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P「泣いた赤鬼」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 21:43:47.16 ID:OgZG+FJaO
むかし、むかし。
ある山奥に、赤鬼が住んでいました。
赤鬼「フンフフーン♪……」
赤鬼「そろそろクッキー焼けたかなー?」チラッ
赤鬼「……わっ、ととっ!」ツルッ
ドンガラガッシャーン!
赤鬼「……てへへ、また転んじゃった」
赤鬼「っと、そんなことよりさっそく千早ちゃんに味見してもらおっと♪」
赤鬼はとても明るく、失敗してもめげない性格でした。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1507466627
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 21:47:37.41 ID:OgZG+FJaO
赤鬼には、ささやかな夢がありました。
赤鬼「ねえ千早ちゃん。人間って楽しそうだよね」
青鬼「そう? 私は特に興味は無いけれど」
赤鬼「うーん、私にも人間の友達がいたらいいのになぁ」
青鬼「それは……色々と難しいんじゃないかしら」
大昔から、鬼は人間を脅かす存在として恐れられてきました。
自分にとって脅威の存在である鬼と友達になろうと思う人間などいるはずもありません。
しかし、赤鬼は少しだけ変わり者だったのです。
人間と仲良くしたい。
人間の友達が欲しい。
赤鬼はそんなことを考えながら毎日を暮らしていました。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 21:49:34.17 ID:OgZG+FJaO
そんなある日、赤鬼は妙案を思いつきます。
赤鬼「……そうだ! 私は怖くなんかないんだよって人間の人たちにわかってもらえばいいんだよ!」
赤鬼「えーっと……」カキカキ
赤鬼「……でーきたっ。この看板を家の前に立てておこうっと」
看板『心の優しい、とっても可愛い鬼の家です。どなたでもお越しください。おいしいお菓子とお茶でおもてなししちゃいますよっ』
赤鬼は、人間を安心させる言葉を書いた看板を自分の家の前に立てました。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/08(日) 21:49:50.82 ID:zolk19i30
鬼役似合いそう
http://i.imgur.com/zNVcEdz.jpg
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 21:51:04.82 ID:OgZG+FJaO
青鬼「こんなもので本当に人間が来るのかしら……」
赤鬼「だーいじょうぶだって! きっとたくさん来てくれるよ!」
青鬼「だといいけど……」
親友の青鬼の心配をよそに、とても楽観的な赤鬼。
その日の夜、赤鬼は楽しみでなかなか眠れませんでした。
赤鬼「何人くらい来てくれるかな? 人間が来たらどんなお話をしようかな?」
赤鬼「クッキーもたくさん焼かなきゃいけないよね」
赤鬼「ああ、わくわくするなぁ!」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 21:53:10.94 ID:OgZG+FJaO
次の日、赤鬼は朝早く起きて準備をしました。
自慢の手作りクッキーと友達の白鬼に分けてもらった高級茶葉だけでなく、部屋を可愛らしく飾り付けて準備は万端です。
赤鬼「よし、我ながらカンペキ!」
青鬼(大丈夫かしら……)
そんな赤鬼の楽しそうな様子を、青鬼は物陰からこっそりと見守っていました。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 21:54:18.61 ID:OgZG+FJaO
やがて、昼になり……。
赤鬼「もうそろそろ誰か来るかな?」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 21:55:08.73 ID:OgZG+FJaO
夕方になり……。
赤鬼「フフフ、なかなか焦らしますね! でもそんなことでめげる春香さんじゃありませんよ?」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 21:56:10.97 ID:OgZG+FJaO
日が沈んで夜になっても、人間は一人も訪ねて来ませんでした。
赤鬼「うーん……さすがに昨日の今日じゃ急すぎたかも」
赤鬼「大丈夫、明日になったらきっと来てくれるはず!」
青鬼(…………)
張り切って準備したものも無駄になってしまいましたが、これくらいのことでへこたれる赤鬼ではありません。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 21:57:20.06 ID:OgZG+FJaO
次の日も、赤鬼はせっせとクッキーを焼いて人間を待ちます。
赤鬼「今日のクッキーは自信作ですよ、自信作!」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 21:58:53.82 ID:OgZG+FJaO
しかし昨日と同じく、時間が過ぎるばかりでいっこうに人間が訪ねて来る気配はありません。
赤鬼「ズズ……」
赤鬼「……ん、ホントにおいしいこのお茶! さっすが雪歩だね」
赤鬼「って、私が飲んじゃダメだよね、お客さんのお茶なのに」
赤鬼「…………」チラッ
赤鬼「…………まだかなぁ」
青鬼(…………)
そして結局二日目も、人間は赤鬼の家にはやって来ませんでした。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 22:00:02.12 ID:OgZG+FJaO
それから赤鬼は何日も人間を待ち続けました。
赤鬼「きーらいーなーもーのーでもーすきーになーりーたーい♪」
赤鬼「フフンフーン♪」
赤鬼「…………」
赤鬼「…………」
赤鬼「…………」
赤鬼「………………誰も来ないよぅ」グスン
青鬼(…………)
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 22:01:24.68 ID:OgZG+FJaO
ザァァァ
赤鬼(今日は雨かぁ……)
赤鬼(雨ならまぁ……仕方ないよね、うん)
赤鬼「そんなとーきは♪ なやまなーいでジェットーがあーる♪ フライト♪」
青鬼(Fu!)
青鬼(…………)
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 22:02:42.26 ID:OgZG+FJaO
赤鬼「ううむ……」
赤鬼「今日で二週間来客なし……」
赤鬼「まさかこのままずっと……」
赤鬼「いやいや、そんなことないよね。大丈夫、大丈夫……。まだあわてるような時間じゃない……」
赤鬼「ブツブツ……」
青鬼(…………)
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 22:03:52.78 ID:OgZG+FJaO
赤鬼「今日こそは人間が私の家にやって来る……」ブチッ
赤鬼「来ない……」ブチッ
赤鬼「来る……」ブチッ
赤鬼「来ない……」ブチッ
赤鬼「来る……」ブチッ
赤鬼「…………」
赤鬼「………………来ない……」ズーン
青鬼(…………)
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 22:04:46.35 ID:OgZG+FJaO
赤鬼「…………はぁ」
赤鬼「なんで誰も来てくれないんだろう……」
赤鬼「私はただお友達になりたいだけなのに……」
青鬼(このままじゃ春香が……)
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 22:06:27.93 ID:OgZG+FJaO
そして、人間を待ちはじめて一ヶ月が過ぎだある日。
赤鬼(どうせ今日も誰も来ないよ……)
赤鬼(私って嫌われ者だったんだなぁ……)
赤鬼(それなのに、ひとりでバカみたい……)
いつも元気な赤鬼の心も流石に折れかかっていました。
そこへ、ノックの音が響きます。
コンコンッ
赤鬼「!!」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 22:07:25.61 ID:OgZG+FJaO
赤鬼「はっ…………入ってます! じゃなかった、い、今開けますねっ!」タタタ
赤鬼「はうあっ!?」ズルッ
ドンガラガッシャーン!
赤鬼「うぅ、いたたた……」
ガチャ
青鬼「…………こんばんは、春香」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 22:08:32.69 ID:OgZG+FJaO
赤鬼「あ…………なぁんだ、千早ちゃんかぁ」
青鬼「ごめんなさい、期待させてしまって」
赤鬼「う、ううん、そんなことないよ! なんか久しぶりだね?」
青鬼「ええ」
一ヶ月ぶりの来客は人間ではありませんでしたが、親友の訪問は荒みかけていた赤鬼の気持ちを少しだけ解してくれました。
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 22:09:47.95 ID:OgZG+FJaO
青鬼「春香、その……大丈夫?」
赤鬼「大丈夫って何が?」
青鬼「まだ誰も訪ねて来てないんでしょう?」
赤鬼「う……ま、まあ、これからだよこれから! 私、全然気にしてないし!」
青鬼「それは嘘ね」
赤鬼「っ……」
赤鬼「千早ちゃん……」
明るく振る舞う赤鬼は一見いつも通りのように見えましたが、赤鬼の様子をずっと見守っていた青鬼には、それが空元気だというのが分かっていました。
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