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W号戦車「ドゥルルルルルルン……!?」 エリカ「貴女の名は」
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335 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/06/22(金) 20:06:49.23 ID:pg7opeS60
>>334
カップル厨はよそへ逝ってください
336 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/03(火) 03:51:43.06 ID:KTvtY1U90
ワールドカップの合間合間に透過します
337 :
先制したり追加点入れたり思ったよりテレビにかじりつきそうで申し訳ない
[saga]:2018/07/03(火) 04:21:37.41 ID:KTvtY1U90
カチューシャ『……それで、アンタはこれでいいの?』
エリカ「……は?」
エリカ「何よ今更」
カチューシャ『カチューシャはカチューシャのことを信じているし、カチューシャのことを信じてくれたノンナ達のことも信じてる』
カチューシャ『私は自分の判断を信じて、自分にやれることをやるわ』
カチューシャ『だからここは、自分の命に替えてでも誰かを落とすつもり』
カチューシャ『……でも別に、ムリに付き合えとは言わないわよ』
エリカ「……え?」
カチューシャ『カチューシャのことは他の誰よりノンナが理解してくれてるように』
カチューシャ『ミホーシャと、それに西住まほのことを、誰より分かってるのはアンタ』
カチューシャ『……あの二人のために、どうするのが最善なのか』
カチューシャ『それと、自分自身がどうしたいのか』
カチューシャ『それだけを考えて行動しなさい』
ナカジマ『お二人さん、お喋りしてると舌噛むよ!』
カチューシャ『二番手は私がつくわ、コバンザメは最後尾について、やりたいようにやればいいわ!』
エリカ「コバンザ……私のことかこの野郎!!!!!」
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/03(火) 04:42:56.29 ID:KTvtY1U90
ナカジマ『ツチヤ!』
ツチヤ『はいはい!』
ツチヤ『エンジン規定はあるけど、モーターはないもんねぇっ』 ポチー
エリカ「うわっ」
逸見車操縦手「ひえーっ、なにあれ!」
逸見車通信手「ね、ねえどうするの逸見さん!」
エリカ「……」
エリカ「私は……」
339 :
日本おしかった・・・
[saga]:2018/07/03(火) 04:59:23.35 ID:KTvtY1U90
エリカ(私は……どうしたかったんだろう……)
エリカ(あの娘を助けたい?)
エリカ(勿論そうだ。今回は、そのために……)
エリカ(……いや、でも、それだけじゃない……)
エリカ(成長したのはアンタだけじゃないってことも見せつけたいし、今度こそ隊長を守りたい)
エリカ(隊長と一緒に戦いたい……)
エリカ(ううん……あの娘と、隊長と、3人で……)
エリカ(……)
逸見車装填手「い、逸見さん……?」
エリカ「……ふふ、馬鹿ね」
エリカ「あれはもう……二度とは叶わないただの夢なのに」
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/03(火) 05:19:24.85 ID:KTvtY1U90
エリカ「……どうするも何も、さっきと一緒よ」
エリカ「あの二人と協力して、体当りしてでも絶対止める」
エリカ「それだけよ!」
逸見車操縦手「……いいの?」
エリカ「……いいのよ」
エリカ「あの二人の横に並び立てる実力は、今の私にはない……」
逸見車装填手「そ、そんな、ことは……」
エリカ「いいのよ」
エリカ「いいの」
エリカ「だからって、諦めたわけじゃないもの」
エリカ「……いつか絶対並び立ちたい」
エリカ「だからこそ――ただ尻尾振ってついていくだけじゃ駄目なのよ……ッ」
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/03(火) 05:20:56.26 ID:KTvtY1U90
シリアス語りくらい終わらせようと思ってたのに一気に眠気がきて何書いてるんだかわからなくなったので中断島s申し訳ない
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/03(火) 09:25:01.07 ID:PDvPVSOsO
乙
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/03(火) 12:48:24.38 ID:mp3XCKs20
更新乙
いい葛藤だ
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 00:02:22.58 ID:pjnV+iJf0
サクサクっと書けるとこまでシリアス書いていきます
終わりは見えてるんだよ、信じて
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 00:43:24.27 ID:pjnV+iJf0
ずっと、遠くから見てるだけだった。
ずっと、届かない背を老い続けるだけだった。
空っぽの土台に、憧れだけを積み上げて。
何とかしがみついた場所は、空っぽの私には分不相応で。
――待っててください、隊長!
待っててもらえるような存在になれなかった。
間に合えるような存在にもなれなかった。
隊長の役に立つことも出来ない、少し目立つだけの雑兵。
所詮私は、あの人に憧れ、あの娘に嫉妬する、ただの凡人だったんだ。
346 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 01:15:38.69 ID:pjnV+iJf0
W号戦車になってわかった。
私はあの娘にはなれない。
……あの娘の代わりになるなんて、最初から無理だったんだ。
それに、私じゃあの娘に敵わない。
認めたくはなかったけれど、どうしようもなく大きな才能の壁がある。
腐っても西住流の血だ、邪道に行ってもその才能は揺らいでいない。
……隊長は、最初から全部分かっていたのだろう。
あの娘の幻影を追っても、あの娘と張り合っても、私に先などないって。
だからずっと言われていたのに。
お前の戦車道を見つけろと、言われていたはずなのに。
結局私は、空っぽのハリボテのままだった。
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 01:17:05.65 ID:pjnV+iJf0
W号戦車になってわかった。
私はあの娘にはなれない。
……あの娘の代わりになるなんて、最初から無理だったんだ。
それに、私じゃあの娘に敵わない。
認めたくはなかったけれど、どうしようもなく大きな才能の壁がある。
腐っても西住流の血だ、邪道に行ってもその才能は揺らいでいない。
……隊長は、最初から全部分かっていたのだろう。
あの娘の幻影を追っても、あの娘と張り合っても、私に先などないって。
だからずっと言われていたのに。
お前の戦車道を見つけろと、言われていたはずなのに。
結局私は、空っぽのハリボテのままだった。
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 01:17:31.42 ID:pjnV+iJf0
ぐえっ、書き込みエラーが出たから再送信したら重複……片方は見なかったことに
349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 01:30:47.34 ID:pjnV+iJf0
だけど、それでも。
エリカ(それでも、私は――――)
貴女の後ろをついていきたい。
貴女の右腕になりたい。
貴女の右腕として、あの娘と張り合っていたい。
エリカ「今ッ!」
金魚のフンと罵られようとも。
自分がない空っぽの存在と嘲られようと。
それでもこれが、目指し焦がれて歩んできた道。
無謀だろうが、虚ろだろうが、誤っていようが、無様であろうが、それでも――――
エリカ「ッてぇ!!!」 ズドムッ
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 01:34:25.54 ID:pjnV+iJf0
逸見車操縦手「うーん、見事にやられたなあ」
逸見車砲手「それでも何とか1輌は倒せてよかったわ」
エリカ「……」
逸見車通信手「……やっぱり、この程度で満足してちゃまずい、かな?」
逸見車装填手「……結局今回も、隊長の援護行けなかったもんね……」
エリカ「……いいわよ」
逸見車通信手「ふえ?」
エリカ「これで十分」
エリカ「きっとこれが――分相応なんだわ」
逸見車砲手「逸見さん……」
エリカ「何も、隊長の隣で、隊長と一緒に戦うだけが右腕の仕事じゃない」
エリカ「……前と違って、ちゃんと右腕の仕事を成し遂げられたんだもの」
エリカ「満足よ。私は」
351 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 01:46:32.27 ID:pjnV+iJf0
逸見車装填手「……おお……」
逸見車砲手「なんだか逸見さんが……」
逸見車操縦手「つきものとれた、みたいな顔してる……」
逸見車通信手「逆に怖い……」
エリカ「アンタラね……」
エリカ「言っておくけど、今回はこれで満足ってだけで、今後はもっとバシバシ上を狙うわよ」
エリカ「少しでも隊長のお役に立てるようにするんだからね!」
逸見車砲手「ひえ〜っ」
逸見車通信手「うう、隊長もあと半年で引退なのにぃ」
エリカ「……それでもよ」
エリカ「まあ、情けない話だけど、私にはその道しか知らないし――」
エリカ「何より、あの人のために動いているときが、一番楽しい」
エリカ「あの人の力になりたい――って、思うんだから」
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 01:54:51.47 ID:pjnV+iJf0
逸見車砲手「ひゃー、愛ですなあ」
逸見車通信手「こりゃ来年また私達苦労しますねぇ」
エリカ「う、うっさいわね!」
逸見車操縦手「まあ、でも仕方ないから付き合ってあげますか」
逸見車装填手「前より付き合いやすくなったしねえ」
逸見車砲手「実際、隊長の腰巾着が板についっちゃってるしね、私らも」
エリカ「腰巾着じゃなくて右腕って言いなさいよ!」 プンスコ
エリカ「……」
エリカ「不満があれば……」
エリカ「来年の再編成で、別の車輌に行ったっていいんだからね……」
353 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 01:57:53.23 ID:pjnV+iJf0
逸見車面々「…・………」
逸見車面々「ブフッ」
逸見車装填手「あっはっは、なにそれ」 ゲラゲラゲラ
逸見車操縦手「ガラじゃなさすぎるよっ」 ゲラゲラゲラ
エリカ「ッさいわね!」
エリカ「自分がかなり情けないこと言ってるって自覚してるから、一抜けするチャンスをあげたんでしょうが!」
逸見車砲手「いやいや、付き合うってば」
逸見車操縦手「今更他っていうのもねー」
逸見車装填手「それに、私達だって腐っても西住流だもん」
逸見車通信手「そうそう、隊長のお役に立ちたいって気持ちは持ってるんだから」
エリカ「ったく……」
354 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 02:20:04.53 ID:pjnV+iJf0
エリカ(腐っても西住流、か――)
何処まで行っても、やっぱり貴女を追うことはやめられない。
どれだけ割り切ろうとしても、あの娘と張り合うことをやめられない。
二人に依存せず、自分だけで成り立てる、確固たる道を見つけられたらよかったのに。
エリカ(そうね。例え、望んでた形じゃないとしても)
それでも、そうやって歩いてきた道だから。
だからこそ、ここまでやって来れたのだから。
このままずっと、この道を歩んでやる。
本物には遠く及ばないハリボテの実力で、いつか空っぽの土台を満たしてやる。
エリカ(これが、私)
それが――今の私の、自分自身が歩みたいと思った戦車道だ。
355 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 02:23:37.84 ID:pjnV+iJf0
カチューシャ「ちょっと、何ぼんやりしてるのよ」
エリカ「……クソチビ……」
カチューシャ「カチューシャは小さくないわよっ!」
エリカ「はいはい……」
エリカ「まあ確かに、いつまでもここに居てもしょうがないわね」
エリカ「さっさと移動しましょ」
エリカ「隊長の勇姿を見逃しちゃうわ」
カチューシャ「……」
グイッ
エリカ「っ!」
エリカ「ちょっと、急にスカート引っ張らないでよ!」
エリカ「ストンと落ちたらどうするのよ!」
カチューシャ「どうするって……爆笑しながら写真を撮るけど」
エリカ「このガキ」
356 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 02:27:28.23 ID:pjnV+iJf0
カチューシャ「カチューシャは疲れてるのよ」
カチューシャ「それに、黒森峰の番犬風情が頭が高いのも気に入らないわ」
カチューシャ「肩車しなさい」
エリカ「……」
エリカ「はあ〜〜〜〜〜???」
エリカ「遊園地で疲れた四歳児までよ、そんなワガママが通るのは!」
逸見車通信手「まあ、でもここは遊園地ではあるしね」
逸見車砲手「逸見ママ……」
逸見車操縦手「今夜のおかずはハンバーグよ、はぁと」
逸見車装填手「口から出して来そうでやだー」 クスクス
エリカ「アンタら〜〜〜〜!!」
357 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 02:30:52.83 ID:pjnV+iJf0
カチューシャ「光栄に思いなさい」
カチューシャ「カチューシャはそれなりに認めた相手にしか肩車をさせてあげないんだから」
エリカ「はあ?」
エリカ「ったくどれだけ傲慢なのかしら」
エリカ「大体アンタなんかに褒められたって嬉しくないわよ」
逸見車通信手「と、言いながらもしゃがむんだ……」
逸見車装填手「めちゃくちゃ嬉しそう……」
逸見車砲手「笑顔を隠せてないよね……」
逸見車操縦手「常に叩かれっぱなしで、全然褒めてもらうことなかったもんねえ……特に他校からは……」
エリカ「アンタらそういう陰口はせめて聞こえないようにやりなさいよ全部聞こえてるわよコラ」
逸見車砲手「じゃあまた逸見の森復活させる?」
エリカ「やめろ」
逸見車通信手「種籾を植えようか……たねも見エリカさんが、やがて立派な逸見の森になるように……」
エリカ「…………っ!」
カチューシャ「ちょ、ちょっと! カチューシャを投擲武器にしようとしないでよっ!!」
358 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 02:39:37.27 ID:pjnV+iJf0
エリカ「ったく……」
カチューシャ「……」
カチューシャ「まあ、でも、少しはマシになったんじゃない」
カチューシャ「ただキャンキャン吠えてしっぽ振るだけの犬じゃなくなったみたいだし」
エリカ「何よソレ」
カチューシャ「少なくとも、虚栄にしか使ってなかったその首輪、前よりは立派に見えるわよ」
エリカ「……はあ?」
エリカ「もうちょっとわかりやすく言いなさいよ」
カチューシャ「そうね……」
カチューシャ「ほんのちょっぴりだけ、ノンナみたいになったわねってことよ」
カチューシャ「肩車をさせてもいいくらいにね」
エリカ「!」
カチューシャ「まあ、射撃の腕は足元にも及ばないし、人間性から忠誠度まで本当に比べるべくもないけれど」
カチューシャ「言うならば超絶劣化ノンナね」
カチューシャ「ノンナをSSR腹心とするならNの腹心くらいにはなれたわよ、よかったわね」
カチューシャ「課金したら出てこなくなるレベルの存在とはいえ、ようやく比べてあげてもいいくらいにはなったわ」
エリカ「このままパワーボムにでも移行してやろうか」
359 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/23(月) 02:40:08.25 ID:pjnV+iJf0
明日早いことを思い出したので寝ます
最終章2話までにはなんぼなんでも終わるはず
360 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/25(水) 23:59:27.20 ID:FQa5Qfe60
エリみほまだです?
361 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/26(木) 00:18:53.69 ID:ekbvHXWZ0
カチューシャは投げるものではありません愛でるものです
362 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/23(木) 16:26:06.58 ID:lPi4Qc4u0
続き待ってます!
363 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/09/01(土) 17:14:31.95 ID:Joyrw7Hv0
まだ二話まで時間はある
慌てなくて良い
364 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/15(月) 09:14:28.61 ID:gvBRgTba0
おお復活したか
365 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/27(土) 03:28:47.83 ID:fryFPQYS0
いつのまにかSS速報復活しとるやんけ、また暇なタイミングで更新します……
366 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/27(土) 06:34:34.33 ID:+LikDUIEo
やったぜ
367 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/05(月) 08:56:34.40 ID:kYmOzZja0
>>365
やったぜ
待ってます
368 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/01(土) 12:11:43.22 ID:8NBaMj2e0
12月なっても待ってます
369 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/18(火) 20:48:58.56 ID:N1rZTuBD0
待たせて申し訳ない、いい加減終わらせたいので、ちょっと自分で読み返してから投下します
370 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/18(火) 21:15:49.19 ID:Q2Wqj9qmO
待ってた
371 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/19(水) 01:35:15.49 ID:yweZSe7+0
予想の数倍ボリューミーで読み返すうちに眠気まで着たので投下自体は明日します申し訳ない
372 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/19(水) 17:22:18.21 ID:44k122Cm0
待ってた。そりゃ1スレ以上あるからボリューミーで仕方ない
投下楽しみです
373 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/20(木) 08:43:19.75 ID:dIQjRC5y0
寝落ちてましたごめんなさい。週末には、必ず透過するんで許して…
374 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/24(月) 20:09:22.96 ID:1qPV23730
というか本当に作者か
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/24(月) 20:51:37.38 ID:1qPV23730
ずっとやるやるいっててすぐできなかったレスばかりだから心配
最後どうなるか期待している
376 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/25(火) 22:16:25.08 ID:cNUWCSvW0
気付けばクリスマスも終わりますし、今夜の投下で終わりくらいにしたいので投下します
待たせて申し訳ない
377 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/25(火) 22:19:22.90 ID:cNUWCSvW0
カチューシャ「……それにしても……」
カチューシャ「意外と乗り心地が悪くないわね……」
カチューシャ「体幹がしっかりしてるからかしら」
エリカ「ふん、これでも黒森峰の未来を背負う副隊長よ」
エリカ「体力だって必要だし、ボクササイズで体を引き締めてるんだから」
カチューシャ「ふーん……」
カチューシャ「まるで戦車に乗ってるみたいな安心感は確かにあるわね」
エリカ「だ、だだ、誰が戦車よ!」
カチューシャ「うわあっ、ちょ、暴れないでよ危ないでしょ!!」
378 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/25(火) 22:26:44.84 ID:cNUWCSvW0
エリカ「んなことより隊長達よ!」
エリカ「……勝ってくれると信じてはいるけど……」
エリカ「あっ、やった! パーシング撃破!」
カチューシャ「……ふふん、カチューシャ達が一輌落としておいたおかげね!」
エリカ「はあ? 私の功績が一番大きいでしょ」
エリカ「……」
エリカ(あいっかわらず、理解を超えた動きをするわね、あの娘も……)
エリカ「……っ」 ズキッ
エリカ「……?」
エリカ(何かしら、今の……少し頭が……)
379 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/25(火) 23:07:36.09 ID:cNUWCSvW0
エリカ「……」
エリカ「ここで急旋回」 ボソ
カチューシャ「?」
エリカ「……」
カチューシャ「……ほんとに急旋回したわね」
カチューシャ「読んでたわけ? やるじゃない」
カチューシャ「まあ! 勿論カチューシャだって読めてたけど!」
エリカ「……」
エリカ(いや、読めてたっていうか……)
エリカ(デジャヴ?)
エリカ(なんだか、細かい動作一つ一つが頭に浮かぶっていうか……)
エリカ「……」
エリカ「あ……」
エリカ(浮かんでくる映像、全部戦車視点……ってことは……)
エリカ(W号のときの記憶……?)
380 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/25(火) 23:11:20.12 ID:cNUWCSvW0
エリカ(いや、でも、私がW号になってたとき、ここまで来られなかったわよね……)
エリカ「……」
エリカ(あ、でも……)
エリカ(今の時間のW号と入れ替わっていた私が居るのは確かなわけで……)
エリカ(未来が変わった今、あのW号はどうなってるのかしら)
エリカ(少なくとも未来が変わる前は、あの中に私がいたはずだし、W号の魂は入ってなかったはずだけど……)
エリカ(……こーいうSF的なの、正直さっぱりなのよね……)
エリカ「…………」
エリカ「ねえ、パラレルワールドとか詳しかったりする?」
カチューシャ「は?」
エリカ「……なんでもないわ」
381 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/25(火) 23:13:59.18 ID:cNUWCSvW0
エリカ「……」
エリカ(そういえば、今までは、戦車の中に私が居るときは、常にその時間でも入れ替わりが起きてたのに……)
エリカ(今回は起きないのね)
エリカ(……これが最後だからってことかしら)
エリカ(まあ、大洗も救えたんだろうし、十分よね……)
エリカ(W号の中に居たおかげで、色々なことを知れたし……)
エリカ「……っ」 ズキッ
エリカ(また頭痛……まったくなんだってのよ……)
エリカ「…………あれ?」
エリカ(W号の中に入って、色々知って……)
エリカ(知ったはずよね……)
エリカ(私……何を見て、何を知ったんだっけ……?)
382 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 00:54:43.81 ID:JaX/Ez/c0
エリカ「……?」
エリカ(何……何なの……なんだか、頭にモヤがかかって……)
エリカ(何か大切なことを学んだ気がするのに……)
エリカ(イマイチ思い出せない……?)
カチューシャ「……」
カチューシャ「どうかした?」
エリカ「……」
カチューシャ「まったく、あの忠犬がご主人様の試合に集中しないなんて」
カチューシャ「よほどのことがあったのね」
エリカ「な、しゅ、集中してないなんてことは……」
カチューシャ「……」
カチューシャ「あのさ」
カチューシャ「噂で聞いただけだし、違ったらスルーでいいんだけど」
カチューシャ「それ、戦車みたいな奇行してたことと関係があるわけ?」
エリカ「っ!!」
383 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 02:35:15.91 ID:JaX/Ez/c0
エリカ「な……」
エリカ「……」 ジロリ
小梅「何かこっち睨んでるけど、私じゃないからね!?」
カチューシャ「言っとくけど、諜報活動が得意なのは聖グロだけじゃないんだから」 フフン
小梅「ほら、冤罪」
小梅「その情報はあんまり漏らさないようにしてたんだから」
エリカ「……悪かったわよ」
小梅「そりゃあ、他の情報は逸見の森で積極的に流してたけど……」
エリカ「気になるけど聞きたくないわね何流してたのか……」
直下「生理重くてすぐ不機嫌になるからそのへんの情報は皆で共有してたよね」
小梅「森の仲間達総出でチェックしてたらそのへんすぐ分かるもんねえ」
エリカ「物量を活かしたストーカー行為ほんとやめなさいインターネットじゃないんだから」
384 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 02:37:20.64 ID:JaX/Ez/c0
カチューシャ「……特別に、話してあげるわ」 コソ
エリカ「……?」
エリカ「何よ、急にヒソヒソと……」
エリカ(……顔が近い……肩車のせいでただでさえ密着してるのに……)
エリカ(ブリザードのノンナがここにいなくてよかったわ……)
カチューシャ「……カチューシャも、昔、似たようなことがあったのよ」
エリカ「………………は?」
385 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 02:41:14.84 ID:JaX/Ez/c0
カチューシャ「とは言っても――カチューシャにその記憶はないわ」
カチューシャ「でもね」
カチューシャ「ノンナが記録をつけてたのよ」
エリカ「……はあ……」
カチューシャ「身長が3ミリ伸びた気がして、確認するためにノンナに聞いたところ……」
カチューシャ「毎日記録をつけてるっていうから見せてもらってたんだけど」
エリカ「え、毎日記録付けてるの? 身長の?」
エリカ「アンタのとこの副官、どうかしてるんじゃないの?」
カチューシャ「ちょっと、ノンナを馬鹿にすると許さないわよ!」
カチューシャ「大体、どうかしてる具合で言うと、アンタも大概なんだからね」
エリカ「はあ〜??? 私の隊長への想いはもっとピュアネスですぅー!」
小梅(試合佳境なのに、何か楽しそうだなあ二人とも……)
386 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 03:18:41.54 ID:JaX/Ez/c0
カチューシャ「まあとにかく、つけてた記録を見せてもらってたんだけど……」
カチューシャ「結構細かく記録がつけられてて、懐かしむように読み漁っちゃったのよね」
カチューシャ「そしたら、書いてあったのよ」
カチューシャ「……1年くらい前に、私が何かおかしくなったって」
エリカ「今でも十分おかしいでしょ」
カチューシャ「そこには色々調べた結果が記されていたわ」
カチューシャ「どうやら私がまるで戦車みたいになったって書いてあった」
エリカ「く、苦し……あ、足を首に絡めるなっ……おえっギブ! ギブ!」 バンバン
小梅(何喋ってるのかあんまり聞こえないけど楽しそうだなあ……)
387 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 03:32:49.38 ID:JaX/Ez/c0
カチューシャ「……おかしなことに、そのあたりの記憶、まったくないのよ」
カチューシャ「私には勿論、ノンナにもね」
エリカ「……え?」 ケホッ
カチューシャ「そのあたりの記憶が、どーにも皆朧げなのよね」
カチューシャ「ノンナなんて、思い出せないことを悔やんで柱に何度も頭を打ち付けてたわ」
カチューシャ「そのせいで校舎の柱が一本砕けて大変だったんだから」
エリカ「あんたんとこの副官こそ体が戦車で出来てンじゃないの?」
388 :
細かいところにミスが出てるけど脳内修正してもらえると助かるなって…
[saga]:2018/12/26(水) 04:00:18.41 ID:JaX/Ez/c0
カチューシャ「だからまあ、アンタが戦車っぽくなったって聞いて、少し気になってたのよ」
カチューシャ「……カチューシャに何が起きてたのか、何か知るヒントになるかもって」
エリカ「……私は……」
エリカ「…………」
カチューシャ「……その調子じゃあ、アンタももう、忘れつつあるみたいね」
カチューシャ「プラウダの工作員を総動員しても全然分からないし、まったくどうなってるのかしら」
エリカ「忘れる……」
エリカ「……そんな馬鹿な……」
エリカ「だって、あんなに強烈な……」
エリカ「強烈な……」
エリカ(あれ……何があったんだっけ……?)
389 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 04:09:49.52 ID:JaX/Ez/c0
エリカ「……」
エリカ(何か……学んだはずなのに……)
エリカ(とても大切な何かを……)
エリカ(なのに……思い出せない……!?)
エリカ「そんな……」
ワァァァァァァァ
小梅「すごいすごい、すごいね!」
エリカ「えっ?」
小梅「えっ、見てなかったの?」
小梅「隊長がものすごく格好良く単独でパーシング倒してたのに……」
エリカ「はああああああああああ!?」
エリカ「うっそ、そんな大切なシーンを私は……!」
エリカ「ぐあーっ、録画っ、誰か今の映像に残してないの!?」
カチューシャ「だあもう! キョロキョロしないで、カチューシャが上に乗ってるのよ!」
390 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 04:34:10.79 ID:JaX/Ez/c0
エリカ「はぁ……」
エリカ「残りの勇姿だけでもしっかり目に焼き付けておこ……」
エリカ「……」
エリカ(しっかしほんと、ムカつくくらい完璧な連携だわ)
エリカ「……」
エリカ(でも、どうしてかしら)
エリカ(前ほど嫉妬に狂わない……)
エリカ(何故かは分からないけど、受け入れたうえで、爽やかな感じで乗り越えたいって気持ちになってる……)
エリカ「…………」
エリカ「ひっ!」 ビクン
カチューシャ「どーしたのよ」
エリカ「え、あ、な、なんでもないわっ」
エリカ(な、なんでかしら……空砲の奇策を見たら、おしりがジンジンと痛くなってきた……)
391 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 04:55:46.13 ID:JaX/Ez/c0
エリカ「……」
エリカ「勝ったのね……」
エリカ「……よかった……」
カチューシャ「ふうん……」
カチューシャ「……W号を見て、そう言うのね」
エリカ「えっ?」
エリカ「あ、いや、その……」
カチューシャ「いいんじゃない。何故か気になる戦車ができるの、気持ちは分かるもの」
カチューシャ「……カチューシャも、かーべーたんのこと、不思議と他人と思えないし」
エリカ「……」
カチューシャ「多分、何かしら大きな転機を迎えた戦車乗りには、そーいうのがあるんじゃないの」
カチューシャ「カチューシャも、かーべーたんが気になるようになった、記憶朧げな時期くらいから、隊長として急成長出来たもの」
エリカ「いや、他人と思えないもなにも、あんたとCV-2じゃあ高さが全然違……」
カチューシャ「首に足絡ませたまま全体重後ろに傾けるわよ」
392 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 04:58:33.87 ID:JaX/Ez/c0
エリカ「……」
エリカ(よくわからないけど……まあ、いいわ)
エリカ(考えても分からないのに、考えたってしょうがないもの)
エリカ(今はただ――)
エリカ(胸に感じる暖かさに身を委ねて、素直に喜ぼう)
エリカ(隊長の勝利と、そしてあの娘達の道が途切れなかったことを)
小梅「あは……」
小梅(やったね、エリカさん……)
小梅(らしくない大喜びしちゃって……)
小梅(でも、いじるのはやめておいてあげよ)
小梅(……本当に……誰より願ってたもんね……)
小梅(おめでとう、エリカさん……!)
393 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 05:07:13.11 ID:JaX/Ez/c0
☆ ★ ☆ ★ ☆
394 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 05:24:33.20 ID:JaX/Ez/c0
あの後――結局私は、あの娘と何か話すでもなく帰路についた。
あの娘がいろんな人に囲まれていたというのもあるし、
隊長とのやり取りを邪魔したくないというのもあった。
それに、何か大切なことを忘れたような感覚に陥って、
不思議と涙がこぼれ落ちていたというのもある。
とにかく――そんなこんなで、大洗女子学園の生徒としての一日は終わった。
あとは、これまで通り、黒森峰の逸見エリカとして精進するのみ。
隊長の右腕となれるよう、自分の足でしっかりと自分が選んだ道をゆく。
そしていつかは、胸を張って、隣に歩けるような存在になる。
そう思っていたのに――
エリカ「あああああ……なんで隊長ドイツにいいいいいい……!」
395 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 05:30:22.30 ID:JaX/Ez/c0
エリカ「いやおめでたいことだけども! だけども!!」
エリカ「あああああああ……胃が痛い……」
エリカ「まだまだ教わりたいことがあったのに……」
エリカ「ううう……私の在学期間だけ全部V逸の暗黒期とか絶対イヤよ……うう……」 キリキリ
小梅「そのときはネットで延々一緒に叩かれようね」
エリカ「おわーーーーーーっ!」
小梅「わっと……ほんと驚かせると反射的に手が出るのよくないよ……」
小梅「もう慣れたからスウェーで回避できるようになったけど」
エリカ「……も、もしかして聞いてた……?」
小梅「まあね」
小梅「夏くらいから、何か独り言多くなってるし」
エリカ「う……なんでか分からないけど、くせになっちゃってるのよね……」
小梅「……やっぱり不安?」
エリカ「べ、別にそんなことないわよ」
小梅「もう……私にくらい本音を話してくれてもいいのに……」
小梅「そうやって抱え込むと、いざV逸見さんとか影で言われ始めた時潰れちゃうよ?」
エリカ「まあまあリアルにネットで将来使われそうな蔑称スラスラ挙げるのやめてくれない?」
396 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 05:37:07.10 ID:JaX/Ez/c0
小梅「まあ、今の黒森峰、新体制以降で色々大変な時期だもんね」
小梅「隊長がいなくなってから、無限軌道杯復活しちゃったし」
エリカ「他校は隊長まだ残ってるとかほんっっと勘弁してほしいわ」 キリキリキリ
小梅「でも大洗は替わったらしいし……」
エリカ「それが特に不可解なのよ」
エリカ「なんでまたあの娘じゃなくてあのクソ無能片眼鏡に……」
小梅「ソレ、この前も言ってたけど……」
小梅「あの頭良さそうな人、そんなに無能なのかなあ」
エリカ「……」
エリカ(何故かは自分でも分からないけど、あいつは無能って感覚が刻まれてるのよね……)
397 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 05:48:32.63 ID:JaX/Ez/c0
小梅「でもほら、諦めたらそこで試合終了だよ」
小梅「それに戦力だって、うちはトップクラスなんだから」
小梅「あふれる武力で返り討ちにしてあげようよ」
小梅「例えばほら、くまのぬいぐるみを人質に取るとか……」
エリカ「奇策も奇策じゃないの!」
エリカ「それに、ボコ――あのクマ、ボコボコにされるのがアイデンティティなのよ」
エリカ「あれを人質に取っても喜ばれるだけだわ」
小梅「わあ、詳しい」
エリカ「……そんなことないわよ」
エリカ「ちょっとググったら出てくる程度の知識しかないから」
小梅「ふう〜ん、なんでググったのかなあ」 ニコニコ
エリカ「…………うるさい」
398 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 05:54:24.83 ID:JaX/Ez/c0
小梅「でも、みほさんと同じあのクマさんを愛好してる島田愛里寿ちゃんは……」
エリカ「……ああ、そういえば、あの試合の時一瞬止まってたわね……」
小梅「本人はコメントを控えてたけど、あれってやっぱり、そういうことだよね」
エリカ「……まあ……」
エリカ「本人も無自覚の内に、何か思い入れがあるとかしたんじゃない」
エリカ「知らないけどさ」
エリカ「……物にも魂はあると思うし」
エリカ「何かそう考えると、無実のボイテクを撃ったりできなかったんでしょ」
小梅「……」
エリカ「……何よその顔は」
小梅「いやあ、エリカさんが、物にも魂が宿るなんてロマンチックな考え方をするなんて……」
エリカ「あーーーーもう、その顔ムカつくのよ」
エリカ「さっさと行くわよ、試合始まっちゃうし」
小梅「ふふっ……そうだね」
399 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 05:58:12.35 ID:JaX/Ez/c0
みほ「あ……」 バッタリ
エリカ「……」
小梅(う、うわー……)
小梅(私個人としてはこのままお茶でもしたい顔ぶれだけど……)
エリカ「……」
小梅(隊長になったばかりでピリこいてる状態だと無理だよねえ……)
みほ「……」
小梅(み、みほさんも萎縮しちゃってる……)
小梅(どうしよう、ここはいっちょ小粋な腹話術で場をなごませるべきかな……)
小梅(水没後談笑相手が枕くらいしかいなかったときに培った一人芝居芸なら、きっとこの空気も――)
エリカ「小梅」
小梅「ひゃいっ」
エリカ「悪いんだけど、先に言っててもらえる?」
エリカ「ミーティング、はじめておいて」
小梅「え、でも……」
エリカ「……お願い」
小梅「……」
小梅「うん、わかった」
小梅「みほさん。それじゃあ、またね」
みほ「あ、うん……」
400 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 06:06:49.99 ID:JaX/Ez/c0
みほ「え、えと……」 オドオド
エリカ「……」
エリカ「言いたいことがあるのならハッキリ言えば? 大洗の隊長サン」
エリカ「……ああ、“元”でしたね」 ハン
みほ「……えっと……」
エリカ「かといって……」
エリカ「副隊長、と呼ぶつもりはないわよ」
エリカ「それこそとっくに“元”って感じだし」
みほ「うう……」
エリカ「……とはいえ……」
エリカ「名字は名字で、隊長とかぶるから呼びたくないのよ」 ハァ
401 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 06:10:54.91 ID:JaX/Ez/c0
エリカ「言っておくけど、私はこのまま終わるつもりはないわよ」
エリカ「どこまでだって隊長の背中を追いかけるし、いつかは西住流を極めてみせる」
エリカ「……アンタとだって、ずっと戦って、そしてねじ伏せ続けるつもりよ」
みほ「エリ……逸見さん……」
エリカ「……だからまァ……なんていうか……アンタの呼び名がないと不便なのよ……」
エリカ「黒森峰の元副隊長でもなく、大洗の元隊長でも副隊長でもなく」
エリカ「そーいった肩書を全部取っ払ったアンタという個人相手に、勝ち続けるつもりだから」
みほ「……うん……」
みほ「私も……」
みほ「今は、戦車道が、とても好きだから……」
みほ「ずっと続けていきたいし……逸見さんとも、その……」
402 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 06:17:49.12 ID:JaX/Ez/c0
エリカ「……アンタは入学当時から有名だったし……」
エリカ「引っ込み思案なアンタにかわって、隊長がアンタのことを紹介してたわよね」
みほ「そ、そうだっけ……」
エリカ「そうよ」
エリカ「だから私は……アンタのことを何も知らないのよ」
エリカ「……何故だか、すぐ傍でずっと戦った間柄みたいに感じるのに」
みほ「え……?」
エリカ「……なんでもないわ」
エリカ「とにかく、肩書抜きの素のアンタのこと、私はアンタの口から一度も聞いたことがないの」
エリカ「だから、その、聞かせてくれない?」
エリカ「生涯を賭けてぶっ倒さないといけない相手の名前を」
エリカ「……これから、貴女を、なんて呼べばいいのかを」
エリカ「……ほら、数年越しだけど、自己紹介しなさいよ」
エリカ「小梅が待ってるんだから、早く教えなさい」
エリカ「貴女の名は?」
403 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 06:21:07.68 ID:JaX/Ez/c0
みほ「あっ……」
みほ「みほ……西住みほ……」
みほ「好きなものはボコで、えっと……」
みほ「……みほって、呼んでほしいな、なんて……」
みほ「……」
みほ「逸見さんとも、今度こそ本当に、お友達になりたいから……」
エリカ「……フン」
エリカ「今まで友達じゃなかったってのは、腹立たしいけど、まあ事実だからいいわ」
エリカ「仲良し小好しをする気はないけど……」
エリカ「楽しく戦術の話をしたいって思わせるくらいの凄さ、見せつけなさいよ」
エリカ「……みほ」
みほ「…………!」 パァァァァ
404 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 06:24:45.57 ID:JaX/Ez/c0
エリカ「とりあえず、互いに勝ち進んでからね」
エリカ「事前に話しすぎると談合とか疑われかねないし」
みほ「あ、うん、そうだよね」
エリカ「……全部終わったら、W号の中ででも話さない?」
エリカ「何故か分からないけど……あんたのW号、見てるとどこか懐かしい気持ちになるのよ」
みほ「……?」
みほ「よく、わからないけど……」
みほ「エリ……逸見さんと一緒に、W号でおしゃべりできるのは、すごく嬉しい……」
みほ「W号にも、感謝しないと、かな」 アハハ
405 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 06:37:38.58 ID:JaX/Ez/c0
エリカ(……下の名前で呼び合いたい、か……)
エリカ(小梅といい、みほといい、些細なことに拘るわよね)
エリカ(まあ、私も人のこと言えないけど……)
エリカ「……そういえば……」
エリカ「私も、自己紹介は隊長にだけ向けてしてたっけ……」
エリカ「真横にいたアンタはたまたま聞いてたかもしれないけど……」
エリカ「言ってなかったわよね」
エリカ「西住流の猿真似でしかなかった、黒森峰のプライドが高い副隊長候補」
エリカ「もしくは副隊長か」
エリカ「……そんな存在じゃあない、素の私のこと、アンタには、一切見せてなかったものね……」
みほ「……うん……」
みほ「これから……その、いっぱい知っていきたいな……」
みほ「何が好きかとか、戦車道以外の部分も……」
みほ「それに……戦車道の部分でも、もう目をそらさず、真正面から向き合いたい……」
エリカ「……そうね」
みほ「だから、その……」
みほ「私にも、教えてください」
みほ「好きなこととか、戦車道のこととか……」
エリカ「……仕方ないわねえ」 フン
エリカ「耳の穴かっぽじって、その小さい脳みそにしっかり刻みつけなさい」
みほ「うん……」
みほ「今度はしっかり、1から全部、刻みつけるから」
みほ「だから、その……できれば、お友達として、下の名前で呼びたいなって思うんだけど……」
みほ「なんて、呼んだらいいかな……」
406 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 06:38:28.21 ID:JaX/Ez/c0
みほ「貴女の名は」
fin.
407 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/12/26(水) 06:39:57.39 ID:JaX/Ez/c0
くぅ疲。
映画のパロなのに、ここまで無駄に引っ張ってしまって申し訳ないです。
長期間お付き合いいただきありがとうございました。
細かな部分にミスがありますが(呼称とか)脳内補完していただけたら幸いです。
また何かスレを立てることがあれば、そのときはもっと手早く畳めるようがんばります。
408 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/26(水) 09:11:53.22 ID:BQ8Yvn7KO
乙
次回作にも期待したい
409 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/12/26(水) 12:34:03.18 ID:/AbpsdfAO
乙〜
よかった、○ナル直撃は体感しなくて済んだのか…
410 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/26(水) 12:34:36.40 ID:sHuCXUixo
完結乙
411 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/26(水) 22:36:06.48 ID:NK0zL5UzO
◯ナル空砲はケツにコンプレッサーやる並にヤバそう
412 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/01(火) 14:19:41.29 ID:idzFgTcbO
君の名はってこんな話だったのか…
413 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/05(土) 04:02:12.66 ID:PQ8Bpqwe0
おおー!!完結してる!スレ落ちたり色々あったけど乙乙
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