吹雪「どうして鎮守府に敵が…?」

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112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/12(木) 21:26:00.27 ID:DzKxoHjA0
龍驤「じゃあ、ウチらは行くな」

古鷹「うん、じゃあお願いしちゃうね、ありがと」ニコッ


古鷹(よし…、一回考えをまとめてみよう)

古鷹(恐らく、私たちはこの鎮守府ごと捨てられた。資材の無さ、提督から指示がなかったこと、そもそも鎮守府に私達みたいな練度の低い艦だけ残された時点でおかしかったんだよ)

古鷹(でも、もし本当に捨てられたとしたら一体鎮守府を捨てる理由って何だろう…? 確かにこの鎮守府は不便なところにあるけど…)


古鷹(執務室に何かヒントがあるかもしれない…。勝手に入ったらダメだけど、みんなが危険に晒されてる以上、というよりも捨てられたんなら勝手に入ってもいいよね?)

古鷹(よし、今から見に行こう。本当はみんなで固まっていた方が行動しやすいけど…しょうがないよね)

古鷹(えっと、川内ちゃんは4階の見張り室、龍驤ちゃんたちは厨房だから、潜水艦の娘と霞ちゃん、清霜ちゃんはこの会議室にいてもらおう)

古鷹「霞ちゃん、私ちょっとお手洗いに行ってくるね? もし何かあったらみんなをよろしくね?」

霞「…! ま、任せてっ!」

古鷹「それじゃあ、お願いね?」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 21:28:58.57 ID:DzKxoHjA0
♦ ♦ ♦

・9月13日 1700

〜厨房〜

龍驤「よし…、夕飯は吹雪や白雪たちが採ってきてくれたアサリがあるからちょっと豪華にできるでぇー!」

白雪「そうですね…アサリご飯にアサリとワカメの味噌汁、それにユーちゃんとゴーヤちゃんが獲ってきてくれた魚ですね!」

龍驤「ワインが飲みたくなるなぁ〜」

吹雪「龍驤さん…」ゴソゴソ


吹雪「って、あれお水がもうない…」

白雪「あっ、あさりの塩抜きとか、私たちが体を洗い流したときに結構使っちゃったもんね…」

吹雪「龍驤さん、私、お水汲んできますね! 一人じゃそんなに持てないから白雪ちゃんも一緒に行こ!」

白雪「うん、手伝うよ」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 21:31:43.86 ID:DzKxoHjA0
龍驤「そんなら、ウチは軽く下ごしらえしとくなぁ、よろしく頼むで!」

吹雪・白雪「「はーい!」」

吹雪「じゃあいこっか、白雪ちゃん!」トテトテ

白雪「うん」トテトテ

♦ ♦ ♦

吹雪「今度は山登りだねー」

白雪「アサリを採りに行ったときは階段で山の周りをぐるっと回っていったけど、今度は山の中だね」

吹雪「うん、なんかこうなってくると山の中にも階段が欲しくなるね…。歩きにくい…」


白雪「そうだね…、ん…? あれ、階段の方からなにか来てない…?」

吹雪「え、階段…?」山の上から覗き込む

駆逐イ級「」のっそのっそのっそのっそ
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 21:34:26.77 ID:DzKxoHjA0
吹雪「あ、あれって敵じゃんっ!」バッ

白雪「ふ、吹雪ちゃん、静かに! 体勢を低くして見つからないように!」バッ

吹雪「う、うん…。で、でもどうして敵が…。というよりそもそもあいつらって歩けたの?」ヒソヒソ

白雪「歩けたかどうかは分かんないけど…」ヒソヒソ

白雪「多分、私たちが鎮守府の正面でさっきの敵と会敵してる時に忍び込んだんだと思う…」ヒソヒソ

吹雪「そっか、その時に…。それに階段とはいっても山の木々で上からは見えにくくなっているし、そもそもこの島に入ってきてるなんて思わないから川内さんの見張りからも逃れていたんだね」

白雪「ど、どうする、吹雪ちゃん?」ボソボソ

吹雪「え、えっと、とりあえず敵の数を…」ヒョコッ

吹雪「敵駆逐3、敵軽巡1、後あれは…重巡かな?」ボソボソ

白雪「うん、多分重巡だと思うよ。そいつもいるから全部で敵は5だね」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 21:39:36.82 ID:DzKxoHjA0
>>115

最後の二行の敵の数を訂正します

【訂正後】

吹雪「敵駆逐4、敵軽巡1、後あれは…重巡かな?」ボソボソ

白雪「うん、多分重巡だと思うよ。そいつもいるから全部で敵は6だね」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 21:40:51.30 ID:DzKxoHjA0
吹雪「と、とにかく、私達だけでは相手できないよ! 鎮守府に戻ってみんなに報告しないとっ!」

白雪「そうだねっ! あいつらの動き、かなりのろいみたいだし、行こうっ!」ダダダッ

♦ ♦ ♦ 

〜厨房〜

吹雪「龍驤さんっ! た、大変ですっ!」

龍驤「どうしたんや、そんなに慌てて」

吹雪「て、敵が、山の中から!」

龍驤「敵? なにがあったんや?」

吹雪「え、えっとえっと」


白雪「敵の駆逐が4、軽巡が1、重巡が1。鎮守府裏手の階段からこちらに近づいています。恐らく私たちが鎮守府正面で敵とやり合ってる時に忍び込んだと思われます」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 21:42:53.83 ID:DzKxoHjA0
龍驤「な、なんやって!? それで敵はどこまで来てるんや!?」

白雪「はい、敵は海面とは違いかなり動くのが遅いので少しなら余裕があると思いますけど、それでももう結構近くまで来てると思います」

吹雪「それと、山の木々がうまく敵の姿を隠していたみたいなので川内さんもまだ気づいてないと思います!」

龍驤「よし、分かった! 吹雪、キミは確か走るのが速かったよな?」

吹雪「は、はい! 多分他の人よりは速いと思います!」

龍驤「それなら、会議室にいる子らを呼んで来てや! 後、見張り室にいる川内もや!」


吹雪「了解ですっ!」ダダダッ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 21:45:57.32 ID:DzKxoHjA0
龍驤「よし、ウチらは出来ることをやるで! 白雪、弾薬は積んでるか?」

白雪「はいっ! 連装砲と魚雷もありますけど…、陸地じゃ魚雷は使えませんね」

龍驤「よし、そんだけありゃ十分や! 敵側に空母はいないみたいやし、ウチが制空権を取るから、白雪は山に隠れながら、敵を撃破してや!」

白雪「は、はいっ!」(怖いけど…みんなを守らないとっ、私にできることを…!)

白雪(今度こそは…!)

♦ ♦ ♦

〜鎮守府裏手、森の中〜

龍驤「白雪、危なくなったらすぐに逃げるんやで? あいつらは動きがとろいんやろ?」

白雪「…はい!」

龍驤「…よし、行くで!」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 21:53:07.93 ID:DzKxoHjA0
龍驤「艦載機のみんなよろしく頼むで!」ブゥーン


ドガーンドガーン

龍驤「っち、ダメや、駆逐1隻撃破したけど他は近づいてきてるで!」

龍驤「白雪、頼むで!」

白雪「は、はいっ!」カマエッ

白雪「狙いよし…撃ち方はじめ…」ドガンドガガガガガ


重巡「うぼあーっ!」ノッソノッソ

白雪「っ…」(だ、ダメっ! 山に隠れながらだと木が邪魔で狙いが定まらないっ…)


白雪(このままじゃ、また足を引っ張っちゃう…)

龍驤「くっ、ダメや、火力が足りへんっ!」ヒューゥ(敵も大分鎮守府に近づいてきてる…!)

ドゴンッドガガガン

龍驤「よ、よし、軽巡中破や! …けど、止まらへん、このままじゃあかんでっ。吹雪はまだか!?」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/12(木) 21:55:40.11 ID:DzKxoHjA0

白雪「…龍驤さん、ごめんなさい」

龍驤「ん、なんかいったk」

しゅばっ!

白雪「ここは通しませんっ!」ズガガ

駆逐イ級「ごぎゃああっ」ぱらぱら…

白雪「や、やりました! 敵駆逐撃破っ」

龍驤「白雪、何を勝手に階段の方に降りとるんや!」


重巡リ級「がぁ…」


龍驤「〜〜っ! さ、避けるんや!」

白雪「えっ」

重巡リ級「うぼぁーっ!」

どがんっどがぁんっ!


白雪「きゃあああっ!!」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 21:58:26.58 ID:DzKxoHjA0
龍驤「し、白雪っ!」

白雪「う、うぅ…」ボロッ(…やっぱり、私ってダメだな)

龍驤「ま、まずい! 白雪、走るんや! そんなところに居たら敵の格好の的に…!」

龍驤「くそっ、艦載機も間に合わんし…。ウチの足じゃなおさらやけどっ、助けるには走るしかあらへんっ! 白雪っ白雪、逃げるんや!」ダダダッ

白雪「っぐ…」ボロッ(龍驤さんの指示を無視して階段に降りて、結局迷惑をかけて。それなのに敵を止めることもできなくって、足を引っ張って…)

白雪「あぁ、ごめんなさい…」

重巡リ級「うぼぁーっ!」

どがぁんっ

白雪「ごめんね、吹雪ちゃん…」ギュッ
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 22:00:04.00 ID:DzKxoHjA0
 

 白雪ちゃんっ!

 
白雪「えっ」(誰かに持ち上げられた?)


ずどーんっ!


吹雪「…よかった、間に合ったみたい」ニコッ

白雪「吹雪、ちゃん…」

吹雪「ごめんね、遅くなって!」

白雪「ごめん、ごめんね…吹雪ちゃん。うっ、ぅぇっ…ぐすっ」ポロポロ

吹雪「白雪ちゃん私が来るまで頑張ってくれたんだね、後は私に任せてっ!」

龍驤「吹雪っ、よくやったで!」

吹雪「はいっ!」

重巡リ級「うぼぁーっ!」どがんどがんっ
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/12(木) 22:03:01.49 ID:DzKxoHjA0

龍驤「吹雪っ! 川内達はどうしたんやっ!」

吹雪「そ、それが会議室にも見張り室にも誰もいなくて…」

龍驤「な、なんやとっ…いったいどういう事や」

敵重巡「うぼぁーっ!」どごぉぉん!

龍驤「あ、アカン、ここにきて敵の弾幕が激しくなっとる…! って、ま、まずっ」シュバッ

駆逐イ級「ぐぎゃああっ!」

どがぁんっ

龍驤「こ、こりゃあちょーっちピンチやで…」ボロボロッ


吹雪「りゅ、龍驤さん! くっ、私がみんなを守るんだからっ!」ドガァンッ

駆逐イ級「ぎゃぁぁぁっ」ぱらぱら…

吹雪「よ、よしっ」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/12(木) 22:05:42.01 ID:DzKxoHjA0
重巡リ級「うぼぁーっ!」

吹雪「うわっ、あ、危ないっ」ヒョイッ

龍驤「くっ、ふ、吹雪、一旦退くんや! 立て直すでっ!」

吹雪「は、はい! 白雪ちゃん! 白雪ちゃんしっかりして!」(すごいケガ…私がおぶるしかない…!)

吹雪「大丈夫だからね」オブリ

白雪「う、うぅっ…」

龍驤「吹雪、はよせい!」

吹雪「は、はいっ! はぁ…はぁ…」


ずがぁんっずどぉんっ

白雪「ふ、吹雪ちゃん…私はいいから、もうここで降ろして?このままじゃ吹雪ちゃんまで…」

吹雪「嫌だよ! 絶対助ける、白雪ちゃんを置いて行く位なら、ここでやられた方がましだよっ!」

白雪「吹雪ちゃん…」

龍驤「よ、よし、! 吹雪、白雪、こっちや!」

ずががんずどんっ!

吹雪「はぁ…はぁ…」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 22:07:04.67 ID:DzKxoHjA0
白雪「うぅっ…」(最後まで私は迷惑を、不甲斐ないよ…自分が情けないよ…)ギュッ

白雪「ほんとに…ごめん、ね……」ガクッ

駆逐イ級「がぁぁっ!」どがぁんっ!


龍驤「あかんっ! 吹雪、白雪避けるんや!」


しゅばっ

龍驤「ふ、ふるっ」

吹雪「よ、避けられなっ」(ここまでか…やっぱり私なんて…)

どがんどがぁんっ


吹雪「あ、あれ、無傷…?」

古鷹「大丈夫? 吹雪ちゃん、白雪ちゃん?」

吹雪「ふ、古鷹、さん…?」

古鷹「良かったよ、間に合って」ニコッ

吹雪「ふ、古鷹さん、わ、私の代わりに敵の攻撃を…」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 22:08:44.41 ID:DzKxoHjA0
古鷹「あんな駆逐艦の攻撃なんて、私には効かないから大丈夫だよ」

吹雪「古鷹さんっ、古鷹さんっ…私もうダメだと思って…白雪ちゃんもいるのに、避けられなくって…」ポロポロ

古鷹「吹雪ちゃん…」ナデナデ

吹雪「ごっ、ごめんなさいっ…」ポロポロ

古鷹「…」ギュッ


古鷹「さっ、泣いている場合じゃないよ。まだ敵はいるんだから、吹雪ちゃんまだ戦える?」

吹雪「はいっ!」

龍驤「吹雪っ! 白雪っ! 古鷹っ!」ズルッズルッ

古鷹「龍驤ちゃんも大丈夫!?」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 22:14:52.36 ID:DzKxoHjA0
龍驤「まぁ、ちょっち、な。ほんのちょーっちだけまずいなぁ…たはは」

古鷹「…じゃあ、白雪ちゃんを頼めるかな? ここは私と吹雪ちゃんに任せて」


龍驤「…了解や。今のウチじゃ足手まといやしなぁ…」


龍驤「…中破しても大破してもええから、生きて帰ってくるんやでっ!」ニコッ

吹雪「はいっ! それじゃあ白雪ちゃんをお願いしますっ!」

龍驤「む、気絶しとるな。分かった、二人とも暴れてきてなっ!」グッ

龍驤(くぅっ、こりゃ足に来とるなぁ…。いや、ウチよりもまずは白雪を入渠させへんとダメや)ズルッズルッ


古鷹「よし、とりあえずは安心だね。吹雪ちゃん、今の敵の情報は?」

吹雪「は、はい、えっと…重巡1、駆逐1、軽巡1です!」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 22:18:19.19 ID:DzKxoHjA0
古鷹「了解。なら、まずは軽巡から沈めるよ」

吹雪「は、はいっ!」(…本当に勝てるのかな。敵の重巡、かなり大きい…)ブルブル


古鷹「…吹雪ちゃん、怖い?」

吹雪「い、いえっ、大丈夫ですっ!」ビシッ

古鷹「大丈夫、落ち着いて。私が必ず守るから。…同じ場所で眠るのは、前世の私達だけで十分だもんね」ニコッ

吹雪「…! はいっ!」ドキッ(震えがなくなった…)


古鷹「よしっ、行くよっ!」

吹雪「はいっ! 吹雪、頑張りますっ!」

吹雪「当たってくださいっ!」ズガガガッ
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 22:22:26.02 ID:DzKxoHjA0
古鷹「まずは、あなたですっ! 沈んでっ」ドガァンッ


軽巡ホ級「ぐぎゃあああっ」ぱらぱら…

吹雪「や、やりましたっ!」

古鷹「まだだよっ! 最後まで気を抜いちゃダメッ!」

吹雪「はいっ!」


古鷹「敵は連携を取れてない、私たちは連携を取っていくよ! まずは駆逐を沈めるよっ!」

吹雪「はいっ!」

古鷹「吹雪ちゃん、私が弾幕を張って二隻を足止めするからその間、吹雪ちゃんは駆逐を集中して狙って!」

吹雪「分かりました!」


重巡リ級「うぼぁーっ!」

駆逐イ級「ぐぎゃあああっ」

古鷹「吹雪ちゃん、おねがいっ!」ズガガガガガガガガガガガガッ


吹雪「今だっ!」ズガガガッ


駆逐イ級「ぎゃあああああっ」

吹雪「なっ、し、しずまなっ…」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 22:23:15.12 ID:DzKxoHjA0
重巡リ級「ぐがあああ」ずがぁんっ

吹雪「あっ、まず…」(…当たるっ)

古鷹「危ないっ」ギュー

ずどぉんっ!!!

古鷹「うぐっ…」

吹雪「ふ、ふるっ…」

古鷹「うっぐぅ…よ、よそ見しないっ! …沈んでっ」ズガガァン

重巡リ級「ぐがあああああっ」ぱらぱら…


駆逐イ級「ぐぎゃああああっ」

吹雪「古鷹さんっ! 今度は私がっ、守るんだからっ!」ズガガガンズガァンッ


駆逐イ級「ぐがぁぁ」ぱらぱら…

吹雪「はぁ…はぁ…」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 22:25:20.08 ID:DzKxoHjA0
古鷹「…作戦完了だね、お疲れ様吹雪ちゃん」ニコッ

吹雪「古鷹さん…私…」

古鷹「ん、どうかした?」ボロッ

吹雪「わ、わたっ、し…ま、守られてばっかりで、ぐすっ…結局、古鷹さんに被弾させてしまって…、どうしていいか分からなくて…」ポロポロ(また…寒い、寒いよ…)ブルブル


古鷹「…でも、最後に吹雪ちゃんは私を守ってくれたよね?」

吹雪「あ、あんなのは…」

古鷹「私たちは艦隊(チーム)なんだよ? お互いが庇いあうのは普通の事なの。だから、私は吹雪ちゃんを庇ったの。でも、吹雪ちゃんも私を庇ってくれた」

吹雪「…」

古鷹「ね、だから、謝罪は無し! ね?」 

古鷹「あ、もちろん感謝はしないとダメだよ? 吹雪ちゃん、ありがとねっ」ニコッ


吹雪(あったかい…。古鷹さんが私を暖かい場所にまで連れてきてくれたみたい…)
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/12(木) 22:27:19.43 ID:DzKxoHjA0
吹雪「うっ…ぐすっ、は、はい…、あ、ありがとうございます、古鷹さん」ゴシゴシ


古鷹「…落ち着いた?」

吹雪「はい、ありがとうございます…」

古鷹「もう、吹雪ちゃんは白雪ちゃんのお姉さんなんだからそんなに泣き虫じゃだめだよ」ナデナデ

吹雪「あっ…は、はい…///」(う、うわわ、な、何これ、顔が熱いっ!)


古鷹「よし、じゃあみんなの所に戻ろうか?」


吹雪「はい!」

吹雪「…あ、そういえば、川内さんとかゴーヤちゃんたちってどこに行ったか知ってますか?」

古鷹「え? 会議室にいなかったかな?」

吹雪「いえ、居なかったですけど…」

古鷹「あれ、おかしいなぁ…。まぁ、白雪ちゃんと龍驤ちゃんも心配だしとりあえず鎮守府に戻ろっか?」ニコッ

吹雪「は、はいっ!」ドキドキ

古鷹「…」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/13(金) 00:13:07.98 ID:auf6yCdJo
ふむ
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:22:59.06 ID:aiS2sff8O
♦ ♦ ♦

・9月13日 1710(ヒトナナヒトマル)

〜見張り室〜

川内「ふぅー、そろそろ夜戦の時間だなぁ…。敵もどうせなら夜に来てくれればいいのに、ってこんな時に不謹慎だね…」

川内「それにしても、今日は全然寝てないからさすがに眠いー!」ノビー


川内「それにしても、穏やかな海…」


川内「…ん、鎮守府正面からまた何か」ジーッ

ざざざざざざざざざ・・・・・・

    ざざざざざざざ・・・・・・・・
 

川内「て、敵艦隊っ! …軽巡1、駆逐3の水雷戦隊だっ」(眼は…青緑色に光ってるみたいだね)


ざざざざざざざざざ・・・・・・・・


川内「すっ、すごいスピードで真っ直ぐにこっちに来てる! くっそぉ、ここの放送も使えないし、走ってみんなに知らせないとっ」ダダダッ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:24:52.18 ID:aiS2sff8O
〜会議室〜

がちゃっ

川内「みんなっ、いるっ!?」

清霜「どうしたんですか、そんなに慌てて?」

霞「古鷹はトイレに行ってるわよ」

川内「鎮守府正面から敵水雷戦隊が来ているよっ! みんな今すぐ準備してっ!」

伊58「了解でち!」

U-511「龍驤さん達は、呼ばなくてもいいんでしょうか…」

川内「敵はかなりのスピードで近づいてきてるっ! 厨房は鎮守府の裏手と繋がってるから呼びに行ってる暇はないよっ! 出撃場所に行くまでの途中、トイレによって古鷹だけ連れてすぐに出るよ!」

川内「それに、敵の数的にも私達だけで大丈夫だと思うからっ!」

「「了解!」」

〜移動中〜

川内「古鷹っ! …古鷹、トイレにいないじゃんっ!」

霞「そ、そんな…お、おかしいわよ! トイレに行くって言っていたのに」

川内「…とにかく急がないと! 私達だけでやるしかないね、ゴーヤ、ユー!」(古鷹がいないけど、敵は4隻…開幕雷撃をゴーヤとユーに2回ずつしてもらえば多分大丈夫なはず!)

伊58「な、なんでち?」

川内「二人の開幕雷撃で出来る限り撃沈するよ! …できる?」

U-511「はい、がんばります…!」

伊58「ま、任せるでち!」

川内「よし、行くよっ!」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/14(土) 22:26:43.97 ID:aiS2sff8O
〜鎮守府正面〜

川内「やっぱり、相当速いペースで来てる…。ゴーヤ、ユー、今すぐ準備して!」

伊58「こ、怖いの沢山いるでち…!」

U-511「たくさんいるけど、負けません…!」

敵水雷戦隊「」ざざざざざざ…

川内「よし、準備はいいね…、開幕雷撃一発目…てぇーっ!」

伊58「魚雷さん、お願いしますっ!」シュルルッルルルル

U-511「ユーの魚雷さん、頑張って…!」シュルルルッルルル


駆逐イ級A「ぐぎゃあああああっ」ぱらぱら…

駆逐イ級B「ぐぎゃっ」

伊58「やったでちっ! 敵駆逐1隻撃破だよ!」

U-511「沈め損ねました…、敵駆逐中破です…!」

川内「上々! よし、二撃目行くよっ! ゴーヤ、ユー、魚雷の準備はオッケー?」

ずざざっ…ずざざっ…

霞「ちょ、ちょっと、なんだか水雷戦隊の後ろからなにか来てない…?」

清霜「本当だ、何か…」


川内「なっ、あれは重巡と…あと駆逐二隻!? どうして…」


軽巡ホ級「ぐぎゃああああああっ!」どががんっ

U-511「いやっ…!」ボロッ

伊58「ユーっ!?」

U-511「ご、ごめん、ゴーヤ…。ユー、ちょっと浮上を…」


伊58「ご、ゴーヤの魚雷さん! ユーの仇を…!」シュルルルッルッル


駆逐イ級C「がああああっ」パラパラ
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:29:14.32 ID:aiS2sff8O
どがぁんっ

伊58「や、やった…きゃっ!?」

伊58「う、うぅっ…あぁ、私の水着がぁ…」ボロッ


川内「ゴーヤ、ユー!」

U-511「ごめんなさい、ユー、やられちゃいました」ボロッ

伊58「ちょっと、痛い痛いでち…」ボロッ


川内「二人は、安全な場所へっ!」(ゴーヤとユーが駆逐2隻を撃破、1隻を中破してくれた。残りは第二陣も合わせて敵重巡1隻、軽巡1隻、敵駆逐3隻、そのうちの1隻は中破…)

重巡リ級「うぼあーっ!」

川内(私のミスだ、きっと第一陣の後ろに第二陣も控えてたんだ…! 第一陣の姿がやっと見えるくらいの時に見張り室を出ちゃったからその後ろの第二陣の存在に気づけなかったんだ…)

川内「くそっ、もっと慎重に動けばっ…!」ガンッ


霞「川内、なにぼけっとしてんのよっ! とにかく第二陣が来るまでに第一陣を沈めなきゃったら!」

清霜「そうですよっ! 重巡でもなんでも来てちょうだいっ!」


川内「…そうだねっ! よしっ、まずはゴーヤとユーが中破にしてくれた駆逐、その後に軽巡を倒すよ!」(そうだ、私が弱気になったらダメじゃんっ!)
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:31:44.44 ID:aiS2sff8O
川内「行くよっ! 砲雷撃戦よぉーい…てぇーっ!」ズガガガガンッ

清霜「戦艦並みの火力見せてあげるっ!」ズガガガガッ


霞「沈みなさいっ!」ズガガガガッズガガ

駆逐イ級B「ぐぎゃああああ」ぱらぱら


川内「よ、よしっ…」

清霜「川内さん、危ないですっ!」


川内「えっ」

重巡リ級「うぼぁーっ!」どがぁん


川内「くっ…」ヒョイッ

川内「っぶなぁー、ありがと清霜!」

霞「っく…、敵が集まっちゃったわね! とにかくやるしかないわっ!」


川内「…とにかく、頭数減らすよっ! まずは駆逐から!」

霞「分かったわ!」

清霜「了解ですっ!」

川内「よし、バリバリ行くよっ…!」ズガガ

重巡リ級「うぼぁーっ!」どごぉん


川内「〜〜っ! 霞っ! 避けてっ!」

霞「え…」

清霜「霞ちゃんっ!」ダキッ


清霜「きゃあっ!?」ボロッ

霞「き、清霜っ、清霜っ!」


清霜「あっ、か、霞ちゃ…、良かった。今度は私が霞ちゃんを守れた、かな?」ニコッ

霞「バカっ! …ばかっ! 清霜ったら、なんで…」ポロポロ

川内「くっ…、沈んでっ!」ズガガガッ


駆逐イ級D「ぐぁああああああ」ぱらぱら…

重巡リ級「うぼぁーっ!」

ずがぁんっ

川内「くっ、いくよっ…!」ズガガガガッ


重巡リ級「うぼあーっ!」ずごぉんっずごおんっ


川内「くっ…! だめだっ、私達じゃ火力が足りない…」

霞「清霜っ! 清霜っ! しっかりして!」ユサユサ
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:35:28.01 ID:aiS2sff8O
清霜「霞ちゃん…あたしは大丈夫、それに私達は艦娘なんだから敵を倒して…」


霞「…違うっ! あたしは艦娘だから清霜を助けるのよっ!」ギュッ

霞「艦娘の役目は敵を倒すだけじゃない、仲間を助けるのも艦娘の役目なんだったら! あたし達は前世の時からそうしてきたじゃないっ」ギュッ

軽巡ホ級「うがぁぁっ!」ずどぉんっ

霞「清霜っ!私が守らないとっ…」ガバッ

清霜「霞ちゃん、逃げっ…」

川内「霞、清霜っ!」(ダメッ、間に合わなっ)


ずだぁんっ

ズドドドドドッ

軽巡ホ級「うがぁぁっ」ぱらぱら…

霞「あ、あれ…無傷…?」


川内「ど、どういうこと…? 艦娘は私たち以外居なかったんじゃ…」

青葉「どーも、青葉ですっ! …状況が呑み込めないんですが、とにかく助けに来ました!」

青葉「ここは青葉にお任せっ…!」ズガガガッ

駆逐イ級E「ぐぎゃあああっ」ぱらぱら…

青葉「川内ちゃん、行ける!?」

川内「あっ、う、うんっ!」

重巡リ級「うぼぁーっ!」

どごぉんっ

青葉「おっと、危ないですねー! 次はこっちですよっ!」ズガガガガッ

敵重巡「ぐわぁぁっ!」

青葉「川内ちゃん、とどめ行っちゃって!」

川内「とどめだよっ!」ズガガガッズガガガッ

重巡リ級「ぐ、ぐぁぁ…」ぱらぱら…

川内「はぁ…はぁ…、て、敵艦隊撃破っ!」

伊58「や、やったでち!みんなすごいよぉー!」

U-511「す、すごい…」

霞「清霜、大丈夫?」

清霜「うん、私は大丈夫だよっ」

霞「良かった…!」

川内「よ、良かった…、みんな無事みたいだね!」ホッ

川内「良かった…本当に…」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:38:41.01 ID:aiS2sff8O
青葉「あ、あのぉー、これってどういう状況なんですかね?」

川内「はっ! そっか、え、えっと…青葉、よね?」

川内「えっと…、どうして青葉がここにいるの? 確かウチには着任してなかったはずだし、そもそも鎮守府に残ったのは私達だけのはず…」

青葉「いや、青葉もよく分からないんですけど、ついさっき着任してこっちの方から砲撃音が聞こえてきたから来てみたら、敵に襲われてて…」

川内「う、うーん…って、この話は後回しにしよっ! 今はみんなを入渠させないとっ!」

青葉「う、うん、了解ですっ!」


霞「清霜、今治してあげるわ」オブリ

清霜「うん…ありがとっ! 霞ちゃんカッコ良かったよっ!」

霞「な、何言ってるのよ…、べ、別にあのくらい」ゴニョゴニョ

川内「ゴーヤ、よく頑張ってくれたね」オブリ

伊58「すみません…治してくだち…」

川内「大丈夫、すぐに治るよっ」

青葉「あ、あのー、新入りの青葉型 1番艦 重巡洋艦の青葉です。あなたはU-511さんですよね?」

U-511「は、はい、ドイツ海軍所属、潜水艦U-511です…ユーとお呼びください」

青葉「お怪我が治ったら是非、お話しをっ!」

U-511「?」


〜入渠ドッグ〜

伊58「はぁー、痛いの痛いの飛んでいったよー」

U-511「ユー、万全です…」

霞「清霜、良かったわ…」

清霜「あの位ならすぐ治っちゃうよっ! 私、戦艦に近づけたかなぁー!?」

龍驤「いやはや、まぁみんな無事でよかったわぁ。それにしてもまさか、島の表と裏から同時に敵が侵攻してきてたとはなぁ…」

川内「敵側もこの島を本気で取りに来ているみたいだね…」

白雪「そうですね、明らかにこの島を標的にしています」

青葉「あのー、それでできれば事情を教えてほしいなーって」

龍驤「うーん、事情を話すと長くなるんやけどなぁ…。それにウチらもまだ分からないことが多いしなぁ」

川内「それよりも、私は青葉が何でここにいるのかが気になるよっ」


青葉「あー、そのことですけど、青葉もつい今さっき工廠で目を覚ましたばかりで何も分からないんですよね…」

龍驤「ほーん…」(…となると、捨てられたっていう可能性は減った、のか? 捨てる鎮守府にわざわざ新しい艦娘を着任させる必要はないもんなぁ)


川内「そっかぁ…、よしっ分かったよ! じゃあ、私たちも今の状況を教えるねっ!」


青葉「あっ、ちょっと待って下さいね…めもめも…、よしっ、いいよ!」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:41:52.44 ID:aiS2sff8O
川内「まず、この鎮守府にどうして私達しかいないかだけど」

霞「2日前にこの鎮守府内の練度の高い艦娘はみんなはとある大規模作戦に参加するために別の大きな鎮守府に出発したわ」

清霜「ちなみに、みんなが帰ってくるのはあと5日位だと思いますっ!」

青葉「ふむふむ、なるほど」メモメモ

川内「まぁ、それでうちの鎮守府は小さいからみんなで分担して食事とかの担当を決めて取り掛かろうとしたんだよね」

白雪「はい。でも、そこで食料や水がないことが発覚して、さらに無線機器や鎮守府内の放送機器までもが使われてないことが判明したんです」

青葉「えっ!? ど、どういうことですかっ!?」

伊58「ゴーヤたちに言われても分からないよー、でも燃料とかもほとんど残ってなかったから助けを呼びに行くこともできなかったし」

U-511「それに、この鎮守府の周りには人の住んでいる島はないらしいです…」


青葉「な、なるほど、完全に陸の孤島状態だったんですね…」

霞「まぁ、ここはノンフィクションの陸の孤島だけどね」ボソッ


龍驤「それで、みんなで協力して食料や水の確保をしながら過ごしてたんやけどなぁ。…敵が攻めてきよったんや」

川内「うん、最初はこの鎮守府が目標かどうかわかんなかったけど、一旦撃破しちゃったから今は完全に狙われちゃってるってわけ」

青葉「ふむふむ…、なるほどそんなことが」

霞「だから、とにかくこの島で生き残るしかないってわけよ」

伊58「ゴーヤの魚雷さんにお任せでち!」

U-511「ユー、みんなの役に立てるように頑張ります…!」

川内「確かに、今は何とかなってるけどもし向こうが正規空母や戦艦を出して来たら…」

清霜「戦艦は強いからね…」

霞「…そんなこと言ったって現実は変わらないわ。とにかくあたし達にやれることをやりましょ」


白雪「そうだね。って、そういえば私まだご飯作ってる最中でした…。今から作りに…」バシャッ

白雪「…っつ」ズキッ

龍驤「ちょ、ちょっとキミ! 大破並みにぼろぼろの状態なんやからしっかり治さんとっ!」

白雪「そ、そうですよね…」ブクブク

龍驤「…」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:45:10.60 ID:aiS2sff8O
青葉「あっ、夕食はまだだったんですか? それなら青葉にお任せっ」

川内「それなら、私も手伝うよ。青葉はまだ厨房がどこにあるか分からないでしょ?」

青葉「じゃあ、お願いしますね。よろしく、川内ちゃん!」

川内「オッケー…って、そういえばいつのまにか夜になってる! よーっし行っくぞー!」ダダダ

青葉「あっ、ちょっと待ってよー!」ダダッ


霞「はぁ、全く慌ただしいわね」

清霜「そうだね」

霞「清霜はもう大丈夫?」

清霜「うんっ、もうたーっぷりお風呂入ったから治っちゃってるよ!」

霞「じゃあ私たちもそろそろ出ましょうか」バシャ

清霜「そうだね!」バシャ


霞「じゃあ、私と清霜は先にあがってるわね」


伊58「分かったでちー! ゴーヤはもうちょっと水の中で…」ブクブク

伊58「ほら、ユーも潜水艦なら潜る練習をするでち!」

U-511「分かった、練習しよう…」ブクブク

伊58「ゴーヤもっ」ブクブク
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:46:56.01 ID:aiS2sff8O

白雪「…」

龍驤「…悔しい?」

白雪「えっ? な、何か言いましたか?」

龍驤「さっきの敵との交戦。ウチの指示を無視して戦闘不能になって、吹雪に助けられて」

白雪「…いえ、あれは私の力不足だったのでしょうがないことだと思います」

龍驤「ふーん、そうか…」

白雪「はい、勝手に飛び出して、戦えなくなって、吹雪ちゃんに助けられて、龍驤さんや古鷹さんに迷惑をかけてしまって…」

龍驤「…」

白雪「私はきっと役に立てると思ってたのに…みんなを守りたかったのに…」

白雪「くっ…悔しいですっ…。役に立てない自分が、悔しいです…」ポロポロ


龍驤「…そうやなぁ」

白雪「うぅっ…、ぐすっ」

龍驤「確かに悔しいやろなぁ。…でも、それはウチも同じなんやで?」

白雪「え…?」

龍驤「ウチだって白雪を守れんかったもん」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:48:39.87 ID:aiS2sff8O
白雪「で、でもそれは、私が指示を無視してしまって」

龍驤「それでも守れんかったのは悔しいんやっ! ウチの前で被弾しそうな仲間を救えなかったのは悔しいんやっ!」

白雪「龍驤さん…」

龍驤「だから、次は守る。 そう心に決めた」


龍驤「ウチなあの時の白雪を見てて思ったんや。きっとこういう…仲間を想う気持ちが強いほど命令を無視しちゃうんやろうなぁ、って」

白雪「え…」

龍驤「だから、ウチだって…もし、自分が『やるしかない』って思ったら指示に背いちゃうかもしれん、ってことや」

龍驤「だから、白雪は悪く無い、仲間が大切やったんやろ、守りたかったんやろ?」ナデナデ

白雪「りゅ、龍驤さん…う、うぅぅ…ご、ごめんなさい、わ、私、私っ…!」ポロポロ

白雪「うぅっ」ギュー

龍驤「お、おっとっと、ちょ、ちょっちキミ! は、裸で抱き着かんといてやっ!」アセアセ

龍驤「なんや、大人びて見えててもやっぱりまだ子供やなぁ」ナデナデ


伊58「ぷはぁっ!」バシャ

U-511「ぷはぁぁ」バシャッ

白雪「はっ!?」バッゴシゴシ


伊58「なかなかやるでちね、ユー!」

U-511「疲れた…少し休みたい」


龍驤「おーい、潜水艦のお二人さんもそろそろ上がるで!」

伊58「分かったでち」

U-511「はい」

龍驤「白雪も上がるでぇ」

白雪「はいっ」ビシッ(龍驤さんって、すごいな…)
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:53:56.88 ID:aiS2sff8O
♦ ♦ ♦

・9月13日 2000

〜敵艦隊撃破後、見張り室〜

古鷹(執務室の資料を見てなんとなく分かった部分があった。)

古鷹(まず、この鎮守府の提督は徹底した合理主義だってこと。これは前々から思っていたけど私たちの提督は艦娘と必要以上の接触はしなかった)

古鷹(資料などを見ても、出撃や建造でも本当に無駄がなかった。とにかく合理性を重視していたことから潜水艦の娘達の資材集めもなかなか大変だったみたい)

古鷹(もう1つ。鎮守府の場所の重要性だよね。この付近は無人の島が多数点在している場所らしい)

古鷹(…そして、私達には知らされてなかったけど資料を見る限りこの鎮守府は深海側の本拠地の一つとほど近い場所にあるみたい。だからこそ、敵に見つからないように鎮守府を大規模にできなかったのかもな…?)


古鷹(そう考えると恐らく最初に川内ちゃんたちが会敵したのは本当に迷った艦だと思う。ここは潮流の関係で自然に航行していれば流れつかない場所だし、そもそも今までばれていなかったのだから)

古鷹(でも、そう考えるとおかしいことも出てくる。川内ちゃんたちの後に続いた敵艦隊だ。ここに鎮守府があるって分かっているはずなのになんであんなに中途半端な戦力を差し向けたのだろう)

古鷹(向こうにそこまでの知能がなかった…? いや、島の表と裏から同時に侵攻してきたりある程度の戦略思考は持ち合わせているはず…)

古鷹(じゃあなんで…)
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:54:58.94 ID:aiS2sff8O
古鷹(うーん、だめだ、何も思いつかない)

こんこん

古鷹「」ビクッ

吹雪「古鷹さん、吹雪です!」

古鷹「吹雪ちゃん? どうしたの」ガチャ

吹雪「あの、やっぱり、わ、私も見張り手伝います!」

古鷹「いやいや、さっきも言ったけど見張りは私一人で十分だよ? 吹雪ちゃんは体を休めてて」

吹雪「わ、私、古鷹さんと見張りがしたいんです!」

古鷹「そ、そう? ならお願いしようかな」(一緒に見張りがしたいなんてもの好きな娘だね)


吹雪「あ、ありがとうございます!」


吹雪「あの、さっきはありがとうございました!」

古鷹「いやいや、こちらこそ吹雪ちゃんには助けられたよ。ありがとね」


吹雪「あ、は、はい///」

吹雪「…」

古鷹「…」(空気が…)
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/14(土) 22:56:33.59 ID:aiS2sff8O
古鷹「え、えっと…吹雪ちゃんは白雪ちゃん以外にも確か叢雲ちゃんが妹にいたよね?」

吹雪「は、はい! 叢雲ちゃんは練度が高いので司令官と一緒に大規模作戦に参加しに行っちゃいましたけど」

古鷹「そっかぁ。自慢の妹さんだね!」

吹雪「はい! 叢雲ちゃんはすごい強いので…私も負けないように頑張らないとっ!」フンス

古鷹「そうだね、叢雲ちゃんが帰ってくるまでに少しでも強くならないとね! というよりも吹雪ちゃんこの数日で大分練度上がったよね」

吹雪「そうですかね? 実践を何度もやっているからでしょうか?」

古鷹「恐らくね。 吹雪ちゃんだけじゃなくてここにいるみんなも少なからず練度は上がっているよ」

吹雪「な、なんだかやる気出てきました!」

古鷹「ふふっ」


吹雪「え、えっと…古鷹さんには姉妹が居ましたっけ?」

古鷹「うん、いるよ。加古って言う妹がいるんだけど…この鎮守府には着任してないんだ」

吹雪「そ、そうだったんですね」


古鷹「うん、でも今は吹雪ちゃんが妹みたいなものだから寂しくないかも!」ニコッ

吹雪「そ、そうですか、えへへ、なんか嬉しいです!」


古鷹「…吹雪ちゃんはこんな状況になっちゃったけど怖くない?」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 22:58:15.63 ID:aiS2sff8O
吹雪「…怖くないって言ったら嘘になっちゃいます。でも、私には白雪ちゃんが、そしてみんながいるので、しっかりしないといけないんだって思うんです」

吹雪「古鷹さんが私を守ってくれたように、私もみんなを守りたいんです。」

古鷹「…吹雪ちゃんはもう十分みんなを守れてると思うよ」

吹雪「そ、そうですか?」

古鷹「うん!」

吹雪「な、ならもっと頑張りますね! 目標は叢雲ちゃん越えです!」


古鷹「ふふっ、きっと超えられると思うよ!」


吹雪「はい、私、もっと頑張りますよっ!」

古鷹(真っ直ぐな目…)


古鷹「…吹雪ちゃんは、もしもこのまま提督たちが戻ってこなかったらどうする?」

吹雪「司令官が…?」ウーン


吹雪「私は…私は、帰ってこなくても信じて待ち続けます」


古鷹「…どうしてかな? 私たちは状況的にこの鎮守府に置いてけぼりにs」

吹雪「司令官は帰ってこなかったとしても叢雲ちゃんは帰ってきてくれます。…約束したので」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/14(土) 23:00:19.35 ID:aiS2sff8O
吹雪「その為にも鎮守府は守ります。叢雲ちゃんが帰ってきたときに鎮守府を守れていなかったら、叢雲ちゃんに怒られてしまうので」タハハ

古鷹「…そうね」ニコッ

古鷹「なら、私は…そうだなぁ…。吹雪ちゃんが約束を守れるようにこの鎮守府を守ろうかな」ニコッ


吹雪「…っ!」カァァ///


吹雪「あ、え、えっと…」ドキドキドキドキ

古鷹「妹のお願いを聞くのはお姉ちゃんの役目だもんねっ!」


吹雪(…やっぱり私、古鷹さんの事が)



吹雪「…あ、あのっ!」

こんこん

吹雪「」ビクゥッ

川内「古鷹ー、見張り変わるよー!」

伊58「ご飯を食べてくるでち!」


古鷹「あれ、吹雪ちゃん何か言おうとした?」

吹雪「い、いやっ、何でもないです! え、えっとえっと早くご飯食べに行きましょう!」ダダダッ

古鷹「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ吹雪ちゃん! 二人とも見張りの交代ありがとねー!」ダダッ


伊58「って、居ないと思ったら吹雪ここにいたでちね、それに相当お腹が減ってたみたいだし」

川内「そうね、きっと夜戦に備えるのよっ!」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 03:05:32.09 ID:8iL2FBG40
安価じゃないと何で人少ないかなあ…と、こういう艦これの質の良いss系をいつも見てて思う
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/15(日) 10:25:10.11 ID:8gN+Ljp8O
読んでるよ
続きはよ
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 13:35:07.42 ID:eylTYw2o0
例え人が多くてもDASH島鎮守府みたいに必ずしもいいことがあるとは限らないからなぁ
かといって黙って見てても作者さんに読まれてるかどうか伝わらないから難しいね
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 15:07:01.12 ID:j19OPfR00
読んでるよ
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 17:09:35.42 ID:1REbN0WmO
〜食堂〜

白雪「あっ、吹雪ちゃん! どこに行ってたの? 探しに行こうと思ってたところだったんだよ?」

吹雪「あ、ごめんね。古鷹さんと一緒に見張り室にいたんだ」

白雪「そうだったんだね」

吹雪「うん、白雪ちゃんも入渠終わったんだね! 良かったぁ」

古鷹「もうみんなはご飯食べたの?」

青葉「あっ、後は吹雪ちゃんと古鷹さんだけですよー!」

霞「青葉と川内が作ってくれたのよ」

清霜「おいしかったよっ!」

古鷹「へぇー、青葉が…」(それにしても白雪ちゃんたちの様子を見にちょっとだけドッグを覗いたら青葉がいてビックリだったよ)

青葉「むっ、どうして疑い深い顔を…」

吹雪「あ、あはは…じゃあ青葉さんいただきますね!」

青葉「どうぞどうぞ!」


古鷹「いただきます」モグモグ

古鷹「あ、なかなかおいしい」

青葉「きょーしゅくですっ!」ドヤッ
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 17:13:37.95 ID:1REbN0WmO
〜食後〜

古鷹「みんな、まだ眠くないかな?」

霞「まだまだ余裕よ!」

U-511「ユーも余裕です…」

古鷹「ありがとう! それじゃあさ、今から裏の階段を閉鎖しに行かない?」

龍驤「裏の階段…そうやな確かに壊しといたほうがええな。また裏から入り込まれたらかなわんからなぁ」

龍驤「敵は陸地での動きがのろかったみたいやし階段さえなければ山肌のあの崖を登ることは出来んやろ」

U-511「あ、あの…でもそれって、もし表側から敵が攻めてきたときにユーたちも裏から逃げることが出来なくなっちゃうんじゃ…」

霞「確かにそうね…、もしもの際に裏から逃げられないと手詰まりになっちゃうわよ! あたしは反対」

清霜「で、でも、もしも今日あったみたいに表と裏から入り込まれたらダメじゃない? …私は壊したほうがいいと思います」

霞「ちょっと清霜! それじゃあもし逃げなきゃいけないときどこに逃げるのよ! 鎮守府の裏手からはあの階段を通らないと海に出れないのよ!」

清霜「で、でもでも、もうどうせ燃料は少ないんだし、逃げられないんだったら片方の侵入経路閉じた方がっ…!」

霞「それでも、逃げる道は確保した方がいいったら! 後退しながら装備を整えて撃退することもできなくなるのよ? もし、裏道まで塞いじゃって追い込まれたらそれまでなのよ!?」

清霜「でもでもっ! 敵は固めて一網打尽にした方がっ」

霞「それで一網打尽に出来なかったらどうするのよっ!」

清霜「そ、それはっ…」


青葉「はい、みなさん落ち着いてください! 落ち着いて話し合いましょう!」

白雪「そうですね、まずはそれぞれの立場をはっきりさせましょう。裏の階段を崩して裏から敵を登れないようにするか、それともそのままにして逃げ道や装備を整える時間を確保できるようにするかですね」


龍驤「そうやな、じゃあまずは閉鎖する側の人は挙手してや」


龍驤「んー、ウチと古鷹と清霜と青葉の4人やな。ちゅーことは壊さない派は吹雪、白雪、霞、ユーやな」

吹雪「あ、あのっ、大事なことなので見張り室にみんなで行って川内さんとゴーヤちゃんの意見も聞きませんか?」

龍驤「そうやなぁ、一回全員集まるか」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 17:19:09.96 ID:1REbN0WmO
〜見張り室〜

川内「ふーん、なるほどねぇ」

吹雪「で、川内さんとゴーヤちゃんはどちらがいいと思いますか?」

川内「そうだねー…」

伊58「ゴーヤは壊したほうがいいと思うよ!」

川内「えっ、壊さない方がよくないっ!?」

白雪「完全に分かれちゃいましたね…」

吹雪「どうしよう…」


青葉「あっ」

霞「どうしたの?」

青葉「青葉気づいちゃいました…!」

U-511「何に気づいたんですか…?」

青葉「いえ、見張りは常に1人つけるんですよね?」

古鷹「そうだね、常に1人はつけとく予定だよ」


青葉「それなら、すぐに裏の階段? とやらを壊せる装置を作っておいて、もしも島の表と裏両方から敵が来て本当にやむを得ないときにだけ階段を封鎖すればいいんじゃないですかね?」

霞「それなら、まぁ…。確かに両方からくる可能性と片方から大勢で来る可能性をどっちも考えたらそれが理想かもね」

清霜「青葉さんすごいですっ!」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 17:37:04.72 ID:1REbN0WmO
青葉「い、いえいえ、この位ならっ!」

古鷹(青葉がうまくまとめてくれたね)


川内「じゃあ、道を塞ぐ工作は私に任せてよっ! これもある意味夜戦だよねーっ!」

川内「じゃあ、行ってくるねーっ!」シュバッ

U-511(忍者…)

古鷹「あっ、ちょっと待って! みんなに言っておかないといけないことがあるんだった」(もうこんな状況になっちゃったし、これは共有しておくべきだよね)

川内「おっとっと」タチドマリ

龍驤「なんや?」

古鷹「実はさっき執務室に入ったんだけどね」

霞「なっ、ちょっとアンタ! 勝手に執務室に入っちゃったの!? 鍵かかってなかったの!?」

古鷹「かかってたけど緊急事態だし鍵は壊しちゃった!」

霞「い、いや、そんはハキハキ言われても…。はぁ、まぁいいわ、話止めちゃって悪かったわね」


古鷹「いやいや。それでね、分かったことが2つ」

古鷹「まずは提督の徹底的な合理主義。これは龍驤ちゃんたちなら分かるかもだけど、あの提督は基本的にはすべて機械的にこなすの。だから、私達との接触などもほとんどなかった」

龍驤「確かにそうや」

伊58「合理的、でちか…」ズキッ


古鷹「それともう1つ。この鎮守府の場所について」

古鷹「私も今までは特に気にしたことなかったけど、ここって明らかに鎮守府のある場所としてはおかしいよね」

川内「そういわれるとそうかも…」

古鷹「それでね…この鎮守府は、敵の本拠地から程近い場所にあるみたいなの」


白雪「そ、それって本当ですか…?」

古鷹「うん、本当だよ。私達には知らされてなかった、というか執務室に隠されるようにその資料が置かれてたから多分艦娘は誰も知らなかったんじゃないかな」

青葉(なんでそのことを艦娘に伝えなかったんだろう…? 別に伝えたからって悪い方向にはいかない、むしろ重要な立ち位置に責任感を持てると思うんだけど…)

古鷹「だからこそ、敵がいつ来るか分からないからこれからも見張りは確実にしないとダメなの」

吹雪「そうですねっ!」

古鷹「うん。とりあえずみんなに伝えなきゃいけないことはこれだけかな…」

清霜「はぁ、なるほどぉ。」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 17:39:36.11 ID:1REbN0WmO
清霜「はぁ、なるほどぉ。」

霞「なんか、すごい情報だけど、それを今知ってもあたし達にはどうしようもできないわね…」

龍驤「そうやね…。今は考えても仕方がないから今日はもう休んだ方がええかもなぁ」

伊58「なら、最初はこのままゴーヤが見張りするでちよ」

U-511「…?」(ゴーヤ?)

U-511「川内さんは、裏の階段に仕掛けを作らないといけないから、ユーも見張り手伝います…」

吹雪「うん、分かったよ。じゃあ、夜は…3時間で交代に来るね!」

清霜「昨日は古鷹さんと川内さんと龍驤さんがやってくれたから今日はあたし達でやろっ!」

白雪「えっと、それじゃあ、今が2200で…、最初がゴーヤちゃんたちだから私と吹雪ちゃんは0100〜0400までだね」

霞「分かったわ。清霜、私たちは0400〜0700よ」

清霜「分かったよー! あっ、なら早く寝ないとっ! 戦艦になるためにも! 霞ちゃん行こっ!」ギュッ

霞「えっ、今日も一緒の部屋で寝るの!?」

清霜「もちろんだよっ! …ダメだった?」

霞「い、いや、別にダメじゃないけど…」

清霜「なら行こっ!」ダダッ

霞「あっ、ちょっと引っ張らないでよっ!」


吹雪「私たちもいこっか、白雪ちゃん!」

白雪「そうだね」

吹雪「皆さんおやすみなさい」

白雪「おやすみなさい」ペコリ

青葉「川内さん、階段を塞ぐ仕掛けとやらを手伝いますよ」

川内「ホント? それは助かるっ!」

龍驤「ウチも手伝おうか?」

川内「いや、2人で十分な簡単な仕掛けだから大丈夫そうかな」

龍驤「そうかぁ。なんや、本当にやることなくなってしもうたなぁ」

古鷹「そうだね、じゃあお言葉に甘えて今日は休ませてもらおうかな」

龍驤「そうやなぁ」

古鷹「それじゃ、見張りはよろしくね」

伊58「…わかったでち」

U-511「了解しました…」

龍驤「そんじゃ、ウチもいくなぁー。おやすみさん」トテトテ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 17:58:27.89 ID:1REbN0WmO
伊58「ユーも疲れてたら寝てもいいよー、ここはゴーヤに任せるでち」


U-511「…ゴーヤ、なんだか元気、ない…?」

伊58「…別に何も」

U-511「ゴーヤにもいろいろあること分かってる…。でも、ユー、ゴーヤの事もっと知りたい。悩んでるなら一緒に悩みたい」

伊58「ユー…」


伊58「…これ」手サシダシ

U-511「これ、ゴーヤの髪飾り。…でも今髪についてるし二つ目、買ったの?」

伊58「ちがうよ、これ、ゴーヤが着任した時に潜水艦の部屋に置いてあったの」

U-511「部屋に置いてあった…?」

伊58「さっき、古鷹の話を聞いて分かっちゃったんだよ。自己紹介の時、吹雪がゴーヤの事、練度が高かった気がするって言ってたけど、多分この髪飾りはその練度が高かった前任のゴーヤの髪飾りでち」

U-511「前任…?」

伊58「ゴーヤの想像だけど…ゴーヤは同じゴーヤだから分かるでち」

伊58「…元の練度の高かったゴーヤはきっと解体されたんだと思うんだ」

U-511「…え?」


伊58「ゴーヤは練度が高くなると潜水空母になることができるの」

U-511「そうだよね、ゴーヤはすごい…」

伊58「…多分、前任のゴーヤは潜水空母になれる練度まで到達していて、てーとくに改造したいって申し出たんだと思うでち」

伊58「…ゴーヤはみんなを守れるように強くなりたいから、同じゴーヤならきっとこうするでち」

U-511「でも、それならどうして解体されたの…?」


伊58「…資材消費の増加や入渠時の効率が悪くなるからでち」

U-511「えっと…?」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 18:02:07.01 ID:1REbN0WmO
伊58「全部ゴーヤの想像だけど…合理的な提督だから、この鎮守府で資材集めがメインなのに潜水空母になりたがっていたゴーヤを解体して、今のゴーヤ…いや、私を着任させたんだよ」

U-511「ひどい…」

伊58「…ひどくはないよ。だって、これは戦いなんだから、無駄は省かないとダメなんだよ」

U-511「でも…」

伊58「…資材集めだって重要な任務でち」

伊58「…でも、ゴーヤだって強くなりたい。この海を、みんなを守れる強さが欲しいでち」

伊58「でもっ、ゴーヤに求められるのは強さじゃないんだよ。効率的な資材集めの能力なんでち」

U-511「…ユーは、よく分かんないけど、資材集めは重要な任務、だと思う」

U-511「…そして、その任務をしていたゴーヤは、みんなを守っていた、と思います…」


伊58「それも分かってるよ…。でも、前任のゴーヤだって、今のゴーヤと同じように強くなりたかったはずだよ! 強くなってみんなを守りたいのに、強くならないことがみんなを守ることにつながる…」


伊58「…矛盾してるよね」


伊58「ゴーヤは、ゴーヤはどうすればよかったんでちか? 前任のゴーヤはどうすれば解体されずに済んだでちか?」

伊58「ゴーヤも…、今のゴーヤも潜水空母になりたがったら解体されるでちか!? ゴーヤはっ、ゴーヤはどうすればいいの!?」ポロポロ


U-511「ユーは…、ユーは潜水空母になれないし、ゴーヤの気持ちは理解できないかも…」

U-511「でも、ユーはゴーヤに居なくなって欲しくない…、ゴーヤの傍に居たい…」

U-511「でも、ゴーヤが潜水空母になりたいならユーには止められない…」

U-511「だから…あれ、ユーはどうすればいいの? ゴーヤが強くなりたいなら応援してあげたいけど、強くなったらゴーヤが居なくなっちゃう…」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 18:03:40.67 ID:1REbN0WmO
U-511「じゃあゴーヤが強くならなかったらいなくならない…? でもそしたらゴーヤは潜水空母になれないし…」

U-511「あれ? あれ…?」グルグル



伊58「…っぷ、あはは、なんでゴーヤの悩みがユーの悩みになっちゃってるんでちか」ニコッ

U-511「ゴーヤ、急に笑い始めて…どうしたの…?」

伊58「…なんだか馬鹿らしくなっちゃったでち」

伊58「よしっ! ユー、悩んだときは眠るでち!」

伊58「ほら、布団の中にもぐって一緒に寝よー!」ギュー

U-511「きゃっ、ゴーヤ、ちょっと暑苦しいよ」

伊58「これで朝起きて布団の中からおはようございます、すればユーの悩みもゴーヤの悩みもなくなってるでち!」ギュー

U-511「ゴーヤ、ここは見張り室だよ、それにまだ見張りの時間が終わってない…」

伊58「あ、そうだったね、じゃあ交代が来たら早く部屋に戻って一緒に寝るでち!」

U-511「うん、分かったよ」

伊58「よーっし、しっかり見張るでちっ!」

U-511「うん」


伊58「…ありがとう、ユー」ボソッ
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 19:42:44.47 ID:B1sR52fI0
〜川内・青葉サイド〜

青葉「それで、どうやって階段を塞ぐ仕掛けを作るんですか?」

川内「このちょうど崖の境目がある階段があるでしょ。ここを通れなくしちゃえば敵は階段を使えなくなるから…」サッサッ

青葉(川内ちゃん、なんだか忍者みたい)


川内「よし、準備オッケー!」

青葉「えっ、もう終わったんですか?」(あれ、青葉いらなかったんじゃ…)

川内「階段の下にちょっと改造した魚雷を埋めたよっ! これで敵がここを踏んだら瞬間に…」

青葉「なるほど、それなら確実ですね」

川内「このことは明日みんなに言っておかないとね!」

青葉「そうですね!」(今思ったけど魚雷を地面に埋めたら地雷になるのかな?)


川内「仕掛けも終わったし、私たちも部屋に戻る? …ほんとは夜戦したいけど資材もないし…」

青葉「あ、あはは…」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 19:44:13.10 ID:B1sR52fI0
♦ ♦ ♦

・9月14日 

龍驤「さて、司令官たちが出発して2日経ったわけやけど」

白雪「昨日はつかれました…」

吹雪「そうだね、でもあれからは動きはないみたいだね」

龍驤「そうやな、こっちは動けない以上準備をしていくしかないしなぁ」


白雪「それで、今日は何をしますか?」

龍驤「せやなぁ、この島から脱出する船でも造る?」

白雪「え、えぇ…」(私たちも一応形式上は船なんだけどなぁ)

龍驤「まぁ、今日は見張りは欠かさずにして普通に過ごすしかないなぁ…」

吹雪「そうですね…」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 19:47:11.37 ID:B1sR52fI0
♦ ♦ ♦

・9月15日 1000

伊58「結局昨日は何もなかったでちね」

U-511「平和が一番…」

古鷹(かといって、このまま過ごしても何かが変わるわけじゃない。提督たちが1週間で帰ってくる可能性も捨てきれないけど…)

古鷹(それに逆に敵が来ないというのは怖い。出撃体制を整えている可能性があるから…。もしも戦艦や空母を連れてこられたら本当にどうしようもないよね。どうすればいいんだろう…)

どたどたどた

霞「みんな、鎮守府正面から、敵連合艦隊よっ!」

龍驤「来たか…。覚悟はしてたけどこんな朝に来るとはなぁ」

霞「ちょっと! のんびりしてる暇ないわよっ! 早く出撃の準備しなきゃ!」


古鷹「霞ちゃん、落ち着いて。まず敵艦隊の規模を教えて?」

清霜「はい! えっと、確認できた限りでは第一陣の敵水雷戦隊に敵軽巡2 敵駆逐3と」

霞「その後方から敵戦艦3 敵正規空母2 敵重巡1っていう編成で来てるわ」

古鷹(そんな…無理よ。今までだって結構ギリギリの戦いだったのに…。戦艦だけならなんとかなったかもしれないけど正規空母が2隻、制空の面で圧倒的に不利…)

古鷹(私たちの悪運もここまでだね…)
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 19:49:05.64 ID:B1sR52fI0
吹雪「作戦を考えましょう! 敵の戦力が大きくても作戦次第で勝ち筋が見えてくるかもしれません!」

白雪「そうですね、きっと勝てる方法があるはずです」


伊58「ゴーヤの魚雷が火を噴くでち!」

U-511「ユーも負けない…」

霞「とにかく、倉庫に行って魚雷と弾薬を補給しないとっ!」

清霜「戦艦を倒して、私が戦艦になるよっ!」


青葉「…みんなは諦めてないみたいですよ?」ボソッ

古鷹「…! 何を言ってるの、青葉?」(ありがとう…)

青葉「なんだかしょぼくれた顔をしていたみたいだったので」

古鷹「…必ず、乗り切ってみせるよ」




古鷹「よし、みんな準備はできた? 時間もないから手短に作戦を話すよ」

古鷹「まず、ゴーヤちゃんとユーちゃんの2人に先制雷撃を2回ずつしてもらうね。2人はもう準備をして」

伊58「了解でち! …怖いとは言ってられないよぉ!」

U-511「任せてください…!」

古鷹「狙いは出来れば正規空母ね! できれば中破状態にまで…」

古鷹「そしてゴーヤちゃんたちの雷撃が終わったら、私の班と龍驤ちゃんの班に分かれて駆逐→軽巡→正規空母→重巡→戦艦の順番でとにかく頭数を減らすことを念頭に置いて立ち回るよ」

「「了解っ!」」


古鷹「…守るよ、私たちの鎮守府も仲間も」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 19:50:24.33 ID:B1sR52fI0
龍驤「そうや、ええか、敵を倒すことも重要やけど、仲間を守るのが最優先や」

古鷹「よし、みんな、行くよっ!」

「「了解っ!」」


伊58「わぁ、怖いのいっぱい…」

古鷹「ゴーヤちゃん、ユーちゃん準備はいい?」

伊58「準備万端でち!」

U-511「準備okです」

戦艦ル級A「テキカンタイハッケン」

古鷹「砲雷撃戦よーいっ…てぇーっ!」

伊58「ゴーヤの魚雷さんお願いしますっ!」シュルルル

U-511「当たってくださいっ…」シュルルル


駆逐イ級A「ぐぎゃああああっ」ぱらぱら…

伊58「敵駆逐撃破でち!」

U-511「外しました…」

古鷹「次、すぐに二撃目いくよ! 準備してっ」(二人とも正規空母を狙ってくれてはいるけど、前衛の水雷戦隊が邪魔で削れない…)

伊58「雷撃、いつでも行けるでちっ」

U-511「ユーもいけます」

古鷹「よし、二撃目行くよ! …てぇーっ!」

伊58「お願いしますっ」シュルル
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 19:52:00.48 ID:B1sR52fI0
U-511「次は、外しません…!」シュルル


駆逐イ級B「ぐぎゃああああっ」ぱらぱら…

軽巡ホ級A「ぐがぁああ」

U-511「敵駆逐、撃破しました」

伊58「軽巡中破でち」


駆逐イ級C「ぐがあああ」どがぁんっ

軽巡ホ級A「ぐぎゃあああああ」どごぉん

軽巡ホ級B「ぐぎゃあああああああ」どごぉんっ


古鷹「なっ、一斉発射!? ゴーヤ、ユー、避けて!!」


ゴーヤ「よ、避けられなっ」

U-511「ダメ、回避できません…きゃあっ!!」


古鷹「二人ともっ!」

伊58「う、うぅ…被弾したでち…」ボロッ

U-511「ユー、浮上します…」ボロッ

戦艦ル級A「テキヲホソク」どがああんっ

古鷹「みんな、避けてっ!」


古鷹「まずいっ、ゴーヤ、ユー、今浮上したらダメッ! 砲撃がそっちに…」


伊58「えっ…」

どがぁんっ


伊58「あ、あ、あ…」


青葉「っぐ…危なかったね、ゴーヤちゃんたちよりは装甲がしっかりしてるからね、こういうのは青葉の役目です」

古鷹「青葉っ!」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 19:54:32.78 ID:B1sR52fI0
龍驤「古鷹、立て直すでっ! 青葉、清霜でゴーヤとユーを曳航して安全な場所まで! 他は作戦通り行くで!」


清霜「ユーちゃん、私につかまって!」

青葉「…っぐ、ご、ゴーヤちゃん安全な場所まで」

正空ヲ級A「ニガ、サなイ」ずがががんっ

龍驤「させへんでっ! 艦載機のみんな頼むでっ!」

正空ヲ級A「タリナイ、タリナイ」

龍驤「…ぐっ、ダメや、押されるっ」


正空ヲ級A「シズめ」


ずがががんっ

龍驤「まずいっ、清霜、青葉避けるんやっ!」

清霜「あっ、だ、ダメ…もうまにあわ」

霞「…助けるったら!」ごぉんっ

龍驤「霞っ、いつの間に陣形を離れて…」


清霜「か、霞ちゃ…」


霞「いったぁ…で、でも守れたわ、ね…」ガクッ

清霜「霞ちゃん、霞ちゃん! そんな霞ちゃん…」キッ

清霜「ゆ、許さないっ…私の大切な霞ちゃんをっ、許さないっ!」ザザザザザザ


龍驤「清霜、焦るんやない! いったん青葉たちと合流して」

清霜「沈めっ、沈めっ!」ズガガガガッズガガガガッ

正空ヲ級A「ッグ…、コノテイド…」

清霜「はぁ…はぁ…」

戦艦ル級B「アリが…」どごぉんっ


清霜「きゃあっ!!」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 19:58:37.28 ID:B1sR52fI0
龍驤「清霜っ!」

吹雪「古鷹さんっ! 龍驤さん達の班が!」

古鷹「っく…吹雪ちゃん、白雪ちゃん、川内ちゃん! 怪我した娘達を庇いながら戦うよ!」(…やっぱり、この戦力差じゃ)

戦艦ル級A「ワレワレデもオマエラごとキ…!」どごぉんっ

川内「っく、まずいね…、とにかく装甲の薄い奴から…!」ズガガガッズガガガッ

敵駆逐「ぐぎゃあああ」

白雪「仕留めますっ!」ズガガ

駆逐イ級C「ぐぎゃあああ」ぱらぱら…


戦艦ル級A「ワレワレノちかラハコノテいドデハナイ」ずがぁんっずがぁんっ

龍驤「こ、これはちょっち、アカンかも…」

白雪「龍驤さんっ!」ザザザザッ

ずががぁんっ


白雪「っぐぅ…」

龍驤「し、白雪っ、何しとんねん! なんでウチの前にっ」

白雪「え、えへへ、今度はちゃんと命令を守りましたよ…」ボロッ

龍驤「め、命令て…」

白雪「龍驤さん言ったじゃないですか、『仲間を守るのが最優先』って」ニコッ

龍驤「ばかちんっ…、ウチにとっては白雪が仲間なんや…。白雪が被弾したらウチが指示を守れなかったことになるやないかっ…!」ギリッ

白雪「…指示を無視した方が、仲間を守ろうって思いが強いんですよね?」ニコッ

龍驤「屁理屈ばっかり…! 待ってろ、全員倒してきたるからっ!」


171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 19:59:22.40 ID:B1sR52fI0
正空ヲ級A「フフフ、ケイクウボだケデナニがでキルカ」

ずがぁんっずがぁんっ

龍驤「軽空母だけでも、負けられないんやっ!」ズガガガガッズガガガッ

正空ヲ級A「グッ…ナ、ナゼケイクウボゴトキニ…」ボロッ

龍驤「よ、よし、大破させたでっ!」

正空ヲ級B「ヨクモヨクモ…シズメッ」

ずがぁんっ

龍驤「さ、避けられへん…。だ、ダメやな、これは…」

ぐわあんっ

龍驤「いやぁっ!!う、ぐぅ…被弾してもうた」ボロッ

川内「龍驤!」

川内「っく、古鷹、ここはいったん退こう! …古鷹、古鷹っ!」


古鷹「やっぱり…やっぱり、無理だったんだ…」

古鷹「みんなが被弾していくのに私は何もできない…」ポロポロ

古鷹「もう、終わりなんだ…」ガックシ
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 20:02:15.25 ID:B1sR52fI0




吹雪「敵がいますっ! 古鷹さん、泣いてる場合じゃありませんっ!」

古鷹「えっ…」

吹雪「古鷹さんが言ったんじゃないですか! 敵が残っているときは泣いてる暇はないって! 言ったじゃないですか、みんなを守るって!」

吹雪「まだ…まだ、だれも沈んでいませんっ!」

吹雪「私は守ります…! 鎮守府もみんなもっ、そして、そして…」


吹雪「私の大好きで大切な…古鷹さんの事を、守ります!」

古鷹「えっ、ふ、吹雪ちゃん…今…」


吹雪「まだ、頑張れます!」ズガガガッズガガガッ

重巡リ級「うぼぁーっ!」


古鷹(…泣いてる場合じゃない!)ゴシゴシ

古鷹「川内ちゃん、重巡から行くよ!」ズガガガガガ

川内「了解!」ズガガガガガ


重巡リ級「うぼぁーっ…」ぱらぱら…


川内「よっし、撃破っ!」

戦艦ル級A「アマいアマい…」

ずごぉんっ

戦艦ル級B「オマえらゴとキ…」

ずごぉんっ

吹雪「だめっ、避けられないっ…」

川内「っく、私も…」

吹雪「いやぁっ!」ボロッ

川内「ぅあっ! や、やばっ」ボロッ
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 20:05:39.39 ID:B1sR52fI0
古鷹「吹雪ちゃん、川内ちゃん!」

古鷹「どうすれば…私はどうすればみんなを守れる…どうすればっ…!」

吹雪「…ま、まだ、まだやれます!」

シュルッルルル

ずがぁんっ

正空ヲ級A「ナ、ナゼ、イッタイドこカラ…」ぱらぱら…


古鷹「せ、正規空母が沈んで…」

ザザザザザ・・・・・
   
   ザザザザザザ・・・・・


叢雲「ふぅ…ぎりぎり間に合ったみたいね」

吹雪「む、叢雲ちゃんっ!?」

叢雲「敵の残党勢力が残ってるかもって聞いたけど本当だったみたいね」


戦艦ル級A「エングンカ…ダガクチクカんイッピキゴときニナニガ…」


叢雲「吹雪っ! まだ動けるんでしょ! 軽巡倒すの手伝って!」

吹雪「う、うんっ!」

叢雲「私がひきつけるから仕留めるのよっ!」ザザザザザ

軽巡ホ級A「ぐぁぁぁぁっ!」

叢雲「今よっ、吹雪!」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 20:08:24.59 ID:B1sR52fI0
吹雪「うん、し、沈んでくださいっ!」ズガガ

軽巡ホ級A「ぐわぁぁぁぁっ」ぱらぱら…


吹雪「よ、よしっ!」

叢雲「なかなかやるじゃない、このまま行くわよ!」

戦艦ル級B「オノレ…、イッピきデモシズメてヤる!」

ずがぁんっ

ズガガ

戦艦ル級B「ワタシノホウゲキガ…」

朝潮「大潮、行くわよっ! 一発必中、肉薄するわっ!」シュルル

大潮「小さな体に大きな魚雷、いっくよぉ! どーん!」シュルル

どがぁん

戦艦ル級B「ワタシタチは、カナラズコノカイイキヲ…」ぱらぱら…


古鷹「な、なんで…まだ一週間たってないのに…」

清霜「か、霞ちゃんのお姉さまたちっ!」

朝潮「清霜ちゃん、霞を守ってくれてありがとうね」

清霜「い、いえ、霞ちゃんが私の事を守ってくれたんです!」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 20:10:22.91 ID:B1sR52fI0
大潮「おー、やるねぇ霞!」


朝潮「さぁ、再開の感想は後にして…古鷹さん、今は敵を倒すことに集中しましょう!」

朝潮「大潮もまだ敵は残ってるわよ!」

大潮「はーい! アゲアゲで行くよ!」


叢雲「古鷹! これ、高速修復材が3個あるわ! ええっと、龍驤と青葉と川内に使ってあげて!」

古鷹「う、うん。でもどうして…」

叢雲「さっき、朝潮も言ったでしょ? 今は敵を倒すことに集中よ」


叢雲「とにかく、これを早く!」

古鷹「う、うんっ! 龍驤ちゃん、青葉、川内ちゃん、いくよっ!」

龍驤「えっ、ウチそれ使うの初めてなんやけどぉぉぉっ!?」

ばっしゃーん

古鷹「よし、次だよ!」

龍驤「な、治った…けど、そのバケツ、その使い方で合ってるんか!?」

龍驤「まぁ、ええわ。さぁ、艦載機のみんなもういっちょ…ボーキも燃料も尽きるまで行くで!」

古鷹「青葉、川内ちゃん行くよっ!」バシャァン

川内「うぷっ!? お、おぉ、治っていくよ! これ、すごいね!」

青葉「ホントです! なんか初めての感覚…」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 20:15:29.41 ID:B1sR52fI0


伊58「す、すごいでち…これなら勝てるかも」

U-511「ユー達は被弾しないように避難しておこう」

叢雲「吹雪、白雪! まだ何とか動けるでしょ?」

吹雪「う、うん、なんとか!」

白雪「わ、私もまだいけるよ」ボロッ

叢雲「二人は霞と清霜を安全な場所まで曳航していってあげて!」

吹雪「…わ、私もたたかっ」(いや…今私にできることは…)

吹雪「…分かったよ! 白雪ちゃんは清霜ちゃんを、私は霞ちゃんを曳航するから!」霞ダキッ

白雪「う、うんっ!」清霜ダキッ

吹雪「叢雲ちゃんっ! …お願いっ!」

叢雲「…吹雪、少しは強くなったみたいね」ボソッ
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 20:19:06.56 ID:B1sR52fI0
叢雲「任せて! さ、朝潮、大潮、古鷹、青葉、龍驤、川内行くわよ!」

「「了解!」」

叢雲「まずは軽巡と重巡からっ…!」ドゴォンッ

軽巡ホ級B「ぐぁぁぁ」ぱらぱら…

大潮「朝潮お姉さん! アゲアゲで行きましょっ!」

朝潮「…分かってる! 行くわよ!」

朝潮・大潮「「一発必中!」」シュルルル


戦艦ル級C「ナ、ナニ…コイツラ…」


どがぁんっ!!

戦艦ル級C「クッ…オノレオノれ…」ぱらぱら…


正空ヲ級B「クッ、ヒクわケニハいカヌノダ」ブゥーン

龍驤「ウチが相手や! …艦載機のみんな耐えてくれ!」ブゥーン

古鷹「青葉、今だよ! 正規空母を!」ズガァンッ

青葉「了解ですっ!」ズガガガァン

正空ヲ級B「アァ…ワタシタチハここデも…」ぱらぱら…


龍驤「ナイスや、古鷹、青葉!」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 20:29:55.40 ID:B1sR52fI0
戦艦ル級A「シズメ!」ずがががが


龍驤「…なっ、あ、あかn!」

川内「危ないっ!」シュバッ


龍驤「た、助かったで川内」

川内「夜戦だったら、もっと早く助けられたんだけどねー!」


叢雲「…アンタたち、この数日間で随分練度が上がったんじゃないの?」


朝潮「ほ、本当にすごい強くなってます、みなさん!」

大潮「練度アゲアゲだね!」


古鷹「そ、そういえば、なんだか私達…」

戦艦ル級A「マダダ…シズメる…ワタシタチハキサマらヲタおすタメダけニ…」どがぁんっ


叢雲「くっ…最後、魚雷で仕留めるわよ!」

古鷹「う、うん! 主砲狙って…」


戦艦ル級A「ワタシタチハ、ヤクタたズダッタノカ…? キサマらモ…」


古鷹「てぇっ!」シュルルッル


戦艦ル級A「ナゼ、ワタシタチハ…」


どがぁんっ

戦艦ル級A「シずム…また、暗い、海のソこニ…」ぱらぱら…
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/15(日) 20:31:01.36 ID:B1sR52fI0



  ザザザザザーン・・・・・・・・・・・・・




       ザザザザザザザザーン・・・・・・・・・・・・・・・
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 20:33:15.45 ID:B1sR52fI0



古鷹「…やった、ね」

龍驤「守ったんや、この海を…ウチ達の鎮守府を…」



川内「や、やったぁぁっ!!!」

青葉「やりましたね、みなさん!」

叢雲「ふぅ、なんとかなったわね…」

朝潮「良かったです…」

大潮「ホントに何とかなってよかったよ!」


古鷹「そうだ…吹雪ちゃん! みんな!」ザザザ


龍驤「そうや、みんなをっ!」ザザザ

叢雲「あっ、ちょっと待って! って、聞いてないわね…」

青葉「どうしたんですか?」

叢雲「え、えぇっと…あなたは、青葉? あれ、ウチの鎮守府に着任してたっけ?」

青葉「あぁ、叢雲ちゃんたちが行った後に着任した…らしいです!」

叢雲「え、えっと…なんで、私たちが行った後に着任できるの?」

青葉「それは青葉にも分からないんですけども…」


叢雲「…そう。とりあえず、私たちも吹雪たちの所に行きましょうか」

青葉「そういえば、ここに来たのは叢雲ちゃんと朝潮ちゃんと大潮ちゃんだけですか?」

叢雲「そうよ、まぁいろいろあってね。この三人しかこられなかったのよ」


青葉「それはなぜ…?」

叢雲「それも後で説明するわ、とにかく行きましょ」

青葉「そ、そうですね…」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 20:35:15.44 ID:B1sR52fI0
♦ ♦ ♦

・9月15日 1500

〜入渠〜

霞「な、治った…」

清霜「か、霞ちゃん…霞ちゃんっ!」ダキッ

霞「き、清霜っ! 全く…」ナデナデ

清霜「良かったよぉ、良かったよぉ…」ムギュー


伊58「ユー、治ったでちね」

U-511「うん、すぐに治った…」

伊58「な、なんだかあんなに激しい戦いだったのにあっさり治っちゃったでち…」

U-511「潜水艦だから、しょうがない…」


吹雪「よ、よかった、みんな無事で」ホッ

白雪「本当に良かった…」ホッ


龍驤「白雪っ! キミは…キミは、心配かけよってぇ!」ウリウリ

白雪「ひゃっ!? りゅ、龍驤さんほっぺたうりうりしないでください〜」


川内「二人とも無事でよかったよ…!」

伊58「ゴーヤは沈まないでち!」

U-511「ユーも、もっと日本の事を知るまでは筋むわけにはいかない…!」ギュッ

川内「そ、そっか…」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 20:36:51.04 ID:B1sR52fI0
古鷹「…」

吹雪「…」


叢雲「まさか、加賀さんの予感が的中するとはね…」

朝潮「あの、叢雲さん。みなさんにも事の些末を教えてあげないと」

大潮「そうですね!」


わいわいがやがや

青葉「はっ!? あ、あのっ、今誰も見張り室に居ないですよね! もし今敵に来られたら…!」

吹雪「そ、そういえば…たいへんっ!」

叢雲「あぁ、それならもう多分大丈夫よ」


古鷹「えっ…?」

叢雲「そうね、でも万が一という事もあるし…朝潮、大潮には移動中に話したから二人に見張りを頼めるかしら?」

朝潮「もちろんですよ! さ、大潮行くわよ」スタスタ

大潮「はーい!」スタスタ

叢雲「ありがと、朝潮、大潮」

叢雲「よし、みんな入渠は完了したかしら? それなら事の些末を説明するから会議室に行くわよ」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 22:24:27.54 ID:B1sR52fI0
「「はーい!」」

♦ ♦ ♦

〜会議室〜

叢雲「さ、集まったわね」

青葉「はい、それでいったい今この鎮守府では何が起こってるんでしょうか?」


叢雲「まぁまぁ、えっと、これはすべて加賀さんから聞いたことよ。私も加賀さんから聞くまでは全く知らなかったことなの」

叢雲「それを前提に聞いてね」


叢雲「私たちをここに行くように言ったのも加賀さんよ。つまり、ここに来たのは司令官の命令じゃないの…まぁ、要は私と朝潮と大潮は命令違反してここに来たってわけよ」


古鷹「め、命令違反!?」

叢雲「そうよ。…朝潮を説得するのは大変だったけどなんとか連れ出してきたわ」


霞「あ、あの朝潮ねぇが命令違反なんて…」


叢雲「それで…まず確認なんだけど、ここの鎮守府の無線とかは今使えるかしら?」


川内「いや、無線はうんともすんとも言わなかったよ」

叢雲「…という事は加賀さんの言ってたことは正しかったのね」


龍驤「加賀の言ってたことが正しい? いったいどういう事や」

叢雲「初めから説明するけど、オブラートに包んでもしょうがないしはっきり言うわ」


叢雲「ここにいるあなたたち、そして鎮守府は司令官に捨てられたのよ」


清霜「えっ…、わ、私たちが…捨てられた?」


古鷹「そう…」(やっぱり、捨てられていたんだね)

叢雲「そうよ」

霞「ほんっと、クソ提督だったのね。それにしても…あたしたちが捨てられたのはまだわかるわ。練度もかなり低くて正直自分でも使い物になるなんて自惚れちゃいないもの」

霞「でも、鎮守府を捨てる理由は? やっぱり古鷹が言っていたように立地の関係?」

叢雲「あら、知ってるの? まぁ、一応説明しとくわね」

叢雲「えぇっと、さっき霞も言ってくれたように、この鎮守府の場所と敵の巣の場所に関係があるの」

叢雲「そもそもこの鎮守府がなんでこんな未開の地、それに航運経路から外れた真水もまともに取れない場所にあるかだけど…」

叢雲「この場所は敵の巣の近くにあるのよ」

叢雲「そして、この場所は小さい島がたくさんあるから敵側にも気づかれにくい」

龍驤「だから鎮守府の規模もそこまで大きくしなかったわけやろ? あまり大きくしちゃうと敵側に感づかれてしまうもんなぁ」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 22:47:10.79 ID:B1sR52fI0
叢雲「その通りよ」(というより、知ってたの…? まぁいいけど)

白雪「でも…それだったら、やっぱりこの鎮守府は大事な拠点なんじゃないのかな? 敵の動向を近くで観察できるんだから…」


叢雲「…敵の動向が観察できなくなったから捨てられたのよ」

白雪「観察できなくなった…?」

叢雲「そうよ、簡潔に言うと敵側が元の巣を放棄して新しい巣に移動した…らしいのよ。敵側の巣が移動したって言うのは聞いてたけどまさか元の巣がこの鎮守府の近くにあるとは思ってもみなかったけどね」

U-511「敵側が巣を放棄…」

伊58「敵側の巣に近いからこの鎮守府は存在意義があったでち。つまり、敵側の巣が近くになかったら…」

川内「ただの未開の地にある不便な鎮守府…」

叢雲「そうよ、そこで大本営も鎮守府の放棄を決定したのでは…って加賀さんは言ってたわ」


吹雪「つまり、大規模作戦もすべて司令官のウソ…」

叢雲「…大規模作戦というのは嘘ではないわ。敵側の巣の移動のいざこざがあるうちに叩いてしまおうっていうのが大本営の方針だったらしいから」

叢雲「そして、私たち…まぁここから移動した私たちは新鎮守府に移転するまでは別の大規模鎮守府の指揮下に置かれて作戦行動をしてたの」


叢雲「でも、昨日の夜、加賀さんに呼び出されて今言ったようないろいろなことを教えてもらったの」


叢雲「加賀さんってすごい人だわ。移動中にさりげなく艦載機を飛ばして敵側の元の巣を発見して、偵察したらしいの。機動力も練度も超一流のあの人だからできたことだと思うわ」

叢雲「これは私の推測だけど、多分加賀さんはこの鎮守府の傍に深海棲艦の拠点があることを勘づいていたんだと思う」

叢雲「だから、加賀さんはいろいろな行動をとったんじゃないかしら。」


叢雲「あ、話が逸れちゃったわね。で、加賀さんによると敵の巣はすっからかんで捨てられた後みたいで動きはないから安心した、らしいんだけど…」

叢雲「艦載機が戻るときにかすかな光を捉えたらしいの」

川内(それって、もしかして私が)

吹雪(もしかして、私が見た光も…)

叢雲「最初は加賀さんもただの光の反射だと思ったらしいわ。でも、明らかに怪しいと感じて、責任はすべて私が持つからっていって、持てる限りの資材と高速修復材を私たちに持たせてくれて、言ったのよ」

叢雲「『元の鎮守府が心配だわ、見てきてください。責任はすべて私が持つから』ってね」

加賀「資材面やノット数…まぁ、速さの面でもこの3人しか来れなかったけどね。ばれないように夜中に出発したから」


龍驤「加賀…独断行動しすぎやないか…? 命令無視とかいう域を超えてるで…」

白雪「命令無視は、仲間想いの証拠じゃなかったでしたっけ?」

龍驤「…ま、まぁそうやけど」


叢雲「それで、私たちは今ここにいるわけ。でも、まさか加賀さんの言う通り、本当に敵側が残党勢力を残してるとはね」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 22:49:40.22 ID:B1sR52fI0
叢雲「敵側が主力を移動したのは確かだし、敵の規模的にも戦力のほとんどを新拠点に移動したらしいからあいつらは残された敵ってわけね」


吹雪(立場は違えど…私達と境遇的には少し似てるかも…)


清霜「…でも、私達、提督に捨てられちゃったんだよね? これからどうなっちゃうの…」

叢雲「…それは心配いらないと思うわ。そもそもアンタたちを置いていくこと自体あの司令官の独断だし…」

叢雲「それに、気づいてないかもしれないけどアンタたちかなりの練度になってるわよ」


古鷹「そ、そうなの? 全然実感がないけど…」

龍驤「まぁ、短時間とは言えあれだけ実戦を重ねたら練度も上がるっちゅうもんやで」


叢雲「それに、今さっき加賀さんにも持ってきた無線でこのことを報告したら、明日加賀さん達が迎えに来てくれるって言っていたし…。多分加賀さん達が提督…もしくは大本営に掛け合ってくれたんだと思うわ」


叢雲「加賀さんに感謝しないと。あの人は本当にすごいわ!」

龍驤「加賀…さすがやな」


叢雲「まぁ、私…もとい加賀さんからはそんなところよ」

川内「…要は、私たちは提督にいらないからってことで鎮守府ごと捨てられて」

青葉「それに気づいた加賀さんが助けをよこしてくれたってわけですね」


叢雲「どう、何か質問はある?」

青葉「ここにいる司令官はかなり合理的な考えをするんですよね?」

叢雲「確かにその気があると思うわ」

吹雪「だから、大規模作戦でも役に立ちそうもなくて、新鎮守府に居てもまた練度を上げないといけない私たちを置いて行ったんだね」


白雪「で、でもっ! 一週間たっても私たちを迎えに行かなかったら…もし私だったら居てもたってもいられなくてこの鎮守府に迎えに行くと思うんだけど…」


叢雲「私だってそうすると思うわ。でもそんなの司令官ならどうとでもいえるわ。例えば『あいつらは別の鎮守府に着任することになった』とかね」


白雪「ひどい…」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 22:51:02.02 ID:B1sR52fI0
叢雲「…そうよ、ただの機械人間」


叢雲「…とにかく、明日になったら加賀さんが来てくれるわ」

吹雪「そうだね…」ぐぅぅぅ


吹雪「あっ…」カァァ

白雪「…そういえば、敵と戦って入渠してたらいつの間にかもう1600に…」


龍驤「よっしゃ、じゃあご飯作るで! 今日は魚を獲りまくって、山菜も採ってパーティーや!」


叢雲「え、魚を獲って山菜も…?」


吹雪「叢雲ちゃんも一緒にやろうね!」

白雪「意外と大変だから覚悟してね?」

叢雲「ちょ、ちょっとどういうことよ!」

吹雪「さっ、行こっ!」ギュッ

叢雲「ちょ、ちょっと吹雪!」

伊58「ユー、ゴーヤたちも行くでち!」

U-511「魚獲るよ…」グッ


霞「じゃあ、あたし達は水を汲みに行く?」

清霜「そうだね、一緒に行こ!」

霞「そうね、今日はちゃんとお風呂にたくさん水を張れるようにたくさん汲まないと!」

龍驤「ウチらはのんびり山菜でも探すか?」

古鷹「そうだね」

青葉「山菜の情報ならお任せです!」

川内「夜が近づくとテンション上がってくるよっ! …ちょっと眠いけど」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 22:53:08.64 ID:B1sR52fI0
・9月15日 2000

〜食後・お風呂場〜

清霜「霞ちゃん! 背中流してあげる!」ギュッ

霞「だ、だからいろいろ当たってるったらっ!」カァァ///

龍驤「ほーん…」

青葉「りゅ、龍驤さん、青葉の胸に何かついてますか?」

龍驤「いや、なぁ。余計な脂肪がずいぶん育ってると思うてなぁ」ワキワキ

青葉「そ、その手の動きは何ですかっ!」


龍驤「なぁなぁ、ねぇちゃん、ええやろぉ?」

青葉「…逃げるっ!」ダッ

龍驤「逃がさへんでぇ!」モミモミ


青葉「ひゃぁぁっ!!」


古鷹「前も聞いたけど、川内ちゃんって夜戦好きなんだよね?」

川内「夜戦!? もちろん!」

川内「夜戦って聞いただけで体が疼くよ!」

古鷹「よし、やっぱりいろいろ落ち着いたら夜戦で勝負しよう!」

川内「へぇ…負けないよっ!」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 22:54:18.30 ID:B1sR52fI0
古鷹「ふふっ、私も夜戦で負けるわけにはいかないからね。手加減は無しで行くよ!」

川内「もちろん! こっちだって夜戦バカって呼ばれてるくらいだからね!」

古鷹(…そう呼ばれてるの知ってるんだ)


吹雪「あ、あのぉ…白雪ちゃん? 私一人で洗えるんだけど…」

白雪「いいよいいよ、吹雪ちゃんは座ってるだけで。私が洗いたいんだから」ワシャワシャ

吹雪「そ、そう?」

白雪「吹雪ちゃん、せっかく綺麗で真っ直ぐな黒髪なんだからちゃんとお手入れしないとダメだよ」サラッ

吹雪「う、うん」(白雪ちゃんのお世話スイッチが入っちゃったみたい…)


わいわいがやがや


U-511「…」クラクラ

伊58「ユー、大丈夫でちか?」

U-511「…うん、大丈夫。みんなでお風呂入ろうって言ったから」フラフラ


伊58「…ユー、上がるでちよ」バシャ

U-511「え、でも…みんなでお風呂入るって…」クラー


伊58「…じゃあ、軽く羽織って風に当たりに行くでち。その後もう一回お風呂に来ればいいでしょ?」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 22:56:24.39 ID:B1sR52fI0
U-511「分かった…」


伊58「大丈夫でちよ。ゴーヤたちが少しこの場から居なくなったって時間も、みんなも、ゴーヤたちを取り残したりしないから」ニコッ

U-511「…ゴーヤ、なんかかっこいい」


伊58「そ、そうでちか? とにかくちょっと羽織って風に当たりに行くでち!」


〜防波堤〜

伊58「気持ちいいでちね!」

U-511「うん…ほ、火照った?身体に気持ちいい…」

伊58「やっぱり、のぼせてたんでちね…」


U-511「の、のぼせてなんか…」


U-511「…そういえば、ゴーヤ強くなったね。ゴーヤの夢かなった、けど…」

伊58「あぁ、そのことだったらもう大丈夫だよ」

U-511「えっ…」

伊58「ゴーヤはもう迷わないって決めたでち! ゴーヤはもっともっと強くなるでち!」

伊58「ゴーヤの先制雷撃で敵を沈めて、仲間が少しでも戦いやすくなるように強くなるでち!」


伊58「それに、今日の戦闘で分かったんでち。ゴーヤはまだまだ弱いでち。こんな弱いうちから強くなった時の心配をするなんて意味ないでちよ」ニコッ
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 22:57:01.09 ID:B1sR52fI0
U-511「…良かった、ゴーヤ、元気になった、ね」


伊58「…全部ユーのおかげでちよ」ボソッ


伊58「さっ、大分涼めたしお風呂に戻るでち!」

U-511「うん…日本のお風呂、あったかくて楽しくて気持ちよくて…なんだか心までポカポカする」

伊58「…そうでちね、さっ、みんなの所に戻るでち!」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 22:58:29.23 ID:B1sR52fI0
♦ ♦ ♦

・9月15日 2100

〜吹雪型の部屋〜

叢雲「二人は疲れてるでしょ? 見張りは私と朝潮と大潮で交代してやるから今日はゆっくり休んで」

吹雪「そんな、私たちも手伝うよ! 叢雲ちゃん達だって疲れてるだろうし」

叢雲「大丈夫よ、それにあの大潮がいるのよ? あの娘は疲れ知らずだからね。とにかく今日は私たちに任せて」

白雪「そう…? それなら、お願いしようかな」

叢雲「分かればいいのよ、それなら…」


吹雪「…ちょっと待って! 私、叢雲ちゃんとの約束守れた、かな?」


叢雲「…守れてる、と思うわ」

吹雪「…微妙な感じかぁ」ガックシ


叢雲「…でも、少しはお姉ちゃんっぽくなったわよ」ボソッ

吹雪「ん、何か言ったかな?」


叢雲「べ、別に何も言ってないわよ」

白雪「…ふふっ、叢雲ちゃんったら素直じゃないんだから」

叢雲「き、聞こえてたの!? あぁー、もうっ、とにかく二人はちゃんと休むのよ! おやすみ!」

吹雪「う、うん、おやすみ!」

白雪「おやすみなさい、叢雲ちゃん」


ガタン

吹雪「…私たちも寝よっか?」

白雪「そうだね、私も今日は疲れちゃったかも」

吹雪「…おやすみ、白雪ちゃん」

白雪「おやすみなさい、吹雪ちゃん」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 22:59:37.11 ID:B1sR52fI0
〜数分後〜

吹雪「…」ムクリ

吹雪「…白雪ちゃん、ごめんね。私どうしても…今、会いたい人がいるんだ」ボソボソ

白雪「…」


吹雪「おやすみ、白雪ちゃん」ボソッ

ガタン


白雪「…吹雪ちゃん、きっと古鷹さんの所に行ったのかな? なんだか吹雪ちゃん、古鷹さんの事意識してたみたいだったし…」

白雪「…私も」ムクリ

ガタン
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:01:30.51 ID:B1sR52fI0

〜朝潮型の部屋〜

霞「…清霜、起きてる?」

清霜「うん、起きてるよ」


霞「なんだか、長かったわね」

清霜「うん、本当にいろいろあったね!」


霞「…その、ありがとね」

清霜「えっ! 急にどうしたの、霞ちゃん?」

霞「…聞いたわ、あたしが被弾した時にすごい怒ってくれたって」


清霜「…だって、霞ちゃんは私を守ってくれるヒーローで、私は霞ちゃんが大好きだから…」

清霜「許せなかったの、霞ちゃんが傷つけられたのが、だからっ」


霞「あのね」

霞「…あたし、勘違いしていたみたいなの」


清霜「…勘違い?」

霞「…ここに残されたとき、まず最初に思ったのよ。何があっても清霜はあたしが守るって」

清霜「…」


霞「でも、実際は違った。あたしは清霜に守られっぱなしだった」

霞「きっと、清霜が居なかったら、あたしは今ここにいなかったと思う」


霞「だから、清霜。…ありがとう」


清霜「お礼を言うのは私の方だよ、霞ちゃん」

霞「え…?」


清霜「霞ちゃんはあたしが霞ちゃんを守ったっていったよね…それはね」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/15(日) 23:03:58.70 ID:B1sR52fI0
清霜「霞ちゃんが私のことを守ってくれたから私も霞ちゃんの事を守ることが出来たんだよ」


清霜「…自分でも何が言いたいか分からないけど、やっぱり守られてたのは私の方だよ」


清霜「それでね、私、この三日間で思ったんだ! やっぱり私、戦艦になりたい!」

清霜「もっと強く、もっと大きく、たった一人ですべてを守れるような、そんな大きな戦艦になりたい、って!」


霞「はぁ…最後までそれなのね…。まぁ、頑張りなさいな」


霞「でもね、清霜。これだけは覚えていて。」

清霜「ん、何かな?」

霞「清霜は駆逐艦で小さくても…十分に強いわよ、みんなを守れてるわよ」

霞「それだけは、忘れないで。清霜、あたしから見れば、あなたは今のままでも十分に大きいの、強いの。あなたの存在はあたしにとってとっても大きなもので、その存在の大きさに助けられた、そのことは忘れないで」


清霜「…それは霞ちゃんの方だよ」ボソッ

清霜「ありがと、霞ちゃん。それじゃあ…」


霞「そうね、おやすみ」ギュッ

清霜「おやすみ」ギュッ

195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:04:55.97 ID:B1sR52fI0
〜青葉の部屋〜

青葉「今日あったこと、今までの事をノートにまとめてみたけど…」


青葉「みんなにこれを見てもらいたい! この鎮守府で何があったかを知って欲しい!」


青葉「…だから、もうちょっとレイアウトを工夫して…えぇっと…」


〜川内の部屋〜

川内「はぁ、結局今日も夜戦は無しかぁ」


川内「…いろいろあったなぁ」

川内「那珂は随分早く改二になったし、神通も旗艦として活躍してた」

川内「私も早いとこ強くなんないとねっ!」


川内「でも今は…夜戦したーいっ!」バタバター
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:05:58.40 ID:B1sR52fI0
〜龍驤の部屋〜

こんこん

龍驤「ん、なんや、こんな夜に…だれやぁー?」

白雪「あっ、白雪です! 夜遅くにすいません」


龍驤「ん、白雪か、入ってきてええでぇ」


白雪「は、はい」ガチャ

白雪「お、おじゃましまーす」

龍驤「邪魔するなら帰ってやぁ」


白雪「え、えぇっ!?」

龍驤「嘘や嘘や、さ、こっち来てや」


白雪「はい」

龍驤「それで、どうしたんや?」

白雪「え、えっと…す、少し、顔が見たくなってしまって」


龍驤「お、おぅ、そうか…」(なんや、ちんまくてかわええやつやな)

白雪「えと…そういえば前も話しましたけど私と龍驤さんって前世では同じ場所で生まれたんですよね」


龍驤「そうやで、ウチは横浜生まれや!」

白雪「そうですよね」フフッ(ホントにどうして関西弁風なんだろう)

龍驤「んっ…?」


龍驤「…白雪、キミ、笑うとなんだか…どこかの国のお姫様みたいやな」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:08:00.96 ID:B1sR52fI0
白雪「えっ!? お、お姫様だなんてそんな…」カァァ///(わ、私の事をお姫様って、そ、それじゃ龍驤さんはお、王子様…?)


龍驤「まさに、白雪姫やな!」ドヤッ

白雪「えっ、あ、そ、そういう…」(私の名前と白雪姫をかけただけだったんだね、そうだよね…)


龍驤「さ、白雪も疲れたやろ? 今日はもう寝るで」ゴロン


白雪「…」(ドキドキさせたんだから少し位仕返ししてもいいよね…?)

白雪「…龍驤さん、私は白雪姫なんですよね?」

龍驤「ん、ま、まぁそうやな。どうや、ウチのセンスは」


白雪「…白雪姫は王子様のキスでしか起きられないんですよ?」

龍驤「え、ど、どういうことや?」

白雪「だから、明日の朝は龍驤さんのキスで起こしてくださいね?」

龍驤「ちょ、そ、それってどういう…///」

白雪「ふふっ、おやすみなさい♪」


龍驤「ちょ、ちょっちまちや! 白雪、白雪! そ、そうや! グリムの原作では王子様のキスじゃなくて…」アーダコーダ

白雪(いろいろ言ってるけど、明日の朝は龍驤さんがキスしてくれるまで寝たふりしてればいいよね? ふふ、おやすみなさい龍驤さん)


龍驤「し、白雪ぃー!」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:08:53.96 ID:B1sR52fI0

〜古鷹の部屋〜


古鷹「…」ゴロゴロ


古鷹「寝れない…」ゴロゴロ


古鷹(寝れない…もちろん今日あった敵との戦闘の興奮とかいろいろあるけど…)


古鷹「…大好きで大切な人、か」モヤモヤ

古鷹(…私にとって吹雪ちゃんって何だろう)


こんこん

古鷹「…!」ビクッ

古鷹「あっ、ど、どちら様ですか?」

吹雪「ふ、吹雪です! 夜にすいません、お邪魔してもいいですか?」

古鷹(ふ、吹雪ちゃん!?)

古鷹「う、うん。いいよ、入って?」ガチャ

吹雪「ありがとうございます、古鷹さん」ニコッ
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:10:54.30 ID:B1sR52fI0
古鷹「う、うん」ドキッ


吹雪「今から寝るところでしたか?」

古鷹「えっ、そ、そうだね。ちょっと布団に入ってごろごろしてたんだ」


吹雪「…それなら、わ、私も布団で一緒にお話がしたいんですけど、ダメ、ですか?」


古鷹「い、一緒に!? ま、まぁ、いいけど…」(私の布団、臭くないよね…?)


吹雪「あ、ありがとうございます!」

古鷹「じゃ、じゃあおいで?」

吹雪「し、失礼します」モグリ

吹雪(わぁ…古鷹さんの匂いに包まれているみたい…)ドキドキ

吹雪「え、えっと、やっぱり、古鷹さんって大きいですね」


古鷹「そうかな? 重巡の中だと小さい方だよ?」

吹雪「そうなんですか? でもやっぱり、とっても大きくて…なんだか安心します」

古鷹「う、うん」カァァ///(う、うぅ、なんでだろ、まともに話せないよっ)


吹雪「…」

古鷹「…」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:13:34.64 ID:B1sR52fI0


吹雪「あの、古鷹さん。改めてありがとうございます」

古鷹「え、ありがとうございますって…」


吹雪「…私、よく迷っちゃうんですよ」

古鷹「迷っちゃう?」

吹雪「私、自分では何事も真っ直ぐに真面目に本気でぶつかっていこうと思っているんです」

吹雪「でも、すぐに弱気になっちゃって…自分が今すべきことを見失っちゃうことがあるんです」

古鷹「…」


吹雪「きっと、自分に自信が持ててないんです。だから、ちょっとでも自分の予想外の事が起きてしまうともうどうしていいか分かんなくて、何をすべきか迷っちゃって…」


吹雪「私の名前が吹雪だからですかね…? まるで吹雪の中、灯りもないような暗い中をひたすら彷徨っちゃうみたいな…」

吹雪「一人になったり、何をすべきか分からないとき…。たまに、私の思考も心もそんなところに迷い込んじゃうんです」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:14:43.26 ID:B1sR52fI0
吹雪「…寒くて、暗い場所です」


吹雪「…そんな寒くて、暗い、吹雪の中から…私を連れ出してくれたのは、古鷹さんでした」


吹雪「私、古鷹さんの事が好きです」


吹雪「大好きで大切な私の守りたい人です。傍に居たいって思える人です」


吹雪「…でも、本当に私はこんな感情を持っていいんでしょうか? 私たちは艦娘です。海の平和を願って、深海棲艦を倒すことが私たち艦娘の使命です」


吹雪「もちろん、仲間を想う感情は大事です。仲間を助けることも艦娘の使命です」

吹雪「でも…でも、私の古鷹さんに対する感情は…恋愛感情なんです。古鷹さんと話すと胸がポカポカして古鷹さんに触れられるとドキドキして…そんな、そんな感情を、私は持ってしまったんです…」ポロポロ
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:17:13.00 ID:B1sR52fI0
古鷹「…吹雪ちゃん」ナデナデ


吹雪「うっ、わ、私…また、どうしていいか分からなくて…ふ、古鷹、さん…わ、私どうすれば…」ポロポロ


古鷹「…吹雪ちゃんは、そのままでいいと思うよ?」


古鷹「…だって、私たちは艦娘なんだから」


吹雪「えっ…」

古鷹「艦娘は確かに敵を倒すことが使命だよ」


古鷹「でもね、私たちは気持ちを持っているんだよ? だから仲間を助けるの。気持ちがなかったら仲間なんて助けない。だから、その気持ちは誰にも否定できないんだよ」


古鷹「気持ちを持っている艦娘だから、人間と同じように笑っていいの、泣いて、怒って、喜んで、悲しんで…嫌いになって、好きになっていいんだよ」


古鷹「…吹雪ちゃんは、自分の気持ちを否定しなくていいんだよ」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:19:27.52 ID:B1sR52fI0
古鷹「…私も今、好きな人がいるんだ」ニコッ


吹雪「ぐすっ…ふ、古鷹さん、うっ、ぐすっえぐっ…」ポロポロ


古鷹「でも、この好きはまだ私の好きな人と同じ好きかどうか、分からないんだ。…でも、その人は私にとって特別な人」


古鷹「だから、私の好きな人にはもうちょっと待っていてほしい。私の答えが出るまで…我がままだよね」

古鷹「でも、真剣だからこそ待っていてほしい」


古鷹「どうかな、吹雪ちゃん。私のわがまま聞いてくれるかな…?」


吹雪「…ふふっ、古鷹さんって私よりも生真面目ですね?」ゴシゴシ


古鷹「そうかな?」

吹雪「…分かりました、私の告白のお返事はまだしてくれなくて大丈夫です」


吹雪「でも、必ずいつか答えを聞かせてください。…私も待っているので」ニコッ

204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:20:44.74 ID:B1sR52fI0
古鷹「うん、ありがとう吹雪ちゃん」ニコッ


吹雪「って、そういえば私たち一緒に寝ちゃってますね?」

古鷹「えっ、どういうこと?」


                   (アイアンボトムサウンド) 
吹雪「だって、言ってたじゃないですか? 一緒の場所で眠るのは前世の私達だけで十分って」


古鷹「そういえばそんなことも…でも、大丈夫だよ。前世の私たちは暗くて寒い海の底だけど、今私たちがいるのは温かい布団の中なんだから」


吹雪「ふふっ、そうですね」


吹雪「…古鷹さん、今日は月明かりが綺麗ですね」

古鷹「そうだね、本当に綺麗だね」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/15(日) 23:21:34.03 ID:B1sR52fI0
吹雪「…古鷹さん」ギュッ

古鷹「なに、吹雪ちゃん」

吹雪「おやすみ、なさ…い……」zzz


すぅ…すぅ…


古鷹「…今は、おでこだけど、いつか私が、私の気持ちに答えを出せたら次は…」

ちゅっ

古鷹「おやすみ、吹雪ちゃん」

 
 ―艦―
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/15(日) 23:23:42.13 ID:B1sR52fI0
終わりです、途中にコメントくれた人ありがとうございました!

最後の方は収拾がついてないような気もするけどこれでおわります。誤字とかよみかえしてみるとひどいという…

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/16(月) 03:16:02.57 ID:j2Wkx6Xv0
おつかれーい
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/16(月) 09:43:18.47 ID:u9Ghz/VQ0
よかった
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/16(月) 09:58:57.44 ID:7VcHO7JfO
もう一波乱あるかと思ったけど終わりか。
でも面白かった
お疲れ
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/20(金) 23:43:43.74 ID:+7sASrdUO
一気に読みました
とても台詞の選択が良かったです
感情移入できました

ただこのままだと青葉の着任の説明がつかない気がするのでその点は残念でした
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/22(水) 00:49:25.04 ID:/4ecCh8Eo
後日談が欲しい
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