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【デレマス×ジョジョ四部】ちひろ「私たちのPさんはPさんじゃない」
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1 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:09:24.60 ID:IbGQhrfc0
*ジョジョとデレマスのコラボ物
*残酷な表現があります
*一瞬に満たない時間で会話するのはジョジョ式対話方だと思って割りきってください
*台本形式+ジョジョ的展開のためわかりにくいシーン多数
*ご都合主義的展開も多少ある
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1506683364
2 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:10:20.20 ID:IbGQhrfc0
ちひろ(最寄り駅から数分の小さな建物、幾つかの企業がオフィスを構える5階建てのビルの3階には、所属アイドル7名の小さなアイドル事務所があります)
ちひろ(私の名前は千川ちひろ、そのアイドル事務所で事務員として働いています)
ちひろ(今はライブの付き添いに行ったプロデューサーさんに変わって、プロデューサーさんの分まで事務仕事をこなしています)
3 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:12:11.23 ID:IbGQhrfc0
ちひろ「はぁ〜……Pさんがいないと私の仕事が多くて大変ですね……」カタカタ
凛「まあまあ、まゆと美玲のライブも終わって今日帰ってくるんですから……それにしても、凱旋ライブかぁ……」
卯月「凱旋……カッコいい響きですよね」
未央「M県S市……だっけ?」
ちひろ「ですね……お土産に牛タンの味噌漬けとかを買ってきてくれると嬉しいんですが……」カタカタ
未央「お土産ねぇ……この前ヘレンさんが買って来たのは衝撃的だったなぁ……」
ちひろ「あんなもの、どこで買って来るんでしょうね?」カタカタ
凛「流石は世界レベル……でいいのかな?」
卯月「あれ、どこにしまったんですか?」
ちひろ「そこの隅の箱です……誰も使わないでしょうけど、捨てるのはヘレンさんに悪い気がして……」
未央「さらに買って来た本人は今イタリアに……自由だねぇ……ヘレンさん」
4 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:13:15.67 ID:IbGQhrfc0
ドア<ガチャガチャ
卯月「あ!プロデューサーさんが帰って来ました!」
ちひろ「ふぅ、これで私の机の下から乃々ちゃんがいなくなるわ……」
乃々「うぅ……もりくぼは……じゃまくぼでしたか?」
ちひろ「そういう訳じゃないですけど……いつもと違うから落ち着かないだけで……気が向いたらまたやっても良いですよ」
凛(……なんで人がいる方の机の下に入るんだろ?)ボソッ
未央(そっちの方が狭くて落ち着くんだって)ボソッ
凛(なんというか……乃々らしいね)ボソッ
5 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:15:26.20 ID:IbGQhrfc0
ドア<ガチャ
美玲「普通事務所のカギを間違えるか?」
P「……すまない、大きな仕事を終えて気が弛んでいたみたいだ」
卯月「おかえりなさい、プロデューサーさん、美玲ちゃん、まゆちゃん」
凛「お疲れ様」
未央「おかえり〜!」
乃々「その……お、おかえりなさい……うぅ」
ちひろ「お疲れ様です、みなさん」
美玲「おう!ただいま!」
まゆ「……ただいま……戻りました」
P「……ただいま」
6 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:17:25.49 ID:IbGQhrfc0
未央「……?……そうだ!ねえプロデューサー!お土産ないの?」
P「お土産か……S市名物のゴマ蜜団子だ、食う時は口を閉じて食えよ」スッ
未央「わ〜い!ありがと〜!しぶりん!しまむー!みれりん!ののっち!ままゆ!ちひろさん!一緒に食べよう?」
卯月「美味しそうですね!」
凛「……どうして口を閉じるって忠告が必要なんだろう?」
美玲「あ!ウチも食べたい!向こうでも食ってないし」
乃々「あの……みなさんの分がなくならないように……もりくぼは遠慮しときます……」
未央「いやいや、そんなこと気にしなくていいからののっちも食べようよ?」
乃々「……良いんですか?」
凛「良いから食べよう?乃々」
乃々「それでは……少しだけ……」
7 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:18:17.58 ID:IbGQhrfc0
ちひろ「それでは、人数分のお茶を用意して来ます……ね?」
まゆ「………………」ゴゴゴゴゴ
ちひろ(まゆちゃんが恐い顔をしてる……わ、私、Pさんに何もしてない……ですよね?)
ちひろ「まゆちゃん?」
まゆ「」ハッ
まゆ「えっ、あ、はい……なんでしょうか?」
ちひろ「さっきから喋ってなかったので……どうかしましたか?」
まゆ「いえ……少し考え事を……ちひろさん、まゆもお茶を淹れるの手伝います」
ちひろ「ありがとうございます」
P「………………」ゴゴゴゴゴ
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/29(金) 20:19:27.65 ID:tB3teAbAO
蒼歴史さんがPの匂いで気付く方に花京院の魂を賭けるぜ
9 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:19:53.93 ID:IbGQhrfc0
1/14:30
まゆ「……ちひろさん」コポポ
ちひろ「はい、なんですか?」
まゆ「『人間がいきなり別人に変わる』って……あり得るんでしょうか?」
ちひろ「はい?」
まゆ「いえ、というより、『見た目も何もかも他人に成りきる』って……可能でしょうか?」ゴゴゴゴゴ
ちひろ「……まゆ……ちゃん?……いったい……なんのことを……」
まゆ「……すいません、理由は話せませんが……前に没収された小型盗聴機、返して貰えませんか?」
ちひろ「はいぃ!?…………えっと、前にも言いましたが、盗聴は立派な犯罪です」
ちひろ「Pさんが好きなのはわかりますが、やり過ぎはいけません」
ちひろ「なので、盗聴機を返すことは出来ません」
まゆ「……そう言う割には……捨てたり壊したりしないんですね?時々受信機から音が聞こえますよ」
ちひろ「」ギクッ!?
ちひろ「だ、だって……アレってかなり高いヤツってまゆちゃんが言ったから、勿体無くて……」
まゆ「……まあ、いいです……まだまゆの中でも整理はついてないので」
10 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:20:52.15 ID:IbGQhrfc0
まゆ「……では、一つだけ……ちひろさんが『確信』したら……まゆともう一度話しましょう」ゴゴゴゴゴ
ちひろ「……『確信』?それってどういう……」
まゆ「まゆは、行動を起こします……密かに、気づかれないように……もしまゆに何かあったら、ちひろさんに託します……私の他に、立ち向かえるのはちひろさんくらいしかいないと思いますから……」ゴゴゴゴゴ
ちひろ「託すって……何を……?」ゴゴゴゴゴ
まゆ「…………お茶、早く持って行きましょう」スッ
ちひろ「えっ!?……」
ちひろ(……いったい、なんのことなの?)
11 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:21:23.07 ID:IbGQhrfc0
1/14:40
ブチュー!
ナカミガトンダ!?
アワワ!フカナイト!
コレウンマイナァ!
12 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:22:26.96 ID:IbGQhrfc0
1/18:00
ちひろ(結局、まゆちゃんの言葉の意味はわからないまま、日は傾いていった)
ちひろ(……今日は帰れるのは何時かなぁ)
P「ちひろさん」
ちひろ「はい、何ですか?」
P「私はここで上がらせていただきます」
ちひろ「えっ!?し、仕事はどうするんですか?書類が結構残っていたと思いますけど……」
P「これを」スッ
ちひろ「書類……」パラパラ
ちひろ「っ!?」
ちひろ「ぜ、全部出来ているッ!?」ドォーーz__ン!
ちひろ(いつも、Pさんは私よりも仕事が遅かったのに……)
ちひろ「ど、どうしたんですか?今日は仕事が早いですね」
13 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:23:31.17 ID:IbGQhrfc0
P「………………チッ」ボソッ
P(この程度の仕事もこなせないような無能だったのか……この男は)
P「今回のライブで、自らの至らなさを痛感したんですよ……これからは……『心を入れ換えて』、真面目に、しっかりと仕事をこなします」
P(……入れ換わったのは、『心』ではなく『身体』だがな)
ちひろ「そうですか……」
ちひろ(それだけで……こうまで変われるの?)ゴゴゴゴゴ
まゆ『ちひろさんが『確信』したら……』ゴゴゴゴゴ
ちひろ(まゆちゃんが言っていたのは……もしかして……)ゴゴゴゴゴ
ちひろ「……わかりました、それでは、また明日……」ゴゴゴゴゴ
P「さようなら……」スタスタスタ
ドア<ガチャ…バタン
ちひろ「……まゆちゃん、『確信』とまではいかないけど、『疑問』なら抱いたわよ……」
14 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:25:06.88 ID:IbGQhrfc0
2/10:25
乃々「も、森久保は……アイドル辞めたいんですけど……」
P「ふむ……それなら、そのためにスケジュールを組まないとな」ペラペラ
乃々「ッ!?」
P「……最低でも一週間は仕事をしてもらおう、その一週間が終われば、正式に事務所から解雇しよう」
乃々「え……あ……あの…………」ナミダメ
乃々(プロデューサーさんの目……本気なんですけど……これが終わったらって言って、結局続けさせられるいつもの目と……違う……冷たい目……)
凛「……とか言って、また期間が過ぎても働かせるんでしょ?」
P(……また?)
凛「乃々も乃々で、本当に辞めさせられたらどうするの?本当は辞める気なんてないのに」
乃々「えっ!?……そ、その……森久保は本当にや、辞めたいんですけど……そのぅ……でも、確かに……アイドルも……楽しいとは……その……」カァァ
P(チッ……これだから思春期というのは面倒なんだ、言ったことに責任を持てッ!)
P「わかったとしてもバラすな、私の作戦が失敗してしまったぞ?」
凛「毎度毎度同じ手使ってたら猿でもわかるよ」
P「それでは、もっと手の込んだ方法を考えるか……」スタスタ
乃々(Pさんの目……違ったんですけど……)
15 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:25:44.85 ID:IbGQhrfc0
2/11:30
ちひろ(……やっぱり、何かがおかしい……いつでも良いと私は言った、それでも……)
乃々「…………」ブルブル
ちひろ(昨日の今日でまだ私の机の下に乃々ちゃんが……しかも、この怯えよう……やっぱり違うのだろうか……Pさんが)
16 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:26:54.65 ID:IbGQhrfc0
2/12:00
未央「あれ?珍しい!プロデューサーお弁当だ!」
P「……ああ、挑戦してみたんだ」
ちひろ(……挑戦……その割には、作りなれてるみたいに見えますよ?……この前の飲み会で、料理はしないと言ってましたよね?)
卯月「わあ!美味しそうですね!……一つ味見させてくれませんか?」
P「あぁ、いいよ」
卯月「あ〜ん!」
P「」ピクッ
未央「お〜!しまむー大胆!」
卯月「え?あれ?……はっ!?すいません、学校でお友達とお昼御飯食べる時のクセで……」
P「いや、気にしないよ……」
17 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:27:26.01 ID:IbGQhrfc0
2/18:00
P「……それでは、さようなら」
ちひろ「はい、さようなら」
ちひろ(……また……この時間……機械のように正確)
18 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:27:53.69 ID:IbGQhrfc0
2/19:00
P(………………)パチン…パチン…
19 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:28:35.42 ID:IbGQhrfc0
3/10:12
P「卯月……その爪はどうしたんだい?」
卯月「あ、わかりますか?……共演した加蓮ちゃんに、ネイルして貰ったんです!プロデューサーさん!見てください!」
P「……あぁ、美しいよ……」
20 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:30:10.04 ID:IbGQhrfc0
3/13:00
P(………………)パチン…パチン…
ちひろ「Pさん、爪切りですか?」
P「あぁ……伸びているのに気が付いてね……」
ちひろ(……ライブに行く前……深爪したと話していたのに……普通、こんな短い間にここまで伸びるわけが……)
P(抑えろ……杜王町に集中しているとはいえ、旅行者をSPW財団が見張っていないはずがないッ!この男も勿論マークされている筈だッ!)
21 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:30:37.72 ID:IbGQhrfc0
3/18:00
P「さようなら」
ちひろ「……お疲れ様です」
22 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:31:16.36 ID:IbGQhrfc0
4/10:21
P(………………)
卯月の手「それで、監督さんが……」
美玲の手「ウチもそんなことあったぞ!」
乃々の手「むぅ〜りぃ〜……」
未央の手「しぶりんはどう思う?」
凛の手「そういうことなら……」
まゆの手「………………」
P(……………………)
23 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:31:42.47 ID:IbGQhrfc0
4/11:00
P(……………………)パチン…パチン…
24 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:32:30.07 ID:IbGQhrfc0
4/15:23
P「はい、なのでこの企画に……」
まゆ「……」ジー
P(あの小娘……この私が入れ替わった時からずっと私を見張っている……佐久間まゆ……情報に依れば、この男に異常な執着を見せているらしいが……)
P(理解出来ん……この男もあの女も……何が楽しくてガキの面倒を見る……何故こんな男に惚れる……理解出来ない)
まゆ「……」ジー
P(…………だが、手は美しい)
25 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:33:00.18 ID:IbGQhrfc0
4/18:00
ちひろ「お疲れ様です……」
P「ええ……また明日」
26 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:33:34.09 ID:IbGQhrfc0
4/18:10
ちひろ(まゆちゃんのあの言葉、Pさんが帰ってきてから四日目……)
ちひろ(帳簿……)ペラペラ
スタミナドリンク代 0円
ちひろ「……カッコつかない理由だけど、『疑問』が完全に『確信』に変わったわッ!」ゴゴゴゴゴ
27 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:34:27.50 ID:IbGQhrfc0
5/10:30
まゆ「……ちひろさん……まゆを呼んだということは……そういうことですよね?」
ちひろ「ええ……『私たちのPさんはPさんじゃない』」
まゆ「ちひろさん?……『私たちの』じゃなくて……『まゆの』……ですよ?」ハイライトオフ
ちひろ「ひぇっ!?」
まゆ「と、冗談はここまでにして」
ちひろ(絶対本気でしたよねッ!?)
まゆ「おそらく、あのPさんは……別人です……何がどうなっているのかわかりませんが……」
ちひろ「……『他人に成りきる』……中身は模倣すればどうにかなりますが……あの顔は、間違いなくPさんにしか見えません……」
28 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:36:21.87 ID:IbGQhrfc0
まゆ「Pさんには兄弟の方はいらっしゃいませんでしたよね」
ちひろ「え、ええ……一人っ子なのは書類で知ってるわ……」
ちひろ(でも何故まゆちゃんも知ってるの?)
まゆ「『王様と乞食』ってお話がありますけど……本当に起こりうることなのでしょうか?」
*王様と乞食 たまたま出会った王様とそっくりの乞食と王様が入れ替わって色々するお話
29 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:38:05.72 ID:IbGQhrfc0
ちひろ「わかりませんが……今一番気になるのは……本物のPさんの居場所、でしょうかね」
まゆ「……『M県S市杜王町』……いるとしたら、その近くだと思います」
まゆ「Pさんが変わってしまったのはそこですから……」
ちひろ「『M県S市』……まゆちゃん、確か明日は……お休みでしたね」
まゆ「はい」
ちひろ「……交通費は渡します、数日前にしたばかりですが……『里帰り』……しませんか?」ゴゴゴゴゴ
まゆ「……いいですね、ライブの時は忙しくて実家に帰る暇がありませんでしたから……ついでに、ちょっとしたイタズラをしてみましょうか」ゴゴゴゴゴ
ちひろ「今事務所にいる人を行方不明者と偽って探すイタズラですね……チラシ、作っておきます」ゴゴゴゴゴ
まゆ「ありがとうございます」
まゆ「……まゆがいない間……ちひろさんにこれを託します」スッ
ちひろ「これって……ビデオカメラ?」
まゆ「なるべく、あのPさんを見張っていてください、カメラは持っているだけでいいです……ですが、決定的な物を見たなら」
ちひろ「このカメラで……ってことね」
まゆ「はい……入れ替わるだけでも不気味ですが、あのPさんには言い知れない『何か』が……恐ろしい『何か』がある……そんな気がするんです」
ちひろ「それは……私も同感です……今のPさんは……まるで機械のようで……人間味というものが無さすぎて怖いです」
まゆ「これで作戦会議は終了です……それでは、また明後日に」
ちひろ「はい、いい報告を、期待しています」
30 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:39:09.69 ID:IbGQhrfc0
5/16:28
P(ここで島村卯月を拾ってスタジオに……)
卯月「…………」ガックリ
P「?……卯月……どうした?」
卯月「あ、プロデューサーさん、こんにちは」
P「こんにちは……それで、どうして項垂れていたんだ?」
卯月「えへへ……学校でまた、言われちゃったんです」
P「言われた?」
卯月「『普通』だって……」
P「…………『普通』?」
31 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:40:49.92 ID:IbGQhrfc0
卯月「アイドルをやってても……個性がないって言われて、突出した才能もなくて……学校の成績は全部3……何かおかしなところがあるということもなくて……自覚はしてますけど、指摘されちゃったらやっぱりちょっと凹んじゃうなぁって……」
P「…………卯月」ギュッ
卯月「ふぇっ!?……どうしたんですか?何故急に手を……」
P「君は素晴らしい」
卯月「え……」
P「『普通』でいる……それはどんなことよりも難しいことなんだ」
卯月「そんなわけ……」
32 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:41:27.08 ID:IbGQhrfc0
P「『普通』のことを『普通』にこなす、それは誰にでも出来ることじゃあないッ!」ドドドドド
P「どんな時も安定した成果を出す、それは目立たないが、どんな才能よりも大事なことだッ!」ドドドドド
P「それを『普通』だと言って、『普通』に成し遂げる君には、本田未央や渋谷凛らにはない秘めたる『輝き』があるッ!……私は君を心から『尊敬』するよ」ドドドドド
33 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:42:35.82 ID:IbGQhrfc0
卯月「プロデューサーさん……」
卯月(プロデューサーさんの目……これ以上ないくらいに『真っ直ぐ』で……この人は間違いなく本心から私のことを……)
卯月「プロデューサーさん……///」
卯月「その……ありがとうございます!島村卯月!頑張ります!ブイッ!」エヘ
P「っ!!」
P(なんだ……島村卯月……あるじゃあないか……『普通』じゃあない才能が……その『笑顔』が……)
卯月「それじゃあ、お仕事に行きましょう!プロデューサーさん!」
P「あぁ……」
P(どういうことだ……)ドドドドド
P(なんだこの胸に湧き上がる『感情』はッ!?……分からない……島村卯月……コイツは私に何かをしたのかッ?)ドドドドド
卯月「♪……///」
34 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:43:19.34 ID:IbGQhrfc0
6/09:22
ナレーション<次の列車は……
まゆ「……一日だけ、日帰りの帰省……まゆの監視がなくなる一日……何も起こらなければいいんですが……」ゴゴゴゴゴ
35 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:44:14.94 ID:IbGQhrfc0
6/09:30
ちひろ(今日のPさんの予定は…………うん、夕方に卯月ちゃんのお仕事に同行する以外は事務所ね……)
ちひろ(出来る限り……卯月ちゃんとお仕事に行ってる時は監視出来ないけど……それ以外の時は目を光らせておきましょう)
P(今日はあの忌々しい佐久間まゆはいない……監視している様子もない……)
P(くっ……だからといって激情に任せて行動してはいけない……『彼女』を作るのはまだ我慢……我慢だ……)グィィ
P(また爪が伸びている……早い、早いぞッ!……)
36 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:46:59.61 ID:IbGQhrfc0
6/13:20
杜王町
仗助「吉良のヤローの手がかり、これっぽっちも見つかりませんねぇ……なのに、吉良の親父の妨害は続いてやがりますし……」
承太郎「だが、吉良の親父の妨害が想像よりも弱い、もしかしたら奴自身も吉良を見つけられていないのかもしれねぇな」
仗助「吉良の親父よりも先に、吉良を見つけられりゃ楽になるっつーわけですか」
承太郎「そうだ……ん?なんだこれは?電柱にチラシが……」
仗助「……行方不明者の捜索ッスか……でも男ッスよ?吉良の被害者じゃなくて本物の行方不明者じゃあないんですか?」
承太郎「いや……コイツはアイドルのプロデューサーをしているらしい」
仗助「?……それがどうかしたッスか?」
承太郎「数日前ここに来たアイドル……俺の知る限りでは、その一行の中で何かトラブルがあったという情報はない」ゴゴゴゴゴ
仗助「報道されてねぇだけじゃ……いや、いなくなった日にち……これはッ!……」ゴゴゴゴゴ
承太郎「……俺たちが吉良を逃がした日だ」プルルルル
仗助「で、でもですね……吉良が入れ替わったんなら……行方不明には……」
承太郎「そうか……やはりな……」ピッ
仗助「今、誰に電話を?」
承太郎「すぐにでもわかることをSPW財団に訊ねた……このプロデューサー、まだ事務所で仕事をしてやがるッ!」ゴゴゴゴゴ
仗助「なッ!?」ゴゴゴゴゴ
承太郎「コイツはSOSだッ!……少なからず奴の正体に近づいた者からの救難信号……」ゴゴゴゴゴ
仗助「なんですってぇーー!!」
承太郎「もちろん、決めつけちゃあいけねぇ……だが、確かめてみる価値はあるぜ」
承太郎「ヤツはこの町から逃げねぇと言ったが、逃げざるを得ない理由があったなら別だ……偶然、入れ替わった相手が出張に来たプロデューサーだった場合……とかな」ゴゴゴゴゴ
吉良親父「ま、マズい!承太郎たちが先に吉影をッ!?いや、その前にあれは本当に吉影なのか……確かめなければ……行かなければッ!」ビュー
37 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:48:22.89 ID:IbGQhrfc0
6/17:32
ちひろ(Pさんは卯月ちゃんと一緒にスタジオに向かいました……)
ちひろ(私も監視のために向かいたいところですが、理由がなければ不自然極まりなく、Pさんに勘づかれます……それは避けたい事態です)
美玲「あれ?ちひろだけか?……アイツは?」
ちひろ「美玲ちゃん……Pさんなら、卯月ちゃんと一緒にお仕事に行ってますよ」
美玲「そうか……ならこれを返すのは明日だな」スッ
ちひろ「それって……漫画……ですか?」
美玲「そうだ、『ピンクダークの少年』、S市に行く前にアイツから借りてて、読み終わったから持ってきたんだけど……」
ちひろ(……今日、Pさんは直帰……これは……小さな用事だけど、チャンスね)
ちひろ「私が渡しておきますよ」
美玲「本当か?頼んだぞ!」スッ
ちひろ「はい」パシッ
ちひろ(理由は出来た、なら、後は向かうだけね)スクッ
38 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:49:24.96 ID:IbGQhrfc0
6/17:36
卯月「どうでしたか?プロデューサーさん」
P「良い仕事だったぞ……君の魅力が発揮されていた」
卯月「本当ですか!?」パァァ
P「……ああ、もちろん」
P(まただ……この笑顔……この笑顔が気にくわない……えもいわれぬ感情が湧き上がり、私の平穏を壊そうとする……)
P「それじゃあ、帰ろうか……家まで送るよ」
卯月「ありがとうございます!」
39 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:51:08.06 ID:IbGQhrfc0
6/17:37
卯月「♪」スタスタ
P(卯月が前を歩いている……)グィィ
P(爪が……耐えろ……ダメだ……まだ早いッ!……)
女「」カンカン
P(女が前の階段を上って来た……確かアイツは……島村卯月と共演した……)
卯月「お疲れ様です!」ペコリ
P「お疲れ様です」
女「…………」
P(ふん……挨拶も出来んのか)スタスタ
女「」スッ
卯月「あっ」ガッ
卯月(えっ!?……今私……足をかけられた?……前は……階……段?)フワッ
卯月(落ちる!)←目を瞑る
ガンゴンガァン!
40 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:52:22.25 ID:IbGQhrfc0
卯月(……あれ?……痛くない?)←目を開ける
P「痛たた……」
卯月「プロデューサーさん!」
卯月(プロデューサーさんが!私の下に!)
P(キラークイーンで上手く身を守れた……)スッ
卯月(あ……プロデューサーさんが私の頬に手を……)
P(怪我はないか?……特に顔に傷がついたらアイドルとして最悪だ、傷は……ないな)
P「怪我はしていないようだな……」
P(良かった……)
P(……!?……今、私は何と思った?……『良かった』?『良かった』だとッ!?……コイツはただのこの身体の担当していたアイドルの一人にすぎない……)
P(そうだ、これは私の隠れ蓑に傷がついていないかを確認しただけだ……)
41 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:54:06.08 ID:IbGQhrfc0
卯月「ぷ、プロデューサーさん!私のことはともかく、プロデューサーさんは大丈夫なんですか!?」
P「あぁ、私も大丈夫だ、上手く受け身出来てね……まあ、少し痛むが……」スクッ
P「…………」ギロッ
女「何睨んでるの?一応言っておくけど、あなたたち弱小事務所なんて、誰にも相手にしないわよ?」
P「……………………」ゴゴゴゴゴ
女「これは事故……誰にも被害は出ていない……これは警告よ……『でしゃばるな』……じゃあね」スタスタ
P「……………………」ゴゴゴゴゴ
卯月「あ、あの……プロデューサーさん……」
P「……気にするな……気にするんじゃあない卯月……『警告』をする……それはつまり、裏を返せば君の実力を認めているということだ……胸を張りなさい」
卯月「は、はい!…………あ、いえ、そうではなくて……」
P「どうかしたのか?」
卯月「も、もう抱きしめなくても大丈夫ですよ///」
P「ッ!?」ギュウウ
P「す、すまない……」パッ
P(……何を小娘に動揺している……コイツはなんでもないただの小娘だ……)
卯月(さっきのプロデューサーさん……カッコ良かったな///)
P「…………すまない卯月……用事が出来た……一人で先に帰ってくれるかい?」
卯月「え?……あ、はい、わかりました!」
42 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:55:36.59 ID:IbGQhrfc0
6/17:40
D「今日も良かったぞ」
女「当たり前よ……それと……」スッ
D「おいおい……こんなとこで誘惑かよ」
女「ふふっ……良いじゃないの……ここにいるのは私とあなただけ……その代わり、またよろしくね」
D「本当、お前は良い女だぜ……」スッ
ドア<ガチャ
D「」ビクッ
女「」ビクッ
P「…………」ゴゴゴゴゴ
女「あんたさっきの!」
P「やれやれ、見たくない場面に出くわしてしまったようだ……」ドドドドド
D「誰だか知らねぇが俺はディレクターだぞ!?テメェんとこのアイドル使って欲しけりゃ……」
43 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:56:02.74 ID:IbGQhrfc0
ドグォォォン!
44 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:56:50.00 ID:IbGQhrfc0
女「!…………」
P「私は吉良吉影……君の名を聞かせては貰えないか?」
女「あ……ハァ……あう」
P「『爪』のびているだろう……こんなにのびてる……自分の『爪』がのびるのを止められる人間がいるだろうか?」スッ
P「いない……誰も『爪』をのびるのを止める事ができないように……持って生まれた『性』というものは誰もおさえる事ができない……………………どうしようもない……困ったものだ」
P「君の『名前』は?……と聞いたんだがね…………私は名乗ってみせたんだ……聞かせてくれてもいいんじゃあないか?」
女「ハウ…ハウ…でぃ、ディレクター……今のディレクターを……いったい?」ガクガク
45 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:58:22.08 ID:IbGQhrfc0
P「質問を質問で返すなあーっ!!疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているのか?」
P「私が『名前』はと聞いているんだぞッ!」ズッ
女「ひぃぃぃぃ!美奈子……みっ、みっ、美奈子〜」
P「……美奈子…………ん〜〜……美しい名をつけてもらっているじゃあないか、気に入ったよ」
P「君、彼に仕事をねだっていたね、君に一つ仕事をして欲しいんだ……これを握ってもらえると嬉しいんだが……」スッ
女(つ、爪切り?)
P「この爪切りで私ののびた爪を切ってほしいんだ、他人の爪を切ったことはない?何でも経験だよ……深爪しないように気をつけて……」
女「あ……ああ……」パチン…パチン…
女「お、怒っているの?……お願い助けて……許して……」
P「許す?ちょっと待ってくれ、私は別に怒っているわけじゃあないよ…………『趣味』なんだ、君を選んだのも『趣味』だし、持って生まれた『趣味』なんで前向きに行動してるだけなんだよ……『前向き』にね……」
女「うあ……ああ……」パチン…パチン………
P「『爪切り』……上手じゃあないか、それも気に入ったよ…………」
手<ゴゴゴゴゴ
P「そしてしゃべらない君は実にカワイイよ」
46 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 20:59:09.38 ID:IbGQhrfc0
カメラ<ゴゴゴゴゴ
ちひろ(とんでもない場面をカメラにおさめてしまった……男性と!女性を!Pさんが!)
ちひろ(殺して消した!……人間じゃない……Pさんに化けてるあいつは……人間じゃない!……もしかしてPさんもあんな風に消されたのかッ!)
P「どうしたものかな?美奈子さん……君を家に連れて帰りたい……が……佐久間まゆが帰って来れば家も監視されるかもしれないからな……しかし、スガスガしい……なんてスガスガしい気分なんだ」スリスリ
47 :
◆ZfqRKaJB86
[saga]:2017/09/29(金) 21:00:16.99 ID:IbGQhrfc0
6/17:50
P「ん?」
P(廊下に、『漫画』が落ちている……)ゴゴゴゴゴ
P(『ピンクダークの少年』、しかもこの巻はちょうど、このPという男の本棚から欠けていたものだ……)
P(……まさか)キョロキョロ
ちひろ「」サッ
P(……今、角を曲がるのが見えた『蛍光緑色』は……まさか……)
P「控え室、鍵は閉めていなかった」
P「『千川ちひろ』……あいつ……」
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/29(金) 21:01:05.89 ID:y0+FsCwQo
こんなときでも蛍光緑のちっひに草
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