【ガルパン】山郷あゆみは、駆けるアリクイの背に乗って

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102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:23:14.99 ID:hCip+/ix0

20:54〜

桂利奈 「 あ 」

優季 「 どうしたの? 桂利奈ちゃん 」

桂利奈 「 いるじゃん! うってつけのチーム!! 」

梓 「 ああ、私もわかった (^^)/ 」

紗希 「 私も 」

桂利奈 「 アリクイさんチーム!! 」

あや 「 おお! その手があったか! 」

優季 「 確かにあそこなら、ももがーさんが1年生、ねこにゃー先輩が2年生、ぴよたん先輩が3年生だもんね〜 」

桂利奈 「 身体も鍛えているんでしょ? ベストメンバーじゃん! 」

あゆみ 「 ………… 」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:23:48.87 ID:hCip+/ix0

20:57〜

あや 「 ってことは、あとはタスキ役だけど…… (チラッ 」

優季 「 先生〜、わたし、推薦したい人がいまーす。 私の親友なんですけど〜 (チラッ 」

桂利奈 「 そういえば最初から参加する気マンマンだった人がいたよねー (チラッ 」

梓 「 あー…私、アリクイさんチームの皆さんの連絡先、西住隊長に聞いてきてあげるよ? (チラッ 」

あゆみ 「 うぅ……… 」

紗希 「 あゆみ 」

あゆみ 「 さーきー……(泣) 」

紗希 「 みんな、あゆみのこと応援してる。 私も応援する。 頑張ろう? 」

あゆみ 「 うぅ、わかった。 私、頑張ってみる 」

桂利奈 「 キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!! 」

あや 「 ワッショイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワッショイ 」

梓 「 そうだ、どうせなら、明日の訓練が終わった後に、ウサギさんチームの全員で、アリクイさんチームにお願いしに行こう 」

紗希 「 それが良いと思う 」

優季 「 さんせーい! 」

あや 「 そうだね、なるべく早くリアカー駅伝の参加メンバーを確定させた方が、西住隊長たちも楽になるもんね〜 」

あゆみ 「 ありがとう、みんな (;_;) 」

桂利奈 「 それじゃあ、明日から、アユミのタスキ役の特訓だー! 」

優季 「 桂利奈ちゃん、タスキ役の特訓って何するの〜? 」

桂利奈 「 ……なんだろう? リアカーで運ばれる練習? 」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:24:17.28 ID:hCip+/ix0


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105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:24:52.28 ID:hCip+/ix0

『 とあるSNSのグループチャット 』


グループネーム : リアカーチャリオット

10月 第1週 木曜日
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:25:25.39 ID:hCip+/ix0

21:01〜

ももがー 「 というわけで、大洗町リアカー駅伝大会に向けてのメッセージグループ、開設ナリー 」

ねこにゃー 「 >1 スレ立て乙 」

ぴよたん 「 (=゚ω゚)ノ 2ゲット  ……あ、3ゲットだった 」

ももがー 「 スレではないし、キリ番ゲットも古いナリ…… 」

ねこにゃー 「 ナイス開幕ツッコミ 」

山郷 「 あのー…… 」

ぴよたん 「 しまった! ついいつものノリで 」

ねこにゃー 「 ここには山郷さんという尊い1年生もいるんだったにゃ! 」

ももがー 「 ごめんナリね、山郷さん。 私達、ネットではいつもこんなでね。 ……あと、私も尊い1年生のハズなんだが? 」

ねこにゃー 「 あれ、ボクの尊みレーダーには反応しないにゃ? 」

ぴよたん 「 壊れているんでは? 」

ももがー 「 それナリ。 試しにハイ  つ〔理事長×役人の薄い本〕 」

ねこにゃー 「 あ、反応した 」

ぴよたん 「 それ壊れてるんじゃなくて、腐ってるんだぴよwwww 」

山郷 「 ……あのー…… 」

ねこにゃー 「 しまった、またやってしまった 」

ぴよたん 「 ごめんね、山郷さん 」

山郷 「 いえいえ! なんというか、普段の皆さんとは随分違うから…… 」

ぴよたん 「 ビックリしちゃったぴよ? 」

ねこにゃー 「 こっちの方が、ボク達の本性に近いんだけどにゃ 」

山郷 「 少しビックリしたけど、私はこういう明るいアリクイさんチーム、大好きです! 」

ねこにゃー 「 【速報】 山郷さん、ボクの中で尊み要素がストップ高 」

ぴよたん 「 【速報】 私も 」

ももがー 「 私も尊い1年生のハズなんだが? 」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:25:53.11 ID:hCip+/ix0

21:05〜

山郷 「 あらためまして、私とチームを組んでいただき、ありがとうございます! 」

ぴよたん 「 いえいえー 」

ねこにゃー 「 どういたしまして〜 」

ももがー 「 本当はこちらがお礼言わないとダメなところナリ 」

山郷 「 えっ? 」

ももがー 「 実は一昨日、そこのねこにゃー氏が山郷さんに接触を図るべく、勇気を振り絞るところだったのだけど 」

ぴよたん 「 急にリアカー駅伝大会への変更が伝えられたもんだから 『 ボクの役目は終わったのにゃ…… 』 とかヒヨったんだぴよ、この人 」

ねこにゃー 「 ちょっ、バラすなし 」

山郷 「 ねこにゃー先輩…… 」

ねこにゃー 「 ああぁぁぁん、軽蔑されたぁぁぁん 」

山郷 「 あははは、ウソです (^^) ねこにゃー先輩、かわいいなって思って 」

ぴよたん 「 あら^^〜 」

ねこにゃー 「 ちょっと穴掘ってきます 」

ももがー 「 え? どういうこと? 」

ねこにゃー 「 山郷さんが尊いって全力で叫んできます 」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:26:32.61 ID:hCip+/ix0

21:10〜

ぴよたん 「 それにしても、昨日は訓練が終わった後にウサギさんチームの皆に囲まれたから、最初何事かと思ったぴよ 」

ももがー 「 まさか、私達を誘ってリアカー駅伝大会に出たいだなんて、そんなこと言われるとは思わなかったナリ 」

ねこにゃー 「 ボクは可愛い1年生に急に囲まれたので、ほぼイキかけました 」

ももがー 「 さすがリアカー界のイチローこと、ねこにゃー氏は言うことが違うナリね 」

山郷 「 ご、ごめんなさい、ご迷惑でしたよね 」

ぴよたん 「 違うぴよ、逆逆 」

ねこにゃー 「 ボクらなりのお礼なのにゃ。 こちらこそありがとう、山郷さん 」

ももがー 「 そうナリ! ありがとう山郷さん! 」

ぴよたん 「 ありがとだっちゃ! 」

山郷 「 え? なんで私の方がお礼をいわれるんですか? 」

ねこにゃー 「 こっちの話にゃー 」

山郷 「 ??? で、でもそう言っていただけると、私も嬉しいです 」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:27:00.64 ID:hCip+/ix0

21:12〜

ねこにゃー 「 昨日答えたとおり、ボク達で良ければ力になるけれど……どうしてボク達に声を? 」

山郷 「 “ 1年生から3年生まで1人ずつ、計3人 ” って走者の条件に、アリクイさんチームがぴったり当てはまるっていうのもあるんですけども 」

ぴよたん 「 確かにそうぴよね。 しかも大学選抜戦のちょっと前からトレーニングとかしてるし 」

山郷 「 そう、それなんです! 」

ももがー 「 それって? 」

山郷 「 アリクイさんチームの皆さんは、私達と同じ素人で戦車道を始めて、しかも一番遅くに始めたのに、すで重要な戦力になっています 」

ねこにゃー 「 それはー……未だに戦車の台数が少ないから、ボク達なんかでも試合に使ってもらってるだけでー…… 」

山郷 「 そんなことありません! 確かにアリクイさん達は、全国大会の決勝戦では良いところなかったかもしれませんけど…… 」

ぴよたん 「 おぅふ……(´;ω;`) 」

山郷 「 ご、ごめんなさい! でもでも! その後の大学選抜戦では大活躍だったじゃないですか! 」

ももがー 「 どうしよう、照れるナリ 」

ねこにゃー 「 私、照れくさ過ぎて、なんかさっきから意味不明のヒザ痙攣で立ち上がれなくなってるんだけど 」

山郷 「 私、知っています! アリクイさんチームの皆さんが、すごい努力してトレーニングしていたのを! 」

ぴよたん 「 私なんか、そろそろ尊み要素の吸収し過ぎで子供産まれそうぴよ 」

山郷 「 一見、戦車道から程遠い感じの人達なのに、努力して、苦労して、それで戦車道が上手くなって、ごく短期間でちゃんと実績を出してるアリクイさんチームって、ある意味いちばんウチの戦車道チームらしいなって思うんです! 」

ねこにゃー 「 それを言うなら、全チームが努力して苦労していると思うけど、まぁでも、そう言ってくれると嬉しいにゃ 」

ももがー 「 私達、あまり人から褒められたことないから、なんかムズ痒いナリねwwww 」

山郷 「 今回のリアカー駅伝大会は、大洗女子学園の各科目をアピールする目的があるって聞いたので、私はそんなアリクイさんチームとなら、戦車道代表チームとして一緒に出たいなって思ったんです 」

ぴよたん 「 あー、あー、産まれた、いま産まれたぁ 」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:27:30.43 ID:hCip+/ix0

21:18〜

ももがー 「 ねこにゃーなんか、最初はこの体育イベント、サボる気マンマンだったのに、すごい気の変わりようナリねww 」

ぴよたん 「 ホント、360°超信地旋回のごとし気の変わりっぷりだっちゃ 」

ねこにゃー 「 それ元に戻っちゃってるにゃ。 あと二人だってサボる気マンマンだったにゃ 」

ももがー 「 まぁ基本的に私達はインドア派だから 」

ぴよたん 「 去年も一昨年も、マラソン大会を一緒に楽しもうとする仲間なんていなかったし 」

ねこにゃー 「 そうそう 」

ぴよたん 「 でも今年は戦車道の仲間がいるし、私達も仲間のためなら力になりたいと思うんだぴよ! 」

山郷 「 ふふっ……ありがとうございます m(_ _ )m 」

ねこにゃー 「 (*´Д`*) 」

ぴよたん 「 (*´∀`*) 」

ももがー 「 (*´ω`*) 」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:28:04.78 ID:hCip+/ix0

21:21〜

ねこにゃー 「 で、ボク達も大洗町リアカー駅伝に出場しよう、ってことになったけど、これからどんなスケジュールになるのかにゃ? 」

山郷 「 えーとですね、確か大会要領があるで、ちょっと待っててくださいね 」

ももがー 「 これナリ? 」


ももがー 〔 県立大洗女子学園 高等部 第一回 大洗町リアカー駅伝大会 開催要領.pdf 〕


山郷 「 あ、それです 」

ももがー 「 学内HPにうPされてたナリ 」

ぴよたん 「 ももがーdクス 」

ももがー 「 えーっと、時系列をまとめると…… 」

ねこにゃー 「 一昨日、正式にリアカー駅伝大会が告知されて、昨日、山郷さんがボク達に声を掛けてくれて、今日、こうして作戦会議するメッセージグループ作るところまで来て…… 」

山郷 「 まずは4日後、来週の月曜までに、出場メンバーを生徒会に報告しなくちゃいけませんね 」

ももがー 「 なら明日にでも西住隊長に言って、戦車道チーム内で他に出場希望者がいないか確認してもらうナリ 」

ぴよたん 「 そうぴよね。 明日は金曜日だから、明日中に確認が取れれば、週明けの月曜にはすんなり報告が出来るっちゃ 」

山郷 「 きっと土日も生徒会の人達は学校に来てるでしょうから、土日でも報告は出来ると思いますよ 」

ねこにゃー 「 うは、生徒会の人達、休みの日まで仕事? 何の罰ゲームにゃ? 」

ぴよたん 「 そういえば生徒会の人達って、いつも誰かが生徒会室にいるぴよ。 休みの日でも深夜でも 」

ももがー 「 社畜というか生徒会畜ナリ…… 」

山郷 「 でも、生徒会のおかげで私達の学園艦は維持されているんですよね 」

ねこにゃー 「 今度 生徒会長に会ったら、ウスヤ肉店の串カツでも差し入れするかにゃ…… 」

ぴよたん 「 ウチの学校は副会長の小山さんの方が圧倒的に大変だから、副会長に差し入れた方が良いと思うぴよ…… 」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:29:01.81 ID:hCip+/ix0

21:30〜

ももがー 「 そういえば、なんか特別ルールがあったナリね? 」

山郷 「 はい。 タスキ役の人が他チームから3回インク液を浴びると、その場で退場になるってルールがあります 」

ねこにゃー 「 こっちからインク攻撃する場合は、何か道具を使わないといけないんだっけ? 」

山郷 「 そうです。 “ 各科目の特徴をあらわす道具を使うこと ” っていうのが条件なんですが…… 」

ももがー 「 それ何てイカのゲーム……? (ボソッ 」

ねこにゃー 「 ヒゲの配管工がいる会社のゲーム……? (ボソッ 」

ぴよたん 「 それ以上はいけない 」

山郷 「 ??? 」

ねこにゃー 「 しまった、ゲーム好きでなければ分からないネタだったか 」

山郷 「 ええっと、それで私達も、戦車道らしい道具を使わなければいけないんですけど…… 」

ねこにゃー 「 なんだろう? 戦車道らしい道具を使ってインク液を浴びせるって 」

ぴよたん 「 普通に考えれば砲弾なんだろうけど 」

ももがー 「 さすがに砲弾にインク液詰めて投げつけるのは、無理があるナリね 」

山郷 「 そうですよね、あんな重い物、まず投げられないですしね 」

ねこにゃー 「 え、投げられるけど 」

山郷 「 えっ 」

ねこにゃー 「 えっ 」

ぴよたん 「 えっ 」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:29:30.97 ID:hCip+/ix0

21:35〜

ももがー 「 じゃあまぁ明日、私達が参加することを西住隊長に伝えて、晴れて私達が戦車道代表メンバーになったら、そのへんのことを追々考えるナリ 」

山郷 「 そうですね。 何の道具を使うかの報告は来週の金曜日までなので、まだ1週間くらいあります 」

ももがー 「 そのさらに1週間後には本番ナリね。 そう考えると意外に時間ないかも 」

山郷 「 今回、ウサギさんチームの皆も全面協力してくれるので、私達の方でもどんな道具を使ったらいいか、考えておきますね 」

ねこにゃー 「 ボク達も何か考えとくね。 タスキ役の山郷さんが扱えそうな道具か…… 」

ぴよたん 「 同時並行で、私達は少し身体を鍛えなおすぴよ。 膝を傷めない範囲で 」

山郷 「 ヒザ? 」

ねこにゃー 「 なんでもないにゃ 」

ももがー 「 ……無茶しやがって (AA略 」

山郷 「 あの、どこかケガされてるんですか? 」

ねこにゃー 「 膝の筋肉痛みたいなものだから、心配しなくても大丈夫にゃ 」

山郷 「 そうですか……でも無理はなさらないでくださいね 」

ぴよたん 「 気遣いが出来る1年生、ホント尊い…… 」

ねこにゃー 「 気遣いが出来る1年生、清らかすぎて思わず解脱しそう 」

ももがー 「 気遣いが出来る1年生と聞いて、呼ばれた気がした 」

ぴよたん 「 呼んでない 」

ねこにゃー 「 呼んでない 」

ももがー 「 (´;ω;`)ブワッ 」

山郷 「 あはは……それじゃ頑張っていきましょう! 」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:29:56.18 ID:hCip+/ix0


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115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:30:27.72 ID:hCip+/ix0

『 大野あや と 山郷あゆみ の SNSチャット 』


10月 第1週 土曜日
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:30:54.50 ID:hCip+/ix0

22:38〜

あや 「 もう寝ちゃった? 」

あゆみ 「 起きてるよー。 どうしたの? 」

あや 「 いやね、もう一回おめでとうって言っとこうと思って 」

あゆみ 「 リアカー駅伝大会の戦車道代表チームに正式に選ばれたこと? 今日の訓練後ミーティングの時にも言ってくれたじゃん。 でもありがと 」

あや 「 まぁね、仲間が偉業を成し遂げるのはやはり嬉しいのだよ 」

あゆみ 「 偉業ってなあにww 」

あや 「 ウサギさんチームから、ウチの戦車道チームの看板を背負う仲間が出たんだよ? 偉業でしょ? 」

あゆみ 「 偉業かなぁ? まだリアカー駅伝に出場するのが決定したってだけだよ。 それで一等賞取れたら偉業だと思うけどね 」

あや 「 そんときはパーティーしよう! 」

あゆみ 「 よろしくね! 楽しみにしてる♪ 」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:31:35.81 ID:hCip+/ix0

22:49〜

あや 「 西住隊長、今日のミーティングの時に小山先輩に電話掛けて、あゆみとアリクイさん達の名前を報告してたけど、ずいぶんホッとした顔してたね 」

あゆみ 「 うん。 出場希望者がいてくれて良かったって、西住隊長に何回もお礼言われちゃった 」

あや 「 その時のアリクイさんチームの3人、すごい照れてて可愛かったwwww 」

あゆみ 「 そうなんだよ! アリクイさん達は可愛いんだよ!! 」

あや 「 あゆみはすっかりアリクイさんチームの虜ですなぁ 」

あゆみ 「 素人はアリクイさんチームの良さがわからないの。 玄人ならわかるんだよ! 」

あや 「 何の玄人なの?wwww 」

あゆみ 「 ともかく、これで少しでも西住隊長達の負担が減らせたなら嬉しいな 」

あや 「 減らせたでしょう。 西住隊長だけじゃなくて、五十鈴先輩とか沙織ママとかも、なんかすごいホッとしてたし 」

あゆみ 「 それだけ先輩達の中で、リアカー駅伝のことが重荷になってたんだね。 ……そういえば、あや? 」

あや 「 なに? 」

あゆみ 「 いま気付いたんだけど……ここ数日、訓練中の紅白戦でさ、あんこうチームのW号が参加していないときあるでしょ? 」

あや 「 そういえばそうだね 」

あゆみ 「 あれも先輩達の負担軽減のためなのかな? 代わりにエルヴィン先輩や磯辺先輩、たまに梓に指揮を任せたりして 」

あや 「 うーん、どうなんだろう? ただの訓練のためって気もするけど……言われてみれば3日前くらいから急に増えたね、そんなこと 」

あゆみ 「 3週間後には黒森峰との練習試合があるのに。 あんこうチームの人達は練習しなくていいのかな? 」

あや 「 西住隊長のことだから、たぶん何か意味があるんだと思うよ 」

あゆみ 「 そうだといいんだけど……なんか気になっちゃってね 」

あや 「 あゆみはその前にリアカー駅伝があるでしょ? 今はそっちを気にしないとダメだよ 」

あゆみ 「 それもそうか、そうだよね 」

あや 「 そうそう、私たち、応援してるからさ 」

あゆみ 「 ありがと、あや 」

あや 「 いえいえ、どういたしまして。 ごめんね、寝る前にメッセージ送って。 頑張ってあゆみ! おやすみ ('ω')ノ 」

あゆみ 「 頑張る! おやすみ (*'ω'*)ノ 」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:32:01.22 ID:hCip+/ix0


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119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:32:35.67 ID:hCip+/ix0

『 とあるSNSのグループチャット 』


グループネーム : リアカーチャリオット

10月 第2週 火曜日
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:33:01.47 ID:hCip+/ix0

21:15〜

ももがー 「 ウチのチームが使う道具について、なにか考えついた人ー、挙手するナリー 」

ねこにゃー 「 無の境地…… 」

ぴよたん 「 明鏡止水…… 」

ももがー 「 つまり何も思い付かなかったってことナリね ( 溜息 」

ぴよたん 「 そういうももがーはどうなんだぴよ? 」

ももがー 「 流水制空圏…… 」

ねこにゃー 「 ほら、ももがーだって何も思いつかなかっ……え? 思い付かなかったんだよねそれ? 」

山郷 「 ごめんなさい、ウサギさんチームの皆にも考えてもらっているんですけど、みんな良い案が思いつかなくて 」

ももがー 「 どんまい! 」

ねこにゃー 「 ドンマイ! 」

ぴよたん 「 DO・N・MA・I ☆ 」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:33:35.08 ID:hCip+/ix0

21:18〜

ぴよたん 「 一応、思い付いた案があるにはあるんだぴよ 」

ももがー 「 お、さすが年長! 」

ねこにゃー 「 よっ! グラマラス美人!( 部分的に ) 」

山郷 「 部分的にって? 」

ねこにゃー 「 胸とか脇腹あたりとか二の腕とか 」

ぴよたん 「 決めた。 ねこにゃーがお昼ご飯の時に飲むペットボトルにアニサキスを入れる 」

ねこにゃー 「 やめて! あれ腸壁を食い散らかすんでしょ!? 」

ももがー 「 で、思い付いた案とは? 」

ぴよたん 「 戦車の砲弾の中にインク液を詰めて投げつけるぴよ。 着弾すると弾頭が弾けてインク液が爆散するという仕掛け付き 」

ねこにゃー 「 それ、爆散するのは相手の頭だと思う 」

ももがー 「 爆散しなくても戦車の砲弾喰らうだけで頭蓋骨が陥没するナリ 」

山郷 「 そもそも私、戦車の砲弾なんか投げられません…… 」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:34:06.06 ID:hCip+/ix0

21:24〜

ぴよたん 「 生徒会による安全性チェックに合格するような物じゃないといけないから、私もダメかなーとは思ったぴよ 」

ももがーー 「 ううむ、そうナリね。 いざ考えてみるとこれがなかなか難しいナリ 」

ねこにゃー 「 インク攻撃の手段としては、何かでインク液をすくって浴びせるか、インク液を何らかの容器に詰めて投げつけるか…… 」

ももがー 「 あとは、スポンジみたいな素材にインク液を吸わせて投げつけるかナリ 」

山郷 「 なおかつ、相手がケガしないような配慮もしなくちゃいけません 」

ねこにゃー 「 うーん、難しい 」

ももがー 「 自動車部にお願いして、戦車型の放水ポンプ作ってもらうというのは? それをリアカーに乗せるっていう 」

ぴよたん 「 それ何sあるんだっちゃ? リアカー引っ張るのは私達ぴよ 」

ももがー 「 小っちゃく作ってもらえばどうナリ? 」

ねこにゃー 「 あんまり小さいと戦車っぽくなくなっちゃうし、放水ポンプ自体は戦車道で使ってる道具ってワケじゃないしにゃあ 」

ももがー 「 じゃあ、リアカー自体を戦車型の放水ポンプにしちゃうのは? 」

山郷 「 リアカーは改造禁止です 」

ももがー 「 困ったナリ……あとは考えつかないナリ…… 」

山郷 「 3日後の金曜日までには、どんな道具を使うのかを生徒会に報告しなければいけないので、ウサギさんチームの方でも真剣に考えてみます 」

ぴよたん 「 私達も、もう少し考えてみるぴよ 」

ももがー 「 そうだ、75o砲弾で考えるからダメなんだナリ。 7.7oの重機関銃弾を投げつけるのはどうナリ? 」

ねこにゃー 「 確かに1発1発は軽いけど、真鍮やら硬鉛やらで覆われているから、ぶつけられた方は痛いだろうにゃ 」

ぴよたん 「 ってことは、痛くない素材で覆われていればいいんだっちゃ 」

ねこにゃー 「 なるほど。 じゃあその辺りを軸にしてアイデアを出していこうかにゃー 」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:34:36.26 ID:hCip+/ix0


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124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:35:12.54 ID:hCip+/ix0

『 宇津木優季 と 山郷あゆみ の SNSチャット 』


10月 第2週 水曜日
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:35:42.18 ID:hCip+/ix0

19:05〜

優季 「 あゆみ〜? 」

あゆみ 「 はいよー、ちょっと待って 」

優季 「 夕食中? 」

あゆみ 「 うん、チンジャオロースっぽい炒め物食べてる 」

優季 「 チンジャオロースっぽいって、チンジャオロースじゃないんだ? 」

あゆみ 「 冷蔵庫の中にあった野菜とウィンナーを細長く切って、チンジャオロースの素で炒めたから 」

優季 「 たしかにチンジャオロースっぽいね〜 」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:36:10.41 ID:hCip+/ix0

19:18〜

あゆみ 「 ごめんね、お待たせ。 いま食べ終わったよ 」

優季 「 こちらこそごめんね。 そんな大したことじゃないんだけど 」

あゆみ 「 どうしたの? 」

優季 「 あゆみ、今日の昼間に、リアカー駅伝で使う道具の話してたでしょ? 砲弾を何か軟らかい素材で包むのはどうか、とかなんとか〜 」

あゆみ 「 うん、皆にいいアイデアがないか聞いたけど……もしかして、何か思いついた? 」

優季 「 思い付いたって程じゃないんだけど〜……私もね、さっきまで夕ご飯を食べてて、それで今、洗い物してたのね 」

あゆみ 「 ふむふむ 」

優季 「 それで、食器を洗うスポンジを見て、ふと思ったの。 砲弾を軟らかい素材で包むんだったら、初めから軟らかい素材だけにしちゃったらどうか、って 」

あゆみ 「 どういうこと? 」

優季 「 スポンジみたいな素材をね? 砲弾型に切り取って投げつけるのはどうかな、って 」

あゆみ 「 うーん。 それだと軽すぎて、遠くまで投げられなくない? 」

優季 「 インク液を吸わせればいいんだよ〜。 それで重みがつくから、そこそこの距離なら投げられるんじゃない? 」

あゆみ 「 なるほど! 」

優季 「 M3リーの37o砲の弾は、弾頭だけなら長さ10p程度でしょ? それをモチーフにしましたって言えば、家庭用スポンジとかで作れるし、どうかなって思って〜 」

あゆみ 「 優季、ナイスアイデアだよ! 」

優季 「 えへへ〜 ほめられちゃった〜 」

あゆみ 「 アリクイさんの皆に相談してみるね! ありがと、優季! 」

優季 「 どういたしまして〜 (^^) 応援してるよ〜 あゆみ〜 」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:36:41.58 ID:hCip+/ix0


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128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:37:12.74 ID:hCip+/ix0

『 とあるSNSのグループチャット 』


グループネーム : リアカーチャリオット

10月 第2週 木曜日
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:37:38.05 ID:hCip+/ix0

20:38〜

ねこにゃー 「 ほんまウサギさんチームの子達は、出来る1年生ばかりやで…… 」

ぴよたん 「 コペルニクス的転回とはこのことやで…… ( たぶん ) 」

ももがー 「 ウサギさんチームの、チーム力ぅ……ですかねぇ…… 」

山郷 「 道具の件については、これで大丈夫でしょうかね? 」

ぴよたん 「 あとは生徒会がウンと言ってくれるだけだっちゃ 」

ねこにゃー 「 実物の砲弾じゃなくて、砲弾に似せたスポンジだからにゃあ。 戦車道らしくない!とか、イチャモンつけられないといいけども 」

山郷 「 あ、それは大丈夫だと思います。 今日、訓練始まる前に生徒会室に行って、これで大丈夫か確認してきましたから 」

ねこにゃー 「 ほんま山郷さんは出来る子やで…… 」

ぴよたん 「 コペルニクス的転回とはこのことやで……( たぶん違う ) 」

ももがー 「 山郷さんの、あゆみ力ぅ……ですかねぇ……( なんだこれ ) 」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:38:18.63 ID:hCip+/ix0

20:42〜

ぴよたん 「 弾頭型のスポンジにインク液を吸わせて投げつける、って方法は良いとして、あとはそのスポンジ弾を本番までに量産しないといけないぴよ 」

ねこにゃー 「 インク液って、事前に貰うことが出来るんでしょ? 」

山郷 「 そうみたいですね。 他の何チームかは、すでにインク液を貰っていってるみたいです 」

ねこにゃー 「 ならばボク達も貰いに行って、あらかじめスポンジ弾にインク液を含ませておくにゃ。 それならあとは投げるだけで済むし 」

山郷 「 そうですね、そうしましょう 」

ももがー 「 そういえば、私たちって何色のインク液が貰えるナリ? 」

山郷 「 えーと、緑と茶色が混ざったような……確かオリーブドラブ色って聞きました。 なので、私たちのチームカラーも、そのオリーブドラブ色になります 」

ねこにゃー 「 戦車とかの軍用車両のカラーにゃ 」

ももがー 「 私達らしいナリ! 」

ぴよたん 「 スポンジ弾の製作はどうするぴよ? 」

山郷 「 アリクイさんチームの皆さんにはトレーニングに専念していただきたいので、スポンジ弾の製作はウサギさんチームで対応します 」

ねこにゃー 「 いいのかにゃ? 」

山郷 「 せめてこれくらいはやらせてください(;'∀') 今週末の休みに皆でホームセンター行って、スポンジ買い占めてきます! 」

ぴよたん 「 申し訳ないぴよ 」

ももがー 「 よろしくナリ! 」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:39:02.40 ID:hCip+/ix0

20:48〜

ねこにゃー 「 となると……生徒会への報告関係と、道具の安全性チェックはクリア出来るとして、あとは本番に向けた作戦会議だにゃ 」

ももがー 「 まず決めなきゃいけないのは発走順ナリ 」

山郷 「 西住隊長の話だと、各区に障害物が設置してあって、第一区走者はリアカーの操縦に長けた人、第二区走者は力が強い人が良いって話です 」

ねこにゃー 「 ふむ、ってことは 」

ももがー 「 ペリスコープと操縦桿を! レッツラまぜまぜ! 我こそは操縦手! できあがり! 」

ぴよたん 「 腕力と砲弾を! レッツラまぜまぜ! 我こそは装填手(と砲手)! できあがり! 」

山郷 「 了解です。 第一走者にももがーさん、第二走者にぴよたん先輩ですね 」

ねこにゃー 「 ずるぅい! ボクもプリキュアの仲間になりたぁい! 」

山郷 「 必然的に、第三走者(アンカー)がねこにゃー先輩になりますね 」

ももがー 「 山郷さんのスルースキル、ここ数日でウナギ登りしたナリね…… 」

ぴよたん 「 ちなみに第三区はどんな走者が有利なんだっちゃ? 」

山郷 「 それが、第三区の障害物のヒントだけは無かったみたいで…… 」

ももがー 「 それぞれ走る距離はどんなもんナリ? 」

山郷 「 全長約12qで、各区とも4q程度です。 ちなみにスタートとゴールの位置は、大洗港フェリーターミナルですね 」

ももがー 「 一人4q、リアカーを引っ張るナリか 」

ねこにゃー 「 それにインク液が入った容器とスポンジ弾のストック、あと山郷さんを積んで走るわけだから……結構しんどいかもにゃ 」

山郷 「 すっ、すみません……本番当日に向けて、なるべくダイエットしようと頑張ってはいるんですけど……(;´Д`) 」

ぴよたん 「 いいんだっちゃ。 山郷さんの重みは命の重み。 ありがたく引かせてもらうぴよ 」

ねこにゃー 「 普段ゲーム世界に生きている我々が、命の実感を得る瞬間でありますなぁ 」

ももがー 「 ちなみに、山郷さんじゃなくて私を積んで走る場合はどうなるナリ? 」

ぴよたん 「 スポンジ弾と間違えてぶん投げる可能性が大 」

ねこにゃー 「 スポンジ弾と間違えなくてもぶん投げる可能性が大 」

ももがー 「 アリクイさんチームのチーム力ぅ……どこいったんですかねぇ…… 」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:39:33.30 ID:hCip+/ix0


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133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:40:03.43 ID:hCip+/ix0

『 阪口桂利奈 と 山郷あゆみ の SNSチャット 』


10月 第3週 月曜日
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:40:39.72 ID:hCip+/ix0

10:45〜

桂利奈 「 アユミ、大変だ! 」

あゆみ 「 ちょっと桂利奈、授業中だよ? 」

桂利奈 「 マナーモードにしてるでしょ? それにこの授業、おばあちゃん先生だから大丈夫! 」

あゆみ 「 まぁこの先生ならバレないと思うけど……どうしたの? 」

桂利奈 「 さっきトイレ行ったとき、華道取ってる子の話をチラッと聞いたんだけど 」

あゆみ 「 うん 」

桂利奈 「 ウチの学校の華道とか香道とか仙道とか、そういう文化系の科目がね? なんか一緒になって発表会やるんだって 」

あゆみ 「 へえ、面白そうだね 」

桂利奈 「 その会場に、あんこうチームの先輩たち5人と、W号戦車が派遣されるかもしれないって 」

あゆみ 「 え? えーとそれは……なんで? 」

桂利奈 「 なんかコラボするみたい。 戦車使ってお花活けたり……お茶立てたり? 」

あゆみ 「 あんまり想像できないけど……すごいね、私たちも見に行きたいね 」

桂利奈 「 問題なのは、その日程 」

あゆみ 「 日程? 」

桂利奈 「 その発表会、黒森峰との練習試合の日にかぶってる 」

あゆみ 「 え? うそ? 」

桂利奈 「 うそじゃないみたい。 私も気になったからその子に直接聞いたんだもん 」

あゆみ 「 ……西住隊長、黒森峰との練習試合を楽しみにしてたよね? 」

桂利奈 「 うん 」

あゆみ 「 W号戦車も派遣されちゃうんじゃ、あんこうチーム全員、練習試合は不参加ってこと…? 」

桂利奈 「 いや、それがまだどうも確定してないっぽい 」

あゆみ 「 ……どういうこと? 」

桂利奈 「 うーんとね、アユミとアリクイさん達にかかってるみたい 」

あゆみ 「 え? 」

桂利奈 「 あんこうチームの先輩達、今度のリアカー駅伝大会の景品になってるんだって 」

あゆみ 「 ……ちょっと桂利奈、お昼ご飯食べたら一緒に生徒会室に付き合って 」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:41:23.62 ID:hCip+/ix0


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136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:41:57.87 ID:hCip+/ix0

『 角谷杏から 西住みほに送られたメール 』


10月 第3週 月曜日   送信時刻 13:05
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:42:35.01 ID:hCip+/ix0


西住ちゃん、ごめん。

さっき、ウサギさんチームの山郷ちゃんと阪口ちゃんが生徒会室に来て、例の勝負について聞かれちゃった。

洗いざらい喋っちゃったので、あとヨロシクね。





いつもごめんね、西住ちゃん。

138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:43:08.12 ID:hCip+/ix0


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139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:43:43.07 ID:hCip+/ix0

『 とあるSNSのグループチャット 』


グループネーム : リアカーチャリオット

10月 第3週 月曜日
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:44:36.86 ID:hCip+/ix0

20:45〜

ももがー 「 えー、それではご唱和ください。 生徒会の安全性チェッククリアを祝して! 乾杯! ( カルピスソーダーグビー 」

ねこにゃー 「 いーえー ( ダイエットコーラグビー 」

ぴよたん 「 ぱふぱふぱふー ( CCレモングビー 」

ももがー 「 これでスポンジ弾は問題なく使えるようになったナリ 」

ぴよたん 「 あとは、ウサギさんチームにスポンジ弾の量産をお願いするのと 」

ねこにゃー 「 当日の作戦を立案するだけにゃ 」

山郷 「 ………… 」

ぴよたん 「 ほら、山郷さん、笑って笑って 」

ももがー 「 山郷さんは笑顔が一番似合うナリ! 」

ねこにゃー 「 そうだにゃ! 笑う門には福来る、スポンジ弾に秋の空、ってね! 」

ぴよたん 「 意味わかんないけど、なんか素敵な言い回しぴよね 」

ももがー 「 そうナリね、意味わかんないけど 」

ねこにゃー 「 そうでしょそうでしょ? はっはっはっ 」

山郷 「 ……ごめんなさい、ぴよたん先輩、ねこにゃー先輩、ももがーさん 」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:45:11.71 ID:hCip+/ix0

20:55〜

ももがー 「 あー、どうしてこうウチの戦車道チームは、負けたらアウトな勝負ばかり受けるのだろううか? 」

ねこにゃー 「 というか、ボク達が関わる戦車道の勝負事って、全部こんな感じだよね 」

ぴよたん 「 たぶんこの中に疫病神がいる! じっちゃんの名にかけて! 」

ももがー 「 こんな信用できない奴らの中にいられるか! 私は自分の部屋に閉じこもらせてもらう! バタン! (死亡フラグ) 」

ねこにゃー 「 おいおいおい 」

ぴよたん 「 死ぬわアイツ 」

ももがー 「 以上、ここまでテンプレ 」

山郷 「 ……本当にごめんなさい。 私、そんな賭け事が裏にあったなんて、ぜんぜん知らなくて…… 」

ももがー 「 山郷さんが謝る必要はどこにもないナリよ 」

ねこにゃー 「 そうだにゃ。 強いて言えば、こんな大会を企画した生徒会が悪いんだにゃ 」

ぴよたん 「 まー、説明を聞く限りでは、生徒会だって問題山積みの現状を打破するためにやったことなんだから、今回は誰も悪くはないんだっちゃ 」

山郷 「 でも私達が負けたら……西住隊長達は黒森峰との練習試合に出られなくなってしまいます 」

ねこにゃー 「 いやまぁ……確かにそうなんだけど…… 」

ぴよたん 「 勝ったら勝ったで “ 戦車道は文化発表会に手を貸さなかったの? うーん、ダメ科目 ” っていうレッテルを貼られそうぴよ 」

ももがー 「 最近のW号戦車抜きでの模擬戦が多かった理由は、こういう事情があったナリね…… 」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:45:42.64 ID:hCip+/ix0

20:51〜

山郷 「 西住隊長、今度の黒森峰との練習試合をすごい楽しみにしてたって……あんこうチームの先輩達から聞きました 」

ももがー 「 そういえば西住隊長って……このあいだ黒森峰女学園に行ってなかったっけ? 」

ぴよたん 「 行ったぴよ。 “ 全国大会でお世話になったんだからお礼を言いに行け ” って会長命令のアレっちゃね 」( ※ ドラマCD3参照 )

ももがー 「 今度の練習試合についても、その時に向こうからお願いされたって言ってたナリね 」

ねこにゃー 「 なんでも現在の黒森峰は、“ 真の西住流 ” ってのを体得したらしいので、西住さんは対戦するのを楽しみにしていたらしいにゃ 」

山郷 「 それだけじゃないんです。 先日の黒森峰訪問のときに、向こうの隊長さん達とは仲良く出来たらしいんですけど、一般隊員の方々とはあまり喋れなかったって…… 」

ねこにゃー 「 あー……西住さんのことだから、かつては向こうの一般隊員の中にもたくさん友達がいたんだろうにゃぁ 」

ももがー 「 そうか、だから今度の練習試合は、旧交を温めるチャンスだったわけナリね。 試合するのに学外との変なしがらみも無いし 」

ぴよたん 「 学外に変なしがらみは無いけど、学内に変なしがらみが出来ちゃったぴよねぇ…… 」

山郷 「 うぅ……… 」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:46:22.41 ID:hCip+/ix0

20:57〜

ぴよたん 「 その文化発表会とやらは、なんであんこうチームとW号戦車を指名したぴよ? 」

ももがー 「 そりゃまぁ、ウチの学校で知名度がピカ一だからナリよね 」

山郷 「 そうみたいです。 文化発表会を例年以上に成功させるために、言い方がアレですけど、先輩達には客寄せパンダになってもらうってことみたいで 」

ねこにゃー 「 ふむ…… 」

山郷 「 ひょっとしたら、あんこうチームの先輩達に文科系科目の愉しさを知ってもらいたい、とか、そういう目的もあるのかもしれませんけど 」

ねこにゃー 「 ふむふむ…… 」

山郷 「 第一の目的は集客だって、角谷会長は仰ってました 」

ねこにゃー 「 ふむふむふむ…… 」

ももがー 「 おや、ねこにゃー先生? ずいぶんと悪い顔をしていらっしゃいますが、どうしました? 」

ぴよたん 「 悪い顔なのは元からだっちゃ 」

ねこにゃー 「 うっさいにゃ 」

ももがー 「 で? 」

ねこにゃー 「 いやね? 知名度さえあれば、別にあんこうチームとW号戦車じゃなくてもいいのかなって思って 」

山郷 「 それはー……たぶんそうだと思います 」

ももがー 「 でも今、ウチの学校の中で、あんこうチーム以上に有名な人達はいないナリよ? 」

ねこにゃー 「 そりゃそうだけど、ちょっと思ったんだにゃ 」

ぴよたん 「 何がぴよ? 」

ねこにゃー 「 瞬間最大風速でなら、知名度であんこうチームを上回れる可能性があるんじゃないかって 」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:46:51.37 ID:hCip+/ix0

21:11〜

ももがー 「 瞬間最大風速? 」

ねこにゃー 「 要するに、長い目で見たらあんこうチームの知名度は不動だろうけども、そのうちの1週間くらいならボク達でも話題をかっさらえるんじゃないか、ってことにゃ 」

山郷 「 え? え? 」

ぴよたん 「 あーなるほどぴよ 」

ももがー 「 わかったナリ 」

山郷 「 どうやって? 」

ねこにゃー 「 ほら、ボク達が主役になれるうってつけのイベントが、今週の金曜にあるでしょ? 」

山郷 「 あ 」

ぴよたん 「 しかも、おあつらえ向きに、大洗町リアカー駅伝大会の1週間後が文化発表会の開催日だぴよ 」

ねこにゃー 「 もしボク達が、リアカー駅伝大会で人気を集めるような戦い方が出来れば、その後1週間くらいは、あんこうチーム並みに注目してもらえるかもしれないにゃ 」

ももがー 「 そうなれば、文化発表会には私達が出席して、あんこうチームは練習試合に参加できるって寸法ナリね 」

ぴよたん 「 どうせなら生徒会の奴らに約束させちゃったらいいんだぴよ。 私達が負けたときだけ条件が付いて、勝った時のことは何も決まってないんだから 」

ねこにゃー 「 それもそうだにゃ。 もしボク達が優勝したら、文化発表会には出てやるからアリクイさんチームと三式中戦車で我慢しろ、って言ってやろうにゃ 」

ももがー 「 落ちドコロとしては、そのあたりが一番良いかもナリ 」

山郷 「 ………ぴよたん先輩、ねこにゃー先輩、ももがーさん 」

ねこにゃー 「 ん? 」

ぴよたん 「 なんだぴよ? 」

山郷 「 本当に……本当に、ありがとうございます!! 」

ねこにゃー 「 ふふふ、たまにはボクも先輩らしいところを見せるのにゃ 」

山郷 「 どうしよう、私、いま、涙で文字が見えません 」

ももがー 「 ウチの戦車道チームの中で、私達がイチバン影薄いんだから、ここらで存在感をアピールするのも悪くないナリ! 」

山郷 「 わたし、アリクイさんチーム、だいすきです!! 」

ぴよたん 「 山郷さんこそ、あまり尊いアレで私達を褒めると、そろそろ二人目の子供が生まれるぴよ 」

ねこにゃー 「 だからどういう理屈なんだそれ 」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:47:23.09 ID:hCip+/ix0

21:27〜

ぴよたん 「 そうなると、ただ単に勝つだけではダメだってことぴよね 」

ねこにゃー 「 そのとおりにゃ。 出来るだけ劇的に、観客の記憶に残るような勝ち方が必要だってことにゃ 」

ももがー 「 少年漫画の王道と言えば、最後に大逆転で勝つストーリーだけども 」

ねこにゃー 「 ザッツライト。 なので、今回はそれを最初から実践しようと思います 」

山郷 「 えーと、最初からって言うのは? 」

ねこにゃー 「 スタートからいきなりビリにつけてゴールするまでに1位になる作戦、開始しまぁす! ( 西住ヴォイス ) 」

ぴよたん 「 長い長い、作戦名が長いぴよww 」

ももがー 「 おおぅ、またシビアな作戦を提案するナリね、このニセ隊長は 」

ねこにゃー 「 いやね? 人気取りの目的以外にも、一応理由はあるんだにゃ 」

ぴよたん 「 ほう、どんな? 」

ねこにゃー 「 たぶんだけど、ボク達の戦車道代表チームって、他チームから真っ先に狙われる気がする 」

ももがー 「 なにゆえ? 」

ねこにゃー 「 まず今回、現時点で文科系5科目と敵対関係にあるにゃ。 あと最近は、戦車道チームに向けられる周囲の目が厳しいでしょ? 」

山郷 「 う…… 」

ぴよたん 「 まぁ、他科目にとって、予算が足りないことの当て擦り対象くらいには、見られているぴよね 」

ももがー 「 戦車道チームの中にふざけた格好の隊員がいる、って難癖つけられるくらいには、まぁ厳しいナリね 」

山郷 「 それは! 」

ねこにゃー 「 いいんだ、山郷さん。 ボク達は痛くも痒くもない。 それよりもボク達のために怒ってくれてありがとうね 」

山郷 「 ……アリクイさん達はずるいです。 わたし、さっきからずっと泣きっぱなしです 」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:47:49.91 ID:hCip+/ix0

21:36〜

ねこにゃー 「 そんなわけで、他チームから集中砲火を浴びる可能性があるワケです 」

ぴよたん 「 なるほど。 それで変に中途半端な順位につけて、前と後ろからインク液の攻撃を浴びるよりかは 」

ももがー 「 ビリっけつにつけて、前方の敵を順々に片付ける、もしくはタイミングを見て抜き去るって作戦ナリね? 」

ねこにゃー 「 Exactly ( そのとおりでございます ) 」

ぴよたん 「 そうなると、タスキ役同士のバトルは不可避ってことぴよね 」

ももがー 「 山郷さんの負担を減らすためにも、他チームがどんな攻撃してくるか考えておくべきナリね 」

山郷 「 が、がんばります!! 」

ぴよたん 「 敵チームの攻撃内容をあらかじめ想定しておくのは、戦車道の試合でも同じことだっちゃ。 同じ要領でちょっと考えてみるぴよね 」

ももがー 「 あとはコースの下見ナリ。 どこでどう仕掛けるか、障害物ポイントはどの辺りになるのか、事前に見当を付けておくナリよ 」

ねこにゃー 「 あらかじめ敵チームの攻撃手段とコース内容を予想しちゃう作戦、開始しまぁす! ( 西住ヴォイス ) 」

ももがー 「 だから作戦名が長いナリwwww 」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:48:20.77 ID:hCip+/ix0


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148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:49:05.37 ID:hCip+/ix0

『 第一回 大洗町リアカー駅伝大会 撮影動画.mp4 』


撮影日付 : 10月 第3週 金曜日

所有者 : 大洗女子学園 放送部




【 再生 】
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:50:41.26 ID:hCip+/ix0

王 「 ……あーあー、マイクテスマイクテス。 アメンボ赤いなあいうえお、隣のカキは良く客喰うカキだったっと 」

放送部員 「 それどんな人喰い柿ですか。 はい、本番いきまーす。 カウントダウン、5、4、3、……… 」


( キューのサイン )


王 「 今日の大洗町は澄み渡る秋の青空が広がっております。 まさにスポーツの秋を満喫するには絶好の天気でしょう。 広いグランド光る汗、くじけずやろうよ体育祭、そんな感じの標語が今頃、全国の学校で叫ばれていることかと思います。 しかし大洗女子学園では、これから体育祭を超える体育祭、いわば超体育祭とでも言いましょうか、そんな常識を覆すようなスポーツイベントが行われようとしています!
 その名も 『 大洗町リアカー駅伝大会 』!!
 ここ、茨城県大洗町の街中を舞台に、純情可憐な本校の女子高生達が、自分の所属する科目の意地と誇りをかけて戦うという、そんなスポーツの秋に一石を投じようというイベントが開催されます!
 実況はワタクシ、県立大洗女子学園高等部の放送部に所属する王大河がお送りします! それと…… 」

角谷 「 はーい、みんなの生徒会長、角谷杏だよー 」

王 「 なんと、特別ゲストとして角谷生徒会長にお越しいただきました! 」

角谷 「 みんな〜 楽しんでいってね〜 」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:51:37.51 ID:hCip+/ix0

王 「 さて角谷会長、現在、中等部によるマラソン大会が行われているところですが、高等部については急にマラソン大会ではなくなってしまいましたね? これはどんな理由があったんでしょうか? 」

角谷 「 いやー、ウチの学園艦、いろいろあってさー、お金なくなっちゃったんだよねー 」

王 「 ほほう、本校の財政が逼迫していることと、今大会がリアカー駅伝大会に代わってしまったことに、何か関係があると? 」

角谷 「 苦しい時の大洗町頼みってやつだよ。 今回、大洗町内のいろんなお店から大会スポンサー料をいただいてね? それを財源にして予算が足りなくて困っている科目を助けようって魂胆なんだ 」

王 「 なるほど! スポーツ選手がスポンサー名の入ったユニフォームを着て、それで得たスポンサー料を活動経費に充てるのと同じわけですね? 」

角谷 「 そのとおり〜。 今回ご協力いただいたお店や企業には、この場を借りて厚くお礼申し上げまっす 」

王 「 本当にありがとうございます! 」

角谷 「 なもんで、生徒会としては、スポンサー様のお名前を広くPRしなくちゃいけないんだけどね 」

王 「 コース沿いに刺さってるのぼり旗とか、会場のあちこちに設営されている屋台とかに、スポンサー様の名前が刻まれているのはそういう意味なんですね。 なぜかアンツィオ高校の屋台もありますけども 」

角谷 「 あと、様々なメディアにも取材に来てもらっているんだよ 」

王 「 えー、手元の取材受入リストを見ますとですね、茨城ケーブルテレビ、茨城インターネットテレビ、茨城ラジオ放送局、地元新聞各社、水戸地域情報誌、おっと四大紙の記者の方も来ていますね。 それとー…… 」

角谷 「 あそこに見えるのは、月刊戦車道の記者だね。 今日は戦車一台も出てこないんだけど、どうして取材に来たんだろう? 」

王 「 大洗女子学園は二度の廃艦危機を戦車道で救った、という経緯がありますからね。 それだけ注目されているのでは? 」

角谷 「 まぁ、ウチの学校は戦車道もそれ以外の科目も、みんな楽しくやってるんだよってことを伝えてもらいたいね 」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:52:10.38 ID:hCip+/ix0

王 「 と言っている間に、中等部のマラソン大会が終わりを迎えたようです。 これから高等部のリアカー駅伝大会の準備に入るわけですが、角谷会長、この駅伝はいろいろと趣向が凝らされているようですね? 」

角谷 「 そうなんだよね〜。 このイベントは、戦車道以外の9科目も面白いんだよってことを世間に広く知ってもらいたいって目的もあるから、それに沿った工夫をしているんだよ 」

王 「 ただの駅伝ではなく、リアカーを引いたり、そのリアカーに人が乗ってインク液をかけ合ったりするのは、その工夫だと 」

角谷 「 そのとおり! 」

王 「 なるほど〜。 ちなみにインク液をかける際には、各チームともなにか面白い道具を使うと聞いておりますが? 」

角谷 「 それもそのとおりだね。 どんな道具が使われるのかは、本番までのお楽しみってやつだ 」

王 「 いやーワタクシ、実にワクワクしてまいりました! 」

角谷 「 その調子でどんどん盛り上げていってちょうだい 」

王 「 さて、コース設営中のこの時間を利用して、出場チームの紹介に参りましょう! えーと、まだ各チームともタスキ役のメンバーが現れておりませんが……? 」

角谷 「 タスキ役の人の衣装も、本番までのお楽しみだよ〜 」

王 「 とのことです! なので、各チーム、走者の皆さんの様子をカメラで映しながら、ご紹介していきたいと思います! 」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:52:48.42 ID:hCip+/ix0

王 「 出場No.1、茶道代表チーム! チームカラーは茶道の「さ」の字、茶色です!

履修生人数で言ってしまうと第9位、つまり下から2番目という、本校ではマイナーな科目に見られている茶道部ではありますが、禅の精神によって鍛えられた腰の据わりっぷりには定評があります!

その精神的、あるいは肉体的安定感が、今大会でどう活かされのでしょうか!?

それと茶器といえば様々な種類がありますからね! どんな道具を使ってインク攻撃を繰り出すのかも気になるところです!! 」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:53:17.74 ID:hCip+/ix0

王 「 出場No.2、書道代表チーム! チームカラーは橙色! 習字のお稽古で先生に修正されるときの、あの鮮やかなオレンジ色です!

履修生人数で言えば第8位! やはりこちらも本校内ではマイナーに見られている書道部であります!

ご存知のとおり運動要素は一切なく、下馬評ではリアカー駅伝に最も不利な科目と評されている書道チームですが、日常的に使っている墨汁はインク液と非常に親和性が高い!!

つまり、インク液の扱いならば全科目一といっても過言ではないでしょう!

そんな書道チームがどんな戦いを見せてくれるのか、非常に楽しみです! 」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:53:46.53 ID:hCip+/ix0

王 「 出場No.3、華道代表チーム! チームカラーは紅に咲き誇るバラのごとく、赤色です!!

履修生人数はなんと第2位! それもそのはず、華道といえばかつては乙女が嗜む三大道の一つとして数えられており、その人気はここ大洗女子学園でも揺るいでおりません!

ただし今大会、人気と強さは比例しない!! インク液を飛ばす道具もおそらく花瓶を使うのだろうと、そんなふうに読めてしまう単純さに今大会でどう影響するのでしょうか!?

極楽鳥花のような極彩色の派手なバトルを見せてくれることに期待しましょう! 」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:54:15.38 ID:hCip+/ix0

王 「 出場No.4、香道代表チーム! チームカラーは緑色!

本校における履修生人数は、他の追随を許さない堂々の第1位だ!

華道とともに乙女が嗜む三大道の一つとして数えられていた香道は、今でも不動の人気を維持しつつ大洗女子学園内に鎮座ましましております!!

香道は、天然香木の香りを鑑賞するその行いに、礼儀作法や立居振る舞いなどを厳しく求める一つの芸道と認識されており、茶道に近い精神性を感じるものでもありますが、しかし人気の上では茶道を大きく引き離す香道です!

我々の取材によりますと、先の廃艦騒動で大洗女子学園を救った戦車道チームの隊長、軍神 西住みほさんでさえも、戦車道を選択していなければ香道を選択していた、という噂があるとかないとか!!

香道代表者チームの強者らしい戦いに注目していきましょう!! 」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:54:50.52 ID:hCip+/ix0

王 「 出場No.5、仙道代表チーム! チームカラーは紫!

世間的にはマイナーと見られるこの仙道、しかし大洗女子学園では履修生人数 第7位! そこそこ人気があります!!

仙道というと、本来の定義では不老不死の仙人になるという道教の修行法を指すわけですが、このご時世ですと、そういうトンデモチックなものに日の目が当たることは少ないのでしょう!
 
今やすっかり健康増進のための気功術、という向きが強くなってまいりまして、そんな仙道のことを 「 なんかヨガっぽい何か 」 と形容するのはさすがにザックリし過ぎでしょうか!?
 
噂によれば、気功を操るエース級がタスキ役になるとのこと。 その実力、期待いたしましょう!! 」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:55:26.63 ID:hCip+/ix0

王 「 出場No.6、合気道代表チーム! チームカラーは白い胴着が鮮やかに映える、白色です!!
 
履修生人数は第6位ながら、運動系5科目の中では、今年復活した戦車道を抜かせば履修生人数は最下位です!

それならばと、今大会では人気獲得に向けて何やら秘策を練ってきたとのこと!

大いに活躍してほしいところですが、合気道といいますとインク液を飛ばすための道具がまったくイメージできません!

いったいどうやってインク液を飛ばすのでしょうか!? こちらも非常に気になるところです!! 」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:56:00.65 ID:hCip+/ix0

王 「 出場No.7、弓道代表チーム! チームカラーは黄色!!

古くから大和撫子が嗜む武芸の一つとされている弓道は、ここ大洗女子学園でも履修生人数 第4位という、歴史に裏打ちされた人気を誇っております。

そして弓道をイメージさせる物と言えば、100人に聞いたら100人ともこう答えるでしょう! 弓矢であると!!

インク攻撃に使われる道具も、まず間違いなく弓矢になるだろうと目されております!

その長い長い射程距離は今大会随一です! 厄介な長距離攻撃となるであろう弓道チームの攻撃に、他チームはどう対処するのでしょうか!? 注目です! 」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:56:43.50 ID:hCip+/ix0

王 「 出場No.8、長刀道代表チーム! チームカラーは紺袴にしっくりなじむ、青色だ!! 

履修生人数は第3位ですが、運動系5科目の中では最上位!! 人気の上では運動科目最強となります!!

そしてこちらも長刀道といったらやはり長刀でしょう! すでにリアカーの上に用意されているので間違いなく長刀を使うのだと思われますが、問題は攻撃範囲の短さです!

近距離攻撃だけで果たしてゴールまで辿り着けるのか!? 長刀を持った戦乙女の戦いがもうすぐ始まります!! 」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:57:12.11 ID:hCip+/ix0

王 「 出場No.9、忍道代表チーム! チームカラーは闇に紛れる黒色です!!

履修生人数は上からも下からも5番目という、大洗女子学園の中では最も平均的人気の科目です!

そんな、いまいち人気科目になりきれない鳴かず飛ばずの忍道ですが、俊敏性と動体視力なら全10科目中トップと評されております!

しかし、体力とパワーを必要とする今大会においては、果たしてその長所を活かせることができるのか!?

さあ、今日は忍びの神髄をとくと見せてもらいましょう!! 」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:57:43.63 ID:hCip+/ix0

王 「 そして最後の出場No.10、戦車道代表チーム! チームカラーは戦車にふさわしいオリーブドラブ色です!!

履修生人数は全10科目中、ダントツの最下位! その数たったの32名! 我が校の高等部の生徒数は約9000人ですから、わずか0.4%です! しかしそれもそのはず、今年誕生したばかりの科目であります!

隊長の西住みほさん以外全員素人という本校の戦車道は、まったく素人とは思えない破竹の勢いをもって強豪校達を打ち破り、先の全国大会では見事 全国制覇を成し遂げました!

その後、本校存亡の危機を迎えた大学選抜戦でも勝利し、最近では本艦に乗ると試合に勝てるとかいう変な噂が広まって、神頼みに来た不法入艦者が増えた、なんて話も聞いております!!

出場してくれるのは、三式中戦車を駆っていたアリクイさんチームの3人、プラス、1年生が1人!

エンジン駆動ではなくガチの人力でリアカーを駆らなくてはいけない今大会、戦車道チームはどう戦ってくれるのでしょうか!? 大注目です!! 」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 22:58:15.87 ID:hCip+/ix0

王 「 以上10チーム、この天高く馬肥ゆる秋の空のもと、大洗町内に設置されたコースを駆け抜けます。 各チームとも走者は3人。 他チームからのインク攻撃を掻い潜り、リアカーに乗ったタスキ役の子を最初にゴールへと連れて行ったチームが優勝になります 」

角谷 「 コース自体はマラソン大会のコースをそのまま使うんだけどね〜。 所々ちょーっと細工してあるから、みんな楽しみにしててね〜 」

王 「 現在我々は、ここ大洗港フェリーターミナルの大駐車場に設置されている実況席におりまして、ここから目と鼻の先、あのターミナルの入出場口がこのリアカー駅伝コースのスタート地点とゴール地点となっております 」

角谷 「 道の真ん中に受付員用のちっちゃなプレハブが設置してあるところね 」

王 「 そこから各区4q、全長約12qをリアカーで引いて走らなければならないという、非常にハードなレースになると見られている今大会です 」

角谷 「 果たして何チームが帰ってこれるかねぇ 」

王 「 おおっとぉ、角谷会長から不穏な発言が飛び出したぞ!? これは波乱必死の試合模様になりそうです! 」

角谷 「 お、カンペだ。 ……うん、おっけー。 大河ちゃん、コースの準備完了だってさ。 そろそろ始めようか 」

王 「 おお! ただいまリアカー駅伝大会のコースセッティングが終了したとの情報が入りました! 」

角谷 「 んじゃあ、まずはタスキ役の子達に来てもらおうか。 かもーん、タスキ役〜 」

王 「 実況席の横にあったステージのカーテンが、今、ちょっとずつ左右に開いて……?  ああーっっとぉ、これはぁぁぁ!? 」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:01:23.04 ID:hCip+/ix0

王 「 各科目を代表する純情可憐な乙女たちが、ななな、なぁーんとぉ!? 10人揃ってあんこうスーツだぁぁぁ!! 」

角谷 「 いやー、大洗町内を走り回るっていったら、やっぱこの格好でしょうww 」

王 「 ピッチピチ! ピッチピチです!! 体のラインが出まくりです!! 少なくとも私は恥ずかしくて着れません!! 」

角谷 「 ちなみにね、ただのあんこうスーツじゃないんだよ。 へいカメラさん! ちょっと彼女らをズームしてくれる? 」

王 「 そういえばスーツのあちこちに何やら文字が……ああーっっと!! これは!? スポンサー様のお名前だぁぁぁ!! 」

角谷 「 今回ね、支払ってくれたスポンサー料に応じて、タスキ役の子の身体のどこに名前を入れられるのかが決まっているんだよ 」

王 「 ほほう、どのようにですか!? 」

角谷 「 このフリップを映してくれる? 」


( フリップの内容↓ )


  胸 ・ お尻 ・ 額 ・ 肩 ・ お腹 ・ 太腿 ・ 腕 ・ 背中 ・ 後頭部

  スポンサー料多い ←         → スポンサー料少ない

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:02:01.45 ID:hCip+/ix0

王 「 このフリップを見ますと、スポンサー料を支払った金額が最も高かったお店、あるいは企業様は、あそこの乙女達が着るあんこうスーツのおっぱ……えー胸部にロゴが入る、ということですね 」

角谷 「 そのとおりだよん 」

王 「 これにはどのような意図があるんでしょうか? 」

角谷 「 ほら私達、スポンサー様のお名前をアピールしなくちゃいけないでしょ? そのお名前が女子高生のおっぱいとかお尻とかに書いてあるとするでしょ? カメラクルーがタスキ役の子を映すとき、ロゴが入るようにカメラに収めなきゃいけないでしょ? なるべくアップで。 あとはわかるな? 」

王 「 策士だぁぁぁ!! この生徒会長、女子高生のお色気を、スポンサー料というお金に替えるお色気錬金術師だったぁぁぁぁ!! 」

角谷 「 はてなんのことやら? 私はスポンサー様のお名前を効率良くアピールしたいだけだよ? 」

王 「 ともすれば耳なし芳一のような不気味さが漂いかねないこのアイデア、しかしあそこに佇む乙女達の恥ずかし気な表情は、周りすべてピンク色に塗り替える破壊力を秘めています!! 」

角谷 「 仮に画面いっぱいに、あの子たちのオパーイやらオシーリやらが映ったとしても、それはスポンサー様の名前をPRしたいだけなので合法です。 よろしくね〜取材の人たち〜 」


( 取材陣が満面の笑顔で親指をグッっとする映像 )


王 「 これは視聴率が大変なことになりそうだぁ! 我が放送部も負けていられません! カメラ班! まかせたぞ!! 」

角谷 「 ちなみにあのあんこうスーツね、一人一人違ったスポンサー名が入っているわけではなくて、全員まったく同じ衣装を着てるからね 」

王 「 すべてのスポンサー様の名前を、ゴールまで連れて行く配慮ですね!? 」

角谷 「 そのとおり。 それじゃあタスキ役の人、それぞれのチームのリアカーに乗ってちょうだいな〜 」

王 「 さあ、刻一刻とスターターピストルが鳴る時刻が迫ってきました! なお、今大会では全10機による撮影ドローンを配備しており、各チームの臨場感溢れる試合模様を詳細に撮影しております!! そちらの動画も合わせてお楽しみいただければ幸いです!! 」

角谷 「 位置についた? よし、かーしまー、あとよろしく〜 」

河嶋 「 わかりました会長! ではお前達、準備はいいか!! これより第一回 大洗町リアカー駅伝大会をスタートするが、本校生徒らしく貞淑な女性の模範として…… 」

角谷 「 かーしま、長い。 じゃあスタート〜〜 」


( パーンッ! というスターターピストルの音 )


河嶋 「 かっ、会長〜! 」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:02:57.51 ID:hCip+/ix0


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166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:03:42.08 ID:hCip+/ix0

『 第一回 大洗町リアカー駅伝大会 戦車道代表チーム撮影ドローン動画.mp4 』


撮影日付 : 10月 第3週 金曜日

所有者 : 大洗女子学園 放送部




【 再生 】
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:04:35.59 ID:hCip+/ix0

ももがー 「 おー飛んでる飛んでる。 そういえばこの撮影ドローン、月刊戦車道で見たナリね。 確かタンカスロンとかで使われるようになったとか…… 」

山郷 「 ……ももがーさん 」

ももがー 「 山郷さん、お疲れ様ナリ。 それじゃあ頑張っていこうナリ! 」

山郷 「 ……………… 」

ももがー 「 がっ、頑張っていこうナリ! 」

山郷 「 ………せめてこの格好に何かツッコんでください…… 」

ももがー 「 あー………ナ……ナイススタイル? 」

山郷 「 わーん!! 」( 泣 )
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:05:24.68 ID:hCip+/ix0

ももがー 「 まぁまぁ、確かにちょっと恥ずかしい格好だけど、ここであんこうスーツを持ち出したことには意味があるんだと思うナリよ 」

山郷 「 ぐす……どんなですか? 」

ももがー 「 いろんなアピール効果の倍増。 あとは、このスーツならインク液を被ったときに一目でわかるでしょ? 」

山郷 「 確かに、これなら他チームからインク液を浴びたときに、観客からもわかりますね 」

ももがー 「 生徒会は、よくもまぁこんな手の込んだイベントを思いつくものナリねぇ 」

山郷 「 私達の学園艦を守ろうと、必死なんだと思います 」

ももがー 「 それで自分があんこうスーツを着ることになったとしても? 」

山郷 「 ぐっ…………そ……それはっ……角谷会長達なりの、必死さの表れだと……! 」

ももがー 「 ヘッツァーに乗ってるカメさんチームを見てると、まぁそれもわかる気はする……あ、いや、どうかな? 」

山郷 「 ……ふふふっ 」

ももがー 「 へへっ 」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:06:02.34 ID:hCip+/ix0

山郷 「 スポンジ弾はどうなっていますか? 」

ももがー 「 あらかじめインク液を吸わせたスポンジ弾は、この箱の中に入っているナリ。 あとはそっちのインク液が入った容器に、詰められる分だけ押し込んだナリ 」

山郷 「 ということは、私はこの箱か容器に手を突っ込んでスポンジ弾を取り出して、敵チームのタスキ役の人に向かって投げつけるだけってことですね 」

ももがー 「 取り出すときにインクが手に付いちゃうけど、それはアウトカウントにならないってことだったナリね? 」

山郷 「 はい。 あくまで他チームのインク液を浴びた時がアウトカウントになります 」

ももがー 「 同じチームから連続して2回インク液を浴びた場合は? 」

山郷 「 2アウトってカウントされます。 ただし、最初のアウトから次のアウトまで5秒以上空いていないとノーカンです 」

ももがー 「 1回アウトを喰らっても、同一チームからの攻撃だったら、アウトから5秒間は無敵ってことナリね 」

山郷 「 そうです 」

ももがー 「 異なる2チームから連続してインク液を浴びちゃった場合は? ]

山郷 「 最初のアウトから5秒経ってなくても、2アウトってカウントになります 」

ももがー 「 了解ナリよ〜 」



角谷 『 それじゃあタスキ役の人、各チームのリアカーに乗ってちょうだいね〜 』



ももがー 「 さてさて、それじゃあデっ発に備えますかね 」

山郷 「 ……ねえ、ももがーさん 」

ももがー 「 どうしたナリ? 」

山郷 「 私達、同級生ですよね 」

ももがー 「 そうナリね 」

山郷 「 私、ももがーさんと、もっと友達になりたい。 だから私の事、もっと、こう、アリクイチームの人達みたいに……くだけた感じで……その…… 」

ももがー 「 ちょっ、こ、このタイミングでそんなこと言われたら、て、照れるナリ…… 」

山郷 「 ダメですか? 」

ももがー 「 あー…… 」

山郷 「 ……ダメ? 」

ももがー 「 …………アユミン 」

山郷 「 え? 」

ももがー 「 今から山郷さんのことを、アユミンって呼ぶナリ。 だから私のことはももがーで良いよ 」

山郷 「 ……うんっ、ももがー! 」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:07:15.16 ID:hCip+/ix0

( パーンッ! というスターターピストルの音 )


ももがー 「 そんじゃ行くナリ! アユミン!! 」

山郷 「 よろしくね! ももがー!! 」



王 『 さあ、ついに始まりました大洗町リアカー駅伝大会! いま高らかなスターターピストルの音が鳴り響き、各チーム一斉に走り出しました! 』

角谷 『 スタート直後は団子状態になるからね。 200m先の文化センター前交差点を右折して、サンビーチ通りを500m走るところまでは、インク攻撃は禁止になっているよ 」

王 『 全車、いま文化センター前交差点を鮮やかに右折して、どんどんとサンビーチ通りを大洗ホテル方面へと進んでいます! 』



ももがー 「 作戦通り、ビリっけつの10番目につけたけど…… 」

山郷 「 あんまり離されちゃうと挽回するのが難しくなっちゃうから、後位グループの後を付かず離れずって感じでいこう! 」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:07:55.41 ID:hCip+/ix0

王 『 各車まとまった状態のままサンビーチ通りを直進していきます。 この先、大洗海鮮市場の前まで来ますと、いよいよ血で血を争う……ではなかった、インク液をインク液で争う戦いが始まります! 』

角谷 『 タスキ役の子達がソワソワしだしたねぇ 』

王 『 現在、先頭は忍道代表チーム、やはり身体能力がものをいうのか! 続いて華道チーム、香道チームと続いております! 』

角谷 『 まだそんなに集団はバラけてないけど、ちょっとずつ後位グループが形成されつつあるよ 』

王 『 そうですね、後位グループを形成しそうになっているのは、 現在の最下位の戦車道チーム。 戦車を扱わせれば全国一だが、やはり身体を使った運動競技には無理があるのでしょうか? その戦車道チームの前を、茶道チーム、長刀道チーム、弓道チームが走っております 』



ももがー 「 そろそろ大洗海鮮市場の前に来るよ! 最初の相手は茶道、長刀道、弓道になるナリ! 」

山郷 「 うん! まかせて! 」

ももがー 「 想定通りなら、茶道も長刀道もインク液をそんなに遠くまでは飛ばせないはず! 気を付けるのは弓道ナリね! 」

山郷 「 弓矢だと遠距離からでも攻撃できるもんね。 私の力だと、スポンジ弾の有効射程は13mくらいだから、こっちの射程に入るまでは身をかがめておくね! 」

ももがー 「 その方がいいナリ! 」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:08:24.48 ID:hCip+/ix0

王 『 さあ、いま最後尾の戦車道チームが大洗海鮮市場の前を通り過ぎた! ここからが本当の闘いの幕開けだ! 』

角谷 『 この感じだと、最初は後位グループで一波乱ありそうかな? 』

王 『 後位グループにいるチームの道具を見ていきますと、まず茶道チームは……茶碗です! 茶碗でインク液をすくって、浴びせようという作戦のようです! 』

角谷 『 あの茶碗だけど、無駄に良い茶碗を持って来たらしいよ 』

王 『 落として割ったらどうするんでしょう! ううん? いまその茶碗でインク液をすくって……? 回したぁぁ!! あれはお抹茶を飲むときにお茶碗を3回くらい回すやつだぁぁぁ!! 』

角谷 『 ちゃんと走者の人からお茶菓子もらって食べてるねぇ 』

王 『 なんと! こんなリアカーの上でもワビサビの心を忘れない! 大洗女子学園の茶道は実にタフネスです!! 』

角谷 『 茶碗割った場合の補填は、100円ショップで売ってる茶碗にするからね〜 』

王 『 続いて長刀道チーム! タスキ役の人が凛々しく長刀を構えておりますが……あれはあのまま使ったら危ないですよね? 』

角谷 『 長刀の先端に付いている刃の部分を良く見てごらん? 』

王 『 刃の部分? ……あぁ! スポンジで出来ている! 』

角谷 『 あのスポンジ製の刃にインク液を染み込ませて、直接斬りかかろうってことなんだろうね 』

王 『 実に長刀道らしい! 今大会でも戦乙女を地で行く長刀道チームです!! 』

角谷 『 攻撃範囲は長刀が届く範囲になっちゃうから、あの近距離攻撃しかできない長刀じゃあ今大会では不利かもしれないねぇ 』

王 『 続きまして弓道チーム! これは見なくてもわかります! すでに弓矢を構えているぞ! 』

角谷 『 これも長刀道と同じ理屈で、矢じりの部分がスポンジで出来ているんだね。 人に当ててもケガしないことは確認済みだよ 』



ももがー 「 だいたい想定通りの攻撃手段ナリ! 作戦ポイントまではこのまま行くナリよ! 前の3チームが近づいてきた時は、スポンジ弾で牽制するナリ! 」

山郷 「 わかった! 」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:08:58.88 ID:hCip+/ix0

王 『 全車が進むこのサンビーチ通りは、この先で大きく左にカーブした後、大洗ホテルを横目に大洗鳥居下交差点を迎えます 』

角谷 『 今のところは各車、適度な間隔が空いているね 』

王 『 そうですね。 やはりアウトが積み重なるのが怖いのか、まだどのチームも目立った行動には移っていませんね 』

角谷 『 いまは様子見ってとこだろうね。 近寄らないと攻撃できないチームは、その分、反撃も食らいやすいから迂闊に近づけないんだろうね 』

王 『 そうしている間にも、先頭グループは大洗鳥居下交差点を右折して、大洗海岸通りへと入っていきます! 」



ももがー 「 この先の交差点を右折するから、しっかり捕まってるナリ! 」

山郷 「 了解! ……って、ももがー? あのリアカー、なんか近づいてきている気がする! 」

ももがー 「 長刀道のリアカー! 交差点を過ぎた辺りで攻撃を仕掛けてくる気ナリね! アユミン、迎撃翌用意! 」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:09:31.41 ID:hCip+/ix0

王 『 大洗磯前神社の御祭神、大己貴命(おおなむちのみこと)にまるで見下ろされているかのような、ここ県道108号線、大洗海岸通りでは、各チームのリアカーがしのぎを削って一歩でも前へと駆け抜けていきます 』

角谷 『 大洗シーサイドホテルの弾痕が痛々しいねぇ。 思わずプラウダ高校に損害請求したくなる有り様だね 』

王 『 あの状態でも一応営業はしているみたいですよ? 』

角谷 『 全室、窓ガラス吹っ飛んでるのに? 』

王 『 その大洗シーサイドホテルの前を、先頭の忍道チームが通り過ぎようとしています! そして!? おおぉっと、後位グループの方で動きがあったみたいだぞ!? 」

角谷 『 おおー、今大会のファーストバウトだねー 』



ももがー 「 アユミン! これ以上スピード落としたら挽回出来なくなるから、タイミング見て抜き去るナリよ! 」

山郷 「 長刀の攻撃範囲には なるべく入らないでね! 」

長刀道チーム 「 いざ尋常に勝負! 」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:10:01.35 ID:hCip+/ix0

王 『 長刀道代表チームのリアカーが戦車道チームへ近づいていきます! 』

角谷 『 そろそろ山郷ちゃんの射程範囲に入るね 』



山郷 「 今日までウサギさんチームのみんなと修行してきた成果、見せてやるんだから! 」

ももがー 「 修行っていっても、ゲーセンのストラックアウトで肩のコントロールを鍛えただけナリが 」

山郷 「 いいの! 10球に1球は狙った的に当たるようになったんだから! 」

ももがー 「 そうだったナリね。 そんじゃま、砲撃開始ナリ! 」

山郷 「 えいっ! このっ! このっ! 」



王 『 さあ、戦車道チームのリアカーに乗る可愛らしいあんこうスーツのタスキ役が、スポンジ弾を投げ始めました! 』

角谷 『 足場の不安定なリアカーの上で投げているから、数撃たないと当たらないと思うけど……おや、意外にストライクが入ってる 』

王 『 有効弾コースがちょいちょい混じる戦車道チームの攻撃! 一方の長刀道のタスキ役は……おおこれはスゴイ!! 』



山郷 「 うそ!? 」

ももがー 「 マジナリか!? あの変な長刀でスポンジ弾を叩き落としているナリ! 」

長刀道 「 そろそろこちらからいくぞ! 」

山郷 「 きゃっ!! 」


王 『 おおぉーっとぉ! 長刀による横薙ぎの一撃! だが戦車道チームのタスキ役、ギリギリでかわしたぁ! 』

角谷 『 至近距離での戦闘は、戦車道チームに分が悪いね 』
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:10:38.76 ID:hCip+/ix0

王 『 長刀道 VS 戦車道、ギリギリの攻防を続けながら、リアカーは大洗ゴルフ倶楽部へと続くY字路を大洗公園側へと進んで行きます! 』

角谷 『 第一区もそろそろ半分を消化するね。 中継地点まで残り約2qだけど、その前に障害物が設置されているポイントがあるよん 』

王 『 おや、後位グループにいる茶道チームと弓道チームが、長刀道チームと戦車道チームの争いに近づいていきますよ? 』

角谷 『 障害物ポイントに到達する前に攻撃を仕掛けようって腹なのかも 』



山郷 「 ももがー! このままじゃ茶道チームと弓道チームからも攻撃受けちゃうよ! 」

ももがー 「 弓の射程範囲に入っちゃう前に、この長刀道チームをなんとかしたいナリね……! 」

山郷 「 スポンジ弾を投げても全部はたき落とされちゃうし…… 」

ももがー 「 ってことは、はたき落とされないようにすればいいわけナリね 」

山郷 「 え? 」

ももがー 「 アユミン、捕まって 」

山郷 「 ちょっ、なにする…… 」

ももがー 「 ……もぉーーもぉーーがぁぁぁぁぁっっ!! 」


王 『 ああぁぁーっと! 戦車道チームのリアカーが長刀道チームに体当たりだぁぁぁ!! その反動でタスキ役の子達がバランスを崩している!! 」


ももがー 「 アユミン、いま!! 」

山郷 「 くっ、了解! えいっ!! 」


王 『 ヒットォォォ!! 長刀道チームのあんこうスーツに、オリーブドラブ色の弾痕が付いたぁぁ! 戦車道チーム、長刀道チームに初インクを付けました! 』
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:11:41.75 ID:hCip+/ix0

ももがー 「 チャンス! このタイミングナリ! おおおおおおぉぉぉぉぉ!! 」


王 『 さあ戦車道チーム、ここでチャンスだとばかりに長刀道チームを抜き去り、どんどん距離を離していく! そして今、茶道チームから距離を取りながら……これも抜いたぁぁ!! 』


長刀道チーム 「 ぬかった! しかしまだ……ぐぅっ!? 」


王 『 あーっとぉ!? 長刀道チームに黄色いインクの矢が刺さった! 弓道チームが放ったスポンジ矢が長刀道チームを狙い撃ちぃ! 長刀道、あっという間に2アウトだ! 」

角谷 『 あらら、まだピンチは終わらないみたいだね 』

王 『 後がなくなった長刀道チーム……ですが!? そんなピンチの長刀道チームに茶道チームが近づいていくぞ!? 』

角谷 『 あ、茶道チームのタスキ役の子、茶碗でインク液をすくって、律儀に3回まわしているねwwww 』

王 『 そして攻撃態勢になる茶道チーム! 一方の長刀道チームも長刀を構え直す! 』

角谷 『 茶道チームもあれじゃあ射程距離は短いからね。 近距離での殴り合いになるね、これ 』

王 『 両チーム、得物を振りかざしてぇ、いまっ……相打ちだぁぁぁ!! 』

角谷 『 やっぱり、まぁこうなるわな 』

王 『 茶道チームのあんこうスーツに青い斬撃痕を付けた長刀道チーム! しかし代わりに茶色いインクのお抹茶を浴びてしまったぁぁ!! これで茶道チームは1アウト、長刀道チームは3アウトです! 早くも脱落チームが出てしまいました!! 』

角谷 『 今の、弓道チームと茶道チームによる連携攻撃のように見えたね 』

王 『 連携攻撃? ということは、弓道チームと茶道チームは協力体制にあるということでしょうか!? 』

角谷 『 そうみたいだね。 でも文化系の茶道チームが運動系の弓道チームと結託したっていうのは驚きだ 』

王 『 それはなぜでしょう? 』

角谷 『 今大会ね、文化系科目同士の結託なら不思議じゃないんだけどさ、それ以外に結託しているチームがあるとするなら、たぶん、共通の倒したい相手がいるんだろうね 』

王 『 力を合わせて共通の敵をやっつけようと!? その共通の敵とは一体どこのチームなんでしょうか!? 』

角谷 『 良くも悪くも話題が尽きない戦車道チーム、だろうねぇ。 他の科目にとってはここぞとばかりにアレコレできる絶好の機会だし 』
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:12:28.11 ID:hCip+/ix0

王 『 長刀道チームが早くも脱落し、残り9チームとなった大洗町リアカー駅伝大会! 大洗ゴルフ倶楽部を左手に、大洗公園を右手に見ながら、全車とも海沿いの道を軽快に駆け抜けていきます! 」

角谷 『 現在の順位を上から見ていくと、忍道、華道、香道、合気道、仙道、書道、弓道、戦車道、茶道 って順番になっているよ 』

王 『 その中で先頭グループは忍道、華道、香道。 中位グループは合気道、仙道、書道。 後位グループが弓道、戦車道、茶道、ですね 』

角谷 『 まぁこの順位も、この先の障害物ポイントで変わると思うんだけどねぃ。 ほら、まずは1つめの障害物が出てくるよん 』

王 『 おや、コースが大洗公園内へと引き込まれていきます。 先頭グループがいま、大洗海岸通りを外れて大洗公園へと入っていきました 』



ももがー 「 アユミン! 茶道チームは引き離したからいいとして、前にいる弓道チームの射程には入ったままナリ! 」

山郷 「 わかってる! 」

ももがー 「 弓道チームの真後ろにつけるので、私を盾にして矢を防ぐナリよ! 」



王 『 戦車道チームの第一区走者、ももがー選手! 後ろに乗るタスキ役の子に指一本触れさせまいと、走りながら自分自身が盾代わりになってスポンジ矢の攻撃を防いでいます! 』

角谷 『 走者はインク攻撃をくらってもノーカンだしね〜。 その陰に隠れちゃえば、直線的な攻撃しか出来ない弓矢じゃ狙えないってわけだ 』



ももがー 「 アユミン、この先の大洗公園だけど……はぁっ、はぁっ 」

山郷 「 予想通り、障害物ポイントになってるみたい! 」

ももがー 「 そうナリね。 だから作戦通りここで仕掛けるナリが、何が起こるかわからないから警戒を厳とするナリ! 」

山郷 「 了解! 中継地点までもうちょっとだから頑張って! 」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:13:04.28 ID:hCip+/ix0

王 『 さあ、いま後位グループも大洗公園に入り、コースはそのまま大洗海岸へと続いていく!! 』

角谷 『 大洗海岸は、夏には海水浴客で賑わう砂浜が広がっているんだけど、今回はそこに鉄板を敷いて、リアカーを走らせやすくしてあるんだよ 』

王 『 秋の陽光に照らされながら、全車砂浜を駆け抜けていきます。 そして……おおぉっと? 先頭グループの先に何かが見えてきました! 』

角谷 『 第一の障害物ポイントだよ〜 』

王 『 砂浜に直径40m程の、浅くて大きな窪みが掘ってあります! そしてその窪みに、幅10p程の板のような物が一定の間隔で何本も渡されている! 』

角谷 『 あの細長い板の設置間隔は、リアカーのタイヤの間隔に合わせてあるよ。 ちなみに穴の深さは30p程度だから、リアカーが落ちてもまぁケガとかはしないだろうけど 』

王 『 これはつまり、あの細長い板にリアカーのタイヤを上手く乗っけて、そのまま板を渡り切らねばならない、ということですね? 』

角谷 『 そのとおり〜。 板から脱輪した場合は、その場で走者とタスキ役の人が協力して脱輪復帰させてね〜 』

王 『 ちょうど板を渡る少し手前の位置に、水着を着た女の子がプラカードを持っています。 プラカードには “ ここからインク攻撃禁止エリア ” と書いてありますね 」

角谷 『 板を渡っている途中のチームにはインク攻撃しちゃダメってことね。 ちなみに水着の女の子は水泳部の子に協力してもらってるよ〜 』
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:13:31.33 ID:hCip+/ix0

王 『 さあ、先頭グループがこれから板渡りに挑戦します! 上手くタイヤを板の上へ乗っけて……あぁーっと脱輪! 華道チーム、脱輪です! 』

角谷 『 その先でも忍道チームが脱輪してるね 』

王 『 必死に脱輪を復帰させようと、走者、タスキ役の子が協力してリアカーを持ち上げていますが……その横をゆっくりゆっくり、香道チームが追い抜いていきます! 』

角谷 『 でもおっかなビックリ板を渡ってるから、ずいぶんノロノロ運転だ 』

王 『 そんな先頭グループを視界に収めながら、いま中位グループが障害物ポイントに到着しました! 合気道チーム、仙道チーム、書道チームがこれから板渡りに挑戦します! 』

角谷 『 どのチームの走者も足にきはじめちゃってるからね。 リアカーの操縦がブレブレになっちゃってるだろうから、香道チームみたいにゆっくりでも着実に進んだ方がいいのかもね 』

王 『 なるほど! いやしかし合気道チーム、ズンズンと進んでいきますね! 体幹バランスならば任せておけとばかりのスピードですが……ああぁっと! 合気道チームも脱輪だぁ! 』

角谷 『 いわんこっちゃない 』

王 『 合気道チーム、素早く脱輪復帰作業に取り掛かります! そんな合気道チームを、ゆっくりした調子で仙道チームと書道チームが追い越していきます! 』

角谷 『 こういう精神集中が求められるアトラクションは、文化系科目の方が得意かもしれないねぇ 』

王 『 そんな文化系科目の一つ、香道チームがいま板を渡り切りました! 一呼吸ついて、最初の中継地点に向けて元気に駆け出していきます! 』

角谷 『 お、続いては華道チームか。 忍道チームを抜かして2位で板を渡り切ったね 』

王 『 その後ろを慌てて忍道チームが追いかけます! そしてここで、この障害物ポイントに後位グループが姿を現したぞぉ! 』



山郷 「 あの板を渡れってことみたい! 」

ももがー 「 なるほど、そういう障害物ナリか! 」

山郷 「 脱輪しちゃうとかなりの時間ロスになっちゃうけど…… 」

ももがー 「 上手くいけば、逆に順位を上げるチャンスナリ! ノンストップでいくナリよ!! 」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:14:27.69 ID:hCip+/ix0

王 『 先頭グループに続いて、いま、書道チームと仙道チームが板を渡り切りました! 先程脱輪してしまった合気道部も少し遅れて……いま板を渡り切った! 順位を一つ下げ、慌てて中継地点へと駆け出します! 』

角谷 『 お、弓道チームが脱輪したね 』

王 『 弓道チーム、脱輪復帰作業に取り掛かります! そしてその後ろを……ああぁぁっとぉぉ!? 』



ももがー 「 おおりゃぁぁぁぁぁぁ!!! 」

山郷 「 いけえっ! 」

ももがー 「 これがアニメなら、瞳の中で桃のシードが割れるところナリよ!! 」



王 『 これはすごぉぁい!! 戦車道チーム、まったくスピードを落とさず、板を渡り切ろうとしています!! 』

角谷 『 いやぁ、さすがアリクイさんチームの操縦手だ 』

王 『 戦車の操縦手だと、この障害物ポイントは有利なんですか!? 』

角谷 『 戦車ってのは馬鹿デカいのに公道走ることがあるからね。 それの操縦手は車体感覚が磨かれるんだよ。 だからリアカーの車幅を把握して真っ直ぐ走らせることくらいワケないってことだね 』
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:14:59.15 ID:hCip+/ix0

王 『 戦車道チーム、いま弓道チームを追い越して……ノーミスで板を渡り切ったぁぁ! そしてまったく勢いを落とさず中継地点へと向かいます! 』

角谷 『 合気道チームに追いつける距離だ。 これは中継地点までにもう一波乱あるかな? 』



ももがー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ! 」

山郷 「 すごい! すごいよももがー!! 」

ももがー 「 はぁっはぁっ……ま……まあね……はぁっはぁっ 」

山郷 「 中継地点まであと1q! これならまだもう一チームくらい抜かせ……きゃぁ!! 」

ももが 「 !? 」


王 『 ああぁぁっとぉぉ!? 戦車道チーム、1アウトぉぉ!! あんこうスーツの背中に茶色いインク! これは、茶道チームだぁぁ! いつのまにか茶道チームが戦車道チームのすぐ後ろに付けていたぁぁ!! 』

角谷 『 なんとまぁ、茶道チームも勢いを殺さないでノーミスで板を渡り切ったんだ。 やるねぇ〜 』

王 『 これは凄いぞ茶道チーム! やはり集中力が桁違いなのか!? それとも肉体的精神的安定感が抜群だからなのか!? いやいやジャパニーズ・ワビサビの精神が何かアレしたのかぁぁ!? 』
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:16:02.29 ID:hCip+/ix0

山郷 「 ゴメンももがー! 油断してた……! 」

ももがー 「 ドンマイ! でもこの近距離はマズい! スピード上げて茶道チームを引き離すナリよ! 」

山郷 「 うん! 前の合気道チームはどうする!? 」

ももがー 「 合気道チームはインク攻撃に使う道具が見当たらないナリ! どんな方法でインク攻撃するのかわからないけど、射程はそう長くないはずナリ! 」

山郷 「 わかった! そしたら私は、ひとまず茶道チームを迎撃するね! 」



王 『 茶道チームのお抹茶攻撃を喰らってしまった戦車道チーム、反撃開始です! しかしこれは……スポンジ弾が防がれている! 射線を茶道チームの走者が邪魔しています!! 』

角谷 『 あー、あれだと茶道チームの走者が盾になっちゃってるねぇ 』



山郷 「 えいっ! このっ! もうっ! 」

ももがー 「 どうしたナリ!? 」

山郷 「 いっぱい投げてるんだけど、茶道チームの走者が邪魔で、その後ろにいるタスキ役の子に弾が当たらないよぅ! 」

ももがー 「 ……曲射!! 」

山郷 「 え? 」

ももがー 「 だから曲射! いっぱい!! 」

山郷 「 !!! ……オッケー!! 」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:16:42.05 ID:hCip+/ix0

王 『 おや戦車道チーム、スポンジ弾を投げるのを止めてしまったぞ? そして……アンダースローで上へ放り投げ始めた? それもいっぺんに沢山だ! 」

角谷 『 なるほど、迫撃砲か 』

王 『 角谷会長、迫撃砲とは!? 』

角谷 『 障害物の向こうにいる相手を攻撃するため、山なりに弾を撃って、敵に上から弾を当てるって武器だ。 ここではスポンジ弾を沢山投げることによって、面攻撃で相手の逃げ場を無くそうって魂胆だね 』

王 『 上へと放り投げられた沢山のスポンジ弾が、いま茶道チームのリアカーへと降りそそぐ!! 』

角谷 『 いくらバランス感覚が良いっていっても、狭いリアカーの荷台じゃ逃げ場所がないね 』

王 『 ヒットォォォ!! 茶道チーム、2アウト!! オリーブドラブ色の砲弾の雨からは逃れられなかったぁ!! 』



ももがー 「 さすがはM3リーの砲手ナリね! 」

山郷 「 M3リーはこんな曲射出来ないよぅ! 」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:17:17.88 ID:hCip+/ix0

王 『 さあ、正面にはアクアワールド大洗水族館を捉え、コースはまた大きく左にカーブします。 その先、祝町交差点を左折しておよそ250m、大洗祝町郵便局の前が第一中継地点となっております 』

角谷 『 先頭グループが交差点に差し掛かったよ 』

王 『 レースはもう間もなく次の第二区走者へと引き継がれるところに来ております! そして……後位グループではまだ戦闘が続いていますね! 」

角谷 『 中継地点もインク攻撃禁止エリアだから、その前にやっちまおうって考えだろうね 』

王 『 戦車道チームと茶道チームが争いながら、いま合気道チームの後ろに付いたぞぉ! 』



ももがー 「 はぁっはぁっはぁっ……合気道チームの真後ろに付いたけど……さすがにこの近距離はマズイナリかねっ……はぁっはぁっ 」

山郷 「 ど……どうしよう……! 」

ももがー 「 はぁっはぁっ……どうしようって……いったって……ん? 」

山郷 「 あれ、合気道チームのタスキ役の人……なんかジェスチャーしてる? 」

ももがー 「 タイミング合わせて、横にどけ……ってことみたいナリね……はぁっはぁっ 」

山郷 「 どうする? 」

ももがー 「 はぁっ、はぁっ……信じてみるナリ……アユミン、カウント指示して 」

山郷 「 わかった! いくよ? 3……2……1……いま! 」

ももがー 「 ぬりゃぁぁぁぁ!! 」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:17:50.17 ID:hCip+/ix0

王 『 おぉぉっと戦車道チーム、急に車線変更だ!! そしてぇ!? ……あぁぁヒットォ! 茶道チーム、3アウトです!! あんこうスーツに白色のインクぅぅ!! 』

角谷 『 合気道チームの攻撃だね。 戦車道チームが車線変更して場所が空いたから、合気道チームの射線が茶道チームに通るようになったんだ 』

王 『 え!? いや、しかし、合気道チームは道具を使った形跡がありませんよ!? 一体どうやって!? 』

角谷 『 合気道チームのタスキ役の子、手の平に白インクが付いているでしょ? あれが答え 』

王 『 それはどういう……? あ、ここでリプレイが見れるようです。 ……おぉぉぉ!? これはなんだぁぁ!? 』



山郷 「 なに……あれ……? 」

ももがー 「 マジナリか……手の平でインクをすくって、それをちょっと曲がる波動拳みたいに飛ばしやがったナリ! 」



王 『 ワタクシ、ひとつなぎの大秘宝的な漫画で見たことありますよ!? アレ! 』

角谷 『 撃水だね。 魚人空手の 』

王 『 なんと大洗女子学園の合気道!! 極めると魚人空手が使えるようになるのかぁぁぁ!? 』

角谷 『 人気獲得に向けて秘策を練ってきたってのは、このことだったんだねぇ 』

王 『 ともあれ、これで茶道チームは脱落!! 第一区残りわずかで、今度は合気道チームと戦車道チームが戦闘を始め……いや、していないぞ!? 』

角谷 『 なるほど、合気道チームはパフォーマンス狙いで来たか 』

王 『 どういうことでしょう、角谷会長!? 』

角谷 『 今大会、優勝しても特に賞金とか無いからねぇ。 だったら始めから勝負を捨てて、観客へのアピールに徹しようと考えたんだね 』

王 『 しかし、なにか戦車道チームのピンチを救うような行動も見えましたが、あれは? 』

角谷 『 ただ単に、敵チームを討ち取る見せ場が欲しかっただけかもしれないけど……戦車道チームに感謝の気持ちを見せたかったのかも、って思いたいね 』

王 『 あれ? 先程、戦車道チームは共通の敵だとかって仰っていませんでしたか? 』

角谷 『 敵視してるチームもあれば、感謝してるチームもあるってことだよ 』

王 『 そんな凄いワザを繰り出した合気道チーム、戦車道チームに道を譲るように、少しずつ後退していきます 』

角谷 『 このまま後位グループで最後まで戦うつもりかもしれないね。 その方が長くレースできて、見せ場を稼げるし 』

王 『 さあ、先頭グループではすでに走者のバトンタッチが行われている! 1位、香道チーム! 2位、華道チーム! 」

角谷 『 忍道チームもよくやるなぁ。 3位通過だ 』
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:18:35.95 ID:hCip+/ix0

王 『 走者が次々と第二区走者へ移り変わっていきます! 命のバトンならぬ命のあんこうスーツ! ここでそんなおっきなバトンを無事受け渡すことが出来るのは、合計8チームになりそうだ! 』

角谷 『 後位グループが中継地点にやってきたよ 』

王 『 すでに大激闘を繰り広げている戦車道チーム!! 長刀道チームと茶道チームに攻撃を命中させ、弓道チームと合気道チームを追い越して、なんとビリから6位に追い上げてきました! さすがは戦車道チーム、生身の脚にも無限軌道が付いていると言わんばかりの、そんな逞しい突破力を見せております!!』

角谷 『 ももがーちゃん、1年生であの走りっぷりは大したもんだね〜 』



ももがー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ!! 」

山郷 「 ももがー! ラストスパート!! 」

ももがー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……おおおおおおお!! 」

ぴよたん 「 ももがー! こっちだっちゃー!! 」



王 『 戦車道チーム、中継地点へと到着しました! いま、リアカーを第二区走者へ引継ぎます! 』

角谷 『 6位通過ならまだまだ上を目指せるね 』



ぴよたん 「 ナイスランぴよ! あとは任せるぴよ!! 」

ももがー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ!! 」

ぴよたん 「 おっし山郷さん、準備はいいっちゃ!? 」

山郷 「 はい! ……ももがー! ありがとう!! 」

ももがー 「 はぁっ、はぁっ、はぁっ……と……とっとと……パンツァーフォーナリ……はぁっ、はぁっ、はぁっ…………いってらっしゃい…… 」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:19:16.70 ID:hCip+/ix0

王 『 まるでF1のピットインのような素早さで各チーム走者交代し、リアカーが出発していきます。 それにしても第二区走者はガタイの良い子が多いですね、角谷会長 』

角谷 『 第二区の障害物ポイントは、ちょっと力のある子じゃないと厳しいからね〜 』

王 『 しかしそんな中、戦車道チームの第二区走者はそれほどガタイが良いようには見えませんが 』

角谷 『 って思うでしょ〜? ぴよたんは脱いだら凄い系なんだよ〜? 』

王 『 確かに力強い走りを見せています、戦車道チーム! 第二区ではどんな波乱を巻き起こすのか、期待して見ていきましょう! 』



山郷 「 よろしくお願いします、ぴよたん先輩! 」

ぴよたん 「 こちらこそヨロシクぴよ! 山郷さん! 」

山郷 「 あゆみでいいです! 」

ぴよたん 「 え? 」

山郷 「 私達、仲間です! だからあゆみって呼んでください! 」

ぴよたん 「 ……じゃあ、アユミンで! 」

山郷 「 ……ふふふっ 」

ぴよたん 「 え、嫌だった? 」

山郷 「 ううん、嬉しくて! さっき、ももがーにも同じこと言われました! 」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:19:42.29 ID:hCip+/ix0

王 『 各チーム、祝町いささかりんりん通りを南西の方角へと走っていきます。 コースはこの先、東光台前交差点を右折して磯浜さくら坂通りへと入り、臨海大洗鹿島線 大洗駅方面へと続いていきます 』

角谷 『 先頭グループでもそろそろバトル勃発しそうな雰囲気なんだけど、香道と華道が共闘路線をとっているみたいで、忍道チームが迂闊に仕掛けられないでいるねぇ 』

王 『 中位グループを見ますと、やはり仙道チーム、書道チームが近距離にいるにも関わらず、戦闘に至っておりませんね 』

角谷 『 やはり文化系科目は手を組んでいると見て間違いないね。 さらにはそれに、弓道チームも手を貸しているときたもんだ 』

王 『 残りの忍道チーム、戦車道チーム、合気道チーム、これらはいずれも運動系科目ですが、その共闘体制にそれぞれ単独で挑まなければならないと、そういうワケですね! 』

角谷 『 文化系科目の本気っぷりが垣間見えるね。 勝負はレース前から始まっていたんだねぇ 』



ぴよたん 「 前にいるのは仙道チームと書道チームぴよね 」

山郷 「 事前の作戦会議では、どちらのチームも射程は長くないと予想しましたけど…… 」

ぴよたん 「 ならばあとで順位を上げやすいように、予定より少し早めに仕掛けるぴよ! 」

山郷 「 わかりました! 」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:21:00.66 ID:hCip+/ix0

王 『 いま、先頭グループの左手には大きな松林が見えておりますが、その中には 「 大洗町 幕末と明治の博物館 」 という町営の施設が設置されています。 幕末の志士であり、のちに宮内大臣になった田中光顕伯爵によって昭和4年に創立され、80年以上の歴史を持っているというこの博物館は、様々な日本画や工芸品などが展示されています 』

角谷 『 この松林の中には町営の大洗キャンプ場もあるんだよね。 廃艦騒動の際にはお世話になりました 』

王 『 あの時はウチの学園艦住民全員が大変でしたけど、生徒会も大変そうでしたねぇ 』

角谷 『 大洗女子学園の学園艦は規模が小さいながらも、生徒数が中高合わせて1万8千人もいるからさ。 あの時は既存の施設をいくつも借り上げて臨時校舎とさせてもらったんだけど、それでも収容キャパが足りなくてね。 キャンプ場で青空教室となったクラスがいくつかあったんだよ 』

王 『 いまこうして笑い話に出来ることが本当にありがたいと、そう思わずにはいられません! そして大洗リアカー駅伝大会は先頭グループが東光台前交差点に差し掛かり、レースは中盤戦を迎えようとしています! 』



ぴよたん 「 あの交差点を右折したら、ココス大洗店があるぴよ! そこでスピード上げるから…… 」

山郷 「 アタック開始地点はそこってことですね! 」

ぴよたん 「 よろしく頼むっちゃ! アユミン! 」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:21:37.18 ID:hCip+/ix0

王 『 さあ、中位グループも東光台前交差点を右折して、磯浜さくら坂通りへと入りました。 コースはここから大洗駅へと続く1本道となります! 』

角谷 『 あそこに見えるココス大洗店さんは、ウチの戦車道の隊員達を写真パネルにして飾ってくれてるんだよね〜 』

王 『 戦車道チームの隊員達は、全国大会でも大学選抜戦でもあれだけ活躍しましたからね。 今や大洗町内でもファンが沢山いると聞いております! 』

角谷 『 おお、そんな戦車道の代表チームが戦闘を仕掛ける気だよ 』

王 『 前に立ちふさがるのは仙道チームと書道チーム! 戦車道チームが近づいていって……いま砲撃を開始しました! 』



山郷 「 えいっ! えいっ! 」

ぴよたん 「 えっほっ、えっほっ! 」



角谷 『 うーん、山郷ちゃん疲れてきちゃったかな? なかなか当たらないねぇ 』

王 『 仙道チーム、書道チームのタスキ役二人とも、余裕を持ってスポンジ弾を回避していますね。 ……ん? 仙道チームが何か取り出しましたよ? 何か四角い座布団のような……? 』

角谷 『 あぁ、あれね〜 』

王 『 いや!? ような、じゃないぞ!? あれは正真正銘、座布団だぁぁ! 』

角谷 『 仙道って瞑想とかするから、その時に使う座布団を持ってきたんだね〜 』

王 『 そういえばよーく見ると、あの座布団、インク液が滲んでおります! ということは、あれが仙道チームの武器ということだぁ!! 』

角谷 『 ただ、あれを投げつけるっつったって、あんなに重くてかさばる物、まず当たらないと思うんだけどねぇ。 それに替えの座布団も少ないみたいだし 』

王 『 確かに仙道チームのリアカーには、あと3枚しか座布団を積んでいませんね 』

角谷 『 ……あぁなるほど、こういう使い方をするためかぁ 』



山郷 「 えっ!? 」

ぴよたん 「 ちょっ!? あれズルくないっちゃ!? 」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:22:39.78 ID:hCip+/ix0

王 『 なんと仙道チーム! 座布団を盾代わりにして、スポンジ弾を防いでいるぞ!? 』

角谷 『 考えたね、仙道チーム 』

王 『 あれはルール違反じゃないんですか? 』

角谷 『 相手のインク攻撃を道具で防いじゃいけないってルールは無いよ。 ほら、さっき長刀道チームも長刀でスポンジ弾を防いでいたでしょ? 』



山郷 「 くっ、このっ! 」



角谷 『 たまにストライクが入っても、あの座布団で全部防がれちゃってるねぇ 』

王 『 鉄壁の構えを見せる仙道チーム! できるものならこのイージスの盾を粉砕してみせよとばかりに、戦車道チームの前へと張り付きます! 』

角谷 『 書道チームを庇うようなポジションだね。 書道、仙道、戦車道って順で、3チームが近い距離で1列に並んじゃってる 』

王 『 戦車道チーム、これでは書道チームを攻撃しようにも、あいだの仙道チームが邪魔で射線が通りませんね! 』

角谷 『 さっきみたいな曲射攻撃なら……いや無理だ。 ちょっと距離が離れすぎちゃってる 』



山郷 「 全部あの座布団に防がれちゃう……! 」

ぴよたん 「 厄介ぴよね……! 」



角谷 『 ん? 書道チームのタスキ役の子が、何か合図を送ったね 』

王 『 この位置関係だと、戦車道チームにはそれが見えていませんね 』

角谷 『 ということは…… 』

王 『 ああぁぁっっと!? 仙道チームが急に車線変更! そしてぇ!? 』



ぴよたん 「 アユミン伏せて!! 」

山郷 「 !? 」



王 『 書道チームのオレンジビィィム! 仙道チームがどいた瞬間を見計らって、戦車道チームにオレンジ色のインク攻撃だぁぁ!! 』

角谷 『 さっきやったことを、すっかりやりかえされちゃったねぇ、戦車道チーム 』

王 『 書道チームのタスキ役の子が手に持っているのは……墨汁のボトルです!! あのボトルからビーム状のインク液を飛ばしたようです!! 』

角谷 『 ボトルの口の部分がすぼまってるから、強く押し出すとピューってビーム状に出るんだね 』

王 『 あの線状の攻撃は厄介そうです! あたかもオレンジインクのバスタービームだぁ!! 』

角谷 『 どうもあのインク液、比重を弄って飛距離が出るようにしたんだって。 さすが墨汁を扱わせたら右に出るものは居ない書道チームだね。 インク液のことも良く知ってらっしゃる 』

王 『 しかし戦車道チーム、タスキ役の子が走者の影に隠れたので、間一髪逃れました!! お陰で走者はオレンジ色のインクまみれです! 』



山郷 「 ご、ごめんなさい! 」

ぴよたん 「 いいってことぴよ! それより、これじゃ迂闊に仕掛けられなくなっちゃったぴよ! 」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:23:14.30 ID:hCip+/ix0

王 『 さあ戦車道チーム、強力な矛を持つ書道チームと、絶対の盾を持つ仙道チームに悪戦苦闘! いったん諦めたか、前2チームから少し距離を取ります! 』

角谷 『 これでは追い抜こうにも抜けられないやね。 現状じゃ打つ手が無さそうだ 』

王 『 磯浜さくら坂通りを爆走する中位グループが膠着状態に陥ったまま、先頭グループは大洗駅入口交差点へと差し掛かります 』

角谷 『 さあさあ、もうすぐこの区の面白ポイントがやってくるよ〜 』

王 『 ということは、障害物ポイントですね!? 』

角谷 『 鹿島臨海鉄道さんにお願いして、大洗駅前のターミナルを貸し切らせてもらったよ〜 』

王 『 相変わらず生徒会は無茶をしますね……と言っている間に、中位グループも大洗駅入口交差点を過ぎて、大洗駅前通りに入りました! そして先頭グループの香道、華道、忍道チームが、間もなく駅前ターミナルに到着します! 』



ぴよたん 「 はぁっ、はぁっ……予想どおり、この先の大洗駅あたりが障害物ポイントになっていると思うぴよ! 」

山郷 「 ってことは、またインク攻撃禁止エリアになるんでしょうね 」

ぴよたん 「 だから当初の予定どおり、障害物ポイントで仕掛けるっちゃ! 」

山郷 「 了解です! ここを越えたら中継地点までもうすぐです! 頑張ってください、ぴよたん先輩!! 」

ぴよたん 「 応ともよ! 力勝負ならまかせるぴよね!! 」



王 『 先頭の香道チーム、いま大洗駅前ターミナルに入り……あぁーっと!? 何やら大きな坂が駅前に設置されています! そして香道チーム、その前で立ち止まってしまったぁ!! 』

角谷 『 長さ20m、傾斜角度は30度! その坂を、リアカー引っ張りながら登っていってもらいます! 』

王 『 続いて華道チーム、忍道チームもやってきますが、同じように立ち止まってしまいました! これは相当勢いつけて上らないと、坂の途中で立ち往生必至です!! 』

角谷 『 もちろんタスキ役の子は、リアカーから降りちゃダメだからね〜 』

王 『 駅前ターミナルの入り口のところには、駅員さんの格好をした女の子がプラカードを持って立っていますね。 なるほど、ここもインク攻撃禁止エリアですね 』

角谷 『 ウチの学校の鉄道同好会に協力してもらったよ。 あの制服、本物を真似て自分で作ったんだって 』
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:23:44.24 ID:hCip+/ix0

王 『 さあ、まずは香道チーム、呼吸を整えた後に助走をつけて、坂をよじ登りにいった! ……あぁ! しかし坂の真ん中で失速! その場で止まってしまったぁ! 』

角谷 『 ここからが力勝負だ。 傾斜に負けないように、一歩ずつ坂をよじ登っていくしかない 』

王 『 続いて華道チームもチャレンジしますが……やはり坂の真ん中辺りで止まってしまいます! 』

角谷 『 運動系の忍道チームならどうかな? 』

王 『 忍道チームも同じように助走をつけて……さぁどこまでいくか!? ……だめだ! 香道チーム、華道チームと同じところで止まってしまった! 』

角谷 『 だめかぁ〜、忍道チームは俊敏性ならピカ一だけど、パワー勝負になると厳しいねぇ 』

王 『 3チームともまるで氷壁にピッケルを食い込ませるかのごとく、一歩ずつ坂に足を打ち込んで、上へ上へと登っていきます! 』

角谷 『 この障害物ポイントのキモはね、タスキ役の子の体重なんだよ。 リアカー自体もそれなりに重いけど、それに人間一人分の体重を加えて登らなきゃいけないからね 』

王 『 ここで中位グループがターミナルにやってきました! 書道チーム、仙道チームがいま坂の前までやってきますが……やはり立ち止まってしまう! 傾斜角度は30度といえども、一呼吸置いて力を溜めてからでないと、ここを登るのは厳しいということでしょう! 』

角谷 『 馬がソリ引いて競い合うばんえい競馬と同じ要領だよ。 障害坂の手前で立ち止まって、呼吸整えてから登り出すわけだ 』 

王 『 両チームとも助走をつけて……やはり坂の途中で失速! ここから地球の重力との闘いが始まります! 』

角谷 『 おっと、先頭グループの方で順位の変動がありそうだよ 』

王 『 あぁっと! 華道チーム! いま香道チームをゆっくり抜いて、ここでトップに立ったぁ!! 頂上まであと2m! 』



山郷 「 うわ!? なにあの坂!? 」

ぴよたん 「 アレをリアカー引いてよじ登れってことぴよね……はぁっ、はぁっ……力勝負って、このことぴよか…… 」

山郷 「 ぴよたん先輩、私達も手前で止まって、いったん呼吸を整えましょう! 」

ぴよたん 「 ……いや、このまま行くっちゃ 」

山郷 「 このまま行くって……大丈夫なんですか!? 」

ぴよたん 「 まぁ、坂の途中で止まっちゃうぴよね 」

山郷 「 じゃあ!? 」

ぴよたん 「 でもここで仕掛けないと、書道チームと仙道チームの防御線を抜けられないっちゃ。 大丈夫! 策はあるから! 」

山郷 「 さ、策ですか? 」

ぴよたん 「 坂を登っている途中で合図出すから、そしたらアユミンは振り落とされないようにリアカーに捕まって! 」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:24:18.01 ID:hCip+/ix0

王 『 さあ、ちょっと遅れて戦車道チームがやって来た! 』

角谷 『 およ、止まる気配がない。 あのまま行く気だよ 』

王 『 なんと戦車道チーム! 休憩なんかしなくてもここをクリアしてやるというつもりなのでしょうか!? 』



ぴよたん 「 ぬぁぁぁぁりゃぁぁぁぁああ!! 」

山郷 「 頑張って、ぴよたん先輩!! 」

ぴよたん 「 ぬぁぁぁぁっっ……くっ……!! 」



王 『 しかし、やはり止まってしまったぁぁ! 地球の重力は分け隔てなく戦車道チームにも襲い掛かりました! 』

角谷 『 いや、でも結構な距離を登ったよ 』

王 『 そうですね、先に登っていた書道チーム、仙道チームとほぼ同じ位置まで一気に駆け上がりました! この勢いで先頭グループに追いつきたいところですが……! 』

角谷 『 あー、でもやっぱり先に登ったチームの方がクリアは早いね。 華道チームが一抜けだ 』

王 『 乱戦模様の中位グループに先んじて、華道チーム、頂上到達! 』

角谷 『 しかし、試練はまだ終わらないんだなーこれが。 次は魔の下り坂だよ〜 』

王 『 なるほど! 登ったということは当然、下らなければならない! 傾斜角度30度の坂を、今度は降りる番です!! 』

角谷 『 今の急な登り坂で足はガックガクだろうねぇ。 そんな状態でリアカーを引きながら下り坂って、相当に厳しいと思うんだよねぃ 』

王 『 生徒会、オニです! 確信犯で出場選手を苦しめにきているぞ!? 華道チーム、いま猛烈に足を踏ん張りながら、坂を下っていきます! 』
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:25:18.77 ID:hCip+/ix0

山郷 「 頑張って! 頑張ってぴよたん先輩!! 」

ぴよたん 「 くぬぬぅぅ……あと……少し……ぴよ……!! 」



王 『 続いて、香道チームが頂上到達! 下り坂にチャレンジします! そして次に頂上へと到達するのは忍道チームか!? 』

角谷 『 ……いや、違うな……仙道チームだ 』

王 『 なぁんとぉ!? 仙道チーム、坂を登るスピードが速いぞ!? いま……忍道チームを追い抜いたぁぁ!! 先程まで中位グループにいたのにどういうことでしょう、角谷会長!? 』

角谷 『 あの仙道チームのタスキ役の子、座禅を組んで、特殊な呼吸しているように見えるでしょ? 』

王 『 確かに何だか瞑想しているように見えますが……リアカーの上で 』

角谷 『 たぶんだけど、あれ、軽気功だね 』

王 『 軽気功!? 聞いたことがあります! 確か、スプリガンとかいう漫画で! 』

角谷 『 自身の存在を限りなく 「 無 」 に近づけ、体重を一枚の葉より軽くする特殊な気功だね。 仙道チームのタスキ役の子は、この軽気功で体重を激減させて、走者に掛かる負担を減らしたんだね 』

王 『 すごぉぉぉい! 大洗女子学園の仙道チームには、どうも仙人を目指すS級スプリガンが混じっていたようだぁーー!! その仙道チーム、いま頂上到着! 中位グループの乱戦から一歩抜きん出たぁー!! 』



山郷 「 頂上まであと7m……! 6m……! 」

ぴよたん 「 ……5m!! ココぴよ、アユミン! つかまって!! 」

山郷 「 はいっ!! 」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:26:41.63 ID:hCip+/ix0

王 『 いま華道チームが必死の形相で坂を下り終え、晴れて第二障害物ポイント、クリアです! 次の中継地点へと向けて走り出しますが……あぁ、足がツラそうだ!  続いて香道チームがクリア! 華道チームの後を追いかけます! 』

角谷 『 仙道チームは、下り切るまでにもうちょい掛かるね 』

王 『 その後ろ、忍道チームがいま頂上到着! そしてその後ろは書道チームの戦車道チームですが……おおぉぉっとぉ!? 』

角谷 『 ん? なんだ? 戦車道チーム、急に方向転換したね? 』

王 『 戦車道チームの走者、ぴよたん選手! その場でグルっとリアカーを方向転換し、リアカーを引く体勢から、リアカーを押す体勢にチェンジ!! 』

角谷 『 180度の超信地旋回……リアカーをバックさせるように押す体勢…………まさか…… 』

王 『 ぴよたん選手、腰を落とし込んで、力を溜めるような姿勢! 何をする気でしょうか!? 』



ぴよたん 「 いくっちゃ!! 」

山郷 「 はい! ……えっと、そういえば何を? 」

ぴよたん 「 ぴぃぃぃぃよぉぉぉぉたぁぁぁぁぁぁぁんっっ!!!!!! 」

山郷 「 うわぁぁぁぁぁぁぁ!!?? 」



王 『 リアカーを押し跳ばしたぁぁぁぁ!? 』

角谷 『 ひゅぅ♪ ぴよたん、やるぅ♪ 』

王 『 戦車道チームのリアカーが、まるで砲弾のごとく飛んでいく! タスキ役の子を乗せてそのまま頂上へまっしぐらだぁぁ!! そしてぴよたん選手、その後ろをダッシュして付いていきます!! 』

角谷 『 あの動作は、装填だ 』

王 『 装填!? 装填と言うと、弾を装填するとかっていうあの!? 』

角谷 『 パワーだけなら、アリクイさんチームはウチの戦車道チームでイチバン強い。 そして彼女はそのアリクイさんチームの装填手 兼 砲手だもの。 たぶん戦車道チームの中で最も怪力の持ち主だね 』

王 『 まるで花山薫の渾身の一撃のような、もしくは上半身のバネだけで繰り出す牙突ゼロスタイルのような、そんな力強いフォームでリアカーを打ち出したぴよたん選手! リアカーは頂上の忍道チームを追い越して、今度は勢い良く下っていく!! 大丈夫かこれ!? 』
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:27:58.37 ID:hCip+/ix0

山郷 「 ひょわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

ぴよたん 「 ………ふぅぅんっっっ!!!! 」



角谷 『 下り坂の途中で追いついた! 』

王 『 ぴよたん選手、リアカーの引手バーをガッチリ掴み、足を踏ん張って急ブレーキ!! 』

角谷 『 この勢いだと、仙道チームとほぼ同時に着地するかな? 』

王 『 仙道チーム、戦車道チーム、いま同時に坂を下り切りました!  戦車道チームは勢いを利用して180度の超信地旋回! リアカーを押す体勢から、再び引く体勢へと戻します! 』
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:29:01.76 ID:hCip+/ix0

山郷 「 ………!!……………!!! 」

ぴよたん 「 はぁっ! はぁっ! はぁっ! はぁっ! ……アユミン、大丈夫だっちゃ? 」

山郷 「 ……思わず体のアチコチからっ……水分が漏れ出るところでしたっ……! 」



王 『 凄い展開となってきました、大洗町リアカー駅伝大会! まだまだどのチームが優勝するか、まったくわかりません! 』

角谷 『 ここから次の中継地点まで、残り750mってところだ。 第二区走者のみんな、ヘロヘロだろうけど、もうちょっと頑張れ〜 』

王 『 コースは再び大洗駅前通りに入って南下します。 そして県道106号線、大貫勘十掘通りとぶつかる交差点を左折して、350mほど進んだエネオスのある交差点を右折しますと、すぐにホテル大洗 舞凛館が見えてきます。 そこが次の中継地点です! 』

角谷 『 いまの障害物ポイントで、だいぶ順位が変わったね。 にしししし 』

王 『 角谷生徒会長、実に悪い顔をしております! ではここで順位を見てみましょう! まず先頭をひた走るのは、華道チーム! 』

角谷 『 その後ろをちょっと距離空けて走るのが香道チームだね。 この2チームはスタートから順位が安定しているねぇ 』

王 『 さすが我が校の人気ナンバー1、2を争う科目だけあります! それだけ履修生の層が厚いということでしょう! 続いて第3位は仙道チーム! 』

角谷 『 前を走る香道チームを射程圏内に収めているね。 だけど同じ文化系科目同士だ。 共闘路線を踏んでるとみていいだろうね 』

王 『 その後ろ第4位は、ビリっけつの第10位から6つ順位を上げた戦車道チームだ! 廃艦騒動において波乱を乗り越えてきた戦車道チームは、この大会でも大波乱の中心軸を務めております! 』

角谷 『 いやー盛り上げてくれるねぇ。 おかげで動画生配信の視聴者数、スゴいことになってるみたいだよ。 ありがとう〜 視聴者のみなさん〜 』

王 『 そして第5位は、先ほど坂を下り切った忍道チーム! 戦車道チームの後を追いかけています! 』
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:29:55.10 ID:hCip+/ix0

角谷 『 第6位は……あれ? 合気道チームだ。 しかもすでに2アウトだね 』

王 『 第7位は弓道チーム、しかも1アウト取られてますね? ……ああ! 中位グループにいた書道チーム! 上り坂の途中で立ち往生しているー!! 」

角谷 『 筋力の限界がキちゃったか。 重力に抗うだけで精一杯そうだ。 やっぱ力勝負は向いていなかったか〜 』

王 『 合気道チームは現在、第二障害物ポイントの下り坂を踏ん張りながら降りているところ。 その後ろ、弓道チームはいま坂の頂上に着きました。 ……えー、ここで別の映像ドローンが撮影した動画があるそうです。 見てみましょう 』

角谷 『 ……えーとこれは……第一障害物ポイントのあと、合気道チームが茶道チームを撃退して、戦車道チームに道を譲った後だね 』

王 『 合気道チームは、その後ろから追いかけてきた弓道チームとバトルになって……おおぉ! すごい! 体を半歩だけズラして矢を避けた! 』

角谷 『 合気道の選手は相手の呼吸を読むことに長けているからねぇ。 それで矢の発射タイミングをつかんで、最小の体捌きで矢を躱したんだね 』

王 『 しかし、さすがに懐には飛び込めないようです。 そうこうしているうちに中継地点へと入って…… 』

角谷 『 第二区、ココス大洗店に来た辺りで、合気道チームが弓道チームに吶喊したね 』

王 『 合気道チームのタスキ役、なんとか矢を躱しますが……ああ! ここで合気道チーム、1アウト! 矢をもらってしまった! 』

角谷 『 でも相打ち狙いで撃水を放った。 これで弓道チームも1アウト 』

王 『 アウト後、5秒間の無敵時間を利用して、急いで離脱を図る合気道チームですが…… 』

角谷 『 ああー、避けきれなかったか。 これで2アウトだ 』

王 『 で、その後は合気道チームが矢を避け続けながら、この第二障害物ポイントに来たってワケですね 』

角谷 『 頑張れば、次の第三区でまだ挽回できるかもしれないから頑張ってほしいね 』

王 『 第8位は坂で立ち往生中の書道チーム! 運動要素が少ない書道では、さすがに今大会厳しかったようです! 』
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/26(土) 23:30:51.47 ID:hCip+/ix0

王 『 さあ、大貫勘十掘通りを南下する各チーム! 先頭の華道チームはもうすぐエネオスの交差点を右折して、インク攻撃禁止エリアに入ります! もう間もなく中継地点です! 』

角谷 『 その後ろの4チームが、ずいぶん距離を縮めてきたね 』

王 『 第2位の香道チーム、第3位の仙道チーム、第4位の戦車道チーム、第5位の忍道チームが、集団を形成しようとしています 』

角谷 『 案の定、仙道チームが香道チームのカバーに入った。 さっきから山郷ちゃんがスポンジ弾投げてるけど、例の座布団で防がれちゃってるね 』

王 『 このまま、また膠着状態に陥ってしまうのでしょうか? 』

角谷 『 うんにゃ、中継地点前でもう一波乱あるかな、こりゃ? 』

王 『 香道チーム、いま交差点を右折し……ん? 何か投げましたね? いま山なりに仙道チームの頭上を飛び越えて…… 』



ぴよたん 「 はぁっはぁっ……香道チームが何か投げてきたっちゃ! 」

山郷 「 何でしょう? 事前の作戦会議では、香道チームの道具が予想出来ませんでしたが…… 」

ぴよたん 「 はぁっはぁっはぁっ……わからないけど、直撃コースではないからとりあえず様子見…… 」


忍道チーム 「 右に大きく避けろ!! 」


ぴよたん・山郷 「 !? 」



( ガシャン! と何かが割れる音 )



王 『 ああぁぁぁぁっとぉ!? なんだぁ!? 突然、緑色の煙幕が発生したぁぁ!! 』

角谷 『 煙幕じゃないのよ、アレ。 灰ね 』

王 『 灰……って!? あれ緑色ですよ!? 』

角谷 『 うん、だから緑色のインクが含まれた香木の灰だよ。 それを香炉に詰めて投げつけたんだね 』

王 『 ということは、あの緑のモクモクに包まれた空間一帯は…… 』

角谷 『 香道チームの攻撃ってことだ。 さながら香炉手榴弾ってところかね 』

王 『 なんというアタリ判定の大きな攻撃でしょうか、香道チーム!! こんな攻撃手段を、今の今まで温存していましたぁぁ!! 』

角谷 『 香炉がぶつかったらケガしちゃうから、人には直接当てちゃいけない条件で使用OKにしたんだけどさ。 それでも強力だねぇ 』

王 『 地面にぶつかった衝撃で中身をまき散らして攻撃する、というと、ナパーム弾のようでもありますね! あんな攻撃を連発されたら他チームは厳しいでしょう! 』

角谷 『 でも香炉って高いから、残弾数はそんなにないハズだよ 』

王 『 香道チーム、インク攻撃禁止エリアに入ります! そして無傷の仙道チームも! その後ろ、戦車道チームは……ギリギリで躱していたようだ!! 』

角谷 『 あー、でも忍道チームが食らっちゃったね 』

王 『 緑色のモクモクから出てきた忍道チーム! あんこうスーツのピンク色がほんのり緑色がかって、なんだかキショい色になってしまったぁ!! 忍道チーム、1アウトです!! 』
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