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バクラ「たとえ灰になっても」
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1 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:30:30.48 ID:noLLEzLK0
――今回は俺の負けにしておいてやる
――だが覚えとけ。俺は必ず蘇り貴様を殺す
――俺はもともと闇そのものなんだからよ
バクラ「……」
バクラ「……こいつは一体どういうことだ」
バクラ(俺は消滅する寸前、パラサイトマインドで植え付けておいた千年パズルの欠片に逃げ込もうとしたが)
バクラ(何か別の力に囚われてこの空間に引きずり込まれた)
バクラ(マリクじゃねえ、別の何かが俺をここへ招いたのか?)
バクラ「あ? これは鏡か……おいおい、何の冗談だ」
バクラ(目の前の鏡に映ってるのは宿主サマじゃない白髪の女)
バクラ(千年リングもなくなってるし、今の俺はどんな状態なのかねぇ)
バクラ「流石に状況が分からねえ間は、迂闊な行動はできねえか」
バクラ(だが、すぐに答えは出るはずだ。何故なら)
バクラ「ククク、感じるぜ、俺やマリクにも劣らない邪悪な意思を」
バクラ(おそらく、この意思の持ち主がここに俺を連れてきた張本人)
バクラ「まずはその面を拝んでやろうじゃねえか」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1505831430
2 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:35:42.01 ID:noLLEzLK0
バクラ(おっと、目の前の光景が変わったな。何人か小娘がいるみたいだが)
男性口調の娘「これで六人目、ということになるな」
男性口調の娘「単刀直入に聞くが、あんたも死んでここに来たのか?」
バクラ「あんたも、ねぇ。その言い方だと貴様らも死んだわけか」
バクラ(男口調の小娘、いや俺のように性別が変わってるかもしれねえが)
バクラ(こいつらも俺と同じようにここに招かれたのか)
ピンク髪の娘「じゃあ、あなたもこのチケットを持ってるんですか?」
バクラ「あ? チケットだと」
バクラ(俺はそんなの持ってねえぞ、どういうことだ)
バクラ「ちっ、やはり状況がはっきりしねえことには動きづらいな」
バクラ「こいつらを血祭りにあげれば、黒幕が出てくるのかねぇ」ボソ
「こらー、そこ、物騒なことを考えない」
バクラ「!」
3 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:37:30.52 ID:noLLEzLK0
バクラ「この女、一体どこから、それに髑髏の教会だと?」
バクラ(間違いねえ、この女こそ、俺をここに招いた張本人、だが)
バクラ「おいおい、その羽は何の冗談だ」
「見てわからないかい。僕は神の御使い。わかりやすく言うなら」
ピンク髪の娘「天使様?」
「そう、その通り、天使だ」
クロエル「僕はクロエル。さっそくだが君たちにはこれからゲェムをしてもらう」
お嬢様口調の娘「そんなことをして、私たちに何の得がありますの」
クロエル「ゲェムの勝者にはこの9999億の大金を渡すと言えばやる気が出るかな」
バクラ(今度は札束の山か、何でもありかよ)
お嬢様口調の娘「お、お金の束がこんなに!」
ピンク髪の娘「このお金さえあれば、きっと」
ウサ耳の娘「やり直せる、この大金が手に入れば」
バクラ(なるほどねぇ。金を欲しがってる奴らを集めたわけだ)
バクラ(どうやら、ようやく何が始まろうとしてるのかが見えてきたぜ)
4 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:38:56.07 ID:noLLEzLK0
ツインテの娘「ちょっと待て、お前ら騙されてるんじゃねえ」
クロエル「騙すとは人聞きが悪いなぁ」
ツインテの娘「これは何かのトリックだろ。こんなこと現実にあるわけないからな」
クロエル「ちょっと、ちょっと、そういう水を差すようなことは言わないでよ」
ツインテの娘「さっさと俺たちを元の場所に返しやがれ」
クロエル「あー、うん、もういいや―――君、名前は」
バクラ(何だ、あの天使の雰囲気が変わった?)
ツインテの娘「俺は横地健一郎だ。俺の名前がどうしたってんだ」パキパキ
お嬢様口調の娘「ちょっと、貴方」
ピンク髪の娘「ひぃ、そんな」
バクラ「ククク、面白くなってきたじゃねえか」
ウサ耳の娘「名前を言った途端、部分的に白骨化して」
男性口調の娘「死ぬと同時に中年男性の体になった、だと」
5 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:43:38.20 ID:noLLEzLK0
クロエル「それが彼の本当の姿だ」
クロエル「この辺獄では、自分の名前を知られることは死に直結する」
クロエル「君たちもうっかり名前を言わないように気を付けることだねぇ」
バクラ(……この女、千年リングが手元にない状態で相手にするのは厳しいか)
クロエル「ゲェムで勝ち残った者のみ金を持って生還できる」
クロエル「状況が分かったなら、卓に着いてくれ」
バクラ(五人掛けのテーブル、か)
クロエル「本当は四人だったけど、君を入れるために変更したんだよ」ボソ
バクラ「貴様、俺の何を知ってやがる」
クロエル「君はここに来る前に面白いゲェムをしていたねぇ」
クロエル「それを見て僕は君に興味がわいたのさ」
クロエル「そこで本来の趣向から少し外れるが、君を僕のゲェムに招待することにした」
クロエル「君という異物を僕のゲェムに混入させることによって生じる化学反応が見たくなったんだ」
バクラ「それが俺様をここに呼んだ理由ってわけか」
クロエル「君が金に興味があるかは知らないけど、ゲェムで勝ち残りさえすれば、元の場所に返してあげるよ」
バクラ「チッ、言いなりになるのは気に入らねえが、今はその話に乗ってやる」
6 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:45:59.28 ID:noLLEzLK0
ピンク髪の娘「あの、少しいいですか」
バクラ「あ? 俺に何か用でもあるのか」
ピンク髪の娘「今話し合っていたんですけど、皆で協力してゲェムから生還するために、貴方も協力してくれませんか」
お嬢様口調の娘「あの天使は人を殺すことも厭わない輩ですわ」
お嬢様口調の娘「ですが、あそこに積み上げられた9999億の札束は見逃すことはできなくてよ」
ウサ耳の娘「だから全員で手を組んで、できるだけ安全に金を手に入れる」
男性口調の娘「俺たちは互いを信用できないかもしれないが、金が欲しいということは共通しているはずだ」
男性口調の娘「だからお前も金が必要な理由と金額を教えてほしい。少なくともその想いには嘘はないだろうからな」
バクラ「クク、何ぬるいこと言ってんだてめーらは」
バクラ「安全に金を手に入れる? あのゲームマスターが、そんな行為を許すとは思えねぇな」
男性口調の娘「……」
バクラ「それに俺は殺戮者なんでね。全員ぶっ殺して悦に浸りたいのさ」
ピンク髪の娘「そんな、どうして」
男性口調の娘「……なるほど。なら、貴様は俺の敵というわけだな」
バクラ「ほぉ、少しはまともそうな奴がいるじゃねえか」
バクラ「退屈なゲームになるかと思ったが、ちっとは楽しめそうだな」
7 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:50:01.02 ID:noLLEzLK0
クロエル「参加者同士で盛り上がっているところ悪いけど、そろそろルール説明を始めるよ」
クロエル「ある人間の科学者は言った、神はサイコロを振らない」
バクラ「!」
クロエル「その通り、サイコロを振るのは君たち人間だ」
クロエル「まず掛け金を決めて丁と半のメダルのどちらかをテーブルの差込口に投入する」
クロエル「あ。軍資金は1000万貸し出すよ。無利子というか、別に返さなくて結構だ」
クロエル「そしてサイコロを二つ振って、結果が丁の目か半の目かを確認する」
クロエル「当たっていれば掛け金は二倍になる。外れれば没収だ」
クロエル「特殊ルール1。嘘から出た真。君たちは入れたメダルにかかわらず、丁と半好きな方を宣言することができる」
8 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:51:38.62 ID:noLLEzLK0
クロエル「でも、これじゃあゲームにならないよね」
クロエル「だから、清算前にアタックタイムを設ける」
クロエル「特殊ルール2。アタック。その人が嘘をついていると思ったら告発することができるんだ」
クロエル「アタックが成功すれば両者の金額の合計をアタックを受けた側が支払い、更に同額のボーナスを僕から得ることができる」
クロエル「外れた場合はアタックを受けた側が合計金とボーナスを受け取る」
男性口調の娘(ここまでのルールを聞いた限りでは全員で協力すれば、好きなだけ金を持ち帰れるが、あの白髪の小娘がいる時点でそれの計画は破綻)
男性口調の娘(だが、白髪の言い分も一理ある。仮に奴がいなかったとして、天使が何のリスクもなく金を持ち帰らせるような真似をするか?)
男性口調の娘(それを妨害するために奴を連れてきた? いや、そんなことするぐらいなら、ルールに何かを組み込んだ方が)
クロエル「僕はね、人間が大好きなんだ」
バクラ「クク」
クロエル「クズみたいな人間たちが金を取り合って醜く争い、殺し合うのを見るのが大好きなんだ」
男性口調の娘「!」
9 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:52:57.65 ID:noLLEzLK0
クロエル「特殊ルール3。死なば諸共。ゲェムは全部で10回戦。その間に必ず誰か一人の資金を0にして脱落させなければならない」
クロエル「資金が0になった者を待っているのは死」
クロエル「情け容赦のない無慈悲な死だ!!」
クロエル「そして脱落者が出なかった場合は全員に死んでもらう」
ピンク髪の娘「そんな、そんなことって」
ウサ耳の娘「これじゃあ協力なんてできないじゃないか」
お嬢様口調の娘「残念ながら馴れ合いはここまでみたいですわね」
男性口調の娘「そのようだな」
バクラ「ククク、なるほどな。確かにこれはよくできたゲームだ」
バクラ「俺様のゲーム盤でも参考にしたいぐらいだぜ」
10 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:55:21.98 ID:noLLEzLK0
クロエル「とりあえず君たちは偽名で自己紹介をしたらどうかな」
クロエル「さすがに呼び方がないというのは不便だろう」
クロエル「ピンク髪の君から名前をどうぞ」
ピンク髪の娘「えっと、じゃあ私はめがね子で」
ウサ耳の娘「もしかして現実では眼鏡をかけてるから、とか」
めがね子「はい。そうですけど」
ウサ耳の娘「あのさ、そういう自分の正体のヒントになりそうなのは隠した方がいいと思うよ」
めがね子「あ、あう。そうだったんですか」
お嬢様口調の娘(この娘は馬鹿決定ですわね)
ウサ耳の娘「僕は……山田で」
11 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:56:25.87 ID:noLLEzLK0
お嬢様口調の娘「わたくしは常称寺麗奈。常称寺グループの令嬢ですわ」
常称寺「あなた達は知らないでしょうが、裏の社会を支配するのが常称寺グループですのよ」
男性口調の娘「俺は……ユキだ」
クロエル「あはは、君は本当に妹のことが大事なんだねぇ、同じ名前にするなんてさ」
ユキ「貴様、俺の情報を!」
クロエル「ああ、ごめん、ごめん、つい可笑しくってさ」
ユキ「ちっ」
バクラ(さて、俺はどう名乗るかねぇ)
バクラ(見たところ、この中に俺の知り合いはいないようだが)
バクラ(まァ、ここは無難に宿主サマの名前にでもしておくか)
バクラ「獏良だ」
12 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/19(火) 23:58:31.24 ID:noLLEzLK0
クロエル「全員名乗り終えたところで一回戦を開始しよう」
クロエル「最初は、そうだなぁ、バクラ君から賽を振ってもらおうか」
バクラ(千年リングさえあれば、サイコロに俺様の魂を憑依させて、賽の目を操れたんだがな)
バクラ(まあいい。なら別の戦術を披露するだけよ)
バクラ「おい、ゲームマスター。このゲーム資金の追加は可能なのか」
常称寺「はぁ? そんなことが認められたらゲームが終わらなくなりますわ」
クロエル「ん、できるよ」
常称寺「なんですって!」
クロエル「ああ、もちろん何回もは無理だけどね」
クロエル「一回限りで五千万。こちらも無利子で返す必要もない」
クロエル「でも、このタイミングで聞かれるのは意外だったかな」
クロエル「こういうのは追い詰められてからというのが定番だからね」
クロエル「するかい。資金追加」
13 :
◆notr.MGcywAe
[saga]:2017/09/20(水) 00:00:17.96 ID:Xb/3nIue0
バクラ「で、その代償は何なんだ」
クロエル「んー? 代償?」
バクラ「とぼけんな。てめーが何の対価もなしに資金の追加を認めるかよ」
クロエル「鋭いなぁ、まあ公正なゲェムマスターである以上、聞かれたことには答えないとね」
クロエル「指五本」
四人「「「!」」」
クロエル「でも今の君たちの体は作り物だから、元の体に戻れば指は元通りさ」
クロエル「だから、あんまり深刻に考える必要はないと思うよ」
バクラ「んだよ、そんなもんか。いいぜ、追加だ」
ユキ(こいつ、何の躊躇いもなく。だが、あの天使の説明、さらっと流されたがおそらく)
クロエル「グッド! それじゃあ、始めようか」パチン
バクラ「!」
クロエル「元の体に戻れば指は治る、でも――この瞬間の痛みは毛ほどにも消えない」
クロエル「当たり前のことだから言うまでもないよね」
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