梨子 「ひぐらしのなく頃に」

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1 : ◆bx6hWDVQmQ [!orz]:2017/09/09(土) 00:48:31.95 ID:eG71/j320
・ひぐらしのなく頃にパロ
(原作未視聴でも大丈夫です)

・キャラの死亡描写あり。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1504885711
2 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:49:27.49 ID:Gw/LBJoB0
荷物を大量に積んだトラックは、私たちが新居に着いたすぐ後に到着した。

東京からそう遠くはないが、出発したのが昼過ぎだったということもあり、辺りは夕日の赤に染められている。


梨子 「きれいな街。ここならいい曲が弾けそう」


都会の喧騒に疲れ、ピアノを弾くにもメロディが上手く浮かばなくなった私は、静かな環境にしばらく身を置くことにした。

夏休み中に引越しを終え、明けてからは浦の星女学院に転入し、新たな生活が始まる。
3 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:49:54.37 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「お隣、旅館なんだ。後で挨拶しに行かないと」


海風を背中に感じながら、新居の中へと足を踏み入れる。私はこの地で、上手くやっていけるだろうか。

新居の中でも、ひぐらしのなく声は煩く響き続けていた

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ーー
4 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:50:26.05 ID:Gw/LBJoB0
〜夏休み明け 浦の星女学院〜


千歌 「いやぁびっくりしたよ! 話題の転校生が、まさか隣に越してきた人だったなんて」

梨子 「挨拶に行った時、高校の名前言うの忘れてたもんね…ごめんね」

千歌 「いやいや、私てっきり大学生かと思ってたんだもん。高校どこ? とか聞かないよ」

梨子 「そんな、私なんて…」


曜 「でも本当綺麗だよねぇ梨子ちゃん。その綺麗な長い髪、憧れるなぁ」

千歌 「曜ちゃんも伸ばせばいいのに」

曜 「私はほら…くせっ毛だし。それに水泳やるのにも邪魔だしね」

梨子 「水泳?」
5 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:50:54.65 ID:Gw/LBJoB0
千歌 「そう! 曜ちゃん凄いんだよ!」

曜 「泳ぐっていうよりか、私は飛び込みだけどね」

千歌 「曜ちゃん、今度の大会の優勝候補って言われてて、それにオリンピックも夢じゃないって言われてるんだよ!」

梨子 「お、オリンピック!? すごい…」

曜 「競技人口が少ないだけだってー。…あっ、そろそろ行かなきゃ」

千歌 「また練習ー?」

曜 「うん、ごめん。悪いけど先帰ってて」タタタッ


梨子 「……忙しそうね、曜ちゃん」

千歌 「仕方ないよ。さ、帰ろ?」
6 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:51:30.71 ID:Gw/LBJoB0
〜昇降口〜


梨子 「…なんだろう、なんかやけにざわついてるね」

千歌 「何かあったのかなぁ? ……あっ」

梨子 「千歌ちゃん? どうしたの…?」


鞠莉 「…………。」


千歌 「…なんだ、夏休み中一回も見かけなかったから、てっきり逃げたのかと思ったのに」

梨子 「あの人、知り合い? 3年生だよね?」

千歌 「知らない」
7 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:52:11.95 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「えっ…でも今逃げたとかなんとか」

千歌 「知らない。…行こ」

梨子 「ちょっ…ちょっと待ってよ!」


鞠莉 「……あなた、桜内さん?」

梨子 「えっ…はい」

鞠莉 「その子から離れて! その子は危険よ!」

梨子 「その子って…千歌ちゃんのことですか?」


千歌 「梨子ちゃんッ!!!」
8 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:53:05.35 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「び、びっくりした…いきなり大声出さないでよ…」

千歌 「ごめん…でも早く行こう!」

梨子 「う、うん…」


鞠莉 「…桜内さん、気をつけてね」

梨子 「えっ?」


そこにいるだけで周りをざわつかせていた金髪の少女は、虚ろ気な目で私を見つめていた。
続きの言葉を聞く前に、私は千歌ちゃんに手を引かれ、その場を離れてしまった。
9 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:53:44.02 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「ね、ねぇ千歌ちゃん…」

千歌 「…………。」スタスタ

梨子 「千歌ちゃん…千歌ちゃんッ!!!」

千歌 「…っ!! な、何?」

梨子 「腕…痛い」

千歌 「あっ…ごめん。掴みっぱなしだったね」


梨子 「…ねぇ、あの人誰なの? 知ってるんでしょ?」

千歌 「…知らないよ。私はあんな人知らない」
10 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:54:27.74 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「知らないわけないじゃない。あの人、その場にいただけで周りがあんなにざわついてて…。ただの有名な人…って雰囲気じゃなかった」

千歌 「…梨子ちゃん、これだけ言っておくね」


千歌 「あの人には絶対に近付かないで。…呪われても、知らないよ?」

梨子 「の、呪われる!?」

千歌 「…私が言えるのは、これだけ。さ、この話はおしまいっ!」

梨子 「千歌ちゃん…」
11 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:55:06.23 ID:Gw/LBJoB0
千歌 「ねぇ梨子ちゃん! 帰りどっか寄ってかない!?」

梨子 「えっ…うん、いいけど」

千歌 「やったぁ! 千歌、甘いものが食べたい気分だったんだよねぇ」ニコッ


千歌ちゃんの笑顔は、教室でお話をしていた時の笑顔と変わらない…何も変わらないはずなのに。その時の笑顔からは、どこか狂気じみたものを感じた。


梨子 (千歌ちゃん…一体何を隠してるの?)

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12 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:55:53.94 ID:Gw/LBJoB0
〜駅前〜


千歌 「あっ、ルビィちゃんだ! おーい!」

ルビィ 「あっ、千歌さん!」

梨子 「かわいい…お友達?」

千歌 「うん、学年は違うけどね」

ルビィ 「えと…はじめまして、ですよね? 黒澤ルビィです」

梨子 「桜内梨子です、よろしく。黒澤…どこかで聞いたような」

千歌 「生徒会長じゃない? 転入手続きのとき会ったでしょ?」

梨子 「あぁ…たしか黒澤ダイヤさん」

ルビィ 「妹なんです。私」
13 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:56:37.97 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「そうだったんだ。確かに言われてみれば似てるかも」

千歌 「ルビィちゃんはここで何してるの?」

ルビィ 「今日は友達の付き添いで。ルビィは先に終わったので、ここで待ってるんです」

千歌 「そーなんだ。…でもルビィちゃん、こんなとこでアイスの買い食いなんて」

梨子 「何か問題でもあるの?」

千歌 「いやぁ。次女とはいえ、あの黒澤家の娘だよ? 買い食いなんてしてたら当主さんに怒られないかなぁって」

ルビィ 「……。」
14 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:57:35.33 ID:Gw/LBJoB0
ルビィ 「…ルビィは、大丈夫なんです。お姉ちゃんとは違いますから」

千歌 「ふーん…そっか」

ルビィ 「…る、ルビィ、友達のとこ戻ります! さようなら、千歌さん、梨子さん」

千歌 「うん、ばいばーい!」


梨子 「…黒澤家って、有名なの?」

千歌 「えぇっ!? 梨子ちゃん知らないの!? …まぁ無理もないか、越してきたばっかだもんね」
15 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:58:13.77 ID:Gw/LBJoB0
千歌 「黒澤家…たしか網元って言うんだっけ?」

梨子 「私に聞かないでよ…」

千歌 「まぁとにかく、由緒正しき家系ってやつだよ! ここらで開かれるお祭りなんかも、黒澤家がほぼ取り仕切ってるようなものって話だよ」

梨子 「へぇ…ルビィちゃん、凄いところの娘さんなんだね。確かに買い食いなんてしてたら怒られちゃいそう」

千歌 「ダイヤさんはもっと厳しいらしいよ。次期当主、って話だし」


梨子 「でもさ千歌ちゃん、なんでそんな所の娘さんと知り合いなの?」

千歌 「あっ…あぁー…」
16 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:59:06.44 ID:Gw/LBJoB0
千歌 「ぶ、部活が一緒でさ!」

梨子 「部活? 千歌ちゃん、部活なんてやってたの?」

千歌 「む、昔ね! 今はもう廃部になって!」

梨子 「そう…」

千歌 「ほ、ほら! 噂のスイーツ店すぐそこだよ! 行こいこ!」

ーーーーーー
ーーーー
ーー
17 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 00:59:55.03 ID:Gw/LBJoB0
〜深夜 梨子の部屋〜


梨子 「………。」


鞠莉 『…桜内さん、気をつけてね』

千歌 『あの人には絶対に近付かないで。…呪われても、知らないよ?』


梨子 「呪い…この街には、絶対に何かある」
18 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:01:02.70 ID:Gw/LBJoB0
静岡県沼津市 呪い | 検索 |


梨子 「…これで、何かわかるかも」ゴクリ

「……ゃーん…! 梨子ちゃーん!」

梨子 「? 千歌ちゃん?」


千歌 「…あっ! よかった、梨子ちゃん起きてた」

梨子 「携帯もあるんだから、わざわざベランダ越しで話さなくても…」

千歌 「せっかくこんな近くにいるんだから、直接話したいなぁと思って」
19 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:01:47.18 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「私はいいけど、そっちは旅館でしょ? こんなに声出して大丈夫?」

千歌 「大丈夫、聞こえないって。ところで梨子ちゃん、こんな遅くまで何してたの?」

梨子 「えっ…うん、ピアノの練習を…」

千歌 「ピアノ? 音全然聞こえなかったよ?」

梨子 「うっ…」

千歌 「嘘下手っちょだなぁ、梨子ちゃん」

梨子 (千歌ちゃんも大概だと思うけど…)
20 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:02:27.10 ID:Gw/LBJoB0
千歌 「で? 本当は何してたの?」

梨子 「……ちょっと調べ物を」

千歌 「まさか、呪いについてとか?」

梨子 「…うん。やっぱり気になっちゃって」


千歌 「やめてよ…」

梨子 「えっ?」

千歌 「嫌だよ…呪いのこと…“内浦の怒り” のことを知ったら、梨子ちゃんもきっと私のこと嫌いになる…!」

梨子 「ち、千歌ちゃん? どうしたの…?」
21 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:03:19.42 ID:Gw/LBJoB0
千歌 「嫌だ…お願い…嫌いにならないで…私は何もしてないの…! 私は違う…違う違う違う違う違う違う違う違う違うっ!!!!!!」

梨子 「千歌ちゃん!? しっかりして!」

千歌 「はぁっ…はぁっ…。私…嫌われたくない…嫌われたくないよぅ…!」

梨子 「嫌わないから! 何があっても、私は千歌ちゃんのこと嫌わないから!」


千歌 「……ホントに?」

梨子 「本当よ」

千歌 「あとから嘘だったって…言わない?」

梨子 「言わない。だから…ね? 落ち着いて」

千歌 「……うん、ごめん」
22 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:04:08.15 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「呪いのこと…もう聞かないようにする。ごめんね」

千歌 「ううん、私の方こそ…」


梨子 「…もう遅いね。そろそろ寝よっか」

千歌 「うん、おやすみなさい」

梨子 「おやすみ、千歌ちゃん」


千歌 「……………。」グスッ
23 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:05:05.42 ID:Gw/LBJoB0
千歌 「嫌だ…私じゃないのに…私は何も悪くないのに…」

千歌 「なんでみんな信じてくれないの? なんでみんな嘘をつくの…?」

千歌 「もう、大切な人に嫌われるのは嫌だ…」


千歌 「…………果南ちゃん」

ーーーーーー
ーーーー
ーー
24 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:06:08.19 ID:Gw/LBJoB0
〜翌日 放課後 浦の星女学院 屋上〜


鞠莉 「……まさか、話題の転校生から呼び出しを受けるなんてね」

梨子 「ごめんなさい、突然」

鞠莉 「ひょっとしてlove letterと思ったケド…そんな雰囲気じゃなさそうね」


梨子 (…ごめん、千歌ちゃん。私やっぱり気になるんだ)


鞠莉 「2人っきりになれる場所で話をしようとするあたり、私のこの学校での扱われ方を知ってるようね」
25 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:07:03.33 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「…いじめを受けていると聞きました」

鞠莉 「…うん。まぁ、自業自得なんだけどね」

梨子 「それも、学校内だけじゃない。この街の人殆どから、あなたは嫌われている」

鞠莉 「そこまで知ってたのね」

梨子 「ネットで調べたら、たくさん出てきました。あなたがいじめを受けるに至った経緯…そして、この街に伝わる呪い、“内浦の怒り”についても」


鞠莉 「……私はね、この街が大好きだった」
26 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:09:00.06 ID:Gw/LBJoB0
鞠莉 「この街の澄んだ空気…豊かな自然、透き通った海。全てが魅力的だった」

梨子 「いい街ですよね。来たばかりの私でも、そう思います」

鞠莉 「そう、いい街よ。だからこそ…父がね、この街にホテルを建てると言い出したの」

梨子 「…ここからでも見える、あの大きな空き地ですね」

鞠莉 「ええ、あそこにホテルが建つ予定だったの。このmarvelousな景観、リゾート開発するには最適よね?」

梨子 「そうかもしれません。けど、街の人たちは…」

鞠莉 「Exactly。ホテル建設に反対した人は少なくなかったわ。…理由は色々。日差しが遮られるとか、街の空気が乱れるとか、etcetc…けど慣れたものよ。そんなのは開発業者の常だもの」


鞠莉さんは手をひらひらと泳がせ、偽悪的に笑を浮かべる。地元の声を聞くふりだけをして強引に開発を推し進める。そんな小原家への自嘲が含まれているように見えて。
そこでふと、鞠莉さんの目が暗さを宿す。


鞠莉 「けれど、ある日ね…」
27 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:09:39.33 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「“内浦の怒り”…。建設現場で次々と、狂人化事件が起きた。そうですよね?」

鞠莉 「That's right。最初に起きたのは、現場のチーフのバラバラ死体が見つかった事件」

梨子 「犯人はすぐに特定…」

鞠莉 「けど、その犯人はもはや人としての理性を保っている状態ではなかった」

梨子 「……。」

鞠莉 「犯人は捕まったけど、獄中で無気力症に陥ったって話よ」
28 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:10:49.02 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「建設員が次々と狂人化して、その後無気力症を発症する…。普通では考えられないような現象が、建設現場で次々と起こって…」

鞠莉 「狂人化した人による事件の被害者の遺族なんかも、建設に反対してきてね…流石の私も参っちゃった」

梨子 「それで結局、建設は中止になったんですよね」

鞠莉 「残念だけど、流石に仕方なかったわね」


鞠莉さんが微笑む。その笑は先程の偽悪的なものとは違い、この街を思いやっているような、そんな優しさを含んだ笑だった。
一呼吸置き、再び真剣な面持ちに戻り、鞠莉さんは話を続けた。


鞠莉 「…建設が中止になった後だった。呪いの存在を知ったのは」


「町ヲ愛サヌ者 民ノ逆鱗ニ触レシ者
神ハ其ノ心ニ 罰ヲ与エン」
29 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:11:23.31 ID:Gw/LBJoB0
鞠莉 「最初は反対してた住民による陰謀とか言われてたけど、皆この呪いを信じ、恐れた」

鞠莉 「それでも、まだ完全に信じられている訳では無い。現に反対してた住民を疑う声もある」

梨子 「……千歌ちゃんも、反対してたんですね」

鞠莉 「あの子の家は旅館だから。ホテルが出来たら死活問題だったのよね」


千歌 『嫌だ…お願い…嫌いにならないで…私は何もしてないの…! 私は違う…違う違う違う違う違う違う違う違う違うっ!!!!!!』
30 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:12:05.97 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「千歌ちゃん、疑われるのがトラウマになってたのね」

鞠莉 「…分からないわよ、それも演技かもしれない」

梨子 「えっ…それってどういう…」


言い終わる前に、扉が勢いよく開かれた。
その音に驚き、私と鞠莉さんは揃って扉の方へと目をやった。

……そこにいたのは、生徒会長だった。


鞠莉 「……ダイヤ」

ダイヤ 「本校の許可なしで、屋上に入ることは禁じられていますよ。鞠莉さん、梨子さん」
31 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:12:59.13 ID:Gw/LBJoB0
梨子 「…ダイヤさんも、ホテル建設に反対していたんですか?」

ダイヤ 「突然なんですの?」

梨子 「知りたいんです。この街で何が起こっているのか…千歌ちゃんが、どうしてあそこまで追い詰められてしまったのか」


せっかくの呪いについて詳しい話を聞けるチャンス。無駄にはしたくない。
ダイヤさんに話のペースを持ってかれないようにと、必死に詰め寄る。


ダイヤ 「千歌さん…やはり今でも気にしているのですね」

梨子 「やっぱりルビィちゃんだけでなく、ダイヤさんとも面識はあったんですね、千歌ちゃん」

ダイヤ 「……あなたに話す必要はありませんわ」


鞠莉 「…ねぇダイヤ、私も知りたいの」
32 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:13:52.44 ID:Gw/LBJoB0
鞠莉 「単刀直入に聞くわ。あの呪いと黒澤家は、なにか関係しているの?」

ダイヤ 「していない…と言ってあなたはそのまま信じますか?」

鞠莉 「あら、ダイヤは私を信じてくれないの?」

ダイヤ 「…口で言うのは簡単ですわ。今の状態で真実と偽りの区別がつくはずがない。なら何を話しても無駄でしょう」

鞠莉 「……ダイヤの分からず屋」ボソッ


ダイヤ 「分からず屋はどっちですかっ!!」

梨子 「…!」ビクッ
33 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:15:13.47 ID:Gw/LBJoB0
鞠莉 「単刀直入に聞くわ。あの呪いと黒澤家は、なにか関係しているの?」

ダイヤ 「していない…と言ってあなたはそのまま信じますか?」

鞠莉 「あら、ダイヤは私を信じてくれないの?」

ダイヤ 「…口で言うのは簡単ですわ。今の状態で真実と偽りの区別がつくはずがない。なら何を話しても無駄でしょう」

鞠莉 「……ダイヤの分からず屋」ボソッ


ダイヤ 「分からず屋はどっちですかっ!!」

梨子 「…!」ビクッ
34 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:16:00.61 ID:Gw/LBJoB0
ダイヤ 「何故…なぜあなたはここに居続けるのですか!? 私が…私がどれだけっ!」


『小原さんの教科書、トイレに捨てられてたの見た!?』
『えっ、マジ!? 見に行く見に行く!』

『うわっ…アイツ傘盗られたからって濡れて帰ってんだけど』
『アイツにはそれがお似合いじゃない?』


ダイヤ 「あなたがいじめられているのを見るのが…どれだけの苦痛かっ!」

鞠莉 「ダイヤ…」
35 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:16:52.21 ID:Gw/LBJoB0
ダイヤ 「あなたを想ってのことなのです…早くこの街から出ていってください!」

鞠莉 「ダイヤ…。ごめん、それは無理」

ダイヤ 「どうして…!」

鞠莉 「私には、この呪いを解明する義務があるから。呪いを引き起こした責任があるの」

ダイヤ 「鞠莉さんに責任なんて…」


鞠莉 「ごめん、桜内さん。今日は先に帰らせてもらうね」
36 : ◆bx6hWDVQmQ :2017/09/09(土) 01:17:45.41 ID:Gw/LBJoB0
ダイヤ 「…………。」

梨子 「…どうしてですか? 生徒会長なら、いじめをやめさせればいいのに!」

ダイヤ 「それが出来れば苦労しませんわ!!」


ダイヤ 「……私には、どうしても崩せない立場というものがあります」

梨子 「黒澤家次期当主…としてですか」

ダイヤ 「街の空気を乱そうとした…そして呪いを引き起こした小原家は、この街の敵です」

ダイヤ 「幼馴染とはいえ、鞠莉さんをかばうような真似をすれば、黒澤家次期当主として顔が立ちません」

梨子 「やっぱり、仲良かったんですね。二人の顔を見れば分かりました」
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