曜「アルミ缶の上にあるみかん?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:23:48.48 ID:XUIzgLawo
1. 果ては続くよどこまでもヨーソロー



曜「ねぇ、そこの君。この間は、ありがとうね」



曜「えっ?覚えてないの!? そんなぁ? やっと見つけたのに」グスン



曜「私はちゃんと覚えているでありますっ!」(ToT)>



曜「ほら、目が合ったよね? ライブで。ステージの上の私と、君が」



曜「ステージ? ほら知ってるでしょ。私、スクールアイドル。君、ライブにいた」



曜「え?人違いっ?おかしいなぁ。君みたいなキレーな娘を見間違えるわけないのに」



曜「キレーじゃない? 地味だし? 何それ、嫌味? 君、キレーじゃん」



曜「凹みましたでありますっ! ベコベコのアルミ缶が戻らない位に凹みましたでありますっ!」



曜「アイドルの私が羨むくらいに君はキレーなのに」



曜「お世辞はいいって? そっか。君は知らないんだね」



曜「メイクして、可愛い衣装を着て、練習した歌と踊りを魅せる」




曜「自分の精一杯を出し切るスクールアイドルなら」




曜「君なら」




曜「ステージの上なら、もっと輝ける」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505427827
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:24:59.44 ID:XUIzgLawo
曜「まあ、いいや。君を困らせるつもりは無かったんだよ」



曜「しかし、困ったなぁ。この辺に来る事なくてさぁ。土地勘なくて」




曜「どこからかって?沼津だよ。だから静岡の街中なんて、分からないんだ」



曜「うん。夏休みだし、パァーッと遊ぼうかなって。そう、突発的。


曜「私、彼氏もいないし」



曜「あっ! 同情したっ! なにこいつ、寂しい女って」



曜「いいですよー。どうせ、寂しい女でありますっ! 一人で静岡に来る女ですよー」



曜「君も彼氏いないって? あ?、ごめんごめん。はい、この話題もう止めよう」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:25:52.39 ID:XUIzgLawo

曜「とにかくさ、静岡県民たる一番の都会に遊びに来てさ」



曜「右も左も分からない。遊べる場所も知らなくて、このまま私、沼津に帰るのかなって」



曜「このまま私の夏は終わっちゃうのかなって、ちょっと寂しくなっちゃって」



曜「そんな時、ライブで見かけたキレーな君を見つけた。正直、嬉しかったよ」



曜「だから違うって? いいよ。そのまま聞いて」



曜「遊べる場所を教えて貰おうって。勇気を出して、声、かけたんだ」

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:26:43.38 ID:XUIzgLawo

曜「まさに渡りに船でありましたっ!あ、私、渡辺 曜。ヨーソロー」( ̄^ ̄)ゞビシッ



曜「って、知ってるよね。ほら、やってみて」



曜「ヨーソローっ!」( ̄^ ̄)ゞ<( ̄^ ̄)



曜「ふふ」



曜「でも、ありがとうね。これが私の夏の思い出、かな」



曜「えっ? 近くに美味しいお店があるから行ってみたら?」



曜「ありがとうっ! やっぱり君はキレーだね。関係ないって?君こそ、なに笑ってるのさ」



曜「どこどこ? 通り一本、向こうの道? ごめん、分からないよ」



曜「そうだっ。案内してよ。なんでって? 近いんでしょ。いいじゃん」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:28:07.57 ID:XUIzgLawo
曜「うん? え? いいのっ! やったぁー!」



曜「さすがキレーな君は違うなぁ。もう言わないでって?呆れてる?でも認めたね、キレーだって」



曜「奢るっと言いたいけど、割り勘で。学生には厳しいであります」



曜「いいでしょ。ねぇ、寂しい女の夏の思い出に付き合ってよ」



曜「じゃあ、その後のカラオケ代は出すから。ドリンクバーも付けちゃう」



曜「最初から付いてる? へぇ、物知りだね君。ほら、私の歌と踊りを見れば、絶対思い出すから」



曜「目と目が合ったあの瞬間を思い出すから」




曜「こんな風に」ジッ




曜「存在を思い出してくれないアイドルなんて価値ないじゃん」



曜「私の夏の思い出、何もない。ついでに存在も価値ないの?はは、そっかぁ」



曜「私のことはいいや。ただ君の歌も聞いてみたいの。もっと君は輝けるから」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:30:00.44 ID:XUIzgLawo
曜「うそうそ。もう言わない。綺麗なのは、ほんと。じゃあ、ご飯食べて、カラオケ行こ」


曜「レッツゴー、ヨーソロー」






曜「ああ、そうだ、カラオケ店は任せて。踊るなら広い部屋がいいよね」



曜「休憩もできるベッド付きで、調べてあるからさ」








曜(ふふ、チョロいな)





曜(これが私、渡辺 曜。浦の星女学院2年生)


曜(ただいま、女の娘をナンパ中であります)


曜(なんでこんなチャラいことしてるかって?)


曜(先ずはそこから話そうか。そうだよね?)














曜(えっ?その前に、さっきの娘はどうしたって?)



曜(ご飯を奢らされて逃げられたであります。ちくしょうっ)







.
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:32:59.21 ID:XUIzgLawo
スレ落ちしたもののタイトル変更しての立て直しです。
十数レス分、前スレのものありますが、加筆修正して投稿していきます。
前のスレは、千歌「50年後に、また会えるかな?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:33:54.85 ID:XUIzgLawo

曜(ちょっと前の話。一年生の春休み時にさ、千歌ちゃんとアキバへ行ったんだよね)



曜(お察しの通り、千歌ちゃんはμ’sと運命的な出会いをするわけだけど)



曜(そのちょっと前、メイドさんが配ってたチラシが飛んで、二人で拾い集めてる時にさ)



曜(ちょうど、千歌ちゃんが秋葉原駅の反対側の出口に消えた時にさ)



曜(私も運命的な出会いをしたであります)













曜(コスプレショップと)




9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:34:59.72 ID:XUIzgLawo

曜(待って待って、最後まで聞いて。でも、語らせて)



曜(だって会員になると送料無料だよ。会員専用サイトに一般販売されてないコスの型紙も落とし放題!)



曜(Tポイントも貯まっちゃう。え?いらないの?)



曜(とにかく入るしかないと思って、店内を散策してさ)



曜(千歌ちゃんに悪いなと思ったけど、ちょっと位いいかなって)



曜(もともと別々に探検して、目ぼしい所を後で二人で回るつもりだったし)





曜(そうして、声をかけられた)






10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:36:17.48 ID:XUIzgLawo

金髪「ねぇ、ダメでしょ。メイドさんの仕事道具を持って来ちゃ」




曜(金髪? ロシア?あれれ?違ったかな。ちょっと記憶の自信ないや)



曜(さっき拾い集めてたチラシ持って来たままでさ。指摘されてバツが悪くなって)




デコ「私が返しておいてあげる。あら? ふふっ、あなたよく見ると」




曜(やっぱり金髪じゃなくて、背の低いおでこがチャームポイントの人だったかも)




トサカ「や〜ん。かわいいですぅ。やんやん」





曜(あれあれ違う? もっと可愛さを体現した人だった?)


曜(今、思い返すと、私、あの時の記憶が曖昧なんだよね)
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:37:31.90 ID:XUIzgLawo
曜(少し会話をして、なんの話題だっけ?)



曜(足を長く見せて、コスを引き立たせる話? 背が小さくても凛々しく見える姿勢の話? いやいや衣装作りの話?)



曜(とにかく出会った人とすごく話が弾んで、嬉しくなって)



曜(東京に来て、千歌ちゃんとはぐれて、たぶん不安だったんだと思う)



曜(そこに自分の理想のショップと話題が飛び込んで興奮して、不安とごちゃ混ぜになって)



曜(ガードが甘くなった)



曜(コスも撮影もできる静かな部屋があるって奥へ連れていって貰って)



曜(缶ジュースもらってさ。開封されてないし安心かなって飲みきって)




曜(ふらっときた)



曜(あれ、すっごく甘かったけど絶対アルコール入ってた。強力なやつ)



曜(酔うと力抜けるんだね。精一杯、手に持つアルミ缶を握ったけど親指大くらいしか凹まなかった)



曜(その部屋、都合よくベッドとシャワーがあってさ)





曜(まあ、その先は分かるでしょ。致してしまったわけですよ。女同士で。乙女のままだけど)




曜(もっと具体的に? 残念。あれは言葉では表現出来ないでありますよ)

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:38:21.73 ID:XUIzgLawo

曜(今、思い出した。やっぱり金髪でもデコでもトサカでもない。全然違う女の人だ。もういいけど)



曜(2時間後、私は、秋葉原駅に戻っていた。どうやって戻って来たかもはや覚えてない)



曜(実に2時間。出会って30分。休憩時間が90分。なんてお手頃っ!)













曜(ははっ、なんだよそれ)









13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:39:04.89 ID:XUIzgLawo

曜(待って待って、最後まで聞いてっていったじゃん。悲劇じゃないから)



曜(ある種の開放感と脱力感、そしてなんとも言えない喪失感を抱えたまま千歌ちゃんを見つけた)



曜(何かのPVを映す画面の前に立ち尽くしてる千歌ちゃんがそこにいた)



曜(多分、2時間ずっと見てたんじゃないかな。私に気づいてない)




曜「千歌ちゃん」




曜(ねぇ、聞いてよ。千歌ちゃん、驚くかもしれないけど)






曜(千歌ちゃん、私、汚されちゃっ―――)


千歌「よーちゃん! 私、輝きたいっ!」








曜(千歌ちゃんは、とんでもないキラキラを瞳に宿していた)





14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:40:10.29 ID:XUIzgLawo
曜(陳腐? いやいや。私が水泳で五輪の選考候補に届くかもって時も、そんな眼差しを向けてくれなかった)



曜(そんなの、とんでもない、でしょ)



千歌「よーちゃん、これ、スクールアイドルって言ってね」



千歌「知ってる? ふふ、そーなんだっ! 曜ちゃんでも知らないんだっ!」




曜(スマホ片手に、調べたてホヤホヤの知識を、チラチラと画面を見ながら私に話す)




千歌「ゆーず、可愛いねっ! 私もスクールアイドルになれたらなぁ」




15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:40:42.07 ID:XUIzgLawo

曜(千歌ちゃんは、私の知らない事があると嬉しそうに話す)



曜(千歌ちゃんは、私がやったことがない事を嬉しそうにやり始める)




千歌「ゆーず! 穂乃果さん!START:DASH!トサカ!かわいい!にっこにっこにー!」


千歌「にゃ! 音ノ木坂!ハラショー!ユメノトビラ!わしわし!ご飯!ババ抜き?イミワカンナイ!」




曜(結局、付け焼き刃な講義の洪水は、鈍行電車で帰路につくまで止まらなかった)









曜(だから、私は、続く言葉を知っている)




16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:41:19.44 ID:XUIzgLawo

千歌「よーちゃん、私、春からスクールアイドル陪、始めるね。決めたんだ」



千歌「私、輝きたいっ!」



曜「うん、いいね」










曜(ひとつの決心をした)








17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:42:35.09 ID:XUIzgLawo

曜(すっかり日も暮れ、帰路のバスには私一人)


曜(運転手さんは空気と化し、アナウンスは耳から通り抜ける)




バシンッ!




曜(両手で両腿を叩く。ついでに景気付けに両頬も)




バシンッ!!



曜(ジワリと遅れてやってくる痛みなど関係ない。おかけで、ようやく目が覚めた)


曜(さあ渡辺、ここからだ。今日という日は千歌ちゃんの門出の日だ)




>千歌「よーちゃん、私、春からスクールアイドル陪、始めるね。決めたんだ」




曜(祝福しよう。今日この日を悲劇の日にしちゃいけない!)



曜(わたしの身に起きた事?なにそれ。何かあったっけ?)


18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:43:27.94 ID:XUIzgLawo

曜(ほんとは全然そんな事ないけど、要領いいって言われる私なら出来る)


曜(渡辺、おまえ天才だな、って勝手に期待する教師の言葉を真に受けろ)



曜(私なら出来る)



曜(渡辺、お前、千歌ちゃんのヒーローだろ?)



曜(そうだ、私なら出来る)




曜( わ す れ ろ っ ! )




曜(ピコーン! 電球のイメージ。別に閃いちゃいないけど。とにかくそんな感じ)



曜(私は、渡辺ヨーソロー、だ)
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:45:03.76 ID:XUIzgLawo
曜(今、この時、この瞬間から、渡辺ヨーソローは、全速前進の最高速度で、大好きな千歌ちゃんのスクールアイドル活動を応援するんだ)


曜(なぜかって?)


曜(これは千歌ちゃんの要求だからさ)



>千歌「私、輝きたいっ!」



曜(変わりたいって自らの願いであるとともに、きっとこれは要求なんだ)


曜(誰かが言ってた。『あなたが好きです』は、『好きになって』という命令だって)


曜(同じこと。千歌ちゃんの輝きたいは、きっと)




曜(ねぇ、誰かっ! 輝いている私を見てっ!って)





曜(その誰かは、他の誰でもない、私でありたい)


曜(千歌ちゃんに想いを寄せる、私であって欲しい)

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:46:49.05 ID:XUIzgLawo

曜(だからこそ、今日わたしの身に降りかかったこと程度で千歌ちゃんに躓いて欲しくない)


曜(千歌ちゃんは、きっと気にしてしまう。自分を悔やんでしまうから)


曜(どうだい?渡辺ヨーソロー、そろそろいいかい?)



曜(デリートする準備はオーケー?)




曜(渡辺ヨーソローは、わすれた! ははっ、なんちゃって)










曜(そんな簡単に出来れば、苦労しないよ)




曜(でも、ああ、そんな事もあったな。ってくらいには、なった。以前、私は乙女のままだしね)


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