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【再開】オリロンパ(β)
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139 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/02(月) 02:04:06.47 ID:nc1YfqXW0
>>138
訂正
モノクマは2体同時に現れる事が出来る。それが事実だという事は、あの後橘高さんにも確認をとったので間違いない。
140 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/02(月) 02:06:37.84 ID:nc1YfqXW0
【3日目】
141 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/02(月) 02:16:07.78 ID:nc1YfqXW0
まだ小学生だった頃の話。
お父さんは、急な事故で亡くなった。
葬儀の日、生気を無くしたお父さんの姿が目に焼き付いている。
お父さんが亡くなったのはきっと、私のせいだったんだ。
その事は……何となく自覚していた。
142 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/02(月) 02:16:55.24 ID:nc1YfqXW0
稲羽「……?」
煙管の香りで目が覚める。
辻垣「おはよう」
稲羽「辻垣さん?」
目を開いた私の前には、辻垣さんの姿があった。
昨日と同じ笑顔。煙管の香りと、彼女の笑顔が酷く懐かしく思えた。
出来る事なら、このまま彼女をずっと見ていたい。
稲羽「……」
……どうして、こんな感情が芽生えるんでしょうか?
辻垣「天窓を割るのは失敗してしまったようだね。残念だ、と私は落胆する」
稲羽「そうですね……」
少なからずショックではあった。
モノクマにいつ殺されるか分からない状況。今の所、初日以外は手を出してきていないようですが……それでも、こちらから手を出す事があれば、
彼は躊躇いなく私達を殺すだろう。
稲羽「……」
お母さんは……今何をしているんでしょうか? 私がいなくなってから、一体何日が過ぎているんでしょうか?
稲羽「……ところで、どうしてここに?」
辻垣「ああ、鍵が開けっ放しだったよ」
え……閉め忘れてたんですか
駄目ですね私
143 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/02(月) 02:23:04.54 ID:nc1YfqXW0
稲羽「辻垣さん、私に……何か用事とか……」
辻垣「ああ、ほら。昨日言ったじゃないか。君の事をもっと知りたいってね」
稲羽「……」
確かに言っていましたけど、こんなに早いとは思いませんでした。
稲羽「あの、本当に私なんかの事で……良いんですか?」
辻垣「私なんかの事で良いんですか……か。君は余程自信がないようだね。……それならば逆に言おう。私は君じゃなければ駄目なんだと」
辻垣「何故なら、君という人間は君しか存在しないのだから。同じ人間なんて存在しない、従って私にとって君の事は君で無ければ駄目なんだ」
辻垣「私は君という人間の事が知りたい」
辻垣さんの瞳が私を捉える。
私なんかの事を知っても、あんまり面白くないと思います。
稲羽「どうして……私の事が知りたいんですか?」
辻垣「まず、そうだね。君についての記憶が失われてしまったからだね。その記憶を持たないのは、君自身も同じことだけれど……」
辻垣「あとは、単純にここにいる皆に興味があるからだ」
稲羽「……」
辻垣「私はこの状況に乗じて、君達をもっと知っていきたいと思っている。幸い、まだ殺人を起こそうと考えている人はいないようだから」
殺人なんて、そんな事……起こらないで欲しいですけど。
辻垣「さて、それじゃあ君について聞かせて貰おう。まずは血液型から……」
モノクマ「B型です」
144 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/02(月) 02:25:55.96 ID:nc1YfqXW0
辻垣「……ん?」
モノクマ「あれ? どしたの?」
この人、相変わらず突然現れますね。
辻垣「……ああ、君はモノクマ君か。突然声変わりが起こったのかと」
モノクマ「うぷぷ」
辻垣「すまないがモノクマ君、邪魔をしないでもらいたい。私はモノクマ君を煙たがるような目で見やる……」
モノクマ「ええー、でも辻垣さん、ボクに聞きたい事があったんじゃないの?」
辻垣「ああ……そうだったね、出る方法が無くなった以上は聞いておきたい。念の為にね」
稲羽「え……?」
私は思わず辻垣さんの顔を見る。
145 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/02(月) 02:27:43.59 ID:nc1YfqXW0
辻垣「モノクマ君、仮になるのだけど……人を殺した者は、その後はどうなるのだろうか? ……まさか無罪放免とは行かないだろう?」
稲羽「辻垣さん……?」
彼女は……何を聞いているんでしょう?
モノクマ「ううん。良い質問だね? 答えは……そうだね、人殺しは立派な罪だから、当然罰せられるべきものだと言っておくよ」
だったら、コロシアイ共同生活なんてものをやめさせて欲しいんですけど……
辻垣「人を殺すのはノーリスクという訳では無いんだね、私は納得する」
モノクマ「そうだね、誰にもバレなきゃ無罪放免になるけどね〜、うぷぷ」
モノクマ「うん、これ規則にも明記しておこうか」
ピロリン♪
ポケットにしまい込んでいた電子生徒手帳から、軽快な音が鳴る。
146 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/02(月) 02:29:11.38 ID:nc1YfqXW0
【規則】
1.生徒達は当施設内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。
2.就寝は個室でのみ可能です。個室外での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。
3.管理者ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊も同様に禁止です。
4.時間帯によって立ち入り禁止となる区域が御座います。
5.モノクマのスリーサイズ開示 B129.3 W129.3 H129.3
6.仲間の誰かを殺した生徒は、当施設からの脱出が許可されます。ただし自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。
7.また、管理者は如何なる殺人にも関与しません。
※規則は管理者の意向で随時追加する事があります。
147 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/02(月) 02:34:21.54 ID:nc1YfqXW0
あっ……増えてる……
稲羽「……」
なんか変なの混ざってる気がしますけど……
モノクマ「ちゃんと表示出来てる?」
辻垣「ははは、うん。問題ないと思うよ」
問題ないとは思えませんけど、まあどうせモノクマの事ですから
ふざけてこんなものを混ぜたんでしょう。
148 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/02(月) 02:36:43.69 ID:nc1YfqXW0
稲羽「……」
それより、辻垣さんはどうして……あんな質問をしたんでしょうか?
辻垣「……どうしたんだい?」
稲羽「あの……辻垣さんは……殺し合いなんてしませんよね?」
辻垣「はは、勿論だよ」
モノクマ「え? しないの?」
辻垣「殺せる筈が無いだろう? 君達は貴重な生ける資料となるのだから」
稲羽「……」
辻垣さんはあっけらかんと笑ってみせる。
辻垣「……そうか、君は私がモノクマ君へ聞いた事が気になったんだね」
辻垣「あれは殺人が起こってしまうを懸念してだね。それで訊いたのだよ」
モノクマ「そうなの? つまんね」
辻垣「あはは。稲羽さん。君は心配性なのだね。全く」
そして、彼女は私の額を指で軽く小突いた。
良かった。殺人なんて誰にも起こして欲しくないですから。
149 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/05(木) 00:22:16.53 ID:y/bNZ13u0
【食堂】
いつも通り食堂へ来る。
大体の人間が朝ここへ集まっているのは、習慣によるものなんでしょうか。
いや、そんな事考えても仕方ないですね。
橘高「欠席者が増えたな」
杯「え? そう? 僕には分かんない!」
四季ヶ原「昨日いなかった3人と……あと、時矢くん。中庭でナニかしているんだけど、何だろぅね」
……絡繰君、きっと昨日の天窓を修理してくれているんですね。
四季ヶ原「ところで、何でタッパーなんだろ? 普通に皿に盛ればいいのに?」
沙慈「確かにそうでごわすな。はっはっは」
稲羽「……」
机の上には、タッパーに詰められたおかず。
その上に、可愛らしい柄のメモ書きが置かれている。
『稲羽さんへ 肉じゃがです にんじんをたくさん入れました、喜んでくれると嬉しいな 那波』
那波さん……
稲羽(頂きます……)
私だけ何もしないのは悪いですし、絡繰君の様子を見に行きましょう。
150 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/05(木) 00:23:51.40 ID:y/bNZ13u0
席を立とうとしたところで、辻垣さんがふいに声をあげる。
辻垣「さて、どうやら規則が増えたようだ、君達はもう確認したかね?」
橘高「確認したが……何故お前はモノクマを持っている?」
モノクマ「……」
皆辻垣さんの方を、奇異の目で見ている。
辻垣さんはここへ来るまでの間、こうしてモノクマを抱きかかえていた。
辻垣「ああ、彼についても私は色々知りたいのでね」
加々美「……それで、規則ね。うん。アタシも見たわよ。この電子生徒手帳……だったかしら、ここから音が鳴っていたから」
米菓「べべ……米菓も……ああ……」
小倉「……ねえ、モノクマのスリーサイズって何? 気色悪いんだけど」
モノクマ「え? 何それ?」
四季ヶ原「どうしたの?」
モノクマ「……うそ? だ、誰だ? こんないやらしい事をしたのは……」
あれ? モノクマが自分で書いたんじゃないんですか?
……ああ、別のモノクマが書いたんでしょうか? ややこしいですね。
杯「umm?☆ このスリーサイズどこかで見た事あるよ? 確か猫型の……」
橘高「それ以上言うな」
四季ヶ原「そもそも、もうそのネタは通じない気がするな……」
モノクマ「全くもう」
モノクマは辻垣さんの身体から抜け出すと、いつものように去っていった。
辻垣「あっ待ってくれと伸ばした私の手は、空を切るばかりだった」
151 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/05(木) 00:26:39.69 ID:y/bNZ13u0
私達の話は、新しく追加された規則についてになる。
米菓「き、規則なんて追加されても、ひ、ひひ、人なんて殺すわけないじゃないですか、なな、なので無駄ですね……無駄無駄、あ、ああ」
橘高「落ち着け、目が泳いでいるぞ」
確かに、そんな躊躇いなく人を殺すなんて出来る筈がないです。
四季ヶ原「人を殺したという事が知られちゃいけない……それってどうやって判断するんだろ」
橘高「ふん、そんな物考える必要は無い」
橘高「殺しなど起こそうとする奴がいようものなら、俺が肋骨をへし折ってでも止めてやる」
杯「こわいよお」
小倉「脱出する方法がない以上は、殺人が起こる可能性も視野に入れるべきだと思うけど」
李「という事は、殺すという事か?」
小倉「……別に。殺す気なんて無いよ。ボクとしては大して不自由は無いしね……ふふ」
加々美「……」
辰爾「確かに……不自由といえばここから出る事が出来ない事くらいのものです」
辰爾「モノクマ様はわたくし達を殺し合わせるおつもりなのに、何故これ程まで丁重に扱うのでしょうか……?」
辰爾「もう、3日程経ちますのに、初日以降何事も起こっていません」
辻垣「閉塞感によるストレスで精神に異常をきたさせて、コロシアイに発展させるつもりなのではないかね?」
何れそうなってしまうんでしょうか……?
天草「ご安心を。精神面での心配は御座いません、私共は簡易的なカウンセリングも行っておりますので」
天草「いつでも御来訪下さい。皆様の精神に安らぎがあらん事を」ニコ
米菓「カ、カカカカ、カカウンセリングなんてえええべべべ米菓には必要ない、のですね、そ、そそそそそんなもの」
加々美「今、一番受けた方が良いのはアナタじゃないかしら……」
152 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/05(木) 00:50:30.75 ID:y/bNZ13u0
稲羽「……」
中庭へ行きましょう。
【自由行動を開始します】
153 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/05(木) 00:51:16.60 ID:y/bNZ13u0
【3日目】自由行動 1/4
【中庭】
稲羽「……」
中庭へ訪れたけど、絡繰君はいない。
梯子は立てかけられたままだ。その傍らに、工具の入った箱が置かれている。
絡繰君はどこかで、休憩しているのかもしれませんね。
稲羽「……」
私は中庭に腰を下ろし、天井を見上げる。
天窓からは光が届いていない。今は、簡易的なライトが備え付けられている。
あの空が、単なる作り物だったなんて……
空が見えないと、何だか余計に息苦しい気がしてきます。
稲羽「はあ……」
リーチカ「…………」
稲羽「……?」
背後に気配がして振り向くと、リーチカさんが佇んでいた。
彼女は、感情の籠らない目で私を見ている。
リーチカ「…………」
稲羽「リーチカさん……怪我は大丈夫ですか?」
リーチカ「…………」コク
稲羽「それなら……良かったです」
リーチカ「…………」
154 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/05(木) 00:55:17.00 ID:y/bNZ13u0
米菓「おや? リーチカさんではないですか? それに稲羽さん?」
リーチカ「…………」
米菓ちゃんです。相変わらず小さくてかわ……いえ、長い帽子ですね。
米菓「米菓は、何だか落ち着かないので新しいパンの為に材料を採りに来ました」
稲羽「新しいパンですか?」
お刺身入りみたいなやつですか?
分かりました。薔薇を丸ごと練り込むんですね。
米菓「ローズヒップ入りのパンなのです。おいしいのですよ」
違うみたいですね。
リーチカ「…………おいしい?」
米菓「当たり前です! 何たってパンなのですから! パンより美味しいものはこの世に……」
リーチカ「…………質問」
米菓「はい?」
リーチカ「パンって……何……」
米菓「えっ……」
米菓ちゃんが絶句する。
それは……そうですよね。だって彼女は……
米菓「……そ、そんな!!! パンを知らないなんてええ!!!」
155 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/05(木) 00:58:50.13 ID:y/bNZ13u0
リーチカ「…………」
リーチカ「…………肉?」
米菓「に、肉……肉が入っている事もありますが!」
米菓「基本は小麦粉なのです! つ、つまりお野菜になりますかね……? どうなのでしょう?」
リーチカ「…………ごめん……肉以外の物が分からない……」
米菓「えっ……うそですよね? 正気ですか?」
リーチカ「…………」
米菓「……こ、こうなったらパンを焼くしかありませんね! 色々焼いて……」
米菓「リーチカさん! リクエストは?」
リーチカ「……………………」
米菓「聞いてますか?」
リーチカ「…………うん」
リーチカ「…………」
米菓「……」
リーチカさんは無表情のまま、ただ黙り続けていた。
米菓「そ、それじゃあ? 稲羽さんは……」
私ですか? そうですね……
1.肉入りのパン(偶数)
2.薔薇入りのパン(奇数)
※この書き込みのコンマで判定
156 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/05(木) 01:18:59.87 ID:y/bNZ13u0
やっぱり、薔薇入りのパンでしょうか?
こんなに綺麗な薔薇を入れたら、きっと可愛くておいしくなるかも。
稲羽「薔薇入りのパンとか……」
米菓「え? 今何て?」
稲羽「薔薇入りのパンが良いかなあって……」
米菓「……」
米菓ちゃんからの返答が来ない。
米菓「……はい、た、確かに食用の薔薇もあるのですが……」
米菓「それは食用前提だからいいのでして! こういうそこらへんに生えてるようなものを無暗に口に入れてはダメなのです……」
米菓「一体、どんな雑菌が発生しているのか!!!」
米菓「こ、こんなの食べさせたら、米菓のパンの信用にかかわる事態です! 店を潰さざるを得なくなって……一家を路頭に迷わせて……えええん」
稲羽「あの、ごめんなさい……」
何だか、軽はずみに悪い事を言ってしまいました。
リーチカ「…………」
リーチカ「…………」
米菓「ちょっと! 何食べてるのですかあああ」
リーチカ「…………駄目?」
米菓「駄目に決まっているでしょう!」
リーチカ「…………」
米菓「い、今すぐ吐くのです、喉に指を突っ込んで……」
米菓「いえそれでは汚いですね!!!! 丁度お箸を持っていたのでこれで!!!!」グサ
リーチカ「ウッ」
薔薇ってそのまま食べてもおいしいんでしょうか?
後でリーチカさんに訊いてみましょう。
157 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/05(木) 01:34:07.30 ID:y/bNZ13u0
【INFO】
リーチカ・ランジェと交流しました。
米菓リリィと交流しました。
四季ヶ原 ■■□
リーチカ ■■□
那波 ■□□
辰爾 ■□□
小倉 ■□□
辻垣 ■□□
米菓 ■■□
ハック ■□□
橘高 ■□□
加々美 ■□□
杯 ■□□
絡繰 ■■□
天草 □□□
李 ■□□
沙慈 ■□□
158 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/06(金) 20:01:39.98 ID:fQVJLDIC0
【3日目】自由行動 2/4
【礼拝所】
考えに耽っていたら、リーチカさんと米菓ちゃんが大変な事になっていました。
リーチカさんは終始無表情のままでしたけど、大丈夫でしょうか……
なんか、喉にお箸が刺さっていたような気がしますけど……
杯「What's up?☆」
稲羽「!?」
ぼーっとしていると、私の頭上から杯君の顔が現れる。
私は驚いて、腰を抜かしてしまう。
杯「あはは! また会ったね、Ms.稲羽さん?☆」
稲羽「……」
これは……空中ブランコ?ですね。彼は天井から吊るしたブランコに足をかけて、逆さにぶら下がっています。
稲羽「杯君、それ……自分で?」
杯「うん」
天井には、ブランコの骨組みのようなものが組まれている。いつの間に吊るしてたんでしょうか?
稲羽「杯君……きっとサーカスでもそんな風にしていたんですよね。器用なんですね」
杯「umm……」
杯君は足をブランコにかけたまま、大袈裟な身振り手振りで、困ったような表情をする。
杯「ちょっと違うんだ……」
稲羽「違う?」
杯「じ、実は……降りられなくて……」
杯「……てへっ☆」
稲羽「……」
大変です、助けないと。
159 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/06(金) 20:17:50.53 ID:fQVJLDIC0
とりあえず、彼の身体を支えて、ゆっくりと降ろしましょう。
杯「ひっ……ひゃひゃっ!!!☆ くすぐったいい!!!☆」
稲羽「さっ、杯く……」
杯君の身体は少し高い位置にあるから、背伸びしなければ届かず上手くバランスが取れない。
その内に杯君がくすぐったがってしまい、体勢を崩してしまう。
ビタン
杯「いったた……」
稲羽「ごっごめんなさい! 大丈夫ですか?」
杯「はぁ……はぁっ……問題ない、よ……!☆」
杯君、何だか息が上がっている。
ずっと吊るされていたから、苦しかったんでしょうか。
肩を上下して呼吸をしている彼の姿は、少し痛々しく思える。
天草「おやおや」
杯「あれ? Mr.天草さん?」
天草「幸運の方、道化師の方……思わぬ僥倖、今日も善き一日となるでしょう」
天草「……」ニコッ
この空間と彼は、妙に調和している気がします。
この礼拝所が、迎心教団と関係あるのかは分かりませんけど……
天草「道化師の方……何とお労しい。私共がささやかながら手当を」
杯「Oh」
160 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/06(金) 20:24:46.23 ID:fQVJLDIC0
天草さんが、杯君の身体を手当てしている。
天草「骨折……はしておられない。」
杯「It's a godsend」
杯君は痛がりながらも、にこにこと笑っている。
天草「どうも貴方様は……痛みを拒む様子を見せないようで御座いますね。受け入れ慣れているというか」
杯「Yes、慣れてるからね☆ 何たって僕は道化だから……」
杯「そんな間抜けな姿すら……人は滑稽さに惹かれるものなのさ!☆」
杯「あはは!」
本当に楽しそうに笑う子ですね。
天草「しかしながら、このような傷を遺すのはよろしくない」
杯「そう?」
天草さんは目を閉じ、緩慢な動きで懐から注射器を取り出す。
稲羽(……え?)
天草「……」
天草さんは杯君の腕を捲って、注射器の針を杯君の肌に宛がう。
杯「?」
透明色だった注射器の中身が、赤く染まっていく。
彼は今、杯君の血を抜き取って……
161 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/06(金) 20:30:16.69 ID:fQVJLDIC0
杯「What?」
天草「心配はいりません、道化師の方」
天草「このように微量の血液を抜き、体内に蓄積された悪い瘴気を払い去るので御座います」
稲羽「……」
彼が何を言っているのか……いまいちわかりません。
天草「そしてこちら、開運の骨董に御座います」
なんか出てきた……
天草「健康運、金銭運、商売運、恋愛運、家庭運、諸々……全てを網羅しております」
天草「厄除けの効果も御座いまして、永年健康健身、無病息災に御座います」
杯「こんなので運が買えるなら安いものだね!☆」
天草「一千万円になります」
杯「たっか!」
天草「入信なさるとタダになります」
杯「あっはっは! じゃあ僕は今日から迎心教団の信者だ!☆」
……価格が暴落しすぎではないでしょうか? 明らかに怪しいです。
少しだけ、杯君の今後が心配になってきます。
天草「ようこそいらっしゃいました、道化師の方……貴方様はこれより我らが同志です」
杯「うん☆」
天草「共にこの現世をより良くしていきましょう」
杯「OK、分かったよ!☆」
天草さんは優しい人だと思うけど、ちょっと怪しいところがあるみたいです。
162 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/06(金) 20:33:26.37 ID:fQVJLDIC0
>>161
訂正
天草「そしてこちら、迎心教団で取り扱っております開運の骨董に御座います」
163 :
◆Vcl4B/DaxY
[saga]:2017/10/06(金) 20:35:32.46 ID:fQVJLDIC0
【INFO】
杯団と交流しました。
天草神門と交流しました。
四季ヶ原 ■■□
リーチカ ■■□
那波 ■□□
辰爾 ■□□
小倉 ■□□
辻垣 ■□□
米菓 ■■□
ハック ■□□
橘高 ■□□
加々美 ■□□
杯 ■■□
絡繰 ■■□
天草 ■□□
李 ■□□
沙慈 ■□□
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