勇者「バッドエンドじゃ終わらせねえ!」

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102 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:19:02.67 ID:BG3jPIwWo


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賢者「め、女神様じゃ!女神様の降臨じゃあ!!!」


賢者「儂の祈りが通じたんじゃ!儂の想いが届いたんじゃ!」


賢者「愛しておりますぞっ!女神様!きっキスを!誓いのキッスを儂に!儂にいいいいいいい!!」


女神「ハウスっ!!!」


賢者「バウバウっ!」


女神「もうやだ・・・帰りたい・・・」


賢者「帰らせてなるものか!帰らせてなるものかああああああ!」


女神「ハウスっ!」


賢者「バウバウっ!」


女神「正直言って、貴方は数合わせです!さっさと終わらせましょう」


女神「賢者よ、貴方が望むものはなに?」


賢者「儂が望むもの!それは女神様!貴方様です!」
103 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:19:28.99 ID:BG3jPIwWo


女神「それ以外で、お願いします」


賢者「ならばっ!勇者様っ!それと僧侶ちゃん!二人を儂に!儂のお嫁さんに!」


女神「まったく、ぶれないわねえ・・・」


女神「それに僧侶ちゃんはともかく、先代勇者ちゃんは、もうこの世にいないわよ?」


賢者「ほっほっほ、何を仰るかと思えば」


賢者「勇者様は帰ってこられるぞ」


女神「なぜ、そう思うのかしら?」


賢者「なに、戦士がまだ諦めておらんからな、それに僧侶に儂もな」


女神「ふうん、貴方もまだ諦めてないのね」


女神「蘇らせる方法は無いのよ?これは嘘偽りのない神の言葉、これが真実」


賢者「それでもじゃ」


女神「ま、及第点ね。諦めない心は何より大事だもの」


女神「貴方にも、勇者の力を授けましょう。そうね、絶大な魔力でどうかしら」
104 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:19:55.48 ID:BG3jPIwWo


賢者「・・・このような老いぼれにですか」


賢者「『貴方にも』と仰ったが、戦士や僧侶の下へも降臨されたと言うことですな?」


女神「もちろん、そうよ?」


賢者「一つ疑問が生まれました」


賢者「儂の知る限り、同時期に勇者は一人のみ。それが、戦士に僧侶、そして儂と3人に勇者の力を授けた」


賢者「勇者が3人もいるなどと、儂は聞いたことがない」


賢者「女神様には相応の負荷がかかっておると見るが?」


女神「それはもちろんそうよ、おかげさまで今すぐにでも掻き消されそうな勢いよ」


賢者「なぜ、いまさら?」


女神「同情しちゃったから、先代勇者に」


賢者「神々は人の感情とは別次元の世界に生きておると思うておったが・・・」


女神「そうなんだけどね、あの娘、無理やり私を召喚したり無茶してたから」


女神「彼女の持つ勇者の力の源である、私と彼女との繋がりが強まっちゃったのよ、おかげで彼女の感情までダダ洩れ」


女神「そしたら、やるせなくなっちゃった」


賢者「ふむ・・・」


女神「ま、そういうことだから、4人の勇者でちゃっちゃと魔王を倒してきちゃって頂戴な!」
105 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:20:21.81 ID:BG3jPIwWo


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戦士「4人?」


僧侶「どういうこと?」


賢者「もう一人・・・」


女神「さあさあ!話はこれくらいにしましょう!」


女神「今から始めるわよ、みんなの勇者としてのデビュー戦!」


女神「今回は出血大サービス!」


女神「私の力のすべてを使って、貴方たちに最高の舞台を用意してあ げ る!」


女神「では、いってらっしゃーい!」
106 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:22:43.22 ID:BG3jPIwWo


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魔王城城門前


------------


勇者「作戦をお伝えします」


戦士「・・・最高の舞台って、こういうことか糞ばばあめ」


戦士「何が蘇らせることは不可能だだ!」


勇者「?」


僧侶「気にしないで、勇者。こっちの話」


僧侶「まあ、嘘はついてないわね」


賢者「・・・女神様も粋なことを」


賢者「全ての力と言っていた・・・無事では済まないじゃろうのう」


戦士「・・・っち」
107 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:23:10.43 ID:BG3jPIwWo


勇者「お話いいですか・・・?」


戦士「続けてくれ」


勇者「今回のバッドエンドの匂いは、これまでの比じゃないです」


勇者「まだ、城門の前だというのに鼻が曲がりそうな勢いです」


勇者「というわけで、作戦が必要と判断しました」


戦士「その必要はない」


勇者「な、何を・・・どういうつもりですか?」


僧侶「 な い しょ 」


僧侶「アンタも私たちに、いっぱい隠し事してるでしょ!お互い様よ!」


賢者「ちっとは儂らを頼ってもよいのじゃぞ勇者様」


勇者「・・・いえいえ、この物語は私が主役ですから」


勇者「ぜひ脚本も私に任せてください」
108 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:23:36.95 ID:BG3jPIwWo


戦士「そりゃあ、無理な相談だな」


戦士「悪いが、この物語の主役は俺だ」


僧侶「そうかしら?私だと思うんだけど?」


賢者「儂かも知れんぞ」


勇者「皆さんさっきから何を・・・?」


僧侶「とにかくアンタの作戦は不要よ」


賢者「そうじゃのう」


勇者「では、ひとつだけ・・・」


勇者「トドメは私が差しますので」


勇者「例え魔王に隙があったとしても、決して逸らないでくださいね」


戦士「聞けねえ相談だ、隙があったら俺がぶった切る」


勇者「なんなんですか!皆さん!さっきから!」
109 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:24:03.11 ID:BG3jPIwWo


勇者「これから魔王と戦うというのに!冗談じゃないんですよ!」


戦士「僧侶が言っただろ、内緒だよ」


僧侶「そうそう、たまには先の見えない物語を楽しみなさいよ」


賢者「なに、安心しなさい勇者様。魔王は必ず倒して見せる」


勇者「・・・」


勇者「わかりました」


勇者「みなさん・・・今日まで大変お世話になりました」


戦士「・・・いらんな、そんな別れの挨拶」


僧侶「まったく、力を入れすぎよ!少しはリラックスしなさい勇者!」


勇者「いえ・・・今日は、私の初主演の舞台が終幕を迎える日です・・・」


戦士「あんまり気負うなって言ってんだろ」


勇者「そうですね・・・」
110 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:24:29.13 ID:BG3jPIwWo


勇者「ありがとう戦士くん」


戦士「おう!」


勇者「では、行きましょうか・・・」


戦士「勇者」


戦士「今回の物語は、これまでにないサプライズてんこ盛りでお届けしてやる」


戦士「楽しめよ!勇者、お前が最善席だぜ!」


勇者「?」
111 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:24:55.57 ID:BG3jPIwWo


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魔王「よくぞここまでたどり着いた・・・勇者諸君」


僧侶「相変わらず、すごい瘴気ね」


魔王「・・・話に聞いてはおったが、本当にたった4人でやって来るとはな」


魔王「小童が一人に、小娘が二人、それに老人が一人・・・なめられたものだな」


戦士「ふん、そのたった4人に倒されるお前が哀れだよ魔王、だったな・・・」


魔王「・・・ふむ、闘志は十分か」


魔王「・・・感じるぞ、女神の残り香」


魔王「その禍々しい光の力・・・ん・・・?」


勇者「?」


魔王「ど、どういうことだ・・・?」


勇者「そろそろ始めていいでしょうか?」


魔王「待て待て待てっ!ちょっと待てっ!」
112 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:25:22.27 ID:BG3jPIwWo


魔王「どういうことだ!?何故、4人全員が女神の加護を受けておるのだ!」


魔王「だれだ!誰が勇者なのだ!?」


勇者「誰って?私が勇者です」


戦士「いや、勇者は俺だ」


僧侶「私が勇者よ」


賢者「儂こそが勇者じゃ」


勇者「はい!?」


魔王「ずるいぞ女神め!こ、このような卑怯な仕打ちがあろうか!」


勇者「お、落ち着いてください魔王!」


魔王「おおおお落ち着いてられるかっ!」


勇者「どういうことですか!?みなさん!」


戦士「どうもこうもねえ、そういうことだ勇者」


勇者「だ、だから・・・!?」
113 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:25:48.77 ID:BG3jPIwWo


僧侶「落ち着きなさいよ勇者」


賢者「ほれ、魔王の狼狽ぶりをご覧なさい、なかなか楽しめますぞ」


魔王「こここれは、夢だ・・・悪夢だ・・・」ガクガクブルブル


勇者「・・・」


勇者「プッ」


勇者「なんですかこれは、せっかくの僕の晴れ舞台が」


勇者「これじゃあコメディじゃないですか!」


僧侶「いいじゃないコメディ」


賢者「儂もシリアスな雰囲気より、ギャグのほうが好みじゃ」


戦士「そうだな、コメディ上等だ」


戦士「勇者も好きだろ?」
114 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:26:26.30 ID:BG3jPIwWo


魔王「ふ、ふはははははは!上等だ!4人か!4人の勇者ぐらいがなんだ!」


魔王「かかってくるがよい!まとめて冥途へ送ってやろう!」


戦士「だとよ!いくぜ勇者!」


僧侶「今度は誰一人、失わないでみせる!」


賢者「さあて!今度こそ、ハッピーエンドで締めくくろうぞ!」


勇者「ええっ!行きましょうか皆さん!」


僕はコメディが一番好きだ


そりゃあそうだ、コメディには僕のきらいがアレがない


そう


コメディでバッドエンドはありえない
115 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:26:52.61 ID:BG3jPIwWo


------

















あ、おかえりー


へえ、隣町に芝居小屋が


演目は?もちろん聞いてきてくれたよね


『リア王』?異世界で作られた?


・・・うーん、ちょっと匂うなあ


偵察に行ってくるだって?


ま、たまにはいいさ


一緒に見に行こうよ


芝居の中の悲劇ぐらい何てことないさ


だって






今のぼくは、こんなに幸せに溢れているんだから
116 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:27:19.50 ID:BG3jPIwWo
おわり
117 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:32:02.44 ID:BG3jPIwWo
勇者「俺の知らないところでイベントが進んでる」

魔王「もし儂の味方になれば、有給をやろう」

盗賊♀「ゆ、勇者様!もう勘弁してくださいっ///」

直近の3つのSSです。
こちらも感想頂けると幸いです。
118 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 14:33:50.11 ID:BG3jPIwWo
あとツイッター始めました。酉で探していただければ出てくると思います。
スレが落ちたら、そちらに感想ください。よろしくおねがいします。
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/15(日) 16:50:57.33 ID:ae4BD/gkO
120 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/15(日) 18:56:27.19 ID:BG3jPIwWo
駄目だしや、具体的な指摘をいただけると幸いです。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/16(月) 03:54:33.51 ID:jAy2RnhUo

この四本は全部読んでたよ
どれもテンポ良くて読みやすかった
公務員パーティは面白かったしキャラも良かったから続編とか外伝読みたい
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/16(月) 16:49:51.30 ID:zAbFikBBo
ハッピーエンド厨だから、勇者に共感してしまうわ
123 : ◆CItYBDS.l2 [saga]:2017/10/16(月) 17:54:28.12 ID:aQnEAYiio
感想ありがとうございます。
もう少し、丁寧に描写しないとキャラクターへの共感も誘えないかなと思ったんですけど、如何でしょうか。
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/17(火) 16:53:25.78 ID:EKgS+fbv0
キャラの描写がクドいと逆に共感が消え失せます(特に戦士周り)
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/17(火) 18:49:33.21 ID:FJh5SMmxo
簡潔でテンポがいいのが強みだと思うんで
描写増やすとそこが潰れないか心配
126 : ◆CItYBDS.l2 [sage]:2017/10/17(火) 20:15:00.88 ID:+MvY8cZao
なるほど
掘り下げる場合は、本筋に少しずつ混ぜ込む感じがよさそうですね
ありがとうございます
127 : ◆CItYBDS.l2 [sage]:2017/10/17(火) 20:16:16.52 ID:+MvY8cZao
ジレンマですね
SSでは、テンポよくやって
描写を増やすのは個人的に練習する感じにしてみます
128 : ◆CItYBDS.l2 [sage]:2017/10/17(火) 20:36:22.72 ID:+MvY8cZao
もともと続かせることを考えていなかったので整合性が取れていないかもしれませんが
次は公務員パーティーの続きを書いてみようと思います。
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