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二宮飛鳥「山で撮影?」 姫川友紀「う、うん……」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:05:44.17 ID:UVpZdYBv0
まずは何も言わずにこの画像をみてほしい
話はそれからだ
http://uproda11.2ch-library.com/e/e00218697-1507442659.jpg
http://uproda11.2ch-library.com/e/e00218698-1507442659.jpg
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1507442743
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:06:39.63 ID:UVpZdYBv0
「…はい、休憩入りまーす」
姫川友紀「あ、ありがとうございますっ」
P「よっ、お疲れ」
友紀「あ、プロデューサー」
P「順調?」
友紀「うん……まぁ、なんとか」
P「そっか。ほい水」
友紀「さんきゅー♪」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:07:19.46 ID:UVpZdYBv0
P「なかなかサマになってるじゃん」
友紀「そうかなぁ」
P「たまにはかわいい感じのも良いもんだ」
友紀「話聞いた時は、ちょっと恥ずかしかったんだけどね…」
P「似合ってる似合ってる」
友紀「……そ、そう?」
P「うんうん。これを機にファッション系の仕事も増えてくると、幅が広がって良いかもね」
友紀「あー、うん。そうだね、仕事……がっくし」
P「?」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:07:45.48 ID:UVpZdYBv0
友紀「…まぁいいや。飛鳥ちゃんは?」
P「あぁ。飛鳥なら、向こうでまだ撮ってるよ」
友紀「そっか」
P「特に問題なさそうだったから、後は任せてこっちに来てみたんだけど。行ってみる?」
友紀「んー……どうしよっかな」
「すみません、少し確認したいことがあって…」
P「あ、はい! 今行きます!」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:08:40.01 ID:UVpZdYBv0
P「何だろ。写真のチェックかな」
友紀「……や、やっぱり、表情硬かったかな…」
P「緊張した?」
友紀「えっと、こういうの撮るの初めてだし、ちょっと…」
P「そうか…」
友紀「うぅ、どうしよう。撮り直しかなぁ」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:09:37.47 ID:UVpZdYBv0
P「…よし、没写真貰ってくるわ」
友紀「はぁ!?」
P「データ消される前に回収しなきゃ」
友紀「ちょっとやめてよ!」
P「だって変顔ユッキとか貴重じゃん。要チェックだな」
友紀「いいからそういうの…」
P「じゃ、行ってくるから。深呼吸でもして、ちょっと休んでなよ」
友紀「貰わなくていいからねー!」
P「はいはい」
友紀「…もうっ」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:10:16.19 ID:UVpZdYBv0
友紀「あーあ。暇になっちゃった」
友紀「葉っぱ、きれいだなー」
友紀「…はぁ」
友紀(……だめだなぁ、緊張しちゃって)
友紀「……向こう行ってみよ」
――
―
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:11:08.90 ID:UVpZdYBv0
二宮飛鳥「……」ポー
友紀「飛鳥ちゃ……ん?」
飛鳥「…やあ友紀。すっかりおめかししているじゃないか」
友紀「う、うん……まだイマイチ慣れないけど」
飛鳥「それはボクもさ…。こういうゴシックな装い、普段はあまりしていないから…」
友紀「そんな風には見えないけどなぁ」
飛鳥「そう? …なら、衣装の方がボクに合わせてくれているんだろう」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:12:03.45 ID:UVpZdYBv0
飛鳥「撮影は済んだのかい」
友紀「あ、えっと、今休憩中なんだ」
飛鳥「そうか…ボクもだよ」
友紀「ちょっと様子でも見に……というより、参考にと思って」
飛鳥「参考…?」
友紀「こういう撮影、飛鳥ちゃんの方が慣れてるのかな、どう撮ってるのかなって」
飛鳥「……ふぅん。自然体で良いと思うけれど」
友紀「できたら良かったんだけどね…」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:12:39.92 ID:UVpZdYBv0
友紀「スタッフさんたちは?」
飛鳥「先程向こうに捌けていったかな……打ち合わせだろうか」
友紀「…あの、もしかしてちょっと疲れてる? 撮影大変だった?」
飛鳥「そんなことはないけど…」
友紀「じゃあ、なんでまだ寝てるの?」
飛鳥「……何故だろうね」
友紀「葉っぱ、いくつか身体に落ちてるけど」
飛鳥「ああ、そのままで良いよ」
友紀「良いんだ…」
飛鳥「その方が、きっと自然だろう…」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:14:17.72 ID:UVpZdYBv0
友紀(調子悪いのかな。なんだかいつにも増して、言動がスローボールだし)
飛鳥「強いて言うなら……空が高いから、かな」
友紀「??」
飛鳥「撮影中にふと見上げたら……何と言うか、吸い込まれそうになってしまって」
友紀「どれどれ…」
友紀「……ほんとだ。うわー…」
飛鳥「天高く馬肥ゆる…なんていうけれど。今日の秋空は、本当に高い」
友紀「フライ上げたら、そのまま持っていかれちゃいそう…」
飛鳥「…はは、キミらしい表現だね。持っていかれる、か。なるほど」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:14:54.28 ID:UVpZdYBv0
友紀「空気もきれいだもんねぇ」
飛鳥「こうして天空を眺めているのは……考え事をするのに、ぴったりだ」
友紀「起きれない理由、ちょっと分かったかも」
飛鳥「フフッ…キミも、横になる?」
友紀「さ、流石に遠慮しよっかな…」
飛鳥「…そう」
友紀「座るくらいにしておくね……よいしょっと」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:16:41.88 ID:UVpZdYBv0
友紀「撮影日和で良かったね。景色もきれい!」
飛鳥「…綺麗、か」
友紀「もみじとか、きれいじゃない?」
飛鳥「……ああ、綺麗さ。赤に黄色…美しくも儚く燃える、まるで散り往く命の灯火だ」
友紀「ともしび?」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:17:29.52 ID:UVpZdYBv0
飛鳥「…そもそも紅葉とは、葉が機能を失い死んでいく現象のことを指す」
友紀「そうなんだ」
飛鳥「ああ、緑の色素がどんどん壊れていくんだ。…専門的な知識はともかくね」
飛鳥「こうして茜色に染まっていくのは、葉が残り少ない命を燃やしているから。そう考えると、妙にココロがざわつくのは……果たして、ボクだけかな」
友紀「…」
飛鳥「そして、色が変わり落ちる葉は…木々にとって不要とされた、いわば捨てられた亡骸」
友紀「捨てられた…」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:18:30.61 ID:UVpZdYBv0
飛鳥「この景色は、冬へと向かう死の季節によって生み出された滅尽の光景でもある……と、ボクは思う」
飛鳥「ボクらは今、枯葉というムクロたちの上で、秋が描く滅びの美を賞味していると言っても過言ではない。そこに感嘆を見出すのは、人間の特権か、あるいは業か…」
飛鳥「『死に往くモノほど、美しい』……これは、誰の言葉だったかな」
友紀「…すごい発想だね」
飛鳥「……あぁ、すまない。少々刺激の強い言い方だった」
友紀「秋のこと、そんな風に考えたこともなかったよ」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:19:18.52 ID:UVpZdYBv0
友紀「あたし、もみじきれいだなーとか、食べ物おいしいなーとかばっかり考えてた」
飛鳥「普通はそんなものだろう」
友紀「でも、そっか。命か…」
飛鳥「…あくまでボクの考え方だよ。気にしすぎることはない」
友紀「……うん、ちょっとびっくりしちゃった。すごいね」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/10/08(日) 15:20:51.72 ID:UVpZdYBv0
友紀「…その本は?」
飛鳥「ハイネ。詩集さ」
友紀「はいね…」
友紀「…ですぱいね?」
飛鳥「……鷹の主砲は関係ない」
友紀「おっ。だんだん反応が鋭くなってきたね? 良い傾向だ♪」
飛鳥「知らないよ……そうじゃなくて」
飛鳥「ドイツの詩人だ。これは、恋の詩」
友紀「こ、恋…」
飛鳥「手元に何か携えてみろと言われたものでね。たまたま持参していたのが、これだった」
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