ラブライブ!サンシャイン!!9話を勝手に変えてみた

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1 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:17:55.16 ID:LMvuFTiAO
2期を目前にして1期Blu-rayを再視聴したのですが、
「あれ……色々と不自然だな」と違和感を感じたので完全自己満で脚本を書き換えました

「いやいやあれで完璧だろ、何イチャモンつけてんの?」と思われる方はブラウザバックをおすすめします

また、冒頭から前半数分程はほぼ変えていませんので、不要な方は読み飛ばしてください
どうしても聞き取れなかった箇所は省略または妄想で補完しています

「いやあのシーン無いんだけど?」という事も無きにしもあらずですが、ご了承ください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505657875
2 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:18:26.96 ID:LMvuFTiAO

――2年前


鞠莉「……え?」


ホワイトボードに新曲の歌詞を書き連ねるマジックのペン先が、ピタリと止まった


果南「私……スクールアイドル、辞めようと思う」

鞠莉「なんで……まだ引きずっているの? 東京で歌えなかったくらいで……」

果南「鞠莉、留学の話が来てるんでしょ、行くべきだよ」

鞠莉「どうして……冗談はやめて?」


華南は、大きな音が出るほど、打ち付けるようにマジックをテーブルに置いた


鞠莉「前にも言ったでしょう、その話は断ったって……ダイヤもなんか言ってよ!」


鞠莉が身を乗り出し、テーブルに身体がぶつかり、その拍子にマジックが床に落ちて転がった


ダイヤ「……」


ダイヤはただ顔を伏せ、何も言おうとはしなかった


鞠莉「ダイ……ヤ……」

果南「ダイヤも同じ意見……もう、続けても意味がない」


果南が鞠莉に背を向けて歩き始めたと同時に、ダイヤも部室を後にする


鞠莉「果南っ! ダイヤっ!」


鞠莉は、胸元に抱きしめていた衣装を、果南たちに向けて突き出した

突然解散を告げられた彼女にとって、それだけが、三人を繋ぐ唯一のものだったから


二人は振り返った

果南は一層表情を歪め、ダイヤは今にも泣き出しそうな顔で床に目をそらす


果南「……終わりにしよう」
3 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:19:29.03 ID:LMvuFTiAO

***


千歌が旅館の手伝いを任されたために、今日のミーティングは千歌の家で行うことになった


ルビィ「夏祭り!?」

花丸「ハムハム……屋台も出るずら!」


花丸はいつもののっぽパンを食べながら

善子は木製の長椅子に横たわり、顔を擦り付けている


善子「これは……痕跡?」

善子「僅かに残っている……気配……」


どうやら、木の香りの強い椅子が気に入ったようだ


ルビィ「どうしよう……東京に行ってからすっかり元に戻っちゃって」

花丸「ほっとくずら」


ルビィと花丸は、そろって目を細めて善子を見つめている


梨子「それより、しいたけちゃん本当に散歩でいないわよね?」

千歌「今度こそ大丈夫だってばー」


曜「千歌ちゃんは夏祭り、どうするの?」

千歌「そうだねー……決めないとねぇー……」


千歌は受付で寝そべりながら、夏祭りのイベントについて悩んでいる様子だ
4 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:20:13.75 ID:LMvuFTiAO

曜「沼津の花火大会って言ったら、ここら辺じゃ一番のイベントだよ。そこからオファーが来てるんでしょ?」

ルビィ「でも……今からじゃあんまり練習時間ないよね」

梨子「私は、今は練習を優先したほうがいいと思うけど」

曜「千歌ちゃんは?」


曜が尋ねると同時に、千歌は立ち上がり、メンバーの下へ駆けて行った

近くの柱に身体を寄せ、とっさの笑顔をみんなに向ける


千歌「うん! 私は出たいかな」

曜「そっか!」

梨子「千歌ちゃん……!」


二人とも、心の底では不安だったのだ

東京でのステージで挫折を味わって間もない今、千歌がオファーを辞退するかもしれない

だが、予想に反して千歌の表情は明るかった


千歌「今の私たちの全力を見てもらう……それでダメだったらまた頑張る」

千歌「それを繰り返すしかないんじゃないかな」


曜「ヨーソロー! 賛成であります!」

善子「ギランッ」


曜と善子はいつもの敬礼は堕天ポーズで、みんなは笑顔で、千歌に答えた


千歌「っ……うん!」


曜「……変わったね、千歌ちゃん」

梨子「うん」


花丸「お祭り楽しみずら〜」

ルビィ「だねだね!」

善子「堕天祭りよね……」

花丸「えぇ?」

ルビィ「センスないよ、それ……」

善子「は?」

ルビィ「ぴぎぃっ!」

善子「ちょっと! 待ちなさいよ! 激おこデーモン丸〜〜〜!!」


千歌は柱の影に身体を隠すと、思い出したように表情を暗くした
5 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:21:24.39 ID:LMvuFTiAO
***


以前千歌が、早朝に果南を追いかけた時のことだ


果南『ん?』

千歌『ハァ……ハァ……』


果南の朝のジョギングはペースが速いものの、千歌は何とかついて行くことができた

果南に、どうしても聞きたいことがあったのだ


果南『練習、頑張ってね』


千歌の横を通り過ぎ、再びジョギングに戻ろうとする果南


千歌『……やってたんだよね!? スクールアイドル!』


果南は、ピタリと足を止めた


果南『……聞いちゃったか』


果南は振り向き、いつものお姉ちゃんの表情で言った


果南『ちょっとだけね』


***


梨子「どうしたの?」


千歌がその声に気がついた時には、梨子と曜が千歌の様子を伺っていた

いつも千歌の傍にいる二人は、彼女の異変にはすぐさま気がついてしまう


千歌「……果南ちゃん、どうしてスクールアイドル辞めちゃったんだろう」

善子「生徒会長が言ってたでしょ、東京のイベントで歌えなかったからだって」


善子はひじを突き、どこかの親父のようにだらしない格好で言った


千歌「でも、それで辞めちゃうような性格じゃないと思う」

梨子「そうなの?」

千歌「うん……小さい頃はいつも一緒に遊んでて」

千歌「どんな時でも私たちを引っ張ってくれたし……」

曜「私たちのお姉さんって感じだったよね」

梨子「そっか、曜ちゃんにとっても果南さんは幼馴染だもんね」

ルビィ「とてもそんな風には見えませんけど……」

ルビィ「はっ……すいません……」

善子「まさか!?」


善子は、突然長椅子から立ち上がったかと思いきや、


善子「天界の眷属が憑依っ!?」


と、いつもの堕天ポーズを決めた


一同「「ハァ……」」
6 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:22:26.64 ID:LMvuFTiAO

千歌「もう少し、スクールアイドルやっていた頃のことがわかればいいんだけどなぁ」

曜「聞くまで、全然知らなかったもんね」


一同「「……ん?」」

ルビィ「ピギッ」


5人は、同時にルビィに目を向けた


千歌「ルビィちゃん、ダイヤさんから何か聞いてない?」

曜「小耳に挟んだとか」

梨子「ずっと一緒に家にいるのよね、何かあるはずよ」


ルビィ「へっ……へあぁ……え……ぅ……うゆゅ……」

ルビィ「るびぃ〜〜〜!!」


千歌「あっ、逃げた!」

善子「フッ」


善子は、逃げ出したルビィをすぐさま追いかけた


善子「とぉりゃあ〜〜〜!!」


善子はルビィに追いつくと、腕と足で雁字搦めにした


善子「堕天使奥義! 堕天流、包獄〜〜〜!!」


刹那、善子の頭に手刀が振り下ろされた


花丸「……やめるずら?」

善子「は……はいぃ……」
7 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:24:05.02 ID:LMvuFTiAO

***


千歌「ホントに?」

ルビィ「……ルビィが聞いたのは、東京のライブがうまくいかなかったって話くらいです」

ルビィ「それから、スクールアイドルの話はほとんどしなくなっちゃったので……ただ……」

一同「「ただ?」」

ルビィ「は……ハハハ」


***


数日前、鞠莉が黒澤家を訪問したときのことだ

ルビィは来客用のお茶を盆に載せ、来客室の目の前まで来た時、ダイヤのただならない声音に意表を突かれて立ち止まった


ダイヤ『逃げているわけじゃありませんわ』

ダイヤ『だから……果南さんのことを逃げたなんて言わないで』


***


ルビィ「……って」

千歌「逃げたわけじゃない……か」

梨子「それだけじゃ、やっぱりよく分からないね」

千歌「うーん……よし」

曜「どうしたの?」

千歌「もう一度、果南ちゃんに話を聞いてみる」

梨子「聞くって、いつ?」

千歌「明日の朝!」

曜「朝って……まさか、果南ちゃんがジョギングしてる時!?」

千歌「だって果南ちゃん、まだ休学中だし」

梨子「で……でも、果南さんってペース速いんじゃ……」

千歌「大丈夫! この間はついていけたもん!」

善子「前科持ちなのね……呆れた、まるでストーカーじゃない」

千歌「いいの! 幼馴染だし!」

曜「それって関係あるかな……」

花丸「おもしろそう! まるも行くずら!」

ルビィ「花丸ちゃんが行くなら、ルビィも!」

善子「何よ……いいわ、ヨハネも行ってやろうじゃない」

梨子「ちょちょ、善子ちゃんまで……」

曜「ヨーソロー! 私も行く行く!」

梨子「よ、曜ちゃん!」

千歌「よしっ、じゃあみんな、明日の4時に集合ね!」

梨子「ええ〜……もう、仕方ないなあ」
8 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:24:57.84 ID:LMvuFTiAO

***


果南「すぅ……はぁ……」


一同が華南を見つけたときには、彼女は準備運動を始めていた


花丸「ふわぁ……まだ眠いづら」

ルビィ「毎日こんな朝早く起きてるんですね」

梨子「それより、こんな大人数で尾行したらバレるわ」

曜「だって、みんな来たいって言うし」

千歌「あっ、準備運動終わったみたいだよ」


果南「フッ……フッ……」


果南は軽く身体を伸ばし、姿勢を低くした


善子「……クラウチングスタート? 軽くジョギングするんじゃなかったの?」


一同は一瞬、時が止まったような錯覚を覚えた

前方へ顔を向けた彼女は、陸上選手のような勢いで猛然と地を蹴り飛ばした

まるでミサイルのように、グングンと背中が遠くなっていく


曜「うっそ……」

千歌「……って、追いかけなきゃ!」


美しいフォームから意識を取り戻し、一同はすぐに駆け出した
9 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:25:52.90 ID:LMvuFTiAO

千歌「ハッ……ハッ……果南ちゃんっ……どうしてあんなに早く走れるの……」

曜「ヤバイ……見失うっ……」

千歌「そんなっ……曜ちゃんでも追いつけないなんて……」

曜「今日の果南ちゃんっ……すごい飛ばしてるよ……」

花丸「ゼェ……ゼェ……もっ……もう無理ずら〜」

ルビィ「あっ、花丸ちゃん!」

善子「なっ……情けないっ……わね……」

梨子「千歌ちゃんっ……もう無理だよ……諦めようよ……」

千歌「……分かった」


一番前を走っていた千歌たち三人が足を止めた途端、一同は崩れるようにその場に腰をついた


花丸「ハァ……ハァ……ふぃ〜〜〜……疲れたずらぁ……」

ルビィ「ハハハ……ルビィ、今日はもう走れないかも……」

曜「果南ちゃん、どうして今日はこんなに速いんだろう」

善子「知らないわよ、たまたまそういう気分だったんじゃないの?」

梨子「……どうする? もう追いつけそうにないし、また今度……」

千歌「……ううん」


千歌は息を整えると、再び立ち上がった


千歌「ここで追いかけるのをやめたら、ずっと分からない気がする」

曜「どういうこと?」

千歌「わかんない……でもどうしてかな、そんな気がするの」


千歌は、いつもの笑顔で振り返る


千歌「だから、私は果南ちゃんを追うよ」


言うと、千歌は再び駆け出した


千歌「みんなは休んでて〜」
10 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:26:55.90 ID:LMvuFTiAO

***


千歌「ハァ……ハァ……」

千歌「どうしたんだろう、果南ちゃん」


果南が準備運動をしている際、千歌だけは既に彼女の異変に気がついていた


千歌「あんなに深刻そうな顔……見たことないよ」


淡島神社の階段をようやく上り終えるかという時

千歌は、上の方から誰かの声を聞いた


千歌「果南ちゃん?」


確かに、果南の声がする

だがもうひとつ、果南以外の声が混じっている


「……いうことなの?」

「だから、昨日言ったとおりだよ」


千歌「鞠莉さん、どうして……」


鞠莉「納得できない……受理できるわけないじゃない、あんなもの」

鞠莉「退学届なんて……」


千歌「……え?」
11 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:27:43.27 ID:LMvuFTiAO

鞠莉「また……逃げるの?」

果南「勘違いしないで、逃げてるわけじゃない」

果南「……父さんの怪我の治りが、思ったより遅かったの」

鞠莉「え?」

果南「これから精密検査をするけど、その結果によっては……今の仕事を続けられなくなってしまう」

果南「だから、もう私が継ぐしかない……それだけのこと」


鞠莉「そんな……ふざけないでよ!」

鞠莉「私の知っている果南は、どんなことがあっても諦めなかった」

鞠莉「いつも前向きで、逃げることなんて絶対しなかった」

鞠莉「だってそうでしょ……ねえ、何か事情が……」


果南「うるさいっ!」


鞠莉「っ……」

果南「ねえ、どうして戻ってきたの?」

果南「……私は、戻ってきてほしくなかった」

鞠莉「果南っ……フフ、相変わらず果南は頑固なんだか――」

果南「もうやめて」

鞠莉「あ……ぅ……」

果南「もう……あなたの顔、見たくないの」

鞠莉「か……なん……」


果南はそれきり、一度も振り返らずその場を去った



千歌「そんな……嘘だよ……」

曜「千歌ちゃん」

千歌「あ、曜ちゃん……みんな……」

莉子「どう? 何か聞けた?」

千歌「ううん、何も。ただ――」
12 : ◆PChhdNeYjM [saga]:2017/09/17(日) 23:29:09.33 ID:LMvuFTiAO

***


現Aqoursのメンバーは放課後、鞠莉を訪ねて理事長室へ足を運んだ


千歌「あの……鞠莉さん」

鞠莉「千歌っち……」

千歌「その……果南さんのことなんですけど」

鞠莉「そうね……昨日、聞いていたもんね」

曜「あれっ……やっぱりバレてた?」

梨子「だから言ったじゃない、あんな大人数で……」

善子「もう、それはこの際どうでもいいのよ、退学届ってどういうこと?」

ルビィ「退学って……もう、この学校には来ないんだよね」

花丸「さびしくなるずら……」

鞠莉「ううん、決定事項じゃないの」

花丸「ずらっ」

鞠莉「この書類には、保護者の同意が記されていない」

曜「あ、ホントだ……空欄になってる」

鞠莉「それに、保護者も交えて直接面談しないと、学校側としても受理するわけにはいかないわ……だから、この書類は無効」

千歌「よかったあ……じゃあ、果南ちゃんはまた学校に来れるんだね」

鞠莉「……」

善子「そんなわけないでしょ」

千歌「え……どうして」

梨子「仮に受理されなくても、退学届まで出すくらいだもん……果南さんはもう、学校に来るつもりはないってことだよ」

曜「……そっか」

千歌「そんなの……そんなのおかしいじゃん!」

鞠莉「千歌っち……」

千歌「家業がどうとか、お父さんの怪我が治らないとか……そんなの関係ないよ!」

千歌「私は、果南ちゃんに学校に来てほしい。ねえ、みんなもそう思うでしょ?」

花丸「それは……もちろんそうずら……」

ルビィ「でも……」


「やっぱり、こうなっていましたのね」


ルビィ「あっ、お姉ちゃん」

鞠莉「ダイヤ……」

ダイヤ「……いつか、話さなければならない時が来るとは思っていました」

梨子「どういうことですか?」

ダイヤ「みなさん、これからご予定は?」

一同「「……」」

ダイヤ「なら都合がいいですわ。私の家に来てください」
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