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川崎「あ……あたしと付き合ってくんない?」 八幡「!?」
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1 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:10:33.14 ID:NY6HWb/fO
[授業中]
教師「こんな感じで日本というか先進国が高翌齢化してきてるんですよ」
教師「それで日本は遠くないうちに、ひとりのおじいちゃんおばあちゃんを、だいたいふたりで支えなくちゃいけないくなるんだよね。それに生涯未婚率も年々上がってて……」
川崎(はぁー。結婚しないで大志たちを大学まで入れきれるかなぁ)
川崎(今の社会じゃ、大学出てても正社員になれないこともあるし、やっぱり結婚して共働きしないとやってけないのかもしれない)
川崎(でも男子どころか女子ともろくに話したこともないあたしじゃ結婚なんてとても……)
川崎「うーん…………」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1506226233
2 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:19:13.16 ID:NY6HWb/fO
[下校・校舎裏]
川崎(これまで誰とも付き合ったことないってかなりやばい気がする……)
川崎(ちょっとだけ練習しよう!)
喉「ん゛っん゛ん!」
川崎(ここならあんま人通らないし大丈夫だよね……(キョロキョロ))
川崎(まずは目を閉じて……相手をイメージする……)
川崎(…………なんであいつ(八幡)のイメージが……(ムスッ///))
川崎(まぁ練習相手にはちょうどいいか。どうせただのイメトレだし)
川崎「ねぇ、ちょっと(ボソッ)」
八幡「……? えーっと、か、かわ…………川崎か(汗)。どうした?」
川崎(ただの妄想なのにやけに声が鮮明な気がする…………なんでだろ……ううっ……)
川崎(……あまり深く考えないでおこう)
川崎「あんたってさ、彼女とかいんの?(ボソッ)」
八幡「はあ? なんでそんな」
川崎「(威圧)」
八幡「い、いません……(汗)」
3 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:21:24.55 ID:NY6HWb/fO
川崎「……じゃあ好きな人とかは?(ボソッ)」
八幡「そりゃ………………、べつに居ない、けど………………」
川崎「…………なら、さ、その…………あ、あたしと付き合ってくんない?///(ボソッ)」
八幡「!?!?!!!???」
川崎「…………あ、返事は今じゃなくてもいいから」
八幡「………………な、なあ、それって何かの罰ゲームで言わされてんのか?」
川崎「は? んなわけないじゃん(イライラ)」
川崎(こいつイメージでも卑屈……)
八幡「ほんとか? (超思考)……まあお前が中学生がするような悪質な外道行為をするとは思えないけどさ……」
川崎(どこまでも卑屈だなぁ……。ていうかこの反応ってNOってこと?)
川崎「それ、断ってんの?(威圧)」
八幡「いっ、いや、そういうわけじゃねえんだけど……」
八幡「そうだな、じゃ、じゃあよろしく……」
川崎「……よろしく」
川崎(ふぅ……こんな感じかぁ)
川崎(まあこれじゃほとんど妄想だし、あたしに都合よく話が進んじゃってるんだろうけど)
4 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:23:09.07 ID:NY6HWb/fO
八幡「……なあ川崎、気になってたんだが……」
川崎「なに?」
八幡「なんで目つぶってんの?」
川崎(なんでってあんたをイメージするために決まっ(ぱちっ))
川崎「んん!!??!?!?」
八幡「な、なんだよそんな顔して……」
川崎「えっ、あんた、……ん? え???」
八幡「?? マジでどうしたんだよ。俺がOK出すと思ってなっ、ちょ、なっ、なんだっ(ペタペタ)」
川崎「ほ、本物!?(ペタペタ)」
八幡「な、なんだよお前……」
八幡「(超思考)………………さっきの告白って結局嘘なの?」
川崎(え、ええええ?? どどどど、どうしよう……)
川崎(つまり私が脳内のこいつと話してるつもりが、たまたま現実にこいつが居て、うまく話が進んじゃったってことでしょ?)
川崎(どうすれば……)
川崎(でもこれはチャンス。OKを出してくれたわけだからもうこのまま勢いでいくべきなのかもしれない)
川崎「…………いや、嘘じゃない。ほんと。ただ、OK出してもらえるとは思わなかったからちょっと驚いて……」
八幡「そっ、そうか……よかった」
八幡「んじゃ…………改めて、よろしく(ペコッ)」
川崎「……う、うん///(ペコッ)」
5 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:30:20.91 ID:NY6HWb/fO
[比企谷家・ソファ]
ニュースキャスター『あの大進行からはや10年が経とうとしております。私たちはあの惨劇から……』
八幡(ヤバい……。なにがヤバいって脳味噌が事態を処理しきれなくてあらゆる物事を「ヤバい」の一言でしか抽出できないところがヤバい)
八幡「あ゛あ゛あぁぁ…………(バタバタ)」
小町「ただいまー………………なに? どしたの?」
八幡「とにかくヤバい……」
小町「へぇー……(暗黒微笑)」
八幡「はぁぁぁあ…………(バタバタ)」
小町「ねえねえ、なにあったの? 自慢の妹である小町ちゃんに教えてくれてもいいんじゃない?」
八幡「…………(ピタッ……)。うーん…………」
小町「ねえねえねえねえ(ちょんちょん)」
八幡「我が愛しの妹でもダメだ。てか、どうせそのうちお前んとこに情報いくと思うぞ」
八幡(川崎→大志→小町って感じでな)
小町「えー! お兄ちゃんのくせにもったいぶるのー?」
6 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:31:57.20 ID:NY6HWb/fO
八幡「なんだお兄ちゃんのくせにとは!」
携帯「ピピッ!」
八幡「ん……(チラッ)」
小町「…………(ジッ)」
八幡「すまん。ちょっと出る」
小町「…………」
小町「うん。いってらっしゃい」
八幡「おう…………」
八幡(これは……いつか終わりがくるんだろうか……)
7 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:33:45.38 ID:NY6HWb/fO
[川崎家・リビング]
衣服「ぱた……ぱた……」
川崎「はあ………………」
ニュースキャスター『これまでにも世界各地で小規模な進行がありましたが、それが日本で起こったことはいまだなく国民の危機管理の……』
川崎(うわあああああ………………)
川崎(告白してしまった…………)
川崎(明日もまた学校なのに……)
川崎(……あっ。明日はあたしバイト休みだったか……)
川崎(京華たちを大志にお願いして、もしあいつの部活ないなら………………)
川崎「ん゛〜〜…………(シュー)」
大志「姉ちゃん」
川崎「あぁ………………、ん? どうしたの大志」
大志「いや、洗濯たたみながらでいいよ」
大志「今日なんか嬉しいことでもあった?」
川崎「はっはあ? なんでそんな……」
大志「うちに帰ってからずっとうめき声っていうかため息ついてるから……」
川崎「………………………………じ、実は」
8 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:38:46.41 ID:NY6HWb/fO
undefined
9 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:41:01.41 ID:NY6HWb/fO
[学校・朝のSHR前]
八幡(うっわ。教室入りづれえ)
八幡(しかし行くしかない……)
八幡「(ガラガラ)。(スタスタ)……」
川崎「(チラッ……)」
八幡(や、やべ。目が合った……)
(超思考)
八幡(挨拶すべきか? 本来はすべきなんだろう。しかし俺がその「本来」のことをしてしまうと、無駄に周囲が反応してしまう)
八幡(リア充「なんであの底辺が一端の人間みたく朝の挨拶してんの?」ってなふうにな)
八幡(由比ヶ浜ならまあ普段話しかけてくれるから、ちょっとした挨拶くらいどうともない)
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/24(日) 13:42:01.28 ID:NY6HWb/fO
八幡(だが川……川端? え、えーっと……か、か……川崎は孤高の存在だ。カーストに組み込むかどうかは微妙ではあるが、俺よりもクラス内での立場は上になるだろう)
八幡(俺と川……川崎は滅多に会話をしない。そんな奴らがある朝突然挨拶しあってたら、周囲は疑問に思うはずだ)
八幡(その周囲が戸部みたいなのばかりならなんら問題はないがこの場には由比ヶ浜がいる)
八幡(いつもの葉山グループが固まって会話をしていて、由比ヶ浜の声がその辺りから聞こえてくるが、いま川崎と目が合った状況であちらを伺うのは、要らぬ誤解を招く要因となる)
八幡(由比ヶ浜はアホだが察しのいい子だ。俺と川崎がいつもより親しげにしていればすぐにそれを察知するだろうし、最悪俺らの関係が暴かれる)
11 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:50:17.17 ID:NY6HWb/fO
八幡(あいつならすぐに雪ノ下のところへ情報が飛び、部室で2対1の尋問を受ける羽目にあうのは明白)
八幡(しかしながら川崎のことを考えると、付き合い始めて1日も経たないうちに、「目が合ったのに挨拶もしない」なんて冷めた態度を取ると問題がある)
八幡(…………そうか。人は言葉などなくても意思の疎通をすることが可能だ。ジェスチャー、手振り、パントマイムという手がある)
八幡(目配せというのもあるにはあるけれど……それは悪手か。ただのチラ見は印象がいいとは思えない)
八幡(声であれば確実に由比ヶ浜に感知されてしまうだろうが、身振り手振りならば……)
八幡(いや待てよ。普通に軽い会釈というか、頭をコクッと少しだけ下げるだけで良くね?)
八幡(無駄な思考時間だった……)
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/09/24(日) 13:51:31.06 ID:NY6HWb/fO
八幡(人は動きの大きいもの、動作が素早いものに反応し、目で追ってしまう)
八幡(だから、由比ヶ浜が俺のことを視界に捉えているか否か不明だが、もし見られていたとしても気づかれないように、最小限の動きで、早くない動作を心がけなければ)
八幡「(コクッ……)///」
川崎「ッ……(コクッ……)///」
八幡(やっべーめちゃくちゃ顔が熱い。川崎も顔が若干赤くなってるし俺も同じように赤面してしまっているのかもしれない……)
八幡(これ見られたらぜってーバレる)
八幡(もし、リア充どもが同じことをしていたら俺でも確実に察してるもん……)
八幡(でもまあ由比ヶ浜にさえ見られてなければどうにでも……(チラッ)」
由比ヶ浜「(ジッ……)」
八幡(めっちゃ見てるぅぅううう!?!!?(スッ……))
13 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 13:52:47.95 ID:NY6HWb/fO
八幡「(すわっ……)」
椅子「ガタッ」
八幡(ヤバい。完全に見られてた……。とっさに視線を切ったがこれは……(チラッ))
由比ヶ浜「(ジッ……)」
八幡(う、うわああああああ…………)
八幡(なんでまだ見てんだよあいつ……)
八幡(ば、バレてるのか!? マジでこれだけのアクションですべてを見通したのか?)
八幡「(チラッ)」
由比ヶ浜「(ジッ……)」
八幡(……よかった。今度は俺を見てないな……。でもどこ見てるんだ?(スーッ)」
14 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 14:04:53.45 ID:NY6HWb/fO
川崎「…………///」
八幡(かっ、川崎!!?? しかもなんであいつまだ赤面してんだよ……)
八幡(昨日俺に告った時ずっと目瞑ってボソボソ喋ってたし、あいつはこういう感じのが極度に苦手ってことなんだろうか……)
由比ヶ浜「(チラッ)(ジーッ)」
八幡「!!!!(スッ)」
八幡(ま、またこっち見てきやがった! しかもあいつがあまりしない無表情……)
八幡(これって…………マジでバレちまったのか……?)
15 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 14:06:21.78 ID:NY6HWb/fO
[学校・帰りのSHR]
由比ヶ浜「ねぇヒッキー、今日部活行く?」
八幡「今日は………………ちょっと用事があるから……」
由比ヶ浜「……わかった。アレ?」
八幡(人は鏡だ。大抵の場合こちらが清く出れば清く返す。そして相手へのわずかな不信から含みが漏れれば、相手は不信を返す)
八幡(なるべく素直に話す。でも情報は最小限)
八幡「……それとは別件。じゃな」
由比ヶ浜「うん。またね」
16 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:07:41.98 ID:NY6HWb/fO
[校舎裏]
八幡「よう」
川崎「(コクッ)」
八幡「あー…………今日時間ある?」
川崎「うん」
八幡「どっか行く?」
川崎「う、うん」
八幡「じゃ、じゃあ行こうか」
17 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:15:55.08 ID:NY6HWb/fO
[移動中]
八幡「…………なぁ川崎」
八幡「これだけは言わせて欲しいんだが、俺、これまでの人生で彼女できたことが一度もなくてどうすりゃいいのかいまいちわからん」
川崎(か、かか、か、彼女……彼女……)
川崎(あたし……こいつと付き合ってるんだよね…………)
川崎「…………あ、あたしも……」
八幡「? それって……これまで誰かと付き合ったことないってこと? お前が?」
川崎「それどういう意味?(威圧)」
八幡「あっ、いや……(ガクブル)」
八幡「だって……お前……けっこう美人だしモテそうだから……」
川崎(……び、美人? あたしが?///)
川崎(こいつなりのお世辞言ってくれてるんだろうなぁ……)
川崎「別に……そういうのいいから」
川崎「それで……、あたしは誰かと付き合ったことは……ない……けど……」
川崎「…………告られたこともないし」
18 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:20:58.87 ID:NY6HWb/fO
八幡「マジか」
川崎「…………」
八幡「…………」
川崎(間が持たない……。今までそんなに人と関わりを持たなかったから会話の繋ぎ方がわからない……)
川崎(こいつもあんまり会話とか得意そうじゃないのに自分から話振ってくれたし、次はあたしから話さなきゃ……)
川崎「そ、そう言えばさ、あんた部活は大丈夫なの?」
八幡「ん? あー、依頼があるまではほとんど菓子食ってお茶飲んでってくらいだし」
川崎「ああそっか。受動的な部活だからね」
川崎「……ゆ、結衣のこと気にしてたけどさ、付き合ってるの知られるのは……まずい?」
八幡「まずくはねぇな……たぶん……」
八幡「(超思考)……いや、まずいな。かなりまずい」
川崎「…………なんで?」
19 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:27:28.99 ID:NY6HWb/fO
八幡「まず由比ヶ浜は変に気を遣ってくるだろうからやりづらい」
川崎「あー……。それはあるかも」
八幡「それに海老名さん。あの人に知られると俺もお前もしんどいことになる」
川崎「……うん。想像できる……」
八幡「他の奴らは別に俺らに絡んでこないから問題ないが、もっともヤバいのは戸部だ」
八幡「あいつは何でもかんでもでかい声で喋っちゃうから俺たちのクラス内での居心地が最悪だ」
八幡「それに俺らが付き合ってることに関して変に絡んできそう」
川崎「それは…………うん。避けたいかも」
八幡「でもそのうちバレるだろうな」
川崎「……そっか。どこでクラスメイトと鉢合わせするかわからないのか」
川崎「わざわざ避けて会うのもアレだし……」
川崎「うぅ……姫名の絡み避けられないじゃん……」
20 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:28:43.62 ID:NY6HWb/fO
八幡「……あんまやりたくはねぇけど、葉山にひとこと言えば収められる……。というか、あいつが勝手に察してどうにかしてくれそうだな」
川崎「なにその信頼」
八幡「そんな奴だろ?」
川崎「まあ……そう、かな?」
川崎(映画館……)
八幡「映画館あるけど、無難に映画観るか?
川崎「んー。そうだね」
21 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:30:40.56 ID:NY6HWb/fO
[劇場前]
八幡「(ジーッ)」
川崎(あいつ、なぜかプ◯キュアの劇場版の広告を凝視してる……)
川崎「観たいの?」
八幡「え、ん? な、なにが?(汗)」
川崎「…………(ジッ)」
八幡「……ほ、ほかにおもしろそうなもんは……」
川崎「…………別に妹たちも観てるしこれでいいよ?」
八幡「え、マジ?」
八幡「……いや、でもデートで見るもんじゃないわ」
八幡「ありがとな」
川崎「そ……」
川崎「じゃあ……」
22 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:33:11.19 ID:NY6HWb/fO
[フードコート]
八幡「(パクモグ)……」
川崎「(パクモグ)……」
川崎(黙って食事しちゃってる)
川崎(なにか話さないと)
川崎「…………映画、よかった……」
八幡「(モグモグ)……ああ。予想してた展開と全然違くてけっこう驚いたわ」
川崎「あーわかる。途中から一気に流れが変わってったよね……」
八幡「そうそう。やっぱ主人公の──」
川崎(ふ、普通に話せてる……)
川崎(こいつ、意外と話せるんだ)
川崎(ちょっと違うか。もともとこいつは話せるんだけど、話す機会があんまなかったんだ)
川崎(こいつ……いつも本読んでるからか、物語のいろいろなところに気づいてて、話聞くのおもしろい……)
川崎(楽しい……)
23 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:39:28.93 ID:NY6HWb/fO
[川崎家前]
川崎「わざわざありがと……」
八幡「いいよ。さすがに……夜道を女子ひとり歩かせるわけにはいかないだろ」
川崎「そ……だね」
川崎「…………今日はほんとに楽しかった」
川崎「あ、ありがと///」
八幡「あ、ああ。お、俺も楽しかったぞ……///」
川崎「……うん。よかった……」
八幡「……」
川崎「……」
八幡(てか空気やべーよ俺が何か言わないとだな)
八幡(こ、こういう時はまたデ、デートしよう的なことを言うんだろうか……)
24 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:40:32.42 ID:NY6HWb/fO
八幡(今日は実際テンプレなデートだったけど楽しかったわ……)
八幡(リア充どもがデートしてんのほんっと目障りでしかなかったけど、やってみたらやってみたでめっちゃ楽しいし……)
八幡(本心でこいつとまた遊びたいと思う)
八幡「なぁ、また都合が合えば……遊びに行こう」
川崎「…………うん」
八幡「…………メアド、交換しねぇか?」
川崎「……あ、うん。(トコトコ)」
川崎「携帯……貸して」
八幡「あ、ああ。……はい(スッ)」
川崎「……」
携帯「ポチポチ、ポチ。ポチポチ」
川崎「はい」
八幡「サンキュー」
八幡(登録名は沙希か)
八幡(いつかは下の名前で呼ばなきゃだよなぁ……)
八幡(ハードルたっけぇ…………)
川崎「…………それじゃ、明日」
八幡「ああ。明日」
川崎「気をつけて……」
八幡「おう。じゃあな」
25 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:42:14.54 ID:NY6HWb/fO
[比企谷家]
八幡「……ただいまー」
小町「おかえりー。初めてのデートはどうだった?」
八幡「いや情報伝わるの早すぎじゃない?」
八幡(あいつのシスコンぶりを忘れていた……)
小町「まさかお兄ちゃんが人と同じように誰かと付き合えるとは……小町感激すぎて涙が……」
八幡「言い過ぎだろ酷ぇよ(スタスタ)」
ソファ「ギシッ」
小町「でもお兄ちゃんが大志のお姉ちゃんと付き合えるとはねー?」
小町「はぁ……あんな美人なお姉ちゃん憧れるぅ」
八幡「なにお姉ちゃんって。話が飛躍し過ぎじゃない?」
小町「ねぇお兄ちゃん。ちょっと真面目な話になるんだけど」
八幡「なんだよ」
26 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:44:20.86 ID:NY6HWb/fO
小町「お兄ちゃんが今後沙希さん以外の人と付き合えると思う?」
八幡ハート「グサッッッッ!」
八幡「うっ………………それは……………………」
小町「これがラストチャンスになる可能性はすっごーーーーーーーーーーーっく、高いんじゃない?」
八幡「まぁ……だろうな……」
小町「このチャンスを逃したらお兄ちゃんは生涯未婚の社畜まっしぐらだよ」
八幡「なっ、なんだと! それはダメだ。それだけは避けたい……」
八幡「俺は……ヒモになりたい……」
小町「それはちょっと……」
小町「沙希さんは家事だいたいできるらしいし、ちょー美人さんだしお嫁にするなら文句ないよ」
小町「小町が沙希さんとの結婚を許可してしんぜよう……」
八幡「許可いただいても相手がその気じゃなかったらどうしようもねぇよ」
小町「でも沙希さんから告白したんでしょ?」
八幡(こいつどこまで知ってんだ……)
八幡「……だとしても結婚は話が違う」
八幡「今の時代、結婚したがらない奴も少なくないらしいしな」
小町「な、なにそれ! なんでなの?」
八幡「俺が知るかよ」
27 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:45:43.88 ID:NY6HWb/fO
小町「お兄ちゃんが今後沙希さん以外の人と付き合えると思う?」
八幡ハート「グサッッッッ!」
八幡「うっ………………それは……………………」
小町「これがラストチャンスになる可能性はすっごーーーーーーーーーーーっく、高いんじゃない?」
八幡「まぁ……だろうな……」
小町「このチャンスを逃したらお兄ちゃんは生涯未婚の社畜まっしぐらだよ」
八幡「なっ、なんだと! それはダメだ。それだけは避けたい……」
八幡「俺は……ヒモになりたい……」
小町「それはちょっと……」
小町「沙希さんは家事だいたいできるらしいし、ちょー美人さんだしお嫁にするなら文句ないよ」
小町「小町が沙希さんとの結婚を許可してしんぜよう……」
八幡「許可いただいても相手がその気じゃなかったらどうしようもねぇよ」
小町「でも沙希さんから告白したんでしょ?」
八幡(こいつどこまで知ってんだ……)
八幡「……だとしても結婚は話が違う」
八幡「今の時代、結婚したがらない奴も少なくないらしいしな」
小町「な、なにそれ! なんでなの?」
八幡「俺が知るかよ」
28 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:55:22.02 ID:NY6HWb/fO
小町「お兄ちゃんが今後沙希さん以外の人と付き合えると思う?」
八幡ハート「グサッッッッ!」
八幡「うっ………………それは……………………」
小町「これがラストチャンスになる可能性はすっごーーーーーーーーーーーっく、高いんじゃない?」
八幡「まぁ……だろうな……」
小町「このチャンスを逃したらお兄ちゃんは生涯未婚の社畜まっしぐらだよ」
八幡「なっ、なんだと! それはダメだ。それだけは避けたい……」
八幡「俺は……ヒモになりたい……」
小町「それはちょっと……」
29 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 14:57:01.89 ID:NY6HWb/fO
投稿できてるのかできてないのかわからぬ……
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/24(日) 14:58:38.07 ID:59KJo2Bco
>>8
ここ抜けてる
31 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 15:34:31.20 ID:NY6HWb/fO
>>30
文字数多すぎて投稿できなかったから分割して投稿し直したよ
32 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 15:36:57.30 ID:NY6HWb/fO
(前文:八幡「俺が知るかよ」)
小町「うーん……。とりあえずその辺はこっちで探ってみるよ」
小町「小町が全力でバックアップするから背中は任せて!」
八幡(気を許したら後ろから刺されそう……)
八幡「……まぁ、頼む」
小町「まっかせて!」
八幡(不安だ……)
八幡(小町の考える策に不備があるとかじゃなく、どこかで嵌められて、躊躇いなく後戻りできない袋小路に蹴り落としそう)
八幡(不安だ…………)
携帯「ピピッ!」
八幡「!?」
八幡(嘘だろまたか……)
小町「(ジッ……)」
小町「…………また出るの?」
八幡「ああ。悪りぃ」
33 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 15:38:34.62 ID:NY6HWb/fO
[川崎家]
川崎(お、おやすみってメール……送っても変じゃないかな……)
携帯「ポチポチポチポチ」
川崎(……………………送信!)
34 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 15:40:05.62 ID:NY6HWb/fO
[???]
八幡「はぁ…………はぁ………………」
八幡(2日連続はけっこうくるな)
八幡(……メール。小町か?)
八幡「川崎……」
八幡(もう深夜2時か……。さすがに起きてないだろうな)
八幡(いちおう返信はしておこう」
携帯「ポチ…………ポチ……ポチポチ……ポチ」
八幡『すまん寝てた。おやすみ』
八幡(こんなんでいいんだろうか……。一度内容を小町に見てもらうべきか?)
八幡(それは違うか……。よし)
八幡「……………………送信(ボソッ)」
35 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 15:48:19.94 ID:NY6HWb/fO
ほな、また……
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/24(日) 15:54:03.27 ID:3xn1U7prO
クソスレ立てんな
糞八幡豚
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/24(日) 17:40:03.30 ID:gYW6NLGs0
俺ガイルスレは変なの湧くこと多いけど完結させてくれ
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/24(日) 19:20:15.30 ID:lkwuHhOgO
乙
晩飯は済んだだろ
続きを早く頼む
39 :
◆hr9g98PXaA
:2017/09/24(日) 22:52:12.39 ID:wUmnEHnQO
[奉仕部部室]
八幡(あれから何回かデートしたが……)
八幡(ヤバいな川崎超可愛い……)
八幡(今更ながらパンツを見てしまったことが申しわけなくて発狂しそうになる……)
八幡「あ゛あ゛ぁ……」
雪ノ下「……その死にかけた鳥のような声を出すのはやめてくれないかしら。腐敗した空気が充満するのだけれど」
八幡「……はいはい」
由比ヶ浜「……そういえばヒッキー。最近部活来る頻度減ったよね。何かあった?」
八幡「まぁ…………」
八幡(変に隠すと勘繰られそうだ)
八幡「……あった」
雪ノ下「(ジッ)」
由比ヶ浜「(ジーッ)」
八幡「……なんだよ」
40 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 22:54:17.36 ID:wUmnEHnQO
雪ノ下「会話の流れから、あなたにあったその『何か』を話すっていうのがわからないのかしら?」
雪ノ下「それだからコミュ障と呼ばれるのよ」
八幡「お前にだけは言われたくねぇなそれ……」
由比ヶ浜「それで、なにがあったの?」
由比ヶ浜「話したくないならいいんだけどさ……」
八幡(絶対に話したくねぇけど話さないと空気が悪くなる空気になってんじゃん)
八幡「…………」
八幡(心拍数がっ……。プレッシャーが大きすぎる)
八幡(話すべきなんだろうか……いやしかし……)
八幡(う…………)
扉「ガラガラッ!」
平塚「失礼」
雪ノ下「先生、入る前にノックを……」
平塚「あー悪い。次からは気をつけよう」
八幡「それで何の用ですか……」
平塚「進行についてさ」
41 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 22:57:24.91 ID:wUmnEHnQO
八幡「……」
雪ノ下「……」
由比ヶ浜「……」
平塚「どうやら、この頃様子がおかしい」
八幡「ですね。そのせいでこっちは2連勤っすよ」
雪ノ下「そうですよ先生。これでは学業に支障が……」
平塚「……冗談はいい。比企谷、お前はどう考えている」
八幡「……また、来るんじゃないですかね。あれが」
八幡「というか、そっちである程度予測できてるんじゃないですか?」
平塚「ああ」
平塚「昨日はフランスで5等級が出現した」
由比ヶ浜「えっ、そんな……また……」
雪ノ下「それは……予兆なんでしょうか」
平塚「おそらくな。上もそう考えている」
八幡「…………俺らは学校を続けてても大丈夫なんですか?」
由比ヶ浜「先生……」
平塚「問題ないさ」
平塚「……………………今の所はな」
由比ヶ浜「…………そうですか」
平塚「また何かあれば報告に来る。ではな」
42 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 22:58:31.12 ID:wUmnEHnQO
[廊下]
平塚「(スタスタ)」
平塚「……盗み聞きはよくないぞ」
平塚「…………川崎」
川崎「(ビクッ)」
川崎(物音も立ててないし、こっちも見てないのになんで……)
川崎(部室の外から聞いてたけどさっきの会話って一体……)
43 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:00:19.57 ID:wUmnEHnQO
[デパート]
川崎「これ、似合う……かな」
八幡「……そうだな、それの白なら似合いそう」
川崎「こっち?」
八幡「うん。そっちの方がいい」
川崎「じゃこれにする……」
八幡「おう」
川崎(……服選び真面目にやってくれてる……」
川崎(なんだろ……ただ買い物してるだけなのに楽しい……)
川崎「服はこのくらいでいいかな。会計してくる」
八幡「ああ俺が出すよ」
川崎「いっ、いいよ。これくらいは……」
八幡「遠慮しなくていいぞ。ブラックな代わりに高給なバイトしてるから」
川崎「いや、でも……」
八幡「俺の金の使い道なんて本とか日用品くらいだし、勝手に溜まってくんだよ」
八幡「どうせ金使うなら有意義に使いたいからさ」
44 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:02:30.38 ID:wUmnEHnQO
川崎「ありがと……///」
川崎(あたしの家計を考えてくれてるんだよね……)
川崎(申し訳ない気もするけどそれ以上に嬉しい……)
川崎「次は……書店?」
八幡「ああ。行こうか」
川崎「うん」
八幡「うわマジか」
川崎「なに?」
八幡「あれ……」
川崎(あれは……クラスメイトの葉山と……その囲い。こっちに向かって歩いてきてる)
川崎(それなりに離れてるのに戸部がうるさくてここまで声が聞こえる……)
八幡「戸部の声でかすぎだろ……」
川崎「確かに……」
八幡「どうするここは一本道だから引き返すか……? いや、逆を向いても後ろ姿でバレるな……」
川崎(後ろ姿でバレる?)
川崎(ああそっか。あたしくらい髪長い子ってそんないないし、髪色も特徴あるから……)
川崎「それなら道戻った方がマシなんじゃない?」
45 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:04:00.22 ID:wUmnEHnQO
八幡「…………いや、俺に考えがある。そのまま進むぞ」
川崎「……わかった」
八幡「(ジーッ)」
川崎(葉山をガン見してる。どういう意図?)
八幡「(ジーッ)」
川崎(どんどん近づいてくる……。道幅もそんなにないからすれ違ったら確実に見られる……)
八幡「(ジーッ)」
川崎(なにを狙ってるの……?)
八幡「(ジーッ)」
葉山「(チラッ)。(ジッ…………)」
川崎(葉山が気づいた……。めっちゃ見てる)
川崎(あれ、葉山が戸部たちに声をかけて引き返してく……)
川崎(???)
46 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:05:27.77 ID:wUmnEHnQO
八幡「さすが葉山だぜ……」
川崎「今のは?」
八幡「葉山に察させたんだよ」
八幡「あいつなら俺たちの状況を見て、引き返してくれると思った」
川崎「それは……戸部たちがあたしたちに絡むことを避けて?」
八幡「ああ。俺らと戸部たちが接触することで起こりうる諸々の問題を導き出して、それを回避したんだ」
川崎「そんなことわかるの?」
八幡「あの葉山だぞ?」
川崎「すごい信頼だね……」
川崎(本当にすごい信頼……)
川崎(葉山とこいつ、ほとんど接点がないと思ってたんだけど)
川崎(………………あの信頼関係、羨ましい……かも……)
47 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:07:22.13 ID:wUmnEHnQO
[学校・トイレ]
八幡「(ジャー)」
葉山「ヒキ谷くん。となり失礼するね」
八幡「俺が奥のトイレ使ってんのになんでわざわざ隣に来て、さらに失礼するんだよ」
八幡「失礼だって自覚してんならあと2個は開けてやれよ。ここ以外空いてるだろ」
葉山「…………比企谷。君は川崎さんにあのことを話しているのかい?」
チャック「ジッ」
葉山「(ジャー)」
八幡「………………なんの話だ」
チャック「ジッ」
八幡「(スタスタ)」
蛇口「ジャババ」
葉山「……まさか、俺が気づいてないなんて思ってないだろ」
葉山「………………奉仕部、ね」
葉山「部活というより……部隊、じゃないかい?」
八幡「お前ッ!」
48 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:09:19.58 ID:wUmnEHnQO
葉山「別にそのことについて口出しするつもりはないし、口外もしない」
チャック「ジッ」
葉山「(スタスタ)……、君は選べるかい?」
葉山「民衆の命と、川崎さんのどちらかを」
水道「ジャバジャバ」
八幡「……葉山……どういうつもりだ………………」
葉山「学校でそんな殺気出さないでくれよ。俺は一般人なんだよ?」
八幡「答えろ。どういうつもりだ」
葉山「…………」
葉山「このまま続けるのなら、川崎さんと別れるべきだ」
葉山「川崎さんをとるなら、辞めるしかない」
葉山「そう言ってるんだよ」
八幡「なんでだよ。そんなのどっちも……」
葉山「……君の……いや、人の手はそこまで大きくない。それだけは覚えておいたほうがいい」
葉山「いつもの君なら、よく見えていたはずなんだけど(スタスタスタ)」
葉山「…………選択を強いられた時、もし君が彼女を選ばなかったら、きっと君が持っているその感情は──」
八幡「……………………」
49 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:11:02.36 ID:wUmnEHnQO
[水族館]
八幡「うわこの魚、目が死んでる」
川崎「ちょっとあんたに似てるかも」
八幡「どこがだよ」
川崎「目」
八幡「……」
川崎「お土産とか買う?」
八幡「そうだな。記念に買ってくか」
携帯「ピピッ!」
八幡「!!」
50 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:11:55.02 ID:wUmnEHnQO
川崎「ッ」
川崎(なに……めっちゃ怖い顔してる……)
八幡「………………」
八幡「川崎」
川崎「どっ、どうしたの?」
八幡「マジで悪い。急用が入った……」
川崎「……そうなの?」
八幡「本当にすまん。ちょっと行ってくる」
川崎「今すぐなの?」
八幡「ああ……」
川崎(かなり深刻そう……。デートの途中だけどこれは仕方ない……か……)
川崎「じゃあ今度埋め合わせよろしく」
八幡「助かる。もう日が沈んでると思うから帰りは気をつけてな」
川崎「……ん。じゃ」
八幡「おう」
51 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:13:31.08 ID:wUmnEHnQO
[比企谷家・八幡の部屋]
川崎「……」
八幡「……」
小町「おにーちゃーん! 行って来まーす!」
八幡「お、おーう!」
川崎(…………どうしよう…………。ついに家来ちゃった……)
川崎(しかも小町ちゃんは今日友達のお家にお泊まり……)
川崎(親が帰宅するかどうなのかわかんないけど……)
川崎(うぅ…………)
川崎(緊張しすぎて頭まわんない……)
八幡「……お茶入れてくる」
川崎「…………うん」
ドア「ガチャ」
52 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:15:58.90 ID:wUmnEHnQO
川崎(も、もしいくとこまでいっちゃったらどうしよう…………)
川崎(最近は手を繋げるようになったけど……キ、キスもまだだし…………)
川崎(あ、あぁ……)
川崎(心臓がバクバクしてる……ん〜〜…………)
八幡「どういうことなんだよ!(ボソッ)」
川崎(電話してるのかな? めちゃくちゃ怒ってるみたいだけど……)
八幡「さすがに生活に支障がですぎだ」
川崎「……」
八幡「俺なしで繋げな……」
八幡「5等っ……んな、国内にか!?」
八幡「………………ああ。……わかってる」
携帯「パタッ」
八幡「………………………………」
八幡「くそっ……………………………………」
川崎「……」
八幡「(スタスタスタ)」
ドア「ガチャ」
八幡「……………………川崎」
53 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:17:13.67 ID:wUmnEHnQO
川崎「…………どうしたの?」
八幡「親が帰ってくるっぽい……」
川崎「あ……。……じゃ出たほうがいい、よね」
八幡「ああ。マジですまん……(バッ)」
川崎「あっ、頭下げなくても……!」
八幡「ほんとに……最近こんなことばっかで…………すまん」
川崎「……いいよそんなの気にしなくても」
八幡「……ありがとう」
八幡「送るわ」
川崎「うん……」
54 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:18:36.30 ID:wUmnEHnQO
[夕方・公園]
川崎「すごい……」
川崎(夕日が海と空を赤く染めながら水平線に
沈んでいってる。ほんとに絶景って感じ)
川崎(休みの日に遠出した価値はある)
川崎(時間がゆっくり進んでる……)
八幡「人も全然いなくてよかった。ベンチもちょうど西向きだし」
川崎「そだね……」
八幡「…………」
川崎(すごくいいムード……)
川崎「(ワクワク……)」
八幡「…………川崎」
川崎「……ッ。なに?///」
八幡「……お前には話さなくちゃいけないことがある」
55 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:19:45.17 ID:wUmnEHnQO
川崎(……そんな感じじゃないみたい。とってもシリアスな声……)
川崎「……なに?」
八幡「…………大進行って、知ってるよな」
川崎(いきなり!?)
川崎「……うん。知ってる」
川崎「…………たしか、ちょうど10年前ぐらいに起きた侵略のこと……で合ってる?」
八幡「そうだ。合ってる。」
八幡「約10年前に、世界各地で謎の生命体が発見されたんだ」
八幡「仮に奴らのことをメンシュハイトって名で呼んでる」
八幡「メンシュハイトは有機物だろうが無機物だろうが関係なく、無差別に周囲を破壊する」
八幡「あいつらは10年のあの日以来、日本では観測されていない……ことになってる」
川崎「海に囲まれてるからって話だったね。オーストラリアには出てるんだけどね……」
56 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:21:38.39 ID:wUmnEHnQO
八幡「そうなんだ。でも、海で囲まれてるからメンシュハイトが現れないなんてことはない」
川崎「日本にもそいつらが出てるってこと?」
八幡「…………そういうことだ」
八幡「あの日以来、人類は奴らと戦い続けてる」
八幡「もちろん日本も例外じゃない。あの日から奴らの侵略が止まったことなんて一度もない」
八幡「毎日必ず、世界のどこかに現れている」
川崎「なんであんたがそんなことを……」
八幡「メンシュハイトは祈って消えてくれるもんじゃない。話し合いで破壊をやめてくれはしない」
八幡「武力で圧するしかないんだ」
川崎「………………もしかして」
八幡「……俺は防衛軍に所属してる」
八幡「国民にバレることなく、秘密裏に奴らを始末しているんだ」
57 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:23:20.99 ID:wUmnEHnQO
川崎(これは本当の話? まさかこいつがこんな嘘をつくとは思えないし……)
川崎(でもにわかには信じきれない……)
八幡「信じられないのもわかる。俺だって唐突にこんなこと話されたら何言ってんだって思う」
八幡「最近、メンシュハイトの出現率が上がってきて、さすがに国も誤魔化しきれないレベルだ」
八幡「近いうちに少しずつ情報が解禁されるだろうな」
八幡「だからそれを直接自分の目で見るまではこんな突飛な話は信じなくてもいい」
川崎「…………うん。でもなんであんたが? 高校生なんかより………………きちんと訓練された軍人の方がいいんじゃないの?」
58 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:24:47.97 ID:wUmnEHnQO
八幡「…………奴らに対抗する手段としてもっとも有効なのが、奴ら自身を素材にして造られた専用の武器だ」
八幡「それは……まあ平たく言えば使用者のエネルギーを消費して力を増す」
八幡「そのエネルギーってやつはゼイレって呼ばれてるんだが、若ければ若いほどゼイレの貯蓄量は高い。だけど、若すぎるとコントロールができずに暴発する」
八幡「でもそのゼイレってのは、大抵の人間が20歳を迎える前あたりから、目に見えて減少していくんだ」
八幡「そこで、若すぎず、衰えすぎずの年代の『中学校後半から大学生前半』が主力として集められてる」
八幡「もちろんガキよりプロの手腕って思うだろうが、そんなテクニックを軽く超越しちまうパワーがある」
八幡「とまあこんな理由だ……。俺以外にも学校に数人防衛軍のやつがいる」
59 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:25:53.50 ID:wUmnEHnQO
川崎「えっ、そうなの?」
八幡「ああ。今の時代、誰が防衛軍になってもおかしくない」
八幡「……そんなことより」
八幡「俺が今までデートすっぽかしたのはほとんどこれのせいだ」
八幡「だから許してくれなんて言わないけど、それを伝えておきたかった」
八幡「ほんとにごめん」
川崎「……いいよ。けどさ、その話聞く感じ、あたしたちの会う時間はどんどんなくなってくってことだよね?」
八幡「そうなる……」
川崎「…………そっか」
60 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:35:55.40 ID:wUmnEHnQO
[川崎家]
川崎「ただいまー……」
大志「姉ちゃん! ヤバいよ! マジでヤバい!」
川崎「? どうしたの?」
大志「メンシュハイトが日本にも出るかもしれないんだって!」
川崎「えっ!?」
大志「日本には10年前の大進行のときに一回出たきり現れたことねえのに……」
大志「国が、突然街中にメンシュハイトが出たときに、逃げこめる施設とか作ってくらしい」
川崎(あいつ…………本当に…………)
61 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:38:04.63 ID:wUmnEHnQO
[学校・放課後]
八幡「川崎」
川崎「(コクッ……)」
川崎(ここ数週間はデートする回数が一気に減ったなぁ)
川崎(こいつも気にしてるみたいで、下校だけはほぼ毎回一緒に帰ってくれてる)
川崎「時間ある?」
八幡「今のところは。またいつ呼び出されるかわからん」
川崎「そっか……じゃあアイスクリーム屋に寄るだけなら大丈夫、かな?」
八幡「それくらいなら全然余裕だろ」
川崎「良かった///」
川崎「じゃああっちの方にあるから行こっ」
八幡「おう」
八幡「その店ってどんなアイス売って──」
携帯「ピピッ!」
──ズドン!
──ドン!
62 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:39:30.91 ID:wUmnEHnQO
川崎(爆発!? 地面が揺れてる……)
八幡「大丈夫か!(ガバッ)」
川崎「あ、ありがと……///」
八幡「やっべぇ…………」
川崎「…………もしかして……」
八幡「……メンシュハイトだ」
63 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:40:46.89 ID:wUmnEHnQO
[商店街近く]
八幡「おら!(シュッ)」
メンシュハイト「がっ!」
八幡(メンシュハイトは人型だ。初めて見る人間にはあまり殺している場面を見られたくはないが……)
八幡「どんだけ湧いて出るんだっ」
川崎「こ、こいつらがメンシュハイト……。生で初めて見た……」
八幡「見てて気持ちいもんじゃねぇからあんま見ないようにしろよ」
川崎「うん……」
八幡(緊急用の組み立て式簡易装備で戦ってるが、正直これがどのくらい持つのかわからない)
八幡(銃があれば川崎を安全に守れたんだが、あいにく剣タイプのものしか持ってない)
八幡(そこまでしっかり作られたものじゃないから、早めに支部に行って装備の交換と川崎の安全を確保しないと……)
64 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:42:08.57 ID:wUmnEHnQO
八幡(しかし……)
八幡「ふっ!」
メンシュ「ぐぅっ……!」
八幡(もともとこいつらは日が沈んでから出てくるもんだ)
八幡(でも今日はなぜか日があるのに出てくる)
八幡(それどころかいつもの数十倍近くが出現している……)
八幡(明らかに異常だ)
八幡(いつ5等級以上が現れてもおかしくない……。早く川崎を退避させないと……)
八幡「川崎、今から防衛軍の支部に向かう」
川崎「わ、わかった」
八幡「ここからだとけっこうあるから……すこし辛抱してくれ」
川崎「(コクッ……)」
メンシュ「(バッ!)」
八幡「またかっ!(ザッ!)」
メンシュ「ぐっ……く…………」
65 :
◆hr9g98PXaA
[sage]:2017/09/24(日) 23:45:12.02 ID:wUmnEHnQO
八幡(こんな数じゃ死体の処理もまともにできねぇ……)
八幡(国中が……パニックになる)
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