【安価】ダンガンロンパ・アドバンス【オリジナル】

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152 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/12(火) 22:14:59.02 ID:JdESDkhpo

???「ふむふむ……フェリシアちゃんかぁ。へへっ、マックス可愛い娘じゃん!」

戸馳「俺は戸馳明起! 趣味と特技は走る事! 足の速さに自信あり! ちなみに仕事は配達員!」

戸馳「てな感じで、マックスよろしくぅ!!」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
被験者番号:0009
【超高校級の配達員】戸馳 明起(トバセ アオキ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


フェリシア「配達員……というとお手紙などを運ぶお仕事をされてるんですか?」

戸馳「そうそう! ま、手紙だけじゃくて色んなものを配達してるんだけど!」

戸馳「バイク便より速いって評判なんだ! どう? マックスすごくない?」

フェリシア「バイクより? まあ、それは凄いですね!」

戸馳「へっへ〜、でしょ?」
153 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/12(火) 22:33:53.79 ID:JdESDkhpo

赤沙「ほらそこ、無駄なお喋りしてないで、ちゃんと働きなさいよ!」

戸馳「あちゃー、怒られちゃった。赤沙ちゃんはマックス厳しい!」

フェリシア「でも、あんなに小さいのに随分としっかりした子で……凄いですよ」

赤沙「だーかーらー! 子供扱いすんなって言ってるでしょ!? あんた殺したげるわよ!」

鬼の形相でこちらを睨む赤沙さんに従い、私と扉馳さんはおずおずと奥の客室のある通路に向かいました。


一つ一つ扉を見て回り、私はあることに気がつきました。

フェリシア「ここの客室、16部屋あるんですね」

確か赤沙さんが、この街にいるのは私を含めて16人だと言っていたはず。

フェリシア「じゃあ、今いる16人で全員ということなのでしょうか?」
154 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/12(火) 22:54:08.02 ID:JdESDkhpo

フェリシア「じゃあ、今いる16人で全員ということなのでしょうか?」

今まで会ってきた人達から見るに、同年代ということ以外、特に共通点があるようには思えないのですが。

むしろ皆さん特徴的の人柄な方が多いような気すらします。

そんな事を考えながら、私は何気なく一つの扉を開きました。

すると────


ガチャッ

???「わぉっ!?」ピョコン

フェリシア「きゃっ!?」

いきなり目の前に人の顔が現れ、私はとっさに声が出てしまいます。

向こうも丁度部屋を出ようとしていたようで、危うくぶつかってしまう所でした。
155 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/12(火) 22:56:24.76 ID:JdESDkhpo
若干ミス


ですが、一体この16人がなんだと言うんでしょうか。

今まで会ってきた人達から見るに、同年代ということ以外、特に共通点があるようには思えないのですが。

むしろ皆さん特徴的の人柄な方が多いような気すらします。

そんな事を考えながら、私は何気なく一つの扉を開きました。

すると────


ガチャッ

???「わぉっ!?」ピョコン

フェリシア「きゃっ!?」

いきなり目の前に人の顔が現れ、私はとっさに声が出てしまいます。

向こうも丁度部屋を出ようとしていたようで、危うくぶつかってしまう所でした。
156 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/12(火) 23:11:15.08 ID:JdESDkhpo

???「あー、びっくりした……大丈夫? 怪我はないない……かな?」ピョコ

フェリシア「いえ、大丈夫です! ごめんなさい……急に扉を開けてしまって」

???「ううん、気にしないで。これも私の運の悪さが招いた事だし」

???「私、昔からツイてなくって……あはは」

???「あ、ゴメンね。私ったら、すぐに愚痴っぽくなっちゃって……」

はぁ、という溜め息をこぼして、苦笑いを浮かべる彼女。

何やら、普段から苦労されている方みたいです。
157 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/12(火) 23:23:58.30 ID:JdESDkhpo

???「そう言えば、あなたと会うのは初めてだよね? 名前とか聞いてもいい……かな?」ピョコッ

フェリシア「あ、はい! 私はフェリシア・カーティスと申します」

???「フェリシアちゃん、フェリシアちゃん……うん覚えたよ」

平「私は平さつきって名前だよ。こんな状況だけど、仲良くしようね」ピョコン


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被験者番号:0008
【超高校級の庶務】平 さつき(タイラ サツキ)
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平さんは丁寧にお辞儀で挨拶をしてくれます。

フェリシア「…………………………」ジー

平「……? どうしたのかな、フェリシアちゃん?」ピョコ

フェリシア「あ、あの先程から気になっていたんですけど」

私はさっきから目の前でピョコピョコと動いている“それ”を指さして言います。

フェリシア「えっと、そ、その頭に着けている猫の耳のようなものは一体何なんでしょう?」
158 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/12(火) 23:41:40.62 ID:JdESDkhpo

平「えっ? ああ、これ? あはは……やっぱり変だよね」

平「私みたいな陰気臭い娘が、こんなもの付けてるなんておこがましいよね……」ピョコッ

フェリシア「ま、また動きました! どういう仕組みかわかりませんが、可愛いですね!」

平「え?」

フェリシア「こんなに可愛い髪飾りがあったなんて……世界はまだまだ広いんですね」

平「えっ? えっ? フェリシアちゃんは変だって思わないのかな?」

フェリシア「どこが変なんですか? むしろ凄く似合っていて私、興奮を抑えきれませんっ!」

平「初めて似合ってるって言われた……えへへ、嬉しいな」

フェリシア「あ、あの! 触ってもいいですか? いいですよね!」フンフン!

平「それは良いけど……鼻息荒いよ? フェリシアちゃん」

私は平さんの許可をもらい、フワフワの猫耳を心ゆくまで堪能するのでした。
159 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/13(水) 00:02:50.33 ID:Oi+iCNW9o

満足してから、再開した客室の探索で、私は机の上に置かれたものを見つけました。

フェリシア「あ、これ客室の鍵ですかね?」

平「うん……『8号室』って書いてあるしこの部屋ので間違いないよ」

フェリシア「良かったです、鍵がついてない部屋なんて物騒で泊まれませんからね」

平「泊まる……やっぱりここに泊まらなきゃならないのかな? 私、本当は早く帰らないといけないんだけど」

フェリシア「うーん、今、私達の身に何が起きているのか分からないですからね……早く帰る方法が見つかればいいんですが」

平「そうだよね……うん! その為にもまずはこの宿屋
の探索を頑張らなきゃ、だよね?」

フェリシア「そうですね、頑張りましょう!」

そうやって私達は互いに励まし合いながら探索を続けたのです。
160 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/13(水) 00:13:21.79 ID:Oi+iCNW9o

□■□■□■□

しばらく宿屋内の探索をした後、平さん達と別れ、私は赤沙さんと共に次の場所へ向かいました。


フェリシア「ここは、沢山の建物が並んでいますね」

赤沙「そこは服屋、あそこは雑貨屋、こっちは電器屋、向こうのは本屋……色んな店が並んでる、ここは商店街なのね」

赤沙「ま、どれも寂れてて品揃えはあんまり良くないみたいだけど」

私達が着いたのは、これまた廃れた商店街。

私は試しに一つのお店に入ってみます。

フェリシア「ふむふむ、けん玉、トランプ、すごろくにビデオゲーム……ここはもしかして───」

???「もしかせんでも玩具屋じゃのう」

フェリシア「わっ! あ、アナタはこのお店の人でしょうか!?」

???「じゃはははっ! 何言うよん? ウチはお前さん達と同んなじ記憶喪失の高校生じゃ」
161 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/13(水) 00:14:16.90 ID:Oi+iCNW9o

今夜はここまでです。
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 00:15:04.29 ID:UnyvxZgNo
乙です
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 00:21:13.01 ID:pePcpFxDO
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 00:28:18.82 ID:VB4RXJYbO
乙乙
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 07:50:35.69 ID:tU7A9Yhmo
乙です
166 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/13(水) 22:22:21.17 ID:Oi+iCNW9o
若干修正


□■□■□■□

しばらく宿屋内の探索をした後、平さん達と別れ、私は赤沙さんと共に次の場所へ向かいました。


フェリシア「ここは、沢山の建物が並んでいますね」

赤沙「そこは服屋、あそこは雑貨屋、こっちは電器屋、向こうのは本屋……色んな店が並んでる。ここは商店街なのね」

赤沙「ま、どれも寂れてて品揃えはあんまり良くないみたいだけど」

私達が訪れたのは、これまた廃れた商店街。

私は試しに一つのお店に入ってみます。

フェリシア「ふむふむ、けん玉、トランプ、すごろくにビデオゲーム……ここはもしかして───」

???「もしかせんでも玩具屋じゃのう」

フェリシア「わっ! あ、アナタはこのお店の人でしょうか!?」

???「じゃはははっ! 何言うよん? ワシはお前さん達と同んなじ記憶喪失の高校生じゃ」
167 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/13(水) 22:23:27.24 ID:Oi+iCNW9o

ボサボサの髪に無精髭、変な気崩しをした和柄の服装。

ぱっと見た感じ、赤沙さんとは別の意味で同年代には見えませんでした。

???「そうだ、お前さんとは挨拶がまだじゃったのう」

絵合「ワシは絵合ヒカル、紙芝居師なんてのをしとる者じゃ。よろしゅう頼む」

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被験者番号:0002
【超高校級の紙芝居師】絵合 ヒカル(エアワセ ヒカル)
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ポリポリとあご髭を掻きながら、絵合さんは右手を差し出し握手を求めます。

それに応じて、私も挨拶を返します。

フェリシア「私はフェリシア・カーティスと申します。こちらこそよろしくお願いします、絵合さん」

絵合「その格好、さてはフェリシアはシスターって奴かのう?」

フェリシア「正確には聖職者なので少し違いますが……まあ、そんな感じと思ってくれて構いませんよ」
168 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/13(水) 22:46:55.06 ID:Oi+iCNW9o

フェリシア「紙芝居師……と言うのは、あの昔よく公園などで見かけたという……?」

絵合「そうそう! まあ、最近はめっきり減ってしもうたけれどのう」

絵合「ワシは子供の喜ぶ顔がめっぽう好きじゃけぇ、紙芝居師をやっとるんじゃ」

フェリシア「それは素晴らしいことですね! 私も人の幸せの為に聖職者をしているので、その気持ち分かります」

フェリシア「やっぱり子供の笑顔って良いですよね。心が救われる気がします」

赤沙「誰よッ!? 今、私のことを子供扱いした奴は!!」バッ!!!

フェリシア「誰も赤沙さんの話はしてないですよっ!」

というか、外に居たはずなのになんで聞こえてるんですか!?

地獄耳ですかっ!?
169 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/13(水) 23:09:05.51 ID:Oi+iCNW9o

絵合「じゃっはっはっはっ! 赤沙は元気じゃのう! やっぱり子供は元気が一番じゃ!」

赤沙「絵合〜ッ……あんた、覚悟しときなさいよ! いつか絶対殺したげるわよ!」

フェリシア「まあまあ、落ち着いてください赤沙さん」

私は怒りに我を忘れている赤沙さんを何とか宥めて、玩具屋を後にし、違う店に入ってみることにしました。

玩具屋の斜向かいのお店。

そこは商店街の中でも一層古めかしい佇まいをしている、古本屋のようでした。

赤沙「ここはまた、随分汚いわね……」

フェリシア「ですが色んな本が置いてありますよ? もしかしたら、ここが何処かを知る手がかりがあるかもしれません」
170 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/13(水) 23:35:00.76 ID:Oi+iCNW9o

赤沙「はぁー……私、活字って苦手なのよね。ここはフェリシアに任せるわ」

???「『本をよく読むことで自分を成長させていきなさい。本は著者がとても苦労して身に付けたことを、たやすく手に入れさせてくれるのだ』」

辟易とした顔で本屋から出ていこうとする赤沙さんの背中に声がかけられます。

赤沙「……?」

???「ソクラテスの言葉でございます。無理にとは言いませんが、本を読むことで赤沙さんも成長できるのではないかと存じます」

赤沙「ふんっ、余計なお世話よ」

フェリシア「えっと、あなたも私達と同じ記憶喪失の方でしょうか?」

???「ニーチェ曰く、『自己について多くを語ることは、自己を隠す一つの手段でもあり得る』」

???「ですが私達はこれから協力していうことする間柄……隠し事はせず、簡潔に自己紹介を致しましょう」
171 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/14(木) 00:00:37.13 ID:+IMalUzlo

本城「私は本城文架……珍しいかも知れませんが、文に十字架の架と書いて読み方はモカでございます」

本城「何卒よろしくお願い致します」


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被験者番号:0012
【超高校級の蔵書家】本城 文架(ホンジョウ モカ)
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涼しげな表情のまま、本城さんは綺麗な角度でお辞儀をします。

さらり、と流れる長髪は艶やかに澄んでいて、とても綺麗です。

フェリシア「あ、私はフェリシア・カーティスと申します。こちらこそよろしくお願いしますね本城さん!」

本城「トルストイ曰く『信仰は人生の力である』」

本城「フェリシアさんは聖職に携わる方とお見受け致します。貴女の信仰は貴女自身の人生をより力強くしてることでしょう」

本城「この先、何が起ころうとも……」

フェリシア「は、はぁ。…………?」

本城さんは私の目をのぞき込み、そう語ります。

彼女の目は私より先にあるどこかを見ているようで、何だか不思議な色をしていました。
172 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/14(木) 00:29:32.14 ID:+IMalUzlo

本城「して、フェリシアさんは確か……ここが何処かを調べようとしていたのでございましたね」

本城「ですが残念な事に、この古本屋にはそのような情報の載った書物は無いようでございます」

フェリシア「ええっ? そうなんですか?」

本城「はい。先程全ての書物を拝読致しましたが、その殆どが現実的な情報の少ない物語や詩集などで占められてございました」

赤沙「あんた……ホントにここの本全部読んだの!? 何冊あると思ってんの!?」

本城「私は本の収集を趣味としていまして、この程度の冊数ならばものの数時間で読破可能でございます」

赤沙「し、信じらんない……うっ、想像しただけで目眩がしてくるわ……」
173 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/14(木) 00:39:52.53 ID:+IMalUzlo

フェリシア「でも、手がかりが無いのは残念ですね……」

本城「『できると思えばできる、できないと思えばできない。これは、ゆるぎない絶対的な法則である』」

本城「パブロ・ピカソの言葉です。きっと手がかりは見つかるでしょう、貴女と私がそれを諦めない限りは」

フェリシア「……! ですよね」

フェリシア「よーし、私も頑張りますよ! そうと決まれば行きましょう赤沙さん!」

赤沙「はいはい、分かったから腕引っ張らないで!」

慣れない活字に目を回す赤沙さんを連れて、私は次の場所へ探索へ向かうのでした。
174 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/14(木) 00:52:06.64 ID:+IMalUzlo

□■□■□■□

フェリシア「さて、次はあそこですね! 早速、探索頑張りましょう!」

赤沙「随分、張り切ってるわね」

フェリシア「本城さんはいいことを言いますね。諦めない限りは手がかりは見つかるんです……だから赤沙さんも、ね?」

赤沙「あんた簡単に影響されすぎでしょ……」

呆れる赤沙さんを置いて、私は街の端に離れて建っている一つの建物に近づきます。

フェリシア「あっ、ここってもしかして……」

ステンドグラスの窓。

屋根の上の十字架。

入口付近に置かれた天使像。

フェリシア「どう見ても教会じゃないですか!」

私は嬉々として教会の扉を開き、中に足を踏み入れます。
175 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/14(木) 00:59:42.31 ID:+IMalUzlo



???「────あ゙? 何だテメェ……」



教会の中には男の人が一人。

その男は、あろう事か我が主を象った石像を倒し、その台座の上に無造作に足を投げ出して座っていたのです。

フェリシア「あ、ああ、あああぁああぁっ!!! な、なな、何をしてるんですか!?」

???「あ゙あ゙? チッ、うるせぇ女だな……」

フェリシア「神聖な物なんですから、ぞんざいに扱うと罰が当たりますよ!」

???「うるせぇっつってんだろ!! おい女……あまり俺をイライラさせるな」ギロッ

男は機嫌が悪いのか髪をムシャクシャと掻き毟り、私を睨んできました。
176 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/14(木) 01:00:24.19 ID:+IMalUzlo

今夜はここまでです。
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 01:12:53.70 ID:HKjW9SYyo
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 06:26:52.15 ID:/CjoqbpDO
乙です
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 06:36:34.13 ID:ev7bwNX4o

あとは???とネフティス・キャッスルに行けば探索は終わりか
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 23:20:53.44 ID:OdChrpGbo
今日は休みかな
181 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/14(木) 23:33:38.28 ID:+IMalUzlo

遅くなってしまったので今夜はお休みです。
明日、長めにやります。
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/14(木) 23:43:11.34 ID:UUFCl1Zd0
期待
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 07:09:06.01 ID:6XR9nrsDO
待ってます
184 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 20:33:16.83 ID:KHFuE962o

フェリシア「そこから降りてください! あなたが降りたら私も静かにしますよ!」

???「チッ、生意気な女め……」スッ

やっと台座から降りてくれたと思ったら、その男はこちらに歩み寄ってきます。

──────懐から折り畳み式のナイフを取り出しながら。

フェリシア「えっ!?」

???「俺をイライラさせたテメェが悪いんだからなぁ……」

嗜虐的な笑を薄く浮かべる男は、手に持ったナイフを振り上げて、私の頭上に─────

フェリシア「きゃぁあああっ!!」

そして、そのまま勢いよく振り下ろして─────
185 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 20:48:31.53 ID:KHFuE962o




───────キィンッ!!!!



???「あ゙?」

フェリシア「……えっ?」

ナイフは私にあたる直前で弾き飛ばされ、床を転がります。

赤沙「───はぁ、まったく危ないわね」

フェリシア「あ、赤沙さんっ!!」

ナイフを弾き飛ばしたのは赤沙さんでした。

彼女は私と男の間に現れ、手刀でナイフを弾いたのです。
186 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 21:01:39.16 ID:KHFuE962o

フェリシア「あ、ありがとうございます、赤沙さん!」

赤沙「フェリシア。あの男には近づいちゃダメだから、気を付けなさい」

フェリシア「え? あの人は一体どなたなんですか?」

赤沙「あんた知らないの? 少し前にニュースをやってたじゃない」

フェリシア「す、すみません……私、世間に疎くって」

赤沙「あの男……空賀隼人はヒノマル航空881便ハイジャック事件の主犯格」

赤沙「そして約100人のも犠牲者を出した、最低最悪の凶悪犯罪者よ」

空賀「はっ……うるせぇチビ女だ……」


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被験者番号:0006
【超高校級のハイジャック犯】空賀 隼人(クガ ハヤト)
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187 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 21:14:44.28 ID:KHFuE962o

フェリシア「き、凶悪犯罪者……ですか!?」

赤沙「そ。まあ少し前に警察に捕まって今は監獄にいる、はずなんだけど……」

空賀「チッ、興醒めだ……勝手に死んどけゴミ女共」

その場にペッと唾を吐き捨て、空賀という男は荒々しく教会を出ていきます。

フェリシア「……で、でもどうしてそんな人までこの街にいるんですか?」

赤沙「さあね、私にもわからないわよ」

赤沙「そもそも死刑判決はほぼ確定的って言われてる空賀が外に出られるはずもないのに……」

フェリシア「も、もしかして……あの空賀って人が私達をここに攫った犯人なんじゃ……」

赤沙「その可能性は高いかもしれないわね」

私は空賀という男が出ていった後の扉を見つめます。

ただでさえ記憶喪失で知らない場所にいて、さらに断崖絶壁に囲まれ帰り道も分からないっていうのに……

この上、凶悪犯罪者まで居るなんて……

考えれば考えるほど不安になってしまいます。
188 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 21:32:41.85 ID:KHFuE962o

フェリシア「それにしても赤沙さんは凄いですね。あんな怖い人相手に勇敢に立ち向かって、私を助けてくれましたし」

赤沙「ふ、ふん! 大した事じゃないわよっ」

フェリシア「それにナイフを手で弾くなんて芸当……ただの子供にはできませんよ!」

赤沙「だから、子供扱いするなって言ってんでしょ……!」

フェリシア「ふふっ、冗談ですよ冗談」

赤沙「あんた、私をからかうのもいい加減にしなさい……殺したげるわよ!」

フェリシア「でも凄いっていうのは本当ですよ」

フェリシア「赤沙さん、もしかして武道でも習ってらっしゃるんですか? 体さばきが妙に決まっているというか……」
189 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 21:46:33.48 ID:KHFuE962o

赤沙「……………………」

赤沙「…………別に大した事はしてないわよ」

赤沙「ほらっ! ぼさっとしてないで次行くわよ次!」タッタッタッ

フェリシア「あっ、待ってください赤沙さん!」

今一瞬だけ、赤沙さんの顔が冷たくなった気がしたのですが……どうしたんでしょう?

もしかして聞いてはいけないことを聞いてしまったのでしょうか?

私は少しだけ遅れて、赤沙さんの後を追うのでした。
190 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 22:04:43.32 ID:KHFuE962o

□■□■□■□

???「うぬぅ……ここは何の建物であろうか?」

???「うーん、さっぱりね!」

とある大きな建物の前で2人の男女が会話をしているのを見つけました。

2人の体格は対称的。

片や筋骨隆々の大柄な男性、片や赤沙さんにも負けず劣らず背の低い女性です。

フェリシア「あの、どうかされたんですか?」

???「ぬ? ああ、また一人仲間が見つかったのだな」

フェリシア「あっ、はい! 申し遅れました、私はフェリシア・カーティスです。よろしくお願いします」

???「うぬ。これは礼儀正しきおなごであるな」

岩藤「私の名は岩藤益五郎。プロのレスラーをしている者だ」

岩藤「よろしく頼むぞ、フェリシア殿」ニッ


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被験者番号:0004
【超高校級のレスラー】岩藤 益五郎(ガンドウ マスゴロウ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

191 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 22:19:54.84 ID:KHFuE962o

ガタイの良さと厳つい顔つきから野蛮な人なのかと思ってしまいましたが、どうやら岩藤さんはそうでは無いようですね。

屈強な肉体に似合わぬ優しげな笑顔からは、彼の穏やかさと知的な雰囲気が感じ取れます。

???「あっ、アタイにもフェリシアちゃんに挨拶させてよ!」

岩藤さんと自己紹介をしていると、隣の女性も気さくそうな笑顔で会話に入ってきます。

鞠宮「アタイは鞠宮仁美! 岩藤がプロのレスラーならアタイはプロのボウラーさ!」

鞠宮「何か困った事があったら、ドーンとお姉さんに任せなさいな!」


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被験者番号:0013
【超高校級のボウラー】鞠宮 仁美(マリミヤ ヒトミ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


鞠宮さんは握り拳で、その小柄な体躯に似合わぬ豊満な胸を叩いて頼もしさを誇示します。

フェリシア「ふふっ、はい! もしもの時はよろしくお願いしますね鞠宮さん」

赤沙「……ふん、ならこの街から帰れなくて困ってるのを何とかしなさいよ」

鞠宮「あははっ、ゴメンね赤沙ちゃん。お姉さんにも出来ないことはあるのさ」
192 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 22:41:34.48 ID:KHFuE962o

フェリシア「もう、無理を言って鞠宮さんを困らせちゃ……めっ、ですよ? 赤沙さん!」

赤沙「……また! …………はぁ、もういいわ」

フェリシア「それで岩藤さん達は何を話しているんですか?」

岩藤「ぬぅ、この建物の事なのだが……」

そう言って岩藤さんは目の前の大きな円錐状の建造物を指さします。

鞠宮「これがねぇ、どこにも入口が見当たらないの! それで、どうしたものかと困ってた所なのよさ」

フェリシア「入口がない……ですか?」

私は改めてその建物を見つめます。

今までのレンガ造り等の古めかしい家屋と違い、妙に新しい感じの造りになっています。

窓も付いてないようで、中の様子を伺いみることは叶いません。
193 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 23:00:32.58 ID:KHFuE962o

鞠宮「岩藤の全力パンチなら壁に穴あけられるんじゃないかい?」

岩藤「ふぬ、それはまあ、できるかもしれぬが……中に何が有るか分からぬ以上、無闇なことはせぬ方が良かろうな」

フェリシア「で、できるにはできるんですか……あ、あははは……」

私達がそんな風に話していると、建物の壁を見て回っていてた赤沙さんが、ふいに声を上げました。

赤沙「ねえ、そこの壁に何が書いてない?」

フェリシア「えっ? ホントですか!?」

赤沙さんが指さした壁に近づき目を凝らします。

すると、薄らとですが、文字のようなものが読めるではないですか。

岩藤「埃や土汚れ等で見えにくくなっていたのだな……これを見つけるとは赤沙殿のお手柄であるな」

フェリシア「凄いじゃないですか、赤沙さん!」

赤沙「ふんっ、それ程でもないわよ」

鞠宮「それで、なんて書いてあるのよさ?」

フェリシア「えーっと…………」

私は壁を凝視して、書かれている文字を読み上げます。
194 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 23:20:38.98 ID:KHFuE962o


『Ultimate Laboratory Building 1』


鞠宮「あるてめっと? らぼ? それはなんて意味なのさ? 頭の悪いお姉さんにも分かりやすく教えてよ!」

岩藤「ふぬ……直訳すれば『究極の研究室棟』と言った所か」

フェリシア「“究極”とは一体何を示すんでしょうか? ここだけ他の建物と違いますし、何かあるのは間違いないと思うんですが……」

赤沙「1……ってことは第一研究室棟って感じ? もしかして、第二や第三もあるの?」

岩藤「いや、このような建物はコレ一つしか見ておらぬが……」

鞠宮「はえ〜、皆頭良いのねぇ。お姉さんついて行けないわ」

ふと、建物の周囲を見渡した私はあることに気がつきます。

フェリシア「ここ、この建物の隣、何も有りませんね。ただ広い土地が余ってます……」

鞠宮「えっ? ああ、言われてみればそうさね」

岩藤「……! 成る程、そういう事であるか」

赤沙「そっか。だから第一なのね」

鞠宮「えっ? 何なに? 何なのよさ? お姉さんにも教えてよ!」
195 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 23:48:16.71 ID:KHFuE962o

フェリシア「ほら見てください鞠宮さん、ここ、地面に細いロープが引いてあるんですよ」

フェリシア「ほら、丁度四角く、ブロックに分けるように」

鞠宮「あっ、本当ね」

岩藤「恐らく第二、第三の研究室棟を建てる予定地だったのであろう」

フェリシア「でも何かがあって建てられなくなった……やっぱりこの街が断崖絶壁で囲まれてしまったのと関係あるんでしょうか?」

赤沙「はぁ……私達、どうやら想像よりヤバいことに巻き込まれてるみたいね」

鞠宮「ふむふむ。まあ、良く分からないけど大変みたいね」

鞠宮「でもこういう時こそ元気を出さなきゃなのよさ! ほら、お姉さんと一緒に頑張ろー!」

赤沙「ったく……お気楽なんだから」

フェリシア「でも確かに元気を出すのは大事ですよね!」

赤沙「……こっちにもお気楽バカがいたわね」
196 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/15(金) 23:57:24.58 ID:KHFuE962o

鞠宮「フェリシアちゃんは話がわかるわね〜! よーし、いっちょ掛け声でもしましょっかね!」

フェリシア「はいっ!」

鞠宮「ここから帰る為に協力して頑張るぞー!! おー!!」

フェリシア「おー!!」

私と鞠宮さんは手を天高く挙げ、声を合わせます。

赤沙「はぁ……バカみたい」

岩藤「ぬははっ、まあ良いではないか。常に暗い気持ちでいるよりもな」

ひとしきり鞠宮さんと叫びあった後、私は赤沙さんと共に次の場所へ向かうのでした。
197 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/16(土) 00:14:48.54 ID:Ca+wdb+9o

□■□■□■□

ひと通り街を見て回って、最後に街の中央にある場所へと辿り着きました。

辿り着いた、のはいいのですが……

フェリシア「えっと……」

私は立て札と目の前の建物とを何度も見比べては、首を傾げます。

フェリシア「これが、その、お城、なんですか?」

『ネフティス・キャッスル』

立て札にはそう書かれていましたが、目の前の建物はキャッスルと言うには余りにも小さくて……

赤沙「どう見ても掘っ建て小屋って感じね」

フェリシア「とりあえず中に入ってみましょうか?」

今にも壊れそうな扉をゆっくりと開け、私はその中に入ります。
198 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/16(土) 00:47:35.38 ID:Ca+wdb+9o

中は薄暗く、嫌な臭いが立ち込めていました。

フェリシア「中も狭くて……あっ、ハシゴがありますよ!」

マンホールの様に床に丸く穴が空いていて、地下へと続く長いハシゴが伸びています。

赤沙「地下があるのね……じゃあ、キャッスルってのはもしかして……」

フェリシア「降りてみましょうか」

細いハシゴなので少し足元が不安ですが、なんとか降りられそうです。

カタン…カタン…カタン…

ある程度降りると、開けた空間に出ました。

フェリシア「あっ…………!」

そこで私はここがキャッスルと名付けられた理由を知るのでした。
199 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/16(土) 00:48:57.67 ID:Ca+wdb+9o

今夜はここまでです。
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 00:53:25.89 ID:/Jm5hF0DO
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 04:08:22.05 ID:p8z5A4ILo
乙です
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/16(土) 07:25:05.85 ID:dR7XwKlEo
乙でした
いつも楽しみに読んでます
203 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/16(土) 22:41:09.44 ID:Ca+wdb+9o

煌々と輝くシャンデリア。

大理石の床に敷かれた真紅の絨毯。

正面に飾られた大きな肖像画には、ドレス姿の美しい女性が描かれています。

フェリシア「地下にこんな場所があったんですね」

赤沙「成る程、ここがネフティス・キャッスルって訳ね」

フェリシア「それにしても広いですね……廊下の先には部屋が沢山あるみたいですよ」

赤沙「とりあえず片っ端から調べるわよ!」

私達はネフティス・キャッスルの奥へと進んでいきます。
204 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/16(土) 22:51:43.25 ID:Ca+wdb+9o

ガチャッ

フェリシア「…………うーん」キョロキョロ

フェリシア「ダメです。ここも空っぽですね」

赤沙「また客室? これで一体いくつ目よ……」

廊下に並ぶ扉を端から順に開けていきますが、未だ客室以外の部屋を見つけられません。

客室は簡素なベッドとクローゼットがあるシンプルな作りです。

ただ、1つ異質な点が。

どの部屋にも監視カメラとモニターが設置されているです。

まるでこの部屋の主を見張って逃さないかのように。

その後も探索を続けると客室は全部で16部屋あることが判明しました。

フェリシア「16部屋……宿屋もそうでしたが、私達の人数と一致してますね」

赤沙「私達の為に作られた……って、そんなわけないわよね」
205 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/16(土) 23:03:57.52 ID:Ca+wdb+9o

フェリシア「……とにかく反対側の廊下も見てみましょう! あっちはどうやら客室じゃないみたいですよ」

赤沙「そうね。分からないことをいつまでも考えてても仕方ないし、探索を進めるのが先ね」

一度、肖像画のある玄関ホールまでもどり、反対側の廊下へと足を運びます。

フェリシア「まずはここですね」

ガチャッ

扉を開け、中をのぞきます。

白いクロスの掛けられた縦に長いテーブル。

古めかしさは相変わらずですが、優雅で気品溢れるその部屋は、見たところ食堂のように思えます。

フェリシア「ここは……食堂ですか」

赤沙「結構いい雰囲気だけど、わざわざ食事のたびに地下に降りるのはゴメンね」

赤沙「地上のレストランで充分でしょ」

フェリシア「あはは……確かにそうですね」
206 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/16(土) 23:16:38.53 ID:Ca+wdb+9o

それに……ここにも監視カメラがあります。

やっぱり誰かに見張られてるかもしれない場所は、少し嫌ですね。

フェリシア「えっと、じゃあ次は隣の部屋を……」

ガチャッ

???「うあっ!? 誰っ!?」ビクッ!

私が隣の部屋に向かおうとすると、直後に扉が開かれ中から男の人が出てきました。

フェリシア「あっ、先客がいらしたんですね!」

???「な、なんだ……ぼくと同じでこの城を探索しに来た人っスか」

???「あ、いや! ビビってなんかないっスよ? ぼく度胸だけは1人前なんス!」

???「昔、山で熊に襲われた時だって、慌てず冷静に死んだフリをしたっスから!」

赤沙「それビビりすぎで気絶したってオチじゃなくて?」

???「ぎ、ぎくぅ!!」
207 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/16(土) 23:34:50.50 ID:Ca+wdb+9o

???「な、何でバレ……じゃなくて! そんな事はどうでもいいんスよ!」

???「赤沙先輩にはしたっスけど、そっちの彼女にはまだ自己紹介してないっスよね?」

並木「ぼくは並木崇っス! ぼく、色んなバイトして結構色々出来るんで、きっとお役に立てる事もあるはずっス」

並木「よろしくおなしゃっス! 先輩!」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
被験者番号:0010
【超高校級のアルバイター】並木 崇(ナミキ タカシ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


斜め45°の綺麗なお辞儀を繰り出す並木さん。

フェリシア「あっ、私はフェリシア・カーティスと申しますけど……」

並木「カーティス先輩っスね」

フェリシア「あの、その先輩というのは……?」

並木「ぼく、基本的に人の事、先輩って呼ぶようにしてるんスよ」

並木「だってほら、何かとお世話になるかもしれないっスから」
208 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/16(土) 23:54:08.98 ID:Ca+wdb+9o

フェリシア「でも少し恥ずかしいですよ……同年代ですし」

フェリシア「せ、せめてカーティスではなくて名前で呼んでください」

並木「そうっスか……了解っス! えっと、フェリシア先輩!」

先輩……ですか。

なんだか呼ばれ慣れてなくてむず痒い気分です。

赤沙「それで、あんたこの中見てきたんでしょ? どうだったの?」

並木「それが、この部屋スゴいっスよ!」

並木「結構広めの倉庫になってて、この世の全てを置いてきたんじゃないかってほど何でもあるんス」

並木「前にKumazonの仕分けのバイトやってた時を思い出すっスね……」

フェリシア「へぇ、倉庫ですか」

私は並木さんの背後のドアの隙間をちらっと覗き見ます。

天井まで伸びた大きな棚に、所狭しと様々な物が並べられているのが見えました。
209 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/17(日) 00:08:06.10 ID:sh2cr1KFo

赤沙「ま、色々揃ってるのは便利でいいわね。商店街にはろくなもの無かったし」

赤沙「この街で暮らすのにも色々物が必要でしょうし」

並木「あっ、やっぱ、ここで何日か過ごさなきゃならないんスかね?」

赤沙「どう見てもヤバい事に巻き込まれてるみたいだし、すぐには帰れないでしょうね」

フェリシア「それは困りましたね……」

並木「うあー! 明日も明後日もシフトが詰まってるんスよ! どう店長に言い訳すれば……!?」

両手で頭を抱える並木さん。

しかし、私にはしてあげられることが有りません。

フェリシア「なるべく早く帰れるよう頑張りましょう! ね?」

並木「うぅ……それしか無いっスよね」

並木「トホホ、無断欠勤しない事だけは一人前のつもりだったんスけどね……」

落ち込む並木さんを励ました後、私達は次の部屋に向かいました。
210 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/17(日) 00:08:55.52 ID:sh2cr1KFo

今夜はここまでです。
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 00:15:15.18 ID:Kkhv+G7AO
乙乙
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 00:15:22.09 ID:NC7YM0UJo
乙でした
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 00:24:53.32 ID:VSRcgOfDO
214 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/17(日) 21:21:43.36 ID:sh2cr1KFo

諸事情により、今夜はお休みです。
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/17(日) 21:25:50.72 ID:6VhHrOTU0
了解
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 00:09:48.60 ID:QATa1pPNo
了解しました
217 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/18(月) 22:28:37.59 ID:nxqiwi6co

ガチャ

フェリシア「……! この消毒液の臭いは、もしかして……」

廊下の突き当り、最後の部屋の扉を開けると、薬品の匂いが漂ってきます。

赤沙「薬品棚にベッドに……医務室ってところね」

フェリシア「これだけしっかりとした医務室があれば、多少の怪我は平気そうです!」

私はキョロキョロと見回りながら進み、医務室の奥で一人の女性を見つけました。

フェリシア「あ! あなたも私達と同じ記憶喪失の方ですね? よかったら自己紹介を──」

???「……ッ!? あ、ああ……人が来ていたのですわね。気づきませんでしたわ」

その女性は何やら医療品の入った棚を探っていたようで、私が声をかけると慌ててこちらを向きます。
218 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/18(月) 22:40:36.39 ID:nxqiwi6co

フェリシア「何かお探しだったんですか?」

???「い、いえ! 何でもありませんわよ?」

???「そ、それより自己紹介でしたわね……こほん」

白墨「わたくしは日本白楼書道会師範・白墨朧の長女、白墨桜でございます。よろしくお願いしますわ」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
被験者番号:0007
【超高校級の書道家】白墨 桜(シラスミ サクラ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


紅色の袴を履いた和風美人の白墨さんは、キリッとした表情で挨拶をしてくれます。

フェリシア「あ、私はフェリシア・カーティスと申します。よろしくお願いしますね」

フェリシア「ええと、白墨さんは書道をやられる方なんですか?」

白墨「ええ、まあ……白墨家は代々書道の師範を務めてきた家ですので」

白墨「わたくしもお父様の跡を継ぎ、立派な書道家となるべく日々邁進していますわ」
219 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/18(月) 22:59:45.36 ID:nxqiwi6co

そう語る白墨さんは、確かに書道家としての気風と自信に満ちているように見えます。

ですが。

フェリシア「ところで、先程は何を探していたんですか?」

白墨「そ、そ、それはどうでもいい事ですわ! 全然何も探してないんですし……!」

一瞬にして彼女の気風と自信はどこかへ行ってしまいました。

うーん、隠し事は苦手なタイプなんでしょうね……

赤沙「ねえ、もしかしてこれ? あんたが探してたのって」

白墨「えっ!? な、なな何の事かしら?」

赤沙さんが手にしていたのは、先程白墨さんが探っていた棚から出した物。

───白い衛生用マスクでした。
220 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/18(月) 23:16:02.21 ID:nxqiwi6co

フェリシア「マスク!? もしかして白墨さん、どこかお体の調子が悪いんですか!?」

白墨「そうじゃ……そうじゃないですわ! ただチョット懐かしかったというか何というか……」

フェリシア「…………“懐かしい”?」

白墨「そ、そんな事よりほら、見てください! こっちの薬品棚、凄く品揃えが豊富ですわよ! ほら!」

フェリシア「は、はぁ……」

露骨な話題の変え方をする白墨さんに、私はこれ以上深く追求しない方が良いだろうと悟ります。

人の話したくない事をわざわざ聞くことはありませんしね。
221 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/18(月) 23:26:19.79 ID:nxqiwi6co

私は白墨さんの言った薬品棚に目を向けます。

フェリシア「わっ、ホントに一杯ありますね。これ全部薬なんでしょうか……」

薬品棚には茶色の瓶がずらりと並べられていています。

ですが、その殆どが外国語(ドイツ語でしょうか?)で書かれており、何という薬なのかすらわかりません。

赤沙「これは鎮痛剤、こっちは睡眠薬、フェリシアが今持ってるのは風邪薬」

フェリシア「えっ、赤沙さん読めるんですか?」

赤沙「ふん、これぐらい普通よ。ていうかフェリシアは外国人の癖して日本語しか読めないの?」

フェリシア「わ、私は物心ついた時から日本育ちですから! しょうがないんですよ!」

赤沙「ふふーん、自慢じゃないけど私は20ヶ国語が読み書きできるわ」

珍しく得意げな笑顔を見せふ赤沙さんは、年相応の表情で可愛らしいです。

フェリシア「赤沙さんは子供なのに凄いですね!」

赤沙「…………あんたワザとでしょそれ。殺したげるわよ」
222 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/18(月) 23:40:13.30 ID:nxqiwi6co

白墨「では、赤沙さん……この瓶に入っているのは何ですの?」

白墨さんが差し出したのは紫色のラベルが貼られた小瓶でした。                    

そのラベルに書かれた文字に赤沙さんは目を通します。

すると、ふいに赤沙さんの目が見開かれて。


赤沙「─────これは“毒薬”よ」


白墨「ど、毒薬!?」

フェリシア「毒薬って……それ本当なんです!?」

赤沙「嘘言ってどうすんのよ。これは正真正銘の毒、しかも非常に危険な奴ね」

白墨「ど、毒薬だって思ったら、きゅ……急に手が震えてきましたわわわわ……」ガクガク

赤沙「ちょっと! 危ないからさっさと棚に戻しときなさい!」

危なげな手つきで何とか瓶を元あった場所に戻した白墨さん。
223 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/18(月) 23:53:18.24 ID:nxqiwi6co

フェリシア「それにしても、何でこんな所に毒薬があるんでしょうか」

赤沙「さあね。ま、とりあえず触らないようにしときなさいよ。素人が触ると危険なんだから」

白墨「そうですわね。もし割ってしまったら大変ですものね」

赤沙「特に白墨、あんたは気をつけなさいよ」

白墨「な、なぜ名指しで注意されるのかしら……」

医務室に毒薬がある。

その事実に私の心はひどく不安に襲われます。

何か……凄く嫌な予感がしてしまうのです。

杞憂だといいのですが……
224 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/19(火) 00:09:54.23 ID:SDNhPBX2o

フェリシア「───っと、これでネフティス・キャッスルの中は一通り探索し終えましたね」

赤沙「……そろそろいい時間ね。じゃ、広場に行くわよ」

フェリシア「あっ、そうでしたね、広場に集合なんでしたっけ。皆さん集まるんですよね?」

赤沙「そ。全員で探索の成果を報告し合うってわけ」

フェリシア「あれ? そういえば私まだ14人しか会ってないんですが、もう一人の方はどちらに……?」

赤沙「広場に行けば会えるでしょ。ほら、さっさと行くわよフェリシア!」スタスタスタ……

フェリシア「あっ、待ってくださいってば赤沙さん!」タッタッタッ……

赤沙さんを追いかけ、私はネフティス・キャッスルを後にし、集合場所である街の真ん中にある広場に向かいました。
225 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/19(火) 00:10:22.07 ID:SDNhPBX2o

今夜はここまでです。
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 00:11:23.35 ID:DSN8Otono
乙でした
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 00:57:38.13 ID:7t08LXbbo
乙です
228 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/19(火) 23:00:17.01 ID:SDNhPBX2o

すみませんが今夜と明日はお休みです。
明後日、長めにやります。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 23:03:48.85 ID:nqXTpKr10
何時も報告を有難う、楽しみに待っている
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/19(火) 23:11:15.92 ID:vmS1EKvFo
了解しました
いつも楽しみにしてます
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 08:23:35.59 ID:BodQCkqLO
既に目標を投げ捨ててて草
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 08:44:21.57 ID:ZiISIxdDO
>>1のペースでいいですよ
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 19:22:42.54 ID:IcnGyz0Go
そんな風に甘やかしてるとすぐエタるぞ
オリロンパって大概そんなもんだし
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 19:26:32.55 ID:KO1bP2oTo
毎度毎度しつこいな
気に入らないなら黙って去ればいいのに
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/21(木) 19:59:12.41 ID:6LYUZ9jwO
事実だろ?
逆ギレすんなオリロン厨
236 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/21(木) 21:17:56.58 ID:9ZRrGW8Jo

□■□■□■□

チョロチョロと水の流れる音は、広場の中央に置かれた噴水から聞こえるものでした。

石畳の広がる地面には薄く苔が生え、この広場もかなり年季の入った物だと教えてくれます。

フェリシア「ここが集合場所の広場……ですか」

フェリシア「まだ、他の方達はいらっしゃってないようですが…………」

私はキョロキョロと首を回して周囲を見渡します。


フェリシア「……あっ────」

そこで私は──彼に出会ったのです。
237 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/21(木) 21:36:31.63 ID:9ZRrGW8Jo

雪のように白い肌。

青みがかった綺麗な髪。

長いまつ毛の切れ長な目には紅い瞳が輝いていて。

その整った女性的な顔立ちからは、ある種の神聖性すら感じられます。

頭上から優雅に舞い降りてくる彼は、まるで空中で踊る天使のよう。

そんな彼は私の視線など気にする素振りすら見せず、くるり、と空中で体を捻って可憐に一回転すると、そのまま──────


────綺麗に噴水の水溜まりへと落ちていきました。


……ズシャァァァアアッッ!!!!


……………………………………

…………………………………………

フェリシア「って、きゃああああっ!? ひ、人が落ちましたよっ!?!?」
238 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/21(木) 21:50:45.87 ID:9ZRrGW8Jo

フェリシア「どどど、どうしましょう赤沙さん! あの方、大丈夫でしょうか!?」

赤沙「さあね」

フェリシア「わ、私! 様子を見てきますっ!」タッタッタッ

赤沙「はぁ……別に行かなくて良いのに」

私は駆け足で噴水へと近寄り、中に落ちた人に声をかけます。

フェリシア「も、もしもーし……だ、大丈夫ですかー?」

???「………………」ムクリ

???「………………平気」

何事も無かったかのような顔で、彼は起き上がりました。
239 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/21(木) 22:03:23.72 ID:9ZRrGW8Jo

フェリシア「ご無事なら良いんですけど……どうしてこんな事に?」

???「……かった」

フェリシア「えっ?」

???「噴水の中に出口が有るかと思ったけど、無かった」

フェリシア「……へ?」

何を言っているんでしょう?

ま、まさか本当にこの中に出口があると思って飛び込んだとでも言うんでしょうか……

赤沙「こいつと話しても埒が明かないわよ。こいつ真性のバカだから」

???「……? ボクは馬鹿じゃない」

赤沙「さっきからヘンテコな場所に出口をさがしては考えなしに飛び込むんだから」

赤沙「流石に崖下に飛び降りようとした時は止めたけど……ホントいい加減にしてよね」

赤沙さんの言う事が本当ならこの人は……何というか……随分、挑戦的な方なようですね。
240 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/21(木) 22:32:04.90 ID:9ZRrGW8Jo

???「でも、試さなきゃ分からない」

???「ボクは本気で出口を探してる。本気だから危険は承知の上だよ」

フェリシア「で、でも、いきなり飛び込む必要は無いですよね? 出口があるか確認してからでも……」

???「……………………!」

???「………………それは、そうかも」

まさか、気づいていなかったと言うんですか……

赤沙「ね? ただの馬鹿でしょ?」

フェリシア「あ、あははは……」

私は何とも言えない乾いた笑いで答えるしかありませんでした。
241 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/21(木) 22:40:11.25 ID:9ZRrGW8Jo

フェリシア「あれ? その膝、怪我しちゃってるじゃないですか?」

ふと彼の足を見た私は、その膝が擦りむけていて出血があることに気がつきました。

おそらく先ほどの噴水ダイブの時に怪我したんでしょう。

???「ん、ホントだ。でも大した事はない」

フェリシア「駄目ですよ! そのままにして膿んだりしたらどうするんですか!?」

フェリシア「あっ、そうだ! ちょっと待ってくださいね」

???「……?」

私はゴソゴソとポケットからある物を取り出し、目の前の彼に差し出します。
242 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/21(木) 23:11:14.32 ID:9ZRrGW8Jo

フェリシア「これ、絆創膏です。もしものことがあったらと考えて、ネフティス・キャッスルの医務室から拝借しておいたんです」

フェリシア「良かったら使ってください」ニコッ

???「……………………」

フェリシア「あ、そう言えば自己紹介すらしてませんでしたね」

フェリシア「私はフェリシア・カーティスと申します。よろしくお願いしますね!」

彼は差し出された絆創膏と、私の顔を交互に見つめてから答えます。

???「……ありがとう」

北見「ボクは北見。フィギュアスケーターの北見青真」

北見「よろしく、フェリシアさん」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
被験者番号:0005
【超高校級のフィギュアスケーター】北見 青真(キタミ セイマ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


そう言うと、北見さんは絆創膏を受け取ります。

表情はあまりなく、どちらかと言うと冷たいような印象を受ける北見さん。

しかも、やる事は過激というか、一見すると考えなしのような行動ばかり。

ですが、きっと本当は話せば通じる、心ある人なんでしょう。

絆創膏を持つ彼の姿を見て、私はそう思うのでした。
243 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/21(木) 23:31:14.85 ID:9ZRrGW8Jo

□■□■□■□

しばらくして、他の人達も広場に集まってきました。

フェリシア「ひぃ、ふぅ、みぃ……うん! 16人揃ったみたいですね」

赤沙「そうね、これでようやく探索の報告ができるわ」

小さく頷く赤沙紅葉さん。

絵合「じゃはははっ、にしても集まると結構な人数じゃのう」

顎鬚を撫でて笑う絵合ヒカルさん。

江森「………………そう? むしろこれしかいないんだね」

ぼそりと呟く江森千草さん。

岩藤「確かに我々しか街にいないのは異常事態であるな」

真剣な顔で腕を組む岩藤益五郎さん。

北見「ボクが調べた限り、出口も見当たらないし」

淡々と告げる北見青真さん。
244 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/22(金) 00:18:00.82 ID:7l00JjT4o

空賀「………………ちっ、イライラするぜ」

一人離れて舌打ちする空賀隼人さん。

白墨「で、出口がないなんて困りますわ! わたくし早く帰らなくてはいけないのに……」

困り顔で嘆く白墨桜さん。

平「と、とにかく落ち着こ? ね? 白墨ちゃん」

笑顔でなだめる平さつきさん。

戸馳「ま、泊まる場所とかはあるみたいだしマックス大丈夫っしょ」

楽観的な態度をとる戸馳明起さん。

並木「それに向こうの城の中に、雑貨品も山ほどあったっスよ」

元気よく報告する並木崇さん。
245 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/22(金) 00:34:32.04 ID:7l00JjT4o

冬芽「だが、このままという訳にもいかないだろう」

冷静に言い放つ冬芽凉水さん。

本城「そうでしょうね。私達を攫った犯人の目的も判明してございませんし」

静かに思案する本城文架さん。

鞠宮「やっぱりアタイ達は攫われたのかい? いったい誰がそんな事をしたのよさ!」

まだ見ぬ犯人に憤慨する鞠宮仁美さん。

夢原「うぅ……誘拐なんて怖いデスが、私はチーちゃんと一緒なら耐えられますデス(`・ω・´)キリッ」

隣の江森さんに抱き着く夢原蕩子さん。

路「ケケケ……慌てなくてもじきに犯人側から何かあるはずだゼ」

余裕な表情を浮かべる路景雷さん。
246 : ◆oRpgiNWygQ [saga]:2017/09/22(金) 00:36:12.53 ID:7l00JjT4o

今夜はここまでです。
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/22(金) 00:44:49.90 ID:8EZFVLGDO
乙です
そろそろアレも登場か
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/22(金) 04:05:25.83 ID:wttuduOzO
きちんと時間は守るようにな
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/22(金) 06:50:46.79 ID:lUmXfQna0
ようやく全員揃ったか
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/22(金) 07:48:21.01 ID:SIJMh/uIo
乙でした
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/22(金) 09:18:44.56 ID:dnf/NVyy0
乙です
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