【再開】オリロンパ(β)

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1 : ◆Vcl4B/DaxY [!orz]:2017/09/15(金) 21:00:30.52 ID:AOdWhDCI0
注意
・原作の世界観をお借りした、オリキャラによるコロシアイssです。
・以前エタってしまったスレの再構成になります。一部の設定、展開が変わっています。
・原作とはパラレルになります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505476830
2 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:01:30.17 ID:AOdWhDCI0




もう、ここには誰もいない。

自分以外の何もかもが、初めから存在していなかったかのように。



3 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:02:50.17 ID:AOdWhDCI0






【PROLOGUE】再起





4 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:05:30.34 ID:AOdWhDCI0
意識が覚める。


???「……」


冷えた外気を肌に感じる。刺すような冷たさが全身を包んでいる。

その冷たさは、冬の朝によく似ていた。

???「……」

吐息の音だけが耳に届く。

私が今感じているものは、それだけで……視界には何も映っていない。


ああ……瞼が開いていないんですね。間抜けですね……私。
5 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:07:58.82 ID:AOdWhDCI0
蓋を引きはがすように、ゆっくりそれを開いた。

酷く重いそれを開くと、黒一色だった空間は色づきを始める。


???「――――」


……視覚が完全に戻った時、認識していたものは非日常的な空間だった。


???「……え?」


私はそこで立っていた。
6 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:15:08.06 ID:AOdWhDCI0
薄暗い中、聖者の描かれたステンドグラスが僅かに光を漏らしている。

長い卓が何列も並んでいて、奥に出口らしき扉がある。扉と反対方向には十字架が掲げられて、講壇が一つ置かれていた。

???「……」

見た限りでは、ここは礼拝堂のようだ。自分がこの場所にいて良い存在なのかと一瞬思う。

???(どうして……こんな所に……)

ここへ訪れたような覚えはどこにもない。……というより、私の中の記憶自体が酷く曖昧だった。

それでもどうやら、自分の素性だけは忘れていなかったようだ。

私の名前は、稲羽兎……

そして……超高校級の幸運


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【超高校級の幸運】稲羽 兎(イナバ ウサギ)

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ふと宝くじを買うと、3回に1回くらい少額が当たって……自販機で50回に1回くらいの確率で当たりが出る。

いつも朝、たまたま早く目が覚めて……天気が崩れそうな日に限って傘を持っていて……

稲羽「……」

そういうささやかな幸運なら存在するけど、どれも超高校級と呼ばれる程には思えなかった。

生きていられること自体が幸運というのなら、それは殆どの人間に当てはまる気もしますし……
7 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:21:11.55 ID:AOdWhDCI0
しかし、この場所には何も心当たりがない。ここで私が眠っていたのは確かなようなのに。

稲羽(ああ、これは夢でしょうか?)

室内には奇妙な物が存在していた。

監視カメラと1つのモニター。この場の内観にそぐわないそれらが、天井の隅から覗いている。

その異物感は、夢の中でイメージがごちゃ混ぜになっているかのような。そんなちぐはぐさに思えた。

だから多分これは夢ですね。……多分。

稲羽「……あっ!?」

僅かに後ずさった拍子に脚を縺れさせて、そのまま横転する。

稲羽「うう……」

全身を打ちつけた衝撃に呻いた。頭にぐわりとした鈍痛が残る。

後を引いて生じる熱を含んだ痛みは、今いるこの状況が夢ではない事を暗に示しているようだった。

稲羽「……」

私は羽織っている兎に縋るように、彼女を指で掴む。

指に触れる僅かな温もりが暖かかった。こうしていると、兎が私の傍で見守っていてくれるような……そんな妄執を抱く。

稲羽「……」

兎さんとは小さい頃からいつも一緒だった。

今も……きっとこの子が導いてくれるでしょう。

稲羽「……そう、ですね」

とりあえず、ここから出て……


ガタンッ
8 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:23:41.75 ID:AOdWhDCI0
稲羽「……?」

不意に音がした。音のする方向へ目を向けるが、そこにあるのは木製の講壇だけだった。

稲羽「……」

誰か、いるんでしょうか……

……見てこよう。少し怖いけど、私には兎さんが付いているから大丈夫……



稲羽「誰か……いますか……?」

???「……」

暗闇の中、大きな電子機器の画面が数字で埋めつくされて、ちかちかと光を漏らしている。

その微量な光が反射する中で、不気味な青白い顔が浮いていた。

稲羽「……ひっ」

ぽっかりと、抉り取られた痕のように真っ黒な目玉。それがただ、こちらを凝視している……

???「……(無)」

……よく見ると顔ではなく、ただの仮面だった。

何だか不気味だ。それにどこかで見たような。


服には、画面を埋めているものと同じような文字列が無数に連なっている。

何だか耳なし芳一みたいですね。
9 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:26:15.69 ID:AOdWhDCI0
稲羽「あの……」

???「……」

仮面越しでは、彼がどんな表情をしているのか判別が付かなかった。

それでも彼からの返答に期待して、声をかけ続ける。

稲羽「私……稲羽兎です。あなたは……」

???「あー……うん」

仮面姿の彼は、ばつが悪そうに声を上げる。

???「……ハック・ウィルヘルム」


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【超高校級のハッカー】ハック・ウィルヘルム(-)

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本名不詳、素性の一切が不明のハッカー。唯一分かっているのは高校生だという事。

サイバー犯罪などの対策をしているような人間ではなく……完全に、愉快犯的な犯行にその能力を使っている。

そういえば……あの仮面も彼が犯行声明を行う時に付けてますね。

稲羽「あなたには……ここがどこなのか……分かりますか?」

ハック「さぁな……知りたくも無ー……」

ハック「へっ……」

彼も……超高校級と呼ばれている人間です……

稲羽「……」

偶然でしょうか?

……そもそもここはどこですか?


【INFO】
ハック・ウィルヘルムと出会いました
10 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:36:00.16 ID:AOdWhDCI0
【中庭】

礼拝堂を出ると、独特の芳香に満たされた。

一面が薔薇に囲まれた庭。

庭と言っても天窓から外が見えるのみで、屋内だった。

「ん……ぅ……」

天窓から見える外は、まだ薄暗い。

薄明りの中で、赤い薔薇が敷き詰められるように咲いている。

扉は2つ。先程教会から出てきた扉と……それとは別の奥の入り口、或いは出口らしき木製の扉。

稲羽(まだ、先があるんですね)

それらには長い間放置されてきたもののように、蔦が鬱蒼と絡みついている。

???「だめ……ん、あぁ……っ」

さっきから苦しそうな声が聞こえる。

大きなリボンを付けた、全体的に緑色の色調をした女の子。薔薇の前に屈んで何かに耽っている。

……何をしているんでしょうか?

???「はぁっ……はぁ……ぇ……?」

声を掛けられずにいると、リボン少女の大きな瞳がこちらを捉えた。

頬がほんのりと赤らんでいて、小柄で可愛らしいという印象を受ける。
11 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:37:42.06 ID:AOdWhDCI0
???「淫乱そうな兎さん……もしかして……混ざりたぃの……?」

稲羽「え……いえ」

あんまり……混ざりたくは無いですね……

???「そっかー……」

少女は少し熱っぽい様子を残したまま、小さく笑ってこちらに向き合った。

???「……わたしは四季ヶ原咲。植物を愛しているよ」


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【超高校級の園芸部】四季ヶ原 咲(シキガハラ サキ)

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枯れた土壌を蘇らせ、その全土を花で埋め尽くすという環境保全を続けている。

彼女が自身の在籍する学校に立ち上げた園芸部は、最早園芸というより個人的な植物研究機関と化していて……

そんな状態故に部員は彼女しかいないらしい。

稲羽「……」

スケールの大きな話ですね。
12 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:40:19.65 ID:AOdWhDCI0
四季ヶ原「わたしが専門的に扱ってるのは……人工授粉だょ。植物の更なる発展の為の手段の1つだね」

稲羽「品種改良……とかですよね」

四季ヶ原「ぅん。味の改良とか、見栄えの良さの向上とか……より良い植物を作る為に……」

四季ヶ原「……っていう名目にはなってるけど……わたしは植物ってみんな素敵だと思うんだ」

四季ヶ原「生まれつき弱くて劣等種となってしまった子だって、みんな必死で生きようとして……」

四季ヶ原「健気で……愛いょ……」

よほど、植物が好きな子なんだな。

稲羽「そういえば……さっきのも人工授粉の一環ですか?」

四季ヶ原「んー……こっちはね……」

四季ヶ原ちゃんは蕩けるような表情を浮かべる。

稲羽「……?」

四季ヶ原「関係を発展させる為の行為……酷く一方的だけどねぇ」

四季ヶ原「でもね、こうするとね……あへぇ……背徳感が凄いの……」

四季ヶ原ちゃんは薔薇の中に指を焦らすように挿し入れ、そのまま淫猥な動きでゆっくりと掻きまわす。

四季ヶ原「あっ……良い、ょ……んんっ……ぁ♡」

稲羽「……」

愛が……少し過激な方向に進んでしまった例でしょうか。
13 : ◆Vcl4B/DaxY [sage saga]:2017/09/15(金) 21:48:19.53 ID:AOdWhDCI0
???「おい……」

彼女をただ見つめていると、背後に学ラン姿の男性が立っていた。

首からホイッスルを下げている。厳格そうな顔つきの人。

彼は精悍な表情を保ったまま、つかつかとリボン少女の元へ歩いて行く。そしてそのまま、地べたに座り込む彼女を見下ろした。

???「また下らん戯言を抜かしていたのか?」

四季ヶ原「ぇー……下らなくないょー……性欲は動物に強く根付いた本能だからね……」

四季ヶ原「あなたの身体だって、ちょっと舌で嬲ってあげれば……はぁ、本能に追従しちゃう筈だし……」

四季ヶ原「人間……気持ち良い事には抗えないからね……、んっ……」

話しながら喘いでいる四季ヶ原ちゃん。

学ラン姿の男性は、そんな彼女の様子に僅かな苛立ちを見せる。

???「ふん……貴様が何を思おうと勝手だがな……そのように口に出すのは慎むんだな。迷惑行為でしかない」

四季ヶ原「でも……事実でしょ?」

???「チッ……」

学ラン姿の男性はそれ以上の追及を止めた。そして彼の意識は私に向けられる。

???「少し良いか? 2つほど問いたい事がある」

稲羽「は、はい……」

???「お前は、自分がこの場にいる理由を把握しているか?」

突然振られた質問。それも……丁度私の感じた疑問と同じ。

横を見ると、ハックさんはいつの間にか姿を消していた。

稲羽「……いいえ。何も覚えていません」

稲羽「どうして自分がここにいるのか……ここまで来た経緯も、そもそもここがどこなのかも」

???「……そうか」
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