【艦これ】男の提督はどうやら信頼出来ないらしい

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 22:03:14.27 ID:gpuN7GT/0
注意
・地の文が多くなるかもしれません。少なくして欲しければいってください。
・台本形式
・鬱あり
・安価レスには応答しますが、それ以外のものには基本的にですが応答はいたしません。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1506171793
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 22:05:34.78 ID:gpuN7GT/0
登場する艦娘を絞っておきます。
10人程です。
ただし後で追加するかもしれません。

下安価で
1人ひと艦娘ずつ。10人が出きらなかった場合は、1が独断で決めます。

よろしくお願いします。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 22:06:35.45 ID:cM/uPC860
初霜
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 22:07:19.59 ID:gpuN7GT/0
23時まで待ちます。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 22:07:44.09 ID:6A/owQycO
大鯨
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 22:09:47.62 ID:Csn6GYjNo
加賀
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 22:11:11.76 ID:cOU9hhiRo
赤城
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 22:11:19.26 ID:rOwYJaeSo
阿武隈
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 22:12:47.69 ID:n/LrITx50
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 22:12:54.51 ID:kkpcEP71O
利根
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 22:15:43.78 ID:P05qu2hJO
大井
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 22:18:05.01 ID:5kKhSA9vo
深雪
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 22:19:23.56 ID:1MiQcE0B0
大和
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 22:27:42.29 ID:gpuN7GT/0
10人出きりましたので締め切りで。

物語の進行上 曙 は追加させて頂きます。
では書いてきますので、今日はもう終わりです。
更新は場合によりますが水曜日ぐらいになると思います。

内容的には前任が優秀な女提督だったところに、着任した新人提督がという感じです。

それではまた。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/23(土) 22:49:40.92 ID:gpuN7GT/0
申し訳ございません、トリの付け方だけ教えて頂けませんか?
16 : ◆fUP6tZ7eQ2 [saga]:2017/09/23(土) 22:53:25.32 ID:gpuN7GT/0
出来ました。
ありがとうございます。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/23(土) 23:19:10.11 ID:ZXmiPQHuo
地の文が多くなるのに台本形式?
18 :natsuo720 [saga]:2017/09/24(日) 01:23:36.54 ID:w9OF5+of0
雰囲気を掴んでもらうために少しだけ投下します。
19 : ◆fUP6tZ7eQ2 [saga]:2017/09/24(日) 01:25:05.02 ID:w9OF5+of0


「ここまで運んでくれるなんて、ありがとねぇ〜」

 お婆さんの言葉に、俺は笑顔でこう返した。

「いえいえ、当然のことですよ。それでは!」

 踵を返し、時刻を確認しながら猛ダッシュ。背中にお婆さんの声がかかるが、最早それに応対している余裕はない。
 俺は焦っていた。

 ーー駄目だ、これじゃあ規定時刻に遅れる!

 着任し、最初に横須賀鎮守府への到着は17時となっている。その段取りも組まれており、当然横須賀鎮守府の艦娘達も“そのつもり”で待っている。
 俺ももう大人の仲間入りを果たしたのだ。「炎天下の中、重い荷物を背負って歩くお婆さんを助けていたから遅れました」、こんなものは通じないだろう。


 
20 : ◆fUP6tZ7eQ2 [saga]:2017/09/24(日) 01:27:32.67 ID:w9OF5+of0

**********************

【横須賀鎮守府にて】


「一体、どういうお考えなのでしょうか?」

提督「いや、すまない」

「私は謝ってほしいのではなく、どういう意図があって着任早々に3時間も遅刻をされたのかと聞いているの」

 横須賀鎮守府に着いて初めて出会った艦娘ーー加賀に、俺は批難を受けていた。それもそうだ。なにせ予定時刻より3時間も遅れてしまっている。

 俺はなんて愚かなのだろうか。

 まさか痴漢被害にあっていた女性を救って駅に降りたら、泣き叫ぶ女性の代わりに警察にその時の話をしなければならなくなり、結果大量の遅刻を生んでしまうとは。


 
21 : ◆fUP6tZ7eQ2 [saga]:2017/09/24(日) 01:29:25.51 ID:w9OF5+of0


 ギロリと高圧的な視線を送ってくる加賀に俺は頭が上がらないでいた。

「まあまあ、そのぐらいにしておきませんか?」

提督「ーーーーっ!?」

 突如入った助け舟に思わず顔を上げる。この子は確か、加賀と同じ一航戦の……

加賀「ーーっ赤城さん! ですが、私達もそれ相応の準備をせねばならなく、赤城さんにも負担をかけて……」

 準備……おそらく俺を出迎えるための準備だろう。豪華な食事や歓迎パーティがある訳ではないが、少なくとも彼女達のそれまでのスケージュールを縛ったのは間違いない。

赤城「まだこの方はお若いですし、それに故意にこんな事をするような人には見えません。何か理由があったのではないでしょうか?」


 
22 : ◆fUP6tZ7eQ2 [saga]:2017/09/24(日) 01:30:56.99 ID:w9OF5+of0


 
提督「あ、ああ。まあ一応」

「ふんっ! どうだか」

 見るからに不機嫌そんな表情で執務室に入ってきた曙が、まるでゴミでも見るように俺を睥睨する。

加賀「赤城さん、もう行きましょう」

加賀「やはり“彼女”以外に。それも男などに私達の指揮は任せられませんね」

 ボソリとではなく、しっかりとこちらの耳に届くように加賀は捨て台詞を残していった。


 
23 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 01:32:12.78 ID:w9OF5+of0


 
 どう見ても俺は歓迎されていない。

 しかし、それも当然なのかもしれない。自分達が命を預ける相手が、着任早々大遅刻をかますような不真面目な人間だったのだ。例えその理由が人助けでも、“そう見えたから”には仕方のないことなのだろう。

曙「ほらクソ提督、これ読んどきなさいよ」

 バサリと無造作に投げられたのは、この横須賀鎮守府の資料だった。

曙「それじゃあ、私ももう行くから」

 バンッと閉められた扉は、普通のそれよりも大きい音がした気がする。まるで俺を心底拒絶する意思が込められているかのように。


 
24 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 01:33:01.84 ID:w9OF5+of0
不注意によりトリップが割れてしまったのでこちらに変更いたしました。今日はこれで終わりです。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 02:38:48.45 ID:E7rv+K5i0
おつ
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 14:36:01.01 ID:m66E5j6LO
提督に迎えを寄越さない時点でおかしだろ歩かせて通勤って提督って将軍階級だぞ何かあったらいけないから護衛つき送迎だろ
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 15:11:52.96 ID:XkXSp4BVo
艦これでは少佐でも提督と呼ばれちゃうからな
確かに本当は中将からだけど
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 15:37:08.59 ID:MLlp9ctlo
警察行ったんなら連絡あるやろ
29 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 20:10:11.01 ID:dajsaY5y0

 
 ここ、横須賀鎮守府には前任の提督がいた。性別は女。艦娘達との関係は良好で、なんでもかなりの功績を残したらしい。しかし彼女は病に伏してやむなく辞任し、鎮守府の艦娘は殆どが異動されて、今では横須賀鎮守府の艦娘は10人程だ。
そこに新任として就いたのが俺、という訳である。

提督「資料……といっても既に知っている内容ばかりか」

 提督不在のこの一ヶ月、運良く表立った敵の侵攻は無かった。資材も前任が優秀だったのだろう、しっかりと貯蓄されていたものがまだ尽きていない。

提督「……もうこんな時間か」

 時刻は既に21時半を回っていた。
 遅刻しかけていたのだから、当然飯は食べていない……が、先ずは風呂だ。汗を流したい。地図を確認すれば、風呂場はどうやら大体執務室の裏手側にあるようだ。



 
30 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 20:12:08.11 ID:dajsaY5y0

 
「……ん?」

 廊下を歩いていると、前から別の艦娘が歩いてきた。

 ーー大鯨か?

 昔はどうだか知らないが、今は10人ほどの鎮守府だ。顔と名前の一致は既に写真で済ませてある。

大鯨「ーーっ! 提督……さんですか?」

提督「あ、ああ。驚かせてすまない。俺が今日から新しく着任した提督だ。これからよろしく頼む」

 俺は握手を求めるように手を伸ばした。
 しかし、いくら待っても大鯨から握手を返す様子はない。

提督「……大鯨?」

大鯨「ーーっは、はい! すみません。よろしくお願いします」

 そう早口に述べてお辞儀をした後、大鯨はその場から逃げるように去っていってしまった。

 あれ、俺今何かしたか?

 手に何か付いていたのかと見てみるも、なにもない。そして今のやり取りを振り返ってみても、自分のやった事がなんらおかしいと感じられなかった。

「ーーーー?」

 後味は悪いが俺はこのまま風呂へと歩みを進めることにした。

 
31 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 20:13:57.65 ID:dajsaY5y0


 
「ここが風呂か」

 風呂場といえばお馴染みのあのマークを想像したんだが、どうやら違うらしい。これはなんのマークだろうか、バケツのようななにか?
 まあ深く考えていても仕方がない。今日はかなり疲れた。早く入って寝るとしよう。

 かなり広めの脱衣所で服を素早く脱ぎ捨て、浴室の扉を開けたその時だった。

 ーー俺はこの時を一生後悔することになる。
 
32 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 20:15:14.59 ID:dajsaY5y0

 
提督「おお、結構広いなーって……!?」

「…………え……えぇ?」

 奇跡的に前はタオルで隠れていたが、それでも彼女の立派な胸部装甲の形がくっきりと分かった。黒の長髪に、クルリと曲がったアホ毛、そして何よりその不釣り合いにデカイ胸部装甲……間違いない。彼女は綾波型10番艦、潮その人だろう。

 しかし、服を着ていないと本当に曙と同じ駆逐艦には見えないな。

 ーーよし、んじゃあ。執務室に戻るか……。

 俺は固まったまま小刻みに震える彼女に頭を下げ、何事も無かったかのように脱衣所に戻ろうとする。

 今になって思えば、俺はこの時少しばかり頭が混乱しすぎていたのかもしれない。

潮「きゃあああああぁぁあぁあぁぁ!!」

 俺の顔面に乳白色の石鹸が深々と突き刺さったというのは、言うまでもないか。


 
33 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 20:21:38.73 ID:dajsaY5y0
書き溜め投下にしようとしていましたが、少しずつ投下に変えました。続きはまた後ほどあげます。

>>26>>28
歩いているわけではないです。警察に行ったのではなく、警察が来て話をしたのです。勿論鎮守府には連絡が入っています。これ以上は申し訳ございませんが返答いたしませんのであしからず。
34 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 21:28:22.96 ID:dajsaY5y0
>>33
鎮守府 → 大本営です。誤字です。


 
加賀「あなたにとって艦娘とは一体何?」

提督「俺にとっての艦娘は……」

 潮の悲鳴を聴いて、今脱衣所には寝ていた初霜と深雪、それから今手が離せないらしい大井を除く全ての艦娘が集まっていた。
 俺はというと、そんな彼女達の前で正座させられている。

 俺はどうしてこうも未熟なのだろうか。入渠用の浴槽だという事を、配慮していなかったなんて。前までは女性だけの鎮守府、少し冷静に考えれば分かるだろうに。

 
35 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 21:30:09.26 ID:dajsaY5y0

 
加賀「あなたにとっての艦娘とは一体何?」

提督「共に戦う仲間であり、この鎮守府では家族のような存在だと思っている」

加賀「…………」

加賀「次は無いわよ。あなたにとって艦娘とは一体何?」

提督「嬉しいときは一緒に笑って、悲しい時は一緒に泣く。そうして色んな困難を共に乗り越えていく。俺にとっての君達は、そんなかけがえのない存在だ」

 これは俺の本心だ。艦娘は決して兵器なんかではない。俺たちと同じ人間で、決して虐げられたり辱しめられたりするような対象ではない。
 幾度も同じ質問を受けて尚、俺はその度に自分の想いを真っ直ぐ言葉にした。

 
36 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 21:35:40.60 ID:dajsaY5y0


 しかし彼女は……加賀は眉根を寄せ、俺を睨みつけ続ける。

加賀「先程から何度も何度も……流石に頭にきました」

 ドゴッと腹に鋭い痛みが走る。正座する俺の腹に一発加賀が入れてきたのだ。内臓が圧迫され、気道を塞ぐような痛みが口に込み上げてくる。

提督「ーーっハァ!」

赤城「加賀さんっ!」

 加賀の暴挙を赤城が止めようとするも、加賀は手を挙げて自分が冷静であることを告げる。

加賀「こんな最低な……平気で嘘をつき、私達を陥れるような男に指揮をされるぐらいなら、私は解体されていい」

赤城「そんな事を言うのはやめなさい!」

 尚も手を上げようとする加賀を、赤城が抑える。

 対して俺は激しく咳き込みながら、彼女達の言い合いを黙って見ている事しかできない。

 
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:38:22.27 ID:dajsaY5y0


 不意に視線が合った潮は、それだけでビクリと肩を揺らして啜り泣き始めた。それを大鯨と曙と阿武隈が介抱している。
 不思議だった。加賀に受けた拳よりも、潮の怯えた顔を見た時、その方が胸を締め付けるように痛かった。

利根「お主の覚悟はよう分かった。じゃがお主が解体されて、彼女が戻ってきた時どう思う?」

 彼女……つまり前任の女提督だろう。

加賀「………」

大和「私達は皆、彼女の帰りを信じて待っています。異動させられた他の艦娘達はしょうがないですが、出来るだけ多くの艦娘で彼女を出迎えよう。そう誓ったはずです」

 聴いて、渋々といった様子でしばらく考え込む加賀。
 数秒後彼女は「そうですね、すみませんでした」と冷え切った態度で俺に頭を下げた後、この場を去った。

 
38 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 21:40:04.59 ID:dajsaY5y0

 
 利根に大和、彼女達の言葉を聴いて、ここの艦娘達の気持ちが分かった。
 ……つまり彼女達は俺を提督として、認めていないのだ。俺の行動云々の話以前に、彼女達は元の提督を、今病に倒れているという噂の女提督を待っているのだ。必ず病に打ち勝ち、自分達の元へ帰ってくると。そう信じて。

大鯨「立てますか……?」

潮「…………」

 大鯨が潮を立たせて、ゆっくりとこの場から連れ出していく。
 正直彼女を見るだけで居たたまれない気持ちになるので、ありがたかった。しかし、どう謝罪すれば良いのだろうか。少しずつでも、嫌われても良い。あれは事故なのだと、誠心誠意頭を下げ続ければ許してもらえるだろうか。

 
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/24(日) 21:42:00.27 ID:dajsaY5y0

 
提督「ーーーーっ!?」

 バチんっ!

 乾いた音が響く。
 今まで潮の介抱をしていた曙がツカツカと歩いてきたかと思えば、俺の頬を思い切りビンタしたのだ。

曙「潮を傷付けたこと、絶対に許さない! 押しの弱いあの子は元々男を怖がってた。もし今回の事がトラウマになって、潮の今後に支障が出たらどうする気なの!?」

提督「すまない……」

 何をどう繕っても、真実を話しても、きっと今は伝わらないだろう。どんな言葉も見苦しい言い訳にしか聴こえないのなら、俺はただ頭を下げ続けるしかない。


 
40 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 21:45:17.05 ID:dajsaY5y0

 
曙「……あんた本当にクソ提督なのね」

 ゾッとするほどに冷ややかな瞳を俺へ向けて立ち去る曙が脱衣所から出ていくまで、俺は顔をあげなかった。

 ーー彼女の足が、震えていたから。

 きっと目を合わせて曙の顔を見たら、彼女は困ってしまう。人を殴った事など一度も無い、そういう顔をしていただろうから。

 曙は優しい子なのだ。彼女は、潮の為に怒った。
 きっとこの後、曙は潮にこう言うのだろう。

曙「次あいつが変なことしてきても、絶対私が守ってあげるから!」

 少しでも彼女の言葉が、潮に届いて欲しい。
 そして俺も、そんな彼女達を守りたい。

 ……しかしそんな想いも、やはり今は届かない。

 
41 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 21:48:22.48 ID:dajsaY5y0

 
「潮ちゃんにはね……あたし、助けられた事があるの」

 この子は……

提督「阿武隈……」

阿武隈「あたし、この鎮守府の皆が好き。勿論彼女(女提督)も好き」

提督「…………ああ」

阿武隈「でも提督、貴方は嫌いです。 あたしの友達を傷つけ、あたしの居場所を壊そうとする貴方が嫌いです。……大嫌いっです」

 ポロポロと、阿武隈の瞳から涙が溢れ出す。

阿武隈「あたしはどうなっても構いません。どうか曙ちゃんや、加賀さんを解体しないで下さい。あたしから奪わないで下さい」

 
42 : ◆IJfM0QLMGnst [saga]:2017/09/24(日) 21:51:59.37 ID:dajsaY5y0


 頭を下げる阿武隈。それに赤城と利根が続く。

赤城「提督、私からもお願いいたします」

利根「今はお主が提督じゃ。決めるのはお主。しかしまあ、2人を解体するというのなら吾輩も黙っておれんぞ?」

 言い訳はいい。しかしこれだけはハッキリ言っておかなければならない。

提督「そんな事はしない!!」

 俺の言葉を受けても3人は何ら表情を緩めず、ただありがとうございますと言ってその場を立ち去っていっただけだった。

 ーー俺は一体この先どうやって彼女達の信頼を得ればいいんだ……。

 頬と胸が、ジンジンと痛みを訴えていた。

 
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