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かきね「すくーる?」
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37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/11/25(土) 19:57:13.69 ID:DMXihNTPo
よぼー接種……ナンデモナイッス
38 :
◆q7l9AKAoH.
[ saga]:2017/12/31(日) 23:14:27.02 ID:RLcoTAaT0
残念ながらクレヨンなんて気の利いたものは暗部組織の隠れ家にはなかったので、かきねは黒いペンでおえかきをしている。
もっとかっこいーのがいい! なんてわがままを言うかと思いきや、たのしそうに絵を描いてはおねえちゃんに説明したりしていた。
「垣根さん動物好きなんスか?」
誉望が話しかける。
ごほんでみた! と元気なお返事をしてくれた。
何が好きかきいてみると、かきねはなにか一生懸命考えてからギザギザしたものをかきはじめた。
「らいよん。おうさまなんだろ。かっこいーだろ? がおー」
らいよん……ライオンのことだろう。
さっきのはライオンのたてがみだったのか。
特徴をとらえた独創的な画風でもしゃもしゃした四本足の動物を描くと、びゅーん!! と言いながらその上に横線を豪快に引いていく。
心理定規の分析では、どうやら走っている躍動感を表現したいらしい。
小さな画伯は仕上がった作品をみて満足そうにうなずく。
「らいよんみたいなー。ほんもんの! どこにいるの?」
「本物は動物園ね。野生のはアフリカかな?」
「やせいって?」
「元々住んでるところだから……前のおうちかしら?」
動物園におひっこししにくるのよ、と心理定規がうまく説明する。
「へー。あふりかってどこ?」
「遠い国よ。海の向こう」
「うみ?」
「そうね……ここは海も遠いわね」
うみってなあに? と首を傾げるかきね。
知っていることもあれば、まだしらないことの方が多そうなちいさなお子様にはいろいろ難しい話が多そうだ。
海は広くておおきくて、水とおさかながたくさんあるところよ、とおねえちゃんが説明する。
その海を越えた先にある他の国がアフリカっスねーと誉望もフォローした。
「あふりかとおいのか。いっぱいかかる? ひゃくじかんくらい?」
「そっスね。外国はいっぱい時間がかかりますよ」
「あ! でもさー、ろけっとでとんでったらすぐだよ」
「ロケットは」
「すぐっスね」
「へいほー、びゅーんおそらをひとっとびー♪」
両手を翼のように広げて、ぶーーん! と飛行機ごっこをするかきね。
楽しそうだが、ロケットと飛行機で連想したものに保護者二人はちょっと苦笑いだった。
ロケットより速い超音速旅客機なんてものも学園都市にはある。
それは間違いなくあっと言う間に外国へも行けそうだったが、恐らくその後回復に充てる時間がかかりそうな代物だ。
「ロケットや飛行機もいいけど。お船でのんびりするのも楽しそうじゃない?」
「えー。ちんぼつしない?」
「ふふ。そんなに簡単にしたら困っちゃうわ」
「そっか。せかいひゃくしゅーして、だいぼーけんしたいな。おねえちゃんもつれてってか? おみやげはねー……」
「……心理定規」
「……ええ」
壮大な冒険計画をおはなししながら紙に地図か動物かよくかわらないものを描き広げている。
そんな微笑ましい様子のかきねに、ちょっと待っててねとにっこり笑って。
心理定規は声を掛けてきた誉望と一緒にテーブルから離れた。
39 :
◆q7l9AKAoH.
[ saga]:2017/12/31(日) 23:16:02.00 ID:RLcoTAaT0
二人して、一度肩を落としてはあ〜〜っと息を吐く。
小さい子どもの相手は大変そうだがこの二人の場合それ以上の事情が大きく影響してくる。
あの……普段から扱いに困る俺様超能力者のリーダーがその相手で。
何だか前とはイメージが違うような、ちょっと似ているような、やっぱりキャラがなんか違うようなそんなややこしいことになっているから余計だろう。
すでに散々遊んでいただいた誉望は疲れ切った様子で頭を抱えていた。
「ああああああー、あーあ。あれは本当に垣根さんなのか? あれがどうなると、リーダーの垣根さんに進化するのか俺にはさっぱりわからない!!」
どうやら大きなリーダーと小さなリーダーのギャップが想定以上にこたえたらしい。
かきねはどちらかと言うと素直ないいこの印象だ。
最終的には……本気かどうか底知れない笑顔で返り血や周囲の被害も構わずに容赦なく能力をブチかましてきそうな(※組織内のイメージです)お腹の中が黒そうなおっかないイケメンになるんですよ、と説明してもきっと誰も信じてくれない。
それくらい差があるから、誉望の混乱ぶりもしかたないだろう。
ビジュアルはどちらも天使なのだが、もしも。
あの健やかなおこさまっぷりが本来のスタートラインだったとしたら。
垣根の子ども時代はどこかで育成を間違えてしまったのか。
「私にもわからないわよ。小さい頃はみんなああじゃない? 君だって純粋でかわいい頃が……あったの、かしら?」
「うーん……自信ないっス」
誉望少年は……アリの巣に水を流し込んでジト目でじっと観察していそうだ。
今は、すっかり成長してキラキラした目でアニメを見ている誉望万化君、暗部構成員は。
現在よりは少し前、現状よりはずっと未来の本来の垣根に考えをやってからもう一度唸った。
「う〜〜ん。やっぱ、劇的過ぎるアフターの方を知ってるだけに、なんかあのビフォーの垣根さんは気まずいんスけど」
「そうね……でも、彼も割と子どもっぽいところがなかったかな。あそこまでじゃないけど」
「なんかすでに垣根さんの片鱗があるんスよね。マイペースっつうか、俺様っつうか」
「思ってたより手がかからなくて良かったじゃない。彼の子供時代があのままだったらちょっとね」
「扱いがわかんないのは……よく考えなくても一緒かもな」
大変さの種類は違っても苦労はかわらないかもしれない。
そんな風に好き勝手言い合う部下たちだが。
鼻歌交じりで遊ぶ小さいリーダーの方を見て、心理定規は口元をほころばせる。
「それでもあの子は可愛いから。大体のことには、前よりも我慢できる気がするわ」
優しい表情とセリフがちょっとあっていない気もするが彼女の場合はこれがデフォ。
クールなおねえさんキャラは、使い分けも切り替えも上手なのかもしれない。
実際は『スクール』の中でも年下の方だが精神的には一番しっかりしていそうだ。
「どっちにしても大変なんスよね、頑張って言うこと聞いてしんどさに耐えれば…なーんだおんなじだあー」
「しっかりしてね。誉望おにいちゃん」
一瞬持ち直したように見えたが誉望はちょっと遠い目をしてうっすら微笑んでいた。
嫌なタイプの悟り方をしているのを、心理定規は呆れた様子で声を掛ける。
これっぽっちも応援する気のなさそうなガンバッテーだった。
ひとりでいいこで遊んでいるかきねの所に戻る前に、心理定規はどこかに連絡をとっていた。
メッセージを送ってからわざわざ電話をかけるのをみていた誉望がどうしたのかと尋ねる。
心理定規は携帯端末に目を向けたまま答えた。
「Aチームの子たちに買い物を頼んだの。あの子の服と靴と……何かと物がいるから。必要なのものはあの人も手配してくれてるみたいだけど。すぐ使うものは早い方がいいでしょ」
「確かにいつまでもセーターおばけって訳にもいかないっスよね」
元々着ていたセーターをだいぶ余らせたままで今のかきねは活動している。
それでは不便なこともおおいだろう、何より布一枚では外には連れ出せない。
うなずいた誉望から、そんな保護者らしいまともな認識を感じたのか。
心理定規は、
「よかった。そう言う感覚が君にもあって」と、少し安心した様子でつぶやいた。
「ええっ、小さい子がこんな変なかっこしてんのを放置とかないですって。あれよりRPGの初期装備ぬののふくの方がましじゃないスか。防御は低いし、即事案っスよ? そう言えば、なんでわざわざ電話したんスか?」
もう下部組織のやつらにはHUKIDASIしたんですよね? とわざわざ二重に連絡を取ったことが誉望は不思議だったらしいが、
「直接お願いした方が効果が高いのよ」
そう言ってにこっと笑って見せる。
流石は心理定規。
彼女は日ごろから、その辺の下っ端にまで人心掌握術を駆使しているらしい。
40 :
◆q7l9AKAoH.
[ saga]:2017/12/31(日) 23:17:06.91 ID:RLcoTAaT0
「おねえちゃーん。てー」
「あら、またお袖が下りちゃったの? はい。これでどう?」
テーブルに戻るとかきねはとてとて駆け寄ってきた。
セーターの袖を折ってあげると、心理定規は最後に何か袖につけた。
「あれ? りぼんだ」
「こうやってゴムで留めれば落ちてこないでしょ。こっちのキラキラがよかった?」
飾りつきのヘアゴムで畳んだところを押さえておく作戦らしい。
心理定規が見せたのはどっちも女の子らしいかわいいものだったが、かきねは嫌がったりしなかった。
「ううん。これでいいよ。ねーねー、かっこいー?」
「似合うわよ」
じゃーん、おててがでてるぞ! と喜んでいるかきねに心理定規も目を細めた。
「いやー非常に微笑ましい光景っスね」シャシンヲトリマース・・・カシャ
そんな様子を保存しておく誉望。
心理定規が見られないタイミングでかきねの様子を報告したら、
「画像くらいとっておいてくれればよかったのに…」と気の利かない奴認定されてしまったので、臨時記録係としてもパシられている。
「何で君のスマホはいちいち言ってから撮るの?」
「音消すのでもよかったんスけど。持ち主を守ってくれるアプリを入れてるんス」スクショナンデスヨ・・・カシャ
そう説明されて、見せられたスマートフォンを心理定規も手に取った。
「カメラだとこっちなの」トルヨートルヨーハイポーズ・・・カシャ
「ぴーす」
カメラのセリフにあわせてにっこりポーズをきめてくれたリーダーの画像がまた一枚保存された。
ほのぼのしていたさっきまでと一転して、心理定規は、
「『スクール』では組織の現状を第二級警戒警報発令時と同等に捉えることになったわ。下部組織にも順次伝達して同様に待機させることになったから」とにこりともせずに話した。
「『コードオレンジ』か。超能力者でリーダーが欠けたチームだから仕方ないと言っても、困ったことになったな。指揮系統はそのままスライドして心理定規が?」
「適宜君たちにも分担するからね」
「もちろんですって」
「組織としての機能だけじゃなくて、同時に彼の身の安全にも警戒しなきゃいけないわね」
今のかきねは、言ってみれば脅威の無くなった超能力者だ。
もしそれを知ったらあんな小さな子相手でもおかしなことを考える人もいるかもしれない。
もしもの想定はしておかないといけない、と真剣に心理定規は言う。
「……誰とは言いませんがね」
過去にストーカー疑惑のあった某理事を思い出したのか誉望も嫌そうにうなずいた。
ここに居ない『スクール』のもう一人、まだ学校にいる弓箭にも連絡をしておいたそうだ。
珍しくそれには誉望は嫌そうな反応をしなかった。
大きな問題は大勢で分担した方が楽だ。
早く人手が増えて自分の負担が減ることの方が嬉しいらしい。
「了解っス。つか電話のあいつとまともに話しあいになったんスか?」
「それなりには。ちゃんと何があったか知ってたわ……この隠れ家だってほら、この部屋も監視カメラがついてるし」
そう言って心理定規は天井の近くを見上げる。
照明の近くにカメラが仕掛けてあるのは組織内の他のメンバーも知っていた。
「そう言えば…カメラの設置もプライバシーは守ってるって言うっスけど。あれ本当っスかね」
「今までも困るようなところにはなかったし、見た限り増えてもないから一応は平気かな。そんなこと言うなら、君こそ気をつけてよ。見守りセンサーがたくさんあるのは今は助かるけど」
「カメラはアニメキャラのメガネみたく置き忘れたりはしないっス」
「そう言うもの?」
心理定規は首を傾げたが、嫌そうな顔も引いた様子もない。
小型カメラもゴーグルも、三次元には問題を起こさない趣味にしか活用していない能力者の信頼はここでも厚かった。
41 :
◆q7l9AKAoH.
[ saga]:2017/12/31(日) 23:19:03.04 ID:RLcoTAaT0
「ぶーんぶぶーん。さくてき……だいじょぶです。いじょうなし」
お昼ご飯を食べたかきねはごきげんでおにんぎょで遊んでいた。
もらったダブリのフィギュアでなにやら「すーぱーみっしょんだいさくせんごっこ」をしているらしい。
両手に掴んだ艦っちをぶんぶん振り回しながら遊んでいる。
そっちの子は俺の嫁っスから、大事にしてくださいよと誉望は注意した。
手元と視線は、宅配弁当でもらったコラボグッズに向けられているがボールカメラの一台はかきねの…と言うか任務中の艦っちのフィギュアにレンズを向けている。
昼食を私的に利用してアニメグッズを増やすことに成功した誉望だったが、既存のグッズにも注意を怠らない。
「よめ?」
「心のお嫁さんス。ベストオブ特別な最推しをそう言うんです」
「んん? ねー、もちょっとわかるようにゆって」
ごさいじにもわかるように、と言われても。
誉望たちが使う「嫁」の言葉は一般的なものとは意味も範囲も用法も違うのだ。
それをお子様になんて説明したらいいのか誉望は悩んだ。
「自分が大好きなのを『お嫁さん』って呼んでるんス」
「ふーん。よぼーらいよんおよめさん?」
おれの? よめが、ライオン? となぜか身振りで確認する誉望。
おこさま語で接続詞がだいぶ抜けていると文脈がわかりにくい。
だが、それから逆に考えると……かきねが一番すきな動物はライオン、ということになりそうだ。
「ライオンは嫌いじゃないけど、俺は違いますね。好きのランキング上位がお嫁さんっスよ」
「わかった。すぺしゃるちょーかっこいーだろ! よめすごいな」
「そっスそっス。スペシャルだからそれはあんまり人に使っちゃだめな……」
「あれ、こっちもよめ?」
自己解釈でYOMEがなにか掴みかけたらしいかきねに。
念のため注意をしておこう、と誉望が言いかけたところで。
棚に置いてあったグッズを目ざとく見つけられてしまった。
確かにメクちゃんの周りにはいかにも「超スペシャル」っぽくハートマークとホロ加工で囲まれたプリントがしてある。
そして大正解も大当たり、罰音メクちゃんは誉望の嫁でも殿堂入りクラスの連続上位キャラクターだ。
それと、デスクの上にあるさっきのフィギュアを見比べてかきねは首を傾げている。
嫁と言うものは一人だと言う認識は五歳児にもなんとなくあったらしい。
「……別作品だから一夫多妻はセーフっス」
「?」
「心の嫁はたくさんいていいんスよ。好きな数だけいるんです」
「そっか! じゃあね、おれはーかっこいーすぺしゃるよめ! えびふらいおよめさん」
垣根さんの、よめが、エビフライ?とまたしてもジェスチャーをしながら聞くとかきねは大きく両手で丸を作って返事をしてくれた。
「えっと、食べる方のっスか? 作ってくれる人が嫁スか」
「よぼーはえびふらいたべないのか?」
食べるのは当たり前だろ? って顔をされた。
子どもにちょっと引いた反応をされるが誉望だって変なことは聞いていないはずだ。
誉望はエビフライがおいしいとお嫁さん枠なのかとも思ったが、どうやらエビフライ本体をそこに入れたらしい。
なんとなくかきねにはニュアンスが違って通じている気がするが、どう訂正した方がいいのか説明が難しい。
あと、小さい子どもにまで二次元が嫁wともしもバカにされたら誉望は立ち直れないかもしれない。
のでそのまま話を続ける。
小さい子どもの無邪気な会話だ、少しくらいずれてても問題はないだろう。
「もちろん食べますよ。推しは食いもんスか」
「えびふらいおいしーもん。かっこいーでおいしーはちょーすごい」
「唐揚げとどっちがかっこいいんスか」
「えびふらい。えっとね、しっぽがついてる」
尻尾の差で、みんなだいすきな唐揚げは負けたらしい。
残念だったな唐揚げ。
チューリップなら見た目の違いでワンチャンあっただろうか。
「あ、だからさっき俺達に前半分をくれたんスね。え、垣根さんすごいっスね?」
42 :
◆q7l9AKAoH.
[ saga]:2017/12/31(日) 23:24:35.69 ID:RLcoTAaT0
食事中、心理定規と誉望はそれぞれ自分の頼んだメニューから一品ずつかきねにあげていた。
「それはなに? へー、おいしそー」
とかきねがみんなのお昼を見てにこにこしているのを見てついカッとなってやったが二人とも今も反省していないし後悔もしていない。
それどころか、
「おかえししてやる」と言ってかきねは心理定規と誉望に自分のエビフライを切って分けてくれた。
まさか最推しを分けてくれたとは思っていなかった誉望は驚いてしまった。
そうじゃなくても自分の皿の好きなおかずを他人に食べさせることが出来るだろうか?
なんてこった、こいつぁ天使か聖人かよ……と小さな子どもに感服する。
「しっぽ」
かきねは得意そうに…折り返したセーターの袖の間から、よく揚がった海老の尻尾をだした。
昼飯の残りだろう、残したまま取っておいたのか。
日ごろからオタ友との漫才で大概のことには慣れているつもりだったが。
予想外すぎる嫁グッズの登場に、流石の誉望君もびっくり。
そんな所にしまっていたのがバレたらおねえちゃんはきっと怒るなあ、と微笑ましくなって。
誉望は珍しくにっこりした。
「あー、エビフライさんはかきねさんの嫁っスか。じゃあ……なくしたら大変スから、これあげます」
「わーい! がちゃがちゃだ!」
棚から余っていた空のケースを取り出すと、ふたを開けてかきねの近くに置いてやる。
かきねは丸いケースに海老の尻尾を入れると嬉しそうに指でつついたり回して眺めはじめた。
よっぽど気に入っているようだ。
弁当屋のエビフライであの反応。
立派な、頭のついたエビフライを見せたら飛んで喜ぶのか、怖くて泣くのか一体どちらだろう。
そんな風に楽しそうに遊んでいたかきねはいつのまにか静かになっていた。
心配して探すと、カウチソファに転がって寝ていた。
リーダーが気に入ってよく寝転がっていたソファも、今はよじ登らないといけないくらい大きくて広い。
そんな光景に少ししんみりしながら二人はそっと様子を見ていた。
「わー相変わらず寝顔は平和……っつーかあれっスね。子どもなのにハイレベルってか、イケメンは昔からイケメンなんだな」
「ね、可愛い顔しちゃって。こんなことになって一番混乱してるのはこの子だろうし、疲れたのかな。お腹がいっぱいになったら少しは安心したのかも……」
あら、と言って心理定規はかきねの額をそっと拭いた。
「おでこに汗かいてる。小さい子って体温が高いのね」
「そうなんですか」
「ほら、手もぽかぽか」
「へー……」
心理定規が楽しそうに、眠っているかきねをおもちゃにしているのを誉望は相変わらず少し離れた所から見ていた。
「どう? 触ってみる?」
小悪魔っぽい笑顔で誘ってくる心理定規だが誉望はブンブン大きく首を振った。
「ほら。早くしないと起きちゃう。こんなの、最初で最後のチャンスじゃない?」
それは超レアですね、そうねレアレア、とよくわからないノリでふざけていた二人だが。
最終的にしつこいくらいの手招きに根負けして誉望もソファの前までやってきた。
「俺はどっちかっつうと闇属性なんで、こう言う光系のは駄目なんスよね」
「変な言い訳。私も見てるし、よく寝てるから平気じゃない? ふふ、君と比べるとこんなに小さいのね」
心理定規は誉望をもう一歩近寄らせると手の上にかきねの手のひらをそっと乗せた。
「ちっさ……うー……」
「どう?」
固まってこわごわ小さいものを見下ろす誉望。
彼の言う所ところの、何をしでかすかわからない小さい生きものはすやすや寝ていて、今は危なっかしく動きまわったりはしていない。
心理定規は興味津々と言った風にその様子をみていた。
しばらく、心理定規に設置されたまま手のひらを乗せていた誉望だが、首を振るとそーっと自分の手をどけた。
43 :
◆q7l9AKAoH.
[ saga]:2017/12/31(日) 23:25:10.04 ID:RLcoTAaT0
「俺の胃がストレスでマッハです。光と闇が合わさると頭がおかしくなって死ぬ……」
「あら大変。現状の対策がわかるまでまだしばらくこの子と一緒だろうから……少しくらい距離が縮まったくらいじゃこれから困るわね」
どうやら心理定規の見立てでは、誉望もこの荒療治でちょっとくらい対・小さい子経験値が積まれたようだ。
それでもまだまだ克服のレベルアップには遠いらしい。
ヒットポイントでも消費してしまったのか誉望はキッチンへ向かった。
冷蔵庫を開けるが……中にあったのはいつ開けたかも怪しそうなペットボトルが数本。
普段長く居座るような隠れ家ではないからだろうが、それにしてもすっからかんだった。
「あ、俺何か冷たいもの買ってきますよ。麦茶も切れてるんで」
「じゃあお願いしようかな。この子のもよろしくね」
気分転換をかねてのパシ、おつかいの提案を心理定規は笑顔で送り出した。
「ただいま戻りましたー」
「あら……早かったのね」
誉望がコンビニから帰ってくると心理定規は独りでテーブルの前に座っていた。
かきねはまだソファで寝ているようだ。
ドアを開けたら、心理定規は一瞬慌てたようすで携帯をしまった。
「どうかしましたか?」
「なんでもない。ああ……ちょっとメイク直してくるわ。私まで汗ばんじゃった。後、いいかな」
何だか早口でそう言うと。
心理定規はかきねをみてるよう言い残してトイレにいってしまった。
普段から察しの悪いことに定評のある誉望でも首を傾げる。
「はいっス……そんなに部屋暑かったか? え。戻ってくるまで我慢してたんスかねえ」
「……よぼー?」
「垣根さん。目が覚めました?」
「ねえ。おねえちゃんは?」
誉望の声を聞いたからか、かきねはソファの上から起き上がった。
小さな声で話しかけられてなんだなんだと近づくと。
心理定規がいないと心細いのか、不安そうにかきねは誉望を見上げた。
「心理定規ならあっちに」
「おねえちゃん……どうしようって。おねえちゃんたいへんか? かえってくる?」
「へっ? どうしたんスか垣根さん」
「おねえちゃんちっちゃいこえでおはなししてた。このままじゃはなしちがうって……おれなんかしたか? おれわるいやつか? こまるといなくなっちゃうか?」
かきねも困った、というか混乱した様子だが一気にそんな話を聞かされて誉望もこまってしまった。
なによりおろおろしているかきねにビビっていた。
「ちょっちょっ待って下さい。んな……なんでまた。心理定規はそんなことしないし、もしも何かあっても垣根さんは何も悪くないですって」
「……ほんとに?」
「大丈夫っス。垣根さんてば怖い夢でも見たのか? ほら、そんな顔しないでください。えっとそうだ何か飲みましょう。ジュースも買ってきたっスよ」
もしかしたら夢じゃなく本当に任務か、バイトの電話でもはいったのかもしれない。
勘違いでも、かきねが今にも泣きそうなくらい不安がっているのは間違いない。
泣くのはまずい。
なんとかそれは回避しなければ、と誉望も必死でなだめた。
44 :
◆q7l9AKAoH.
[ saga]:2017/12/31(日) 23:25:57.46 ID:RLcoTAaT0
「ん〜。おねえちゃん」
その後。
部屋に戻ってきていた心理定規にとてとて寄っていくかきねはぎゅっとほっぺをおさえていた。
「あら。どうしたの? しかめっ面して」
「垣根さんがコーラに挑戦して負けそうになってるんス」
炭酸飲料はお子様にはまだちょっと早かったのか。
ぱしぱしする、と言ってけわしい顔をするかきね。
炭酸を我慢したのかちょっぴり涙目だった。
「くひがいはい」
いーっと、歯を見せておねえちゃんに報告する。
「おくちが痛いの。ふふ、困ったね?」
「くちも『とんでけー』する?」
どうやらおねえちゃんは何でも痛いのを治してくれるんだと思っているのか。
ちびっこの困った相談に微笑んでいた心理定規は少し考えると、
「そうね……もっといいのがあるわ。目を閉じて、あーん、ってしてみて?」
バッグを手にして何か探していた。
「あー」
素直に口を開けて待つかきね。
巣にいる小鳥みたいで、ピヨピヨかわいらしいSEでもつきそうな様子だ。
ぱかっと開いた口の中に心理定規は何かをつまんで入れた。
「あまい!」
さっきまでが嘘みたいに笑顔になる。
「おいしいでしょ。痛いの忘れちゃったかな?」
心理定規はそう言うと、自分も同じものを口にいれた。
もっといいものの正体はキャラメル味の飴だった。
「まさかのここでヴェ○タースオリジナル……だと」
「よく飴をもらうのはいいんだけど、私はあんまり食べないから」
「それは……やっぱりおじいさんが特別にくれるんスか」
何故なら彼もまた、特別なのかどうかはわからないが、妙に感動している誉望も揃って甘くてクリーミーで素晴らしいキャンディを味わった。
45 :
◆q7l9AKAoH.
[ saga]:2017/12/31(日) 23:28:49.59 ID:RLcoTAaT0
ふいにドアチャイムが鳴った。
まっさきに玄関に飛び出していったのはこの部屋を隠れ家にしている組織のリーダーその人だった。
「はーい!」
届かないのにドアを開けようとしたところを心理定規に止められてしまったが、大きな声でお返事をする。
急いで誉望が出ると、そこには『スクール』の下部組織の少年が二人立っていた。
それをみた心理定規が笑顔を向けた。
少年たちはにこにこしている心理定規になにか言いたそうにしていたが、
「誉望君、荷物受け取っておいてね」
と彼女はかきねを連れてすぐ部屋に戻ってしまった。
「おーご苦労さん。急に悪いなー」
そう言えば心理定規が買い物を頼んでたな、と思い出した誉望が代わりにお礼を言うが、二人ともなんだかそれどころではない様子でそわそわしていた。
「あの、誉望さん? なんで急に子どもの服なんか……」
「さっきの小さい子なんですか?」
「ああ。実は…今ちょっと垣根さんの弟が来てるんだ」
「リーダーの親族が?」
「なんで心理定規さんが手を…じゃない世話を?」
おや、と誉望は眉を上げた。
冗談のつもりだったのに通じていない。
「お前ら何も聞いてないのか?」
二人とも、チームに心理定規から連絡があってからずっとそっちを優先していたから他の伝達事項を確認していなかった、と答えた。
直電効果ありすぎだろ…と誉望は目を丸くしたが、本来メインの組織の方をおろそかにされたんじゃプラマイゼロかもしれない。
ちなみにAチームは立候補者が多かったので、やっぱりじゃんけんで選抜して心理定規のお願いを完遂したらしい。
「そうか。じゃあこれを見ろ、多分よくわかるぞ」
そう言って、簡単に経緯を話したあとで、誉望は二人にスマホのムービーを見せる。
小さいリーダーが楽しそうにしている様子が映っていた。
二人も、あのリーダーがなぜかお子さまになってしまったことは相当ショックだったらしい。
心理定規に頭を撫でられそうになったリーダーが、
『なでなではいいの!』とぷんすか拒否をしたところなんかはすごく熱心に見ていた。
「誉望さん……なんでこんなん撮ってるんですか」
「え。だって心理定規が後で送ってくれって言うから」
誉望の趣味にこれ以上余計な誤解が追加されると困るので説明したが、
「そっか正規メンバーって連絡先知ってるのか…」
「あ、そっち?」
別に知っててもいいことはない。
組織で使っている用のアカウントだから、おそらくそれぞれの個人的なものとは別だろうし。
既読蹴られたり、しらない間に他のメンバーでグループトークがされてたり、たまにリーダーの謎なスタンプになんて返せばいいか頭を悩ませたりするくらいだ。
SNSで繋がっているからと言って、そんなにくやしがられるほどでもないだろ、と誉望は首をひねった。
「じゃあ、後でお前らにもわかるように今回の報告用のツリー作っとっくからさ。いつもみんなありがとなー」
そう話すと二人ともまめに更新してください! 画像も上げてください! と、熱く応援と催促までされてしまった。
46 :
◆q7l9AKAoH.
[ saga]:2017/12/31(日) 23:33:34.87 ID:RLcoTAaT0
「じゃんっ! おにゅーです!」
セーターから変身を済ませたかきねが謎のかっこいいポーズをとる。
おねえちゃんがお手伝い、と言うか着せたので仕上げはばっちりだ。
「おー、垣根さん新しい装備っスね」
「へへへー。いいだろー」
無事にリーダーの新しい服が届いて着替えも済んだ。
だが、心理定規はなんだか不満げだった。
かきねが着ているのは別にクソダサプリントでもカーチャンズセレクションでもなさそうな、よくありそうなものだったが、どうやら無難過ぎて気に入らないらしい。
「後で他のも買いましょう。もうちょっと可愛いのなかったのかな」
その辺の学生に子供服を選ばせて女子基準もクリアする衣装となると相当のファッションセンスが要求されそうだ。
これは、普段からパシられていてもこなせる任務ではない。
誉望が行かなくて大正解だった
食事に着替え、と済んでいよいよリーダーは外に出かけられるようになった。
この後、信頼できる筋の医者にかきねを診せることになっているらしい。
一応、このとびっきりおかしな異常の他にも健康上の問題がないか色々と検査をする必要があると判断したらしい。
同時に隠れ家も移動すると言う。
第三学区……このマンションの近辺では小さい子どもは目立つ。
加えて、『外』向きの施設が充実している都合上、警備もよそより厳重だ。
何か起きた時に、厄介な警備員がすぐとんできてしまっては困るのでもっとごみごみした治安の良すぎないところに拠点を移す、と言う話だった。
こーそーまんしょんとお別れすると聞いてかきねは残念そうだったが、お引越しとおでかけの話には大喜びだった。
「いい? 知らない人にこっちにおいでって言われてもついていっちゃだめよ」
「いかない……なんで?」
「垣根さんを誘拐するわるーい奴かもしれないからっス。知らないおじさんに『ここに指をペタッとしてくれたら、何でも好きなもの用意してあげる』とか、垣根さんに何かして欲しいって言われても 、お願い聞いちゃいけないっスよ。すぐ俺かおねえちゃんに教えて下さい」
お兄ちゃんおねえちゃん、保護者のみなさんに出かける前の大事なはなしをされてかきねも一生懸命聞いていた。
「おもちゃもだめか」
「だめよ」
「んー。おかしもだめ?」
「ダメっスね。そう言うのは、みんなで買いに行きましょう。まあ何かあっても、心理定規おねえちゃんが守ってくれるから平気っスけど」
「そっか……うーん。わかったがんばるな」
外には怖いことや誘惑がいっぱいだと聞いて小さいリーダーも頑張ってくれるらしい。
らしいのだが、どうにも不安な二人だった。
「あの垣根さんがお菓子やおもちゃで釣れそうだとは……」
「子どもって純粋ね」
二人とも、特別他人の世話を焼くタイプでも面倒見がいいわけでもないのだが。
振り回す側の人間がいるとついそう言う役回りになってしまいがちだ。
みんながみんなボケ倒していたらツッコミ役が必要なようにそれは組織と言う輪の中でも円滑なコミュニケートと話題の移行には欠かせないものでもあるのだが……。
「んーとね? おそとにはぷれぜんとくれるひとがいるの?」
「……普通はそんな人いないんで、近くにいっちゃだめですよ」
今までで一番、振り回してくれそうな展開を予感して。
誉望は早くもあきらめムードで力なく微笑んだ。
「意外といるんだけど、なにかくれるってことはお返しがいるから。気をつけなきゃダメよ?」
「そこはおねえちゃんさん基準だとまずくねっスか」
心理定規も珍しくふざけてくる。
普段しっかりしていそうなのに、予想外のタイミングでユーモアのセンスを発揮してくることがあるので油断できない。
案外本気なのかもしれないのが、また厄介だ。
『スクール』の戦いははじまったばかりなのに今からこの調子でなんとかなるのか。
否、なんとかしなくてはいけない。
たとえリーダーが頼りにならず、あてに出来ない状況でも組織一丸となって、この苦難に立ち向かわなくてはいけない。
と、言うのに。
「おひっこしとおかいものもいくの?」
「そうよ。みんなで出かけるの。ご飯のお買い物もしないとね」
「ごはんか。えっとねーなにがいいかなー? えびふらいかなー?」
「もう。お昼に食べてたじゃない」
「なんだ、この……ふわふわ時間」
暗部組織の隠れ家は、諸事情によりほのぼの空間になりつつあった。
47 :
今年はとっても楽しかったね。来年はもーっと楽しくなるよ。ね、ていとくん?
◆q7l9AKAoH.
[ saga]:2017/12/31(日) 23:47:35.66 ID:RLcoTAaT0
ドーモ。
おひさし、今年もドーモ。
帝督・垣根・オルタ・サンタ・リリィってそれただの、幼女に陽気にサンタ帽でクリスマスデコレーションされた白い防犯ブザーさんだな?
とか言っているうちにクリスマスは終わった。
課金のBOXガチャは良い文明だけど、アイテムの無課金BOXは悪い文明。礼装とは…落ちないもの。
ていとくんにサンタさんの話するらっこさんが……。
ギリギリだけど投下おさめ。
来年もよろしくしたい。
>>36
わかりにくくってすまんな。あのあとパレードに行ってきたらしいよ
実はゴーグルが『スクール』のSNS上に小さい垣根さん用アルバムを作らされている。
おそらくそこにもハロウィンものがあるだろう。
のちのちらっこさんが同じような画像ばっかりアップしてみづらいと叱られる、そんな未出設定があったんでちょっと出した。
>>37
よぼーちがいっスね。
よーし新年のほしゅネタひとつ確保できたな。ありがとう。
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/01/04(木) 01:05:33.92 ID:IPKY+xLgo
ゆっくりでいいから続き頼んますゼ
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/07(日) 11:29:49.13 ID:931ORTyAO
心理定規さんのお願いが立候補制とは……。
俺もお願いされたい
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/23(火) 02:57:12.57 ID:0JPZK9Ooo
垣根オルタ、元がこんなだから白垣根になるのかしら
51 :
よぼーせっしゅとすくーる
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/02/14(水) 02:37:00.95 ID:Yx9g5Tor0
かきね「よぼーせっちゅしたか?」
誉望「……? え? 何スか?」
かきね「ことしはよぼーがさいやくでたいへんなんだろ? ちゃんといいこにしてないとだめなんだぞ」
誉望「俺が……災厄? それは……いいっスね。メクちゃんの救済対象リスト上位っぽいっスね!」
心理定規「何が嬉しいのかはわからないけど。誉望君じゃなくて。インフルエンザの予防接種のことよ」
誉望「ああ。『過去最悪の痛み』、『去年の三倍腫れる』なんて感想がワインのレビューみたいになってるやつのことか」
かきね「よぼーせっちゅしなきゃっててれびがゆってたもん」
弓箭「ふふふ。予防……なんですか?」
かきね「せっちゅ」
弓箭「……」
心理定規「……」
誉望「……」プルプル
かきね「んんー」ムス
弓箭「不機嫌になってしまわれましたわ……」オカワイラシイ
誉望「それは困りましたねブフッ」
心理定規「もう。誉望君ったら我慢しきれずに笑ってるじゃない」
かきね「……ふん」
心理定規「ああしてるとやっぱり、彼なのよね」
弓箭「ほら、上手に言えないからと怒ってしまわれましたよ? どうするんですか?」
誉望「俺のせいか?! あああ、あー、垣根さん? どうしたんスか」
かきね「かっこいーりーだーはおやすみです。おれかっこわるくないもん」
誉望「えーっとじゃあ、練習しましょう」
かきね「れんしゅー?」
誉望「そっス。修行パートほどカッコいいもんは無いっスよ。少年漫画の燃え展開っス」
かきね「うーん。かっこいーならいいよ」
誉望「よーし。分けて言ってみたらどうスか。順番に繰り返してください。予防」
かきね「よぼー」
誉望「摂取」
かきね「せっ、しゅ」
弓箭「言えましたね!」
かきね「やった!」
誉望「よーし続けてみましょう」
かきね「よぼー、せっちゅ」
誉望「あー……」
かきね「んむむ。れんしゅーやだ」
心理定規「もう、予防注射でいいんじゃない? 注射は言えたわよね」
かきね「よぼーちゅーしゃ?」
弓箭「今度はお上手ですね。でもお注射なんて怖いですね」
かきね「ちゅーしゃこわくないもん。あれ? よぼーはちゅーしゃだったのか」
弓箭「誉望さんは輪っかですよ。シャンプーハットです」
かきね「ごーぐるぐる」グルグル
誉望「そうっスか。俺の本体はとことん無機物らしいな」
52 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/02/14(水) 02:50:14.84 ID:Yx9g5Tor0
弓箭「予防注射は、誉望さんとは違いますよ」
かきね「よぼーは、ちゅーしゃじゃない」
誉望「俺は、注射じゃないです」
かきね「せっちゅはちゅーしゃなの?」
心理定規「それは注射よ」
かきね「なんのちゅーしゃ?」
弓箭「予防の注射です」
かきね「……? よぼーはちゅーしゃ?」
誉望「ふりだしに……戻った……だと」
弓箭「ええええええええっと、まず違いをご説明します。誉望さんは、人間の殿方です。予防はですね、病気にならないようにですとか、なっても軽症で済むようにするもののことですよ? えっと……おわかりに…なりました?」
かきね「うん。わかんないな」
誉望「いやもう少しわかるように言わないと説明出来てないぞ」
かきね「よぼーはごびょーきなの? だいじょぶ?」
誉望「俺は元気ですよー」ワーイ
心理定規「『予防』って言うのは、先に準備しておく事ね」
かきね「じゅんび、おっけー! だ! おしたくするんだね」
心理定規「そうそう」
誉望「えーっと予防を漢字で書くとこうっス。こうすると、見分けが何となくつくんじゃないか? 漢字ってのは……難しいマークです」カキカキ
かきね「おしまいがぴょんぴょんしてる」
弓箭「誉望さんはこうですね」カキカキカキ
かきね「こっちのはしゅっしゅーだ」
誉望「そうなんス。書きづらいんス」
かきね「んーんんー……ぜんぜんべつだ? よこにいっぱいとぴょんぴょーんだな?」
弓箭「そうですね。横に線がたくさんありますね……もう字の違いがおわかりになるなんて、垣根さんは天才なんじゃないですか?」
心理定規「そうねー。小さいのにもうこんなに賢いのね」ナデナデ
かきね「なに? おれえらい?」
弓箭「垣根さんはすごいですね〜」
誉望「えーと、とりあえず予防注射も予防摂取も、俺とは違うものなのはわかりましたか?」
かきね「はーい」ハイ
誉望「垣根さんがしないといけないって教えてくれた予防摂取は、もし病気になっても大変にならないもののこと……それでするのが注射です、と。これでオーケーっスか?」
かきね「はーい。よぼーはちゅーしゃしましたか?」
誉望「してません」
かきね「しなさい。びょーきになったらたいへんだろ」フン
誉望「はーい……」
弓箭「はい! わたくしはちゃんとしました!!」
かきね「ゆみやえらーい」ヨシヨシ
弓箭「ああああありがとうございます!」
53 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/02/14(水) 03:00:51.81 ID:Yx9g5Tor0
心理定規「ああ、この子もした方がいいわね。今流行ってるみたいだし」
かきね「え」
心理定規「小さい子はかかると大変だから。誉望君も一緒に受けてきたら?」
かきね「ちゅ、ちゅーしゃ…こわくないもん」
弓箭「そんな、弓箭もご一緒しますから! 平気ですよ!」
誉望「いや、お前もうワクチン打ったんだろ?」
弓箭「別のをしていただきます!!」
かきね「しなきゃだめ?」
心理定規「その方が安心よ? それに、しなさいって言ったリーダーはちゃんとしてないとね」
かきね「うーーん。りーだーがんばらないとなー」
心理定規「そうね。がんばって」
かきね「みんなでがんばろーね!」
弓箭「ほら、誉望さんもご一緒しましょう」
誉望「お前が来るのは確定なんだな」
心理定規「でもよかったわね。また一つ賢くなったわ」
かきね「うん。おれえらくてかっこいーから。よぼーのまーくはかっこいーね。しゃきーん、しゅしゅしゅ!」
誉望「はーいありがとうございます。俺名前だけはいいんスよ」
弓箭「誉望ってどう言う意味ですか? そんなに誉めていただきたいんですか?」
誉望「はいはいゴーグル。ちょっと調べてみる」
かきね「わっかだ!」
誉望「あー……」
心理定規「どうしたの? そんなに嫌な謂れだった?」
誉望「いや、あの」
弓箭「何ですか? そんなに仰りたくないようなものだったんですか」
誉望「誉望ってのは垣根さんにもわかりやすく言うと。そうだなー『例のすごいヤツ』なんて意味があるらしく……逆にキラキラしてそうな名前だということが判明してしまった」
弓箭「えっ……誉望さんが? どれだけ自己愛が肥大してらっしゃるんですか?」
誉望「お前に言われたくないし、そこは先祖に言ってくれ。うわー、でもみんな知らないよなこんなの。でないとますます名前負けって言われる」
かきね「まけちゃうのか? よぼーおなまえなんだっけ?」
誉望「万化っス。そっちは、すごい沢山変化する……でいいのか?」
かきね「へー。すごいすごーいのか。おれはね、とってもえらいんだよ。ゆみやは?」
弓箭「下の名前の意味ですか? わたくしは……そのままですとラッコさんでしょうか? 動物の、ラッコさん……あら。もしや垣根さん、ご存知ないですか?」
かきね「らっこ? どーぶつえんにいるの? あふりか?」
心理定規「ラッコはちょっと難しいかもね。水族館にいるのよ」
かきね「すいぞくかん?」
心理定規「海のいきものがたくさんいるところよ」
弓箭「ええっと、誉望さーん」
誉望「はいはいゴーグル。わかりやすくラッコの動画でいいんですか」
54 :
おしまい
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/02/14(水) 03:04:13.70 ID:Yx9g5Tor0
―動画再生中―
かきね「……」
弓箭「……」
心理定規「……」
誉望「なんかすごい食いつきだな」
弓箭「ふわー……可愛いですねラッコって」
かきね「おててをぎゅーってする。こんこんもするのか」
心理定規「ふわふわしてて可愛い。意外と目は小さいのね」
誉望「へー。アワビとかウニとか高いものばっかり食うんだな。ラッコ。高級志向の食いしん坊だって」
弓箭「なっ、なんでこちらを見て言うんですか。わたくしとは関係ございませんもの!」
誉望「そうでございますか」
かきね「くるくるしてねてる。かわいーね」
心理定規「海藻を巻いて寝てる間に流されないようにするんだって。ほら、群れでくっついてるわ」
弓箭「そうなんですね。みなさん一緒がいいですものね」
かきね「ねー。あ、そうだ。おねえちゃんは」
心理定規「おやつにしましょう」
弓箭「あら?」
心理定規「おやつにしましょう。弓箭さん、手伝って?」
弓箭「はははははははははい!」
かきね「?? あれれ? ねー、よぼー? いっちゃったよ?」
誉望「しっ。おねえちゃんさん曰く、女の子には内緒の話があるらしいっス。そっとしときましょう」
かきね「そーなの?」
誉望「そうなんっス」
かきね「ないしょか。しょーがないな」
誉望「心理定規はなあ……俺たちも本名知らないからな。あ、ほら。それよりおやつにするんスよね?」
かきね「そーだ!! おやつのまえに……てをあらえ! よぼー、ちゃんとおててあらうんだぞ! 『れっつ! ぴかぴかー!』」
誉望「はーい『ぴかぴかー』。じゃあ洗面所にお供しまーす」
かきね「よーし! ついてこーい」
55 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/02/14(水) 03:19:58.79 ID:Yx9g5Tor0
>>37
ありがとーな保守小ネタ。
インフルエンザ流行ってるんだって。みんな気をつけてな。
1は個人的にらっこさんの名前は白虎と同じ発音で読んでる。脳内で。
実際に確認するにはレールガン四期が待たれる。
頂点決戦が終わっちまうってよ。垣根のSSR+結局凸終わらなかったよ。『スクール』でデッキ組むのが夢だったんだがこれからはどうしたらいいんだろうね。
なんてもう世間はバレンタインとやらですね。チョコが全然集まらねえ。
>>48
あざまっすまっす。がんばるゾー
>>49
『スクール』下部組織でがんばりゃワンチャン。
おそらく誉望が一番気軽に使える人材なので彼並みの名パシリにならないと個人オーダーはないだろうな(適当
>>50
『未元物質』の可能性は幅広過ぎてやばいからな。ピュアさわやかイケメンも網羅する。
白いのは意外とあのキャラが気に入っちゃったのかもしれない。
垣根はノリがよさそうだからなー。
56 :
ちいさいリーダーがそのままバレンタインを迎えたらネタ
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/02/15(木) 03:07:07.62 ID:kBhxhYqZ0
バレンタイン間近のとある週末
かきね「ねーねー。よぼー、『はっぴー?』」
誉望「あー、この時期は……ハッピーバレンタイン?」
かきね「あたりー! はーいちょこでーす」
誉望「はーいっス。やったーチロルのいいやつじゃないスか。俺はちっともめでたくないけど。俺からもチョコですよー」
かきね「まんまるのたまごのチョコだ!」
誉望「中にフィギュアが入ってるんですよ。かきねさんのは『世界のどうぶつ』っス」
かきね「ありがと!! えっとねー、『いっぱいちゅきー』」
誉望「はーいっ…はいい?! 誰だ、垣根さんに妙なネタを仕込んだのは?!」
心理定規「さっきからチョコ回収しながら言ってるけど。誉望君じゃなかったの?」
誉望「俺だってその辺考えて喋ります。こんな小さい子にそんなカルチャーを教えてもっスね」
かきね「『えいっえいっ! おこった?』」
弓箭「怒りませんよ。 誉望さん、『えいえい』」
誉望「怒るぞ?」
弓箭「え?」
誉望「怒るからな俺だって」プルプル
心理定規「すごんでるところ悪いけど、膝笑ってるわよ」
誉望「垣根さん。さっきのは、どれくらい好きか教えてもらうって前フリがあって完成するネタなんスよ」
かきね「ちょこもらったら『ありがとだいすきー』ってやるんだろ? すきがいっぱいだからいっしょじゃないの?」
弓箭「お可愛いらしいので何も問題ございませんよ」
心理定規「それ、教えたの弓箭さんだったの」
弓箭「よく存じませんけど。流行ってるんですよね?」
誉望「よくわからないのにオタクのブームに乗ろうとするな」
かきね「おねえちゃんもちょこくれたもんね。ちゅきー」
心理定規「ふふふふ」ナデナデ
かきね「んもー。あ、ねー。おねえちゃんは?」
心理定規「え?」
かきね「おれもちょこあげたよ。おれのことすき?」
心理定規「……」
かきね「なぁに?」
心理定規「……いっぱい、ちゅき?」
弓箭「よよよよよよ誉望さぁん!! 撮ってましたか?」
誉望「えっ、何を?!」
57 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/02/15(木) 03:12:28.51 ID:kBhxhYqZ0
弓箭「もうっ。誉望さんはいざと言う時に使えない……じゃなかった、頼りにならないんですから」
誉望「それ全部言っちゃってるな?」
弓箭「せっかく、心理定規さんがお可愛いらしかったのに、ご覧にもなっていないなんて! 信じられませんよ?」
心理定規「私、そう言うキャラじゃないから。忘れて弓箭さん」ナデナデ
誉望「つか心理定規もキャラとか気にするんスね」
心理定規「そんなに意外? ここの組織はそんな人ばっかりじゃない。みんな自意識過剰なのよ」ナデナデ
かきね「おねえちゃん、かっこわるくなっちゃう。ねー! すとっぷ、なでなでしないの」ワシャワシャ
弓箭「うふふ。でも大変お可愛いらしかったですよ」
かきね「おねえちゃんはかっこいーからな……んんん」ワシャワシャ
心理定規「もう触れないで。放っておいて」ナデナデ
かきね「もー! ゆみやー! おたすけ! かっこわるくなっちゃう!!」
弓箭「では御髪を直しましょうか? わたくしにまかせて下さい!」
誉望「垣根さんの頭がくっしゃくしゃだ。心理定規もこんな慌てるんだな……」
心理定規「何? 人の嫌なエピソードを掘り下げたりしないでね?」
誉望「意外なイベントに感心してたんです」
かきね「じゃーん! へんしん!」
弓箭「きゃーっ見てください! なんてお可愛いらしいんでしょう。わたくしが、弓箭がやりました!」
心理定規「あら。髪、ゴムで結んだの?」
かきね「ゆみやとおそろだよ」パタパタ
誉望「シルエットは深海生物みたいっスね」
心理定規「そうしてるのも可愛いわね。額を出してもいいんじゃない?」
弓箭「でしたら、次はこうして……」
かきね「やめちゃうのか? かっこよくだぞー?」
誉望「垣根さんが……パイナップルみたいに……くっ」エイキュウホゾンバンデスヨネ
弓箭「わあ垣根さん。とっても素敵ですよ」
心理定規「ふふふ。可愛い」
かきね「かっこよくしてねー?」
誉望「……」ジドウテブレホセイツキ
かきね「おねえちゃーん。ぶらしできた?」
心理定規「はい。出来ました。いつものでいいの?」
かきね「いーの。へんしんおしまい」
誉望「いやーやっぱり垣根さんはそれが一番カッコいいっスよー」
かきね「ふん。ぷーんだ。おれおこっちゃうぞ」
弓箭「誉望さんが笑うからですよ? せっかく色々なヘアスタイルもお可愛いらしかったのに」
心理定規「顔が可愛いと何をしても良く見えるわね」
58 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/02/15(木) 03:19:37.51 ID:kBhxhYqZ0
誉望「その大きな箱なんスか?」
かきね「みんながちょこくれた。だいじにしてる」
心理定規「ハァ……これ、中身はみんなチョコレートなの」
誉望「わー、ちっちゃくてきれいな箱がどっさりですねーーいやー垣根さんはモテるんスねーーー」
かきね「へへーん。でしょ!」
弓箭「今日はお休みですから。下部組織の皆さんが持って来られるんですよね。あら、もしかして誉望さんうらやましいんですか?」
誉望「ぜんぜん。チョコは五千万を超えるとただただ面倒な作業でしかないから」
弓箭「えっ……そんなにお金をかけてらっしゃるんですか?」
心理定規「きっとゲームの話じゃない?」
ピンポーン
弓箭「あ、またお客様でしょうか」
かきね「はーい! いらっしゃいませ。ちょこですかー?」
下っ端1「そうです。リーダー、バレンタインおめでとうございます」
下っ端2「よくわかんないけどおめでとうございます」
かきね「ありがとー! みんなすきだぞ〜!」
誉望「こうしてチョコが積みあがっていくのか……職場の義理チョコなのかおやつタイムなのかもうわかんないな」
下っ端1「あの……これ心理定規さんに」
下っ端2「こっちは弓箭さんに。チームのみんなからです」
心理定規「あら、リーダーのついでに? ありがとう」
弓箭「逆チョコですか? ありがとうございます。わたくしからは当日に用意しますわね」
下っ端共「はい!! ありがとうございます!!」
かきね「もー。おねえちゃんたちちゃんとおれいしなきゃだぞ? 『ありがとさんさん』だ」
弓箭「あ! 『ぴょんぴょん』のおうたですね? 存じてます! 心理定規さん。せーの、でやりましょう。せーので」
心理定規「え」
誉望「……何してんだあいつら」
下っ端1「うわぁあああリーダーマジ最高です!」
2「ありがとうございます!!」
かきね「? ふふん? いいんだぞー」
59 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/02/15(木) 03:25:21.94 ID:kBhxhYqZ0
ピンポーン
誉望「今度は何だ……なんか、垣根さん宛てに荷物が来てるぞ」
心理定規「ずいぶん大きいのね」
誉望「でもそんなに重くはないんスよ」
かきね「はーい! おれのです!」
弓箭「大きいですね。開けてみましょうか?」
かきね「うん!」
弓箭「では誉望さん、こちらにお願いします」
誉望「はいはい。箱が通りますよー」ヒョイ
かきね「まほーだ! ふわふわおにもつ!」
心理定規「誰から?」
誉望「いつものあいつじゃ……なさそうだな。こっちのは……『S先生より』って書いてあります」
心理定規「『Bおねえさんからていとくくんへ』……誰?」
弓箭「まあ、すごいチョコレートですね」
かきね「わ〜〜〜!! ねーねー、みてみて!!」
誉望「おっ? 何スか」
心理定規「どれ?」
かきね「ひこうきと、おふねと、ろぼのちょこだ!!」
心理定規「飛行機って言うか……戦闘機ね?」
かきね「こっちはかいじゅうさん!! でっかいぞ!! ゆーほーもある!!」
誉望「ウワーッ、これは……カッコいーっスね!!」
かきね「ふふふん。みんなにちょこもらっちゃった。おれ、もてもてだね?」
弓箭「そうですね。かきねさんはとってもかっこいいですからね」
かきね「おれかっこいー?」
誉望「っスねー。いやーすごいな。でもこれ、子どもへのバレンタインには規模がおかしいな?」
かきね「すごーいな。だれがぷれぜんとくれたの? ありがとしなきゃな?」
誉望「うーん……」
心理定規「そうね……?」
弓箭「良かったですねー。でしたらお手紙を書いてはどうですか? ほら、こちらに贈って下さった方の連絡先は書いてありますもの」
誉望「……どっちもどこかの研究所あてになってますけど。心理定規さん」
心理定規「まぁ……手紙くらいならいいんじゃない?」
弓箭「きっと垣根さんに喜んでいただきたい方がいるんですね。よかったですね?」
かきね「うん!!」
心理定規「本人も、喜んでるみたいだしね」
60 :
小ネタおわり。バレンタインもやっとおしまいですよ
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/02/15(木) 03:29:09.18 ID:kBhxhYqZ0
……後日、第二学区某所、某所研究施設
『せんせいへ ちょこれーとありがとござます。かっこいいからたくさんかざってます。よぼーがすけすけのはこにかっこよくしてくれました。いっぱいうれしいです ていとく』
美濃部「クレヨンの、こどもの落書きか? 一体これは」
潮岸「……くっ」
杉谷「なんだ、理事のバイタルが急に……駆動鎧の計器を確認しろ!」
美濃部「まさか、こんなものに泣いているのか?」
……その数日後、某研究所
『おねーさんへ おっきなちょこありがとござます。かっこいくておっきいはたべるのたいへんです。だいじにしてます。ゆーほーとかいじゅうさんはなかよしです。おねーさんだからはあとにしました。はっぴーばれたいん ていとく』
研究所職員「病理さんにこの画用紙と、こっちに別の包みが」
病理「……こ・れ・は、いつ届いたんですかー?」
職員「三日ほど前です。そっちのは冷蔵してあります」
病理「もっと早く教えてくれても良かったですよねー? 私宛ての荷物を放っておいたんですか?」
職員「病理さん先週の郵便物も目を通すのは『諦めた』って溜めてあるじゃないですか。その前のもそっちの山にありますよ」
病理「それは……それはそれでーす!!」
職員「先方には一応到着の連絡をしてあります」
病理「もーう! 病理さんが自分でしますから! もう一度かけて下さーい」
職員「……あれ」
病理「どうしたんですかー?」
職員「連絡先の電話番号が使われていません。プリペイド携帯ですかね」
病理「そうですか。小さい能力者の噂は聞いてますから、第二位も一度観察したかったんですが……残念でーすね」
職員「なんて、全然残念そうじゃないですね」
病理「ふふふ。あんな珍しいものはそう簡単に『諦め』られませーんもの」
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/03/16(金) 00:23:01.37 ID:/D2WnyHDO
更新してたの全然気づかなかったよ……
相変わらず可愛い
チロル配るていとくんも心理定規さんのいっぱいちゅきも滅茶苦茶可愛い
62 :
もしも誉望が大能力者の方だったらネタ
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/04/01(日) 06:25:53.98 ID:FOwSYQ0x0
誉望万化。
『念動能力』を操る大能力者(レベル4)である。
何の因果か世界の歪みか宇宙の法則でも乱れたのか、まかり間違って強能力者(レベル3)のままくすぶってしまった挙句、二次元に魂を奪われてオタクに身をやつした少年……ではない。
繰り返すが、誉望万化は大能力者だ。
学園都市の能力者の中でも、大能力と言えば少数精鋭の勝ち組。
その一つ上……超能力者はケタ違いの化け物になるが、学生の尺度で言えば相当な成功者の一人だ。
武装無能力者なんかは、その一言を聞いただけでもガタガタ震えて尻尾巻いてお家に帰るレベルだろう。
しかし、彼は格付けにあぐらをかいたただの自信家ではなくそれに見合うだけの実績も能力もちゃんと備えていた。
念動能力を応用した力を使いこなし、学園都市の暗部組織で暗躍する。
超能力者が率いる組織内でもナンバーツーを自負する実力者。
根暗でジト目、名無しの土星ヘッドギア、セリフも登場ページも少ないとか言ってはならない。
彼は出来る男なのだ。
そんな、エリート出来る男『スクール』のなんでも屋さん焼きそばパンも難なくパシってこれそうな誉望万化はこの世の終わりのような青い顔をして盛大なため息を吐いていた。
ある日のブリーフィング、いつも通り遅れてきた誉望だったが(サボっているのではない彼は多忙な男でもある。むしろ、リーダーにどやされるかもしれないリスクを彼がそう簡単に侵すのか疑問が浮かぶほどビビり…でなく、真面目な少年だ)。
高級感あふれる隠れ家で彼を出迎えたのは、高圧的で俺様でおっかないリーダー垣根帝督ではなかったのだ。
サイズは前の半分ほど、ぶかぶかの赤いセーターを着たちいさなかきねていとくくんごさいだった。
以前よりとってもメルヘンになってしまっていた。
恐偉そうおっかな人使いの荒ストレスが突然舌打ちしないで欲しい……優秀で信頼できる尊敬していたリーダーの身に起きた余りの惨事に、誉望は驚いてその場にいた心理定規を問い詰めたが。
彼女が気付いた時にはもう垣根はおこさまになっていたと言う。
原因も『スクール』総出で調べているがまだわからない。
いつものエージェント、電話の男が何か情報を持っていないか……裏で糸を引いていないかとも疑ったが、それらしい事件も手がかりもほとんどなかった。
直前に口にしたらしい飲み物に何か細工がしてあったのでは、と言うのが一番使えそうなものだったが何かおかしな研究をしていた組織や動きもつかめていない。
と、言うかいきなり子どもになるなんて全く信じられないことだった。
ファンタジーな映画の中に出てくる魔法でもなければありえない事態だ。
おかしな薬や能力でこんなことが起きるとは思えないのだが。
残念なことに幻覚ではなさそうだった。
洗脳か何かで認識を変えられている、と言う可能性も心理定規が撮った写真で潰されてしまった。
写っていたのはやっぱりちびっこだった。
「垣根さんが……こんな、ちんちくりんに」
はあ……と嘆く誉望の目の前では、小さいかきねが大きなテレビをじっと見つめていた。
かかっているのはおこさま向けに着ぐるみが踊ったりおにいさんとおねえさんが歌を歌う……そんな番組だ。
誉望は、頭からゴーグルを外すと首を振った。
彼が集めた情報によると、学園都市では垣根以外にも同じような異変が起きているらしいがまだ事件として大きく動いた様子はない。
数件観測されたものも、その対象になった……子どもの対処に追われてそれどころではなさそうだった。
どこも今の誉望たち二人のように見つかった幼児の子守で手一杯らしい。
そんな苦労や悩みは関係ないんだろう。
小さくなってしまったかきねは一人ご機嫌だった。
「『ぽんぽんぽぽーん♪ だんごっごー♪』」
テレビにあわせて振りつきで意味不明な歌まで歌っている。
「やめろ。垣根さんはそんな下らないことはしない……」
誉望はうわぁ……とうつむくと悔しそうに呟いた。
彼も、それなりにリーダーを尊敬している。
誉望の認める数少ない、自分より上位の存在の中でも垣根は少し別格だった。
垣根帝督は超能力は言うまでもなく、頭も切れて威厳もあって中身も外見も嫌味なくらい何もかも持っている完璧な存在だからまあ仕方ないよな、と納得してしまうような凄味があった。
暗部組織のトップにふさわしい冷酷な表情もよく似合う格好いい奴で、誉望はそんな垣根と居るとちょっとしたムカつきを察したり殺気にあてられて『過去のトラウマスイッチ』がはいってしまい具合が悪くなる。
そんなピンポイントでも影響力絶大な人物だった。
その垣根がどうだ、今やちんちくりんですっかりメルヘンよりのひよこさんだ。
クールな雰囲気も重圧めいたオーラも見る影もない。
たよりない幼児そのものになってしまっては、そんなの嘆かずにいられるだろうか。
誉望はやり場のない悲しみに独り拳を握った。
誉望もそれなりにプライドが高かった。
馬鹿の相手は好きじゃないし、小さい子どもも好きじゃない。
そこに、子どもになった元リーダーがバカっぽいことをしている。
まだ、そのまま大きさだけ変わったような生意気なガキだったら以前と同じように相手が出来たかもしれないが。
これは全然キャラも性格も違いそうな子どもだ。
外見以外は別人のようなのに垣根で。ちびっこ。
何をするかわからない、ムカつく、何かと面倒を押し付けられそうで、気苦労が絶えそうにない……ちびっこ。
原因は同じ垣根でも普段とは違うタイプのストレスがかかっていた。
63 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/04/01(日) 06:33:36.51 ID:FOwSYQ0x0
「今は子どもなんだからそれくらいするんじゃない」
誉望の意味不明な愚痴に心理定規が珍しく反応した。
顔をあげて振り返ると、どこから持ってきたのか少女は両手に荷物を持っている。
大きく膨らんだ紙袋だった。
「ほら。そんな格好じゃよくないわ。おうたはお休みして着替えましょう」
「おきがえする?」
「そうよ。上手にできるかな?」
「うん。おれかっこいーのがいーな」
服をどさどさ広げる心理定規と素直にそれに従うかきね。
何だかんだ楽しそうに見える心理定規に、誉望の孤独感は増した。
見慣れたセーターではなくなったかきねはすっかりその辺にいそうなちびっこになっていた。
誉望はまだそれを垣根帝督、いやリーダーとは認められない。
彼が尊敬するのは長い脚で余裕たっぷりに歩くリーダーであって、とてとて部屋の中を駆け回るちびっこではない。
「ねーねー。よぼくん、あそぼ」
「……」
少し見上げるくらい威圧と身長のあるリーダーであって、屈まないと目も合わせられないちびっこではない。
「? よぼくん、よぼーばんかくん?」
「うるさい」
おいコラ、と時に胃袋がちぢみあがるくらいドスのきいた一言を放つリーダーであって、舌足らずに名前なんて呼んでくるちびっこではない。
「おねえちゃん、よぼーくんがあそばない!!」
「うるさい! いいつけんな!」
誰かに頼るのではなく利用する。そんな何事も独りでやってのけるリーダーであって、優しいおねえちゃんにすぐ甘えようとするちびっこではない。
誉望はイラついて怒鳴った。
それまでの垣根のイメージとのギャップと、意味不明な状況への不快感といらだちもあってか大きな声だった。
驚いたのか、かきねはびくっとして固まってしまう。
それまでだったら。
眉を寄せても、厳しい目でにらんでくるのがリーダーで、悲しそうに見上げてくるちびっこではないのだが。
流石に泣かれるのは困る。
自分で言ったのもあって心理定規にも押し付けられない。
息を吐いた誉望はやけになってかきねを見下ろした。
「チッ。俺のことは万化様と呼べ。俺はすごく偉いんだぞ」
「えらいのか」
「ああ。『スクール』じゃリーダーの次に偉い。それに俺は念動使いだからな。すごいぞ」
やっと相手にされたかきねだったが、まともに扱われそうにはなかった。
なんだか適当なことを語った誉望は能力で近くの棚にあったものを宙に浮かせるとドヤ顔でかきねを見る。
最初は驚いていたかきねも、誉望が操作しているのがわかると目を丸くして笑った。
「わー……かっこいー!!」
しばらくそんな風にして機嫌を取った。
誉望が能力を披露して自分がいかにすごいやつかを教えるとかきねもそれを覚えたらしい。
「ばんかさますごいな。かっこいーな」
「フン。俺はすごいからそんなに暇じゃない。わかるか」
「うん」
「邪魔するな。あっちにいろ」
「はーい」
遊んでやらないと遠回しに言われたが、かきねはちゃんと返事をしてテレビの前に戻っていった。
64 :
エイプリルフールだよもうちょっと続くかもしれない
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/04/01(日) 06:49:30.61 ID:FOwSYQ0x0
他のメンバーにパシリかと勘違いされるくらいに普段からよく働く誉望は、何もないのに無駄に偉そうにして椅子に踏ん反りかえっているのは何だか似合わなかった。
調査は下部組織にも回して進めているが進展は期待できそうになかった。
誉望が電子操作であちこちの情報を漁っても役に立ちそうなものは出てこない。
スマートフォンを無意味に取り出しても、数分前に開いたばかりのSNSはなにも更新がなくてただホーム画面に戻すだけだった。
そんな時、離れたところからかきねが誉望の方を見ていた。
用でもあるのかなんだか気にしているようだったが、近寄ってはこない。
邪魔をするなと言ったのを律儀に守っているつもりらしい。
誉望は一度見ないふりをして、少し考えていた。
今まさに暇ですることもなくて退屈している。
そこから更に難しい顔をして悩んだが、結局誉望は手を振った。
無言の重圧に負けてしまった。
「どうした」
「あのね。ぼーるがあった!」
かきねが持ってきたのは駄菓子屋にでも置いてありそうなおもちゃの袋だった。
小さなビニールのボールが五個はいっている。
これで遊びたいのか。
そんなの一人でしていろと思うのだが、かきねだってよっぽど遊びたければ袋くらい自分で開けるだろう。
「ぼーるしよ? いーい?」
「……貸してみろ」
「すごーい!」
パッケージを開けて、指を立てた上でボールを一つ飛ばすとかきねは大喜びした。
その後、数を増やして浮かせたり投げたりしてお子様の遊びにつきあってやった誉望だった。
「すごいなーかっこいーなー」
段々と子どもの相手も慣れてきたのか、諦めたのか。
褒められると悪い気もしないだろう。
かきねが寄ってきてもイラついた態度を見せなくなってきた誉望は舌打ちをすると頭をかいた。
「……誉望でいいよ。もう」
ふざけて調子に乗ってはじめた様付けをやめる気になったのか。
それを聞いたかきねはいいの? と首を傾げてからうれしそうににこにこする。
「じゃーね、ばんか。かっこいーもん」
「……そうか?」
「ばーん! ってかっこいーの」
「あっそ」
謎のセンスだがどうやら気に入られたようで、誉望は様付けから呼び捨てに格下げされた。
「ばんかばんか、ごほんみて。よむぞー」
子ども用に服の他におもちゃなどの荷物も運ばれてきていた。
この隠れ家にはおもちゃどころか無駄なものがほとんどなかったからだろう。
かきねはその中から絵本を持って、わざわざ誉望のところにやってきた。
「『むかしむかしあるところに、おじいさんがいました。おじいさんはまいにちやまにいってたけをきっていました』よーし、ここまでわかった?」
得意げにページを広げてみせられて、誉望は別に関心もなさそうにしていた。
ひらがなだけの絵本。
中身も有名なおとぎ話だ。
心理定規にでも見せたら、大人っぽい女子目線でつっこみもいれてくれそうだ。
「これ、かぐや姫だろ」
「おれまだなんのごほんかゆってないのに! ばんかすごいな! えっと……『あるひ、おじいさんが』……んしょ」
ネタばれまでされたのにまだ続きを読もうとする。
途中まで読んでいたかきねだが、本を持ち直すのに一度下に置いた。
そこまで分厚くもない本でも五歳には重たいのかもしれない。
「ったく、貸せ」
誉望がそう言うと子どもには大きな絵本はかきねの前で宙に浮いた。
開くと勝手にページがめくられていく。
「『金に光り輝く一本の竹を見つけました』」
「わー、まほーのごほんだ」
もしかしたら、それまでの部下としての癖がつい出ただけかもしれないが。
念動能力のエキスパートになると、子守もこなせてしまうらしい。
65 :
>>62がつづいたよ大の方の誉望氏
◆q7l9AKAoH.
[sage]:2018/05/11(金) 03:36:41.93 ID:dqOtcDic0
『スクール』の隠れ家は平和だった。
誉望はゴーグルを頭に着けてぼんやりしていた。
心理定規はファッション雑誌をめくっている。
リーダー、かきねは組織宛に配送されてきた荷物からひよこのぬいぐるみを掘り出してご機嫌だった。
箱から大量に散らかしたものは放っておいても後で誉望が片付けるだろう。
そうやって隠れ家で過ごすのも慣れてきたのか。
かきねはソファの端と端でくつろいでいる心理定規たちの前で腕を組んで立つと大きな声で宣言した。
「みんなでおままこどしよ!」
「おままごとだろ」
ケーブルをコンピュータから外してヘッドギアを外す間も、誉望はいちいち言い間違いに訂正をいれる。
それでも文句も言わず遊びにつきあうあたり、二人も小さいかきねの扱いに慣れたと言うか。
すっかり影響されていた。
かきねは小さなリュックサックを持ってくると中に絵本とぬいぐるみをしまう。
「おれおとーさん。よーしぱぱがんばっちゃうぞー」
それを自慢げに背負って、会社に行くお父さんのつもりらしい。
「俺は?」
「ばんかはこどもそのいち。おねえちゃんはそのに。おれは、ぱぱだぞー!」
後の二人は特にすることは決まっていないのか配役が適当だった。
もしかしたら、自分が偉い人になるごっこ遊びがしてみたいのかもしれない。
「ばんかー、そこのぼーるとって」
誉望が能力でボールを一つ転がすと、それもリュックにしまって。
かきねは胸をはってベルトを両手でつかんだ。
「おとーさんはおしごとにいってくるからな! みんなはいいこでおするばんしてるの。わかりました?」
「お留守番」
「おへんじは」
「はいっス」
「はーい」
「よーしいってきまーす。はー、たいへんたいへん」
とことこ歩いて行って、ドアをあけ隣の部屋を一周するとかきねは元いたソファの前まで戻ってきた。
お留守番をしている二人が座っている前までくると、腕で額の汗をふく真似をした。
「ただいまー。はーつかれちゃったー」
どうやらお父さんはもう仕事をしてきたらしい。
ちょっと早すぎる気もするし何をしてきたのかはわからないが出社シーンが終わって即おかえりなさいパートに移っている。
「ぱぱたくさんおしごとしてきてつかれちゃったなー。じゅーすのんじゃうぞ。ぷはー」
「お父さん色々早過ぎないか」
「ほら、鞄くらい下ろしたら? 背負ったままよ」
自由すぎるお父さんにぼやく息子。
おねえちゃんがフォローしてごっこ遊びがなんとか進行する。
「そっか。ばんかーおかばんかたしてー」
「っス」
リュックは念動能力で近くのテーブルの上に移動した。
やるきのないパシ、もとい片づけだったが、お父さんは思った以上に感動したらしい。
「よーしおてつだいできたな! えらーい。ぱぱほめたげるよ」
そう言うと、かきねは座っている誉望の前までやってきて手を広げた。
「は?! い、いいっスよそんなの」
頭を撫でようとしているらしいことに気付いて慌てて誉望は首を振る。
だが、頭を下げろと肩や頭をぺしぺし叩かれて最終的に差し出す様に頭を垂れた。
そこから。
される方には地獄の、こっぱずかしいほめほめタイムがはじまった。
「いーのいーの。ばんかはいいこでえらーい」
「……っ」
66 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/05/11(金) 03:42:06.18 ID:dqOtcDic0
「いっつもえらいぞー」
「ありがとな」
「えーっとたお、たおり……なんだっけ? ありがとよろしくねーのやつ。たおりの」
「『たよりにしてます』かな?」
「そう! たよりにしてるぞー」
そんな風に次々浴びせられる容赦のない褒め言葉と頭を小さい手でひたすらぽんぽんされて。
下を向いてじっとしていた誉望だったが、急に肩を震わせはじめた。
「かっ、かぎねざん……っ」
「どした? よしよし、よしよし」
「ううっ……」
心配したかきねにますます頭を撫でられて誉望は泣いていた。
日頃、クールぶってジト目でためいきなんかついたりしている奴が、ぐすぐす鼻を鳴らしていた。
『スクール』に大事件があって精神的にも疲れていた。
イラついたり落ち着かないでいたせいもあっただろう。
そこにこの仕打ち。
普段、褒められることはまずない。
心理定規は気を利かせて「お疲れさま」くらいは言ってくれるが。
パシリがなにかこなしたからと言ってご苦労、となるかと言ったら。あのリーダーだ。まずならないだろう。
一応、小さいとは言っても垣根帝督がそんなことを言うのは誉望にはなかなかの衝撃だったらしい。
「おねえちゃーんばんかがね。ないちゃったよ?」
「疲れてるのよ」
呆れたように淡々とした声で心理定規は言ったが、かきねに向けられる表情はにっこり優しい。
「おつかれさんか? よーしまってろ!」
元気よくまたどこかに走っていくかきね。
屈み続けていた背中をようやく上げた誉望は、その後ろ姿を見てぼんやりした顔で首を傾げた。
「垣根さんが……優しい。何だこれ、天使?」
「そうね。可愛い」
いつものような皮肉や冗談でなく文字通りの天使さんの降臨に感動する保護者二人だった。
「んしょ。ほーらばんかおふとんだよ。ぱぱがもってきたげたよ。えらいだろ?」
「わー、パパ優しいのね」
なぜか毛布を運んできたかきねにぎょっとして誉望は横を見た。
だが、相手の言動を理解するのに一番頼りになるはずの心理定規はにこにこ笑ってすっかりおままごとにあわせている。
ふざけたことをいいながら、毛布を広げる手伝いまでしていた。
「ほーらぐるぐるー」
「っス」
誉望を頭だけ残して毛布でラッピングすると。
かきねは満足そうにうなずきながら心理定規たちの間に空いた空間に座った。
二人が仲良く並んで座るなんてことはなかったのでスペースがたっぷりあったが、かきねが来ると心理定規が余白を詰めてしまった。
「おつかれさんはな。ねんねんだぞー。ねーんねんねん、ねーんねんねんねん……」
そしてまた、今度は誉望の肩をぱしぱし叩きはじめるかきね。
妙なリズムで揺らされている誉望は困惑して首だけで心理定規に助けを求めたが、
「あの……セミの声みたいになってんだけどこれは」
「しーっ。ちゃんと言うこと聞いて」
相変わらずの小悪魔スマイル(ちょっと優しげ)で首を振られてしまった。
「いいからねんねしろ。この、おつかれさんめ!」
「はぁ、昼寝を強要されてる……」
「よーし。もうねんねんしたか?」
どうだ? と疑いの目を向けてくるかきね。
どうしよう、と困る誉望。
笑顔のままうなずく心理定規。
誉望は観念して、ぐっと目を閉じた。
67 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/05/11(金) 04:01:54.72 ID:dqOtcDic0
じっと黙っていてもかきねが様子をうかがっているのが誉望にはわかった。
このごっこ遊びで、機嫌を損ねでもしたらいったいどうなってしまうのか。
今は遊びに誘った本人よりも、つきあっているだけの心理定規の方がなぜか威圧的に感じていた。
笑顔の裏の圧力がおっかない。
そんなことを誉望は、使役される側の人間として発揮する察しの良さで気付いていた。
もし、最悪泣かせると……どうなるかわかったものではない。
そんな風に緊張感がまして、思わず唾をのみこむ。
いつものように胃が痛くなったように感じたのはおそらく誉望の気のせいだが。
たかが子どもの遊びだったはずが、元・超能力者のリーダーの手にかかるとどう転ぶかわからない駆け引きに早変わりしていた。
「……」
「ほんとかな? ねんねんしてるとね。へんないびきをかく」
「あら、そうなの?」
「そーなの」
黙って寝たふりをしようとしている誉望に、更に難題が振られた。
疲れた人を休ませたいはずなのにこのリーダー、ではなく今はお父さんは、なかなか無茶を要求してくる。
「スヤァ…スヤァ…んごご…ぴー、しゅるしゅる……ブフッ」
最後の最後で我慢できずにしくじってしまった。
おやすみ判定に失敗した誉望に、かきねはドヤ顔(ちいさめ)でもう一枚毛布を広げて迫ってきた。
「あーっわらった! おきてるだろわるいこさんめ! もっとぐるぐるするか?」
「わーっ寝ます、寝ますって!」
これ以上物理的な優しさ(毛布)に包まれたら窒息してしまうかもしれない。
既にほとんど身動きの取れない誉望はブンブン首を振って必死でお断りをした。
残念そうだったが、最終的に誉望がいいこにしていることに納得してくれたらしく過剰包装は回避できた。
しかしこのお父さん、寝かせたいのか遊びたいのかどっちなのか。
「よーし。ばんかはおやすみだ。おねえちゃんはなにしてるのかな?」
誉望は大人しく、毛布に顔を埋めてじっとしている。
おつかれさんをお休みさせるミッションを終えて、満足そうなかきねは今度はこどもそのにの心理定規の隣に座った。
心理定規はファッション雑誌を手に続きを読んでいた。
「ごほんよんでるのか。えらいぞー。なんのおべんきょ?」
「ここに書いてあるのは……お洋服とお化粧かな?」
「なんでおようふくのおべんきょするの?」
「そうね……みてると楽しいし。着たい服が増えるのよ。買い物にも行きたくなっちゃうけど」
「そっか。おねえちゃんかわいいのにもっとかわいくおべんきょするんだなーえらいぞー。よしよし」
そう言って小さいお父さんはよいしょ、と心理定規の頭をぽんぽんした。
「ふふ、パパはなんでもほめてくれるのね?」
「おとーさんはとってもえらいからな。えらーいひとはみんなをよしよしするのもたいへんなんだ」
「そう。大変ね」
珍しく、少し照れくさそうな顔をした心理定規だったが。
すぐいつものように笑うとかきねの髪をくしゃくしゃっと撫でた。
既に何度か試しているので、頭を撫でるとかきねが嫌がるのは知っているはずだった。
嫌がると言っても恥ずかしいのか、
「もー、やめて!」
とぷんぷんするくらいだったが。
自分もされたお返しだよと言いたそうな心理定規の手から、かきねはやっぱり頭を下げて逃げてしまった。
「こら、ぱぱをよしよししないの!」
「お仕事の間お留守番してたの。私も偉いでしょ?」
ご褒美、と言って心理定規が腕を回す。
つかまってしまったかきねはちょっと考えてからよいしょ、とおねえちゃんの頭にもう一度手を伸ばした。
「もー。おねえちゃんあまえんぼだな。よしよし。はい、じゅんばんだよ」
「じゃあ次は私がしていいの?」
「いいよ。とってもえらーいできたもんな。ごほーびだもん」
しょーがないなーと言って撫でられてあげるかきねだが、嫌そうな顔はしていなかった。
68 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/05/11(金) 04:22:57.14 ID:dqOtcDic0
「そうだ。私もいっぱいほめてもらおうかな」
「……!」
横目でそこまでの流れを伺っていた誉望だったが。
心理定規がそう言って、誉望の方をじっと見たので慌てて目をそらした。
「でもまだ私はよしよし出来てないわね。パパはとっても偉かったのに」
「おねえちゃんは、ぱぱによしよしして……よしよししてほしーの?」
「ダメ?」
「う〜〜ん……いいよ!」
ご褒美として条件付きとは言っても、あんなに嫌だと言っていた頭なでなでをゆるしてしまったかきねはすっかり抵抗感が薄れたのか。
あっさりオーケーがでた。
心理定規は得意の心理術をフル活用して、いつもよりちょっとチョロくなっているリーダーに付け込んでいる。
誉望は声も出せないまま震え上がった。
いくらちょっと小さくなってしまったからと言って、垣根相手にそこまで出来るのは彼女くらいのものだろう。
流石は『スクール』さえも陰で操る実力者、と噂され下っ端に恐れられている少女。
その力が今、可愛いものを存分に愛でるために使われている。
「おねえちゃんはあまえんぼさんだなーもー」
「いいでしょー? 誉望君にはいっぱいしてたじゃない」
「おそろがいいのか。はーい、じゃあもっかいおれのばん。よしよしするぞ」
交代してね、と言って心理定規はかきねを自分の膝に乗せた。
すぐ横で小さいパパとおねえちゃん……小さいリーダーと同僚がイチャつきはじめている。
しかもリーダーが完全に手玉に取られている形で。
状況のいたたまれなさに誉望は耐えかねて固く目を閉じたが、さっき腕ごとぐるぐる巻きにされたので耳は塞げなかった。
だが、そこは大能力者。
こんな危機的状況でも彼は冷静に対処して、念動力で自分の周囲の音をデリートした。
そうすると、あとは暗くて暖かい毛布の居心地の良さだけが残った。
それまでミイラのようにじっと安置されていた誉望がばっと目を開けた。
「…………っは?! やっべ、すっかり寝て……」
寝たふりだったのがいつの間にか本当に眠り込んでしまっていた。
慌てて静かな部屋の中を見回すと。
かきねと心理定規は仲良くソファに並んだままこちらも眠っていた。
かきねはシャツがめくれて少しお腹が出てしまっている。
心理定規はかきねの方にもたれてすやすや寝息を立てていた。
もぞもぞ立ち上がった誉望は、そんな光景に黙って携帯を向ける。
その後で自分をぐるぐる巻きにしていた毛布を二人にかけてやった。
「……はぁ」
日頃から、組織の為に働く誉望にはつきものの仕方なさそうなため息だったが。
一つ小さな雑用を片付けたその表情はいつもより少し満足そうだった。
69 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/05/11(金) 04:28:38.81 ID:dqOtcDic0
ドーモ。
このあと大きい方の誉望氏はなつき度があがり、小さいリーダーに対してもよくパシりにいくようになる。
おやつのあげすぎでおねえちゃんさんに叱られ、らっこさんとリーダーの遊び相手をとりあってきゃっきゃするようになると思う。
やさしいせかい。
もし垣根が元に戻ると、後でリーダーにものすごく気味悪がられるだろう。
なんかシチュとか被ってる気がする気にしないでくれ。
三木さんや、わしゃ腹がへったんじゃが三期はまだかいの?
>>61
まだ読んでくれてる人がいたなんて>>1もびっくりだよ……
ほのぼの癒しをめざしている
かわいいはつよい
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/14(月) 07:37:23.54 ID:qyEW2PLp0
なんでも褒めてくれる垣根チャン
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/05/19(土) 04:34:34.00 ID:jPBqA6sNO
いつ読んでも可愛いしか言葉が出て来ない
72 :
メタなばた
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/07/07(土) 03:25:18.53 ID:ypZKPndo0
かきね「よぼー。ただばた」
誉望「?」
かきね「ただばた。『おーほしさーまー♪ きーらきらー』だぞ」
弓箭「七夕ですね」
かきね「ただばた? たな?」
心理定規「たなばた、ね。それだとただ働きみたいな響きでちょっと嫌ね」
かきね「これもらった。おねがいするんだろ?」
誉望「おー、短冊っスか」
弓箭「そう言えば大きい笹が通りに飾ってありましたね」
心理定規「星にお願いごと? 学園都市なのにこう言うイベントはやるのね」
誉望「ロマンチックだからじゃないスかあ?」
弓箭「ふふふ……イチャついて遊び呆けていたリア充の行事ですよね。真面目に働けばよかったんじゃありませんか?」
心理定規「二人とも露骨に嫌そうな顔しないの」
かきね「ほらみんなのもあるよ。なにおねがいしよっかな〜」
誉望「う〜ん。メクちゃんのプリズムレベルが全種類lv5に出来ますように。物欲センサーが死にますように、あと……」
弓箭「誉望さん、それは幾ら何でも短冊に書くには悲しくありませんか?」
誉望「切実なお願いだ、いいだろ。どうせお前は『友だち百人出来ますように』とかだろ」
弓箭「そっ、そんなことは……お願いしませんよ」
心理定規「何にするの?」
かきね「んっとねー。『すーぱーひろーになるよ』にしよっかな」
心理定規「ふふ。ヒーローに?」
かきね「うん。かっこいーからな。おねえちゃんは?」
心理定規「どうしようかな。お願いね……小さいものは叶えてもらえるから」
かきね「そーなの」
心理定規「そうね。例えば『おやつにアイスが食べたいな』って言うと」
かきね「あれ。かかないの?」
心理定規「大丈夫。誉望君が買ってきてくれるわ」
かきね「すごいな。おれはね、ぷりん」
弓箭「でしたらわたくしはシフォンケーキが」
誉望「七夕の短冊ってパシリのメモじゃないっスよね?」
73 :
あれ改行どこいった
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/07/07(土) 03:29:15.08 ID:ypZKPndo0
誉望「じゃあもう少し切実な願望にしとくか」
弓箭「なんですか?……『垣根さんが早く元に戻りますように』……そんな、本気ですか?!」
誉望「お前こそ正気ですか! 最初は数日だけですぐ戻るって話だったんだぞ? それがなんだよ。もう半年以上ずーーーーっとちっちゃい気がしますが俺がおかしいんですか?」
弓箭「誉望さん、漫画でもあるじゃありませんか。夏の話を秋が終わっても連載していたり」
誉望「それは……仕方ないやつだよ」
心理定規「認識されない時間の経過は無いのと同じよ」
誉望「まあ……お前なんかまだ本編の方にも出てないもんな」
弓箭「もう構いませんわ。先にこちらでご挨拶するからいいんです! なんですか、誉望さんはいいですよね。こちらではみなさんとお買い物に行って、垣根さんとお外でいちゃいちゃしやがる予定がおありなんでしょう?!」
かきね「おでかけ? する!」
心理定規「そうね」
弓箭「わっ、わたくしだって……公園に遊びに行ったりしたいです。うらやましいです。妬ましいです。隠れリア充誉望さん爆ぜてください」
誉望「誰がリア充か。素直かよ」
心理定規「大丈夫よ。弓箭さんまだたくさん活躍のチャンスがあるから」
弓箭「そっそうですよね。わたくしですものねクラスの皆さんだけでなく大勢のみなさんにももてはやされてしまうようになりますものね?」
誉望「その溢れまくってる自意識はどっから来るんだ」
弓箭「誉望さんは長いとおっしゃいますけど。色々なことがありましたから楽しかったです。ハロウィンでしょう、クリスマスにバレンタイン、雪遊びをしてお花見も行きましたし」
誉望「え? 待て。特に後半俺知らないぞ」
心理定規「お花見行ったじゃない。誉望君が」
弓箭「場所取りをしてくださいました」
かきね「じゅーよーにんむだったな」
誉望「わかんないの俺だけ? えっ怖いんですが?」
心理定規「あ、あれよ。時期ネタはタイミングを逃すと出しづらいからって」
誉望「無いのと同じじゃないスか」
弓箭「それではわたくしがこたつと熱い闘いを繰り広げたのも」
かきね「きえちゃった」
74 :
小ネタですまんね
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/07/07(土) 03:32:31.00 ID:ypZKPndo0
弓箭「あら。垣根さんまだ短冊はお書きにならないんですか?」
心理定規「お願い、わからなくなっちゃったのよね」
かきね「ひーろーもね。おれ、かっこよくなるからおねがいいいもんな」
誉望「なんか欲しいもんとかしたいことないんスか?」
かきね「んー。おれね、みんなといっしょがいいな。おやつもおでかけもたのしーもん」
心理定規「……そうね」
弓箭「わっわたくしともたくさん遊んでくださいね?」
かきね「うん。あそんだげる」
誉望「いやー。いい最終回だったな!! ……って」
心理定規「誉望君……」
かきね「ばいばいか? みんなとばいばいするの?」
弓箭「あああああああっ垣根さんそんなお顔なさらないで下さい。わたくしも悲しくなってしまいます」
かきね「おれ、ばいばいやだなあ……」ヒック
誉望「だってこれちょうどいい感じのおれたただなって……冗談スよ!? わーっごめんなさい垣根さんごめんなさい! だからあの泣くのはうおおお弓箭やめろこっちに物騒なものを向けるなください」
かきね「……よぼーもいっしょ?」グス
誉望「俺も一緒っスよ。みんなと一緒にいますって」
弓箭「さようなら誉望さん」
心理定規「またいつか会えたらよろしくね」
誉望「変な事言ってすいませんでしたから垣根さん囲んで離れてくのやめてください」
心理定規「バイバイ誉望君」
弓箭「ごきげんよう」
かきね「えっと。またね?」
誉望「ごめんって」
75 :
なんで改行すぐしんでしまうん?
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/07/07(土) 03:43:12.50 ID:ypZKPndo0
ドーモ。
おひさし。
アニメが秋にくるからリア充に便乗したお願いは1はいいかな。
1です。垣根が動いてて死にました。バッサァでへんな笑いが出て、瞳にハイライトを確認してしまい何とも言えないきもちです。なにあれイケメルヘン神々しいしゅごい
きっと強い方の誉望さんもあれにはゲ、嗚咽が止まらないと思います。
さーて来週のていとくんは?
「誉望、臥す」「みんなでおかいもの」「はじめてのおでかけ」の三本です?
>>70
お友達に「心配してくれるらっこさん」や「怒ってくれる定規ちゃん」、「3%の確率で虹演出を出すゴーグル」がいそうですな
>>71
かわいいはつよい
なんか改行がおかしくてよみづらくてごめんな。ちゃんとテキストはコピペされてるんだけどな?
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/22(日) 21:02:53.63 ID:6YECq9oU0
元に戻ったリーダーが写真見たらどんな反応すんのか気になる(笑)
めっちゃ可愛いすぎです
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/23(月) 00:27:37.35 ID:ErKi9DJm0
☆「決めた。この子達の世界を守る」
コロンゾン「協力しよう」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/22(水) 12:42:40.31 ID:Rb1Q6reo0
はー、かわいい。はー……かわいい、天使、かわいい、ねっとり読み返しちゃう……はーかわいい
下部組織の結束とかはこのスレの世界線の方が強そう
79 :
もしもスクールが全員小さくなってたら
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/10/25(木) 03:36:38.51 ID:DL4YFnjy0
下っ端1「緊急事態発生、以下のチームは至急指定の場所に集合……って話だったよな?」
下っ端2「って、連絡があってきてみたら」
下っ端3「なんか……みんなでテレビ見てるぞ」
下っ端4「まじかよ。なんだこれ」
喋る犬『やあ、良い子のみんな。私は……そうだな、わんこ先生とでも呼んでくれ。君たちにここに来てもらったのは他でもなく……何、子どもにこの口上は通じないって? いや、様式美だよ。オホン、君たちにはそこに居る他の子と友達になってもらおうと思っている。もしかしたら初めて会う相手かもしれないが、仲良くできるかな? そのためにこうして集められたと思って貰いたい。そう、おともだちを作るお勉強に協力して欲しいんだ。わかるかな?』
かきね「みんなでなかよししなきゃいけないのか。だって。よろしくね」
よぼう「やだ。なんでおまえらなんかと」
金髪少女「……」
ゆみや「はわっ、よ、よよよよよよよろしくおねがいします」
かきね「なかよくしてねってわんちゃんがいってたよ? おやくそくできないのか? えっと……」
よぼう「ばんか。いわれたからっておれはおまえたちとおともだちになんかならない」
ゆみや「……けんか、こわいです」
金髪幼女「……」
喋る犬『これから、君達の面倒はお兄さんたちがみてくれる。大人の言うことをよく聞いていいこでいてくれ。先生からのお願いだ。仲良く、いいこにね。なに、心配はいらないさ。また連絡をする、それまでしっかりと……責任を持って任務を遂行してくれたまえ』
かきね「はーい!」
よぼう「いぬがしゃべるわけない。どうせつくりものだ」
金髪少女「………」
ゆみや「わんわんなのにおじさま、かわいいですね」
下っ端1「正規構成員全員に異常事態って、これかよ。おいおい大丈夫なのか?」
下っ端2「一体何がどうなってんだ」
下っ端3「心理定規さんが……」
下っ端4「これじゃあ超能力者もカタなしだな。前から嫌だったんだこんなとこ。オレはもう抜けるぞ」
下っ端2「あ。おい」
下っ端1「放っとけ」
下っ端3「いいのかよ」
下っ端1「そんな簡単に組織から抜けられるわけねえだろ。それより今は何がどうなってんのかわからねえけど、とりあえず連絡は来てんだ。いつも通り指示に従おう。うまく行ったらその他大勢から昇格できるかもな!」
下っ端3「意外と野心家かい」
下っ端2「しっかし、なんで子どもになったんだ?」
下っ端1「見た目はそんな変わってないな。こっちがリーダーの垣根さんだろ」
かきね「はーい。おれ、りーだーなの? えらい?」
下っ端3「これが誉望さんか? 目つきワッル」
よぼう「はぁ……」
下っ端2「後は心理定規さんと」
めじゃーはーと「……」
下っ端3「弓箭さん、ちっちゃいな」
ゆみや「はわわわわわ(なんでこのひとたちはらっこのおうちのおなまえしってるんでしょう? ででででででも、みんなしらないひとばっかり……ふえ、らっこどうしたらいいの)」
80 :
保守小ねたです
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/10/25(木) 03:39:14.90 ID:DL4YFnjy0
下っ端2「とりあえず、何だって」
下っ端1「今は別のチームがそれぞれ調査して情報かき集めてるから、俺たちはリーダーたちの様子みてろって」
下っ端3「あ」
下っ端2「どうした」
下っ端3「Dチームのヤツらが『誉望さん昼のレイドにこれそうですか』って。いや、無理だよな?」
下っ端2「あいつら、遊んでんじゃねえぞ?」
下っ端1「あー。みなさん、お兄さんたちがこれからお世話をします。みんなで仲良くできます?」
かきね「んー。いいよ」
よぼう「やだ」
めじゃーはーと「……」
ゆみや「はうぅ」
かきね「おれはね、りーだーでえらいから、みんなとおともだちになろうとおもう」
ゆみや「はわっ(おおおおおおおおとこのこのおともだち、はじめてです。どうしよう)」
めじゃーはーと「……」
よぼう「おまえがりーだー? ぜんぜんえらそうじゃないのに」
かきね「なんでだ。おれはていとく、えらいんだぞ」
よぼう「おれはそんなのしらない。おまえむかつくな」
かきね「なにそれ?」
よぼう「きらいだっていった」
かきね「まだこんにちはしたばっかだぞ。せっかちさんめ。だいじょぶ、おれはやさしいからなかよくしたげるよ」
ゆみや「ああああああの、らっことも……なかよくしてくれるんですか?」
かきね「うん。おともだち」
ゆみや「お、おおおおおおおともだち……!」
めじゃーはーと「……」
よぼう「ふん。かっこつけ」
かきね「ふふん。おれは、かっこよくてえらいからな」
よぼう「ふーん。あのあわあわおんなよりちっちゃいのに?」
かきね「いいの! おれはりーだーなの! おいちゃんもゆってたろ。おれ、おっきくなったらかっこよくなるもん。それにえらいの!」
よぼう「おれよりこーんなにちっちゃいくせに」
かきね「そんなちっちゃくないもん。これくらい」
よぼう「じゅっせんち」
かきね「ううん。これくらい」
よぼう「ごせんちだ」
かきね「こんくらいだもん。ほら、いっしょくらいだ」
よぼう「ぜんぜん」
かきね「んっ、ほら。いっしょだよ」
よぼう「……せのびしたろ」
かきね「なんでそんないじわるゆうの。もー。なかよくだよ!」
よぼう「おれはしたくない」
81 :
スクールなのに幼稚園
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/10/25(木) 03:44:53.34 ID:DL4YFnjy0
ゆみや「(はうううううううう、みんななかよくできないです。どうしよう。ららららららっらっこがちゃんとしなきゃ! らっこもおねえさんできます! がんばっておともだちにならないと)あああああああああああの!」
めじゃーはーと「……なぁに」
ゆみや「ら、ららららららっこと……おおおおおおおおお……おはなし、してください!」
めじゃーはーと「……いいよ」
ゆみや「あのね。らっこっていいます。よろしくね?」
めじゃーはーと「うん」
ゆみや「おおおおおおおなまえは?」
めじゃーはーと「……」
ゆみや「さっき、おじさまがめじゃぁはぁとさんてよんでましたね? おなまえですか?」
めじゃーはーと「ううん」
ゆみや「で、でもはーとまーくとおんなじでかわいいですね! そうです、はぁとちゃんってよんでもいいですか?」
はーと「……かわいいの?」
ゆみや「はははははははい! とってもかわいいです」
はーと「そう。えっと……いいよ」
かきね「はぁとちゃんてゆうの? よろしくね」
はーと「……うん」
よぼう「……ふん。おれはあんなのとなかよくしないんだ」
かきね「よーし。みんなであそぼ」
ゆみや「なにしてあそぶんですか?」
かきね「なんだろ。しりとりする?」
はーと「いいよ」
かきね「じゃあね。『りす』」
ゆみや「す、す……『すすき』」
はーと「『きつつき』」
かきね「またきだ。えっとね……」
よぼう「ふん」
82 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/10/25(木) 03:53:55.53 ID:DL4YFnjy0
ドーモ。
お久しぶりです。
多分週末には1は死んでいるからその前にあっちもこっちもなんとかしたかったが伸びてしまって無理そうだ。
またよみがえったらおつきあいください。
SS速報も復活してよかった。ほんと。どうもありがとうございます。
>>76
誉望(大)は秘蔵して、ゴーグルはなるべく本人に見せない様にするのでは?
しかし恥ずかしがるリーダーはきっと超激レアですね。誉望は(どっちでも)死ぬ。
かわいいはつよい。
垣根に天使が備わり最強に見えるだろ?
>>77
☆ァw
ロー(ryまで
世界はこうして平和になった……のか?めでたしめでたし
>>79
スレが違うだけでちっちゃくなってんのはおんなじリーダーだよ。これ豆な
最近はレベル4の方の誉望さんがリーダーの不在で病んでるから、ていとくんいい加減に元に戻してやりたい(妄想)
83 :
全員小さな『スクール』だったら
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/11/09(金) 03:58:25.76 ID:C2Xr/OUh0
下っ端2「面倒見てろって言うけどよ、子どもの面倒ってどうすりゃいいんだろうな」
下っ端1「外連れてくか? その辺の公園でいいか?」
下っ端3「第六の遊園地じゃねえの?」
下っ端2「いきなりんなとこ行くかよ。全員で迷子になんだろ」
かきね「こうえんであそんだらおやつだぞー。みんないいこであそぶんだぞ!」
よぼう「なんだ。がらすか」ポイ
めじゃーはーと「……」
かきね「みんなきいてる? あれ。らっこちゃんは?」
よぼう「むこうでむしおっかけてる」
かきね「むしいるのか。あっとんぼだ。おーい、おいでおいで」ユビヒョイ
かきね「……」ヒョイヒョーイ
かきね「こないな」
よぼう「ぷ」
かきね「おい! ばんか! いまわらったろ!」
よぼう「ううん」ブンブン
かきね「うそだな。おれがわらったってゆったら、わらったの! おこるぞ!」
よぼう「ぜんぜん。おもしろくないし」ブンブン
かきね「わらった」
よぼう「」ブンブンブンブン
かきね「えい」ヘンガオ
よぼう「ぷふーw」m9
かきね「ほーら。わらった」ドヤァ
めじゃーはーと「……ふふ」
かきね「あ! はぁとちゃんもわらったろ。ほら、わらったわらった。やっぱりな」
はーと「わらってない」
かきね「わらった」
はーと「わらってなーい」
かきね「わらったぞーおっかけるぞー」タタタ
はーと「きゃー! ふふふ」トテテ
よぼう「あーあ、あんなのじゃすぐつかまるぞ」
下っ端1「何してるんだろうなあの人たち」
下っ端2「さあ……楽しそうだな」
ゆみや「じゃじゃーん! みてください、かまきりです!」
よぼう「はらびろ」
ゆみや「そうです。はらびろかまきり、ばんかくんしってますか」
かきね「すごーい。かっこいーな!」
よぼう「かして」
ゆみや「はい」
かきね「あれ、かまきりどうすんだ? おみずあげんのか?」
ゆみや「あっ、ばんかくん」
よぼう「にょろにょろ」ニョロニョロニョロニョロ
はーと「」
84 :
うん。またなんだ、済まない
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/11/09(金) 04:01:11.87 ID:C2Xr/OUh0
かきね「なんだこれ。すっげー!」
ゆみや「だめですよ! かまきりみずたまりにつけちゃ」
かきね「だめなのか」
ゆみや「そーです! にょろにょろするとよわってしんじゃうんですよ?」
よぼう「えっ」
かきね「すっげー。おみずでぐるぐるしてる。ね、これなにがでてきたんだ?」ニョロニョログルグル
よぼう「えっ、えと……たましい?」
かきね「あーあ。たましいとっちゃった」
よぼう「かまきり……おまえ、しぬのか」
はーと「ひっく、うぅ……」
ゆみや「はわわわわわわわわ、はぁとちゃん、こここここわかったですね! あっちでちょうちょをさがしましょ? おはながいいですか? ね、ももももももうだいじょぶです」
はーと「ぐす……ちょうちょ?」
ゆみや「はははははい! かわいいのつかまえてあげます。らっこにまかせてください」
めじゃーはぁと「……うん」
ゆみや「よし! い、いいいいいいきましょう(はわわわわわらっこがちゃんとしなきゃ)」スッ
めじゃーはぁと「うん」ギュ
下っ端1「弓箭さんめっちゃ天使だな」
下っ端3「ロリ天使」
下っ端1「さーさー皆さんおやつの時間だぞー」
かきね「わーい!」
ゆみや「おやつですって。たのしみですね」
はーと「うん」
かきね「えー。くっきーしかないの? ぷりんはーけーきはーあいすはー?」
下っ端1「リ、リーダー……今日のおやつはクッキーです」
かきね「え〜……」
よぼう「……しょぼ」
ゆみや「でででででも、くっきーおいしいですよね。ね、はぁとちゃんはなにすきですか?」
はーと「……ちょこ」
ゆみや「はぁとちゃんちょこがいいんですか? おじさま、ちょこありますか?」
下っ端1「あー、ごめんね。お兄さんチョコは持ってきてません」
はーと「……」シュン
ゆみや「ああああああしたはきっとちょこですよ。おじさまにおねがいしときます。げんきだしてください。おいすがありました。あっちでおやつにしましょ」
はーと「……うん」
下っ端3「明日はみんなでスイーツバイキングに行こうぜ。金なら出してもらえんだろ?」
下っ端1「名案だな」
85 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/11/09(金) 04:07:24.69 ID:C2Xr/OUh0
かきね「あれ。ばんかは?」
ゆみや「ばんかくんですか?」
かきね「まゆげのおいちゃんがおやつくれたときはいたんだ」
はーと「あっちかな?」
かきね「そっか。みてくるね」
ゆみや「ははははははぁとちゃん!らっこのここあのくっきーあげますね。ちょこじゃないけどいいですか? こうかんこしましょ」
はーと「……ありがと」
ゆみや「! いいいいいいいいよ! らっこふつうのくっきーだいすきです。あ、おちゃもくれましたよかんぱいしましょ。かんぱい」
はーと「かんぱい」
ゆみや「はーとちゃん、おちゃかいってしってますか? みんなでおじょうひんにするんですよ。おほほほほ」
はーと「うふふ」
かきね「みつけたみつけた、みつけたよーん。ばんかこんなとこいたのか? なーにしてんの?」
よぼう「……べつに」
かきね「ありさんだ。あ、それおやつのくっきーだろ。なあ、なにしてたの?」
よぼう「さっきすをみつけた。こいつら、みんなでえさをもってくんだ。だからくっきーわって……」パラパラ
かきね「ふーん。はたらきもんだ。えらいな」
よぼう「……うん」
かきね「ありさんとおやつしてたのか。へー。みんなとおやつしないの?」
よぼう「……」パラパラ
かきね「おれのくっきーもやーろお。あれ、くっきーどこだっけ? たしかぽっけに」
よぼう「……あ」
かきね「ん?」
よぼう「すっご」
かきね「わぁあああああ!!」ワラワラ
よぼう「なんでそっちにいったんだ? おまえ、おかしこぼしたのか?」
かきね「ひっく……ありが、ありがあしにいっぱい」
よぼう「なくな。もうとれた」ペシペシ
かきね「おれたべられちゃうか?」
よぼう「へーきだろ。にんげんはあまくないし」
かきね「もーいないか?」
よぼう「たぶん」
かきね「ありがと。うーん……なんかもしょもしょする」
よぼう「しかたないやつだな。いこ。おいちゃんにとってもらお」
かきね「うん」
よぼう「おいちゃーん、てーとくんのずぼんにありがついた」
かきね「まゆげのおいちゃん、くっきーふえなかった。でね、ありがいっぱいもてもて」
86 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/11/09(金) 04:09:37.60 ID:C2Xr/OUh0
下っ端1「お兄さんだよ! クッキーがどしたんです」
かきね「『ぽーけっとーをたーたーくーと♪』したんだ。でもくっきーもひとつになんないぞ」ペシペシ
下っ端2「リーダー、ポケットに入れて叩いてもお菓子は増えないんすよ」
かきね「そーなの?!」
よぼう「おかねも?」
下っ端2「十円玉……誉望さんも、魔法のポケットじゃないんで増えないっすね。あーあクッキーの粉まみれだ、着替えます? 持ってきてたよな」
下っ端1「リーダーたちの服ならある」
下っ端3「おれら心理定規さんたちには触んなって言われてるからな」
下っ端2「女子にはなんかあったら連絡しろ、だからな。じゃ、ほらリーダーあっち行ってください」
よぼう「そんな。おかねいっぱいたたいたのに」
かきね「ざーんねん。じゃ、おれおきがえしてくる」
下っ端1「ギャー、ポケットから蟻が!!」ワラワラワラワラ
かきね「だからゆったろ! おれもてもてなの!」
下っ端2「あれ、誉望さんどこ行った?」
下っ端3「アリの巣に水でもいれてんじゃね」
よぼう「こら。そこはかまきりうめたんだ、おまえらいっちゃだめだ。こっちだぞ」パラパラ
はーと「あのこなにしてるの?」
ゆみや「かまきりにおはかつくってあげたんですね。ああああああの、ていとくんかえってきたらみんなでおちゃかいつづきしましょうね!」
はーと「……いいよ」
ゆみや「(みんなであそんでおやつもしたらきっともうおともだちですね! やった! らっこもおおおおおおおともだちがこんなにできました!)」
87 :
すき。
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2018/11/09(金) 04:18:32.10 ID:C2Xr/OUh0
ドーモ。
ちっちゃいスクールが少し続いた。
がんばれらっこさん。
三期がはじまってますがみなさんいかがお過ごしでしょうか。
>>1
は元気です。毎週アニメみて元気に死んでます。
見た後は効きすぎてガチで眠れなくなるからリアタイ回避と言う手もあるが毎度我慢はできない。
禁書と『スクール』の過剰摂取は健康に影響があるんだね。
実を言うと、>>1はもうだめです。
突然こんなこと言ってごめんね。
でも本当です。
…
…
18時間後にものすごく赤い目の奴がきます。
それが、終わりの合図です。
程なく大きめの暴走が来るので気をつけて。
それがやんだら少しだけ間をおいて、終わりがきます。
ごめんなさい。当たり前に苦しくって、痛くってつらい、終わりかたです。
それじゃ、もうお仕事なので。
さよなら、またね。
ごめんね、ありがとう。
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/09(金) 22:40:36.90 ID:BytM8Yok0
チャイルドエラー
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/10(土) 01:07:15.99 ID:s2yW2iSQ0
ものすごく赤い目の奴「かきねくんでもぐらたたきするのたのしー」ドカバギ
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/11(日) 13:24:48.67 ID:aK44Pp660
>>89
草
91 :
とある
[sage]:2018/11/17(土) 00:02:11.06 ID:1yxYDGgS0
心理定規可愛いよぉペロペロ(^ω^)
天使
92 :
ちいさいリーダーとクリスマス
◆0S9Trjf4dQ
[saga]:2018/12/24(月) 04:14:42.72 ID:qnB4XcRx0
誉望「俺は今年はとても良く頑張ったからクリスマスの朝には垣根さんが元に戻ってるんじゃないかと思う。本来は出番がない所までよくやったと言うことで!!」
心理定規「億が一でも、彼がプレゼントされる可能性はないと思うけど」
弓箭「垣根さんはプレゼント何が欲しいんですか?」
かきね「さんたさんにおねがいしたからだいじょぶだよ」
心理定規「ねえ。誉望君何か聞いてる?」
誉望「え?俺スか? 垣根さんの欲しいものリスト更新されてないっスかね」
心理定規「今はそっちじゃなくて。相手をしてる時に何か言ってなかった?」
誉望「俺より弓箭のが遊んでるし詳しいんじゃないスか」
弓箭「残念ですが存じあげません。垣根さんがそんなことをおっしゃっていたらわたくしちゃんと覚えています!」
誉望「垣根さん何か欲しいとかあんま言わないもんな。おもちゃも菓子も」
かきね「くりすますはぱーてぃーするんだよな? あのね、みんなでぱーてぃーしよ。おれね、かざりするひと」
心理定規「誉望君、ツリー」
誉望「とりあえずツリーは買うんスか」
弓箭「星の大きいのにしましょう。誉望さんわたくしにも画面見せてください」
かきね「ぴかぴかするやつ! あ! おれもみる」
心理定規「誉望君、LED電飾も」
誉望「んないっぺんに、ちょっと待って下さい……うお、垣根さん近いっス。はいはいゴーグル! こっちのタブレットで弓箭と見てて下さいね!」
かきね「となかいさんだ! ほらゆみや、みてみて」
弓箭「ソリの置物もありますね。可愛いですね」
かきね「これでおかいものするの?」
弓箭「ええ。ここを押すと欲しいものが買えるんですよ」
かきね「えい! できた?」
弓箭「はい! とってもお上手です。大きなトナカイがカートに入りました」
かきね「あとね。くつしたがね、たくさん。ぷれぜんとはいるおっきいのな」
弓箭「プレゼント用のなんてあるんですね。わあ、大きいのがありますよ。自転車も入るんですね……はっ!! めっ、心理定規さん、もしサプライズをするならリボンと靴下どちらがよろしいと思いますか?」
心理定規「……人間用は任務で使ってるのが余ってるけど、上からラッピングでもする?」
誉望「沢山スか。垣根さんのと……一応みんなの分もいるんスか? 四つでいいスか?」
かきね「えー。たりない。こぶんのみんなのもいるだろ?」ポチポチポチポチ
誉望「あっ、ちょっすごいカートに入れられてる!!」
かきね「みんなのどれくらいたくさん?」
心理定規「下部組織の子って全部で何人だったかしら」
弓箭「皆さんの分も用意して下さるなんてなんてお優しいんでしょう。あ、垣根さん垣根さん、これも買いましょう」
かきね「よーし。いいよ」ポチ
誉望「おいそこ、特に弓箭。ちゃんと会計前に確認するぞ」
心理定規「誉望君、そっちはブーツのお菓子セットでいいわよ。サンタクロースを待つ様な子もいないでしょ」
かきね「ながぐついいなー」
心理定規「じゃあもう一つ買いましょうか?」
かきね「やった!」
誉望「人数分ってそれでも多くねえっスか? 『スクール』で領収書切れますかね」
心理定規「ならとりあえず、編成されてる子の分だけでいいわ。班ごとでいいんじゃないかな」
誉望「お菓子の詰め合わせ貰っても……あいつら困らないかな」
93 :
※対イベント仕様で小さいままお送りしています
◆0S9Trjf4dQ
[saga]:2018/12/24(月) 04:22:43.59 ID:qnB4XcRx0
かきね「けーきは? みんなもけーきたべるよね?」
心理定規「誉望君、冷凍ケーキ。班ごとに」
誉望「今度は多くないスか。そんなに食います?」
心理定規「クリスマスケーキはホールじゃない? 小さくてもいいし、男の子だから平気でしょ」
誉望「はいはいゴーグル」
弓箭「後は何をご用意しましょうね?」
かきね「うーん……えびふらいは?」
心理定規「誉望君」
誉望「有頭っスか?」
弓箭「チキンはどうするんですか?」
誉望「予約するから捌かなくていいぞ」
弓箭「そっそこまでしませんよ!!」
誉望「こんなところか。ひとまずこれで注文しときます」
心理定規「それじゃあ、私達のクリスマスケーキはどうしましょうか。どんなのがいいかな?」
かきね「よーし。さくせんかいぎだ」
誉望「カタログだけでこんなにあるんスか」
かきね「いっぱいあるな。おれはね、さんたさんがのっててくりーむでおいしーのがいい!」
誉望「それだと条件が広すぎて全然絞れないっスね」
弓箭「色々あると迷いますね」
かきね「あ、おねえちゃん、ゆみや。ほら、きらきらのかわいーけーきだよ。かわいーのがいい?」
心理定規「本当ね、可愛い。でもこれお酒が入ってるんじゃないかしら」
弓箭「そうですね。ちょっとわたくしたちには早いですね」
かきね「なんで?」
誉望「大人の味なんスよ」
かきね「よぼーもだめ?」
誉望「お菓子くらいなら俺たちも平気っスけど、垣根さんはまだ食べられないっスよ」
かきね「そっか。みんないっしょのにしよ」
心理定規「やっぱりこう言うのじゃない? 苺が乗ってて、ホイップクリームの」
かきね「いちごのもたくさんあるな」
弓箭「そうですね。どれにしましょうね」
かきね「あ! よぼー、ほら。よめだよ。ばってんだよ?」
誉望「ああ、メクちゃんのケーキっスね。もう予約してるから大丈夫っスよ。特製メッセージカードも付いてます」
弓箭「それ、お一人で召し上がるんですか?」
誉望「いや、年末までにみんなで頼んだケーキ持ち寄って片付けるかって話もあって。胃袋の総数に対して数が多いんで、正直甘いもんは当分大丈夫なんスけど」
心理定規「そのお友だちは現実に存在してるの?」
誉望「いますって! えっと、うちのD班の奴らとか、青」
弓箭「でしたらそちらの方たちのケーキは注文をやめておきますか? そんなに召し上がれませんものね」
誉望「は? そんなことして他の奴らが貰ってるのがばれてみろ。心理定規たちからのクリスマスケーキが貰えないなんて……つってボコボコにされるぞ? 俺が」
かきね「たくさんでおなかこわすなよ。みんなにな、ちゃんとはみがきしてねってゆっといてね」
誉望「ほらー、垣根さんのがよっぽど気が利いてるぞ弓箭!」
弓箭「え? ええっ……わわわわたくしはただ過剰な贈り物はご迷惑にならないかと心配しただけなのに……」
誉望「お前、やりすぎかそうじゃないかの判定一応あったのか」
94 :
おしまい。いいクリスマスを
◆0S9Trjf4dQ
[saga]:2018/12/24(月) 04:38:17.43 ID:qnB4XcRx0
心理定規「とりあえずこんなところで必要なものはいいかしら? また何かあったらお願いね」
誉望「はいはいゴーグル」
弓箭「クリスマスが楽しみですね」
誉望「去年は配信と攻略更新とゲームのイベントとキャラケーキの消費とイベントとイベントの周回と箱の開封作業に追われてたんスけど……まさか垣根さんたちとクリスマスやるなんて思ってなかったっス」
心理定規「そうね。でも、でないとあの子寂しがるでしょ?」
誉望「そーっスねえ」
かきね「ゆみやはさんたさんにおねがいした?」
弓箭「わわわわわたくしですか? ええと、そうですね……まだ決めてません」
誉望「そんで……プレゼントどうします?」
心理定規「何とかするわ」
心理定規「クリスマスイブになった訳だけど……きっと、いつものね。今度はこの子宛てにクリスマスプレゼントがきたわ」
かきね「じゃじゃん! これです!!」
誉望「迷惑な足長おじさんは髭のおっさんにジョブチェンジしたんスか。何ぃ? 中身は変形するゆきだるマシーンだって?」
かきね「うん! みてみて、かっこいーな!」
誉望「これは……良いものだ。垣根さん、サンタクロースには何を頼んだんスか?」
かきね「ないしょ!」
弓箭「こちらの箱はなんでしょうか? あら、『もぐら叩き』ですか?」
誉望「くっ、妙な悪意を感じる……きっといつものアイツだろう、と俺のセブンセンシズが伝えている! 何故かはわからないが、これは『未元物質』が降ってくる案件だ……! 以前の垣根さんだったら、まずかったと言うのか」
弓箭「誉望さん、ちょっと何言ってるのかわかりませんよ」
かきね「よるになったらぱーてぃするのか?」
心理定規「ええ。楽しみね」
弓箭「ツリーも素敵です。誉望さん、やりますね」
誉望「高さがありすぎて残念ながら俺が組み立てから最後の星まで付けたわけだが」
弓箭「わたくしも、仕上げは垣根さんにしていただきたかったです」
誉望「ちゃんと指示通りにやったから垣根さんも喜んでたし、部屋の飾り付けの半分はお前らでやったんだからいいだろ」
弓箭「『誉望さんスイッチ』ですか? 大変楽しそうでしたね」
誉望「後は、心理定規がうまくやってくれるだろ」
かきね「あれ? ……あれ? ねえ! さんたさんきた! ぷれぜんとがある!」
誉望「おやーいつのまにー全然気づかなかったなーーー」
かきね「よぼーとあそんでやってたからな。さんたさんかえっちゃった」
誉望「サンタクロースは超絶忙しいっスから」
かきね「そだな。んんー? あのな。ぷれぜんとにこでいいのかな?」
誉望「サンタのおじさんとサプライズおじさんは別の人っスよ」
かきね「ちがう。おれね、『みんなですっごいぱーてぃできますよーに!』っておねがいしたの。ちょーだいせいこーだったな! ぷれぜんといいのかな」
誉望「そっ……それは、垣根さんが良い子にしてたから、ご褒美じゃないっスか? そうっスよ!」
かきね「そっかなあ」
誉望「そうです! ほ、ほら心理定規たちにも報告してきたらどうスか!」
かきね「うん! いってきます!」
誉望「いってらっしゃいっス……うおー、そっちか。予想と常識の斜め下に来るか、天使おっかないな。あれだな、あれはきっと弓箭が」
ゆみや「はわ、わわわわわ! かかかかか垣根さん!」
誉望「尊死する」
95 :
◆0S9Trjf4dQ
[saga]:2018/12/24(月) 04:51:12.79 ID:qnB4XcRx0
ドーモ。
1です。うん。また小ネタなんだ、すまない。
そして鳥盛大に間違っているがこれで合っているはず……!
なんあkここのところ記憶が曖昧でな……あに、あにめ?三期、やった?
>>88
これはエラーなんだろうか?むしろこの場合サクセス!なのでは?
>>89
垣根はもぐらポケモンだったのか。三体集まって進化する(垣根、未元体、垣根オルタ)
あと目がまじですごい赤かったなw
>>90
電話の男からクリスマスにもぐら叩きが送りつけられるフラグですねw
>>91
やばいな『スクール』みんな天使じゃないか(ゴーグル以外)
96 :
◆q7l9AKAoH.
[sage]:2018/12/24(月) 05:05:37.47 ID:qnB4XcRx0
連すまテストではあってたけどどうかな
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/12/24(月) 22:09:39.84 ID:YrNau2Pp0
クリスマスイヴに更新してくれるSS作者は信用できると言う学園都市の調査結果がですね
98 :
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2019/02/03(日) 03:56:23.73 ID:1hHITJ2d0
豆まき
かきね「おにはーそと!」
弓箭「福はー内!」
誉望「何騒いでるんスか」
心理定規「豆撒きだって。無邪気なものね」
弓箭「誉望さんもやりましょう!」
誉望「やらないし鬼の面を押し付けるな」
かきね「みてみて! ぴすとる」
誉望「わー。どこからもらって来たんスか? なんか子どもの遊びにしてはずいぶんガチな火器に見えるんスけど」
弓箭「弾は煎り豆です!」パパパパン
かきね「ごーぐるもあるよ」
弓箭「誉望さんじゃないですよ。安全用の眼鏡です」
心理定規「節分だから鬼役の駆動鎧をみんなでやっつけるイベントをやるんですって」
誉望「それはちょっと楽しそうっスね」
心理定規「でも武器も豆も有料なのよね」
誉望「……私物で出たらまずいと思いますよ?」
心理定規「そんなことしないわよ?」
弓箭「垣根さん。練習しましょう!」
かきね「いいよ」
誉望「だから俺に鬼を押し付けるなって!」
弓箭「誉望さんあれやりたがってたじゃないですか。弾丸坊主」
誉望「豆でも当たったら痛いやつだろ?」
弓箭「縁起ものだから大丈夫ですよ。さあ、逃げて下さい!!」
誉望「そんなわけあるか!」
かきね「おににげちゃった」
心理定規「そうね。豆撒きってなんだったかしら」
99 :
節分はまだだったな。頂点が懐かしいな
◆q7l9AKAoH.
[saga]:2019/02/03(日) 03:59:30.12 ID:1hHITJ2d0
恵方まき
誉望「垣根さん何してるんだ?」
弓箭「どうしても巻き寿司を切らずにそのまま召し上がりたいとおっしゃるので」
心理定規「細いお寿司で我慢してもらってるの。本当は危ないからやめて欲しいんだけど。ほら、途中でお茶は飲んでも大丈夫よ?」
かきね「んん」モグモグ
誉望「それで無言なんスか。おいしいっスか」
かきね「んん」コク
誉望「中身なんスか」
かきね「んびむむ」モグモグ
誉望「……なんスか?」
弓箭「海老マヨネーズ巻きだそうです。誉望さん、しーっです。挑戦してらっしゃいますから。邪魔しないで下さいね」
誉望「恵方巻きか。でかい巻き寿司ちびちび食うんなら丼のが良いな」
弓箭「そもそもどう言った習慣なんですか?」
心理定規「さあ」
誉望「垣根さん、やっぱ昔から意外とネタに乗ってみたいとこあったんスかね」
心理定規「すぐに飽きてくれるといいんだけど」
弓箭「あら? 垣根さん、大丈夫ですか? よよよよ誉望さん!」
誉望「なんだよ。垣根さん? どうしたんスか」
かきね「んむ」グス
弓箭「なっ、泣いてらっしゃいません?」
心理定規「平気?どこか苦しくない?」
かきね「……おなか」
心理定規「痛いの?」
かきね「いっぱいになっちゃった」ケプ
誉望「これは食べきれなくて悔しいんスかね? 心理定規さん」
心理定規「かもしれないわ。途中で飽きなかったわね」
かきね「あとでつづきたべてもいい?」
弓箭「食べてる間はちゃんと出来てましたから! きっと大丈夫ですよ。お茶飲みますか?」
かきね「うん。がんばる」
誉望「垣根さんも昔は辛抱づよかったんスかねえ」
心理定規「負けず嫌いな所があるのは変わらないのかしら」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/30(火) 22:53:30.11 ID:gZft96vAO
グッバイ平成
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