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ことり「花になろう」
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128 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 00:49:54.15 ID:Ohmi38x40
希『でも、さっきのことりちゃんも同じように輝いてた』
希『流石、穂乃果ちゃんと一番長い付き合いしてるだけあって似てるのかな?』
ことり「穂乃果ちゃんに似てる…か」
ことり(もしそうだとしたらすっごく嬉しい)
ことり(それと同時に凛ちゃんがことりの言葉を信じてくれたのもすごく嬉しい)
ことり(弱い私でも、誰かのために動くことくらいは出来る)
ことり(そうと自覚してやったこと、精一杯の本音を凛ちゃんにぶつけたんだ)
ことり「…大丈夫そうかな」
ことり(こうして、ことりたちは音ノ木坂祭りのライブ実行への道を出発した)
ことり(やることは山積みだけど、今はなんだか大丈夫な気がする)
ことり(穂乃果ちゃんも、凛ちゃんも、みんなもいる)
ことり(そんな中で何を不安がるのだろう?全てが揃ってるのに何を悩むんだろう?)
129 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 00:50:45.35 ID:Ohmi38x40
ことり「よしっ!」
ダッ!
タッタッタッ!
ことり(ただ、ことりはみんなを信じてまた走った)
ことり(ただただ、全力で走った)
ことり(ただただただ、ことりの目指す未来に向かって走ったんだ)
ことり(果ての無い未来を)
130 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 00:53:01.06 ID:Ohmi38x40
〜二日後
海未「ふむ……」
にこ「むむむ…」
花陽「むー……」
絵里「ふーん……」
希「なるほど」
穂乃果「ほー…」
凛「ほーほー…」
ことり「………」
真姫「……どう?」
穂乃果「すっごくいいよ!!」
絵里「ええバッチリね!」
真姫「!」パアアア
海未「歌詞はどうなるかと思いましたがことりのおかげでなんとか終わりましたね…」
ことり「えへへ」
131 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 00:54:30.23 ID:Ohmi38x40
穂乃果「真姫ちゃんすごいよー!!」スリスリ
真姫「うぇええ?!」
希「ふふふっとりあえず第一段階突破やね」
絵里「そうね」クスッ
凛「これからどうするの?」
絵里「これからはダンスと歌の練習よ、ただ一週間でダンスなんてできるはずないから誰でも出来るくらいの簡単な振り付けにするわ、歌を集中的に練習しましょう」
にこ「そうね」
花陽「おぉ〜!なんだか本格的!」
ことり「ねっ」
ことり(あれから二日後、ことりたちの曲が完成した)
ことり(ことりたちは確実に、前へ前へとその一歩を踏み出してた)
ことり(衣装は練習の合間や家にいる時に作ることになってる、ただことりだけじゃ手が足りないから絵里ちゃんとかにこちゃんとかと手伝ってギリギリ間に合わせるような形になると思う)
ことり(踊るのはもちろん小さい頃からのメンバーに真姫ちゃんを加えた九人だよ)
132 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 00:56:41.72 ID:Ohmi38x40
凛「よーし!張り切っていくにゃー!」
海未「張り切りすぎて体調を崩さないようにお願いしますよ?」
凛「わかってるわかってる!」
真姫「体力はあまりないから踊りは自信ないのよね…」
希「おっ弱気発言?これからって時なのにそれはいただけないなぁ」ニコニコ
真姫「ち、違うわよ!頑張りますってことよ!!!」
希「はいはいそうやね」ニコニコ
真姫「流し方腹立つわね…」
絵里「はいはいちょっと注目」
花陽「?」
にこ「何よ」
絵里「理事長に屋上の使用許可を貰ったの、だから放課後に一度練習がどんな感じなのかっていう流れだけでも掴みに行きましょう?」
海未「そうですね、それはいい案です」
穂乃果「流石絵里ちゃん!」
希「流石えりちは用意周到やね」
絵里「当然よ、なんてったって生徒会長なんだから」フンスッ
ことり(ひとまずやることが終わったけど、次やることはすぐにまわってきた)
133 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 00:58:13.72 ID:Ohmi38x40
ことり(音ノ木坂祭りまでのスケジュールは言うまでもなくぎゅーぎゅーであまり休めなさそうだなと、先のことを少し考えてた)
ことり(だけどそれはみんなと踊るため、思い出を作るためだから苦でもないよ)
ことり(ただそんな中でことりが思うのは)
ことり(これからのことで穂乃果ちゃんが隣に居て当たり前だなんて考えてるから)
ことり(こんなにも穂乃果ちゃんってことりの支えだったんだって思うんだ)
ことり(でも、当然と言えば当然だよね)
ことり(ことりの太陽だもん、こんなにもことりを大切にしてくれた人はまずいない)
ことり(一緒にセミを捕まえに行った、一緒に海に行った、一緒にお饅頭作った)
ことり(一緒に肝試しに行った、一緒にお風呂に入った)
ことり(一緒に寝た、一緒の学校に入った)
ことり(一緒に最期を共にした)
ことり(そんなことりのかけがえのない人、そんな感慨深いことりの気持ちがくるくると回ってた)
134 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 00:59:15.26 ID:Ohmi38x40
ことり(そして時刻は放課後…)
ガチャッ
凛「んー!気持ちいいにゃー!」
希「ちょっと暑いけどね」アハハ
にこ「ここで何するの?」
絵里「ダンスレッスンよ、まぁ今日は何も用意してないからちょこっとだけだけどね」
花陽「大変そうだね…」
絵里「最初はね、慣れれば全然よ」
ことり「絵里ちゃんが言うと説得力あるね」
絵里「でしょ?」フフンッ
絵里「それでなんだけどね、ごめんなさい先に言っておくわ」
にこ「…?何よ」
凛「どうしたの?」
絵里「今から言うことは決定事項、何がなんでも決まりだからね?」
花陽「う、うん?」
希「何のこと?」
135 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:00:53.14 ID:Ohmi38x40
絵里「…今回の歌は」
絵里「ことりがセンターを務めることになってるから」
ことり「?!?!?」
ことり「な、なんで?!」
絵里「曲作り始める時から決めてたの、ことりがセンターだって」
ことり「だからなんで?!」
穂乃果「私が提案した!」
ことり「ど、どうして?ことりがやるくらいなら穂乃果ちゃんがやったほうが」
穂乃果「ううん、ことりちゃんじゃないと務まらない」
136 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:03:34.53 ID:Ohmi38x40
穂乃果「海未ちゃんも、真姫ちゃんも、絵里ちゃんもことりちゃんにセンターを任せたいっていったら快く受け止めてくれた」
ことり「海未ちゃん…」
海未「あんな歌詞を私に渡してくるんですから、正直まいっちゃいましたよ」
海未「私なんかまだ何も決まってなかったのにことりはすらーっと書いてくるんですから」
ことり「真姫ちゃん…」
真姫「ん?私は別に…」
真姫「ライブをするんだしこういう歌詞が良いなと思ったの、それに穂乃果さんがことりさんのことすごく推してくるから信じてみたくなっただけ…」
ことり「絵里ちゃん…」
絵里「私もことりを推したい、確かに穂乃果もいいのかもしれない」
絵里「けどこの歌はことりが一番似合ってるから」
ことり「私が一番…」
穂乃果「そうだよっ!だからことりちゃんがセンター!」
穂乃果「みんなもその方がいいよねっ!」
凛「うんっ!凛もそう思う!」
花陽「ことりちゃんが考えた歌詞なんだもん、ことりちゃんがするべきだよっ」
希「そうやね!」
にこ「はーあっしょうがないわね〜センターは譲るわよ」
137 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:07:25.82 ID:Ohmi38x40
ことり「みんなっ…」
ことり(今度歌って踊るこの曲はことりがセンターだった)
ことり(穂乃果ちゃんが提案し、それをみんなが何の疑問も否定も口にせずただただことりを認めてくれた)
ことり(ことりがセンターを務めるっていうのは穂乃果ちゃんにそしてみんなに認められた証でありことりが一番輝ける場所にいるってこと)
ことり(それはすごく嬉しい、またことりの中で何かが弾けそうってくらいに嬉しかった)
ことり(でもそれと同時に不安とか懸念とかマイナスな感情もあることは確かだった)
ことり(だってことりがセンターなんて務まる思う?)
ことり(無理だよね、絵里ちゃんみたいにダンスにも気持ち的な問題でも自信がないから胸を張れないし穂乃果ちゃんのような明るさや真っ直ぐな瞳のように魅力があるわけじゃない)
ことり(だから帰り道に至るまでの最終的な気持ちはプラス半分マイナス半分というのが最もだと思う)
スタスタスタ
ことり「穂乃果ちゃんと二人っきりで帰るのは…久々じゃないか、えへへ」
穂乃果「そうだねー」
138 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:10:34.24 ID:Ohmi38x40
ことり「…ねえ、聞いてもいいかな?」
穂乃果「なーに?」
ことり「なんでことりをセンターに薦めたの?」
ことり「ことりじゃないと務まらないってどういうことなの?」
穂乃果「そのままだよ、あの歌のセンターはことりちゃんじゃないと務まらないんだ」
穂乃果「私や絵里ちゃん、海未ちゃんがセンターをしても最終的には失敗に終わると思う」
ことり「ど、どうして?」
穂乃果「…ふふふっことりちゃんの持ってるチカラはすごいんだよ?」
ことり「ことりの持ってるチカラ…?」
穂乃果「そうそうっ!」
ことり「何なのそれって?」
穂乃果「それは口にするものじゃないよーことりちゃん自身で気付くもの」
ことり「ことり自身…」
穂乃果「そうそう!」
穂乃果「…でもまぁね、ことりちゃんをセンターに薦めたのはそれだけが全てじゃないよ」
ことり「え?」
139 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:12:29.89 ID:Ohmi38x40
穂乃果「ことりちゃんにもっと輝いてほしくてね、もっともっとことりちゃんのいいところ、みんなに見てほしくてさ」
穂乃果「余計なお世話って思ったかもだけどことりちゃんはしっかり者だし勉強も出来たし何よりものすごく可愛かったから小さい頃はよく劇の主役に推薦されてたよね」
ことり「う、うん…」
穂乃果「でも、ことりちゃんって引っ込み思案だからぜーんぶ主役の推薦を断ってやりたい人に譲ってた」
穂乃果「中学生の時のロミオとジュリエットとか、幼稚園の時のきよしこの夜とか全部、ぜーんぶ譲ってた」
穂乃果「…こんなこと自分で言うのも難だけどね私だってクラスの中心してたつもりだから主役に誘われるくらいの名声はあったと思う」
穂乃果「ただそんな私を凌いでことりちゃんは毎回毎回主役に抜擢されて、でもそんな主役の誘いを幾度となく断って私すごくもったいないなって、微量ながら怒りも感じてた」
ことり「い、怒り…」
穂乃果「だってそうじゃん!ことりちゃんみたいな可愛い子がなんでそんな臆病にしてるのさっ!もっと自分に自信もって動いた方がことりちゃんは輝けるしことりちゃん的にも楽しいから!」
穂乃果「だからことりちゃんをセンターにした!ことりちゃんに輝いてほしくて、もっと楽しんでほしくて!」
穂乃果「もう、臆病な自分を演じるのは飽きたでしょ?」
穂乃果「ことりちゃん」
ことり「!」
140 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:15:37.29 ID:Ohmi38x40
穂乃果「知ってるよ?ことりちゃんが本当はものすごいわがままな人だって、ことりちゃんは平和主義者だからその人のいいようにやらせてるようだけど本当はああしてほしいこうしてほしいって心の中ではお願いしてること」
穂乃果「皮肉なことにそのことりちゃんの考えてることが一番正しいんだから余計にもったいないよ」
穂乃果「その人にとってベストなことが考えられるんだから、私と違って完璧なことを考えられるんだからことりちゃんはもっと…自分を出していかないとさ」
ことり「自分…か」
穂乃果「そっ!自分!」
穂乃果「だから今回の歌、みんなで歌うステージは絶対絶対ぜーったいにことりちゃんがセンターじゃないとダメなの」
穂乃果「だからお願い、これは私からの一生のお願い」
穂乃果「ことりちゃんがセンターをしてくれれば私はもう救われるから」ボソッ
ことり「…?何?」
穂乃果「ううんなんでもない!」
穂乃果「とりあえずお願いっ!」
ことり「…うん、分かった!頑張ってみるっ!」
穂乃果「うん!」
141 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:17:51.08 ID:Ohmi38x40
ことり「よしっ明日から頑張ろうね!」
穂乃果「…あ、うん!」
ことり(帰り、穂乃果ちゃんがことりの背中を押してくれた)
ことり(やっぱり穂乃果ちゃんはすごいな、そう思った)
ことり(結局さ、ことりの持ってるチカラがすごいっていっても今みたいにことりを勇気づけてくれるそのチカラが本当に羨ましいよ)
ことり(…ううん違うね、きっと穂乃果ちゃんだからなんだ)
ことり(穂乃果ちゃんが言ってくれるからことりはまた頑張ろうって思える、穂乃果ちゃんだけにしかない、穂乃果ちゃんだけのチカラだよね)
ことり「…ねぇ穂乃果ちゃん」
穂乃果「なに?」
ことり「私の持ってるチカラ…ヒントだけでもくれないかな?」
ことり「とても…ことりだけじゃ気付けそうにないや」
ことり(穂乃果ちゃんのチカラは〜って考えれば次に出てくるモノは“ことりのチカラ”だよね)
ことり(でもそんなことりの持ってるものなんて分かるわけないよね、だってことりにあるこれっていう魅力が見当たらないんだもん)
142 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:19:54.47 ID:Ohmi38x40
ことり(絵里ちゃんのような“強さ”はないし希ちゃんのような“頼り甲斐”もない)
ことり(花陽ちゃんのような“愛らしさ”もないし凛ちゃんのような天性の“可愛さ”もない)
ことり(そして穂乃果ちゃんのような何かを引っ張る“カリスマ性”もない)
ことり(こうしてみんなとことりを隣り合わせで比べるとスポットライトが自然とことりの隣の人に照らされていくような気がした)
ことり(ただ、ことりはそれに何とも思わないよ)
ことり(そんな輝いてる人の隣にいれるだけでことりは幸せだから、他人の幸せがことりの幸せだから)
穂乃果「そうだね〜ヒントか」
ことり「ない…かな?」
穂乃果「ううんあるよ、そうだねヒントだよね」
穂乃果「うーんとね、自分のことを見るだけじゃ…分からないことかな?」
ことり「…?どういうこと?」
穂乃果「人のこと…うーんもっと限定的に友達とか家族の人、そのくらい身近な人のことを考えてみることが自分のチカラに気付く鍵だと私は思う」
143 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:23:04.16 ID:Ohmi38x40
穂乃果「ことりちゃん自身がどういうチカラを持ってるのか、なんて考えても答えは出ないと私は思う」
穂乃果「私はことりちゃんの全てを知ってるわけじゃないけど、少なくともことりちゃんのチカラをことりちゃんより知ってるつもり」
穂乃果「ただ私だってことりちゃんのチカラを本質的には知らないよ、でも自分のことの多くなんて自分で気付けるわけないよ、私だって私がどんなチカラを持ってるのか知らない」
穂乃果「でも、ことりちゃんは気付いてない?私のチカラ、ううん気付いてなくてもいい…ただ私に何かがあるって思うだけでもいいんだ、それってやっぱり分かってるんだ」
穂乃果「その人にしかない、その“何か”があるって」
ことり「…うん、ことりは穂乃果ちゃんのチカラ…分かると思う」
穂乃果「でしょ?自分に自惚れてるわけじゃないけど、人一人に必ずそういうものがあるんだよ」
穂乃果「私は最近それを知ったから」
ことり「最近…?」
穂乃果「そっ!最近!」
穂乃果「だからさことりちゃん、仕方ないから出血大サービスしちゃうよ!」
ことり「出血大サービス?」
144 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:24:54.35 ID:Ohmi38x40
穂乃果「ヒントだよっ私だって絵里ちゃんだって海未ちゃんだって真姫ちゃんだって」
穂乃果「ことりちゃんだって」
穂乃果「そのチカラは“何か”の為に使ってるチカラなんだよ?」
穂乃果「ただ、ことりちゃんはその何かが“誰か”のために、であること、これを忘れないで」
ことり「誰かのために…」
穂乃果「そう!誰かのために!」
穂乃果「ここまで言ったんだから気付いてよね、自分で気付くからこそ意味があるんだから!」ダッ
タッタッタッ!
ことり「あ、ちょっと穂乃果ちゃん!」ダッ
穂乃果「あははっ!走ろうよ!」
ことり「な、なんで急に?!」
穂乃果「走りたくなったから!だから走ろうよ!」
145 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:26:51.68 ID:Ohmi38x40
ことり「どこに?!」
穂乃果「走れるところまで!」
ことり「え、えええ?!」
穂乃果「あはははっ!ほらほらおいでよー!」
ことり「は、速いよぉ!」
穂乃果「ダンスは体力使うって絵里ちゃんも言ってたしこのくらいは走らなきゃ!」
ことり「そ、そうだけど!」
ことり(この強引さが穂乃果ちゃんの魅力なんだと思う、強引なのに、打算もないのについていきたいって思っちゃうんだからホントにすごいよ、穂乃果ちゃんは)
ことり(だから“今日も”穂乃果ちゃんの背中を追いかけてた)
ことり(穂乃果ちゃんと笑いあえる日々に帰ってきたことを実感してた)
146 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:28:11.58 ID:Ohmi38x40
ことり「ただいまー」
ことりママ「おかえりなさい」
ことりママ「最近楽しそうね?」
ことり「音ノ木坂祭りで出し物するからそれに励んでんだよっ」
ことりママ「へぇー出し物…何するの?」
ことり「それは知らなくてもいいでしょっ」
ことりママ「いやいやことりの母たるもの可愛い娘がすることくらい知りたいでしょ?」
ことり「もーなんでもいいでしょ!」
タッタッタッ
ことりママ「あ、ことり!」
ことりママ「まったく…反抗期かしら…」
ことりママ「でも…」
ことりママ(心なしか常に楽しそうに感じるわね、その出し物ってやつも順調なのかしら)
147 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:30:50.10 ID:Ohmi38x40
スタスタスタ
ことり「ふぅ…」
ことり「疲れたー…」
ボフッ
ことり(クッションとぬいぐるみがいっぱい置いてあるベッドにダイブした)
ことり「………」
ことり(毎日そうだけど、今日は頭も使ったし体力も使ったから特に疲れちゃって何も考えずに目を瞑ってた)
ことり(肌触りの良いクッションがとにかく気持ち良くて一瞬で眠りの世界へトリップしてた)
ピピピピピピピ!
ことり「…ん」
ことり(突然意識の外から音が聞こえた)
ことり「んん…」チラッ
『6:10』
ことり「…え?!なんでそんな…えぇ?!」
ことり(目が覚めたら朝だった)
ことり(夜ご飯を食べた記憶はない、感覚で言えばさっき寝て一瞬で起きたようなものだった)
148 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:32:43.83 ID:Ohmi38x40
ことり「こんな…早かったっけ…」
スタスタスタ
ガチャッ
ことりママ「あら、おはよう」
ことり「おはよう、ことり夜ご飯食べたっけ?」
ことりママ「食べてないわよ、起こしに行ったんだけどぬいぐるみ抱きしめて気持ちよさそうに寝てるからなんか悪いなって思って」
ことり「そ、そっか」
ことりママ「ええ」
ことり「…ってことりの寝てるところ見たの?!」
ことりママ「え、ええそうだけど」
ことり「もー!なんで入ってくるの!」
ことりママ「だって起こすためには部屋に入らないといけないじゃない」
ことり「そうだけど…そうだけど!」
149 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:33:51.45 ID:Ohmi38x40
ことりママ「ふふふっとりあえず朝ごはん食べなさい、遅れるわよ?」
ことり「まだ余裕はあるよ…」
ことりママ「ふふふっそうね」
ことりママ「あ、後夜食べなかったから朝はちょっと多くしておいたわ、たくさん食べなさいよ?」
ことり「う、うん」
スタスタスタ
ことり(今日に限った話じゃないけど、こうやってまず実感して思うことって)
ことり(穂乃果ちゃんがきて時の流れがすごく早くなってるってことなんだ)
ことり(楽しい時ほど時間を忘れて何か全うしちゃうよね、そんな最近のことりは常時楽しいって感じてるんだ、感じちゃってるんだ)
ことり(“あの時”とは違う日常がやってきて、新鮮味や懐かしさ、他にも新たに感じるものも数多くあってこの日常に飽きがこないんだ)
ことり(だから朝ごはんを食べて、登校して、みんなと会って、笑ってなんてことしてるだけで時間は早送りをしてるかのように過ぎ去っていった)
150 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:35:04.29 ID:Ohmi38x40
海未「穂乃果、太りました?」
穂乃果「えっ…そんなつもりはないんだけどなー…」アハハ
海未「まったく…ここからだっていうのに何をしてるのですか…」
穂乃果「んーごめんね、気を付けるよ」
海未「そうですよ、気を付けてください」
穂乃果「はーい」
海未「さて…もう三時間目ですか、なんだか早いですね」
穂乃果「あ、海未ちゃんも感じる?」
海未「感じる?」
穂乃果「時間の流れだよーなんか私も早いなーって最近思うんだ」
ことり「穂乃果ちゃんも?」
穂乃果「あれ?ことりちゃんも?」
ことり「うんっなんかすごく早くて…」
海未「ふむっ…私たち三人はきっと今を楽しんでるのかもしれませんね」
穂乃果「そうだねっ!」
ことり「うんっ!」
ことり(そしてこの楽しい時はみんな同じように感じてるようだった)
ことり(だって時の流れが早いっていうのはそういうことだから)
151 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:36:36.16 ID:Ohmi38x40
「では穂乃果さんここのところを答えてください」
穂乃果「え、ええ?!」
穂乃果「え、えぇっと…わかりません!」
アハハハハハハハ
海未「まったく穂乃果は…」
ことり「あはははは……」
穂乃果「だって難しいじゃん!」
海未「難しいから頑張って解けるようにするんですよ!」
ことり「ま、まぁ今授業中だから…ねっ?」
海未「し、失礼しました…」
穂乃果「むー…」
ことり(こういったことはよくあるけど、どんな顔をしていても心なしか楽しそうだった)
ことり(穂乃果ちゃんはムードメーカーだよ、先生だってくすくす笑ってて楽しそう)
穂乃果「…あ、えへへへ」
ことり(ことりと目が合いことりもニコッとした)
152 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:38:57.44 ID:Ohmi38x40
〜昼、音楽室
凛「あーあーあーあー」
真姫「違う、もっと響かせるように」
真姫「私の真似をして」
真姫「あーあーあーあ」
凛「あーあーあーあー」
真姫「んー…何か違うのよね」
凛「えへへ…ごめんね…?」シュンッ
真姫「あ、いや!そうじゃないの!凛は悪くないのよ!」
凛「…んえへへへっ!なーんて!真姫ちゃんは優しいね!ちょっとシュンとしただけで気を使ってくれて!」クスクス
真姫「は…?はああああ?!」
凛「真姫ちゃんはちょろいなたちつてとー!!」
真姫「歯を食いしばる準備は出来てるでしょうね?!」ダッ
凛「うわあ?!ここは逃げるが勝ちだー!」ダッ
タッタッタッ!
花陽「い、いっちゃった…」パクパク
ことり「真姫ちゃんも大変だね…」パクパク
153 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:40:04.12 ID:Ohmi38x40
ことり「というか真姫ちゃんも凛ちゃんもお昼ご飯食べてないけど大丈夫なのかな…」
花陽「大丈夫…なんじゃないかな?」
ことり「どうして?」
花陽「なんか今は食べるというより歌ってた方があの二人は幸せそうだったから」
ことり「…!」
ことり(花陽ちゃんの顔は輝いてた、それは明らかに“何か”に気付いてる顔だった)
ことり(花陽ちゃんはあの二人の事、よく理解してるように見えたんだ)
花陽「私たちも発声練習頑張らないとね」
ことり「そうだねっ!」
凛「ふー逃げた逃げたー」
花陽「あ、凛ちゃん」
真姫「ぜえ…ぜえ…」
ことり「あはは、おかえり真姫ちゃん」
154 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:41:04.83 ID:Ohmi38x40
真姫「なん…なのこいつ…速すぎる…」
ことり「凛ちゃんは元陸上部だから…」
花陽「中学の時も一番速かったから…」
真姫「それを…先いってよ…」
ことり「言う暇もなくいっちゃってね…」
花陽「ドンマイ真姫ちゃんっ」
凛「勝利!ぶいっ!」
花陽「とりあえず凛ちゃんと真姫ちゃんもお昼ご飯食べなよ」
凛「うん!」
真姫「はぁ…ホント凛といると骨が折れるわ…」
花陽「あはは…凛ちゃんはやんちゃだから…」
ことり「凛ちゃんもほどほどにね?」
凛「はーい」
155 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:42:52.28 ID:Ohmi38x40
凛「でもでも最近はなんか早く時間が流れるように感じてるんだよねー」
花陽「あ、それは私も思う」
真姫「私も」
ことり「え…みんなも?」
凛「ことりちゃんも?」
ことり「う、うん」
凛「そっかーなんかもう一日があっという間でああやって真姫ちゃんと鬼ごっこしてる時もこうやってお話してる時も全てが一瞬で終わったって勘違いしちゃうんだ」
花陽「そうそう、寝たら起きるまでの感覚が一瞬なんだよね」
真姫「分かるわ、曲作りだって出来たと思ったら何時間も経ってた」
ことり「………」
ことり(やはり二年生のことりたちだけじゃない、一年生のみんなも感じてるようだった)
ことり(このみんな一緒にいる時間が幸せで、みんな同じように感じてる“新しさ”に胸を弾ませて、楽しい未来が目に視えるほどの希望に心を躍らせてた)
156 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:44:09.12 ID:Ohmi38x40
花陽「やっぱり今が楽しいのかな?」
真姫「そうね、そうかもしれないわ」
凛「凛はすっごく楽しい!」
花陽「うんっ!私もすごく楽しい!」
真姫「この時間が一生続いていたらいいわね」
ことり「!」
ことり「そ、そうだね!」
ことり(ことりも長らくはそう思い続けると思う)
ことり(穂乃果ちゃんといると、笑顔のみんなといるとその幸せを永遠にしたくなるんだ)
ことり(一度穂乃果ちゃんを失ってるのだから、その永遠が永遠でなくなる辛さはイヤというほど知ってる)
ことり(だから真姫ちゃんのいう思いを仮にことりたち全員が持ってるとしてもきっとその思いの強さはことりが一番強いのだと思う)
ことり(失うことの辛さ、再開して分かる幸せ)
ことり(この二つを経験してることりに勝る気持ちなんてないんだからっ)
157 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:45:14.91 ID:Ohmi38x40
〜放課後、屋上
絵里「はい、そこで啓礼ポーズ」
ことり「け、啓礼?」
絵里「その名の通りよ、片方の手は横っ腹においてもう一つは啓礼よ」
ことり「わ、分かった」
絵里「よしっそのポーズ忘れないで、後笑顔も」
にこ「いい?笑顔っていうのは営業スマイルとかそういう笑顔じゃないんだからね?」
にこ「もっともっと素の笑いだからね?自分が楽しめてる時の笑いだからね?」
凛「おーにこちゃんがすごいまともなこといってる」
にこ「とーぜんよ!アイドルたるもの笑顔が一番大事なんだから!」
花陽「そうですよ!笑顔のアイドルこそ勝利を掴むんですから!」
海未「…笑顔もいいですけどあなたたち二人はまず」
海未「体力の方をなんとかしてくださいね?」
花陽「…はい」
にこ「思った以上にきついわこれ…」
158 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:46:23.90 ID:Ohmi38x40
凛「二人ともだらしないなー」
穂乃果「凛ちゃんはやっぱり余裕だねー」
真姫「化け物か…」
希「う〜ん!ウチはバイトしてたからみんなより幾分かはマシかな〜」
穂乃果「ずるーい!」
希「ふっふ〜ん!」
絵里「はいはい希は威張らないの」
絵里「ことりはセンターなんだからみんなの見本になるようにやるのよ?踊りの初めはことりからスタートだし多くの人はセンターのことりを見るんだから自信が持てる出来に仕上げましょうね?」
希「あはは…大変だねことりちゃんも…」
ことり「は、はい…頑張ります…」
ことり(ダンスの進み具合をいえば良くも悪くも普通だった、みんな踊りなんてしたことないしその辺は運動神経とかセンスが問われるんだけど凛ちゃんや希ちゃんは体力使う経験をよくしてたから大丈夫そうで、絵里ちゃん海未ちゃんはもう余裕で、ことりと穂乃果ちゃんがちょっときついかもって感じで花陽ちゃんとにこちゃんと真姫ちゃんが体力面で非常にまずいみたい)
ことり(まぁダンスといってもそこまで本格的じゃないからまだ深刻な問題ではなさそうだった)
159 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:47:49.93 ID:Ohmi38x40
海未「朝練が必要ですねこれは…」
真姫「あ、朝練…」
海未「やはり体力が必要です、もちろんそれはそこの三人に限った話ではありません」
海未「ダンスでは技術を必要としますがそれ以前に体力が必要ですから、やるに越したことはありません」
絵里「でもみんな物覚えはよかったわよ、ダンスはちゃんとやれてるし一連の流れをするなら問題なく出来そうだけど」
絵里「それにダンスっていうのは完成度よりどれだけ見てる人を魅了するかが大事なのよ?そりゃあ大会とか本当のアイドルのステージに出れば技術も必要だけど私たちに必要なのはそれじゃないから」
穂乃果「うん!その通りだよ!」
花陽「絵里ちゃんが言うと頼もしいね!」
にこ「悔しいけど信憑性はめちゃめちゃあるわ…」
絵里「でしょ?」フフンッ
絵里「なんてったって賢い可愛いえりー」
希「はいポンコツ」
海未「マイナス100KKEポイントですね」
絵里「ちょっと?!なにそのポイントは?!」
160 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:49:14.67 ID:Ohmi38x40
海未「絵里の賢さを表すポイントです、今マイナス4300ポイントなのでなんとかプラスにしてくださいね」
絵里「なんか海未私だけにひどくない?!」
海未「気のせいですよ」
凛「あーあっ絵里ちゃんはあれさえなければ完璧なのになー」
花陽「おっちょこちょいだもんね」アハハ
真姫「確かにあのギャップはすごいわね…」
ことり「でもあれが絵里ちゃんの良さでもあるから…」
にこ「そうね、あれが絵里の良さでもあるわ」
凛「まぁね、あれがなかったら凛は絵里ちゃんには近づきたくなかったなー」
花陽「頼れる存在だけど厳しいと関わりづらいからね」
絵里「でしょ?この優しさが私のいいところなのよ?」
絵里「分かったら海未はそのKKEポイントだかをプラスにしなさい」
海未「マイナス300KKEポイントで」
絵里「なんで?!」
希「いやそれは賢くないわえりち…」
161 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:50:59.50 ID:Ohmi38x40
穂乃果「絵里ちゃんはもっとキリってしてよう!」
絵里「こう?」キリッ
海未「ふっ…」
絵里「あー!今鼻で笑ったわよね?!」
海未「気のせいですよ、ぷっくふふふ…!」
絵里「ほらー!!笑ってるー!!!」
凛「あはははは!!」ゲラゲラ
花陽「あははは…」
にこ「ったく真面目と言われてるあの二人があれだと先が思いやられるわね…」
真姫「やはりここのグループの良心はことり、あなた一人よ…」
ことり「え、えぇ?!」
希「というか教える側の二人が別のことしてたらこっちも何も出来ないやん…」
海未「そうですよ、絵里」
絵里「なんで私?!」
海未「ぷっふふふふ…すいません、からかうのが面白かったもので」
絵里「も、もう…」プクー
希「海未ちゃんもなんだかんだ凛ちゃんレベルのやんちゃもんだからね」アハハ
絵里「困ったものよ…」
162 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:52:44.10 ID:Ohmi38x40
絵里「まぁいいわ、さぁ休憩終わり、練習再開するわよー!」
「おー!!」
ことり(雰囲気は言うまでもなく最高、これは完成がますます楽しみになってきた)
ことり(みんな放課後という自由な時間を削ってやってるけど誰一人として嫌がってる人はいなかった)
ことり(これがことりの理想形であったんだ、みんな同じ気持ちを持って同じことに挑戦すること)
ことり(それが空白の一年に儚く抱いた叶わないはずだった願い)
ことり(それを今、感じているんだ)
163 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:54:22.36 ID:Ohmi38x40
穂乃果「ことりちゃん!一緒に帰ろう!」
ことり「うん!あ、じゃあ海未ちゃんも」
穂乃果「…あ、えっとね海未ちゃんは先帰っちゃったみたいで…」
ことり「そ、そっか…じゃあ一緒に帰ろっか」
穂乃果「うん!」
スタスタスタ
海未「…あれ?ことりと穂乃果知りません?」
凛「んー?ことりちゃんと穂乃果ちゃんなら先帰っちゃったけど」
海未「えっ…」
凛「何かあったんじゃない?」
海未「そうだといいですけど…」
花陽「あの二人に限って仲間外れなんて無いと思うから心配する必要はないと思うよ?」
真姫「ええそうよ」
海未「そ、そうですよね!」
164 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:55:16.05 ID:Ohmi38x40
海未「じゃあ私も帰りますね」
凛「はーい」
花陽「お疲れ様でした」
真姫「お疲れ様」
海未「お疲れ様でした、体調管理はしっかりしてくるように」
凛「はーい」
真姫「そっちこそね」
海未「当然です、それでは」
スタスタスタ
穂乃果「それでさことりちゃん、今日は神社寄ってかない?お祭り成功祈願!」
穂乃果「もうすぐだしどうかな?」
ことり「うん!いいよっ!」
穂乃果「じゃあいこっか!」
ことり「うん!」
ことり(帰り、穂乃果ちゃんと帰った)
165 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:56:37.75 ID:Ohmi38x40
ヒラヒラヒラ
ことり「あれ…」
穂乃果「ん?どうしたの?」
ことり「い、いやなんでもない」
穂乃果「?」
ことり(どこからともなく無数の花びらがひらひらと飛んでた)
ことり(別にそれに関しては何とも思わなかったけど、何か違和感を感じた)
ことり(空気の変化…なのかな、湿った空気が風と一緒に流れ出したような気がした)
穂乃果「後一週間だね…」
ことり「…あ、うん、そ、そうだね」
ことり「今日のダンス、大変だったね」
穂乃果「そうだね、でも頑張らないと!」
ことり「もちろん!」
穂乃果「…でもなんか安心したよ」
ことり「え?どうして?」
穂乃果「ことりちゃん、センターをちゃんとやってくれそうだなって思って」
ことり「もちろんだよっ」
166 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:57:52.27 ID:Ohmi38x40
穂乃果「頑張ってね、ことりちゃん」
ことり「うんっ!」
穂乃果「あ、階段だから気を付けてね」
ことり「分かってるよ」
スタスタスタ
ヒラヒラヒラ
ことり(神社に行くための階段を上ってる最中、何かを感じた)
ことり(ただその何かの正体が掴めない、ただ“さっきの何か”と違うのはもっと違和感が鮮明に感じられること)
ドクンッ
ことり(階段を一段上がるごとに、鼓動の音が大きく聞こえた)
ことり(最初こそ何も聞こえなかったのに、だんだんと…だんだんとだんだんと大きくなっていった)
穂乃果「よしっとーちゃくっ!」
ことり「!」ピタッ
穂乃果「ん?ことりちゃんどうしたの?」
ことり「あ、ううんなんでもない」
ことり(階段を上り終え境内に入ると急に違和感が消えた)
ことり(ことりの感覚がリキャストされたんだ)
167 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:58:51.30 ID:Ohmi38x40
スタスタスタ
穂乃果「…ねぇ覚えてる?」
ことり「何が?」
穂乃果「私とことりちゃんが会った時のこと」
ことり「う、うん覚えてるよお母さんが穂乃果ちゃんのお母さんが」
穂乃果「違うよ」
ことり「!」
穂乃果「そんな昔のことじゃない、もっと最近のことだよ」
ことり(ちょっぴり早く歩く穂乃果ちゃんを追いかけた)
ことり(さっきの穂乃果ちゃんと雰囲気が全然違ってそれはまるでいつもとは対極に存在する穂乃果ちゃんのようだった、ことりはその変化に困惑を隠せなかった)
168 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 01:59:53.07 ID:Ohmi38x40
ことり「な、何言ってるの?」
穂乃果「一週間経ったら言おうって思ったんだ」
ことり(穂乃果ちゃんの後ろを歩いてる最中)
穂乃果「だからお願い、ことりちゃん」
ことり(大きな赤い門をくぐろうとした時に)
穂乃果「真剣に聞いて」
ことり(ことりの見ていた世界は急に反転したんだ)
ことり「し、真剣に…?」
穂乃果「もう一回、そしてもっと詳しく言うよ」
穂乃果「ねえ覚えてる?私とことりちゃんが一週間前、ここで出会ったこと」
ことり「!」
ポツ…ポツポツ…
ザー…ザーザーザー…
ことり(雨が降り出した、これまた突然すぎる雨だった)
169 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:00:45.27 ID:Ohmi38x40
穂乃果「あの時もそうだったよね、雨が降ってた」
ことり「…」
穂乃果「その時、あそこのお賽銭を投げるところで雨宿りをしてたことりちゃんと何気ない感じで出会ったよね」
ことり「…うん」
穂乃果「疑問に思わなかった?」
ことり「何が…?」
穂乃果「私はどこから来たんだろうって」
ことり「!」
穂乃果「ことりちゃんは聞くべきだったんだ、いや聞かないほうがよかったのかもしれない…」
ことり「何…?どういうこと?!」
穂乃果「私はね…私はね…!」
ことり「穂乃果ちゃん…?」
ことり(胸をギュッと抑えて何かを言おうとしてた…いや、違う)
ことり(何かを吐き出そうとしてた)
ことり(もちろん吐瀉物とかそういうものじゃなくて、何か…そう何かを吐き出そうとしてた)
170 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:02:24.95 ID:Ohmi38x40
穂乃果「うっ…うぇっ…」
ことり「ちょ、ちょっと大丈夫?!」
穂乃果「ご、めんね…なんか急に気持ち悪くなって…」
ことり「と、とりあえず座ろう?」
穂乃果「いや…ダメ」
ことり「どうして?!」
穂乃果「ことりちゃんに言わなきゃならないことがあるから…」
ことり「言わなきゃならないこと…?」
穂乃果「ことりちゃん…私はね…」
穂乃果「………」ギリッ
穂乃果「後一週間しか生きられないのッ!!!」
ことり「はっ…?!」
穂乃果「…ごめん、最初は会ってから言うつもりだったんだ」
穂乃果「だけど、ことりちゃんの嬉しそうな顔見てたらそんなこと言うのが怖くなって…」
穂乃果「だから、一週間経ってから言おうって思ったんだ」
171 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:03:15.70 ID:Ohmi38x40
穂乃果「…ごめん、ことりちゃん」
穂乃果「私は後一週間しか生きられない」
ことり「何…どういうこと…?!」
ことり「どういうこと?!??!」
ことり(ことりの感情は一瞬にしてぐちゃぐちゃになった)
ことり(再び掴み取った穂乃果ちゃんという存在をまた、手放さなきゃならないなんてそんなの認められるわけないじゃん)
ことり(だから穂乃果ちゃんの両肩を掴んで迫るように言ったんだ)
172 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:04:16.38 ID:Ohmi38x40
穂乃果「元々私がこの世界にいられるのは二週間だけだった」
穂乃果「この、雨の季節…雨の季節の二週間だけ…この世界に帰ってくることが出来たんだ」
ことり「そんな…!せっかくまた会えたのに…!会えたのになんでまたいなくなるの?!」
ことり「ずっと一緒のはずだったじゃん!!」
穂乃果「ずっと一緒にいたかった…!私だってずっと一緒にいたかった!!」
穂乃果「だけど私はもう死んでる人だから!この世界にいることが間違ってるんだよ!」
ことり「間違ってないよ!!」
穂乃果「やめてよ!!!」
ことり「!」ピクッ
ことり(穂乃果ちゃんの間違ってるという言葉に対して間違ってないと食い気味に返したら同じように食い気味に返され突っぱねられた)
173 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:05:45.21 ID:Ohmi38x40
穂乃果「どうにか出来る問題じゃないの!だからこの一週間を、そして後の一週間を精一杯楽しもうとしたよ?!」
穂乃果「ねぇ私が病気を克服したって何なの?!私たちずっと一緒だったって何なのッ?!?!」
穂乃果「私知らないよ!!私は死んだ!私はあの一年間どこにもいなかった!」
穂乃果「それなのに…それなのに…!」ギリッ
穂乃果「なんでなの…?私をいじめるみたいにみんなが空白の一年のことべらべらと喋るんだ…!」
穂乃果「気持ちはことりちゃんと同じだったよ…?何が起こってるのか分からない、私自身だってそうだった」
穂乃果「でも…この二週間、どんな気持ちであっても私がいなくなることが決まってるっていうのなら、もし全てがまたなくなってしまうというのならこの二週間という奇跡の時間に」
穂乃果「精一杯感謝して、精一杯遊んで、精一杯本気を出すこと」
穂乃果「そして精一杯、死ぬまで、死んでもいいくらいに時間に抗いながら生きていくこと…それはなんも不思議ではないでしょ…?」
ポロポロ…
ことり「…っ」
ことり(穂乃果ちゃんの瞳は涙のせいで皮肉にも輝いてた)
ことり(何かの光に瞳に反射し、その光が左斜め上へと何回も何回も通過していった)
174 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:06:43.44 ID:Ohmi38x40
ことり「…」
ポロポロ…
ことり(怒り混ざった穂乃果ちゃんの涙とその顔が一つの剣となってことりの心に突き刺ささった)
ことり(そうするとことりは声も出せなくなって次第には…)
ことり「はっ……は…は…はっ…あぁ…はは…」
ことり(過呼吸になりだした、視界がぼやけ始めた)
ことり(動悸も酷くなり耳が遠くなった)
ことり(穂乃果ちゃんを確認する術が消えていった)
ことり「…いやっ!!!」
穂乃果「!」
ことり(ただ、前がよく見えなくても声が遠くなろうともコンディションが最悪だろうともことりも穂乃果ちゃんのように、死にもの狂いに抗った)
ことり(……考えるチカラを捨てて)
175 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:07:50.18 ID:Ohmi38x40
ことり「いやっ!いやいやいや!!いやっ!!!」
穂乃果「こ、ことりちゃん…」
ことり「いやー!いやだいやだ!やだ!!」
ギューッ
穂乃果「…ことりちゃん」
ことり「やだやだやだやだやだやだやだ!!!」
穂乃果「ことりちゃん」
ことり「いやだいやだ!やだっ!」
穂乃果「ことりちゃんっ!!」
ことり「!」ピクッ
穂乃果「やめてよ…やだっていってもどうしようもないんだから…!」
穂乃果「…でもことりちゃんが私に本音を言ってくれたのはすごく嬉しいよ」
穂乃果「だからさ、ことりちゃんの本音の気持ちに対して私も本音で答えるね」
ことり「…ぅえ……?」
176 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:09:18.37 ID:Ohmi38x40
穂乃果「…ことりちゃんはさ、小さい頃から自分が弱いって分かってるくせに人のことばっか心配してたよね」
穂乃果「何をやるにしてもまずは人の心配から、そうしていると自分のことなんか後回しにしちゃって自分が…ううんことりちゃんがどんどん他の人に埋もれていっちゃってたんだ」
穂乃果「それにことりちゃんはわがままだったよね、口にはしなかったけどいつも心の中でああしたいってこうしたいって思ってて、自分が意見を出していいって言われた時だけ色々いってさ」
穂乃果「…だからこそね、ことりちゃんが進んで本音を言ってくれるのはすごく嬉しい」
穂乃果「私たち、ずっと一緒にいたんだからさ…」
穂乃果「本音をぶつけあって仲良く出来る仲だと思うの、違う?」
ことり「…」
穂乃果「…ごめん、だからもう無理なんだ」
穂乃果「私は後一週間したらここにいないから」
ことり「…やだ」
穂乃果「ごめんね…」
ことり「いやだ」
穂乃果「どうしようも出来ないんだ」
ことり「いやだ」
穂乃果「ことりちゃんが何を言っても無理、それは変わらないよ…」
ことり「やだ」
177 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:11:04.62 ID:Ohmi38x40
穂乃果「お願い…もう…時間がないんだよ…」
ことり「やだ」
穂乃果「………」
ことり「や」
穂乃果「いい加減にして!!」
ことり「!!」
穂乃果「私だっていやだよ!家族と…みんなと…ことりちゃんともう一生会えなくなるなんてさっ!!」
穂乃果「やだなのは私だよ!ことりちゃんと同等に…ううんそれ以上に!!」
穂乃果「別れるのがイヤなのは私なの!穂乃果なのッ!!!!」
穂乃果「ことりちゃんだってさ…気付いたら私が消えてたなんていやでしょ…?」
穂乃果「だから今、一週間を残した今言ったんだから…!」
178 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:11:59.67 ID:Ohmi38x40
穂乃果「ことりちゃんだって…もう一生会えないってなった時、何も言わずに一生離れ離れなんていう…そんなさっ…」
穂乃果「そんな最悪の最後/最期はイヤでしょ!?」
穂乃果「お願いだよことりちゃんッ…!受け止めてよ…!」
穂乃果「受け止めてよぉ…!!」
ギューッ
ポロポロ…
ことり「……ぁ」
ことり(穂乃果ちゃんの本音、そして心からの叫びだった)
ことり(一生隣にいてくれると思ってたことりの太陽、ことりはそれをただの打ち上げ花火と錯覚してたのかもしれない)
ことり(ことりはずっと朝の来ない夜を見てたから、夜だからこそ打ちあがって弾ける花火はとてつもなく明るく感じたのかもしれない)
ことり(もし、夜の来ない朝を今まで描いてたっていうなら穂乃果ちゃんは笑ってくれるかな)
ことり(儚く散る打ち上げ花火を太陽だと思ってた話をみんなに聞かせたら、みんなはどう感じてくれるのかな)
ことり(分からない、分からないよ)
179 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:12:44.49 ID:Ohmi38x40
ことり(そしてことりはこの太陽が消えることを受け止められるのかな?)
ことり(答えは無理、そんなのできっこないよ)
ことり(…ただ、ことりがどうにか出来る問題じゃなかった)
ことり(助けたいのに、離れたくないのにことりはそれをただそんな今にも消えそうな泡沫の穂乃果ちゃんの傍にいることくらいしかできなかった)
ことり(そうこうしてるうちにこの何とも言えない二人だけの時間に楔が打たれた)
希「なに…して…るん……?」
180 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:14:02.39 ID:Ohmi38x40
ことり「!」
穂乃果「!」
希「きょ、今日バイトやったからここでお仕事してたんだけど急に怒鳴り声が聞こえて…」
穂乃果「あ、えっと…」
ことり(希ちゃんがやってきた、ここにきて場の空気の悪さに気付いたのか目を泳がせながらしゃべってた)
穂乃果「…ごめんなんでもない、ただちょっと喧嘩しちゃっただけ」
希「そ、そっか…仲直りはしたの?」
穂乃果「…まぁ」
ことり「ひぐっ……」
希「…してないよね?」
穂乃果「…まぁ」
ことり「ぐすっ…」
希「………」
181 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:16:23.04 ID:Ohmi38x40
穂乃果「…とりあえず今日は帰るよ」
穂乃果「ばいばい、希ちゃん、ことりちゃん」
穂乃果「ごめんね、ことりちゃん」ボソッ
ことり「ま、まっ…!!」
ことり(声がでなかった、足が震えてどこかに穴でもあるんじゃないかと思うくらいにスーッと力が抜けてった)
ズキッ
ことり「っ!!」
希「ことりちゃん?!」
ことり(胸が、心臓がすごく痛かった)
ことり(これが今のことりの傷の痛みとでもいうのかな)
ことり(溜まりに溜まってたのに気付かないふりをしていた分の傷が沁みてるのかな)
182 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 02:17:58.12 ID:Ohmi38x40
ことり「ま…まっ…て…!」
ことり(胸が痛いから下を向くたびに、雨に濡れる穂乃果ちゃんが遠ざかっていった)
ことり(ことりはその後ろ姿を追うことが出来なかった)
ことり(枯れた落ち葉がひらひらと飛んでた)
ことり(次第にことりの視界は黒くなった、穂乃果ちゃんがいなくなって意識を保とうと頑張る必要がなくなっちゃったから)
ことり「あ…ぁ…」
バタッ
希「こと…ちゃん?!…と…ちゃ…!!」
ことり(希ちゃんの声が遠ざかっていった、それだけでことりの意識も遠ざかっていく自覚が持てた)
ことり(そこからは何も知らない、ことりも完全に意識を切り離しちゃったから何が起こったのか全く分からないままだった)
183 :
◆iEoVz.17Z2
[sage]:2017/09/13(水) 02:19:23.72 ID:Ohmi38x40
一旦中断します
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/13(水) 02:38:18.55 ID:+L8tcpPz0
よく長時間投下したな
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/13(水) 07:48:57.60 ID:1FSjnviyO
相変わらず長いなおい
186 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 19:53:48.79 ID:Ohmi38x40
ことり「ん……」
ことり「ここは…」キョロキョロ
ことり「…どこ?」
希「あ、目が覚めた?」
ことり「希ちゃん?!」
希「ここはウチの家、今日は泊まってっていいよ、ことりちゃんのお母さんにも言っといたから」
ことり「えっ…でも…」
希「大丈夫大丈夫、それに」
希「何があったか聞きたいし」
ことり「……」
希「ま、ゆっくりしてって?何かあったら言ってね、出来る限りのことはするから」
ことり「う、うん……」
ことり「…」
ことり(目が覚めたら希ちゃんの家にいた)
ことり(急に意識を失ったからきっと希ちゃんの家にまで連れてってもらったのだと思う)
ことり(可愛いお人形さんが置かれてるベッドで目覚めて、周りを見渡せば可愛らしい小物がいっぱいあって正直希ちゃんらしくないな、でもなんだか可愛いなって微笑んでた)
187 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 19:54:39.52 ID:Ohmi38x40
希「や、やめてやあんまり部屋じろじろ見るのは〜」
ことり「ご、ごめん…でもなんか可愛いね、希ちゃん」クスクス
希「も、もー!からかうの禁止!」
ことり「はーい」
希「そ、それでさ話をぶった切って単刀直入に聞くけど」
ことり「…!」
希「何があったん?」
ことり「………」
ことり(穂乃果ちゃんの本当のこと、もとい後一週間しか生きられないという事実を話そうか迷った)
ことり(だってこれは空白の一年に創られた記憶が埋め込まれてる希ちゃんにとってはあまりにも無理矢理すぎる話、それに穂乃果ちゃんのためにも話すのは危ないこと)
ことり(そう頭の中で収束させたことりは希ちゃんにこういった)
ことり「…希ちゃん」
希「何?」
ことり「…ちょっと前に本を読んだんだ、一週間前」
希「…?う、うん」
188 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 19:56:16.87 ID:Ohmi38x40
ことり「その本にはね、こう書いてあったんだ」
ことり「後一週間しか生きられない親友がいたら、あなたはその親友と何をするのか」
ことり「…希ちゃんなら何をする?」
希「…ふむ」
希「んーと、その親友はもうどうしようも出来ないの?例えば過酷な山奥にある果実を食べたら寿命が延びる!みたいな」
ことり「そ、そんなファンタジーな話じゃないよ、ただ…そうだな…不治の病みたいなものだよ」
希「あーなるほどね」
希「じゃあ場所は現実世界なわけだ」
ことり「そうそう」
希「そっか、それならウチはその親友と残りの一週間、出来ることで精一杯楽しむかな」
ことり「えっ…」
希「ん?何かおかしいこと言った?」
ことり「悲しくないの…?」
希「うーん…悲しいけど、そこで立ち止まってたらその子の最期は最悪やん?」
ことり「!!」
穂乃果『そんな最悪の最後/最期はイヤでしょ!?』
希「その子のために、残りの一週間を一緒に楽しむのが親友としての役目じゃない?」
ことり「…うん」
189 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 19:58:20.48 ID:Ohmi38x40
ことり「どうしてそんな早く決められるの?」
希「そんなの簡単じゃん、答えがそれしかないからだよ」
希「今言った通りその子のために残りの一週間を楽しむことが親友の役目、逆に聞くけどことりちゃんはそれ以外に答え、あるの?」
ことり「えっ…」
ことり(答えなんてなかった、だから希ちゃんに救いの手を伸ばした)
ことり(それなのに希ちゃんはいとも簡単に答えを出してきた)
ことり(この差はなんだろう)
ことり(何が影響してこの差が出るんだろう)
ことり(それに、答えが一つしかないっていうのも驚きだ)
ことり「ことりは…答えなんてなかった…」
ことり「ただ…希ちゃんに聞きたくて…」
希「…そっか」
希「…分かった、ご飯にしよっか!」
ことり「え?」
希「もう言わなくてよしっ!ほらほら明日もダンスレッスンあるんだからよく食べなよー?」
ことり「あ、うん」
ことり(ことりの顔を見て察したのか、それとも話の内容で何かを感じ取ったのか、とにかくよく分からないけど希ちゃんはキッチンの方に向かっていった)
190 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:00:09.75 ID:Ohmi38x40
ことり「…!」
ことり(ふと、枕に下に写真があることに気付いた)
ことり(中学時代のことりたちの写真だった、みんな幸せそうな笑顔をしてた)
ことり(そんな写真を見てふと思ったんだ)
ことり(穂乃果ちゃんが消えてなくなるまでにことりと穂乃果ちゃんは何回笑いあえるんだろうって)
ことり(分かりそうで分からない疑問がことりの頭を駆け巡ってた)
ことり(だって答えなんて簡単じゃん)
ことり(答えは分からない、で済むはずなのに)
ことり(その答えさえも疑ってしまうほど、今の状況と心境は深刻なのかもしれない)
希「その写真、懐かしいね」
ことり「!」
希「勝手に人の枕の下を見ちゃダメだよ?」
ことり「ご、ごめん…」
希「別にいいよ、とりあえずもうご飯は作ってあるから食べよ?」
ことり「う、うん!」
スタスタスタ
ストンッ
希「今日はことりちゃんもいるから頑張ってカレー作ってみたんよ、召し上がれ」
ことり「いただきます」
191 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:02:16.09 ID:Ohmi38x40
希「はいっいただきます」
ことり「…」パクパク
希「どう?」
ことり「おいしいよ!」
希「えへへ…ならよかったよ」
ことり「ん」パクパク
希「ねえことりちゃん?」
ことり「ん、何?」
希「…ウチ今という一瞬でちょっとだけ考えたんだけど、話していいかな?」
ことり「…何を?」
希「あ、ごめんごめん、さっきことりちゃんが言った親友のお話」
ことり「あ、うんいいよ」
希「ありがとっじゃあ話すね」
希「まずさことりちゃんに聞きたいんだけど」
ことり「?」
希「その物語は最終的にどうなっちゃうの?」
ことり「……分からない、最後まで読んでないから」
希「…そっか、なるほどね、うんうんなるほどっ」
希「つまりことりちゃんは今、展開の読めないストーリーにもどかしい気持ちを抱いてるわけか」
ことり「…うん」
192 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:04:15.21 ID:Ohmi38x40
希「…そっか、それならやっぱりそうだよ、ことりちゃん」
ことり「何…?」
希「例えばさ、ことりちゃんが今からウチとそこのベランダから身を投げたとしよう」
ことり「…うん」
希「ことりちゃんとウチは地面に叩きつけられて即死、つまりこの世界にはもういないんだ」
ことり「…」
希「じゃあもし来世があるとしよう」
希「ウチとことりちゃんはほぼ同時に死んだから来世で産まれる時もほぼ同時で産まれる、という理屈で話を通したとして」
希「そこでウチらが出逢う確率って何%なんかな?」
ことり「なんぱーせんと…」
希「小数点はおろか、もっともっともーっと低い確率だと思うよ」
希「そうと分かって、来世で逢えるなんて確証がないのに今を無に帰させてるなんてただのバカがすることやん?」
希「残り一週間しかないなら、その出逢い/出会いに感謝しなきゃ」
希「その一週間を全力で楽しまなきゃ」
193 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:06:30.79 ID:Ohmi38x40
希「悲しいことなんて後回しでいいんだよ、夏休みの宿題だって最後の日にやればいいんだよ」
ことり「…!」ウルッ
希「…なんて、物語に夢中になっちゃったけど」エヘヘ
希「もし、本当にそういうことが起こったらウチはそうするかな」
希「それが相手のためでもあるし、自分のためでもあるから」
希「…これがウチの意見の全てかな!」
ことり「ありがとう…ありがとうっ!」
希「おおぅ…よ、よくわからんけど何かになったならよかったよ」アハハ
ことり「うんっ!」
ことり(全体的な解決になってないけど、気持ち的な面では救われた気がした)
ことり(希ちゃんにだいったんに背中を押してもらった)
ことり(これが希ちゃんのすごさだよ、これが希ちゃんのチカラだよ)
ことり’(改めてそう感じた)
希「さてっご飯に戻ろっか」
ことり「うん!」
希「ことりちゃんセンター頑張ってなー?」
ことり「う、うん!」
希「練習は真剣にやって本番楽しめばいいんよ」
希「ウチらも結構順調だから、ことりちゃんはことりちゃんの問題を抱えて頑張ってな?」
ことり「う、うん」
194 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:09:10.21 ID:Ohmi38x40
希「よーしっ!この後お風呂!ちゃちゃっと食べてちゃちゃっとお風呂入っていっぱいあそぼっ!」パクパクッ!
ことり「は、はやいよ〜…」
ことり(その後、お風呂に入った)
ことり「ふう〜…」チャプンッ
ことり(そして入ってる時に考えた)
ことり「…今思えば、自分のこと…全然見てなかったな……」
穂乃果『…ことりちゃんはさ、小さい頃から自分が弱いって分かってるくせに人のことばっか心配してたよね』
ことり「…」
ことり(ホントのこと言えば別にそんなつもりはなかった)
ことり(ただ単に、穂乃果ちゃんが、みんなが眩しくて綺麗で明るくて、そんな何かに魅了されてしまって自分のことになんか目も当てられなくて)
ことり(ふと下を見ても自分の足元さえ見えずに、ただ…ただただみんなの背中を追いかけてきたから自分の心配なんて出来るはずがなかった)
ことり「…よしっ」
ことり(とりあえず覚悟を決めて、明日…明日穂乃果ちゃんと真剣に話し合う…いや、違う)
ことり(明日は穂乃果ちゃんと全力でぶつかり合おうと思う)
グッ
ことり(今はちゃんと全身に力が入る、あの時みたいに置いていかれる心配もない)
195 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:10:28.51 ID:Ohmi38x40
ことり「………」
ガララ
希「おっじゃましまーす!」
ことり「?!」
希「いやー待てなくてきちゃった!」
ことり「い、いや来ちゃったじゃないよ?!」
希「いいやんいいやん女の子同士なんだから!」
ことり「そ、そういう問題じゃ!」
希「裸の付き合いっていうやろ?せっかく今日はお泊りしてくれるんだからお風呂だって一緒に入りたいやん」
ことり「そ、そうかなぁ…?」
希「そうやで?」
ことり「ま、まぁいいけど…」
希「よしよしっ」
ことり(希ちゃんが突然裸でお風呂に入り込んできた)
ことり(希ちゃんは一度心を開示するとどこまでも突っ走ってくるから、こういうところではデリカシーの欠片もない)
ことり(まぁとりあえず希ちゃんとお風呂に入った、日常会話をしてあははと笑いあってそんな中でやっぱり希ちゃんはすごいなってそう思うばかりだった)
ことり(だからみんな、そんなすごいチカラを持ってるんだろうな、なんてちょっと考えてた)
196 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:12:26.10 ID:Ohmi38x40
ことり(それでお風呂から出て勉強したり何気ないことをしてたらあっという間に深夜だった)
ことり(ベッドは一つしかないから希ちゃんの隣で寝ることになった)
ことり(そんな家の明かり全てを消して眠りにつこうと思った時のこと)
希「…ことりちゃん、起きてる?」
ことり「ん…何?」
希「今日、聞きたかったこと…実はもっといっぱいあったんだ」
ことり「…」
希「…でも、今はいいよ」
希「きっとことりちゃんにも事情があると思うから、今は聞かなくていい」
希「…だけどいつか聞かせてほしいな、いつか」
希「ウチもことりちゃんの言ってたストーリー、続きが、終わりが超気になるからさ」
希「完結したら、それも是非教えてな?」
ことり「…うん」
ことり(背を向け合ってたからあまり細かいことは分からないけど、希ちゃんは多分無理した笑顔をしてたと思う)
ことり(希ちゃんの声は実に儚げで、何故か切なく感じてしまう笑い混じりの声だった)
ことり(そう感じていると、希ちゃんも心底ことりと穂乃果ちゃんのことを心配しているようで、空元気ではないけどそれにものすごく近いものをことりはみせられてるのかもしれないと思った)
197 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:14:27.57 ID:Ohmi38x40
ことり「…ありがとう、希ちゃん」
ことり「でも…大丈夫だよっきっと明日には…解決してるから」
希「…そっか」
ことり「ことりの読んでた物語はね、ものすごく短いけど…でも一日にちょっとしか物語を進められなくて…読み終えるのに最低でも後一週間はかかるんだ」
希「分かった、じゃあそれまで待つよ」
希「聞きたいことも、ストーリーのことも」
ことり「…うんっ!」
ことり(希ちゃんも安心してくれたみたいで、無理してる感はなくなった)
ことり(だからことりも安心しちゃって今日の疲れがどっと押し寄せてきてすぐに眠りについちゃった)
ことり(そして気が付けばもう朝だった)
ことり「おはよう!」
希「おはよ〜」
凛「あ、ことりちゃん希ちゃんおはよっ!」
花陽「おはようことりちゃん希ちゃん」
ことり「今日も練習頑張ろうねっ」
凛「もちろんっ!!」
希「ごめん、生徒会関係でちょこっとお仕事あるからウチは先にいくね」
ことり「あ、うん!」
凛「いってらっしゃい!」
花陽「いってらっしゃい」
希「あーいよ!」
タッタッタッ!
198 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:15:49.39 ID:Ohmi38x40
ことり「ことりたちもいこっか」
花陽「そうだね」
凛「うん!」
スタスタスタ
花陽「…あ、真姫ちゃんだ」
凛「ホントだ!おーい!真姫ちゃーん!」
タッタッタッ!
ことり「あ、ちょっと!」ダッ
グイッ
ことり「!」
花陽「待ってことりちゃん」
ことり「どうしたの?」
花陽「ねぇことりちゃんってさ」
ことり「…?」
花陽「何か問題を抱えてるでしょ?」
ことり「?!」
199 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:18:12.75 ID:Ohmi38x40
ことり「ど、どうしてそう思うの?」
花陽「なんか…苦しそうに笑ってるから」
ことり「苦しそうに…」
花陽「うん…私も何かあってもみんなの前じゃ普通を演じてたいから…ことりちゃんの気持ちは痛いほど分かるんだ」
ことり「そ、そっか…」
花陽「…何があったの?」
ことり「……」
ことり(返答に困った、穂乃果ちゃんと喧嘩したなんて言って花陽ちゃんに不安を抱かせたくない、そのためにはどう返答すればいいんだろう)
ことり「…あのね」
ことり(だからこう返答した、勘のいい花陽ちゃんならすぐ察してしまうかもしれないけどことりはこう返したんだ)
ことり「一週間前、物語を読んだんだ」
花陽「物語…?」
ことり「うん、親友が残り一週間しか生きられないとしたらあなたは何をするのかっていう物語」
花陽「余命一週間か…」
200 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:20:41.66 ID:Ohmi38x40
ことり「…うん、花陽ちゃんならどうする?」
花陽「え…私か…」
花陽「うーん…私は最後の最期まで楽しく過ごしたいかな」
ことり「!」
花陽「悲しいことは全部後にして、その人が死ぬまではずっとずっとずーっと!楽しい時間で一緒にいたい」
花陽「きっとその親友の人だって、最悪な最期は望んでないから…」
花陽「それに、その親友の人のためだけに出来ることなんてそのくらいしかないから」
ことり「!!」
ことり(ビックリした、希ちゃんと全く同じ答えを返された)
ことり(心の中だけに溜めておくことが出来なくて思わず目を丸くしてた)
花陽「…?もしかしてことりちゃんの友達にはそういう子がいるの?」
ことり「…その…えっと…どうだろうね…」
花陽「…そっか、なら答えは一つしないと思うよ」
201 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:22:55.92 ID:Ohmi38x40
ことり「えっ…」
花陽「その人のために最後の最期まで全力で走ることがその人に出来る唯一のこと」
花陽「無理なんて重々承知でとにかく前へ進むこと、むしろ限界なんて恐れないくらいに突っ走ること…」
花陽「いなくなっても悔いのないように楽しく過ごすことがことりちゃんにとって最高の選択だと私は思う」
ことり「最高の…選択…」
花陽「そうだよ」
花陽「…これが私の勘違いだったらただの痛い人だけどもしこれが違っても、ことりちゃんが別のことで悩んでいても私は…ううん…」
花陽「小泉花陽はことりちゃんを全力応援したい!」
ことり「!!」
花陽「私、いつもは言いたいことが言えなくて…心の内に溜めとくけどもし言いたいことが言えるならその人と本気でぶつかり合いたい、本気でぶつかって本気で笑いあって本気で怒り合って本気で泣きたい!」
花陽「だから…本気でことりちゃんに言うけど、私はことりちゃんのこと死ぬほど大好き!いいやみんなことりちゃんのことが超大好きだと思う!」
ギューッ
ことり「えっ…」
花陽「えへへ…もちろんそんな変な意味はないよ?でも私の大好きなお米より好き、だからそんなことりちゃんに悲しい顔をしてほしくないの」
花陽「ことりちゃんが今悩んでること、失敗とかそんなの恐れずにとにかく前へ走ってほしいの」
花陽「だってみんなが隣にいるんだもん!私たちは死なないから!死なないからこそ、失敗したんだったら、迷ったんだったらいつでも隣にいる私たちに頼ってほしいの!」
ことり「っ!」ウルッ
202 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:24:22.83 ID:Ohmi38x40
花陽「…えへへ、だから…頑張ってことりちゃん」
花陽「“本当の”小泉花陽は、みんなに“本気の”エールを送る人だから♪」
ことり「花陽ちゃん…!」
ギューッ
花陽「わぁ…苦しいよぉ」
ことり「ありがとう…ありがとう…!!」
ことり(これが花陽ちゃんのチカラだと思った、穂乃果ちゃんにも負けない前向きな心と素直な言葉で相手の背中を押す優しい心の持ち主だ)
ことり(このチカラは花陽ちゃんだけにしかないチカラだよね、本気で相手を思う気持ち、本気で相手を応援する気持ち、相手のこと本気で理解する気持ち、本気で何かをしてあげる気持ちを持ってること)
ことり(それは実に花陽ちゃんらしくて、花陽ちゃんの最高のチカラだと思う)
ことり(感受性がすごくて人を理解する心があって観察眼が凄まじくてとにかく心の広い持ち主だから、ただそれを表に出さないだけでもしいつでも表に出してる状態だったらきっと穂乃果ちゃん並みの名声があったと思う)
ことり(…だからちょっとだけもったいないな、なんて思っちゃった)
ことり(まぁとにかく希ちゃんに、そして花陽ちゃんにも背中を押してもらってことりという自分に自信が持てた)
ことり「ありがとう、花陽ちゃん」
ことり(だからこの背中を押してもらって進んだ二歩を無駄には出来ない)
203 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:26:02.71 ID:Ohmi38x40
タッタッタッ
ことり(急ぎ足で、そして走ることりの向こう側にいる穂乃果ちゃんの背中にぶつかってみようと思う)
希『その子のために、残りの一週間を一緒に楽しむのが親友としての役目じゃない?』
ことり(ことりも気持ちは同じ)
花陽『無理なんて重々承知でとにかく前へ進むこと、むしろ限界なんて恐れないくらいに突っ走ること…』
ことり(花陽ちゃんに勇気をもらったんだから、失敗なんて、限界なんて恐れない)
ことり(場所は正門ら辺から人気のない廊下へ移った)
ドンッ
穂乃果「ことりちゃん…?」
ことり「ご、ごめん前見てなくて…」
穂乃果「そ、そっか…」
ことり「うん…」
穂乃果「………」
ことり「………」
ことり「あのね」
穂乃果「あのさ」
ことほの「!」
204 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:27:30.99 ID:Ohmi38x40
穂乃果「…先いいよ」
ことり「……じゃあ先言うね」
穂乃果「うん…」
ことり「昨日のことで…いっぱい考えたんだ」
穂乃果「…」
ことり「ことりはこれからどうするべきなのかって、ことりは穂乃果ちゃんとどう向き合えばいいんだろうって」
ことり「…正直、ことりだけじゃよく分からなかった」
ことり「けど、ことりには仲間が、親友がいたから分かったんだ」
ことり「穂乃果ちゃん」
穂乃果「…はい」
ことり「ことりは…ことりは…」
ことり「ことりはこの一週間を穂乃果ちゃんと全力で楽しみたい!!」
穂乃果「!」
ことり「穂乃果ちゃんと本音でぶつかり合いたい!やり残しがないように精一杯遊びつくしたい!最後の最期まで突っ走っていたい!」
ことり「これがことりの答えだよ!どう?!」
穂乃果「…バッチリだよ、ずっと…ずっとそう言ってほしかったんだ…」
ポロポロ…
205 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:28:39.36 ID:Ohmi38x40
穂乃果「やっぱり…ことりちゃんが一緒にいてくれてよかった…!」
ギューッ
ことり「ことりも…!ことりも穂乃果ちゃんが一緒にいてくれてよかった!!」
穂乃果「私ね…怖かったんだ、ことりちゃんをまたイヤな気持ちにさせて…この二週間が最悪なものになっちゃうんじゃないかって…」
ことり「違う…!そんな、そんなことない!ことりだってあんなわがままみせちゃって…穂乃果ちゃんがイヤイヤになってると思ってずっと悩んでて…」
穂乃果「ううん、私だって違う」
穂乃果「…でもある意味私はことりちゃんを信じてたのかもしれない」
穂乃果「きっと私のこと受け止めてくれるって、きっと本当のことりちゃんに気付いてくれるって」
ことり「本当のことり…?」
穂乃果「うん!気付いてなくても、まだいいよまだ…」
穂乃果「きっと近いうちに気付くから」
ことり「う、うん…?」
穂乃果「…あはは、なんか安心して、嬉しくて涙が出ちゃうよ」
ポロポロ…
ことり「えへへ…ことりも…」
ポロポロ…
206 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:29:51.51 ID:Ohmi38x40
穂乃果「あははははっ」
ことり「えへへへへっ」
ことり(その時は本気で笑いあえてたと思う、それに本気で泣けてたと思う)
ことり(本気でうれし涙を流したとことりは思う、このことりの想い…届いたと思う)
ことり(穂乃果ちゃんも嬉しそうだった、だからとにかくその時は泣きながら笑いあった)
穂乃果「ことりちゃんがその気になら私も、精一杯楽しむ!」
穂乃果「ことりちゃんには本音でぶつかり合うし最後の最期まで突っ走るよ!」
穂乃果「だから…この残りの一週間…ホントに…ホントに…ほーんとに悔いのないようにしよう?」
ことり「…うんっ!」
穂乃果「残りの一週間、精一杯楽しめるようどうぞ、よろしくね」
ことり「もちろん!よろしくねっ!」
ギューッ
ことり(抱き合ってた状態だけど、抱き合うことりと穂乃果ちゃんに再び力が入った)
ことり(窓の外をチラッと見ると赤い花びらがひらひらと飛んでた)
ことり(すごく幻想的で、また誰かの心情を表してるようにも感じた)
207 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:31:17.80 ID:Ohmi38x40
キーンコーンカーンコーン
穂乃果「あ、いけない早く戻らないと!」
ことり「う、うん!」
ギュッ
ことり「!」
穂乃果「いこっ!」
ことり(強く手を握られた、ほのかな高揚感がことりの全身をかけて太陽の温かみを直で感じてた)
ことり(それからは昨日よりもずっとずっと明るい時間だった)
ことり(精一杯楽しむからには疲れるなんて概念はどこにもないんだから、悔いのないようにするってことはやれるところまでやるってことなんだから)
ことり(そこからのことりと穂乃果ちゃんはいつだって本気モードだった)
海未「…?何かありました?」
穂乃果「ううん!何もないよ!」
海未「しかしですね…ダンスのキレも歌唱も昨日とは別人レベルで…」
絵里「それはことりも同じよ」
ことり「えへへ」
真姫「なんかあったの?」
ことり「ううん!ただやる気が昨日よりあるだけ!」
穂乃果「そうそう!私もそんな感じ!」
208 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:33:10.56 ID:Ohmi38x40
希「…ふふっだってよみんなーウチらも負けてられんよ?」
花陽「その通りです!私たちも頑張りましょう!」
凛「おぉ…!二人ともやる気にゃ…」
にこ「闘志を感じられるわね…」
海未「ですがやる気があるのはいいことです!みんなもやる気を出していきましょう!」
のぞことほのぱな「おー!」
真姫「お、おー?」
凛「おー!」
にこ「あーい」
絵里「ふふふっ」クスッ
ことり(練習はより楽しい時間に変わってた)
ことり(コンディションがバッチリだからダンスも歌もよく出来るし雰囲気もすごくいい、この上ないくらいに今を楽しんでた)
ことり(そして気付けばあっという間に帰りだった)
穂乃果『今日は希ちゃん絵里ちゃんにこちゃんと死ぬほど遊んでくるから先帰るね!』
ことり(穂乃果ちゃんはそう言ってあの三人を強引に引っ張って帰ってった)
209 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:35:33.74 ID:Ohmi38x40
ことり(だから、今日は海未ちゃんと二人だった)
スタスタスタ
海未「今日のことりはいつもとは段違いで輝いてましたよ」
ことり「そ、そう?」
海未「ええ、何かいいことありましたよね?」
ことり「まぁね」フフンッ
海未「私に教えてはくれないのですか?」プクー
ことり「んー秘密!」
海未「あ、酷いです!教えてくれてもいいじゃないですか」
ことり「だーめっ」
海未「もう…」
海未「…でもことりはホントにスッキリとした顔になりましたね」
ことり「え?」
海未「一週間前からでしょうか?なんとなく違和感を感じてたんです、ことりの顔に」
ことり「ことりの…顔?」
海未「感覚的な問題ですよ、いつものことりとはなんか違うなって思ったんです」
海未「歪がある…というかしこりがあるような顔をしてて、ですがことりは何か面白いことが会った時は本当に嬉しそうに笑うんです」
海未「ですが違和感は消えませんでした、あんないい笑顔をしてるのにどうしてでしょうと思いました」
海未「…ですがいい顔になりましたね、ことり」
ことり「えへへ」
210 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:38:12.37 ID:Ohmi38x40
海未「まったく…挙句の果てには穂乃果までことりとおんなじ違和感を感じさせてたんですから心配させないでください」
ことり「あはは…ごめんね」
海未「…ことりと穂乃果の間での問題なんでしょう?」
ことり「…うん、そうだね」
海未「ことりと穂乃果の顔が晴れたのは嬉しいですが、穂乃果とことりの問題に私が関われないのは少し……残念です…」
ことり「あっ…」
ことり(泡沫の笑顔をして下を向いて両手の人差し指を合わせツンツンしてた)
ことり(少し、という言葉の後の海未ちゃんは何か言いたげだった、喉にまで上がってた言葉だったけど次に出た言葉はその言葉じゃなくて残念という言葉だった)
ことり「あ、えっとそういうわけじゃないんだよ?そんな巻き込みたくなくて」
海未「分かってます、ですが何故か心にきてしまって…」アハハ
ことり「海未ちゃん…」
海未「ふふふっ私の悪いクセなんです」
海未「迷惑だって分かっていてもどうしても関わりたくなってしまって…穂乃果にはこんなこと言えませんけどね、私は二人の仲がこじれるのがとても怖いんです」
ことり「…!」
211 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:40:45.46 ID:Ohmi38x40
海未「…普段は穂乃果にあーだこーだ言ってますけど、正直いってあれも言った後に激しく後悔してしまうんです」
海未「考えすぎかもって思うんですけどやっぱり同じ事を毎回考えてしまうんです」
海未「明日穂乃果がいなくなったら、私は一生後悔してしまうのではないのかと」
ことり「!!!」
海未「でも、もし明日死ぬって分かってたなら話は違うんです、縁起でもない話ですけどもし穂乃果が明日死ぬとしてそれが分かれば私は穂乃果に精一杯のお礼をします、もちろん言葉だけじゃなくて態度でも行動でもお礼をします」
海未「ただ…もちろん穂乃果は明日に死なないですし私もそんな素直なことを穂乃果にさらけ出すなんてことは出来ません、もちろんそれはことりにもみんなにも」
海未「だからこそ私はみんなの役に立ちたいんです」
海未「正直に言えば今回の件は悔しいです」
海未「こんなのただの痛い勘違いだって分かってるんですけど私はこうあるべきだ、と思うんです」
海未「お節介なくらいが私らしいと」
海未「ですから私は無理やりにでも穂乃果とことりの問題に介入したかったです」
212 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:42:55.39 ID:Ohmi38x40
海未「…そしてこれはことりにだけお話するのですが」
海未「本当の私というのは、全てを元通りにしたがる平和主義者なのではないか、と思います」
ことり「平和主義者…」
海未「逆にそれが私のチカラでもあります、これは私自身小さい頃から自覚を持ってきたことなので自信を持って言えますが私は―――――――」
海未「あのメンバーの中では誰よりも相手を思う気持ちと相手を理解する気持ちを持っていると思ってます」
ことり「………」
海未「私は友達もあまりいませんでしたしそういう人間関係はかなり大切にしてきたつもりでしたから」
ことり「う、うん…」
海未「…ってなんで私こんな話してるんでしょう…すいません」
ことり「…」
海未「…まぁ何が言いたいのかというと」
海未「困った時は、泣きたい時は、縋りたい時はいつでも頼ってください」
海未「私はことりの困り果てた姿なんて見たくありませんから、もちろんみんなのもそうですけど」
213 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:44:49.58 ID:Ohmi38x40
ことり「海未ちゃん…!」ウルウル
ギューッ
海未「もう…ことりも穂乃果に似てきましたか?」クスッ
ことり「からかわないでよぉ…」ポロッ
海未「何があったかはわかりませんが、とりあえず解決したみたいでよかったです」
海未「これから頑張っていきましょうね?」
ことり「うんっ!」
ことり(海未ちゃんのチカラ、それは優しすぎること)
ことり(みんなのチカラ、形程度ならなんとなく分かってるつもりだったけどいざ触れてみて分かるんだ)
ことり(みんな眩しすぎるチカラを持ってるんだなって)
ことり(穂乃果ちゃん言ってたよね)
ことり(こんな数えきれない花びらがあるのにそんな中で穂乃果ちゃんはことりという花びらを掴んだ、と)
ことり(つまりはそういうことなんだ、ことりと海未ちゃんが出逢ったのだって、ことりがみんなと出逢ったのだって奇跡なんだ、夢みたいな出来事なんだ)
ことり(こんな夢みたいな出来事が起こってることに驚きと喜びを感じ続けたんだ)
214 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:46:12.70 ID:Ohmi38x40
ヒラヒラヒラ
ことり「!」
海未「花びら…?ここら辺にこのような花びらが散る花は…」
ことり(ふと、ひらひら落ちる花びらを掴んだ)
ことり(これがみんなとの出逢いなんだろう)
ことり(何気ない感じだけど、その何気ない感じにとんでもないほど低い確率の奇跡が存在して人生の一生を変えてしまうほどの運命がそこにはある)
ことり「ふふふっ」
ことり「ねえ海未ちゃん!」
海未「なんでしょう?」
ことり「近いうち…うーんと後一週間以内に穂乃果ちゃんと海未ちゃんとことりの三人でどこか遊びにいこうよ!」
海未「いいですね!是非行きましょう!」
ことり「うんっ!」
ことり(一週間後、そこには二度目の人生最大の悲しみが待ってるというのにことりは呑気だった)
215 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:47:37.33 ID:Ohmi38x40
ことり(ただ、これでいいんだ)
ことり(これが穂乃果ちゃんの望んだこと、海未ちゃんの望んだこと、希ちゃんの望んだこと、花陽ちゃんの望んだこと)
ことり(ことりが望んだこと)
ことり(この一週間、悔いのないように楽しむことが今ことりのやるべきことだと決心がついたんだ)
ことり(だからこそ後一日と後一日と時間を求めてしまうから、時の流れは無情にも早く感じるようになっちゃうんだ)
216 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:49:05.82 ID:Ohmi38x40
〜次の日
にこ「ああぁ……」ゲッソリ
凛「うわー…にこちゃんどうしたの…」
ことり「随分疲れたみたいで…」
にこ「当たり前よ…あいつよ…あいつのせいよ…」
凛「あいつ?」
にこ「穂乃果しかいないじゃない…あいつが昨日放課後から私たち三年生三人を連れてかっ飛ばしたせいで今日にまで影響してるのよ…」
ことり「かっ飛ばしたって…」
凛「バイクにでも乗ってきたの?」
にこ「まさかそんなわけないでしょ、デザート屋でなんか食べたりアクセサリーショップで色々見たり…あぁそうよゲーセンで暴れまくったせいだわ…」
ことり「暴れまくったって…」
217 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 20:56:46.39 ID:Ohmi38x40
にこ「そのままよ…エアホッケーをするつもりが希と穂乃果が闘志燃やして空中戦始めるしクレーンゲームでは絵里があまりにも下手すぎて取ってあげようかって言ってるのにあいつプライド高すぎるせいでなんとか自分で取ろうとするのよ!」
にこ「おかげで1000円程度で取れる景品を5000円かけて取る超無駄遣いをしてたし、しかもそれで何が酷いって絵里本人は全然損した気分じゃないってとこがあまりにもひどすぎたわ」
にこ「それに聞いてよ、ダンスゲームでは穂乃果が最高難易度でやったせいで絵里も対抗心燃やして遊びでやるつもりがまさか息切らすほどにまでなるなんて思わないでしょ?しかもその後すぐにマリカーを四人でするのがまた滑稽なこと」
にこ「全員アイテムはランダムなはずなのに希にだけ強いアイテムが来るからもう全然勝てなくて!!」
にこ「でも希を一位じゃなくて二位にしたときはざまあああ!って思ったわこの私のアイテムで二位に引きずり落としたんだから!」
にこ「……あっ」
凛「楽しそうだねー」
ことり「ねっホントに楽しそうだね」クスクス
にこ「ち、違うのよ!」
凛「うんうん知ってるよー疲れたとかいいながらにこちゃんが一番楽しんでるんでしょー?知ってる知ってるー」クスクス
にこ「だああああ!違う違うちがーう!!」
ことり「ふふふっ」
218 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 21:00:37.96 ID:Ohmi38x40
希「朝から盛り上がってるやん」
凛「あ、希ちゃん!」
希「学年の違う三人がここの廊下に集まってお話してるのもなかなか無いシチュエーションやね」
にこ「言われてみればそうね」
ことり「そうだね」
希「にこっちの声聞こえてたんやけど昨日は楽しかったなぁ、あそこまで盛り上がったのも久々だったなぁ」
にこ「ことりや凛も誘いたかったわね」
希「そうやね、すごい盛り上がりやったんよ?」
凛「えーそんなにすごいなら凛も行きたかったなー」
にこ「…でもまぁ行かないほうがよかったわよ、おかげさまで私は疲労がやばいし……」ドヨーン
希「体力がないなぁにこっちは」
にこ「なによ…というかなんで希はそんな余裕そうなのよ」
希「そりゃあバイトで体力は使ってるしそれなりにはあるんよ?というかこれ前に行ったやん」
にこ「いやまぁね」
219 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 21:01:37.94 ID:Ohmi38x40
凛「今度凛たちも連れてってね!」
ことり「あ、ことりも!」
希「そうやね、今度はみんなで行こうか」
ことり「うん!」
キーンコーンカーンコーン
希「あ、いっけないもうそんな時間なんや…」
にこ「じゃあね、二人とも」
凛「うん!ばいばーい!」フリフリ
ことり「ばいばいっ」
希「ばいばーい」フリフリ
スタスタスタ
ことり「はぁ」
ことり(時の流れは実に早いモノだった)
ことり(チャイムが鳴り席についた、席について次時計を見た頃にはもう終わりの時間だった)
ことり(その間は瞬くほど一瞬のこと、ことりはただポカーンと唖然をしてるのみだった)
220 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 21:03:18.28 ID:Ohmi38x40
ことり「イメージの貧困は、イメージが過剰なことだけではなくて、例えばテレビを通じてみんなが同時に同じイメージを受け取っていることからも生じている」
ことり「どんなイメージも共有されているような世界ではあらゆることが“あ、あれだね”“知ってる知ってる”“もう分かってるよ”で済まされてしまうことになる」
「はい、ありがとうございました」
「次園田さん読んでください」
海未「はい」
海未「そこではそれぞれの人が持つ単独性は失われて、みんなが―――――――」
ことり(ただの授業なのに過ぎる時間はは早かった、時間というのはことりたちに楽しむ時間を中々与えてくれなかったんだ)
海未「誰でもない、なんとなく“みんな”みたいな存在になってしまう」
ことり(今日、想像力についてという授業をした)
ことり(ことりにはあまり関係ない話のような気がしたけどことりは真剣に聞いてた)
ことり(なんだかためになる話のような気がして真剣に聞いてた)
221 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 21:04:09.35 ID:Ohmi38x40
海未「想像力、というのは“実際に経験していないことを、こうではないかと推し量る“ものである」
海未「いくら同じイメージを共有していても、他の人の経験やその時の気持ちは、本当は見えていないのだ」
ことり「…!」
ことり(心のグサッときた)
ことり(ことりの全てを全否定された気持ちになった)
ことり(ただ教科書に書いてある文ってだけなのに、何故かことりの喉元に何かが突き刺さる感覚がした)
ことり(そうするとどうだろう、ことりが次の瞬間何をしたか、答えは簡単だった)
ガタッ
海未「!」
穂乃果「ことりちゃん…?」
ことり「そんなことない!」
222 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 21:07:25.47 ID:Ohmi38x40
〜その後
ことり「うー…うぅ…」
穂乃果「よしよしことりちゃん」ナデナデ
海未「まったく…考えすぎなのですよ」
穂乃果「そうだよ!」
海未「ことりは想像力が豊かすぎです、あの短い文で自分のことを指してると想像するのはことりくらいですよ」
ことり「だってぇ…」
穂乃果「…ふふっでもその豊かさがことりちゃんのいいところだと思う!」
海未「…まぁそうですね」クスッ
ことり「ふぇ…?」
凛「やーやー!三人ともー!」
穂乃果「あれ?凛ちゃん?」
海未「どうしてここに…」
スタスタスタ
ことり「どうしたの?」
凛「どうしたのもこうしたのも今日は凛のクラスとことりちゃんたちのクラスの合同体育だよー!」
穂乃果「え?!そうなの?!」
223 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 21:09:36.68 ID:Ohmi38x40
「ええそうよ」
ことり「!」
穂乃果「真姫ちゃん!」
真姫「合同体育って何するものなのかしら…」
海未「合同…ちょっと想像できませんね…」
ことり「合同…なんかみんなでわいわいやるんじゃないかな?」
真姫「まさか…」
花陽「二人ともー!」
凛「あ、かよちーん!」フリフリ
花陽「もー…なんで授業が終わったと同時にことりちゃんたちのところへ駆け出すのさぁ…」
凛「だって合同じゃん!」
真姫「ご、ごめんなさい花陽」
224 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 21:11:09.43 ID:Ohmi38x40
花陽「別にいいけど…」ツンツン
海未「あれは気にしてますね…」
ことり「う、うん」アハハ
花陽「そ、それで…」
ヒューン!
ズサー…
花陽「なんでドッジボールなんかやってるんですかー!!!」
凛「かよちんこれは遊びじゃないよ!」
凛「授業だよ!」
花陽「なんでドッジボールが授業?!」
穂乃果「忘れたの花陽ちゃん?!今日は合同体育だよ?!」
花陽「合同体育なら体育してくださいよ!」
穂乃果「もう走ったじゃん!残って時間でドッジボールをするのは当然だよ!」
花陽「小学校か!」
225 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 21:13:34.24 ID:Ohmi38x40
海未「どこを見てるんですか二人とも!まずはあなたたちから外野送りにしてあげましょうか!」ブンッ!
穂乃果「うわぁ?!」
花陽「ぴゃっ…」
凛「もー海未ちゃん手加減してあげてよー!」
海未「敵に情けをかけるほど私は優しくありません」
ことり「あははは…」
ことり(ホントは超優しいクセに…)
穂乃果「くっ…ことりちゃんと海未ちゃんと真姫ちゃんが敵なんて…!」
凛「ここはとりあえず敵の主力の海未ちゃんを落とそう!」
穂乃果「もちろん!」
花陽「そ、そうだね」
シュッ
凛「はいキャッチ!」
凛「そしてこれを海未ちゃんにー…」
凛「と見せかけて真姫ちゃんにシュート!!」
シュッ!!
真姫「うぇえ?!?!」
226 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 21:14:42.08 ID:Ohmi38x40
スッ
穂乃果「あ、しゃがんだ」
凛「ちぇー今度から足狙おっと」
真姫「なんで私なのよ!」
凛「だって隅っこでずっと逃げてるんだもん!」
真姫「そりゃあ得意じゃないから逃げるのは当たり前でしょ!」
ことり「ま、まぁ二人とも落ち着いて」
ことり(昼前、ドッジボールをした)
ことり(童心にかえってのことらしいけどたまにはこういうのも悪くはないと思う)
海未「ことり、はいどうぞ」
ことり「えっ?!ことりが投げるの?!」
真姫「そうよ!ぶちかましてきなさい!!」
ことり「えぇ?!」
227 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2017/09/13(水) 21:15:49.23 ID:Ohmi38x40
ことり「じゃ、じゃあ…えいっ!」
穂乃果「よっと!キャッチ!」ニヘヘ
凛「おー!穂乃果ちゃんも投げてきなよ!」
花陽「うん!頑張って!」
穂乃果「うん!ほいっとー!ことりちゃーん!」ブンッ
ことり「きゃっ…」キャッチ
海未「ことり!これは穂乃果からの挑戦状ですよ!穂乃果に投げましょう!」
ことり「う、うん!」
ことり「えいっ!」
穂乃果「にひひーキャッチー!」
ことり「あうぅ…」
穂乃果「これでも食らえー!」ブンッ!
ことり「わわわ」キャッチ
花陽「おお…」
真姫「いい勝負してるわね…」
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