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少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」
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124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:54:38.55 ID:Fzl9L1Z/o
少女「しかし、これだけ速いと、会計も難しいんじゃないですか?」
少女「頒布物はタテモノの中で渡してるとしても、お金はどこで……」
男「速すぎて見えないか……。タテモノの入口だ」
男「よく、目を凝らしてみろ」
少女「ん……? ……あ、アレは!!」
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125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:55:12.11 ID:Fzl9L1Z/o
少女「列に並んでいるヒトたちが、ものすごい速さで……」
少女「係員のヒトが持っているハコの中に何かを入れて……」
少女「そして、走り去っていきます!!」
男「リレーのバトンを手渡すがごとき、訓練された動き……」
男「その疾風怒濤は、サイセン箱、自動改札機、ETCレーンを思わせる……」
少女「質量を持った残像のようです! 今朝の始発ダッシュにも引けを取りません!」
男「この速さについてこれない者は、そもサーキットに並ぶコトすら許されない」
男「そして、彼らはスピードを極め、いったい何を為そうとしているのか?」
男「それが、それこそは、“コレ”だ」ピラッ
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:55:38.93 ID:Fzl9L1Z/o
少女「せ、千円札……!?」
少女「あ、あのスピードで! 入れているというのですか!」
少女「千円札を!!!!」
男「ああ。この大手サークルはそこまでわかっている」
男「千円札ならば支払いやすいというコトも考慮した上で、このサーキットを構築しているんだ」
少女「な、なんという……」
少女「なんという、オオゲサな……」
男「そうか? 列をさばく最適解の一つだと思うがな」
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:56:06.00 ID:Fzl9L1Z/o
売り子「遅い、遅い、遅い、遅い、遅い、遅い!!!」ホイホイホイ
参加者「ぐああ!!」ドシャア
売り子「大丈夫? ちゃんと持って行ってね!! 遅い、遅い、遅い!!!」ホイホイホイ
少女「激突事故も起きちゃってるじゃないですか……」
男「クルマとナニガシは急に止まれないというからな」
男「だいたい、普段から運動してるヤツばかりが集まってるワケじゃない」
男「急に走ればこうもなるだろう。サーキットは強制参加だ」
少女「こりゃ明日は筋肉痛ですね……」
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:56:33.71 ID:Fzl9L1Z/o
男「というか、そもそもCOMIKEで走るのは禁止だったりする」
少女「そーなんですか?」
男「体格の良いヤツが急に突貫してきたら、コワいだろう」
少女「たしかに……」
男「それでもサーキットが黙認されているのは、大手がゆえだろうな」
男「スタッフとしても、列が早くさばかれるに越したことは無いだろうし」
少女「ケースバイケース……。臨機応変というやつですね」
男「細かいコトをグチグチ言ってても列は消えないからな」
男「なお、競歩はゆるされている」
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:57:00.61 ID:Fzl9L1Z/o
男「とまあ、同じ大手でも」
男「慣れていたり不慣れだったり、色々あるワケだ」
少女「本当に色んなヒトが参加してるんですね……」
男「ヒトとヒトとの交流こそが、COMIKEのホンシツともいえる」
男「それじゃあ、大手を見たところで、今度は小さいサークルにも行ってみるか」
少女「小さいサークル? ですか?」
男「ああ。大手のほうが話題になるが、イベントのメインは、おおよそコチラだ」
男「友人のサークルもソレに含まれる。見舞いがてら、行ってやろう」
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:57:35.41 ID:Fzl9L1Z/o
――ビッグサイト 某所
少女「それで、友人さんのサークルはどこにあるんですか?」
男「ココ、東館の中だ。まずは館内に入る道を探す必要があるな」
少女「うわっ……。コレもまたスゴい行列ですね」
少女「さっきのイラストレーターさんの列でしょうか?」
男「いや……。ココは、フレンズの監督の行列らしいな」スイッ スイ
少女「……フレンズ?」
男「彼は行列を作るのが得意なフレンズなんだね」
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:58:13.46 ID:Fzl9L1Z/o
――ビッグサイト 某所
少女「ココにもスゴい行列が……。だけど、進むのも速いようです」
男「わりと近くで終わってるみたいだな。……ん?」
セレブ妹「並んでくださってありがとう。グッズはもうありませんが、名刺だけでもどうぞ」
セレブ姉「あらセレブ妹さん、指の皮がめくれてしまいましたわ」
男「……あんなヒトたちもCOMIKEに来てるんだな」
少女「並んでるヒト全員に名刺配ってるんだ、スゴいねえ」
男「丁寧な対応だ。ゴージャス……、いや、ファビュラスというべきか」
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:58:41.94 ID:Fzl9L1Z/o
――ビッグサイト 某所
売り子「いえーい! 満員御礼、全枚完売!!」グビグビ
サークル主「わははは!!」グビグビ
少女「もう頒布物が完売したんでしょうか? カンパイしてますね」
男「この時間で既に完売とか、相当な大手じゃないか……?」
少女「金色の、シュワシュワ……。ビールでしょうか」
男「COMIKEでは飲酒も禁止のハズだが……」
男「ま、コッソリ持ち込むくらい、好きなんだろう。ビール」
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:59:09.63 ID:Fzl9L1Z/o
――東館 館内
男「よし、ここから館内に入れるな」
少女「ふーっ、外は曇ってたけど、中は冷房が効いてるからコレで涼し……」
少女「……くない!!!」ムシッ
少女「男さん! 屋内なのに涼しくありません! どういうコトですか!!」
男「俺に怒るなよ……。というか、なぜ屋内なら涼しいと思った」
男「むしろ、屋外より湿気高くないか? ムシムシしてないか……?」
少女「ぐ……。コレは、たしかに……」
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 18:59:37.17 ID:Fzl9L1Z/o
男「それに、見ろ、この人の数を……」
ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ
ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ
少女「ココは……、何かブースがあるワケじゃないですね」
少女「大きい通路のようなモノでしょうか?」
男「そんな通り道ですら、コレだ。本来集まるべきは、ココじゃない……」
男「これだけ人がいれば、暑くなるのも当然だ。だが目的地は、さらに奥だ」
少女「ううぅ……。外の行列とは、またベクトルの違った、地獄ですね……」
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:00:05.13 ID:Fzl9L1Z/o
――東館 ホール内
男「―――ここだ!!」
ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ
ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ
少女「おおー……、コレです! コレこそが!!」
少女「私がハナシに伝え聞く、COMIKEの姿!!」
少女「天井は高く、先の見渡せない広間に、床を埋め尽くすほどの人がいて……!」
少女「ロマン!! 人間の、ロマンです!!」
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:00:32.54 ID:Fzl9L1Z/o
男「あー。喜んでるところ、悪いが……」
男「この中を通っていくんだぞ」
少女「……え?」
男「たしかに先の見渡せない広間だな」
男「たしかに床を埋め尽くすほどの人がいるな」
男「その中を歩いていくんだぞ」
少女「……マジですか?」
男「大マジです」
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:01:00.63 ID:Fzl9L1Z/o
男「この先の見渡せない広間から、目的のサークルを見つけなきゃいけないし」
男「この床を埋め尽くすほどの人に流されず、進み続けなきゃならない」
少女「……ちなみに、友人さんのサークルは、どこに?」
男「うーん、このホールなのは間違いないが、中央あたりかな」
少女「……うげー」
男「伝え聞いたハナシと違う……、ってコトも無さそうだが」
男「とにかく伝聞じゃなくて、コレは、現実だ」
男「進み続けなければ、けっして勝利は無いぞ」
少女「……そうでしたね。ココは、“戦場”だと」
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:01:29.00 ID:Fzl9L1Z/o
少女「ようし! ならば、行ってやろうではありませんか!!」
男「おう、おう。その意気だ」
少女「男さ――――ん……! ココ、どこですか――……!?」
男「だから俺から離れるなと入場前に言ったろう!! コッチだ!」
少女「そういうコトですか――、ぎょえー! 待ってくださ――――い……!」
少女「あっ、アレは、ハナシに聞くレトロゲーの本じゃないですか!?」
男「レトロゲー言うな! 最近だろうが! よそ見をするな、前に歩け!」
少女「15年前を最近とは言いませんよぅ……」
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:01:57.59 ID:Fzl9L1Z/o
――友人のサークル
友人「……お? もしやwwwその姿はwww」
友人「男氏と少女氏ですかなwwwwww」
男「ああ、そうだ。来てやったぞ」
少女「ひえぇ……、疲れたぁ……」
友人「んんwwwこれはご苦労様と言わざるを得ないwww」
友人「ファンの方に差し入れてもらったキンキンのコーラですぞwww」
少女「んっ、んっ、んっ……。……プッハー!! 生き返るー!!」ゲフゥッ
男「……おい、友人。お前、一人か?」
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:02:26.81 ID:Fzl9L1Z/o
友人「んんwwwファンネルの方々は定期的に戻ってくるのですがwww」
友人「ピークが過ぎた今、売り子は我一人で十分と言わざるを得ないwww」
男「つまり、ボッチと」
友人「けっして我は友達が少ないワケではありませんぞwwwwww」
少女「……コレ、友人さんが描いた本なんですか?」ピラッ
友人「おうふwwwいかにもwwwwww」
友人「おにゃのこに自作のえっちぃ本見られて恥ずかしいwww」キャッ
男「お客さんの中に女のヒトがいないワケじゃないだろう」
友人「奴らは魂がオッサンですぞwww」
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:02:55.74 ID:Fzl9L1Z/o
少女「……読んでも?」
友人「一向に構わないwww気に入ったら買ってくれると嬉しいですなwww」
少女「…………、…………」ピラッ ピラ
男「……食い入るように、読んでるな……」
友人「んんwwwこういった本が物珍しいのかもしれませんなwww」
男「確認するが、対象年齢は、いくつだ?」
友人「…………紳士淑女のための本ですなwww」
男「なんだその意味深な間は!!」
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:03:25.33 ID:Fzl9L1Z/o
友人「もちろんwww既刊にはKENZENな本もありますがwwwwww」
友人「少女氏が手に取っているのはwww新刊のwww」
友人「……紳士淑女のための本ですなwww」
男「……はあ。こういうのにキョーミがある年頃なのかね」
男「女の子なら貞淑にしていてほしいモンだが」
友人「18歳以上ならwww正当な権利と言わざるを得ないwww」
男「だいたいこういうの、売るほうも恥ずかしいんだが?」
友人「んんwwwそれは男氏が界隈に不慣れなだけwwwwww」
友人「薄い本は売るほうもwww買うほうもwwwラブアンドピースですぞwww」
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:03:53.50 ID:Fzl9L1Z/o
男「ていうかお前、まだこの作品の同人、描いてたのか」
男「たしかに有名なシリーズだが、もう流行りでもないだろう」
友人「んんwww作品を流行り廃りで見るのは外野wwwwww」
友人「真に作品を見るべき眼は、たしかな審美眼とwww」
友人「愛ですぞwwwwww」
男「ぐっ……。昔の作品の同人を作ってるお前に言われると反論できない」
男「だが、流行りの作品を題材にするのも悪くないんじゃないか?」
男「FG○とか、俺もやってるぞ?」
友人「たしかにFG○は我もやっているwww実際シナリオは面白いwww」
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:04:25.46 ID:Fzl9L1Z/o
友人「だがwwwソレはソレwwwコレはコレwww」
友人「我の心身は、完全で瀟洒な嫁者に捧げしモノですからなwwwwww」
男「漢これやFG○の同人のほうが売れるんじゃないか?」
友人「そのように流行りになびくのは同人ゴロと言われざるを得ないwww」
友人「ですが、もちろんそういった作り手のコトも否定しないwww」
友人「好きな作品でなければ、そも同人を作るのは不可能ですからなwwwwww」
友人「だがwwwだからこそ、我は我の好きなモノを描くwwwwww」
友人「好きを表現していれば必ず振り向いてくれるヒトはいますなwww」
男「…………」
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:04:52.58 ID:Fzl9L1Z/o
男「……お前、やっぱカッコいいよ」
友人「んんwww男氏に言われてもまったく嬉しくないwww」
友人「男氏がおにゃのこなら別ですがwwwwww」
男「ごめん、やっぱ死んで」
友人「おうふwwwwww辛辣wwwwww」
少女「…………友人さん」パタン
友人「少女氏www我の薄い本はどうでしたかなwww」
少女「……最後まで読ませていただきました。友人さんの考えてるコトが、よくわかりました」
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:05:23.58 ID:Fzl9L1Z/o
少女「そこに積んである本、一冊ずつ全部ください」
男「!!!!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!」
友人「おうふwwwwwwwwwwwwキタコレwwwwwwwwwwww」
友人「おっとっとwww我『キタコレ』などとついネット用語がwww」
友人「我はけっしてハルヒをリアルタイムで観た世代ではござらんのでwwwコポォ」
少女「友人さん、私感動しました」
少女「友人さんは、普段その飄々とした態度に隠しているけれど」
少女「本当は、とてもアツい情熱を持った、表現者なんだって」
男「いや、隠してるワケじゃないと思うぞ……」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:05:51.27 ID:Fzl9L1Z/o
友人「んんwww我の内なるリビドーを理解するとはwww」
友人「少女氏wwwなかなか見所のあるおにゃのこですなwww」
少女「えへへ……」
男「照れていいのか照れるところなのかソコは」
友人「だがしかしwwwこの薄い本は男性向けwww」
友人「女性の少女氏には実用性が低いと思われるwwwwww」
友人「良ければ二日目の女性向けサークルを紹介しますがwww」
少女「いいえ、そんなコトありません! 友人さんの本がいいんです!」
少女「それに……、」
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:06:22.96 ID:Fzl9L1Z/o
少女「友人さんの本みたいなやつにもたくさんお世話になっていますから!!」
男「!?!!??!?!?!!*>E!*DE{‘WDQWDQ?!?!?!????」プッシュウウウウウウ
友人「男氏wwwwwwメルトダウンwwwwww」
男「ま、待て待て待て! 少女!!」
少女「ハイっ! なんでしょうか!?」
男「その、なんだ。お世話になってるのは、個人の趣味だし、5000兆歩譲っていいとしてだ」
友人「ずいぶん譲りましたな。大陸横断できますぞ」
男「そんな本持ってるの友達とかに見つかったらシロい目で見られるんじゃないかなぁ〜〜〜???」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:07:14.66 ID:Fzl9L1Z/o
少女「え? みんな持ってますよ」
男「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?!??!?!?!?!?!??!?!」
友人「男氏、男氏。泡吹いてる」
男「お、俺が知らぬ間に、昨今の女子高生の性事情はそこまで進んでいたとは……」
友人「んんwww男氏、そのセリフが既に薄い本みたいwww」
男「あー、わかった。じゃあ俺は何も言わん。好きなだけ買うといい……」
少女「やったー!!」
友人「新刊1冊、既刊3冊で2000円ですなwww」
少女「ありがとうございます! あの、これよりも前の続きってありますか?」
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:07:43.02 ID:Fzl9L1Z/o
友人「あるにはあるがwww少し前のCOMIKEで頒布を終えているwww」
友人「だがしかし家に売れ残りがあるかもしれないwwwwww」
友人「探してみてあれば、郵送するのもやぶさかではありませんなwww」
少女「ありがとうございます! 何から何まで……」
友人「んんwww直に感想をぶつけてくれる読者への返礼は惜しまぬ故www」
男「おれが おもってるよりも せかいは ひろいんだなあ byおれ」
友人「男氏www少女氏の同人誌、リュックに入れておきますぞwww」ポフッ
男「戦利品入れは……、こっちの手提げバッグだ……」
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:08:09.99 ID:Fzl9L1Z/o
少女「あー、いい買い物しちゃったなあ!」
少女「ねえ友人さん、ココにはこんな本が他にもいっぱいあるんですか!?」
友人「んんwwwいかにもwww」
友人「自分の欲しい頒布物を狙い撃ちするのもCOMIKEですがwww」
友人「クレイモア覚悟で表紙買いするのも、タシナミの一つwwwwww」
少女「ですって男さん! 探しに行きましょう、新たな出合いを探しに!」
男「まじか……」
友人「男氏wwwなかなかハードなおにゃのこに捕まりましたなwwwぴゃっ」
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:08:36.90 ID:Fzl9L1Z/o
――とあるサークル
サークル主「全部で、1500円になります」
少女「1500円ですね! ええと、お金、お金」
少女「あっ、一万円札しかない……」
サークル主「あはは、大丈夫ですよ。お釣り用のお金もいくらかありますから」
男「いや、待ってくれ。小銭なら俺が持っている」
少女「男さん!」
男「1500円ですね? 千円札と、百円玉が5枚でも構いませんか?」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:09:04.83 ID:Fzl9L1Z/o
サークル主「3,4,5……、はい、たしかに1500円ですね! ありがとうございました!」
少女「ありがとうございましたー!!」
男「ったく……。ちょっと、サイフを貸せ。そろそろ小銭を補充する」
少女「何から何まで……。男さん、いつの間に千円札や小銭のジュンビを?」
男「昨日お前から金を借りた段階で、両替は済ませておいた」
男「既に気付いていると思うが、COMIKEでは、単価500円や1000円程度の頒布物が中心だ」
男「そこで万札や五千円札を使われると、お釣りを出すのもタイヘンなんだ……」
男「むろん、そういう事態も想定して、サークル側はお釣りの小銭も多めに用意するがな」
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:09:39.40 ID:Fzl9L1Z/o
少女「なるほど……。たしかに、サーキットでも皆、千円札を既に用意していましたね」
男「だが、小銭が多く出るコトを逆用して、ちょっとしたサギも横行する」
男「コレを見ろ」キラーン
少女「これは……。100円玉ですか? 100って書いてあるし」
少女「でも、あれれ? なんか100円玉とはフンイキ違いますね?」
男「これは、100円硬貨じゃない。“100ウォン硬貨”だ」
少女「100……、ウォン……?」
男「韓国の通貨だな。日本円換算で、およそ10円だ。コレを支払いに混ぜて使うヤカラもいる」
少女「となると、だいたい10分の1の価値……」
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:10:06.92 ID:Fzl9L1Z/o
少女「ガチ犯罪じゃないですか!!」
男「過去のイベントでは、偽札が使われたコトもあったらしいな……」
男「で、偽札だと思ったら、実は現行でも使える旧札だったり……」
少女「お金絡みのトラブルも……、多いんですね……」
男「現金がやり取りされる場だからな。気をつけなくちゃいけない」
男「いま立ち寄った、島中のサークルならまだしも」
男「壁やシャッター際のサークルは、どうしてもお金の確認がオザナリになるからな」
少女「島中? 壁……?」
男「ああ、ソレもついでに説明しておくか」
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:10:34.68 ID:Fzl9L1Z/o
男「このあたりのサークルは、長方形を囲うように机が四辺に配置されているだろう」
男「この長方形のカタチを指して、“島”と呼んでいる」
少女「同じカタチのブースがいくつも点在するのが、たしかに島みたいですね!」
男「島に配置されるのは、主に小規模から中規模程度のサークルだ」
男「もちろんソレに比例して、対象のサークルの数も多い」
男「このように、ホールは一面、何百何千という島のサークルで埋め尽くされる」
少女「お目当てのサークルがあるなら、見つけ出すのも一苦労ですね……」
男「そのために、事前に販売されている、COMIKEの公式カタログがあるんだがな」
少女「もっとも、フリーで良さそうなサークルを物色するのも、十分にタイヘンですが!」
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:11:03.56 ID:Fzl9L1Z/o
男「で、島の対義語として、“壁”がある」
男「これは名の通り、壁際に配置されているサークルのコトだ」
少女「行列が出来てたのも、ほとんどは壁際のサークルでしたね」
少女「何か関係があるんですか?」
男「関係があるというか、行列が並ぶから、壁に配置されるんだ」
男「島中でこんな肉の血栓を作られたら、他のサークルにメイワクだろう?」
男「だから壁に設営して、列は外に並べ、というワケだ」
少女「壁サークルは人気のアカシ、というワケですね」
男「壁に配置されるのはCOMIKEサークル参加者の一種のステータスだな」
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:11:32.00 ID:Fzl9L1Z/o
少女「ぐ〜〜〜……」
少女「うっ」
男「……ん? お前、今……」
少女「へっ!? ななな、なんですか?」
少女「お、お腹の音ですか!? わわわ、私じゃありませんよ!」
男「お前以外に誰がいる……」
男「というか寝言でも言ってたが……」
男「お前、けっこうな大食いだな?」
少女「ギクリ」
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:11:58.27 ID:Fzl9L1Z/o
少女「そそそ、そうですかねぇ〜? これくらい普通だと思いますよぉ?」
男「朝飯に魚をあれだけ食って、途中ケバブをつまんで、なお空腹……」
男「ソレを普通とは言わんと思うがな?」
少女「ぐぅ……。まあ、他人よりは、少しは多く食べるかもしれませんね」
少女「少しですよ?」
男「わかったわかった」
少女「なんで半笑いなんですかぁ!!」
男「まあ、時間としては、良い頃だろう。また鷲ントンにビュッフェ食べに行くか」
少女「やったー! バイキング、バイキング!」
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:12:25.96 ID:Fzl9L1Z/o
男「現金な女だこと……」
男「それじゃあ、一度会場を出て、ホテルに戻るぞ」
少女「ハイ! ああ、良い買い物しちゃったなぁ……!」
男「既に同人誌、十数冊か……」
男「水は減ったが、またリュックに重みを感じてきたぞ」
少女「おっ! 行きと違って、人がけっこう減ってきましたね!」
男「COMIKEの本番は、開場から、おおよそ昼までだからな」
男「昼頃には大手の頒布物も概ねハケる」
男「エンジョイ勢が乗り込むなら、それからだな……」
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:12:53.99 ID:Fzl9L1Z/o
――鷲ントンホテル レストラン
男「大人2人です」
受付「ありがとうございます。それでは、ご自由に料理をお取りください」
少女「おっ、朝と違って、人も多いですねえ……!」
男「昼時だからな。もっとも、ビッグサイトの混み様とは、比べるべくもないが」
少女「お昼はローストビーフやってるみたいですよ! いいですか!?」
男「ビュッフェなんだから好きなように取れ」
男(肉も、魚も、コダワリは無しか……)
162 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:13:22.88 ID:Fzl9L1Z/o
少女「男さぁん! 取ってきましたー!!」
男「よし、俺も終わった。じゃあ、ソコに座って……」
少女「……? どうかしましたか?」
男「……お前、皿の上が一面まっ茶色なんだが」
少女「ふふん! 肉は元気のミナモトですよー!!」
男「だからといって肉だけ取る奴があるか! 栄養バランスを考えろ!」
少女「えっ……。でも野菜とか、だいたいマズくないですか?」
男「こんなところの野菜がマズいワケがないだろう!?」
163 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:13:51.45 ID:Fzl9L1Z/o
男「引き返せ! 一度取ったモノを戻せとは言わんから」
男「野菜と、あとコメかパンも取ってこい!」
男「それと果物だ! 食後のフルーツも持ってきなさい!」
少女「ちぇー。わかりましたよっと。うるさいなぁ」
少女(でも、やっぱり、お母さんみたいだなあ……)
男「取ってきたか?」
少女「ええ。マコトに遺憾ながら、空前絶後のヘルシー盛りです」
男「茶色面積7割で自称ヘルシーとはお笑いだな」
164 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:14:19.28 ID:Fzl9L1Z/o
少女「では、いただきます」
男「うん。さすがに一流ホテルのビュッフェだけあって……、昼もうまいな」モグモグ
少女「おっ! 野菜もオイシイじゃないですかー!!」ムシャムシャ
男「だから言ったろう。お前は今まで何を食ってきたんだ……」
少女「焼き飯もヒエヒエかと思いきやパラパラでオイシイですねえー」
男「ピラフだろう」
少女「もちろんローストビーフも! でも、ローストビーフって、取る時」
少女「肉切ってるヒトにニラまれるから、あんまり多く取れないですよねー!」
男「わかるよ。わかるが、デカい声で言わんでくれ……」
165 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:14:47.36 ID:Fzl9L1Z/o
少女「ぷっはー! ごちそうさまでしたー!」
男「あれだけの量を食いきったか。よく食べる……」
少女「食べれる時にたくさん食べないと、ですね!」
男「そのわりには、体形は引き締まってるようだが」
少女「体質でしょうか? まあ、食後の運動くらいはちゃんとしますが」
男「健康で良いコトだ。それじゃあ、この後どうする?」
男「疲れたし、もう家に戻るという手もあるが……」
少女「なーにを言ってるんですか!!」
166 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:15:14.35 ID:Fzl9L1Z/o
少女「私はまだまだ元気ですよー! いざ、第2ラウンドです!!」シュッシュッ
男「その無尽蔵の体力はどこから湧いてくるんだ……」
男「まあ、三日間通してその意気でいられるかは、見物だな」
少女「目にモノ見せてやりますとも!」
男「やれやれ。といっても、一日目終了まで、あと2時間くらいか?」
男「目的は絞れよ。寄り道が過ぎると、すぐに時間は経つからな」
少女「なるほど。では計画的に、かつ衝動的に!」
男「どっちなんだ……。いや、お前なら何故か実行できそうな気がするな」
167 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:15:40.71 ID:Fzl9L1Z/o
――東館 ホール内
男「……お、重い…………」ズシッ
少女「なんか、買い終わった本を入れてたら、リュック膨らんできましたね……」
少女「私も少し持ちましょうか……?」
男「い、いや……。動き回るお前が持っちゃ、他のヒトにメイワクだろう……」
男「俺のコトは気にするな。お前は、先に行け……」
少女「いやいやいや! ソレは確実にダメなやつじゃないですか!?」
男「お前がどこまで知識持ってるのか、いまだにイマイチ掴みかねるよ」
168 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:16:08.41 ID:Fzl9L1Z/o
少女「さて、めぼしい本はあらかた、買ってしまいましたが……」
男「健全なのも、そうじゃないのも買ったが、コイツにとってのめぼしい基準とはいったい……?」
男「まだまだわからないコトだらけだな」
男「昨日会ったばかりだから、当然だが」
少女「今日売ってるモノは、だいたいこんな感じなんですか?」
男「いいや。西館に行けば、企業サークルの頒布物もあるが……」
男「まあソッチは、朝のうちに売り切れてるだろうな」
男「だけど本じゃなくて、アクセサリーや自作CDなんかを売っているサークルもある」
男「見に行ってみるか?」
169 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:16:37.27 ID:Fzl9L1Z/o
少女「ええ! ぜひとも!!」
男「わかった。じゃあ、このホールを出て、通路の向かいのホールに入れ」
男「その後は、また別の離れのホールだな」
男「金は……、まだまだあるな。俺のじゃないけどな」
少女「わっかりましたー! いざ、突撃!」ダダダ
スタッフ「ちょっと、ソコの女の子! COMIKEでは走らないでください!!」
少女「うわっと! すみません!!」
男「はは、バカめ。怒られてやんの……」
170 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:17:05.27 ID:Fzl9L1Z/o
――東館 館内
少女「たっはー!! いっぱい買っちゃいましたー!!」
男「買っちゃいましたーじゃないぞ、お前……。ああ、重……」
少女「やっぱ少し持ちますよ。男さんだけには任せられません」
男「そうか……。じゃあ、こっちのアクセサリー袋を頼む」
男「コワレ物だ。あんまり持って走り回るなよ」
少女「了解です。こう見えて、危険物処理は、お手の物でして……」
ピンポンパンポーン
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:17:31.96 ID:Fzl9L1Z/o
少女「……? アナウンスですか。何でしょう?」
男「ああ……。来たか、この時が」
パチパチパチパチパチパチパチパチ
少女「わわっ! 皆、拍手しはじめましたよ! これって……!」
男「ああ。そういうコトだ」
アナウンス『これにて、COMIKE 92 一日目を終了します』
アナウンス『皆さん、お疲れ様でした。残り二日も頑張りましょう』
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:18:06.08 ID:Fzl9L1Z/o
ピンポンパンポーン
パチパチパチパチパチパチパチパチ
少女「ああ……。終わったんですね」パチパチパチ
男「いや、まだだ。まだ、一日目が終わったに過ぎん」パチパチパチ
男「本当の戦いはこれからだぞ」
少女「ええ。わかっていますとも!」
少女「そういえば、この後、サークルの参加者さんたちはどうするんですか?」
男「ん? そりゃあ、俺たち一般参加者は、ただ帰るだけだが……」
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:18:33.90 ID:Fzl9L1Z/o
男「サークル参加者は、設営を撤収する作業も残っているな」
少女「友人さん、大丈夫でしょうか?」
男「何度も参加してるから大丈夫だと思うけどな」
男「まあ、アイサツくらいはしてやるか」
――友人のサークル
男「おーい、友人。生きてるかー?」
少女「友人さん! お昼ぶりです!」
友人「これは男氏、少女氏www無事で何よりですなwwwぴゃっwwwwww」
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:19:00.93 ID:Fzl9L1Z/o
友人「それであの後、良い買い物は出来ましたかなwww」
少女「んもー、バッチリです!! 気になる本とか、グッズとか、いっぱい買えちゃいました!」
友人「んんwwwそれは何よりwww」
男「はたしてコレで良かったのか……」
白い死神「おい友人ー、ダベってないでゴミ片付けてくれよー」
友人「んんwwwこれはwww申し訳ないwwwwww」
男「お、白い死神か。お前も、毎回ご苦労なコトだな」
白い死神「あれ、男? 今回も来てたのか?」
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:19:29.74 ID:Fzl9L1Z/o
男「いや、本当は不参加のつもりだったんだが……」
男「この子が、どうしてもCOMIKEに行きたいっていうんでな」
少女「こんにちは! 友人さんの、ご友人ですか!?」
白い死神「ああ、そうだ。今回はコイツ専属のファンネルでやらせてもらってる」
白い死神「“白い死神”って者だ。ヨロシクな」
少女「白い死神……? たしかに見た目、白いカンジですけど……」
友人「彼はwww通称“ビッグサイトの白い死神”wwwwww」
友人「狙った頒布物は必ず狙い撃つといわれるwww凄腕ファンネルですなwww」
白い死神「必ず狙い撃つといわれる、じゃない。必ず狙い撃つんだ」
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:19:56.77 ID:Fzl9L1Z/o
少女「なるほど……。スナイパーの方ですか……」
少女「ちなみに、仕留めた敵のご遺族の方から恨みを買ったりは?」
白い死神「はっはっは! たしかに買えなかったヤツから恨みを買うコトはある!」
白い死神「だが、だからこそ転売はしないし、逃げも隠れもしない」
白い死神「その象徴が、この白い服なのさ」パリッ
少女「狙撃手でありながら、歴とした戦士でもある、というコトですね」
少女「……感服します」スッ
白い死神「おいおい、オオゲサだな。単に早くに並んで頒布物買ってるだけだぜ?」
少女「いえ。COMIKEに参加される方々には、敬意を払うべきだと思っていますので」
177 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:20:24.23 ID:Fzl9L1Z/o
男「それで、白い死神。今日の釣果はどうだった?」
白い死神「上々だな! 友人のヤツに頼まれた依頼はすべて完遂した」
友人「まったくありがたいですなwwwwww」
白い死神「今回は、列が長くなりそうな大手は他のファンネルに任せて」
白い死神「俺自身は信用できる大手を複数回る作戦だったんだが……」
白い死神「コレが大当たり! 初参加の大手の列の、長いコト長いコト」
白い死神「案外列を早くさばいた新参の大手もいたのは予想外だったがな」
白い死神「その後は、しつこく島中を爆撃して、俺の目当ても買って、終わり」
男「まったく。お前もお前で、COMIKE、エンジョイしてるな」
178 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:20:52.34 ID:Fzl9L1Z/o
白い死神「それよりも、男。どうしたこの子は? アキバで引っかけてきたのか?」クイクイ
男「……ホント、出会うヤツ出会うヤツ、マジで全員同じ質問するな……」
男「だからそんなんじゃないって。……実は、俺の姪っ子なんだ」
白い死神「うわウソくさ」
男「ちっ……」
黒ずくめ「友人さん、お疲れ様です」
友人「おうふwww黒ずくめ氏、お疲れ様ですなwww」
白い死神「黒ずくめちゃん、今日もイケメンだねー」
179 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:21:24.08 ID:Fzl9L1Z/o
黒ずくめ「茶化すな死神。それよりも、朗報だ」
白い死神「あっコレ絶対朗報じゃないやつ」
黒ずくめ「ほらお前、ツイに写真アップされてるぞ。昼ごろ、戦利品チェックしてただろう」
白い死神「え? ……うわ、マジじゃん! 俺が写真撮ってるところを撮られてる!」
友人「どれどれ……、『白い死神、今日の大手の頒布物ほとんど持ってる……震える……』wwwwww」
白い死神「かーっ! 有名人はつらいわー、かーっ!!」
少女「友人さん、ホントに友達いっぱいいたんですね……」
男「アイツ、ああ見えて交流広いからな」
男「やはり時代は動けるオタクか……」
180 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:21:51.24 ID:Fzl9L1Z/o
友人「あ、そうそうwww少女氏www」
少女「はいっ!? 何でしょうか!」
友人「こちら、黒ずくめ氏wwwwww」
友人「昼ごろに言ってた、我の知り合いの二日目の女性向けサークルの方ですぞwww」
黒ずくめ「おや。貴女が、友人さんのおっしゃっていた……」
黒ずくめ「初めまして。ご紹介に預かった、黒ずくめです」
少女「えっ!? あっ、ハイ!」ビクッ
少女「どどど、どうも。よよよよろしくお願いします」ドキドキ
男「何をビクビクしてるんだ」
181 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:22:19.02 ID:Fzl9L1Z/o
少女「だだだだって、男さん! 黒ずくめさん、スゴいイケメンなんですもん!!」
黒ずくめ「あはは。言いすぎですよ」
男「…………」
男「……黒ずくめさん。あんたその服、まさかフォーマルスーツでCOMIKEに来たワケじゃないよな」
男「というコトは、レイヤーか?」
黒ずくめ「ええ。今日はコスプレエリアで、コスプレをしていました」
男「……重ねて訊くが、男が黒ずくめのコスプレなんてしないよな?」
黒ずくめ「はい、その通りです。お察しの通り、男装レイヤーですよ」
少女「えええっ!! ……お、女のヒト、ってコトですか!?」
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:22:46.23 ID:Fzl9L1Z/o
黒ずくめ「そうですよ。似合っていますか?」
少女「似合ってるも何も……。ほ、本当に男のヒトだと思いましたよ!!」
黒ずくめ「ありがとうございます。イチバンの誉め言葉ですよ」ニコ
少女「うっ……。い、いえ、コチラこそ……」ドキドキ
男「……なあ、友人」
男「どんどん少女がアブナイ領域に引きずりこまれてる気がするんだが」
友人「んんwwwCOMIKEは参加者のカルマを映す鏡www」
友人「少女氏が初めからそれだけの宿業を背負っていたというだけのハナシですなwww」
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:23:13.73 ID:Fzl9L1Z/o
友人「さてwwwwww男氏www少女氏www」
友人「黒ずくめ氏は明日、二日目にサークルを出されるんでしたな?www」
黒ずくめ「はい。今回も、自作の同人誌を出させていただきます」
少女「ち、ちなみに、どんな同人誌を……?」
黒ずくめ「ふふ。当日のヒミツ、というコトで」
友人「というワケでwww我は明日の朝、黒ずくめ氏のサークルに並ぼうと思うのですがwww」
友人「男氏と少女氏も一緒にどうですかな?wwwwww」
少女「えっ! 私たちも、黒ずくめさんのサークルに並ぶんですか!?」
男「おい、友人。ちょっと待て」
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:23:45.18 ID:Fzl9L1Z/o
男「黒ずくめさん、あんたのサークルはどこだ。島か? 壁か?」
黒ずくめ「センエツながら、壁でやらせてもらっています」
男「……なら必然、始発と同時に並ぶ、というコトになるな……」
友人「何か問題がありますかな?www」
男「いや、俺としては問題無いが」
男「心配なのは少女だ。コイツは、COMIKE初参加だぞ?」
男「今日も安全策を取って、昼から会場に入った」
男「なのに、いきなり二日目で、待機列に並んでも大丈夫なモノか……」
少女「男さん……」
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:24:11.62 ID:Fzl9L1Z/o
少女「心配してくださってありがとうございます」
少女「でも、私は大丈夫ですよ!」
少女「今日一日で、COMIKEのフンイキは掴みましたし!」
少女「今なら、朝から待機列にだって、並べる気がします!!」
男「…………」
友人「男氏www少女氏が心配なのはわかりますがwww」
友人「少女氏はCOMIKEに来るというチャレンジを既に行っているwww」
友人「何事もチャレンジですぞwwwwww」
男「…………」
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:24:39.68 ID:Fzl9L1Z/o
男「……そうか」
男「なら、わかった。いいだろう」
少女「男さん!!」
男「ただし! 明日に備えて、今日は早く寝ること」
男「待機中は必ず俺の指示に従うこと」
男「……いいな?」
少女「ええ、もちろんですとも!!」
友人「明日は我も一緒に並びますからなwww」
友人「共に頑張りますぞwwwwww」
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:25:07.10 ID:Fzl9L1Z/o
黒ずくめ「あの……、男さん」
男「なんだ?」
黒ずくめ「大丈夫でしょうか、彼女……」
黒ずくめ「ジマンじゃないですが、僕の列には、かなり人が並びます」
黒ずくめ「明日の天気もどうなるかわからないし、やはり初参加では……」
男「いえ、黒ずくめさん」
男「俺が許可を出したからには、最後まで責任を持ちますよ」
黒ずくめ「……そうですか」
黒ずくめ「彼女を、よろしくお願いしますね」
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:25:35.16 ID:Fzl9L1Z/o
白い死神「おい友人ー、撤収作業終わったぞー」
友人「んんwww死神氏wwwありがたいwwwwww」
友人「では、我らはこれにて失礼いたすwww」
友人「男氏、少女氏、黒ずくめ氏wwwまた明日会いましょうぞwww」
男「ああ。明日行く時は、またホテルに寄るよ」
友人「大歓迎ですぞwwwwwwぴゃっwww」
白い死神「俺は明日もファンネルとして行動する。ココで会ったら、またヨロシクな」
少女「ええ! 二日目で、また会いましょう!」
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:26:02.40 ID:Fzl9L1Z/o
男「さて、俺たちも帰るか」
少女「そうですね。黒ずくめさんは?」
黒ずくめ「僕も着替えたら帰ります。皆さんは、お先にどうぞ」
少女「着替える……? 何でですか?」
男「COMIKEでは、会場の外でのコスプレは禁止されているんだ」
男「だからコスプレイヤーは、会場で衣装を着て、会場で衣装を脱がなきゃならない」
黒ずくめ「そういうコトですね」
少女「…………」ウズウズ
男「……?」
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:26:30.67 ID:Fzl9L1Z/o
少女「ちなみに、黒ずくめさん! 今日のお泊まりは、どこに?」
黒ずくめ「えっ……。都内のホテルですが」
少女「なら、私たちがタクシーで送っていきますよ!」
男「おい……」
少女「いいじゃないですか。お金は私持ちなんですから!」
男「……そうだったな。なら、俺からは異存は無い。黒ずくめさんは?」
黒ずくめ「……、そうですね……」
黒ずくめ「では、おコトバに甘えて」
少女「やったー!」
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:26:57.43 ID:Fzl9L1Z/o
黒ずくめ「……?」
男「……?」
黒ずくめ「では、更衣室で着替えてくるので、少々お待ちいただけますか?」
少女「ええ、ええ! もちろんですとも! 待ってますね!!」
黒ずくめ「ありがとうございます。それでは、後で」
男「……お前、なんで黒ずくめさんを引き止めたんだ?」
少女「だって一緒に帰れば、コスプレしてない黒ずくめさんが見れるじゃないですか!」
少女「私服の黒ずくめさんって、どんなヒトなんだろうなぁ……!」
男「ああ、ナルホドね……」
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:27:33.99 ID:Fzl9L1Z/o
黒ずくめ「皆さん、お待たせしました」
少女「あっ、黒ずくめさ…………」
少女「……ん?」
黒ずくめ「……? はい、黒ずくめですよ」
男「黒ずくめじゃない黒ずくめさんだな」
少女「……男さん」
男「なんだ?」
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:28:01.94 ID:Fzl9L1Z/o
少女「フツーの、女のヒトですね」
男「……お前はいったい、何を期待してたんだ?」
少女「ええ!? そりゃ、こう……」
少女「私服でも隠し切れないイケメンオーラが、バリバリ出てるモノかと!」
男「お前は幻想を抱きすぎだ……」
男「コスプレってのは、たいてい、メイクで理想の姿に近づけるモンだぞ」
少女「そ、そうだったんですね……。メイク、スゴすぎます……」
男「ああ。ここはメイクがスゴいんだと思っておけ」
男「むしろ俺は黒ずくめさんが普通の美人な女のヒトで良かったと思うぞ」
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:28:29.32 ID:Fzl9L1Z/o
――ビッグサイト周辺
少女「へい、タクシー」ビッ!
スーッ キキッ
カパッ
運転手「お乗りください」
少女「あっ、今朝の運転手さん!!」
運転手「おや。奇遇ですな」
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:28:57.21 ID:Fzl9L1Z/o
――秋羽原
少女「……それでですね、ホールに入ったら、そりゃもうスゴかったんですよ!」
運転手「なるほど。私も昔は行ってましたが、最近はスゴいですな」
黒ずくめ「ふふ。三日目はいちばんスゴいよ?」
少女「そうなんですか!? うわはぁ、楽しみだなぁ……!」
男(女子同士の会話にはついていけんな)
男(俺は家につくまで黙ってるとしよう)
男(……というか、しれっと会話についていける運転手さんは何なんだ?)
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:29:24.55 ID:Fzl9L1Z/o
――都内 某ホテル前
黒ずくめ「それでは、僕はここで」
少女「はい! また明日、ビッグサイトで会いましょう!」
黒ずくめ「ええ。……おっと、少女ちゃん」
少女「ひゃぁっ!! きゅ、急に私の首元を触ってどうしたんですか!?」
黒ずくめ「いえ。せっかくのかわいいネックレスのチャームが曲がっていたモノで」
黒ずくめ「身だしなみも油断しないように。家に帰るまでが、COMIKEですよ」ニコ
少女「うっ……。は、ハイ!」
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:29:52.26 ID:Fzl9L1Z/o
少女「そ、それでは、お疲れ様でしたー!」
ブロロロロロ…
少女「……はぁ。黒ずくめさん、やっぱり私服でもイケメンだなぁ……」ウットリ
少女「あんなヒトが書く同人誌って、どんな本なんでしょうね!?」
男「さあな。オシャレなモノも好きそうだし、茶葉の解説本とか……」
男「いや、それなら最初から解説本だと言うか。……同人誌か」
男「まあ、二日目というだけで、だいたい想像はつくがな」
少女「……? まあ、楽しみにしておきます」
198 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:30:19.39 ID:Fzl9L1Z/o
――アパート前の道路
パタン
少女「ありがとうございましたー!!」
運転手「いえいえ。またのご利用を」
ブロロロロロ…
少女「……はー、やっと帰ってきましたよー!! 懐かしき我が家!」
少女「なんだか何日も家を空けていたような気がします!」
男「ああ、そうだな。……まあ、お前は昨日初めてウチに来たハズだが」
199 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:30:52.90 ID:Fzl9L1Z/o
少女「細かいコトは言いっこナシですよ。ほいガチャ、っと……」
――居間
ドシン!!!
少女「ハァー、重かったー!!」
男「まったくだ。こんなに買い物したのは、いつ振りかな……」
男「さて、俺の疲れが取れたら晩飯の時間にする」
男「それまでは、戦利品チェックでもしておけ」
少女「はーい! ああ、これが手に入れたお宝をあらためる感覚……!」
200 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:31:19.92 ID:Fzl9L1Z/o
少女「ふーん、ふーん。健全な本はコッチ、えっちぃ本はコッチ……と」
少女「げ……。この健全じゃない本、ちょっとカゲキすぎません?」
少女「私、こんなの買ってましたっけ?」
男「嬉々として買ってたろうが。俺もサークルさんも顔引きつってたわ」
男「というかカゲキだと思うなら俺に見せるな」
少女「えー。いいじゃないですかぁ、男さんなんだから」
男「どうして俺ならオッケーなんだ」
少女「冷静な自分なら困惑するようなモノでも、無意識のうちに買ってしまう……」
少女「さすがCOMIKE、恐ろしい場所です。熱気にあてられないよう注意しなければ」
201 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:31:46.65 ID:Fzl9L1Z/o
少女「コッチはCDですね。……これって、音楽ですよね?」
男「そりゃそうだが。お前、わからないで買ってたのか」
少女「そうじゃないんですが。ただ、どうやってCDで音楽を聴くのかな、って」
男「な……。ダウンロード世代は、CDの使い方もわからないのか? ウソだろ……」
少女「音楽はケータイで聴くモノじゃないんですか?」
男「ソレも間違っちゃいないが。……とりあえず、CDを貸せ」
男「まず、CDから音楽を俺のパソコンに取り込んで、そこからお前のケータイにコピーする」
少女「よろしくです! ああ、直に話したヒトの作った音楽が聴けるなんて、カンゲキだなぁ……!」
男「人生楽しそうだな、コイツ」
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:32:22.18 ID:Fzl9L1Z/o
男「よし、そろそろ晩飯の時間だ」コト
少女「……? なんですかコレ」
男「何って、ココナッツミルクだが」
少女「いやソレはわかりますが。ば、晩ご飯が……、コレですかぁ?」
男「いちおう聞いてやるが、お前は晩飯に何を期待していた」
少女「そりゃあ高そうなところに外食とか、豪華に出前のお寿司ですね!」
少女「まあ男さんの手作り料理でもいいですよ?」
男「俺の料理が二の次に置かれているのが何となく腹立たしいんだが」
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:32:56.08 ID:Fzl9L1Z/o
男「まず第一に、いちど家に帰った以上、わざわざ外に食べに行ったりしない」
男「寝る時間も遅くなるし、疲れるだけだ」
少女「むーぅ。出不精ですねぇ」
男「次に、なんでわざわざ出前とか高いモン取らなきゃならんのだ」
少女「家にお客さんが来てるんですよ? それにお金は私持ちですし」
男「こういう時だけ客気取りか……。だとしても。だとしてもだ」
男「お前、明日は朝から待機列に並ぶと言っただろう」
少女「ハイ、そうですね。ソレが何か?」
男「よほど死にたいらしいな」
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:33:22.73 ID:Fzl9L1Z/o
男「明日、朝から何時間も並ぶとわかってるのに、前日の夜にバカ食いする奴があるか」
男「討ち死にが目に見えているだろう」
少女「えぇ……。12時間くらいじゃ食べたモノは出てきませんよ」
男「だったら腹に残ってるんだろう。人間、非日常の場では緊張もするし委縮もする」
男「その時、いま食ったモノが胃袋でカーニバらないと何故言える?」
男「それに、排泄のサイクルが24時間だというのなら」
男「お前は今朝から昼にかけて何を食ったか。その腹に訊いてみろ」
少女「うぅ。でも、さすがにココナッツミルクだけでは、空腹でお腹が痛くなります!」
男「わかったよ……。じゃあ、赤いき○ねと緑のた○きがあるから、好きなほう選べ」
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:33:49.87 ID:Fzl9L1Z/o
少女「やったー! 私、カップ麺、大好きなんですよね」
男「インスタント中毒者か。ハンバーガーとか、ファストフードはどうだ?」
少女「あまり食べる機会はありませんでしたが、モチロン好きですよぉ」ベリベリ
男「まあ、今朝にしたって、ケバブ食ってたか……」
少女「おほー、容器の中の乾燥した香りがたまらない」スンスン
少女「お湯あります? ありませんね? 沸かしますよー」
男「急に元気になりやがって。まあ、俺も何か食うか……」
男「……アイツ、どん左ェ門もっていきやがった」
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:34:17.39 ID:Fzl9L1Z/o
少女「ごちそうさまでしたー。このチープな感じは、他に代えられませんね」
男「ココナッツミルクを忘れるな。整腸の役割も兼ねてるんだぞ」
男「それでも胸焼けがすると思うなら、野菜ジュースを飲んでおけ」パカ
男「ヨーグルトもいいぞ」
少女「なんで冷蔵庫の食材は少ないのに、健康食品みたいなのはいっぱいあるんですか……?」
男「食材が少ないのは、この三連休に買いに行こうと思ってたからだ」パタン
男「それに、一人暮らしとなると、どうにも栄養バランスが偏りがちでな」
少女「あはは、きっと良いお婿さんになれますね……」
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:34:44.75 ID:Fzl9L1Z/o
ピーッ ピーッ
男「お……っ。ようやく風呂が沸いたな」
少女「へえ、気付かなかったけど、お風呂もあったんですねー」
男「このアパート、わりと設備は整ってるからな」
男「……それが何故かは、察しろ」
少女「???」
少女「とにかくカラダも服もベタベタしてたので、ようやく汗を落とせそうで、助かります!」
男「今は夏の時期だからな。ましてやCOMIKEの後」
男「ちゃんと風呂に入っておかないと自分も他の参加者もヒドいコトになる」
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:35:20.40 ID:Fzl9L1Z/o
少女「ああ……。たしかに、ちょくちょくですが、異臭を放ってるヒトもいましたね」
男「今日の天気は、朝が雨、昼が曇りだったから、夏コミにしてはかなり楽だったが」
男「その分、湿度が高くて、生乾き臭がスゴかった」
少女「自分の臭いは、自分じゃわからないのが、悩みのタネですね」スンスン
男「それに二日目以降は、家にも帰らず、カラダも服も洗わず」
男「通しで参加しているような野生のモンスターが幾度となく現れる」
少女「草むらならぬ人ごみから飛び出してくるという風情ですか」
男「まあヤツらは野生だから仕方ないが」
男「せめて俺たちはモンスターにならないよう、湯舟につかるぞ」
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:35:48.34 ID:Fzl9L1Z/o
男「で、どっちから先に入る? 俺としては……」
少女「ハイ! 一番風呂、行かせていただきます!!」
男「元気でよろしい」
男「脱いだ服は、脱衣所のデカいカゴに入れておいてくれ」
男「あとで洗濯機で洗うが……。俺と一緒でいいか?」
少女「はあ。構いませんよ」
男「あっそう。まあ、水が節約できて助かるがね」
少女「資源は大切にしないといけませんからね」
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:36:15.80 ID:Fzl9L1Z/o
少女「それじゃあ、また後でー」ダダダ
少女「んー! スッポンポンは快適だなあ!」
少女「わお、洗剤がいっぱい揃ってる! セッケンとボディーソープってどう違うの?」
少女「蛇口をヒネれば水が出るんだよね……。ひゃあ! 冷たぁい!」
男「…………」ハァ
男「知らない男の家でハダカになれば、襲われるかもしれないとか、考えないのかね」
男「いや、泊めてくれるなら何でもするとか言いやがるし、今さらか……」
男「……それとも、俺の常識がまちがってるのか……?」
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:36:45.80 ID:Fzl9L1Z/o
少女「はー! サッパリしました! お風呂、お先です!!」モクモク
男「あ……っ、着替えはあるんだよな?」
少女「ハイ。持参していますが」
男「良かった。さすがに、女モノの服までは用意できないからな」
男「じゃあ、俺も入ってくる。戦利品でも見ながら好きにしててくれ」
少女「はーい! 実は中身が気になってる本があるんだよね……、と!」
男(……なんて、知らない女を一人で部屋に放置する俺も、大概か)
男(お互い、甘い親に育てられたモンだな)
212 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:37:11.70 ID:Fzl9L1Z/o
男「あがったぞー」
少女「あ、うーん」シャクシャク
男「…………」
男「……てめえ、そのアイス、どこから出してきた」
少女「え? そこの冷凍庫からですが」
男「お前の親は人様の家の食い物を勝手に漁って良いとでも教えたか」
少女「そんなワケないでしょう。えへへ」
男「……頭が痛い。もう、好きにしろ」
213 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:37:38.13 ID:Fzl9L1Z/o
少女「う。あ、いたたた。痛たた。きゅ、急に足が……!」
男「ふ。アドレナリンが切れて、痛みの波が来たか」
少女「痛みの波って無知の知みたいですね」
少女「でも痛い、痛いですよぅ。男さんは大丈夫なんですか?」
男「……今は、大丈夫だな」
少女「え? それって……」
男「……最近、痛みが来るのが遅くてな」
少女「…………」
少女「……イヤですね、老化って」
214 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:38:13.84 ID:Fzl9L1Z/o
男「だが、当座の問題はお前だ。足は大丈夫か?」
少女「うーん、歩くのには問題無いと思いますけど。やっぱり痛いです」
男「どれ……。うーん、たしかに両足とも熱持ってるな」ピタ
男「とりあえず、冷水でひやすか」
――浴室
シャワー
少女「わっはー、つっめたーい!!」バシャバシャ
男「暴れるな、俺にもかかるから! ヒエッ、つめてっ!!」
215 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:38:42.48 ID:Fzl9L1Z/o
――居間
少女「ふえ〜、冷えた冷えた」
男「体温が下がって硬直したままだと筋肉痛めるぞ。揉んでやる」
少女「いいんですか? じゃあ、背中もマッサージお願いします」
男「誰がそこまでやるか。エステ屋いってこい」グイグイ
少女「―――あ゙ッ、気持ちイ゙ィ゙〜〜……」ゴキゴキ
男「えらい音が出てるぞ、色々と。普段カラダいたわってるか?」
少女「はあ? 疲れなんて、寝れば治るでしょう」
男「若いっていいね。でも、たまにはじっくり休むのもダイジ……」
216 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:39:09.46 ID:Fzl9L1Z/o
男「…………」
少女「……? どうかしましたか」
男「……へ? あ、いや」
男「脚、長いな、と思ってな」
少女「どこ見てんですか。んー、他のヒトの脚とか意識しないんで、何とも言えませんが」
少女「あ、でも、回し蹴りとかトクイですよ?」シュッシュッ
男「トクイと自称できるほど回し蹴りを撃つ機会があったのか」
男「陸上部?」
少女「そこはカラテとかじゃないんですか? まあ、いずれでもありませんが」
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:39:35.74 ID:Fzl9L1Z/o
男「ふーん。あっ、そう」
男(……なんだ、この足のマメの数)
男(片足だけで軽く10個は超えてる。ハッキリ言って異常だな)
男(だが、今日のCOMIKEで出来たのかといわれると)
男(そんなに新しいマメが多いようには見えない)
男(マメは前からあったと考えるべきか)
男(……コイツ、いったい今までどこで、何をしてきたんだ?)
男(知識が食い違う部分もあるし。ワケがわからんな)
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:40:02.62 ID:Fzl9L1Z/o
男「……よし、こんなモンだな」スッ
少女「ふいー! ありがとうございます、だいぶ足が軽くなりました!」ブンブン
男「そりゃ良かった。あとはサロロンパスを貼っといてやる」ペタ
少女「うーん、つめた〜い……」
少女「あ、そうだ。余ったサロロンパス、ちょっと分けてもらえます?」
男「別にいいが。何に使う?」
少女「ふふん。鼻にペタリ」
少女「どうですか! 勝利の勲章です!」ヘヘッ
男「アホだコイツ……」
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:40:29.54 ID:Fzl9L1Z/o
男「よし、そろそろ寝るぞ」
少女「えー? まだ7時ですよ? 若い時から、お年寄りですか?」
男「年寄り扱いするな、まだ大学生だぞ」
男「……今日、何時に起きたか覚えているか?」
少女「ああ……。たしかに、まだ暗い時でしたね」
男「そういうコトだ。早く起きなきゃならないし、睡眠時間を欠いてもいけない」
男「COMIKEはスポーツだ。戦場だ。まず万全の体調が大前提と知れ」
少女「んー、ハイ! そうですね! おやすみなさい!!」
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:41:03.83 ID:Fzl9L1Z/o
男「ちょっと待て。何故お前は当然のようにベッドを占領している?」
少女「え……? あ、たしかにベッド一つしかありませんね」
少女「ごめんなさい。このベッドは男さんに譲るべきですね」
男「お、おう……。急に殊勝だな」
少女「衣食住の重要性は心得ているつもりです」
男「でも、いいよ。お前がベッドで、俺がザコ寝。それで構わない」
少女「え? いいんですか?」
男「別に。礼儀には礼儀を、というやつだ。例えば友人とかなら蹴り飛ばしてたがな。じゃ、消すぞ」
少女「はーい」
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/25(金) 19:41:42.47 ID:Fzl9L1Z/o
パチ
男(……やれやれ。やっと一日目が終わったか)
男(本当に長い一日だった)
男(……まさか、三連休がこんなコトになるとはな)
男(昨日までは思いもしなかった……)
男(さて、今日は比較的うまくいったが、明日はどうかな)
男(……考えても仕方ないな。答えの出る問題じゃない)
男(……寝るか)
222 :
◆mclKiA7ceM
[saga]:2017/08/25(金) 19:42:08.82 ID:Fzl9L1Z/o
第一章は以上になります。
第二章は、明日18時ごろの開始を予定しています。
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/25(金) 19:52:23.53 ID:wkorhzzKO
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