痛みはしっかり刻まれてる……)
エリカ(それに、入れ替わりの時特有の状態だったのも間違いなさそう……)
エリカ(じゃあ、これは一体……)
エリカ(まず食事をさせて落ち着かせたら話を切り出すつもりかしら……)
エリカ(さすがに、秘密にされることは、ないと思う……)
エリカ(今はきっと嫌われてるし、こちらだって敵対しちゃっているけど……)
エリカ(それでも、去年は同じ釜の飯を食った、同じ副隊長なのだもの……)
エリカ(通夜は無理でも、葬式に顔を出させてくれるくらいは……)
エリカ「……」
エリカ「……」
エリカ「葬、式……?」 ハッ
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 01:49:36.37 ID:/BEFeI2DO
Deファンのワイ、憤怒と共に糞でかため息
今日こそはネタにされんよう勝ってほしい…
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 02:03:25.17 ID:v++O7ijAo
そこに思考が至ったのは、全くの偶然だった。
ひょっとすると、W号戦車に宿る魂のようなものが、そこに導いたのかもしれない。
エリカ「……隊長」
エリカ「ひとつ、お伺いしてもよろしいでしょうか……」
まほ「?」
まほ「なんだ?」
エリカ「……以前、私が長期的にこの病気で倒れた際……」
エリカ「お葬式をする所にまで、発展してしまってましたよね……」
まほ「あ、ああ……」
まほ「……お、怒ってるのか?」
エリカ「いえ……」
エリカ「ただ……」
エリカ「死んだと思った人間が生きていたので葬式中止、なんてことしたら、大事になったんじゃないかと思いまして……」
まほ「……まあ、そうだな……」
まほ「死因が死因だから黒森峰の関係者しか呼んでなかったから、外には漏れていないが……」
まほ「それでも各方面に訂正の連絡を入れたりで、しばらく大変だったらしい」
エリカ「……そうですよね」
エリカ「しかも学内で死んだと思われてたわけですし、家元としては、黒森峰のメンツに関わる問題なのもあって、色々大変だったと思うんですよね……」
エリカ「……」
エリカ「家元って……」
エリカ「その騒動があったのに、翌日お家に帰れたのでしょうか?」
エリカ「死亡届の撤回やらもあったでしょうし、私の親にも多分改めて事情説明なんかに行ったと思うんですけど……」
まほ「……そうだな」
まほ「まず各方面に頭を下げて、エリカのご実家にも頭を下げに行って――」
エリカ「……」
エリカ「かなりバタついてたみたいですけど……」
エリカ「その状況で、その――」
エリカ「廃校で転校手続きをしなくちゃいけなくなったあの子が帰省した時、ちゃんと書類にサインできたんでしょうか……?」
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 02:06:00.42 ID:v++O7ijAo
まほ「…・…?」
まほ「何を言っているんだ?」
まほ「……まあ、たしかに、色々とあって二人は顔を合わせてはいないが……」
まほ「みほが帰ってきたのは、 あ の 葬 式 の 翌 日 じ ゃ な い ぞ ? 」
エリカ「――――――――!!」
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 02:34:44.70 ID:v++O7ijAo
一度至れば、後はすぐだった。
それまで何となくの引っ掛かりにすぎなかったものが、次々と繋がっていく。
一つ一つが、やたら鮮明にフラッシュバックする。
エリカ「……隊長」
エリカ「以前、大会の反対のブロックの視察、みたいなことを言って私と飛行船に乗ったことがありましたよね……」
エリカ「あの後入院したりでバタついて……結局聞き損ねましたけど……」
エリカ「あれって、反対のブロックの、どこの偵察に行っていたんですか……?」
まほ「……ああ、言っていなかったか?」
まほ「大洗と、サンダースの試合だ」
まほ「みほがどんな戦いをするのか見ておきたかったし、決勝まで来る本命であるサンダースのことも調べられる試合だったからな」
エリカ「……」
エリカ(くそっ、もっと早く聞いていれば、もっと早くに気付けたのに……!)
エリカ(継続との二回戦の時に、大洗のプラウダ戦と入れ替わったときも、おかしいとは思っていたのに……!)
エリカ(二回戦と二回戦ならともかく、二回戦と準決勝が同じ日にあるってスケジュールはさすがにガバガバすぎると思ったのよ!)
エリカ(今思えば、私の視点じゃとっくに決勝は大洗って決まってたのに、赤星あたりがそれを知らないかのような口ぶりのことがあったり……)
エリカ(細かな部分がおかしかった……)
エリカ(やっぱりアレは夢じゃない……)
エリカ(入れ替わって、実際に起きていたこと……)
エリカ(でもそれは、今日起こっていることじゃあないッ!)
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 02:36:19.40 ID:v++O7ijAo
エリカ(私は、“未来の時間のW号戦車”と入れ替わっていたんだッ……!)
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/29(日) 02:37:30.97 ID:v++O7ijAo
ようやく君の名は。要素が始まったので、きりもいいので寝ます
君の名は。ネタバレ回避で人が死ぬシーンがあることを伏せてたけど、描写を削りに削ってマイルドにしたから勘弁してください
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 02:40:28.79 ID:Jy96IDgzO
乙
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 08:33:56.97 ID:8vzxwIhD0
もっと丁寧に描写してよかったんやで
エリカみほ死んだのに割りと冷静やな(´・ω・`)
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/10/29(日) 08:51:53.69 ID:8QwssI6C0
203高知…
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 10:50:43.87 ID:gEQaJXlSO
>>88
高知に203号線なんてあったっけ(目逸らし)
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 12:00:05.41 ID:1+pdhXnYO
おつ
普通に負けて廃校決定とかいうレベルじゃなかった…
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 12:08:33.35 ID:vTQuqJbCo
でも未来変えちゃうんでしょ?
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 15:45:28.38 ID:uaUmpGPJ0
な阪関無
なDe関無
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 18:34:54.19 ID:JD1dJJfZ0
盛り上がってまいりました
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/29(日) 18:48:24.60 ID:0mdKSOnGO
ようやく本編か
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/11(土) 05:22:54.58 ID:T3mqf/Oho
「何だ、なんて言い方をされては、さすがの私も少々傷ついてしまいます」
そう言うニルギリの表情は、どこか楽しげに見える。
それでも、遠巻きにきゃあきゃあと騒ぐファンの少女達とは違い、どこか凛とした雰囲気を纏っていた。
オレンジペコからは大きく遅れたとはいえ、さすがは一年坊にして紅茶の名前を賜る未来の幹部候補と言った所か。
お上品極まりないお嬢様にとって細やかな楽しみが幹部の追っかけなのか、試合を応援し、その時だけは目一杯はしゃぐ生徒は多い。
ちやほやされるのは悪い気はしないし、紅茶の名を賜る前から応援してくれた生徒には感謝もしている。
本当にルクリリを慕っている生徒は勿論、単にルクリリの経歴を見て映画でも眺める気分で応援しているような生徒も、変わらず感謝の対象であった。
そんな存在に苛立ったこともなくはないが、今では素直に感謝出来ている。
そんな追っかけ連中に、ニルギリも含まれていたのだが――しかしながら、彼女は異質な存在であった。
紅茶の名を関する少女を追っかける者の大半は、一般生徒か或いは戦車道を半ば諦めている二軍以下の連中だった。
自分には出来ないことをする姿に憧れているのか、自分自身では見ることすら叶わぬ夢を託しているのかは分からない。
だがとにかく、追っかけから幹部になれる者なんて、早々存在していない。
居るとすれば、それこそオレンジペコのように、憧れの背中を冷静に着実に追いかけられる者くらいだ。
ただ騒いでいるだけの少女にソレは出来ない。
ニルギリも、オレンジペコと同じタイプなのだろう。
その憧れの対象が、よりにもよってルクリリであるせいで、かなり異質な存在となってしまってはいるが。
「あー悪い悪い。でもほら、他の娘だったら、言葉遣いとか態度とか気をつけなきゃいけないしさ」
言葉遣いが未だに完璧ではないような平民丸出しの身ながら、紅茶の名前を冠した。
再三言っているように、ファンの大半はそこに惚れ込んでくれたのだろう。
少なくともルクリリはそう思っている。
しかしながら、大股を開いて空を仰ぐ姿を見せられるかと言うのは別問題だ。
物には限度というものがあるし、コレがファンの許容範囲を越えているであろうことくらい自覚している。
それに、「じゃあやるなよ」と言われると「この姿勢が楽だし、醜態晒した直後に姿勢まで気を使えるかよ」と思ってしまうルクリリだって、出来ることなら優雅にやりたいとは思ってるのだ。
今でもダージリンの姿には憧れるし、聖グロリアーナらしからぬ態度も改めたいとも考えている。
こういう姿は、隠すべきものであり、決して自ら見せていくものではないのだ。
「今ちょっと気分的に取り繕うのしんどくって」
それでもニルギリの前でだけならいいかと思えるようになったのは、ニルギリの前で醜態を晒し慣れたからか。
同じ小隊で無様な姿を見られたことだってあるし、偉そうに先輩風を吹かせていた相手が瞬く間に追いついてきた焦りでおかしな態度を取ってしまったこともある。
言葉遣いだって、先輩相手なら敬語を使わざるを得ないのでどうとでもなるが、後輩相手だとどうしても砕けてしまう。
にも関わらず同じ紅茶の名前を関する者であるせいでやりとりする機会が多く、淑やかさに関してもニルギリの前ではボロを出しまくっていた。
それどころかフォローされてしまうことが度々あり、自分のプライドを保つためにも、何時しか「ニルギリなら、まあいいか」になっていたのだ。
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/11(土) 05:23:30.06 ID:T3mqf/Oho
誤爆しました申し訳ない
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/22(水) 09:14:13.50 ID:mxugDhwe0
>>1
の生存報告がほしいな
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/23(木) 18:40:17.86 ID:deaM9/rAo
すみません生きてます
劇場版のテレビ放送の合間にでもちょっとだけ進めます(概ねCMでしか目を切れない名作なので投下ペースはお察しでお願いします)
123 :
CM少なすぎない?
[saga]:2017/11/23(木) 19:52:31.19 ID:deaM9/rAo
エリカ「……」
エリカ(未来の自分と入れ替わっていたとして……)
エリカ(猶予は一体何日ある!?)
エリカ(というか、私に何が出来る……?)
エリカ(W号戦車が私にコレをなんとかさせようとしたのだとして……)
エリカ(私に何が……)
エリカ「……」
エリカ(試合開始前に廃校を決定させる?)
エリカ(いや無理だ)
エリカ(あの子は諦めつつあったけど、あのクソむかつく会長がおそらく諦めるわけない)
エリカ(じゃあ、どうすれば……)
124 :
CMなかった。申し訳ない。
[saga]:2017/11/23(木) 20:28:36.30 ID:deaM9/rAo
まほ「……エリカ?」
エリカ「あ、ええ、と……」
小梅「……」
小梅「逸見さん、お疲れでしょうし、隊長はお部屋にでも戻っていてください」
まほ「む、そうか?」
小梅「逸見さん、隊長が居たら見栄張って気も張るでしょうから……」
まほ「……そうだな」
まほ「確かに、同輩しかいない環境の方が落ち着くということもあるかもしれないな」
エリカ「え、あ、いや、その……」
まほ「何かあったら連絡をしてくれたら駆けつけるからな」
エリカ「……ありがとうございます」
まほ「それじゃあな」 ガチャ
バタン
エリカ「……」
エリカ(いくら隊長といえど……この状況をどうにかできるはずがない……)
エリカ(そもそも大洗廃校となっても動かずに見守ってる隊長を動かせるはずが……)
小梅「……」
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/23(木) 20:44:41.86 ID:deaM9/rAo
小梅「……何か手伝おうか?」
エリカ「え?」
小梅「またいつもの顰めっ面してる」
エリカ「……それは……」
小梅「何でも自分で解決しようとするのはすごいことだけどさ」
小梅「たまにはチームメイトを頼るのも大事だよ?」
小梅「……隊長だって、チームメイトをちゃんと頼ってる」
小梅「仲間に仕事を任せ、きちんとこなすと信じたうえで、隊長は自分にしか出来ないことをやってるんだなーって、最近思うんだ」
小梅「……私には、隊長みたいに、他の人には出来ないことをする能力なんてないけど」
小梅「頼りにされた分に応えるくらいは、するつもりだよ」
エリカ「……」
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/11/23(木) 20:45:28.17 ID:deaM9/rAo
予想外に劇場版がノーカットで全然透過できてないんですが、ちょっと用事があるので一旦投下を終了します申し訳ない
今月はばたついてるので、次に投下できても日曜日かな、と思います
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/23(木) 20:46:37.09 ID:WpYSyp8jo
乙
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/23(木) 20:49:38.96 ID:lfiexg5io
おつー
待ってるぜ
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 10:05:07.10 ID:2Akfzvuq0
果たして風呂シーンカットをノーカットと言えるのか
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/12(火) 21:54:44.12 ID:FXss+KB8O
(ボン)ノーカット
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:08:24.98 ID:EC1dGWv9o
最終章めちゃ面白かったので、今めちゃ多忙ですが気合で進めます
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:24:55.24 ID:EC1dGWv9o
エリカ「……」
エリカ(わかってる……)
エリカ(赤星の気持ちは有難いけど、でも、受けるわけにはいかない……)
エリカ(こんなこと、言っても分かってもらえるわけがないし……)
エリカ(黒森峰の影響の大きさを考えると、軽率な行動を取るわけには……)
小梅「……」
小梅「黒森峰の看板とか、そういうこと、気にしてる?」
エリカ「……」
エリカ「そりゃあ……そうよ」
エリカ「私達はあの黒森峰の一員なのよ」
エリカ「その名前に泥を塗るような行動を、軽率に取るわけには……」
エリカ(そう……泥を塗ると、私だけでなく、隊長を始めかなりの人に迷惑をかけちゃう……)
エリカ(だから……だから……)
小梅「……」
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 04:50:06.31 ID:EC1dGWv9o
小梅「私はとっくに泥を塗りたくっちゃったよ」
エリカ「うっ」
小梅「……私だって、みほさんみたいに転校したかった時期がある」
小梅「今では直下さんとかと普通にお喋り出来るようにはなったけど、それでも当時はとてもつらかったよ」
エリカ「……」
小梅「……今だって、やっぱりどこか居心地が悪いときもある」
小梅「どうしても、泥を塗ったって事実は消えないし」
小梅「やっぱりまだ恨みの目線や蔑みの視線を感じる日もある」
小梅「……他の皆や逸見さんも、後援会の人やファン、OGやその他の人からそういう視線を感じてたのかもね」
小梅「私は、学園艦の中ですら視線に晒されて、外になんて出られなかったからよくわからないけど」
エリカ「……」
小梅「そういうのがあるし、もう黒森峰の看板に傷をつけられないっていうなら、気持ちは分かるし無理強いはしないよ」
小梅「でも――」
小梅「黒森峰とは無関係で、私個人として、相談に乗ることは出来る」
小梅「……一度は逃げ出そうとしてたし、みほさん見てると、新しい地でやり直すのもありかなあ、なんて思うし」
小梅「だから、最悪黒森峰の看板を外して何か助けてほしいなら、言ってくれたら、私はいつでも力を貸せるよ」
小梅「……逸見さんは嫌味だし、みほさんみたいに優しくないし、怖いし、気難しいし……」
エリカ「……うっさいわね」
小梅「隊長に媚びてる感じがあるし、意識高すぎて面倒臭いし、他罰的だし、見下してくるし、気分がすぐ顔に出るし」
エリカ「待って長くない?」
小梅「上から目線の指示が多いし、そのくせ1を聞いて10を知るよう求めてきて10を教えず1しか指示を飛ばさないし、生理のとき超不機嫌そうだし」
エリカ「何かの前フリにしても長すぎない? ねえ?」
小梅「ハンバーグ吐くし、アンモニア臭いし、役立たずと罵られて最低と人に言われて要領良く演技できず愛想笑いも作れないし」
エリカ「赤星!!!!!!!!!!!」
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 05:17:39.76 ID:EC1dGWv9o
小梅「……それでも、誰より真面目なのを知ってるよ」
小梅「黒森峰と西住流と、隊長のことが大好きなことも」
小梅「……その“大好き”のためだったら、どんな努力も出来ちゃうことも」
小梅「周りを小馬鹿に出来るくらいの努力を重ねてきたことも」
小梅「だから、逸見さんが本当に困ってたら、力になりたいなって、思うんだ」
エリカ「赤星……」
エリカ(私だって……知ってるわよ)
エリカ(逃げ出したくなるであろう環境でも、アンタはあの子と違って逃げ出さなかったことを)
エリカ(おどおど辛そうにしながらも逃げず、今までしがみつき、レギュラーに返り咲いたことを)
エリカ(……アンタのそういうところは、評価してンのよ……)
エリカ(……)
エリカ(とっくに看板に泥を塗った自分だったら大丈夫? 最悪転校すればいい?)
エリカ(そんなわけないじゃない……)
エリカ(そんな気持ちの人間が、ここに戻ってこれるほど、黒森峰は甘くないわよ……)
エリカ(あんたにだって、迷惑なんか……)
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 05:45:50.05 ID:EC1dGWv9o
小梅「……それにさ」
小梅「私は、逸見さんの友達だから」
小梅「……逸見さんは、どう思ってくれてるのかわからないけどさ」
小梅「少なくとも私は友達だと思ってるし、だからこそ、困ってるなら言ってほしいんだよ」
小梅「副隊長から平隊員への命令とかじゃなくて、友達として言ってほしいの」
小梅「……無理だと思ったり迷惑だと思ったら、友達としてはっきり言えるし」
エリカ「……」
エリカ(馬鹿ね……)
エリカ(どうせ……そんなこと言っても、断ったりしないんでしょ……)
エリカ(ほんと、馬鹿だわ……あの子に当てられて……お人好しになりすぎなのよ……)
エリカ「……」
エリカ「……」 ギュウッ
エリカ「……赤星……」
小梅「……うん」
エリカ「……」
エリカ「……ごめん」
小梅「……」
エリカ「……」
エリカ「…………助けて……」
小梅「……うん」
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/21(木) 05:48:20.45 ID:EC1dGWv9o
気付けばこんな時間ですし、一旦中断で
また夜にでもやります
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/21(木) 21:30:59.21 ID:vzkLuo+q0
乙です
更新あって良かった
いつも楽しみにしてる
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 01:29:14.80 ID:dV83WEFGo
有難いことです。投下します。
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 01:32:46.30 ID:dV83WEFGo
小梅「……それで、一体どうしたの?」
小梅「って聞いてペラペラ喋れるなら苦労してないか」
エリカ「……そうね」
小梅「じゃあ、どうしたらいい?」
小梅「何をしてほしいの?」
エリカ「……」
エリカ(未来のW号と入れ替わってるなんて話をしても、ぽかんとされるだけよね……)
エリカ(……)
エリカ「……大洗を、救いたい」
小梅「ふえ?」
エリカ「あ、いや、その……」
エリカ(くっ、思わず頭に浮かんだ言葉をそのままっ……!)
小梅「……そっか、うん、そうだよね」
小梅「私も何とかしてあげたいなって思ってたし」
小梅「救おうよ、大洗」
小梅「廃校の危機から、私達で!」
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 02:06:20.72 ID:dV83WEFGo
エリカ「……でも具体的にどうすればいいのかさっぱりで……」
小梅「あー……」
小梅「逸見さん、盤外戦術苦手だもんねえ……」
エリカ「……西住流にそんな邪道必要ないし……」
小梅(皮肉とか威圧って点は得意っぽいのになあ……)
小梅「……よし、ここは私に任せて」 スチャッ
エリカ「スマホ……?」
小梅「私達じゃどうにもできそうにないから助けを求めようかなって」
エリカ「待て待て待て待て待て」
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 02:09:42.38 ID:dV83WEFGo
エリカ「え、あんな大口叩いてもう外部に助け求めるの?」
小梅「みほさんの件なら、時間も限られてるし……」
エリカ「そ、そりゃあ、そうだけど……」
小梅「それに、みほさんを助けたいって気持ちは他の人も同じだろうし」
エリカ「でも黒森峰の看板に――」
小梅「傷をつけたくないんでしょ?」
小梅「だから、黒森峰以外の人に助けを求めるんだよ」 スッ
エリカ「この紅茶のアイコン……」
小梅「そう、ダージリンさん達にね!」
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 02:12:14.44 ID:dV83WEFGo
エリカ「…………」
小梅「あれ?! なんか微妙な顔、っていうかむしろ嫌そう!?」
エリカ「アンタ私がその連中見て『おお!』なんて言うと思ったわけ?」
小梅「いやあ……思わないけどさ……」
エリカ「大体、あのいけ好かない連中は、私達のことを下品で野蛮だの散々のたまってるじゃない」
エリカ「手なんて貸してくれるわけ?」
エリカ「そんな善人にはとても見えないわよあの女は」
小梅「そんなことないよ」
小梅「絶対力になってくれるって」
小梅「精々頼った逸見さんに皮肉めいたジョークを言いつつ含み笑いをしたり言葉の端々で小馬鹿にするかも、くらいだよ!」
エリカ「それが嫌なのよ」
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 02:50:08.46 ID:dV83WEFGo
小梅「まあ、それなら、ほら、逸見さんの話は出さないでおくしさ」
小梅「ダージリンさん、みほさんのこと気に入ってるみたいだから、みほさんを助けたいって言うだけで手伝ってくれるだろうし」
小梅「逸見さんの名前は伏せてても問題ないんじゃないかな」
エリカ「……そこも気に入らないのよね」
エリカ「黒森峰に居た時は評価してなかったくせに大洗に移籍した途端べた褒めって何よソレ」 ブツブツ
エリカ「そのくせ理解者ヅラってのが納得いかないわ……」 ブツブツ
エリカ「大体やたらと黒森峰に突っかかってくるのはなんなのよほんと」 ブツブツ
エリカ「うちには連戦連敗のくせに、大洗に負けなしだからって自慢げなのもムカつくわ」 ブツブツ
エリカ「エキシビションごときで勝利したからってドヤりにわざわざやってくるし、ほんっと聖グロの連中は……」 ブツブツ
エリカ「W号時代に散々痛い目にあわされたし……」 ブツブツ
小梅(よく聞こえないし聞こえる部分もよく分からないけど、私怨すごいなあ……)
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 03:16:05.38 ID:dV83WEFGo
エリカ「大体、あいつら役に立つとは思えないのよね」
エリカ「そりゃ多少は諜報活動に力を入れてるかもしれないけど……」
エリカ「例えば影響力ならウチが頭抜けてるじゃない」
エリカ「太いパイプも持ってるし、OGからいろんな情報が貰える」
エリカ「それに、本気を出せば色んな所に融通をきかせられるくらいの力を持ってるわ」
エリカ「……でも聖グロはそうじゃない」
エリカ「OGはそりゃ多少顔がきくかもしれないけど、あそこはOGが強すぎる」
エリカ「派閥争いでまともに戦車の運用が難しかったり、現役生がOGに屈してるようなとこよ」
エリカ「OGに屈した連中に、OGの持つパイプを利用できるようには思えないんだけど」
小梅「うーん、そうかもしれないけど、でもやっぱり盤外戦術だとかなり頼りになると思うんだけどなあ」
エリカ「はあ?」
小梅「例えばこの状況で誰かに助けを求めるとして――」
小梅「人格には問題なくてたくさん貸しもあるし二つ返事で来てくれそうなアンツィオに、真っ先に相談できる?」
エリカ「ぐっ……それはずるいでしょアンツィオと比べたらどこだって、そりゃ……」
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 03:26:37.32 ID:dV83WEFGo
エリカ「……っていうか、アンタいつあの女と繋がったのよ」
エリカ「やけに肩持つし、連絡先知ってるし、何かあったわけ?」
小梅「ああ、うん」
小梅「えっとね、ダージリンさんも逸見の森に」
エリカ「ああ分かったわもう言わなくていい」
小梅「そう言わないでよ」
小梅「前話した通り、逸見の森はもうなくなっちゃったんだしさ」
エリカ「ああ、本当に閉鎖したのね」
小梅「最後だから色んな人に声かけてもらって、皆で焼け落ちる逸見の森から逃げ惑う逸見さんごっこをして遊んでたんだけど」
エリカ「私のメンタルが弱かったらイジメ問題になってるようなことを平然と言ってくるわね」
小梅「指折りでノリノリな悲鳴をあげて書き込んでたのがダージリンさんだったんだ」
エリカ「あのアマ」
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 04:16:10.79 ID:dV83WEFGo
小梅「そんなわけでダージリンさんの連絡先も分かるし……」
エリカ「余計なこと聞いて更に好感度下がったから頼みたかないけど……」
エリカ「でも背に腹は代えられないか……」
小梅「うわぁ心底嫌そう」
小梅「でも逸見の森って結構貢献してくれたんだよ、交流に」
小梅「これまで各校の横の繋がりあんまりなかったけど、他校の人の連絡先手に入れたり出来たし……」
エリカ「もっとまともな形で交流しなさいよ……」
小梅「逸見さんだってまともな形で他校と交流してないような」
エリカ「……アンタほんと言うようになったわね……」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 04:25:28.42 ID:dV83WEFGo
小梅「……さて、これでよしっと」
エリカ「……本当にあの格言女に任せて大丈夫なの?」
小梅「大丈夫だよ」
小梅「逸見さんが思ってるより、ずっと有能なんだよ、ダージリンさん」
小梅「それに、言ったでしょ。誰かを信じて頼るのも、必要なことだよ」
エリカ「……そうだけど……」
小梅「どうなるかわからないけど、でも」
小梅「今は私達に出来ることをするしかないと思うから」
小梅「何を言われても大丈夫なように、病み上がりの逸見さんを本調子に戻さないとね!」
小梅「自習って言って、戦車動かす許可、取ってくるね」 パタパタパタ
エリカ「……」
エリカ「ほんっと、言うようになったし、強くなったわね……」 フフ
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/12/22(金) 04:27:47.81 ID:dV83WEFGo
寝ます。試合はサクサク終わらせたいです。
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