最原「超高校級の膝枕」

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1 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/02(土) 21:18:32.75 ID:DlCjS7Va0
赤松「おはよう、東条さん」

東条「おはよう、赤松さん。朝食の用意はもう出来てるわよ」

赤松「いつもありがとうね。……大変じゃない?毎日私達全員分の食事作るの」

東条「気にしないで。メイドとして当然の仕事よ」

最原「ふわぁ……おはよう、みんな」

赤松「あ、おはよう!最原くん」

入間「よーうダサい原!相変わらず寝ぼけた面してんな!夜ナニしてやがんだ?」

最原「な、何もしてないよ……。朝にちょっと弱いだけだ」

赤松「最原くんって朝のチャイムでいっつも起きてるんだっけ?確かに、もうちょっと早起きしたほうがいいんじゃない?」

最原「ははは……なるべく努力してみるよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1504354712
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/02(土) 21:19:52.91 ID:DlCjS7Va0
入間「よし、最原!今日も早速だが俺様の実験に付き合ってもらうぜ!」

最原「え、今から?」

入間「当たり前だろーが!善は急げってやつだ」

最原「僕、まだご飯食べてないんだけど……」

入間「チッ。しゃーねーな。研究室で俺様の手料理を食わせてやるよ!ありがたくていろんな液体が零れ落ちそうだろ?」

最原「入間さん、料理に変なもの入れようとするじゃないか」

入間「な!?い、入れねーよ!……今日は。……多分」

最原「……不安だなぁ。まぁ、約束だししょうがないか。じゃあ、みんな、また後でね」

赤松「あ、うん……行ってらっしゃい」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/02(土) 21:21:28.60 ID:DlCjS7Va0
赤松「……」

東条「どうしたの?赤松さん。気になることでもあるのかしら」

赤松「あ、ううん!そういうのじゃないんだけど」

赤松「ただ……最近、あの二人仲がいいな、って」

東条(……それを気になってる、と言うのよ)

東条「確かに、最原くんが入間さんの実験に付き合わされるのはいつものことだけど――」

東条「最近は、頻度が多くなっているわね。心なしか、最原君も満更でもなさそうな気がするわ」

赤松「そう!そうなんだよ!いつもだったらもっと抵抗して、最終的に入間さんの泣き落としで渋々着いていってるのに」

東条「ええ。しかも今日に至っては私の用意した朝食すら摂らずに出かけていったわね」ゴゴゴ

赤松「と、東条さん……ちょっと、怒ってる……?」

東条「いいえ。悲しくないと言ったら嘘になるけれど。メイドの本質は滅私奉公」

東条「彼にとって、私の作った料理以上に優先すべきものがあった、ということよ。受け入れるしかないわ」
4 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/02(土) 21:22:16.29 ID:DlCjS7Va0
赤松「……うん。やっぱり、気になるよ。一体、入間さんの研究室で何をやってるのか」

東条「――だったら、見に行ってみればいいんじゃないかしら?」

赤松「……え?」

東条「今から、実際に見に行ってみればいいのよ。発明品の実験ならば、見られたところで何も問題はないでしょう」

東条「彼らが、やましいことをしているのでなければ、ね」

赤松「や、やましいことって……」


赤松(そんなことは絶対にしてない!……と信じたい)

赤松(けど、誰にでも優しい最原君の事だから。その優しさに付け込まれて、万が一って事も……)


赤松「――わかった。私、見に行ってみるよ!二人が一体どんな実験をしているのか、この目で確かめてくる!」

東条「そう、決心したのね」

赤松「あ、でもやっぱり一人だと心細いから……東条さんもついてきてくれない?」

東条「……それは依頼と受け取っていいのね?承知したわ」
5 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/02(土) 21:22:44.79 ID:DlCjS7Va0
今日は以上です
6 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/03(日) 02:17:39.89 ID:KtqRzEir0
−−−

赤松「来てみたはいいけど……どうしよう、何も考えてなかったよ」

東条「堂々と正面から訪ねればいいのではないかしら?こちらにだってやましいことはないんだもの」

東条「『超高校級の発明家』の研究成果を見学させてもらいに来た、と言うだけならいくら入間さんでも無碍にはできないはずよ」

赤松「うーん……それもそうなんだけど」

赤松「……こっそり、覗いてみない?いや、別にやましい気持ちは一切ないんだけど」

東条「……それがあなたの依頼なら、私は何も言わないわ」

ギイイ

赤松(……最原くんは……どこだろう?)ヒソヒソ

東条(ソファーに寝そべってる人影が見えるわ。アレじゃないかしら。ここからだと詳細には見えないけど)ヒソヒソ
7 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/03(日) 02:18:09.59 ID:KtqRzEir0
入間「どうだ最原!完璧な出来栄えだろ!」

最原「うん……これはもう完成品と言っていいんじゃないかな」


赤松(!最原君と入間さんが何か話してるよ)

東条(会話の内容から察するに、最原君が入間さんの発明品の評価をしているのかしら)

東条(どうやら、真っ当な実験だったようね。危惧していたような展開になっていなくて安心したんじゃない?)

赤松(べ、別に心配なんてしてなかったよ。本当に。けどまぁ、これでもう十分……)


最原「凄く……気持ちいいよ。いつまでもこうしていたいくらいだ」


赤松「」

東条(これは…)

8 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/03(日) 02:19:40.03 ID:KtqRzEir0
入間「だろ?ま、この俺様が作ったんだから当然なんだけどよ!俺様TUEEEEEEEE!」

入間「まぁ、一応礼は言っておくぜ!後は微調整だけだから、もうそれ外していいぞ」


赤松(それ!?それって何!?)

東条(落ち着いて赤松さん。判断を下すのは早計よ)


最原「もう少しだけ……着けててもいいかな?凄く心地いいんだ……」


赤松「」

東条(……あんな恍惚とした最原くんの声、初めて聞くかもしれないわね)


入間「ヒャーッヒャッヒャ!これだから童貞のオネダリ原は!いいぜ、もうしばらくそれを堪能して――」


赤松「そ れ は 違 う よ !」バーン!


入間「ヒイイイイイイイイ!な、何だよぉ……いきなり入ってくるなり大声出しやがってぇ……」

最原「え!?今の声……もしかして赤松さん?」

赤松「ふたりとも、学園内で一体何やってるの!?ナニをナニに着けてる……って……?」
9 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/03(日) 02:20:53.04 ID:KtqRzEir0
そこで私が目にしたものは
想像とは大きく異なるものだった。
ソファに寝そべる最原君は
目元まで覆う奇妙な被り物を頭に装着していた。

ヘルメットよりも一回りも二回りも大きいそれを見て
その用途を考える訳でもなく
『そんなものを着けたままじゃ、寝づらいんじゃないのかな?』
という感想が真っ先に浮かんでしまった。


東条「これがあなたの発明品かしら、入間さん?」

入間「あ、あぁ……というか何しに来たんだよお前ら」

東条「いいから答えてちょうだい。最原くんが被ってるこれは、一体何なの?」

入間「まぁ凡人にはパッと見ではわかんねーかもしれないから説明してやるぜ!穴という穴をよーくかっぽじって聞けよ!」


入間「これは――『耳掻きマシーン』だ!」


赤松「……耳掻き?」
10 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/03(日) 02:21:50.16 ID:KtqRzEir0
以上です
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 10:18:01.59 ID:H/ArF7qDO
続きに期待
12 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/03(日) 21:49:42.17 ID:KtqRzEir0
最原「いやぁ、びっくりしたよ。いきなり赤松さんの大声が聞こえてくるんだもん」

赤松「びっくりさせちゃった?…ごめんね」

東条「それで、この『耳掻きマシーン』だったかしら?これがあなたが入間さんに頼まれた実験なの?」

最原「うん、そうだよ。名前を聞いてなんとなく想像がついてるかもしれないけど……これをつけると、自動で耳掻きをしてくれるんだ」

最原「適度な加減で、その人の耳の穴の形状に合った最適の方法でね」

入間「当然、それだけじゃねーぞ!最原みてーなモテない童貞男子を悦ばせる機能がワンサカついてるんだからよ!」

赤松「そ、それって……やっぱりいかがわしい……」

最原「ちょっと、誤解されるようなこと言っちゃだめだよ、入間さん!」

最原「せっかく、入間さんにしては素晴らしい発明品なのに」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/03(日) 21:51:05.69 ID:KtqRzEir0
東条「あら……あなたがそこまで言うなんて。ということは、それは真っ当な使用用途があるということかしら」

最原「うん。だから僕も入間さんに協力することにしたんだ」

最原「確かにこの装置は……耳掻きをするだけの機械じゃない。VRゴーグルとスピーカー、それにマッサージチェアについてるようなローラーなんかも内蔵されてて」

最原「これを装着した人が……まるで本当に『誰かに耳掻きをしてもらっている』かのように感じられるよう作ってあるんだよ」

入間「『没入感』や『臨場感』にこだわれって依頼だったからな。面倒だけどそこは当然クリアしたぜ」

東条「……成程ね。その形状、大きさについても納得できたわ」

東条(というか、さっきの会話だけなら……十分マッサージ機という発想もあった筈よね。赤松さん、早とちりし過ぎではないかしら?)

赤松「うーん……でもそれって、個人で楽しむ以外にどんな用途があるの?」

最原「そうだな……赤松さんは、ターミナルケアって言葉聞いたことあるかな?」
14 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/03(日) 21:52:48.69 ID:KtqRzEir0
赤松「それって……余命僅かな人に行うっていう……」

最原「そう、終末期医療っていう言葉でも表現されているもののことだね」

最原「病気の治療・改善を目的としたものではなく……死を受け入れた人たちのために精神的、肉体的な苦痛を伴わない治療や看護を最期まで行うことだ」

最原「勿論、家族や友人、恋人がいる人なんかは問題ないんだ。見守ってくれる人がいるってだけでも心強いからね」

最原「ただ、難病を抱えた人の中には……家族とすら禄に会えないような人もいる。特別な病棟内でしか生きていけなくて……そこで死ぬしかない人たちがね」

赤松「……」

最原「生まれたときから病院内での生活を余儀なくされ、友人や知人を作る機会にも恵まれず、孤独に生涯を終えてしまう……」

最原「そういう人たちの孤独や不安を取り除くためのセラピーの一つとして、考案されたのがこの耳掻きマシーンなんだ」

入間「病院でやってもらう耳掻きだの清拭だのってのは、すんげー事務的だからな!俺様も経験があるぜ」

最原「病気のせいで実際に人と触れ合うのが難しい……そんな人達のために、擬似的にでも人の温もりや優しさを感じて欲しい――」

最原「そんな思いが、この機械には詰まってるんだよ」
15 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/03(日) 21:54:11.45 ID:KtqRzEir0
東条「成る程……それならアニマルセラピーとも差別化できるわね。アレルギーや衛生的な問題で、動物を持ち込めないところも多いでしょうし」

赤松「――凄いよ、入間さん!あなたのこと見直したよ!これ全部、入間さんが考えたんでしょ?」

入間「ああ?んなわけねーだろ。俺様は医療機関に依頼されただけだ。活動資金の援助と引き替えにな」

赤松「……」

入間「それに最原は何か立派なこと語ってたけどよ……これ、割高だけど個人向けとしても流通させるって話だったからな」

入間「さっき俺様が言ったみたいに、モテねー寂しい童貞野郎が、自分を慰めるのにも使えるって訳だ!ヒャーッヒャッヒャッ!」

東条「……そういえば、さっきから話が見えないわね。具体的には、どう『誰かに耳掻きをしてもらっている』ように感じるのかしら」

入間「ああ、そこもダサい原がボカしてたからな。女に飢えた童貞野郎がどんな妄想するか考えりゃあ少しは予想もつくだろ」

最原「べ、別にボカしてたわけじゃ……」

入間「『美少女に』!『甘い言葉を囁かれながら』!『膝枕の上で』!『耳掻きしてもらう』!に決まってんだろうが!」

赤松「!?」
16 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/03(日) 21:56:55.66 ID:KtqRzEir0
以上です。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 21:59:46.12 ID:zR+jLSuA0
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 03:16:29.91 ID:A3ply59q0
入間が美少女って言うってことは設定は入間かな
19 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/05(火) 01:36:41.52 ID:2ue8JNGM0
東条「――そうよね。最原くんも男の子ですものね」

最原「ちょっと!?東条さん勝手に納得しないで!」

赤松「……最原くん。私、偏見とかないから。むしろ、最原くんもそういうのに興味あるんだってわかって安心したよ」

最原「赤松さんまで!?あーもう入間さんが変なこと言うから……」

入間「ああん?全部事実じゃねーか!」

最原「確かにそうだからややこしいんだけど……こうなったら」

最原「赤松さん……君もこれを体験してくれないかな?」

赤松「えっ……?」

最原「百聞は一見に如かずだよ。そうすれば、赤松さんにもこれがどういうものなのかわかってもらえると思うんだ」

赤松「う、うん……」
20 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/05(火) 01:38:25.16 ID:2ue8JNGM0
最原くん、それってセクハラ寸前じゃない?
私相手だから良いものの、そんなものを女の子に使わせようとするなんて……
最原くんのちょっと強引な一面が見れて、嬉しいような複雑なような

そんなことを思いながら機械を頭から装着した私の目の前には
想像以上の光景が広がっていた。

『あら?あなたは女の子なんですね。はじめまして』

赤松「……え?」

『ここはあなたと私だけの癒やしの空間です。ゆっくり楽しんでくださいね』

まさか――
この人って――

赤松「超高校級のアイドル……『舞園さやか』さん!?」


舞園?『私の事、知ってるんですね。嬉しいです』

舞園?『せっかくですし、耳掻き、していきますか?膝枕しますから、遠慮せず頭を乗せてくださいね』ポンポン

赤松「は、はい……」ドキドキ
21 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/05(火) 01:39:54.75 ID:2ue8JNGM0
−−−

最原「驚いたでしょ、赤松さん。別に隠していたわけじゃないんだけど」

最原「実はこのプロジェクトに参加している超高校級の生徒は、入間さんだけじゃないだ」

最原「耳掻きを行ってくれるモデルに選出されたのは、『超高級のアイドル』舞園さやかさん」

最原「人気、知名度……そして、その独特の癒やしのボイス。納得の人選だと思うよ」

最原「で、赤松さんも実際体験したと思うけど……VR空間内では録音された舞園さんの音声をただ流すだけじゃないんだ」

赤松「うん、普通に会話が成立してびっくりしたよ……」

最原「この機械には人工知能、『アルターエゴ』が積んであるんだよ。『超高級のプログラマー』、不二咲千尋さんの作成のね」

最原(ちなみにアルターエゴの癒やしを与えるセリフのチョイスは『超高校級の同人作家』がやったらしいけど……まぁこれはいいかな)
22 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/05(火) 01:40:49.52 ID:2ue8JNGM0
赤松「ゴメンね、最原くん。変なこと考えちゃって。確かに、これはすごい発明だよ!」

赤松「本当に舞園さんがすぐ傍にいるかのように感じたし、耳掻き中も本当に膝枕されてるみたいだった」

赤松「ただ形があるだけじゃなく、人の体温というか、温かみやぬくもりまで感じたよ!」

赤松(……スカートの中は真っ暗だった。流石にそういうところはプロテクトかかってるんだね)

赤松「で、やっぱり声がいいよね!あの声で耳元で囁かれると本当に心地よくて、私ウトウトしちゃったよ」

最原「うん、わかってもらえて本当に良かったよ」

東条「『美少女に』『甘い言葉を囁かれながら』『膝枕の上で』『耳掻きしてもらう』……確かに嘘は言っていないわね」
23 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/05(火) 01:41:29.68 ID:2ue8JNGM0
入間「つーか、なんでそんなに鈍くさい原が偉そーにしてんだよ!作ったのは俺様だぞ!」

赤松「あ、うん。凄いよ、入間さん!あの膝枕の感触も、ただクッションや枕を仕込んだだけじゃ再現できないもんね」

東条「そういえば、膝枕の部分も舞園さんを再現したものなのかしら」

入間「いいや、そこまでのデータは貰えなかったぜ。ったく、アイドルなんてみんな糞ビッチのくせにお高く留まりやがって……」

入間「しょうがねぇから、俺様自身の膝枕を反映させたんだ。ま、美少女すぎる天才発明家の入間美兎の膝枕なら、全国の童貞野郎も泣いて喜ぶだろうけどな!」

赤松(……あの心地いい膝枕の感触、入間さんのだったんだ。ちょっと複雑かも……)


入間「全く、大変だったぜ。実際に最原に膝枕してデータ取ったりよお」

赤松「!?」
24 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/05(火) 01:45:46.44 ID:2ue8JNGM0
以上です
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 19:20:26.86 ID:efgUJ09EO
ほう…
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/06(水) 20:47:07.41 ID:rAXE0ylA0
流石やで
27 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/07(木) 00:44:52.68 ID:tKYCvTl00
最原「入間さん!さっきから余計なこと言い過ぎだよ!」

入間「なんだ?いっちょ前に恥ずかしがってんじゃねーよ!あの時は傑作だったな〜。顔真っ赤にして全身カチンコチンにしててよ!童貞丸出しだったぜ!」

最原「な!?そ、そういう入間さんだって、顔真っ赤にして震えてたじゃないか!おかげで頭がずり落ちそうになったよ!」

入間「ばっ!?ふ、震えてねーし!こっちはアレだぞ!?モテまくりヤリまくりだぞ!?」

赤松「……」

東条(……本人たちは口論してるつもりなんでしょうけど)

東条(自分たちの言動を客観的に見れているのかしら?)

東条(健全な男女が、互いに恥じらいながらも膝枕を受け入れる――)

東条(傍から見れば、それは甘酸っぱい青春の一幕以外の何物でもないわ)

東条(人によっては、惚気と受け取るかもしれないわね)

東条(そして、そんなやり取りを、好意を抱いている男子の目の前でされた日には――)チラッ

赤松「……」

東条(……まぁ、こんな顔にもなるわよね)
28 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/07(木) 00:46:51.22 ID:tKYCvTl00
最原「ま、まぁ……こんな感じで制作を進めてきたわけだけど、もうほぼ完成に近い状態に仕上がっているんだよ」

最原「あとは実際に臨床実験を重ねて……赤松さん、大丈夫?何か険しい顔してるけど」

赤松「へ!?あ、うん……大丈夫……かな……?」

最原「ああ、もしかしてこのマシーンのせいで具合が悪くなっちゃったのかな?そうするとまだ課題が残ってるってことか……」

赤松「あ、いや……違うの。気にしないで」

入間「そんなわけねぇだろ!この天才入間様の発明だぞ!欠陥なんてあるわけねーだろーが!」

入間「マシーンのデザイン、装着感、『膝枕の心地よさ』、耳掻きの気持ちよさ、全てにおいてパーフェクトだっ!」

赤松(……『膝枕の心地よさ』?――これだ!)



赤松「それは違うよ!」
29 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/07(木) 00:49:20.81 ID:tKYCvTl00
入間「ヒッ!な、何だよぉ急に大声出して……」

赤松「入間さん、『膝枕の心地よさ』もパーフェクトだって今言ったよね?」

入間「え?そ、それがどうしたんだよ……」

赤松「それはおかしいよ!だってこの機械は入間さんの膝枕のデータしか入ってないんだよね?」

赤松「それなら、パーフェクトを名乗るのはちょっと気が早いんじゃない?だって、この広い世界、入間さん以上の膝枕の持ち主がいるかも知れないでしょ!?」

東条「確かに……標本の数が多けば多いほど、データというのは信用できる物」

東条「複数人の中から最も理想の膝枕を選んだ、というのならまだしも……自分自身のサンプルだけで完璧を名乗るのは横暴な気がするわね」

入間「そ、それはそうかも知れないけどよ……」

最原(僕は別に入間さんの膝枕でも不足はないと思うんだけど……って口にするのは控えた方がよさそうだね)
30 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/07(木) 00:50:17.94 ID:tKYCvTl00
赤松「そうだよ!せめて何人かに膝枕をしてもらって、その中から一番理想の膝枕を選んで貰う必要があるんだよ!」

赤松「……ただ、まぁ?入間さんも今更そんな大掛かりなことは出来ないだろうし……せめてここにいる私と東条さんで……最原くんに」ゴニョゴニョ

入間「……よし。そこまで言うなら俺様も覚悟決めたぜ」

赤松「え?」

入間「東条!今から女子全員をここに集めてこい!」

東条「それが私への依頼ね?承知したわ」シュバッ

赤松「!?」

最原「……じゃあ、僕はこれで」ガシッ

入間「逃げよーとしてんじゃねぇよ最原!お前には判定役になってもらうからな」

赤松「判定役……ってことはやっぱり……」

入間「決まってんだろ!女子全員に膝枕させて、一番理想の膝枕を最原に選ばせるんだよ!」
31 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/07(木) 00:51:16.56 ID:tKYCvTl00
以上です
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/08(金) 01:49:44.75 ID:ZlTbf3gw0
ほほう
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/08(金) 06:38:38.48 ID:qoM2wmYR0
雷田 矛平
@raida_hokohira
ネットの片隅に生息する物書き。小説家になろうやss速報に出没します。なろうでは同名義で、ssはYySYGxxFkUの酉です。Twitter初心者のため分からないことばかりです……。基本創作に関わることだけを呟いてます
mypage.syosetu.com/240189/
34 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/10(日) 02:33:10.79 ID:4cEdUlcE0
---

春川「――で、そんなことのために呼び出されたわけ?帰っていい?」

茶柱「ひ、膝枕とは……いくら最原さんとは言え、男死に膝枕なんてありえません!」

夢野「んあ。同性同士で膝枕するほうが何かと問題ある気がするがのう」

白銀「膝枕って、地味に萌えるシチュエーションだよね〜。実際はどうだか知らないけど、すっごく充実感を得られそうだよね!」

アンジー「にゃはは。終一は幸せ者だって神様も言ってるよ〜」

春川「その幸せ者は今あんな姿なんだけど……それでいいの?」


怪訝そうな顔を浮かべる春川さん。
無理もない。だって今最原くんは――
アイマスクで目隠しをされた上、手錠で後ろ手に拘束されているのだ


最原(……面倒なことになってしまった……)
35 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/10(日) 02:33:57.75 ID:4cEdUlcE0
赤松「……ここまでやる必要ないんじゃない?入間さん」

入間「純粋に膝枕の感触だけで選ばせるんだから、余計な情報は必要ねーだろ」

春川「確かに、誰に膝枕されてるのか分かってたら……赤松が選ばれそうだしね」

赤松「ちょ、ちょっと!?なんでそこで――」

最原「な、なんでそこで赤松さんの名前が出てくるの!?そんなことはないよ!」


――被せて否定されてしまった。
確かに言うとおりなんだけどさ、そこまで必死になって否定することもないんじゃない?


東条「手錠の拘束は、女子への配慮として着けさせて貰ったわ。最原くんが『そんなこと』するつもりはないって信じてはいるけど……」

東条「こうでもしないと納得してくれない人もいるかもしれないし、念のためね」
36 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/10(日) 02:35:18.90 ID:4cEdUlcE0
夢野「多分、お主のことじゃぞ、転子。東条もああ言っておるが、どうじゃ?」

茶柱「う、うーん……そこまで厳重に対処してくれるなら協力できないこともないですが……そのマシーンのコンセプト自体は素晴らしいと思いますし」

アンジー「アンジーは勿論協力するよ〜。終一を骨抜きにしろって神様も言ってるし」

春川「いや、アンタ話聞いてた?誰に膝枕されたかはわからなくするって言ってたんだけど」

白銀「じゃあ、最原くんはどうやって一番の膝枕を選ぶの?番号順とか?」

入間「ああ、それでいいだろ。順番はこっちで適当に決めるから、最原は何番目の膝枕が一番良かったか発表しろよ!」

最原「うん、わかったよ……」

赤松「……」


みんなそれぞれ違った魅力を持つ、超高校級の女子たち。
そんなみんなが、最原くんに膝枕をするのを眺めなきゃいけないのは
正直――あんまりいい気分はしない。

勿論、私にだって必ず順番が回ってくるわけだけど
その時だって、最原くんは私だって気づいてくれない
膝枕の一つ、言ってみればデータ、サンプルの一つとして処理されてしまう。

――うん。白銀さんが言ってたみたいに
膝枕自体は萌えるシチュエーションではあるんだけど
……なんだか複雑な気分だよ
37 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/10(日) 02:37:36.79 ID:4cEdUlcE0
東条「……ごめんなさいね、赤松さん」

赤松「え!?な、何が?」

東条「入間さんの依頼とはいえ、女子全員を最原くんの膝枕検証に巻き込んでしまったわ。内心、いい気分はしないでしょう?」

赤松「べ、別に……私はそういうのじゃ……」

東条「しかも、誰の膝枕かすらわからないというオマケ付きで、ね。もしかしたら、誰の膝枕が一番だったのか――その結果すらも彼本人には伝えられないかもしれないわね」

赤松「……」

東条「――でも、安心して頂戴、赤松さん。まだ手はあるの」

赤松「え?……手、って……」

東条「彼の持つ『超高校級の才能』――それを刺激してあげればいいのよ」
38 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/10(日) 02:38:25.32 ID:4cEdUlcE0
以上です
39 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/10(日) 22:53:26.64 ID:4cEdUlcE0
入間「お前たちは声出すんじゃねーぞ!誰の膝枕かわかっちまうからな!」

入間「さて、順番は適当に……」

東条(ちょっといいかしら、入間さん)ヒソヒソ

入間「ひっ!なんだよ耳元で……声出すなって言っただろぉ……」

東条(順番なんだけど……私がトップバッターを努めても良いかしら?みんなやっぱりどこか気恥ずかしさを感じているようだし)ヒソヒソ

入間(まぁ、順番なんて適当に決めるつもりだったし……好きにしろよ)ヒソヒソ

東条(ありがとう、助かるわ)ヒソヒソ

東条さんは、一体何を考えているんだろう?
最原くんの『超高校級の才能』を刺激するって言ってたけど……
うーん、とりあえず様子を見てみようかな?
40 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/10(日) 22:57:29.25 ID:4cEdUlcE0
そんなことを考えているうちに
どうやら検証実験が始まろうとしているようだ
東条さんがソファに腰掛け、
入間さんが最原くんの頭を東条さんの太もも辺りまで誘導している。
最原くんは目隠しされた上手錠で拘束されているため
ちゃんとした膝枕の形になるまでなかなか苦労しているようだ。


入間「もうちょい右……馬鹿!俺様から見て右だ!よし、そこだ!頭を下ろせ」


こうして、膝枕検証実験はスタートした。
優雅に上品に佇む東条さん
そしてその膝枕で為す術なく寝かされている最原くん
まな板の上の鯉という表現がぴったり合いそうだ。
――うん。やっぱりこうしてみると、浪漫のかけらもないシュールな光景だね。
41 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/10(日) 22:58:11.52 ID:4cEdUlcE0
〜〜〜

最原(……確かに、体温の温かみは感じる。枕やクッションじゃこうは行かないだろうね。だけど――)


こんな状態では――感動も何もないな
結局のところ、膝枕の心地よさっていうのは
肉体的なものではなく精神的なものによるんだろうね
『女の子に膝枕されている』ってところが一番のポイントなんだ。
だからこそ耳掻きマシーンにだって、舞園さやかさんモデルのグラフィックを用意しているわけだし。

――こんな風に、誰に膝枕されてるかも分からない状態で
頭に伝わる感触だけで一番を選べって言われてもなぁ

別に、今体験しているこの膝枕の主に不満があるわけじゃない。
けど正直な話――膝枕って人によってそうそう違いがあるものでもないんじゃないかな?
だから、一体こんな実験に一体何の意味が――


そこまで考えたとき
頭に膝枕とは違う、別の感触が伝わってきたのを感じた。


最原(……頭を……撫でられてる……?)
42 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/10(日) 22:59:06.04 ID:4cEdUlcE0
〜〜〜

赤松(ちょ、ちょっと、入間さん!アレ、いいの!?)ヒソヒソ

入間(ヒッ!お、俺様に言うなよぉ……)ヒソヒソ

赤松(……じゃ、じゃあ、私の番が回ってきたとき……私もアレ、やってもいい?)ヒソヒソ

入間(好きにしろよ……)ヒソヒソ


東条さんが、自分の膝枕で寝かされている最原くんの頭を撫でている。
優しく、丁寧に。見ているだけでも心地よさが伝わって来るかのようだ。
メイドとしての奉仕の精神がそうさせたのか、それとも

赤松(アレがさっき言ってた……『刺激』、なのかな?)
43 : ◆nd9x4dt9shCh [sage saga]:2017/09/10(日) 23:01:02.81 ID:4cEdUlcE0
〜〜〜

突如、頭を撫でられて驚いた。
しかし、その動作はとても丁寧で、心地よかった。
普通の状況でこれをされたなら、できるだけ長い時間この至福の時を過ごしたいと考えたかもしれない。

だが、この時の僕の頭の中は、
ある一つの『発見』に支配されていた。

最原(……素手、じゃない――?)


――指先まで覆われた布
それは即ち……『手袋』だ
そしてさっきの頭の撫で方から感じた『奉仕』の心――
――そうか!
すべてが繋がったよ
該当する人物は、一人しかいない!


最原(……君なんだね?『超高校級のメイド』――『東条斬美』さん!)
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