ことり「花になろう」

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1 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:47:06.52 ID:slrjrDJf0
〜放課後

絵里「ことり!」

ことり「あ、絵里ちゃんどうしたの?」

絵里「…今日何の日か分かる?」

ことり「……知ってるよ、知ってて当たり前だよ」

絵里「そう…ならいいけど…」

絵里「ねぇあの言葉の意味…分かる?」

ことり「ううん…全然分からないよ…」

『一年経ったら、雨の季節に戻って…くるよ…!』

絵里「……幽霊になって戻ってくるなんてやめてよ…?」

ことり「あはは…はは…ははっ…」

絵里「今日で一年…よ?」

ことり「うん…」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505220426
2 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:47:46.02 ID:slrjrDJf0
絵里「みんなどうだった?気にしてた?」

ことり「ううん、みんなその話には触れなかった」

ことり「多分触れたくないんだと思う…」

絵里「…まぁそうよね」

絵里「希が言ってたのよ」

希「雨の季節にして今日、奇跡が起きる!」

希「ってカードが告げてるんや!!」

絵里「ってね…」

絵里「って、え?希?!」

希「今日で一年、だけどそんな暗い顔してちゃあ穂乃果ちゃんも悲しむよ?」

希「分かってても笑顔でいなきゃ」

ことり「そう…だよね!」

ことり「……もういくね!」ニコッ

ダダッ

絵里「…あんまり無理させても穂乃果は悲しむわよ?」
3 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:48:38.98 ID:slrjrDJf0
希「あはは…ことりちゃんは今でもはち切れんとばかりに溜め込んでるからまずいことしたかもね…」

絵里「穂乃果が死んで一年…か」

絵里「穂乃果が生きてたら今頃どうしてたのでしょうね?」

希「…きっと破天荒起こしてたんやろうなぁ」

絵里「ふふふ、そうね」

タッタッタッ

ことり「はぁ……」

ことり(穂乃果ちゃんが死んで一年が経った)

ことり(穂乃果ちゃんは病気で死んだ、当時の私はどうすることも出来なかった)

ことり(酷く重い病気でお医者さんもただ黙って首を横に振ってたのを今でも鮮明に覚えてる)


ことり(そんな頭に焼き付く記憶が怖くて仕方が無かった)


ことり(振り切れない絶望感、何を犠牲にしても欲しくなった恋しすぎる日常、どうにもできない過酷な未来…あの時を思い出すとそんなものが一緒にやってくる)

ことり(だから穂乃果ちゃんを記憶の片隅に置いてた、思い出さないように)

ことり(大事な人だけどそれだけ失った時の記憶は忌々しいものだったから)
4 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:49:40.58 ID:slrjrDJf0
ことり「……!」フルフル

ことり「いけないいけない!ことりがしっかりしてないと穂乃果ちゃんが悲しんじゃう!」

ことり(穂乃果ちゃんだってことりが悲しむことなんて望んでないはずだから、今日も“ことりらしく”していかなきゃ)

ことり「…あの言葉」


『一年経ったら、雨の季節に戻って…くるよ…!』


ことり「…なんなんだろう」

ことり(絵里ちゃんも言ってたあの言葉)

ことり(穂乃果ちゃんが死ぬ間際にことりの手を握って言ったんだ)

ことり(悪あがきだったのかな、穂乃果ちゃんが死んだ今じゃ答えなんて分からないないよ)

ことり「……」

ことり(そして穂乃果ちゃんが死んでから一年、今は丁度梅雨で雨の季節なんだ)

ことり(…その答えがそろそろ分かってもいいと思うんだ)


ことり「穂乃果ちゃん…」


5 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:50:56.53 ID:slrjrDJf0
〜帰り道

ことり「るん♪るんるるん♪」

ことり「マカロン♪アルパカさん♪もふもふ♪」

ことり「あ、そうだ穂乃果ちゃんの為にも神社でお祈りしとこう」

ポツ…ポツポツ…

ことり「ひゃっ…今雨はないよぉ…」

ことり(鼻先にポツンと落ちた雨粒)

ことり(梅雨だし雨が突然降ってもおかしくないけど急すぎる雨だった)

ザーザーザーザー…

ことり「はぁ…近くに神社があって運よく雨宿り出来たけど…」

ことり「まだ帰れそうにないかな…?」
6 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:52:10.37 ID:slrjrDJf0
ことり「あ、そうだお祈りしなきゃ」

ことり「……濡れるの承知でダッシュ!」ダッ

タッタッタッ

ことり「うひゃあ…結構濡れた…」

ことり「と、取り合えずお賽銭だね!」

チャリン…パン…パン!

ことり「………」

ことり「…うん、これで穂乃果ちゃんも安心だね」


「隣、いいですか?」


ことり「あ、は…い…?」
7 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:53:35.87 ID:slrjrDJf0



「こんなところで会うなんて奇遇だね」ニコッ



ことり「ほ、穂乃果ちゃん?!」



「ちょっと雨宿りしようか」

ことり「う、うん…」

ことり(突然横から聞こえた声、その声はことりを照らして導いてくれる人の声だった)


ことり(私を変えてくれたかけがえのない人、私を永遠に照らしてくれるはずだった太陽の声)


グイッ

ことり「いたいっ…」

ことり(夢だと思ってほっぺをつねった、でも夢なんかじゃなかった)

ことり(今見てる夢みたいな景色が夢じゃないってことりのほっぺが言ってるんだ)
8 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:54:55.20 ID:slrjrDJf0
ことり「…あ、あの」

「ん?どうしたの?」

ことり「穂乃果ちゃん…だよね?」

「うん!そうだよ!」

ことり「…ホントに?」

「ホント!」

ことり「……」

ことり(確かにことりが見てるのは穂乃果ちゃんなんだろうけどそれでも信じられなかった)

ことり(だって死んだ人がここにいるんだよ?ことりは穂乃果ちゃんが死んだのをこの目で見たんだよ?)


ことり(それなのに今穂乃果ちゃんはことりの前にいる)


ことり(意味…わからないよ…)
9 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:56:17.81 ID:slrjrDJf0
ことり「ホント…?」

「もーどうしたのさーいつものことりちゃんらしくないよ?」

ことり「!」

ことり「い、いつもことりって…」

「何言ってるの?みんなに優しさを振りまくことりちゃんのことじゃん!」

ことり「う、うーん…」

ことり「…ホントに穂乃果ちゃん…?」

「もー!私は穂乃果だって!」


穂乃果「正真正銘!ことりちゃんと一緒にいた高坂穂乃果だよっ!!」


ことり「…!」

ことり(穂乃果ちゃんだと思う人が放った穂乃果だよっの言葉、前に聞いた時とそっくりだった)

ことり(中学の時何回、何十回と聞いたあの時とそっくりだったんだ)
10 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:58:06.47 ID:slrjrDJf0
ことり「穂乃果ちゃん…穂乃果ちゃんっ!」

ギューッ!

穂乃果「わーあはは苦しいよことりちゃーん」

ことり「なんで…なんで死んじゃったの…!」

ことり「私寂しくて…!寂しくて…!!」

穂乃果「…ごめんね、ことりちゃん」

ことり「うわああああん穂乃果ちゃあぁん……!」ギューッ

ことり(その時はいっぱい泣いた)

ことり(ことりが触れてたのは幻覚とか幻とかそんなものじゃない、確かな感触もあったし“温もり”だってあった)

ことり(どうして?何故?という気持ちはあってもその時は“また”穂乃果ちゃんに出逢えた嬉しさが心の底から溢れ出てた)

ことり(例えこの出逢いが偽物だとしてもことりはそれをかけがえのない出逢いと捉えよう)


ことり(きっとこの出逢いは人生で一番幸せな出来事だっただろうから…)


ことり「ふぇええええん…穂乃果ちゃあん…」

穂乃果「よしよし私はここにいるよー」ナデナデ

ことり(泣き始めてなお時間が経っても涙は枯れなかった)

ことり(穂乃果ちゃんに情けない声をずっと出してたと思う)
11 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 21:59:18.95 ID:slrjrDJf0
穂乃果「よしよし私はここにいるからもう泣かない、わかった?」

ことり「う、うん…」グスンッ

ザーザーザー…

穂乃果「雨、止まないね」

ことり「…梅雨だから」

穂乃果「そうだよね、梅雨だもんね」

ザーザーザー…

穂乃果「ことりちゃんはさ、この雨好き?」

ことり「雨…?」

ことり(灰色の雲を見つめて穂乃果ちゃんは言った)

ことり(雨ってどうだろう、景色として見るならすごく好きだけど濡れるし気分的にも晴れないし、雨なだけに…というのはともかく好きか嫌いかでいったらやっぱり…)


ことり「雨は…あんまり好きじゃないかな…」


穂乃果「…そっか」
12 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:00:54.17 ID:slrjrDJf0
穂乃果「実はいうとね、私も嫌い」

ことり「え?」

穂乃果「濡れるし気分もなんか晴れないし何より」


穂乃果「空の上の人が泣いてるみたいでやだじゃん」


ことり「う、うん…?」

穂乃果「帰ろっか」

ことり「えぇ?!今?!」

穂乃果「うん!ちょっと待ってて!」

スタスタスタ

ことり「ちょ、ちょっと濡れちゃうよ!」

ことり(大粒の雨が…いやこの場合は“涙”っていうべきなのかな、大粒の涙が打ち付ける外に穂乃果ちゃんは飛び出した)

穂乃果「………すぅ」


穂乃果「雨止めー!!!」


13 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:02:23.89 ID:slrjrDJf0
ことり「え……」

ことり(灰色の雲で覆われた空に向かって叫んでた)

ことり(その叫びは何重にもなって響いてた、風で靡く葉の音が共鳴してその声は透き通った声に変わってた)

ザー…ポツポツ……ポツッ…

キラキラキラ…

ことり「ウソっ…なんで…?!」

ことり(穂乃果ちゃんの叫びに反応したかのように雨は止んだ)

ことり(雲間から日が差し込みはじめてそれと同時に穂乃果ちゃんは振り向きことりに太陽と等しい笑顔を見せてくれた)


穂乃果「空、晴れたね!」ニコッ


ことり「…!」

ことり(驚きはあったけどその感情は弱かった、弾ける笑顔を見せてくれる穂乃果ちゃんに対して抱いた一番の感情は)


ことり(穂乃果ちゃんならなんでも出来るっていう穂乃果ちゃんへの期待と信頼だった)


ことり「うんっ!!」


ことり(そしてことりも涙を弾く笑顔を穂乃果ちゃんに見せた)


14 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:03:58.27 ID:slrjrDJf0
穂乃果「人間その気になればなんだって出来るよ!雨だって止ませることもできるし」


穂乃果「また私と会うことだって出来た!」


穂乃果「そしてそれはことりちゃんだって同じ!」

穂乃果「ことりちゃんだってその気になればなんだって出来るよ!」

ことり「ことりも…?」

穂乃果「うん!」

タッタッタッ!

ギュッ

穂乃果「帰ろっ!」

キラキラキラ

ことり「!!」

ことり(穂乃果ちゃんの瞳は輝いてた、何かに反射したわけでもなく穂乃果ちゃん自身の瞳が輝いてた)


ことり(何物にも囚われない一人だけでも輝ける瞳にことりは果てないほどの憧れを感じた)


ことり(そしてそのことりの憧れの全てを持つのが穂乃果ちゃんなんだから、いつまでも輝いてるのが穂乃果ちゃんなんだからまたことりもその輝く穂乃果ちゃんについていくんだ)

ことり「うんっ!帰ろ!」
15 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:05:24.00 ID:slrjrDJf0
タッタッタッ!

ことり(今止んだばかりというのにことりたちが走る向こう側には虹が出来てた)

ことり(ことりと穂乃果ちゃんはそれに向かって走ったんだ)

穂乃果「ねえことりちゃん!今日はことりちゃんの家に泊まっていい?」

ことり「えっ…」

ことり(ここで新たな疑問がことりの頭をグルグル回る)


ことり(まず前提として穂乃果ちゃんは“この世界では死んだ人”なはず、それを今になってことりが穂乃果ちゃんをつれて帰ったらどうなるんだろう?)


ことり(ただじゃ済まないよね、行方不明者が見つかった…ってことにもならないよね)

ことり(だって穂乃果ちゃんは病気で死んだんだもん、少なくとも穂乃果ちゃんの周辺にいる人は穂乃果ちゃんが死んだことを“周知の事実”として受け止めてる、またことりのお母さんもその一人だということ)

ことり(それはつまりどうだろう…生きてる穂乃果ちゃんを連れて帰ったら大問題だよね)
16 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:06:29.20 ID:slrjrDJf0
ことり「……そ、それはダメだよ」

穂乃果「どうして?」

ことり「だって…穂乃果ちゃんは…っ…」

ことり「………」

穂乃果「ことりちゃん?」

ことり(喉の辺りにまで上がった言葉が出てこなかった、仮にも今の穂乃果ちゃんは“生きている”)

ことり(そんな中でことりが穂乃果ちゃんは死んだんだよなんて言えるはずがないよね、死んだならここにいる穂乃果ちゃんは何なのさってことになるよね)

ことり(だから…言葉が出てこなかった、穂乃果ちゃんにどう説明してあげればいいかわからなかった)
17 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:07:57.43 ID:slrjrDJf0
ことり「…ううんなんでもない!いいよ!お泊りしよっか!」

穂乃果「わーい!やったー!」

穂乃果「このままことりちゃんのお家にいくね!」

ことり「う、うん!」

ことり(これについてはあえて追及しなかった、穂乃果ちゃんが死んでる状態のこの世界で穂乃果ちゃんの家族となんか会わせられないよ)

ことり(だからことりが穂乃果ちゃんを導いてあげないといけないんだ)


タッタッタッ!


ことり(今まで穂乃果ちゃんがことりを支えててくれたんだから)


ことり(今度はことりが支えてあげないといけないんだ)

18 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:09:05.65 ID:slrjrDJf0
〜南家

ガチャッ

穂乃果「おじゃましま」

ことり「しーっ」

穂乃果「ん?どうしたの?」

ことり「う、ううんなんでもない、でもことりのお部屋にいくまで静かにしてて」

穂乃果「う、うん」

スタ…スタ…スタ…

ことり(私のお母さんは私の通う学校の理事長だけど今日お母さんは早く帰ってた、穂乃果ちゃんが死んでからちょうど一年だからね)

ことり(だからお母さんは今家にいる、そんな中で穂乃果ちゃんをみせることなんて出来ない)

ことり(ペットを飼うのを禁止されてる中秘密で野良猫を持ち帰る気分だった)
19 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:10:50.69 ID:slrjrDJf0
ガチャッ

ことり「!!」ビクゥッ!

ことりママ「あらことり」

ことり「お、お母さん…」ビクビク

ことりママ「…?なんでそんなに怯えてるの?」

ことり「あ、ううん…」

ことりママ「にしても…」チラッ

穂乃果「…あ」

ことり(お母さんと穂乃果ちゃんと目があった)


ことり(絶体絶命だと思った)


ことりママ「なんだ、穂乃果ちゃんじゃない、楽しんでいってね?」


穂乃果「はいっ!おじゃましてます!」
20 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:12:03.05 ID:slrjrDJf0
ことり「あっ…えっ…」

ことりママ「どうしたの?」

ことり「あ、ううんなんでもない!」

ことり「いこっか穂乃果ちゃん」

穂乃果「うんっ!」

スタスタスタ

ことり「…」

ことり(状況についていけなかった、どういうことなんだろう)

ことり「…」チラッ

穂乃果「?」

ことり(穂乃果ちゃんはこの世界では死人扱いのはずなのにお母さんはあたかもいつも通りのように振舞ってた)


ことり(何が起こってる?)


ことり(なんで怪しまれなかった?穂乃果ちゃんは死んでる人なんだよ?それなのに…それなのに…)
21 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:13:10.65 ID:slrjrDJf0
穂乃果「ことりちゃん?」

ことり「…ん?なぁに?」

穂乃果「さっきから難しい顔してるからさ、何かあった?」

ことり「う、ううんなんでもない!」


穂乃果「……嘘つき」ボソッ


ことり「え?」

穂乃果「ううんなんでもない」

ガチャッ

穂乃果「わー!ことりちゃんのお部屋久々に入ったなー」

ことり「えへへ、そう…だね?」

ことり(いまいち考えがまとまらず疑問形で返しちゃった、久しぶりも何も穂乃果ちゃんはあの時死んだんだから久々もクソもないよね)

ことり(穂乃果ちゃんの思考は一年前なのかな、それともパラレルワールドの穂乃果ちゃんなのかな)

ことり(分からない、けど直接聞くほどことりも無神経じゃない、ここは心の中だけに溜めておくことにする)
22 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:14:32.76 ID:slrjrDJf0
ことり「あ、飲み物持ってくるね」

穂乃果「うん!」

ガチャッ

ことり「………」

スタスタスタ

ことりママ「ことり、これ穂乃果ちゃんと食べなさい」

ことり「あ、ありがとう」

ことり(お母さんからお饅頭をもらった、やっぱりお母さんも何かおかしい)

ことり「ねえお母さん」

ことりママ「何?」

ことり「穂乃果ちゃんって…生きてるよね?」

ことりママ「何いってるの?当然じゃない」

ことり「う、うんそうだよね!」
23 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:17:05.25 ID:slrjrDJf0
ことり「あ、じゃあ去年のこの日のこと覚えてる?」

ことりママ「ええ覚えてるわよ、穂乃果ちゃんが病気から立ち直った日よね?」

ことり「!」

ことり「立ち直った…」

ことり(状況は把握できなかったけど理解にまでは至ってた)

ことり(過去が変わってる)


ことり(穂乃果ちゃんが生きてる世界になってるんだ)


ことり(どうやってそんなこと出来たの…?そもそも今思えばなんで穂乃果ちゃんがこの世界にいるの…?)

ことり(分からないよ…あの時は嬉しさのあまり焦点が当てられなかったけど今思えばおかしな話だよね…?)

ことり「……」

ことりママ「ことり?」

ことり「…あ、お饅頭ありがとう穂乃果ちゃんと食べるね」

ことりママ「ええ」
24 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:18:18.73 ID:slrjrDJf0
スタスタスタ

ことり(飲み物を取って二階へ上がった)

ことり(もう一生会えないと思ってた穂乃果ちゃんに会えたのはものすごく嬉しい、けどその裏側ではあまりにも不可解で現実離れしてて“魔法”でもないと説明がつかない超常現象に頭を悩ましてた)

ことり(きっとあの穂乃果ちゃんは本物、抱き着いた時の温もりもあの輝く瞳も穂乃果ちゃんしか持ってないモノだったから)


ことり(でもそんな本物の穂乃果ちゃんがどうして“今”ここにいるのかな)


ことり(それが分からないよ…)


ガチャッ

ことり「お待たせ穂乃果ちゃん」

穂乃果「あ、待ってたよー」
25 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:19:14.46 ID:slrjrDJf0
ことり「はい、これお母さんから食べてって」

穂乃果「わーお饅頭だ!」

ことり「うふふふっ」

ことり(でも、とりあえずは今を楽しんだ)

ことり(もしかしたらこれは夢なのかもしれない、そう思ったりすると今ある時間の中で楽しまなきゃって思うんだ)

ことり(だから、今は穂乃果ちゃんのことだけを考えて楽しんだんだ)


ことり(分からないこと全てを後回しにして…)

26 : ◆iEoVz.17Z2 [saga]:2017/09/12(火) 22:20:58.04 ID:slrjrDJf0
〜次の日、学校

穂乃果「おっはよーう!」

ことり(次の日、穂乃果ちゃんは何事もなく学校へ来た)

海未「おはようございます、穂乃果、ことり」

穂乃果「おはよう海未ちゃん!」

ことり「おはよう海未ちゃんっ」

ことり(そして何事もなかったかのように海未ちゃんと会話してる)

ことり(やっぱりことり以外の人は穂乃果ちゃんが死んだことを知らないみたいなんだ)

海未「宿題やってきましたか?」

穂乃果「ふっふ〜ん!昨日はことりちゃんの家に泊まったからやってきたよー!」

海未「ほう…珍しいですね」

海未「でもまぁことりが一緒にいるなら納得ですね」

穂乃果「えへへーでしょー?」
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