他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
【謎解き】 先輩「キミは知ってるのかな? 学校の七不思議」男「……はい?」
Check
Tweet
1 :
◆Jiax/7r6DNu8
[sage]:2017/08/30(水) 21:30:48.48 ID:5T6Waf7lo
……
「悪くない……悪くない……悪いのは……」
「ずっと、ずっと……許してほしいと……」
「……もう、間に合わない」
男(血、血だ……こんなに……止まらない。血がどんどん流れて)
男(死ぬ……このままでは死んでしまう!)
男(……ああ)
男(どうして)
男(どうして、こんなことに?)
男(七不思議なんて)
男(調べなければよかったんだ……)
男(あのとき)
男(先輩に誘われたあのときに、断っていれば――)
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1504096248
2 :
◆Jiax/7r6DNu8
[sage]:2017/08/30(水) 21:45:23.15 ID:5T6Waf7lo
数日前放課後
ミス研部室
男「七不思議……? 最近、校内で流行っているヤツですか。何となく聞いたことはありますね」
先輩「おやおや? その返答。キミはあまり興味ないのかしら??」
男「オカルトは信じないタイプですから。でも、先輩もそうでしょう? 急にどうしたんですか」
先輩「いやー、それはそうなんだけど」
男「?」
先輩「私はね、噂の成り立ちに興味あるの。今の時分にどうしてこんな噂が広まったのかっていうこと」
男「ああ、なるほど」
先輩「特に最近はね、この学校のどこにいてもその噂を耳にするの」
男「学年男女問わずに流行っているみたいですね。夏休みを越えたら少しは収まるかと思いましたが」
先輩「というわけで、我が部は秋の文化祭に七不思議を研究して発表します!」ババーン
男「……いきなりですね」
3 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 21:48:15.69 ID:5T6Waf7lo
先輩「嫌なの?」
男「ミステリー研究会らしくないような」
先輩「何故広まったのかの『謎』を追う。いいじゃない。それに流行りの七不思議を研究したとなれば注目される!」
先輩「そうすれば存続に必要な部員の一人や二人……、いえ十人くらい入部してきてもいいわね」
男「随分欲を張りましたね」
先輩「この部室には大切な想いがあるの。風化させてはならない。忘れて欲しくない。これは私の使命よ!」
男「去年までずっと使われていなかったでしょう、ココ」
先輩「あなたも副部長である以上、この部を盛り立てなければならないのよ、分かる?」
男「強引に入部させられたんですけどね」
4 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 21:50:29.47 ID:5T6Waf7lo
先輩「もう。昔から脈々と受け継がれる七不思議。キミはそそられない? そそられないのかな?」
男「昔からあったんですか? 七不思議っていうのは」
先輩「ふふん」
男「何ですかその笑い」
先輩「テレッテレッテッテ〜」ババーン
男「ノート?」
先輩「この部屋、昔の文集とか回報とか、良く分からないものいっぱいあるじゃない?」
男「半分書庫みたいになってましたから」
先輩「で、この部誌。私はこの青く輝くノートを見つけたのよ、棚の奥からね」
男「輝いてはいないです。この部屋にあったってことは、かなり昔のものですよね」
先輩「そ、十数年前よ」
男「へえ」
5 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 21:52:47.81 ID:5T6Waf7lo
先輩「びっしり書いてあるから長い時間かけて読んでいるんだけど、なかなか興味深いのよ。当時の部活動の記録とか学校の様子とかがね」
先輩「で、その中にあったの。『最近、七不思議がとても流行っている』って」
男「そんな前にも流行ってたんですか」
先輩「そう。ま、書いてる本人は全然興味がなかったらしくて『どこかしこもこの噂でもちきりだ。面倒で仕方ない』としか書かれていなかったんだけど」
男「昔と今が同じ状況なんですね。確かに何だかちょっと面白い感じがします」
男(十数年前にもこの学校で流行っていた七不思議か……)
6 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 21:54:13.11 ID:5T6Waf7lo
先輩「でしょでしょ!? 良かった、キミなら分かってくれると思ったんだあ」ニッコリ
男(だから突然七不思議なんて言い出したのか)
先輩「さっそく調査に入るわよ!」
男(相変わらず変な人だなあ)
男(俺がこの春ここに入部させられたときも……)
7 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 21:54:40.33 ID:5T6Waf7lo
ガラガラ
男『あれ? ここは?』
先輩『……誰?』
男『!? す、すいません。備品倉庫だと思ったんですが、間違えました』
先輩『……』
男『まだ学校に慣れてなくてですね、その……、すいませんでした』
先輩『待ちなさい』
男『え?』
先輩『ここに来たからにはもう逃げられないわ』
男『……は?』
8 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 21:55:37.07 ID:5T6Waf7lo
先輩『キミ、新入生ね?』
男『え、ええ』
先輩『ここを見つけ出すなんて才能があるわ』
男『や、普通に入口ありましたけど』
先輩『ふふん』ドヤ
男(何だこの人)
先輩『ねえ。キミって、幽霊や呪い、信じるかしら?』
先輩『それとも、信じない?』
9 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 21:56:54.64 ID:5T6Waf7lo
男『僕は信じないほうですけど』
先輩『ふうん、そっかそっか』
先輩『じゃあ、これからよろしくね』
男『よろしくの意味が分からないです。そもそもここは何なんですか?』
先輩『ここ? ここはね……』ムゥ
男『……』
先輩『ここは……』
先輩『……ミステリー研究会の部室よ』
男『今考えませんでした?』
10 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 21:57:52.79 ID:5T6Waf7lo
男(そして先輩は自身を部長として、かつてこの学校にあったというミステリー研究会を再開させ)
男(強引に入部させられた俺は、副部長に任命されたわけだが……)
男(何だかんだでずっと入り浸っている。この二人だけの部活に)
11 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 21:59:05.74 ID:5T6Waf7lo
先輩「じゃあ、とりあえず七不思議の話を集めてみましょうか」
男「これだけ話題沸騰だと、すぐに集まりそうな気もしますね」
先輩「それだとちょっとつまらない気もするけど。私も周りのひとに聞いて回るから、そっちもよろしくね」
男「了解しました」
先輩「ふふ。夏休みはもう終わっちゃったけど、楽しいことになればいいわね!」
12 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:01:19.56 ID:5T6Waf7lo
……
教室
友「別にいいけどさ、どういう風の吹きまわしだ? オカルトの類は信じないんじゃなかったか」
男「興味出てきたんだよ、何だか調べたくなってきて」
友「そーかそーか。やっぱりお前もか。あり得ないとは思いつつも、魅かれるものはあるよなあ」
友「幽霊、UMA、ムー大陸。宇宙人未来人超能力者にツンデレ少女。オカルトは思春期のロマンだ」
男「最後のはオカルトじゃないけどな。で、お前は幾つ知ってるの? 全部?」
友「まさか。2つだけだ」
男「少ないな」
友「こういうのは少しずつが基本だ。いきなり全部は粋じゃない」
男「そんなものなのか」
友「じゃ、教えてやるよ。俺が知ってるのは『うしろに立つ悪魔』『レンガ塀のさけび』だ」
友「実はこの学校にはな……」
13 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:02:40.92 ID:5T6Waf7lo
……
男「ふーむ」
男(あれからまだ学校に残ってるヤツを捕まえては話を聞いてみたが、七つとも知っている人はいなかったな)
男(最近では放課後に残ってる生徒が部活の人間くらいしかいない。これも七不思議の影響があるとかないとか……)
男(今日は帰ってまた明日聞いてみよう)
男(にしても)
「……」
男(誰もいない学校ってのは少し不気味だ)
14 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:13:36.75 ID:5T6Waf7lo
自宅
男「ただいま」ガチャ
姉「おう、お帰りやすー」
男「……」
姉「どした?」
男「姉ちゃん、いくら家だからってその格好はちょっとどうかと思う」
姉「まだまだあっついからのう。うわっ…私の格好、セクスィーすぎ…?」
男「そうですね」スタスタ
姉「やーん弟が冷たーい」
男「暑かったから良かっただろ」
姉「これは一本取られましたな」テヘ
15 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:15:14.94 ID:5T6Waf7lo
男「姉ちゃんは夏休みが長くてうらやましいよ」
姉「おかげで毎日ゾンビの盆踊りごっこが捗るぜ」
男「楽しいのかそれ……。あ、そーだ。去年姉ちゃんがウチの生徒だった時さ、七不思議ってあった?」
姉「ん? 七不思議?」
男「今学校で流行ってるんだよ」
姉「ヘーそうなんだ。全然聞いたことなかったなあ……うん? や、記憶にちょっとあるようなないような」ウーン
男(大流行りしたのは今年からなのか)
姉「駄目だ、あったような気がするけど内容までは思い出せん。にしても、どしたの? 珍しい」
男「ちょっと気になってね」
姉「何、もしかして怖いの? 今夜おねーちゃん一緒に寝てあげようか?」
男「うるさい」
16 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:16:55.01 ID:5T6Waf7lo
翌日
放課後
先輩「それで、どうだった?」
男「七つのうち一つだけ分からなかったんですけど、他は思ったより簡単に聞けました」
先輩「ほうほう。やるじゃない」
先輩「じゃ、聞かせて。私はまとめてみるから」
男「分かりました。まずは――」
17 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:19:44.83 ID:5T6Waf7lo
『うしろに立つ悪魔』
学校にいるという悪魔から殺されてしまう。逃れるためには学校を移るしかない。
その悪魔は昔から学校に棲みついている。
『みずに濡れた少女』
放課後の校内に少女の幽霊が現れる。彼女は自らを殺した相手を探し求めている。
『忘れさられたへや』
学校のどこかにあるという開かずの部屋。部屋には亡者の怨念が蠢く。
その扉が開けば、亡者が解き放たれ、学校に不幸を起こす。
『レンガ塀のさけび』
レンガ塀の傍を歩いていると、悲鳴と助けを求める声が聞こえる。
しかし、それに応えてはならない。
『るり色の日記』
クラスで苛められていた生徒の日記帳。担任にも見捨てられたその生徒は死んだ。
それを読むと、魂を奪われてしまう。
18 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:20:37.60 ID:5T6Waf7lo
先輩「簡単にまとめてみたわ。こんな感じな訳ね」
男「ええ。あとそれから『ななつめの不思議』があるんですが」
先輩「ななつめ?」
男「ええ」
『ななつめの不思議』
その謎は隠されている。不思議を体験したものは、それを見つけなければならない。
男「という曖昧なものです」
先輩「ふむふむ」
19 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:22:01.31 ID:5T6Waf7lo
男「僕のほうはこんな具合でしたが、先輩はどうでした?」
先輩「うーん、残念。どれも私の聞いたのと同じだにゃー。残り一つは分からなかったわ」
男「そうですか……」
先輩「ふふ。まあまあ、謎が残ってるほうがいいじゃない? にしてもどう思う? この七不思議」
男「まあ、こんなものじゃないですか? もう少し場所が関係しているものかと考えてましたけど」
先輩「場所?」
男「例えばトイレとか、美術室、音楽室のなんちゃらが云々って感じで」
先輩「そうね、具体的な場所はレンガ塀しかないわよね。どれも殺したり死んだり物騒だけど」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/30(水) 22:22:12.47 ID:lY3ZEFMA0
謎は?
21 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:24:27.79 ID:5T6Waf7lo
先輩「じゃ、この不思議を一つ一つ調べてみましょうか」
男「調べるって、どうやって?」
先輩「もちろん現地調査よ」
男「現地調査?」
22 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:25:05.30 ID:5T6Waf7lo
校舎裏
レンガ塀
男(とは言っても、調べられるのってこれだけか)
男(校舎裏のレンガ塀……叫びが聞こえるとか何とか)
男「確か、この塀は学校の創設と同時に作られたんですよね。昔の偉い人が寄贈したと」
先輩「へーそうなんだ。よくそんなこと知ってたわね」
男「校長先生がよく言ってません? 催しがあるごとに、我が校の創立は〜って感じで始めて。その中で、寄贈したっていう偉い人の名前を必ず出します」
先輩「キミ校長先生の話なんて聞いてるんだ? 偉いねえ!」
男「先輩はロクに聞きそうにないですね」
先輩「もちろん!」フフン
男「自慢することじゃないです」
23 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:25:47.95 ID:5T6Waf7lo
先輩「でも、ここあまり誰も近寄らないよね」
男「そもそも他に何もないですし」
先輩「だから、そんな噂が立ってもおかしくない……のかしら」
男「そうかもしれませんね。で、調べるって言ってもどうするんですか?」
先輩「……」
男「もしかして考えてなかった?」
先輩「……悲鳴が聞こえてくるまでここで待機よ」
男「えっ」
24 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:26:19.48 ID:5T6Waf7lo
先輩「……」
男「……」
先輩「……」
男「……」
男(叫びなんて聞こえない……当たり前だが)
男(聞こえてくるのは……蝉の鳴き声に、遠くから部活動の……これは水泳部か)
男(……)
男(そういえば今年は海にもプールにも行かなかったなあ)
男(だらだら過ごしてたらいつの間にか夏休みも終わってしまっていた)
25 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:26:51.47 ID:5T6Waf7lo
先輩「……」
男「……」
先輩「……」
男「……」
男(先輩と海に……誘ったらOKしてくれただろうか)
男(水が滴る先輩の姿を見てみたい)
男(美人だしプロポーションも良いし、絵になるだろう)
男(先輩の踊る黒髪、弾ける笑顔、白い水着、響く波音、熱い砂浜、太陽が燃えているぜ!)
男(……)
男(何か悲しくなってきた。俺は今何をしているんだろうか)
26 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/30(水) 22:27:25.66 ID:5T6Waf7lo
先輩「……」
男「……」
先輩「……」
男「……」
男「あの、先輩?」
先輩「うん?」
男「そろそろ部室に戻りませんか」
先輩「……うん」コクリ
男「先輩?」
先輩「私、私ね。ずっと、ずっと」
先輩「キミがそう言ってくれるの待ってたんだよ」
男「先輩……」
男「だったら先輩から言ってくださいよ」
先輩「負けるのは嫌なのよ」
男「何の勝負ですか」
27 :
◆Jiax/7r6DNu8
[sage]:2017/08/30(水) 22:30:16.53 ID:5T6Waf7lo
今日は以上です
ぼちぼちやります
謎解き()
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/30(水) 23:37:44.54 ID:7P83vN47o
おつんこ
久々にまともなSSに出会えてwktk
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 06:31:36.86 ID:lh3M2mLA0
これは期待
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 08:26:04.35 ID:ASH1AKYdO
この先輩は男以外にも見えてるんですかねぇ最後の七不思議とか………
31 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 20:45:35.06 ID:L1ni/jfOo
先輩「何の収穫もなかったわね」
男「そうそうあるものでもないでしょう」
先輩「でも、このままだと発表がまるで面白くないものになるわ」
男「単なる七不思議の箇条書きになってしまいそうですね」
先輩「……それだと部員十人は難しいかもしれない」ムゥ
男(初めから難しいと思いますが)
先輩「どうして七不思議が広まったのか、いつ頃から語られているのか、なんて情報がほしいわ」
男「十数年前の流行っていたって時期のことも気になりますね」
先輩「そうねえ。キミは学校のOBに知り合いいない?」
男「姉はここの卒業生ですが、去年のことですし。それにほとんど覚えがないそうです」
先輩「うーん。もう少し前の代のお話も聞いてみたいわね……」
32 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 20:47:03.23 ID:L1ni/jfOo
男「考えたんですが、先生の中にはこの学校に長い人もいるかもしれません。もしかしたら話を聞けるかも」
先輩「良いじゃない、それ!」
男「ただ、先生達はこの噂にあんまり良い顔をしていないんですよね。学校の評判に関わることですから当然だと思いますが」
先輩「そこはまあキミの交渉術で籠絡してくれ給えよ」
男「僕ですか」
先輩「私も行きたいとこだけど。先生方には一目置かれてて、素直にお話してくださるのか分からないのよね」
男「目をつけられているって言ったほうが正しいと思います」
33 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 20:50:21.30 ID:L1ni/jfOo
……
職員室
担任「そうかあ、文化祭でこの学校の昔のことをねえ」
男「ええ。できれば実際の学校生活のような、沿革ではなくお話を伺えれば、と思いまして」
担任「うーむ、この学校も異動多いからなあ。……あ、教頭先生だ確か」
男「教頭先生?」
担任「そうそう。確かずっとこの学校にいらっしゃるよ。クラス担任をされていた時からだったと思うな」
男「そうなんですか」
担任「それに教頭先生は、生徒のためなら喜んでお話して下さると思う……が、今は駄目だな」
男「?」
担任「今は出張中でね、残念」
体育教師「あの、それだったら美術の先生がよろしいのではないでしょうか?」
34 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 20:51:44.72 ID:L1ni/jfOo
体育教師「すいません、立ち聞きしてしまいまして」
担任「いえ。ですが美術の先生は、この学校に今年赴任されてきたばかりでは?」
体育教師「ええ。しかし、彼女はこの学校のOGですよ」
担任「アッそうだったそうだった。教頭先生の教え子って言ってた」
体育教師「聞きたいのは学校生活の実情だったよね。美術の先生なら生徒目線の話を聞けて、良いんじゃないかな」
男「そうだったんですか。ありがとうございます、お話伺ってきます」
35 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 20:54:25.47 ID:L1ni/jfOo
美術準備室
美術教師「この学校の、私が学生だったころの『昔』の話――って言われると引っかかるけれど。まだ少ししか経ってないわよ?」
男「す、すいません……」
美術教師「ふふ、冗談よ。でもそうね、私が生徒だったころと今と、あんまり変わっていないかもね」
男「そうなんですか?」
美術教師「ええ。もちろん流行り廃りはあるけどね。あなたたちも芸能人の話とか、好きな人の話とかするでしょう?」
男「はあ」
美術教師「そうね、例えばね――」
36 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 20:56:54.72 ID:L1ni/jfOo
美術教師「……ということもあったのよ」
男「へー。それは面白いですねえ」
美術教師「でしょう? 私も若かったわ。色々失敗もしてきたわね」
男「そうなんですか」
美術教師「そうよ。だからね、あなたたちも挑戦して、そして失敗してみることが大事よ。それがきっと将来の自分にかえってくるから」
男「勉強になります」
美術教師「ふふ、本当かしら。何だか結構話してしまったわね。他に聞きたいこと、あるかしら?」
男「そうですね……あ、そういえば、今校内で流行ってますけど」
美術教師「……え?」
男「先生の頃には七不思議とかありました?」
美術教師「そんなものなかったわ」
37 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 20:58:29.27 ID:L1ni/jfOo
男(……何だ?)
美術教師「あんな下らない噂を楽しがるなんて、今の子はどうかしてるわね」
男「そ、そうですか」
美術教師「……。お話は以上でいいかしら? 私もそろそろ美術部のほうに顔出さなきゃいけないのだけれど」
男「ええ。色んな話を聞けて良かったです。お時間ありがとうございました」
美術教師「……」
男「あとで聞き足りなかったなんて気が付いたら、また伺ってよろしいですか? 課外活動等はあまり深く聞けませんでしたし」
美術教師「……ええ」
38 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 20:59:23.55 ID:L1ni/jfOo
男「失礼しました」ガラガラ
男(慎重に聞いたつもりだったが、あんなに不快感を露わにされるとは思わなかった)
男(嫌な思い出でもあるのかな?)
男(それとも単純にこの話が嫌いなのかもしれない)
男(しかし、これからどうしようか。結局肝心の七不思議のことについては聞けなかったが)
友「おっ? どうしたんだ? お前も美術室に用事か?」
39 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:02:56.76 ID:L1ni/jfOo
男「その格好、部活中?」
友「そうなんだが……こないだの美術の課題提出しに来たんだよ、つい忘れてて。さっき思い出したんだ」
男「ああアレね。まだ提出してなかったのか」
友「い、言っとくけどわざと遅れたんじゃないからな。ウッカリだからな!」
男「? わざと?」
友「何だ、分からないんだったらいい。……や、だって美術の先生ってさ、まだ若いし綺麗だし。この学校には今年からっていうのに、もう全校で人気あるじゃん。女子にもファンが多いんだぜ」
男「ああ。それで、わざと課題を忘れてお近づきになりたいと」
友「俺は違うからな! そういうヤツもいるってことだよ。で、お前はどうしたんだ」
男「ちょっと聞きたいことがあって」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 21:03:41.05 ID:VrmW5QiWO
>>37
あんな下らない噂を
ってことは当時も七不思議があったんだな
41 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:04:32.42 ID:L1ni/jfOo
友「聞きたいことぉ〜? あ、分かった。さてはお前、七不思議のことだろ」
男「え? 何で?」
友「俺だけじゃなくて他のヤツにも色々と聞いて回ったらしいじゃんか」
男「ああ、それで」
友「美術の先生、この学校のOGだもんな。十年くらい前だっけ。あんな人が同級生にいたらいいよなあ。楽しいだろうなあ」
男(美術の先生のことよく知ってるな……こいつ本当はわざと課題忘れたんじゃないのか?)
友「でも、そこまで七不思議のこと調べるってどうしたんだ? オカルトに興味なかったお前を何がそこまで動かすんだ」
男「いやそこまで大それたもんじゃないが……」
42 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:06:47.54 ID:L1ni/jfOo
友「ほうほうほうほう。なるほどなるほど。そういうことかそういうことか」
男「結局美術の先生からは聞けなかったんだが……、って何でそんな嬉しそうなんだ?」
友「やーやーやー、いいっていいって。おかしいって思ってたんだよなあ。でも納得だぜ」
男「いや、だからそういう経緯でミステリー研究会で発表するだけだって」
友「分かる、分かるよ。あの先輩、すっげー美人だよな」
男「何を勘違いしてんだ。俺は別に――」
友「それにあの先輩ってちょっとミステリアスなところがあるもんな」
男(まるで他人の話を聞いていない……)
友「ウチの部のマネージャーさんにさ、親しくもないのに突然怖い話をしてきたという。雰囲気出ててすっげー怖かったらしい」
男(確かにそういうことを喜んでしそうな人ではある)
友「やっぱりお前はそういう人が好きなんだな」
男「何がやっぱりなんだよ、あとどういう人なんだよ」
43 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:08:16.26 ID:L1ni/jfOo
男「まあいい。部活頑張ってくれ。それじゃ」
友「待ちたまえ。そんなキミに一つ朗報がある」ガシッ
男「何だよ」
友「ウチのカントクだ。キミが探している人間だ」
男「は? ……カントク?」
友「ウチの部の指導に来ている人なんだけど、OBなんだよ、ココの。美術の先生よりちょっとだけ年上だったかな」
男「え、本当に?」
友「ああ。間違いない。練習以外は優しい人だし、話してくれると思うよ」
男「そうか、じゃあその監督さんをたずねてみるか……」
友「ああ。ちょうど明日が練習に来る日だから、練習前に話せるよう取り計らっておこう」
男「え、そこまでしてくれんの? 悪いな」
友「いいんだ、いいんだ。友人の恋路を応援するのは当たり前のことだろう?」ニカッ
男(……。まあ、いいか)
44 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:14:26.12 ID:L1ni/jfOo
……
翌日・放課後
部室
監督「えぇ〜今の時代でも流行ってるんだ。驚いたなあ。オカルトの流行なんてもうないと思ってたよ」
友「そのせいで今、部活以外で放課後に残ってる生徒少ないんスよ。そろそろ文化祭の準備始めなきゃいけないのに」
監督「なるほどなあ。最近の子は割とすぐ帰るんだなって思ってた」
男「監督さんのころも話題になってたんですか?」
監督「そうそう、皆1年から3年まで熱を帯びたかのように。あれこそ一種のオカルト現象だったね」
友「へー、今の学校と同じなんスね」
監督「僕が卒業する年かな? 一番流行ってたのは。学校で問題にまでなってさ、全校集会で注意されたんだよ」
監督「でもま、それが逆に教師側が隠ぺいしてるって生徒を煽る結果になってな。頑固な教頭が顔真っ赤にして怒ってたなあ。教師を舐めてるって。あ、当時の教頭ね」
友「へー。そこまでになったんスね」
45 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:15:43.79 ID:L1ni/jfOo
男「それで、その七不思議って覚えてます?」
監督「うん。全部言えるよ」
友「記憶力いいッスね!」
監督「だろ? って言いたいところだけど、こないだ同窓会があって偶然その話題になってな。そこにいた人間で何とか記憶を絞り出したんだよ」
監督「酒の席だったし怪しいところもあるが、大体は合ってるんじゃないかな」
46 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:16:59.62 ID:L1ni/jfOo
『校庭を走る幽霊』
夜中に校庭を走り回る亡霊が現れる。
『家庭科室の包丁』
放課後に無人の家庭科室で包丁が飛び回る。
『地獄からの便り』
亡くなった生徒から手紙が届く。
『体育倉庫の怪』
死んだ男子生徒が現れる。
『もう一人の自分』
帰宅していたのに、同じ時間にもう一人の自分が学校にいる。
『水底からの掴む手』
泳いでいると何者かに足を掴まれる。
『死人の電話』
学校から死人の電話がかかってくる。
47 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:20:34.48 ID:L1ni/jfOo
友「俺が知ってる今のとは全然違うじゃないっスか!」
監督「お、そうなのか?」
男「一応こっちに今の七不思議をまとめたのがあります。まだ判明していないものが一つあるんですけど」ペ゚ラッ
監督「ふうん、どれどれ……」
友「こ、こっちに見せないでくださいね。一度に聞くのは、粋じゃないですんで」
男「……十数年前の七不思議は聞いても良かったのか?」
友「た、大切なのは過去じゃなくて今がどうかだろっ」
男(こいつ粋とかじゃなくて、実は怖がってるんじゃ……?)
48 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:21:50.04 ID:L1ni/jfOo
監督「へーえ今はこんなのが流行ってるのかあ。これ文化祭で発表するんだ?」
男「ええ。もう少し色々と調べて、そうする予定です」
友「あんまりミステリー研究会らしくない題材だよな」
男「(先輩の)思い付きだからな。まだこの先も変わるかもしれない」
友「そういや、うちのクラスの出し物もいい加減決めなきゃいけないよな。カントクの時は何したんスか?」
監督「一、二年の時、どっちもお化け屋敷だったな。ゾンビメイクであーあー唸ってたよ」
友「へー。カントクに似合いそうスね」
監督「あ? それはどういう意味だ? あ?」
友「さ、三年のときは何したんスか?」
監督「いや、三年のときはなかったから、ずっと受験勉強漬けだった」
友「へー。カントクも勉強したんスね」
監督「あ? それはどういう意味だ? あ?」
49 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:24:05.79 ID:L1ni/jfOo
……
校舎・廊下
男「うーん」スタスタ
男(監督さんから聞けて良かった。手伝ってくれたアイツに感謝しないとな)
男(しかし昔から大きく変わったもんだな……もしかするとまだ分かっていない今の七不思議の一つに、名残があるのかもしれないが)
「……!」
「……っ!!」
男「ん?」
男(何か騒がしい)
男「え?」
男(あれは……)
50 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:26:29.12 ID:L1ni/jfOo
美術教師「いい加減にしなさい! して良いことと悪いことも分からないの!?」
先輩「言うほど悪いこととは思いませんが」
美術教師「それはあなたが決めることではないわ!」
先輩「なるほど、先生がお決めになることなんですね?」
美術教師「なんですって……!」グッ
男「ちょ、待った、待ってください!」
先輩「あら」
美術教師「! あなた?」
51 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:30:13.19 ID:L1ni/jfOo
男「ど、どうしたんですか先輩」ヒソヒソ
先輩「私は悪くないわよ。向こうが突然難癖付けてきたのよ」ヒソヒソ
男「そんな、ヤンキーじゃないんですから」ヒソヒソ
先輩「本当よ。何だか分からないけれど、この人ずっと私のことが気に食わないのよ」ヒソヒソ
男「さっさと謝ったほうが得ですって」ヒソヒソ
先輩「えー↓ 私からー?」
美術教師「……っ」
男「先輩っ」ヒソヒソ
先輩「……ドウモ、スミマセンデシタ。コレカラ気ヲツケタイト思イマス」
男(うわあ棒読み)
美術教師「……」
美術教師「いいわ、もう。次からは注意して……っ」
52 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:31:15.75 ID:L1ni/jfOo
先輩「で、で、それで何か分かった? 七不思議のこと」
男「と、とりあえず部室に行きましょう」
男(ものすごく睨まれてるから)
美術教師「……」
先輩「聞いてきたんでしょ? カントクさん? だっけ?」
男「は、はい。部室で教えますから……」
先輩「ふふ、じゃ早く行きましょうっ」
53 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:33:26.00 ID:L1ni/jfOo
……
ミス研部室
先輩「ほほう……! それは面白い事実ね」
男「ええ。昔と今とで全く異なるとは思いませんでした……そんなものなんでしょうか?」
先輩「うーん、どうなのかしら」
男「今の七不思議で、まだ分かっていない一つが、もしかして昔と似たような話なのかもしれませんね」
先輩「ふっふっふー♪」
男「?」
先輩「キミが調べてくれている間にね、私も『今』の七不思議残り一つの話、ちゃんと掴んできたわよ」
男「えっそうなんですか? 美術の先生とケンカしていただけかと思いました」
先輩「い、言うわね。さっきのあれはちょっと……強引に聞きすぎちゃったかなーって感じ? まあ、そのおかげで分かったわ」
54 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:34:42.43 ID:L1ni/jfOo
『らせん階段の死体』
夜、らせん階段の数を数えながら下りていくと、死体を見つける。
男「らせん階段? ウチの学校にそんなものありましたっけ?」
先輩「良いところに気がついたわね、ワトソンくん」
男「この学校の生徒なら誰でも気がつきますよ」
先輩「私も疑問に思って調べてみたの。そしたら五年前に撤去されていたみたいよ」
男「五年前に?」
先輩「老朽化と安全上の問題ですって。第二校舎外のプール側についていたみたいなんだけどね、撤去される以前から損傷がひどくて、立ち入り禁止だったみたいよ」
男「怪談の場所が安全上の問題で撤去されるってのも、皮肉な話ですね」
先輩「ふふ、そうねえ」
男「この話だけ広まってなかった理由もそれだったんですね。もう無い場所を怖がってもしょうがないですし」
55 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:35:11.65 ID:L1ni/jfOo
男「これで今流行っている七不思議が揃いましたね」
先輩「ええ」
男「……」
先輩「何も起こらないわね」
男「七つ揃えると何かが起こるっていうようなものでもないでしょ」
先輩「タッカラプ――」
男「そういうのいいんで」
56 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:35:39.72 ID:L1ni/jfOo
先輩「それで、ちょっとまとめてみると――」
男「これが昔の七不思議です」
『校庭を走る幽霊』
夜中に校庭を走り回る亡霊が現れる。
『家庭科室の包丁』
放課後に無人の家庭科室で包丁が飛び回る。
『地獄からの便り』
亡くなった生徒から手紙が届く。
『体育倉庫の怪』
死んだ男子生徒が現れる。
『もう一人の自分』
帰宅していたのに、同じ時間にもう一人の自分が学校にいる。
『水底からの掴む手』
泳いでいると何者かに足を掴まれる。
『死人の電話』
学校から死人の電話がかかってくる。
57 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:36:52.66 ID:L1ni/jfOo
先輩「で、こっちが今現在の七不思議ね」
『うしろに立つ悪魔』
学校にいるという悪魔から殺されてしまう。逃れるためには学校を移るしかない。
その悪魔は昔から学校に棲みついている。
『らせん階段の死体』
夜、らせん階段の数を数えながら下りていくと、死体を見つける。
『みずに濡れた少女』
放課後の校内に少女の幽霊が現れる。彼女は自らを死に追いやった相手を探している。
『忘れさられたへや』
学校のどこかにあるという開かずの部屋。部屋には亡者の怨念が蠢く。
その扉が開けば、亡者が解放され、校内の罪人を殺す。
『レンガ塀のさけび』
レンガ塀の傍を歩いていると、悲鳴と助けを求める声が聞こえる。しかし、それに応えてはならない。
『るり色の日記』
クラスで苛められていた生徒の日記帳。その後生徒は死んだ。それを読むと、魂を奪われてしまう。
『ななつめの不思議』
その謎は隠されている。不思議を体験したものは、それを見つけなければならない。
58 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:37:38.68 ID:L1ni/jfOo
先輩「こういうのって時代とともに変わっていくものなのかしら」
男「そうなんですかね」
先輩「古い方の七不思議……『旧七不思議』って呼ぶわね。キミが言っていた通り『旧』と『新』で全く違う。こういう噂って語り継がれていくものじゃないの?」
男「うーん。『旧』が流行ってた時、つまりカントクさんが在校生だった時が大体十数年前ですね」
先輩「それだけ経てば変わるのかしら?」
男「まあ噂の一つや二つは……」
先輩「でもまるまるっと変化しているわ」
男「案外そんなものかもしれませんね。噂なんて、そもそもあてにならないものでしょう?」
先輩「そうねえ……」
59 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:38:17.58 ID:L1ni/jfOo
先輩「もうちょっとグッとくるような真実があれば良いんだけど」
男「グっとくる?」
先輩「実は、この学校ではカクカクシカジカな事件があって、それがこの不思議になりました、みたいなね」
男「その話が作られた背景ってことですか」
先輩「火のない所に煙は立たぬ。何かがあって噂は生まれる。そうは思わないかしら?」
男「……うーん」
先輩「全部が全部とは言わないけれど、一つくらいそんな話があっても良さそうじゃない?」
男「まあ、そうですね」
先輩「その原因が取るに足らない話だったら笑い話にできるし、実際に何かあったって言うなら真実味が増す。どっちにしろ、面白くなると思うわ」
60 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:38:43.46 ID:L1ni/jfOo
男「……あの、もしかしたら詳しい話を聞けそうなのが教頭先生なんですが」
先輩「教頭先生?」
男「ええ。教頭先生はずっとこの学校にいたらしいんです。もしかすると『旧』から『新』への移り変わりとか、その原因にも何か心当たりがあるかもしれません……そういうのがあれば、の話ですけど」
先輩「ふーんそうなんだ」
男「ただ、今はまだ出張中みたいでして。教頭先生は、生徒が望めば喜んで話をしてくれるような人らしいんですが」
先輩「基本的には誰にでも優しいからね! 頑張って!」
男「また僕一人ですか」
先輩「そう拗ねない拗ねない。ほら、アメちゃんあげるから」
男「子供じゃないんですから」
61 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:39:10.62 ID:L1ni/jfOo
先輩「どうなるか分からないけど、文化祭はまだ先だし焦ることはないわね。最悪ねつ造すればいいし」
男「いや、駄目でしょ」モグモグ
先輩「という感じで、今日のところは解散ね」
男「分かりました」
先輩「でも……、気をつけてね」
男「? 何にです?」
先輩「七不思議全部を知ると、大抵よくないことが起こるらしいから」ニヤリ
男「はいはい」
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/31(木) 21:39:38.77 ID:3uDaUAJ70
これは、謎解きをするスレかな?
63 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:39:42.22 ID:L1ni/jfOo
下駄箱
男(次は教頭先生に話を聞いてからかな)
男(聞ければ、だけど)
男(……)
男(七不思議が出来た理由か……)
男(その場所が不気味だったからなんていう、話にもならない理由から作られてるんじゃないかなあ)
男(でも一つくらいちゃんとした理由があったほうが、先輩も嬉しいだろうけど)ガチャ
男「ん?」
男(靴の上に、手紙……?)
64 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:40:28.20 ID:L1ni/jfOo
自宅
姉「おーおかえりゃー」
男「ん、どっか行くの?」
姉「そそ。虫のエサを買いにね」
男「虫?」
姉「おねーちゃんのお腹の虫。鳴いてしょうがないのよ」
男「ああ……」
姉「お母さんも今外出してるけど大丈夫? おねーちゃんいなくても一人でお留守番できる?」
男「俺は小学生か」
65 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:41:09.46 ID:L1ni/jfOo
男(さて……この手紙だが)
男「宛名も差出人もないな」
男(中に書いてあるのかもしれない)
男「……」ソワソワ
男(わざわざ家に持ち帰って開けるだなんて、ちょっと期待しているのか俺は)
男(放課後どこどこで待ってます、とかだったらどうしよう。待ちぼうけさせたことに)
男「……」
男(なぜ俺は開けてもないのにこんなことを考えてしまうんだ)
男「よし」
男(妙に緊張する)
男「……」ビリリ
男「……え?」
66 :
◆Jiax/7r6DNu8
[!red_res saga]:2017/08/31(木) 21:49:37.07 ID:L1ni/jfOo
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああ
67 :
◆Jiax/7r6DNu8
[saga]:2017/08/31(木) 21:53:37.17 ID:L1ni/jfOo
男「な、何だよこれ」
男(赤い字で延々と。ただ……)
男(気味が悪い)
男(……)
男(誰かの悪戯?)
男(でも、なんのために?)
男(それに、なんで俺に……)
電話 ♪〜♪〜♪〜
男「っ」ビクッ
男「電話か……」
電話 ♪〜♪〜♪〜
79.69 KB
Speed:0
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)