梨子「カードキャプター」善子「さくらうち?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:13:11.75 ID:i5gu9J0q0


梨子(私、桜内梨子、16歳。好きな食べ物、サンドイッチ。今日内浦に引っ越してきたんだ)


梨子「……」クイックイッ


梨子(え、何をしているのかって? 一日一万回、感謝の壁クイが私の日課なんです)


梨子「……」クイックイッ


梨子(無心、無心。明鏡止水、ううん、明壁止水の心構えが大切なの。そう、たとえ――)






梨子「……」


梨子「……」チラッ






梨子(たとえ、セイウチの化け物が目の前にいたとしても)




うちっちー(原寸大)「ねえ聞いてる? さくらうち! ねえったら!」


梨子「……」クイックイッ




梨子(ああ、どうしてこうなったんだっけ――――)







  ☆   ☆   ☆



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1503753191
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:14:19.81 ID:i5gu9J0q0
CCさくらクロス
設定改変注意
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:15:04.50 ID:i5gu9J0q0


第1話

「はじまりの風はイチゴの香り」



 

梨子ママ「梨子ー! 早く荷物あけちゃいなさいよー!」

梨子「あ、はーい!」


梨子(いけないいけない、もうすぐ夜ごはんだもんね)


梨子(引っ越してきて、部屋は段ボールだらけ。こっちには本がたくさん。そしてこっちには――)


梨子「楽譜……。コンクール、結局ダメだったな」

梨子「ううん、ダメダメ。せっかく引っ越したんだもん。切り替えなくちゃね」


梨子(ついため息がでちゃうけど、大丈夫。私にはこのお守りがある。ただの拾い物だけど、何だか不思議と落ち着く、カードのお守り――)



コツン


梨子「痛っ! 何か、上から……?」

梨子「これ何だろう……。何かの鍵、みたいな……」


梨子(ピンクの持ち手に白い羽根の飾り。なんだかくちばしみたいな形……)


梨子「子どものおもちゃかな? ふふっ、かわい――」チョンチョン




―――キイイイイイイィィィィィィン




梨子「きゃあっ!」

梨子「なにこれっ! 急に、光が……っ!」

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:15:32.06 ID:i5gu9J0q0


梨子(ど、どこから!? もしかして、あの鍵から……?)


梨子「ひっ、な、何か床から出てくる……っ!」


梨子(茶色い何か……。まあるい頭に、真っ黒な目に、白い……牙?)


梨子(ひっ! ば、化け物!)



梨子「あっ、や、やだ、助け――っ」ガタガタ




ゴゴゴゴゴ


うちっちー(原寸大)「こにゃにゃちわーーっ!」クワッ



梨子「いやあああああっ!!」




  ☆   ☆   ☆

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:16:14.40 ID:i5gu9J0q0


梨子(というわけなんだけれど、いつまでも放っておくわけにもいかないよね……)

梨子「そ、それで? あなたは……?」

うちっちー「うん、君が壁から目を離してくれて嬉しいよ」


うちっちー「ボクはカードの妖精、うちっちー」

梨子「よ、妖精……」

うちっちー「そう。君みたいな女子高生をどすけべ魔法少女にするためにボクはいるのさ」

梨子「どすけ……え?」

うちっちー「どすけべ魔法少女さ。ちゃんと聞いてた?」

梨子「あなた、変態なの?」

うちっちー「まさか。人聞きが悪いね。ボクはただ少し――そう、不純なだけさ」

梨子「不純」

うちっちー「うん、不純。さて、と……」シュルルル

梨子「わわっ、ちっちゃくなってる!」

うちっちー(ミニ)「妖精だからね、大きさも自由自在だよ」

梨子(最初から小さくなって出てきたらよかったのに)


うちっちー「いやあ、こんな濃密なフェロモ――いや、魔力は初めてだからさ、テンション上がっちゃって」

梨子「……」

うちっちー「オスの性さ」

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:17:15.66 ID:i5gu9J0q0


うちっちー「それで、さくらうち」

うちっちー「君には今日から、カードキャプターになってもらう」


梨子「カードキャプター……?」

うちっちー「そう。魔力の宿りしカードを集める少女。それがカードキャプター」

梨子「カード……」

うちっちー「君はもうその1枚を持っているんだ」

梨子「それって、このカードのお守り?」


梨子(去年拾って以来、私がいつも持ち歩いている不思議なカード。黒い煤だらけで、文字も読めなくて、どれだけ拭いても汚れがとれなかったんだよね……)


うちっちー「でも、不思議と手放せない。そうでしょ?」

梨子「……!」

うちっちー「それはカードが君を持ち主だと認めているからさ。君、カードに名前を書いたでしょ」

梨子「か、書いた……! 拾った時に、なんだか書かなきゃって思って、カードの下の方にローマ字で……」

うちっちー「そう、君が書いた『SAKURAUCHI』の文字。これがそのカードの所有者の証なんだ」

うちっちー「カードに好かれていなければ、そもそも名前なんて書けないからね」

梨子「カードの、所有者……」


うちっちー「そう、君は魔法のカード―――『クロウカード』の所有者になったんだ」


梨子「『クロウカード』……それがこのお守りの名前……。で、でも魔法だなんて、そんな……!」

うちっちー「ボクを見てまだ信用できない?」

梨子「……」

うちっちー「本来なら別の世界で、1冊の本にまとまって存在するはずのものなんだ。でも、この世界に……9枚だけ、紛れ込んでしまった」

梨子「9枚も……」

うちっちー「それでボクが生まれたのさ。この世界でカードキャプターを探して、カードをもとの世界に帰すために」

梨子「それが私なの?」

うちっちー「そうだよ。君は強い魔力を持っているんだ」

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:18:15.43 ID:i5gu9J0q0


梨子「私、魔力なんて持ってないよ」

うちっちー「いいや、あるさ。君はどすけべ魔法少女になれる」

梨子「そのどすけ……っていうの、何とかならない? それに魔法少女って、私もう16歳なんだけ――」

うちっちー「そこがいいんじゃないかっ!!」クワッ

梨子「」ビクッ


うちっちー「ああ、失敬」ゴホン

うちっちー「それで、どうかな、手伝ってもらえないかな」

梨子「どうして今までの会話でOKしてもらえると思ったの?」

うちっちー「そ、そんなっ! ボクの『マスコットキャラポジションを確保して女子高生の谷間に入れて持ち運んでもらう作戦』はどうなるのさ!?」

梨子「もっと嫌だよ!」


うちっちー「あー、真面目な話、君しかあてがないんだ。なんとか考えてもらえないかな。この通り!」

梨子「そんなこと言われても……」

うちっちー「お願い! さくらうち!」


梨子「……」


梨子「……」


梨子「ち、ちょっと壁と相談してみるね」

うちっちー「あのね、君も相当だと思うんだけどね」







  ☆   ☆   ☆

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:18:47.17 ID:i5gu9J0q0


梨子「……」クイックイッ

うちっちー「……」



うちっちー「さあ、決心はついたかい?」


梨子「……やっぱり、無理だよ」


うちっちー「どうしてさ? 君ほどのエロ――ゴホン、失敬――魔力を持っているなら、きっとできるよ」

梨子「私なんてダメダメだよ。得意なこと、壁クイくらいで」

うちっちー「そんなの誰だって同じじゃないか! ……いや、同じじゃないか」

梨子「それに私、すっごく怖がりなの。去年はピアノのコンクールだって失敗しちゃったし」

うちっちー「ピアノとカードキャプターは関係ないさ」

梨子「関係あるよ……。とにかく私には無理だよ。ほら、日課がまだ残ってるの。だから他の人を――」



うちっちー「願いが叶うとしても?」


梨子「え……?」

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:19:48.19 ID:i5gu9J0q0


うちっちー「9枚全部集めたら、願いが叶う」

梨子「……何でも?」

うちっちー「そう、何でもさ」

うちっちー「超絶イケメン彼氏でも、一生使いきれないほどのお金でも、君の名前と同じさくら色のナース服でもいい。ああ、最後のはボクのおすすめね」



うちっちー「それに、ピアノを弾けるようにだって、なれる」


梨子「……」

梨子「本当に、何でもなの……?」

うちっちー「うん」

梨子「どんなものでも……?」

うちっちー「どんなものでも、さ」


梨子「私……、私……っ!」








梨子「灰色がかった濃い赤茶色で凹凸少なめのレンガの壁が欲しい……! 落書きされてないやつ!」キラキラ


うちっちー「ああ、うん、ボクたちいいコンビになれるって、そう思うよ」




うちっちー「何はともあれ――」

うちっちー「君は今日から、カードキャプターだ!」






  ☆   ☆   ☆

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:20:33.47 ID:i5gu9J0q0


うちっちー「さて、今から君には契約をしてもらう」

梨子「契約?」

うちっちー「そうさ。君はすでに魔力を持っているわけだけど、それだけじゃあ魔法は使えない」

うちっちー「『鍵』と契約して、魔力を解放してあげないといけないんだ」


梨子「ど、どうやるの?」

うちっちー「契約の呪文を唱えるのさ。さあ、そこに立って――」




うちっちー『封印の『鍵』よ――』スウウッ


鍵「」フワリ

梨子(あ、あのおもちゃが『鍵』だったんだ……!)



うちっちー『汝との契約を望む者がここにいる……。少女、名をさくらうち。「鍵」よ、少女に力を与えよ!』




うちっちー『レリーーーーーズ!!!!』



パアアアアアアッ

鍵「」ググッグググッ


梨子「鍵が伸びて、杖になった……!?」

うちっちー「さくらうち! 杖を取るんだ!」



梨子「う、うん!」パシッ



―――フワアア


梨子「なんだか身体の奥が温かい……。これが……契約……!」

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:21:05.40 ID:i5gu9J0q0


うちっちー「その通り! よし、さくらうち、君衣装とか持ってない? できれば露出度高めの魔女っ娘っぽいやつ」

梨子「も、もってないけど――って、ほんとに不純……」

うちっちー「いやあ、それほどでも」

梨子「褒めてません」



梨子「それで、カードキャプターになったはいいけど、どうすれば――」


ヒュオオオオオオッッ


梨子「きゃ!? すごい風! ま、まだ何かあるの?」

うちっちー「いや、契約はもう終わったはず……」ハッ


うちっちー「さくらうち! 窓の外に!」

梨子「へ?」



グオオオオオッ、バサッバササッ



梨子(なんか鳥の化け物が飛んでるんですけど―――っ!)

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:21:36.89 ID:i5gu9J0q0


梨子「な、な、ななな、なにあれ!? 何あの大きな鳥……!?」ガクガク

うちっちー「クロウカードさ。あれは『FLY』のカードだね」

梨子「カードぉ!? どう見たって鳥だよ! 知ってる? カードってね、こうやってぺらっとして……!」


うちっちー「クロウカードは、大昔にクロウ・リードっていうすごい魔術師が作ったんだ」

うちっちー「その一枚一枚が生きていて、自分の意志で動き回ることができる……」

うちっちー「カードキャプターは、それをカードに封印しなおす人のことなんだ」

梨子「ちょ、そういうことは先に言ってよぉ!」

うちっちー「聞かれなかったからね」


うちっちー「どうするさくらうち? 壁は諦めるかい?」




梨子「ううう、ううううぅぅーーーっ!」


梨子「や、やる! 灰色がかった濃い赤茶色で凹凸少なめの落書きされてないレンガの壁のためなら、やる!」


うちっちー「本当に壁が好きだね……」

梨子「それほどでもっ!」フンッ

うちっちー「褒めてないよ」




うちっちー「ま、とにかく初仕事だ!」





  ☆   ☆   ☆

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:22:17.13 ID:i5gu9J0q0


梨子(うう……、こんな時間に出歩いてるところ見られたら怒られちゃうよ……)

うちっちー「うん、いいね。いい服装のチョイスだ。やっぱり女子高生には制服だよ」

梨子「ちょっと黙ってて! 急いでるんだから!」タッタッタッ

うちっちー「じゃあ学生鞄なんか置いて、ボクを谷間に入れてくれたっていいじゃないか。走りやすいよ?」

梨子「それも嫌!」


うちっちー「……おっと、こっちだ。『FLY』はあの学校の方に向かっているみたいだね」

梨子「うっ」

うちっちー「どうかしたかい?」

梨子「学校の前には急な坂が……」

うちっちー「急な坂……?」ハッ

うちっちー「よしわかった。ボクは少し後ろからゆっくりついていくよ。放っておいてくれていい」

梨子「スカート覗かないならいいよ」

うちっちー「そんな! それじゃあ意味ないじゃないか!」ガクッ

梨子「ほんっと不純なんだね……」




うちっちー「とか何とか言ってる間に坂の前だ。ん? あれは――」

梨子「学校の近くに人がいる! あ、危ないよ!」

うちっちー「同じ制服みたいだ! 女子高生が2人……いい……」

梨子「言ってる場合!? 助けに行かなきゃ!」ダッ

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:22:49.25 ID:i5gu9J0q0


梨子「はあっはあっ……! やっと、学校前……! ちょっと、そこのあなた……!」

善子「へ……?」

梨子(うわっ、美人さん……!)


梨子「もう遅いのに、こんなところで何してるの?」

善子「あなたも同じじゃない。私はね、アレを追いかけてきたのよ」

梨子「アレって……」

善子「あのでっかい鳥よ! あなたも追いかけてきたんでしょ? クク…ッ、このヨハネのしもべにふさわしいわ……!」

梨子(ヨハネ?)


善子「クククッ…! 私は堕天使ヨハネ……。いずれ世界中を虜にするモノ、よ……」

梨子「……」

うちっちー「……」


うちっちー「……内浦は変な子ばっかり?」

善子「やめて! 恥ずかしいでしょっ!」

梨子(恥ずかしいなら言わなきゃいいのに……)


善子「もう、失礼な人形ね……」


善子「……」

善子「……ん゛!?」

梨子「あっ」

うちっちー「あっ」

善子「なな、なにそれ! せ、セイウチのぬいぐるみがしゃべってる……!」


うちっちー「うーん、これには海よりも深いわけがあってね、セイウチだけに」

梨子「そう、そうなの。あー、えーっと、ヨハネちゃん、それじゃあ後でね」

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:23:39.32 ID:i5gu9J0q0


善子「ちょちょちょ、ちょっと待ちなさいよ! 気になるじゃない!」

梨子「でも、危ないし……私は魔法使えるから大丈夫だけど」

善子「え……」ヒキ

梨子「あ、ちょっと待って引かないで!!」


うちっちー「……さくらうち。カードキャプターになっても身体能力は上がらないよ?」

梨子「えっ」

うちっちー「君の身体能力はこれまでのままさ」

梨子「えっ、嘘、じゃあ私なんのアドバンテージもないままあの鳥と戦うの?」

うちっちー「うん」


梨子「そっかぁ、ふーん、そうなんだ……」

梨子「はあああ!?」

善子「」ビクッ

うちっちー「ど、どうしたんだいさくらうち……!」

梨子「どうしたもこうしたもないよ! 生身でアレと戦えって? 無理無理、絶対死んじゃう! 空を飛べるとかそういうのあると思ったのに!」

うちっちー「あー、空かあ。空は、うん、そのうち飛べるようになるっていうか、今はそれが目標っていうか……」

梨子「魔法は!? 何かできることないの?」

うちっちー「とは言っても君の『カードのお守り』は汚れで名前がわからないしなぁ。うん、無理」

梨子「え、えええ……」


善子「……」

梨子「あっ、ヨハネちゃん、これはね、えっとね」

善子「空……」

うちっちー「ん、なんだい?」

善子「空を飛ぶなんて、すっごく堕天使っぽいわね! 私も――」

うちっちー「あ、まずい」




善子『私も空を飛びたいっ!!』


グオオオオオオオオオオオオッッッッ

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:24:26.55 ID:i5gu9J0q0


梨子「きゃあああっ! 鳥が急にこっちに来た!?」


うちっちー「ヨハネ! 危ないっ!」

善子「ぇ――」


―――バクン


梨子「へ―――」

うちっちー「しまった……!」


梨子「よ、ヨハネちゃん……?」



グオワアアアアアアア


梨子「う、嘘、だよね……? た、食べ――」

うちっちー「……さくらうち」

梨子「や、やだ……嫌、いやあああああっ!!」

うちっちー「お、落ち着くんださくらうち!」


梨子「だって、だって! さっきまでお話してて! さっきまで――」

うちっちー「ヨハネは死んでない!」

梨子「へ……?」

うちっちー「よく見るんだ」



善子『あははっ、これすっごいっ!』バサッバサッ


梨子「え……ヨハネちゃん、羽が生えてる……」


善子『ねえ、私飛んでるわ! これで本物の堕天使ヨハネよっ! あはっあははははははっ!!』ビュンッ


うちっちー「『同化』したんだ……!」


梨子「ど、同化?」

うちっちー「カードがヨハネの中に入って願いを叶えたんだ! たぶん、あの娘も少しだけ魔力を持ってて、それで……」

梨子「そ、そんな…っ!」

うちっちー「カードの魔力が大きすぎて自制が効いていない! 最悪の事態だよ……」

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:25:05.95 ID:i5gu9J0q0


善子『あははははっ! さくらうちーっ! 堕天使ヨハネを捕まえてみなさい!』

うちっちー「ああ、砂浜で追いかけ合う美少女2人が見える……っ」

梨子「現実逃避しないで! ど、どうすればいいの?」

うちっちー「どうにかしてヨハネから『FLY』を引き剥がさなきゃいけないんだ」

梨子「どうやって……!」

うちっちー「ヨハネに『空を飛びたくない』って思わせるんだ。願いが消えれば『FLY』は『同化』を維持できなくなる」

梨子「そ、そんなの……!」


うちっちー「さくらうちっ! 来るよ!」


善子『あははははははっ!!』ブンッ


梨子「きゃあああっ!!」ズザザ


善子『あーっ、惜っしい!』


梨子「あ、あぶ、危なっ……!」

うちっちー「冷静になるんださくらうち!」

梨子「む、無理だよぉ!」ガクガク


うちっちー「どうにか方法を考えないと……」

梨子「い、一旦逃げて……」

うちっちー「このままだと被害が広がる一方だ! ヨハネが内浦中の壁を壊して回るかもしれないよ!」

梨子「な、なんですって!」クワッ

うちっちー(単純だなあ)


うちっちー「そうだ! 壁を守るんださくらうちっ!!」



梨子「壁を……守る……っ!」

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:25:45.62 ID:i5gu9J0q0


梨子(そう、私にとって壁は大切な友達だった……!)



梨子(つらい時、悲しい時、傷ついた時、いつもそばには壁がいてくれた……!)



梨子(友達と喧嘩した時、物を失くした時、コンクールで失敗した時……私が頼ったのは、いつも壁だった……!)



梨子(今度は私の番だ……。私が壁を守って、恩返しするんだ……!)





梨子「私、やるっ! 守って見せるっ!」グッ


うちっちー「気高い判断だよ、さくらうち……」ツー



梨子(でもどうすれば……、考えなくちゃ……!)





校門の白い壁『さくらうち……聞こえますか………』


梨子「!!」

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:26:24.94 ID:i5gu9J0q0


梨子「こ、声が聞こえる……!」



校門の白い壁『私は浦の星女学院校門の白い壁……。さくらうち……貴方の想い、確かに受け取りました……』


梨子「私の、想い……」


校門の白い壁『彼女の言葉を、性格を思い出すのです……。そして、貴方の大切なパートナーの言葉も……』


梨子「ヨハネちゃんの言葉……。パートナーって、もしかして……」


校門の白い壁『信じていますよ、さくらうち……貴方の未来に、幸多からんことを……』スウウウッ


梨子「浦の星女学院校門の白い壁さん……っ!!」ウルッ



梨子「善子ちゃんの、性格……! うちっちーの言葉……!」


―――『やめてよ! 恥ずかしいでしょっ』


―――『急な坂? 後ろからついていくよ』




梨子「思い、出した!」

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:27:01.86 ID:i5gu9J0q0


善子『あははっ! もう終わり、もう終わりっ?』ビュンビュン


梨子「ヨハネちゃんっ!」


善子『私は止められないわ! だって、こんなにっ! 楽しいんだものっ!!』ビュンッ


梨子(今よ! ヨハネちゃんの下に潜り込んで――)ザザッ




梨子「見えたっ!」キッ


善子『これで、おしま―――』




梨子「……」スウウッ


梨子「ヨハネちゃんのいちごパンツ丸見えーーーーーっ!!」




善子『……』



善子「きゃ、やだ、恥ずかしい//////」ボンッ



パアアアアアッ



うちっちー「やった! 『FLY』が剥がれたっ!!」

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:27:37.37 ID:i5gu9J0q0


善子「///」ヒュー


梨子「ヨハネちゃんが落ちちゃうっ!」


うちっちー「ボクがっ!」ボンッ

善子「きゃっ!」ボヨヨン


梨子「クッションになった……! すごい、うちっちー!」


うちっちー「後は……」

梨子「『FLY』……!」



グ、グオオ……


梨子「な、何だか苦しそうだよ……?」

うちっちー「無理矢理剥がされて弱ってるんだ! さくらうち、今のうちに封印を!」

うちっちー「家を出る前に教えたとおりにやるんだ!」


梨子「う、うんっ」

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:28:11.68 ID:i5gu9J0q0


梨子『闇の力を秘めし「鍵」よ! 真の姿を我の前に示せ――』


梨子『契約のもとさくらうちが命じる―――』



梨子『レリーーーーーズ!!』


鍵「」ググググッ


梨子「よしっ」ギュ



グ、ググオオ……




梨子『汝の在るべき姿に戻れ――』クルクル




梨子『クロウカーーーーード!!』パアアアア



―――シュルシュルシュル



梨子「『FLY』が、カードに吸い込まれていく……!」

うちっちー「ふぅ、なんとかなったか……!」




――――シュウウン


カード「」フワッ


梨子「わわっと…!」パシッ

梨子「これが、クロウカード……」


うちっちー「おめでとう、さくらうち。初仕事は見事完遂だよ」

梨子「うちっちー……」

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/26(土) 22:29:01.66 ID:i5gu9J0q0


善子「あ、あの……」

梨子「あっ、ヨハネちゃん! 大丈夫!?」

善子「ごめんなさい!!」

梨子「え……?」

善子「迷惑かけちゃったみたいで」

うちっちー「ヨハネのせいじゃないさ。クロウカードの多くはいたずら好きなんだ」

善子「でも……」


梨子「……」


梨子「ね、うちっちー、クロウカードって、名前を書いたら使えるんだよね」

うちっちー「そうさ、君が所有者になるんだ」

梨子「じゃあ……『SAKURAUCHI』っと……」

善子「……?」


梨子「ヨハネちゃん」

善子「う、うん」

梨子「空、飛びたかったんだよね」

善子「え……?」

うちっちー「なるほどね、夜空のドライブと洒落こもうか。ボクは下で―――」

梨子「はいはい不純なうちっちーは私の鞄ね」

うちっちー「そ、そんなっ!」


善子「え、え……?」

梨子「ふふっ、ヨハネちゃん、しっかりつかまっててね」




梨子『――― FLY!』キイイイン

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