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少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」
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624 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:14:08.84 ID:YzE8DNDmo
少女「……は! ハイ!!」
少女「聴きましたか、今の声……!」
少女「ああ、もう。トロけちゃいそうです……」
男「…………」ボリボリ
男「……もう一回、代わってもらっていいか?」
少女「え。男さんも、黒ずくめさんの声聴きたいんですか?」
男「いやそうじゃなくて。訊かなきゃいけないコトがあるから」
少女「……? はーい」
625 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:14:36.45 ID:YzE8DNDmo
男「すまん、もう一度俺だ。一つ訊きたいコトがある」
黒ずくめ『はい? なんでしょうか?』
男「黒ずくめさん、今どこにいる?」
男「ビッグサイトの近くにいるなら、合流したいんだが……」
黒ずくめ『ああ、それなら。近くにいますよ……!』
黒ずくめ『有開パークビルってわかります?』
男「ああ。たしか、鷲ントンホテルのすぐトナリの……。そこに?」
黒ずくめ『はい。一階のマグロナルドで、朝食中です』
626 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:15:05.89 ID:YzE8DNDmo
男「わかった。今すぐ行って構わないか?」
黒ずくめ『ええ。朝食がまだでしたら、一緒に食べましょう』
男「そうするよ。じゃあ」ピッ
男「黒ずくめさん、鷲のトナリのマグロナルドで朝飯中だそうだ」
少女「マグロナルド……? って、ハンバーガーのチェーン店ですよね?」
男「ああ、そうだが。ソレがどうした?」
少女「いや。黒ずくめさんも、ハンバーガーとか、食べるんだなって」
少女「てっきりケーキと紅茶しか食べないようなヒトだと……」
男「そんなヤツはCOMIKEではとっくに死んでるな」
627 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:15:33.66 ID:YzE8DNDmo
――有開パークビル 1F マグロナルド
黒ずくめ「あ。男さーん、少女ちゃーん! コッチですよー」
男「どうも。今日は私服から黒ずくめなんですね」
黒ずくめ「ええ。もっとも、コスプレ用の衣装ではありませんが」
少女「くくく、黒ずくめさん!! ここここんにちは!!」
黒ずくめ「昨日ぶりだね、少女ちゃん。でもこの時間帯なら、おはようかな」
少女「そそそそうですね! おはようございますですともっ!!」
男「キンチョーしすぎだろ……」
628 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:16:08.17 ID:YzE8DNDmo
男「もう注文は済ませてきた。相席、良いか?」
黒ずくめ「ええ、構いませんよ。少女ちゃんも、どうぞ」
少女「え? 私なんかが黒ずくめさんの前の席で、良いんですか!?」
黒ずくめ「モチロンだよ」ニコ
少女「わっはー、エスコートする姿もイケメン……!」
少女「立てばイーグル、座ればオパール、歩く姿はクロスイレンというやつですね!!」
男「テキトーに黒っぽいモノ挙げてみました感ありがとう」
黒ずくめ「フフ。二人とも面白いなあ」
629 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:16:35.15 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「まるで、長年連れそった夫婦……」
黒ずくめ「いや、違うか。でもとにかく、そんなカンジがする」
男「いちおう三日前に会ったばかりなんだぞ?」
少女「夫婦……、ですか。たしかにそのくらい一緒にいたかもしれませんね」
男「あーコイツついに壊れやがった」
黒ずくめ「くっ、くっ、くっ。本当、面白いよ」
男「そういや黒ずくめさん、今日は一人なのか?」
黒ずくめ「いや。昨日と同じ連れが二人、いたんだけどね」
630 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:17:01.85 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「あ、コーヒー飲ませてもらうね」ズズッ
少女「連れのお二人さん……?」
黒ずくめ「ほら昨日、列を誘導していた係員のオトコが、いただろう」
男「ああ……」
黒ずくめ「それと後ろで本を出してくれていたオトコもね」
男「案外、オトコと一緒にCOMIKEに来てたんだな」
男「てっきり女の子でも、はべらせてるモノかと」
黒ずくめ「くっ、くっ。ヘンな言い方はよしてくださいよ」
黒ずくめ「二人は大学の時のサークル仲間なんです。あと数人、いますが」
631 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:17:28.55 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「ああ、そうだ。昨日の同人誌は、読んでくれたかな?」
少女「えっ? あっ、ハイ! モチロン読みましたとも!」
少女「なんというか……。打算の無い、とってもキレイな、愛の物語でした」
少女「プラトニックラブといいますか!!」
男「…………」ハハッ
黒ずくめ「うん。以前のモノとはいえ、たしかに精魂込めて描いたモノだからね」
黒ずくめ「楽しんでくれたなら幸いだ」
黒ずくめ「……で。実は、その同人誌のモデルなんだが……」
少女「は? モデル?」
632 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:17:54.99 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「うん。実は、あの一連の同人誌の登場人物には」
黒ずくめ「モデルにさせてもらった友達がいてね……」
黒ずくめ「それが、サークルを手伝ってくれた、彼らなんだ」
少女「まじですか!」
男「……。そういえば、ちょっと、似てたかも……」
黒ずくめ「ふふっ。さすがに本人たちに教えたら、顔を赤くしてたけどね」
少女「現実世界から着想を得る、というコトですか……。ナルホド」
男「いやナルホドじゃないからな。コワいな、COMIKE……」
633 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:18:22.09 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「…………」ジー
男「……?」
男「……あの、俺が何か?」
黒ずくめ「ああ。いや、その……」
黒ずくめ「ふふ」
男「何だその意味深な笑いは!!」
黒ずくめ「ふふふっ」
634 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:18:49.59 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「いや、男さんはノーマルのほうが合っている気がします」
黒ずくめ「ああ。僕の個人的な見解ですよ?」
黒ずくめ「男さんは、男さんの思うように、生きていただければと」
男「コワい。コワいなぁ、ホント、COMIKE……」
少女「……? それで、黒ずくめさん」
少女「昨日のお二人はどうされたんですか?」
黒ずくめ「ああ……。その二人なんだけどね」
黒ずくめ「さっきの山毛線運行見合わせだかなんだかで、足止め食らってるんだ」
635 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:19:18.65 ID:YzE8DNDmo
男「山毛線が運行見合わせ……?」
男「いったいどういうコトだ?」
黒ずくめ「うん。なんでも、山毛線の線路で事故があったとか」
黒ずくめ「たしか……。爆発物が落下、だったかな?」
男「爆発物が……」
少女「落下……?」
男&少女「「…………」」
黒ずくめ「……?」ズズッ
636 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:19:47.09 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「どうしたんだい二人とも、アイマイな表情で沈黙して」
男「いやぁ……。なんでもナイデス」
黒ずくめ「そうかい? ならいいんだけどね」
少女「ちょっと、ヤバいですよ男さん!」ヒソヒソ
少女「あのミサイル、モロ都市部に着弾しちゃってるじゃないですか!!」
男「ううん。でも爆発物が落下ってだけで」ヒソヒソ
男「人身事故にはなってないみたいだし……」
男「いちおう組長さんは有言実行したのか。セッティングのやつ」
少女「でも山毛線って数百万人に影響あるんですよね? 泣き出すヒトいますよ……」
637 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:20:30.47 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「……で。なら、タクシーで来ればいいじゃん、って言ったんだけど……」
黒ずくめ「片方が、何万人が詰めかけてる駅のホームに閉じ込められてるうちに気分悪くなったらしくて」
黒ずくめ「今、二人して自分のホテルの部屋に、こもってるんだ」
少女「そうだったんですか……」
黒ずくめ「一昨日に昨日と、COMIKEに連れ回した僕も悪いんだけどね」
黒ずくめ「オトコならもうちょっと根性見せてくれないかなー」
男「ははは……。まあ、COMIKEは普通のヒトにはキツいからな」
黒ずくめ「まったく。だけど、それで困ってたんだ」
638 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:20:56.90 ID:YzE8DNDmo
少女「困ってた……? お二人と合流できないコトですか?」
黒ずくめ「モチロンそれも困るんだけどね」
黒ずくめ「コスプレ先行入場の通行証が余ってしまうから」
少女「コスプレの。先行入場……?」
黒ずくめ「あ。そうだ!」
黒ずくめ「なら、先行入場の通行証がもったいないし」
黒ずくめ「二人も僕と一緒に会場に入るというのはどうかな?」
男「は……?」
639 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:21:23.59 ID:YzE8DNDmo
少女「コスプレの、先行入場。そんなコトが、出来るんですか?」
男「聞いたコトがある……。コスプレイヤー限定のサービスだが」
男「サークル参加者と同じ7時半から、先に入場できるシステムがあると」
黒ずくめ「うん。COMIKEの開催前に、ネット上で申し込めるんだけどね」
黒ずくめ「当選すると、通行証が発行されて、当日早く更衣室を使えるんだ」
少女「……。それは、良いシステムだと思いますが……」
男「…………」
少女「単刀直入におうかがいします」
640 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:21:50.20 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「……? 何かな」
少女「そのコスプレ通行証を使って、早くにサークルの列に並んだり」
少女「……というコトは、可能なんですか?」
男「…………」
黒ずくめ「…………」
黒ずくめ「いや、それは不可能だ」ニコ
少女「え……?」
黒ずくめ「先行入場できるといっても、更衣室からの移動には制限があるからね」
641 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:22:17.44 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「……チケットと同じような使い方は出来ないよ?」
少女「……!!」ギク
黒ずくめ「ふふ。期待した?」
少女「い、いえ。そういうワケでは、ないのですが……」
黒ずくめ「準備会もソコはちゃんと考えているね」
黒ずくめ「僕としても、コスプレを利用して、チケット組まがいのコトをされるのは」
黒ずくめ「とうてい承服できるコトじゃない」
男「…………」
642 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:22:54.89 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「まあ、気にするコトは無いさ」
黒ずくめ「元はベンリなアイテムなんだから、正しく使えば、正しいアイテムになる」
黒ずくめ「そうだろう?」
少女「……!」
少女「はいっ!!」
黒ずくめ「うん、うん。やっぱり君は、暗い顔より、元気な顔がイチバンだ」スッ
少女「ひゃあっ! ほ、ホッペタ撫でないでくださいよぅ……!」テレテレ
男「…………」ヤレヤレ
643 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:23:24.11 ID:YzE8DNDmo
男「……ちょ。ちょっと待ってくれ……」
男「それは俺もコスプレをするというコトか?」
少女「……! 男さんのコスプレ姿!」
少女「見たい! ゼヒ見てみたいです!!」
男「えぇー……。俺、別に興味無いんだが」
黒ずくめ「くっ、くっ。ムリにする必要は無いと思いますけどね」
黒ずくめ「せっかくコスプレ先行入場するんだし、少しはどうですか?」
男「えぇー」
644 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:23:56.15 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「といっても、凝ったコトをする必要はありません」
黒ずくめ「ザンネンながら僕は女モノのサイズの服しか持ち合わせていないですし」
黒ずくめ「でも、ほら、今年はアレが流行ってるじゃないですか」
男「アレ?」
黒ずくめ「あの、FG○にも登場してる。エジプトの……」
男「ああ。メジェド様か」
黒ずくめ「そう。白い布に目を描いて被るだけのやつ」
黒ずくめ「アレならカンタンに出来るんじゃないですか?」
645 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:24:23.88 ID:YzE8DNDmo
男「……コスプレ。やる、のか……」
少女「男さん。チャレンジ、チャレンジ! ですよ!」
男「はあ……。わかったよ」
男「コスプレ先行入場して、コスプレしないのもマナー違反だろうしな」
少女「やったー!!」
黒ずくめ「それじゃあ、キマリというコトで」
店員「失礼します。コチラ、ご注文の朝マッグとハンバーガーになります」
少女「おっ、やったー! ありがとうございます!!」
646 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:24:50.90 ID:YzE8DNDmo
少女「いっただっきまーす!!」パクパク
黒ずくめ「何を注文したんですか?」
男「朝マッグを、俺とコイツの分、2つと……。ハンバーガー数個だ」
黒ずくめ「ハンバーガー数個? ソレは……」
男「コイツが食べる」
黒ずくめ「え? 少女ちゃんが?」
男「ああ。こう見えて、けっこう大食いなんでな。コイツ」
少女「んぐっ。ばばば、バラさないでくださいよー!!」
647 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:25:17.40 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「あはは……。よく食べるのは、イイコトだよ」
男「朝マッグとかせっかく量少ないのに、追加注文してちゃ意味無いと思うんだがな」
黒ずくめ「でも、これからCOMIKEに臨むのなら、エネルギーは蓄えたほうがいいですよ」
男「たしかに。待機列に並ぶワケでもないし、まあ、いいか……」
少女「んー、これがあの、有名なマッグのハンバーガーかぁ!!」モグモグ
少女「この安っぽさが良い!!」バーンッ
男「こら、デカい声でそういうコト言うな……!」
黒ずくめ「あはは」
648 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:25:43.87 ID:YzE8DNDmo
――有開パークビル前
少女「ごちそうさまでしたー!!」
黒ずくめ「さあ、そろそろ時間だ。ビッグサイトに行こうか」
男「ああ。その前に、LAMSONに寄らせてくれないか?」
黒ずくめ「国際展覧場駅前の?」
男「実は、昨日の着の身着のままで来ててな……。いや、服は着替えてるが」
男「装備の食糧の備蓄が心もとないんだ」
黒ずくめ「わかりました。そういうコトでしたら、まず寄りましょう」
649 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:26:15.67 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「あっ……」
男「どうかしたか?」
黒ずくめ「いや、さっきおハナシしてた、コスプレ先行入場通行証ですが……」
黒ずくめ「本来なら、申請した本人しか使えないんです」
男「まあ、それこそ転売して使われたりしたらマズいからな」
黒ずくめ「まあ。サークル入場と同じで、厳しく取り締まってはいないと思いますが」
黒ずくめ「万が一、目をつけられた場合は引き下がるので、そのつもりで」
黒ずくめ「その時は僕も一般入場の入口から入りますよ」
男「……。できるだけ、この待機列に、並びたくはないんだけどな……」
650 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:26:42.50 ID:YzE8DNDmo
MVvvMvyvMVvvMvyvMVvv、MVvvMvyvMVvvMvyvMVvvMVvvMvyvMVvvMvyvMVvv、MVvvMvyvMVv
Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^Λ_ヘΛ_ヘ^−^Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^Λ_ヘヘ _,.ヘ ,.ヘ ヘ _,.ヘ ,.ヘ
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少女「うひゃあ……。もう、パークビルのすぐ近くまで」
少女「みんなカラーコーンの内側に座ってますね」
男「昨日の同じ時間でも列はここまで来てなかったぞ……。やはりコレが三日目か」
651 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:27:09.43 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「晴れだから人が集まったのか、人が集まったから晴れたのか」
黒ずくめ「三日目の参加者が晴れ男、晴れ女説。あるね」
男「集まってる人間の性質からして、あまり前向きに考えたくはないが……」
少女「ああ。でも、おぼろげな白い雲がまばらにかかった、朝の青い空を背にした」
少女「ビッグサイトの前に、色んな格好をした人々が集まって……」
少女「いよいよCOMIKEの最終日が。はじまるんですね!!」
男「……。そうだな」
黒ずくめ「ふふ。本当にCOMIKEをイチバン楽しんでいるのは、彼女のようなヒトなのかもしれないね」
652 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:27:36.67 ID:YzE8DNDmo
スタッフ「東待機列は既に封鎖されました。西待機列に回ってくださーい」
スタッフ「Hey, you! I said that you can not enter the east!」
スタッフ「不要打入列! 子曰! 學而時習之! 不亦説乎!!」
待機列「おぉー……」パチパチパチ
男「今のは……。日本語の後のやつは、英語か?」
黒ずくめ「そして最後は中国語ですね。ウワサのトリリンガルスタッフかもしれない」
男「さ、三か国語……? スゴいヒトがスタッフにいるんだな……」
653 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:28:03.49 ID:YzE8DNDmo
――LAMSON 国際展覧場駅前店
店員「ラー…」
店員「ラーシャッセー…」
少女「て。店員さんも、息絶え絶えです……」
男「コンビニもついに三日目だからな」
男「しかしこのヤツれよう。まさかワンオペ? まさかな……」
黒ずくめ「あ。男さん、この白い透明なゴミ袋でいいですか?」
男「ああ……。うん。いいよ」
654 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:28:29.86 ID:YzE8DNDmo
少女「……!」
少女「み、見てください男さん!!」
男「……? どうした」
少女「あ、あれだけ食べ物が詰まっていた商品棚が!」
少女「まるで虫に食い荒らされたかのように、穴だらけになっています!!」
男「本当だ、品揃えがまばらになっている……」
男「いよいよ佳境というワケか……」
655 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:28:57.32 ID:YzE8DNDmo
店員「……!!」ガタッ
シュババババババ
少女「うっ……。店員さん、ものすごい速さで商品を補充していきます!」
男「寸分の狂いも無い手つき……。コンビニ店員も極めればアレほどか」
黒ずくめ「コンビニ店員ってたまにとんでもないヒトいるよね」
黒ずくめ「でも、僕の売り子も負けていない」
黒ずくめ「もし僕のところの金髪が太陽の下であれば、通常の三倍の速さで品出しを……」
男「黒ずくめさんの売り子はサンフラワーか何かか……?」
656 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:29:25.13 ID:YzE8DNDmo
――LAMSON 国際展覧場駅前店 前
男「梅おにぎりは買ったな。それじゃあ、そろそろビッグサイトに行くぞ」
少女「ま、また梅おにぎりですかぁ……?」
黒ずくめ「くっ、くっ。梅干しは、腐りにくいからね」
男「そういうコトだ。おにぎりの具の定番なだけはある」
少女「ツナマヨが食べたいですよぅ」
男「さっきハンバーガー食ったろう、まだ味の濃いモノ食い足りないのか」
黒ずくめ「それじゃあ行こう。待機列を尻目にビッグサイトに入るのは、ちょっと気が引けるけどね」
657 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:29:51.83 ID:YzE8DNDmo
――ビッグサイト コスプレ参加者 先行入場入口
黒ずくめ「3人。登録料、3000円です」
スタッフ「はい、確認しました。更衣室は男性女性ともに会議棟ですが」
スタッフ「女性は東8ホールも使えます。混雑の分散にご協力ください」
黒ずくめ「ありがとうございます」ニコ
男「ふぅーっ。怪しまれずに通れたな」
黒ずくめ「オドオドしてたら当然怪しまれます。こういうのは思い切りがダイジですよ」ニコ
男「営業スマイルとか、トクイそうだもんな……。ハハハ」
658 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:30:18.97 ID:YzE8DNDmo
少女「…………」
男「……? どうした、少女」
少女「……本当に、これで良かったんでしょうか」
黒ずくめ「…………」
少女「黒ずくめさんのお連れさんが、間に合わなかったのは、仕方ないとしても」
少女「ルールを破って、私たちが入っちゃって……」
男「…………」
黒ずくめ「……そうだね」
659 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:30:46.78 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「これは人間の集まりだ」
黒ずくめ「当然ルールは守るべきだが、バカ正直でいては痛い目を見るコトもある」
黒ずくめ「……昨日の、君たちのようにね」
少女「…………」
黒ずくめ「いや。ソレに関しては、僕にも責任があるんだが」
男「黒ずくめさん。アレは……」
黒ずくめ「わかっています。友人さんや死神から聞いている」
黒ずくめ「昨日はイレギュラーな事態があったと」
男「……。そういえば、今日は、友人たちは……?」
660 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:31:14.76 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「さあ。朝に所用があるとは聞いていますが」
黒ずくめ「……もしかしたら、その“後始末”に動いているのかもしれませんね」
男「アイツら……」
黒ずくめ「とにかく。色んな人が集まる大きなイベントである以上、臨機応変な対応が必要だ」
黒ずくめ「モチロン、ルールを破るコトを正当化してるワケじゃない」
黒ずくめ「でも、少しずつ助け合い、少しずつ出し抜き合う」
黒ずくめ「それがCOMIKEというイベントの実情なのかもしれない」
少女「…………」
661 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:31:40.47 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「だけど。他人の裏をかいて、出し抜き合うのが人間であれば」
黒ずくめ「他人を慮り、支え合って助け合うコトが出来るのも」
黒ずくめ「また人間だ」
黒ずくめ「僕がこんなコトを言うのも、おこがましいかもしれないが」
黒ずくめ「どうか、COMIKEを嫌いにならないでほしい」
少女「…………」
少女「……はい。わかっていますよ」
黒ずくめ「…………」ニコ
黒ずくめ「少なくとも、僕は今日、ココでソレを表現したいと思う」
662 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:32:08.10 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「さて。女子更衣室はコチラ、男子更衣室はアチラだ」
男「ひとまずココでお別れだな。着替え終わったら、またこの逆三角形の下に集まろう」
黒ずくめ「ええ」
少女「……あれ。そういえば、私、どんなコスプレをするんですか……?」
黒ずくめ「そうだね。いくつか衣装はあるんだが、どれにする?」
男「ああ……。それなら」
男「俺に一つ、アイデアがある」
少女「……?」
663 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:32:35.21 ID:YzE8DNDmo
――数十分後 ビッグサイト 逆三角形下
参加者「……?」
ザワザワ
男「…………」
参加者「メジェド…?」
参加者「デマセイ」
参加者「フケイデアルゾ」
ザワザワ
664 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:33:01.72 ID:YzE8DNDmo
男「…………」
男(この、ビニール袋に目を書いて、足から上を覆っただけのコスプレ……)
男(本当にこれでいいのか?)
男(他の、クオリティの高いコスプレとは、比べるべくもない……)
男(穴があったら入りたい……)
メジェド「…………」ゾロゾロ
メジェド「…………」ゾロゾロ
665 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:33:29.48 ID:YzE8DNDmo
男(……あ)
男(でも、他にもメジェド様のレイヤー、いっぱいいるな)
男(ちょっと安心した)ホッ
参加者「……う、うう……」ボロボロ
男(う。あれは、浮浪者……!!)
男(の、ようなコスプレか。『無人島で100年生きたのび太』って書いたスケッチブック持ってる)
男(COMIKEに来るのは友人について回ってだから)
男(コスプレはさほど詳しくはないが、スゴいな……)
666 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:33:56.61 ID:YzE8DNDmo
参加者「…………」スタスタ
男(ん? スーツのヒトだ。日曜出勤の社畜がCOMIKEにまぎれこんで……)
男(なワケ無いか。となると、アレも何かのコスプレ……)
男(……待てよ。あの髪型。最近、どこかで見たコトがある)
キラン☆
男(あ。あの、小脇に抱えているのは……。将棋ゴマ!!)
男(まさかこのまえ公式戦で29万連勝を果たした、あの四段のコスプレか!?)
男(は? まるで将棋だな……)
667 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:34:23.43 ID:YzE8DNDmo
少女「……男さーん!!」
男「おお。来たか」
少女「どうですか!? この、応援団コス!!」
男「ああ。とても似合ってるぞ。黒い服と白いハチマキが良いカンジだ」
少女「〜♪♪」
黒ずくめ「男さん、お待たせしました」
男「黒ずくめさんも。今日も黒ずくめ、キマってるな」
668 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:34:51.81 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「いえいえ。男さんも」
黒ずくめ「メジェド様でしたっけ? よく似合っていますよ」
男「絶対できる誰でもコスプレナンバーワンだと思うがな」
黒ずくめ「ふふ。たしかに」
少女「え? 絶対できる!!?」ガタタッ
男「なんでお前は特定のワードに反応してるんだ。スクリプトか?」
少女「いえ、そういうワケじゃないんですが」
少女「どうも、この格好だと、絶対に諦めないという情熱が湧き出てきまして!!」ゴオオオオオ
669 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:35:18.36 ID:YzE8DNDmo
男「アツい……。暑苦しい」
黒ずくめ「でも、ホント似合っていますね。少女ちゃん」
黒ずくめ「僕は普通にカワイイコスプレをしてもらおうかと思ってましたが」
黒ずくめ「まさかの応援団長風のコスプレとは。たしかに、アツい彼女にピッタリだ」
黒ずくめ「前から似合いそうだなー、とか思ってたんですか?」
男「そうだな……。昨日、待機列中で、ちょっとした事件があったんだが」
男「着想はソレだ」
男「どうもアイツには、とにかく頭カラッポにして燃え上がるような」
男「そんな格好が似合うような気がしてな」
670 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:35:44.63 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「…………」クス
黒ずくめ「ずいぶん、彼女のコト、わかっちゃってるんですね」
男「そうか? ただの第一印象だがな」
黒ずくめ「ご謙遜を。繰り返しになりますが、長年連れそった……」
黒ずくめ「そんなカンジがしますよ」
男「だとしたら、アイツがヤケに馴れ馴れしくしてくるからだな」
男「でも……」
男「なんだか俺も、そんなカンジがしてきたよ」
671 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:36:11.07 ID:YzE8DNDmo
――ビッグサイト 某所
男「…………」チク タク
男「あれから数時間が経った」
男「ついにこの時が来たな」
少女「ええ! 最後まで、張り切っていきますとも!!」
黒ずくめ「そうだね。きっと、悔いの無いように」
ピンポンパンポーン
アナウンス『みなさん、長らくお待たせしました』
672 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:36:39.26 ID:YzE8DNDmo
アナウンス『ただいまより、COMIKE 92――――』
アナウンス『三日目を、開催します!!』
ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
待機列「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」
ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
,-=  ̄  ̄!
', r¬ l ___ /,、\ , 、
Lノ | l └―┐ 〉 く/ l l く\ /, 、\
/ / 「l ノ/ くヽく/ __\\ く/ \ ヽ .t__┐
く_/ 〈/ ` Ll ノ ノ// _ く\く/ ,__ l |
く/  ̄ └-、ヽ __ i ! l .l[_ノ l二¨7
「l〈_/ ニ7 / L,l L」 nく/
〈ノ Ll` 〈ノ
l ̄ ̄li ,.、 ll ̄ ̄l
_______|__|l____,z_壬个爻_z、____l|__|______
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\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::/人\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::/
\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;//圭\\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;:/
,ィE\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::/イニニニニト、\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;:/
, イ:l:l:E圭\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'/イ三三三三三三ト\;::'::;::'::;::'::;::'::;::/
, イ:l:l::レ''´  ̄ ̄\;::'::;::'::;::':/iニニニニニニニニニニi\;::'::;::'::;::'/
, イ:l:l::レ'´_____ l三三三liY\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/Yl三三三l _________
,イ:l::l::レ''´ \/\/\/i l三三三liil;;;;;/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \;;;;lil三三三l ト、\/\/\/\/\/
::l::レ''´∠二∠二∠, ヘ l三三三liil;;;;l l;;;lil三三三lへヽ'二ヽ'二ヽ'二ヽ'二
−- 、 「 ̄l| l ̄ ̄l |升l三三三liil;;;;l l;;;lil三三三lヒ|__イ「 ̄|三i三i三
| l l| l__l |干l三三三liil;;;;l l;;;lil三三三l;;| i─‐i l |r-i|「r──‐
673 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:37:09.86 ID:YzE8DNDmo
ドドドドドドドドドドドド…
ウオオオオオオラッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァイイイイイイ!!!!!!
少女「ど。どこからか鳴り響く、この叫び声は……」
男「向こうも向こうで戦いが始まったらしいな」
黒ずくめ「スタッフ長さんたち、今年もやってるんだ? 懲りないなぁ〜」
黒ずくめ「さて。じゃあ僕たちも、行動を開始しようか」
674 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:37:37.42 ID:YzE8DNDmo
少女「そうですね!!」
少女「……って、コスプレをするヒトは、どこに行ったらいいんですか?」
男「そうだな。基本的に、ビッグサイトの会場内なら」
男「どこでコスプレをしていてもいいんだが……」
黒ずくめ「コスプレをするならココがオススメですよ、と」
黒ずくめ「コスプレエリアといってね。準備会に推奨されている場所もある」
少女「ほう。それはいったい、どこに?」
黒ずくめ「うーん。毎年コロコロ変わって、ややこしいんだけど……」
黒ずくめ「今年は逆三角形付近や、屋上、あとは東館のトラックヤードかな」
675 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:38:03.83 ID:YzE8DNDmo
男「じゃあ、トラックヤードにするか。人は多いが、行列も見れるし」
黒ずくめ「え……。行列を見に行くんですか? 変わってますね」
男「ははは……」
少女「……黒ずくめさん」
黒ずくめ「うん? どうしたの?」
少女「やっぱりこれだけ晴れてると、倒れるヒトとかも出ますよね?」
黒ずくめ「そうだね。そりゃ、まあ」
少女「……そうですか」
黒ずくめ「……?」
676 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:38:30.49 ID:YzE8DNDmo
――ビッグサイト 東館外 トラックヤード
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
少女「……う、ウワァ――――!!!」
少女「こ。こここ、この黒いの。全部ヒトですか……!?」
黒ずくめ「あはは。もしかしたら、ヒトじゃないのも、混じってるかもね」
677 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:39:13.58 ID:YzE8DNDmo
男「まあ、チミモーリョーが一匹や二匹混じってても、わからんかもな……」
少女「す、スゴい人の量ですよ」
少女「長い行列がいくつも出来ていた一日目も、私も並んだ二日目をも、しのぎます」
少女「本当に、スゴい、スゴい人の量です!!」
少女「ボキャブラリーが不足しててバカみたいですが、そうとしか言えません!!」
男「昨日はこんな列の中に並んでたのかと思うと、ゲッソリするな」
黒ずくめ「といっても、列の勢い自体は、昨日よりかはマシのようだけど」
男「ちなみに今日の大手は、どんなカンジなんだろう?」
黒ずくめ「そうですね。Eマンガ先生のヒトをはじめとして、常連大手サークルが多いようです」
678 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:39:40.53 ID:YzE8DNDmo
参加者「おい、三日目もサーキットが始まるらしいぞ!」
参加者「見に行こうぜ!!」
男「……はは」
黒ずくめ「サーキットをやるのは大手のアカシですね」
黒ずくめ「あとは、FG○島と、その関連の商業作家の列が延びるのではないかと」
男「FG○って今日だったか。こりゃあ、人も多くなるぞ……。いや、もう多いか」
少女「これは、男さんじゃないですが、まるで。人がゴミのよ……」
レイヤー「人がゴミのようだ!!!」
679 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:40:06.95 ID:YzE8DNDmo
少女「!?」クルッ
レイヤー「目が、目がァァァァァァ」
カメコ「「「パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!!」」」
レイヤー「三分間待ってやる……」
カメコ「「「パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!!」」」
男「スゴいな。大佐のコスプレもいるのか」
黒ずくめ「あのヒト毎年いますよ」
680 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:40:34.11 ID:YzE8DNDmo
少女「うわぁ……」
少女「人がゴミのようだ、とか、本当に言うヒトいたんですね」
男「いやそういうネタだからな?」
少女「そ、そーなんですか。変わってますね……」
カメコ「バルス!!」
レイヤー「あァァ、目がぁ、目がァ、っ……ああああアアアア〜〜〜!!!」
カメコ「「「パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!!」」」
男「しかし……。大佐のあの作品って、いったい何十年前の作品だっけ?」
681 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:41:01.92 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「うーん。二十年……、いや、それ以上前かと」
黒ずくめ「僕や男さんが生まれる前からあるのはマチガイないですね」
男「そんな前の作品だったか……」
男「なのに、発表から数十年経った今でも、こうしてコスプレするヒトがいる」
男「あらためてスゴい場所だよな。COMIKEは」
黒ずくめ「好きなら何でもアリ、の精神ですからね」
レイヤー「いいこと? 暁の水平線に勝利を刻みなさい!」
レイヤー「問おう。あなたがわたしのマスターか」
682 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:41:29.42 ID:YzE8DNDmo
男「……っと。とは言っても、やっぱりコスプレの中心、ハナガタは」
男「最近のアニメやゲームのキャラクターのようだが」
黒ずくめ「美人なレイヤーさんのほうが、人目も引きますからね」
黒ずくめ「ていうか男さん、ああいうのが最近のアニメやゲームのキャラとか、わかるんですか?」
黒ずくめ「なんだかオタクじゃない風を装っていたように見えますが」
男「……ん? ふふーん、さて何のコトだか」
男「それに。ニワカがソレを名乗っちゃ、ホンモノに失礼だよ」
少女「あの。男さん、男さん」
男「ん……?」
683 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:41:55.81 ID:YzE8DNDmo
少女「あの、レイヤーさんの周りで、カメラ持ってるヒトたち……」
少女「アレはいったい、何なんですか?」
男「ああ。アレは、“カメコ”といってだな」
男「カメラ小僧の略で。COMIKEで、レイヤーを撮影するヒトたちだ」
黒ずくめ「カメラマンさんだね。レイヤーは撮影に快く応じるモノさ」
少女「へえ……。うーん、撮ってるヒトもスゴい情熱だなあ」
黒ずくめ「まあ、マナーの悪いカメコだって、いるにはいるんだけど……」
ドローン「バラバラバラバラバラバラ!!!」
684 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:42:22.78 ID:YzE8DNDmo
少女「……?」
少女「お、男さん。なんですかアレは」
少女「上を飛んでる、ちっさいヘリコプターみたいなのは……」
男「ん? アレはドローンだな」
男「最近流行りの、上等なラジコンみたいなモンだ」
黒ずくめ「アレでレイヤーを撮影してるのかな」
黒ずくめ「でも、ソレはさすがに……」
ヒュルルルル…
685 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:42:50.22 ID:YzE8DNDmo
ドローン「チュドオオオオオオオオオオオオンンンンンン!!!!!!」
映画泥棒「ド、ドローン!!?」
自宅警備隊「ドローンでのコスプレイヤーの撮影はマナー違反だ!!」
自宅警備隊「おとなしくナワにつけ! 映画泥棒!!」
少女「……!?」
映画泥棒「へっ、こんなところで捕まってたまるかよってんだ……!」
映画泥棒「あばよ! パトランプのとっつぁ〜ん!!」ダダダッ
686 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:43:16.98 ID:YzE8DNDmo
自宅警備隊「待てー! 映画泥棒!!」
ダダダダダダダダ
黒ずくめ「うわー、彼らも彼らで、今年もやってるなー」
少女「……黒ずくめさん。今のは?」
黒ずくめ「ん? ああ、今のコントかい?」
黒ずくめ「特殊部隊みたいなほうは、非労働武装集団、自宅警備隊 M.E.E.T.」
黒ずくめ「絶対に働かないコトにイノチをかける集団だ」
少女「……は?」
687 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:43:44.32 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「普段は自宅だけを警備しているんだが、この期間はCOMIKEにも出張しているという設定らしい」
黒ずくめ「そして逃げていったビデオカメラ頭が、映画館のCMでオナジミの映画泥棒だね」
黒ずくめ「あはは。ビックリした? 面白いでしょ」
少女「…………」
男「……安心しろ。アレもコスプレの一つだ」
男「今朝の特殊部隊に姿は似ているが、別に関係は無い」
少女「……そうですか。なら良いんですが……」
黒ずくめ「…………」
688 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:44:16.00 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「……少女ちゃん!!」
少女「はいっ!?」
黒ずくめ「それじゃあ、僕たちも。そろそろ、コスプレ、始めようか」
少女「は……、ハイ……」
黒ずくめ「カラーコーン置いて。仮の設営して……、と」
カメコ「あの、撮影、いいですか?」
少女「えっ……」
黒ずくめ「はい、モチロンですよ。何かご要望はありますか?」
カメコ「それじゃあ、ソッチの応援団の女の子に、何かセリフを!」
689 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:44:41.79 ID:YzE8DNDmo
少女「え……」
少女「お。男さん……。どうしましょう」
男「ん? 何か好きにソレっぽいコト、言えばいいじゃないか」
少女「そんなコト言われたって思いつきませんよ!!」
男「……うーん。そうだな……」
男「あっ。ほら、“アレ”があるだろう」
少女「“アレ”……?」
男「昨日待機列でやっていた……」
690 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:45:08.53 ID:YzE8DNDmo
少女「え。あんなので、良いんですか?」
男「良いんだ。思いっきり、やってやれ」
カメコ「お願いします!!」
少女「…………」
少女「それじゃあ、失礼して」スゥゥ…
黒ずくめ「え? 何が始まるんです?」
男「まあ見てロッテ銘治ブルガリアヨーグルト」
691 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:45:35.37 ID:YzE8DNDmo
少女「ガンバれガンバれ出来る出来るゼッタイ出来るガンバれもっとやれるってェェッ!!!」
黒ずくめ「!?」
参加者「!?」
少女「やれる!! 気持ちの問題だっ、ガンバれガンバれ、そこだァ!! そこで諦めんなァァ!!!」
参加者「シュウゾウ?」
参加者「イワナ?」
参加者「ザワザワ」
692 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:46:03.80 ID:YzE8DNDmo
少女「ゼッタイにガンバる積極的にポジティブにガンバるガンバるゥッ!!」
少女「―――ペキンだって、ガンバってるんだからァァァァァァッッッ!!!!!!」
参加者「……おおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!!」パチパチパチ
参加者「昨日の娘じゃん!」
参加者「この夏に、あえて応援団の服とは……」
参加者「正直に言おう、俺も水着は好きだ」
参加者「熱くなれよぉぉ!!」
693 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:46:30.89 ID:YzE8DNDmo
少女「はぁ、はぁ、はぁ……」
パチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチ
少女「え……? ……あっ」
カメコ「いいね、今の叫び! コッチ向いて!」
少女「あっ……。ハイ!!」
パシャッ
694 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:46:58.18 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「…………」アングリ
男「どうだ。驚いたか?」
黒ずくめ「ええ。そりゃ、驚きますよ……」
黒ずくめ「なんですか、今の?」
男「知らないか? ほら、いるだろう。よくテレビに出てる、日本一アツい元テニヌプレイヤーが」
黒ずくめ「……ああ。その、彼が、……え?」
男「彼が出てる動画を編集して、既存の音楽に乗せた、MAD動画群があってな」
男「今のは、その動画群の中でも、トップクラスに有名なセリフだ」
男「昨日、友人の奴がな。朝の待機列で教えやがったんだよ」
695 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:47:26.20 ID:YzE8DNDmo
男「ほら。これが、その時の動画だ」スイッ スイ
男「ハシッコで俺が見切れてるのは気にしないでくれ」
黒ずくめ「……うわぁ。本当だ……」
黒ずくめ「なるほど。それで、あの衣装を……?」
男「ああ。でも、事前には何も言わなかったけど、黒ずくめさんがピッタリの服持ってて良かった」
黒ずくめ「いえいえ。黒い服なら、なんなと、ありますからね」
黒ずくめ「……そっか」
男「…………」
696 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:47:58.01 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「……いや、ね。実は気にしてたんですよ」
黒ずくめ「朝、電話もらった時から、少女ちゃんの声が暗くて」
黒ずくめ「だからあんなコト言ったんだけど」
男「…………」
黒ずくめ「でも、安心しました」
黒ずくめ「少女ちゃんは、一昨日に友人さんからおハナシを聞いたのと同じ、少女ちゃんだって」
黒ずくめ「僕が知ってる中で、最も“COMIKEを楽しもうとする”、女の子なんだって」
男「……そうだな。俺も、そう思う」
697 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:48:27.20 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「ふふ。いや、昨日会ったとき少女ちゃん、グッタリしてたじゃないですか」
黒ずくめ「だから、一昨日は、あんなにCOMIKEを楽しもうとしてたのに……」
黒ずくめ「もしかしたら、COMIKEのコト、嫌いになっちゃったのかなって」
男「……それは」
黒ずくめ「でも、杞憂だったようですね」
黒ずくめ「僕は、少女ちゃんにこのまま帰ってほしくないと思って、コスプレに誘ったんですが」
黒ずくめ「そもそも。COMIKEのコトが嫌いなら、今日は来てくれなかったろうし」
黒ずくめ「COMIKEのコトが好きだから、あんな元気いっぱいに、楽しめるんだろうなあ」
男「…………」
698 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:49:24.57 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「まあ、人間がいっぱい集まるんですし、色々ありますが」
黒ずくめ「……少なくとも、僕は。色んなヒトの全力が見れる」
黒ずくめ「COMIKEのコトが大好きですから」
黒ずくめ「少女ちゃんが楽しんでくれるのは、スナオに嬉しいです」
男「……ああ。俺も楽しいよ」
男「全力で楽しんでるヤツってのは、見てるだけで、コッチも楽しくなってくる」
カメコ爺「ふおおお! 貴女が黒ずくめさんですな!?」
黒ずくめ「え……? あ、ハイ」
699 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:49:51.39 ID:YzE8DNDmo
カメコ爺「やはり。タクシーでお見かけした時から」
カメコ爺「すばらしいコスプレイヤーだとお見受けしていましたぞ」
カメコ爺「はい! 目線をコッチに! 心底見下したカンジで!!」パシャパシャ
黒ずくめ「ハァ……?」
カメコ爺「んん、その冷ややかな目線がたまらない!!」パシャパシャ
男「……って、ちょっとちょっと! ソコのカメコさん! あんた!!」
カメコ爺「おや、どうしましたかな。メジェドどの」
男「あんたタクシーの運転手さんでしょう!!? 今朝の!!」
700 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:50:20.18 ID:YzE8DNDmo
カメコ爺「おや。バレましたかな」
男「バレましたかなじゃないですよココで何やってるんですか!!」
カメコ爺「見てのとおり、カメコですが」
男「カメラ……。……小僧?」
カメコ爺「ほっほ」
カメコ爺「たんパンこぞうは、いくつになっても、たんパンこぞう」
カメコ爺「カメラ小僧は、いくつになっても、カメコですぞ」
男「いや意味がわかりませんから」
701 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:51:13.03 ID:YzE8DNDmo
男「それより、タクシーはどうしたんですか!」
カメコ爺「普通にパーキングに預けてきましたな」
カメコ爺「いや。もうCOMIKEは、若者たちの催しであると、一線を退いていたのですが」
カメコ爺「今朝がたの走りで“コチラ”のほうも、血が騒ぎましてな」カチャ
カメコ爺「老骨にムチ打って。最後の一日だけでもと、馳せ参じたのですぞ」
男「え……。って、コトは……」
カメコ爺「ほっほ」
カメコ爺「会場が有開に移って、ベンリになりました」
カメコ爺「今のビッグサイトでCOMIKEを出来る参加者は幸せですなwww」
702 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:51:41.49 ID:YzE8DNDmo
男「……って! そ、その口調……!!」
カメコ爺「んん、それでは私はこれで」
カメコ爺「星の数ほどのコスプレイヤーが私を呼んでいますぞー!!」ダダダッ
男「…………」
男「はぁ」
男「血は争えない。という、コトか……」
黒ずくめ「男さん? 今のおじいさんは……。一昨日のタクシーの?」
男「ああ。ヒトに歴史あり……、だな」
703 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:52:08.37 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「さて。COMIKEは、ここからが本番です!」
黒ずくめ「僕たちも張り切っていきましょう!」
男「ああ。そうだな……」
男「って、俺も?」
黒ずくめ「そうですよ。男さん、見たところ僕と同じくらいの歳だと思いますが」
黒ずくめ「ちょっと落ち着きすぎだと思います」ドンッ
男「そ。そんなコト言われても、生まれつきで……、うわっ!」バタタッ
少女「うわっと! 男さんも叫ぶんですか? ええ、一緒に頑張りましょう……!!」
704 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:52:35.89 ID:YzE8DNDmo
――ビッグサイト 東館外 トラックヤード
少女「はぁー……っ。疲れましたー!! 海風がキモチイイー」
黒ずくめ「カメコたちもハケたね。そろそろ、終わりにしようか」
男「もう昼前か……。よくこの炎天下の中で、突っ立ってたよ」
黒ずくめ「本当なら、もっと館内を動き回ってもいいんだけどね」
黒ずくめ「まあ。行列を眺めながらのコスプレというのも、案外悪くない」
ザワザワ ザワザワ ガヤガヤ ガヤガヤ
黒ずくめ「もっとも、その行列は。まだ解消されていないようだけど……」
705 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:53:19.12 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「さて。このあと、君たちはどうする?」
男「ん? そうだな。……どうする、少女?」
少女「そうですね! せっかくまたCOMIKEに来たんだし、島の頒布物とか、見てみたいです!!」
黒ずくめ「そうか。なら、僕は……」
金髪「おーい、黒ずくめ〜……!!」
紫髪「ココにいたかー……!」
黒ずくめ「おや。騎士は遅れてやってくる、というやつかな」
男「……? あの二人は……」
706 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:53:47.09 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「今朝、話していただろう?」
黒ずくめ「ほら。本当なら今朝一緒に入る予定だった、連れの二人だよ」
男「ああ。昨日の売り子の……!」
紫髪「探したぞ!!」
黒ずくめ「そうかい? 悪いね。でも、なら連絡くれれば良かったのに」
金髪「COMIKEで電話が繋がるワケがないだろう……!」
黒ずくめ「あはは。それもそうか」
黒ずくめ「それで金髪。体調は大丈夫なのかい?」
707 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:54:13.68 ID:YzE8DNDmo
金髪「ご安心を!! 太陽の下であれば、元気三倍なので」
紫髪「まったく。駅の屋根の下ではヘナチョコになる、金髪にも困ったモノだ……」
金髪「ぐ。あの人の量では、仕方ないだろう!」
黒ずくめ「あはは。ケンカしないで」
黒ずくめ「それよりも、せっかくコスプレ衣装を持ってきたんだろう」
黒ずくめ「昼からの立ちシゴトは、いささかキツいが。頑張るかい?」
金髪「ゼヒとも!!」
紫髪「そのために来たんだからな!!」
708 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:54:41.06 ID:YzE8DNDmo
黒ずくめ「というコトだ。僕たちは、もう少しコスプレしていく」
黒ずくめ「男さんと少女ちゃんは、二人でも大丈夫?」
男「モチロンだ。一日目は二人だけで行動してたからな」
少女「黒ずくめさんも! あと数時間、頑張りましょう!!」
黒ずくめ「うん。思う存分、COMIKEを楽しんでね」
金髪「あの……。お二人?」
男「は?」
紫髪「状況を鑑みるに。黒ずくめと一緒にコスプレをしていてくれたのですか?」
709 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:55:08.58 ID:YzE8DNDmo
少女「ええ! 黒ずくめさんのおかげで、コスプレ、めっちゃ楽しめました!!」
金髪「そうですか。それは良かった」
紫髪「黒ずくめの奴、ごメイワクをおかけしませんでしたか?」
紫髪「……たとえば、薄い本のネタにしようとするとか」
男「あ。あはは。アハハ……」
金髪「まったく。今日も我々を置いて、勝手に行ってしまうし」
金髪「まあ。我々が足カセになって、COMIKEを楽しめないよりは、よほど良いですが」
紫髪「世話の焼けるヒトだ……。だが、それがいい」
710 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:55:35.81 ID:YzE8DNDmo
少女「お二人も、コスプレを?」
金髪「ええ。今日は、西洋騎士の衣装ですね」ガサゴソ
少女「おわ。カタそうなメタルプレートだ……!」
金髪「見た目だけですよ。実際は利便性を考え、軽い素材を使って作っています」
少女「自作なんですか! スゴい……!!」
紫髪「今日はお二人とも、ありがとうございました。まったく、金髪が倒れなければ……」
男「あ……。いえいえ、良いんですよ。ソレ、俺たちにも責任ありますし」
紫髪「……?」
711 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:56:02.61 ID:YzE8DNDmo
男「とにかく。黒ずくめさんをお願いしますね」
金髪「ええ、もとより」
紫髪「ところで、お嬢さん。なかなか良い腕の筋肉をしていますね。普段の運動は何を?」
少女「へ? 私ですか……?」
金髪「おい、紫髪!!」
紫髪「痛い痛い痛い。エリを引っ張るコトはないだろう!」
男「ははは……。それじゃあ、お元気で!」
金髪「ええ。お二人も、ご武運を!!」
712 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:56:31.00 ID:YzE8DNDmo
少女「ふう……。ホントCOMIKEには、色んなヒトが参加してるんですね〜」
男「ああ。俺たちの知ってるヒトでも、全然知らないヒトと友達だったりする」
男「そんなヒトの考えてるコトが見られるのも。COMIKEの良いところだ」
男「さて。このあとは、島の頒布物を見に行くんだったか?」
少女「ハイ! そうだ、たしかコスプレのままでも歩いていいんでしたよね!?」
男「いやいや、着替えていくぞ。俺の格好を見ろ……」
少女「あ。たしかに、ビニール袋かぶったままじゃ、キツそうですもんね……」
男「まずは逆三角形のところで着替えよう。そのあとは、東館の島めぐりだな」
713 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:56:58.44 ID:YzE8DNDmo
――東館 ホール内
ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ
少女「うう……。もうお昼だというのに、スゴい人ですね!!」
男「そうだな。むろん、大手の行列が、いまだに生き残っているのもあるが……」
男「……ん? 大手の行列が、いまだに生き残ってる?」
少女「どうかしましたか?」
男「……いや、なんでもない。本来なら、コレが正常なんだが……」
714 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:57:25.82 ID:YzE8DNDmo
男「とにかく。スゴいな、今年のFG○の勢いは……」
男「外も行列が長いが。アレは島か、島だよな? トンデモナイ量の血栓だ」
友人「FG○は去年の年末がキッカケで大ブレイクしましたからなwww」
男「そうそう。あの時の採集決戦の盛り上がりといったら……」
男「ってぇ、友人!!?」
友人「男氏wwwヤケモーニンwwwwwwぺゃっwwwwww」
白い死神「おっと。俺もいるぜぇ」
少女「友人さんに、死神さん……!」
715 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:57:56.34 ID:YzE8DNDmo
男「お前ら、今日は何して……。というか、なんで島の内側に座ってるんだ?」
男「まるでサークルみたいに」
友人「んんwwwそれはwww死神氏の本を売っているからですなwww」
少女「し、死神さんの本!? サークル参加してたんですか!?」
白い死神「そんな驚くコトか? 俺だってファンネルばっかやってるワケじゃない」
白い死神「せっかくCOMIKEに参加するんだ。同人誌の一冊くらい書くさ」
少女「で、でも……。今日って三日目。男性向けの日でしたよね」
少女「その、死神さんも、やっぱり?」
716 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:58:43.68 ID:YzE8DNDmo
白い死神「ん……? ……いや、違う。違う!」
白い死神「嬢ちゃん、三日目はエロ同人ばかりだと思ってないか?」
白い死神「三日目は評論、解説本の日でもある。俺が出してるのは、コレだよ」ピラッ
少女「……? コレは……」
少女「『白い死神の絶対失敗しないファンネル術』?」
白い死神「そうだ。俺が教えられるコト、っていったら、やっぱコレしかないからな」
白い死神「あの白い死神がレクチャーするファンネル術。キョーミあるだろ?」
男「なるほど……。たしかに、白い死神のネームバリューは、強いな」ペラッ ペラッ
717 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:59:11.69 ID:YzE8DNDmo
参加者「あっ、死神さんですよね? 新刊1部ください!!」
白い死神「はいよー。良いファンネルライフを、心がけてな」ポンッ
男「死神……。お前、考えたな」
白い死神「おうともよ! おかげで本はバカ売れ!」
白い死神「いやー、来年もサークル参加しちゃおっかなー!!」
男「だけど。お前、ファンネル術なんか教えちゃっていいのか?」
男「他のヤツにも知れ渡ったら、これから動きにくくなるんじゃないのか?」
白い死神「ちっちっち。俺がテクニックのすべてを書いたと思ってるのか?」
718 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 18:59:44.70 ID:YzE8DNDmo
白い死神「こんなのは、俺の108あるファンネル技術の、序ノ口に過ぎん!」
白い死神「それに、知れ渡ったら知れ渡ったらで、ソレを逆用する手段もある」
白い死神「そう。たとえどんな状況であろうとも。俺は頒布物を、迅速、かつカクジツに……」
白い死神「狙い撃つ!!」
少女「うーん、カッコイイなあ……!」
白い死神「おや嬢ちゃん。俺はチケット組だぜ? 本当に尊敬しちゃっていいのかい?」
少女「ええ。死神さんはチケット組ですが、転売しないだけ、志の高いヒトだと思います」
少女「……それに。出し抜き合うのが人間ならば。助け合えるのも、また人間だと思うので」
719 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 19:00:25.93 ID:YzE8DNDmo
白い死神「……嬢ちゃん。ちょっと、成長したな」
少女「えへへ……」
友人「こうして少年は大人への階段を上っていくのですなwww」
男「少女だけどな。で、お前たち。今朝は何をしていたんだ?」
少女「やっぱり、今日の頒布物のファンネルですか?」
白い死神「んー? まあ、そんなところだな」
友人「そんなところですなwwwwww」
男「…………」
720 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 19:01:04.72 ID:YzE8DNDmo
男「……おい、友人」
友人「んん?wwwなんですかなwwwwww」
男「今日は行列が正常に伸びているな」
男「三日目だから比較的多いとはいえ、少なくとも、すぐに消滅しているなんてコトは無い」
男「……何をした?」
友人「んんwwwそれはwwwちょっとwww」
友人「お花を摘みにいっただけですなwwwwww」
男「そりゃトイレだ」
721 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 19:01:44.84 ID:YzE8DNDmo
白い死神「まあ、俺たちには俺たちの戦いがあったのさ。深く追究せんでくれ」
男「……そうか。まあ、そう言われちゃ、引き下がるしかないが……」
少女「死神さーん! それじゃあ、新刊1部、くださいなー!!」
白い死神「おうよ。良いファンネルライフを心がけてな」
男「え。ファンネル、するのか……?」
少女「いえ、する機会があるかはわかりませんが。後学のため、というやつです!」
白い死神「まあ、そういう目的で買ってるヤツが一番多いだろうな」
男「やっぱりキョーミあるよな。そういう、裏の部分みたいなの」
722 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 19:02:11.27 ID:YzE8DNDmo
男「それじゃあ、俺たちはこれで」
少女「えーっ、もう行くんですかー?」
男「他のところも周るんだろう。一ヶ所に長く留まる時間は無い」
男「あと数時間とはいえ、この暑さだ。気を抜くなよ」
白い死神「言われなくとも。こう見えて、お前なんかより何度もCOMIKEに来てるからな」
友人「上に同じですぞwwwwww」
男「ははは。まあ、屋内じゃ、比較的熱中症もマシ……」
バタン
723 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/31(木) 19:02:38.77 ID:YzE8DNDmo
少女「……!!」
友人「んん……!」
白い死神「な……!」
男「ちっ。言ったそばからか。おい……」
少女「ソコのヒト!! 大丈夫ですか!!」ダッ
男「……!」
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