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【安価】京太郎「咲 ドラフ島編」【コンマ】 Part.3
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204 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:18:57.96 ID:RQAa2nKeO
智葉「久しぶりだな、須賀」
京太郎「……久しぶりってほど時間経ってないでしょ」
智葉「そうだったな」
ビッ!!
「……ボール!!」
智葉「あれからみんなと会ってないのか?」
京太郎「……そりゃまぁ」
京太郎「北は北海道、南は福岡まで」
京太郎「スケジュールの都合上、中々会う機会に恵まれなくて」
智葉「お前は芸能人か」
ネリー「(……何喋ってんだろ? )」
智葉「同じ奈良県の連中は?」
京太郎「…………」
智葉「気にならないのか?」
京太郎「……べっつにィ」
智葉「……………」
ワーワー!!
智葉「……なぁ、須賀」
智葉「今ここで言うのもなんだが、私はお前たちと草野球ができて――」
――ダッ!!
智葉「…………」
智葉「は、」
205 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:19:24.88 ID:RQAa2nKeO
「走った!!」
ネリー「え 」
ビッ!!
――ザッーー!!
「セーフ、セーフ!!」
京太郎「おーし、3塁盗塁成功!!」グッ
ワイワイ、ガヤガヤ
「「いいぞ、いいぞ、須賀!!」」
「「いいぞ、いいぞ、須賀!!」」
「「「ワァァァァァァ!!!」」」
ネリー「……なにあの金髪?」
智葉「さぁ?」
智葉「……何なんだろうな」
ワーワー!!
京太郎「……小走センパイ頼みますよ!」
京太郎「犠牲フライで一点。内野ゴロでも場合によっては一点です!!」
キーン!!
ネリー「……キャッチャー!!」
「平凡なキャッチャーフライ!!」
「ランナー残塁!!ツーアウト!」
京太郎「…………」
やえ「……………」
京太郎「おや?」
206 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:19:52.02 ID:RQAa2nKeO
そんなこんなで試合は終わり、結果は3対1と惜しくも負けたのであった。
由華「しょ、しょうがないですよ」
由華「臨海高校が相手ですから」
やえ「う、うるさい!!」
やえ「別に悔しくなんて……」
京太郎「……………」
『小走さんのお姉さん――』
智葉「この先にある大学病院」
京太郎「え?」
智葉「あそこに宮永 照が入院している」
智葉「お見舞いくらい行ってきたらどうだ?」
京太郎「…………」
やえ「帰って練習だ!!」
由華「む、無理ですよ。奈良に帰る頃には夜になりますから」
やえ「……ならここで練習だ!!」
由華「なおさら無理ですよ。臨海高校さんのグラウンドですから」
ダヴァン「ワタシ達は構いませんヨ」
ネリー「お金を払ってくれるならね」
やえ「よーし!聞いたな、お前ら!」
やえ「さっそくやるぞ!!」
初瀬「……あ、あの〜」
やえ「なんだ!?」
初瀬「須賀がいません」
207 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:20:23.12 ID:RQAa2nKeO
病室
照「……………」ポリポリ
『昨夜未明、〆切を守らない漫画家が殺されたとの凄惨な事件が――』
ドンガラガッシャーン!!
照「?」
バンッ!!
京太郎「何だこの病室は!?」
京太郎「こんなにたくさんの花束を贈られやがって!!」
京太郎「テレホンショッキングじゃねえんだぞ!!」
照「…………」
京太郎「あ、どうも。須賀 京太郎です」ペコッ
照「……人の病室に怒鳴り込んでくるなんてヤクザなの?」
京太郎「意外と元気そうですね。顔色もいいし」
京太郎「毛艶も抜群ですね」
照「ここはパドックじゃないよ」
京太郎「あ、こりゃ失礼」アハハ
208 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:20:56.89 ID:RQAa2nKeO
「いつ退院できるんですか?」
「いつでも。菫の許可さえあれば」
「なーんだ、そりゃ?」
「夏の大会までの休養だって」
「……確かに天下の白糸台のエースに草野球で倒れるまで投げられちゃ堪らんよな」
「………………」
照「……咲が」
照「咲がお見舞いに来たんだ 」
京太郎「……………」
照「でも、何を喋っていいのか全然分からなかったよ……」
京太郎「……そんなもんじゃないですか」
京太郎「久しぶりに会った家族といきなり再会したら、誰だって戸惑います」
京太郎「元気でいることが確認できたら、それだけで十分だと思いますよ」
照「…………」
京太郎「それじゃあ、宮永先輩。」
京太郎「俺は帰りますよ」
京太郎「お見舞いの品のケーキがグチャグチャでも、俺のせいじゃないですから」
照「……待って。」
照「咲と何があったのか、聞かないの?」
京太郎「どうせくだらない理由でしょ」
バタンッ!
照「………………」
209 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:21:24.01 ID:RQAa2nKeO
京太郎「…………」
菫「やぁ久しぶりだな」
菫「……時間はあるかな?」
……………………。
菫「いい役をやっているな」
京太郎「何もやっていませんよ」
京太郎「遅かれ早かれこうなっていた。それだけです」
菫「だが、きっかけにはなった」
菫「あの二人を引き合わせるな」
菫「人間の関係というのは、ほんの少し内側に踏み込めるかどうかで大きく変わることもある」
菫「野球と一緒だ」
京太郎「………………」
菫「この後はどうするつもりだ?」
京太郎「……どうするって言われてもね」
菫「あの二人はもう大丈夫だぞ。お前がやってあげれることは何もない」
菫「だったら、お前も―…」
京太郎「『お前も』?」
菫「…いや、やっぱりいい」
菫「流石に余計なお世話だな」
菫「また会おう」
菫「須賀 京太郎くん」
タッタタタ……。
京太郎「……何しに来たんだ?」
京太郎「あの人」
210 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:21:55.46 ID:RQAa2nKeO
ところ変わって、奈良。
須賀家。
「おーい、京太郎」
京太郎「……………」
須賀父「父さんだよ」
京太郎「そうだっけ?」
須賀父「親の顔も忘れたのか? 」
京太郎「……おっかしいなぁ。さっきまで東京にいた気がすんだけどな」
須賀父「SSの展開の速さを見くびってもらっては困る」
京太郎「…………」
京太郎「……ま、いっか」
……………………。
『いよいよ明日に迫った、奈良地区予選。』
『今年も勿論大本命である晩成高校は大会3日目の第一試合から登場します』
須賀父「しかしお前も運のない男だな」
須賀父「宮永 照が試合中に倒れるなんてな」
京太郎「……運がない?」
京太郎「逆だろ。そのおかげで、優勝できたんだから」
須賀父「そっか、そっか」
須賀父「知らなかったよ。お前がそんなもんに興味があったなんてな 」
京太郎「……………」
211 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:22:22.14 ID:RQAa2nKeO
優勝をし、閉会式が終わった後は杏果さんの旅館での優勝パーティが開かれた。
ただ純粋に楽しむだけのパーティ。
誰一人として、宮永 照のことや、これからの事を口にする人はいなかった。
京太郎「おかしいよな。別に憎しみ合ってるわけでもないのに」
京太郎「ただ味方だったのが、敵に変わるだけで」
京太郎「こんな――……」
須賀母「なにいい若いもんがシミジミと回想してんのさ」
京太郎「……………」
須賀母「ゴロゴロされてても邪魔だからどっかに、いったいった」
京太郎「……うるせえな」
京太郎「休養日なんだよ、今日は。」
須賀母「なーにが、高校生の分際で偉そうに休養日だい」
須賀母「主婦に休みなんかないのにさ」
『同じ奈良県の連中は?』
『気にならないのか?』
京太郎「……わかったよ」
須賀母「何が分かったんだい?」
タッタタタ……。
須賀母「……どこに行くんだい?」
京太郎「…………」
京太郎「敵情視察」
212 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:22:49.02 ID:RQAa2nKeO
カランコロン
「いらっしゃいませー」
「福山みたいな髪型にしてください」
「福山 雅治さんみたいな感じですね。畏まりました」
「あ、そっちの福山じゃなくて……」
「福山 潤みたいな感じで」
散髪、2000円。
「お客さん着きましたよ。」
「1980円になります」
「はい、2000円。」
「釣りはいらねえぜ」
奮発、20円。
そんなこんなやってる間に――
『阿知賀学院』
京太郎「……何でこんな僻地に学校があんだよ」
京太郎「タクシー代請求するぞ」
京太郎「ったく」
高鴨 穏乃に原村 和に新子 憧。
かつて、この三人がここで出会った。
阿知賀こどもクラブのメンバーとして
京太郎「……勝手に入っていいのか?学校って」
京太郎「しかも、ここ女子高だろ?」
京太郎「……………」
京太郎「……ま、いっか」
213 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:23:25.24 ID:RQAa2nKeO
阿知賀学院 校内
タッタタタ……。
京太郎「中高一貫のお嬢様学校って聞いてたけど、普通の校舎だな」
京太郎「こんな山にあること以外は」
小学は三人揃って
中学で一人離れ、二人離れ
そしたら、一人戻って来て
変な島でまた三人揃って
京太郎「……そして、また一人離れた。」
京太郎「さぁ、残った人は誰でしょう?」
京太郎「……………」
京太郎「アホらし。何考えてんだ、俺は」
京太郎「とっととグラウンドにいこ」
トッタタタ……。
京太郎「……ホント」
京太郎「普通の校舎だな」
214 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:23:54.54 ID:RQAa2nKeO
京太郎「今日の練習は午後から?」
「うん。そうなんです」
「明日から大会なんで、軽く汗を流す程度にって先生が」
京太郎「はぁ」
「……ところでキミは?」
京太郎「通りすがりの野球部員です」
「野球部員?」
京太郎「はい。早熟高校っていいます」
「早熟高校?……聞いたことないなぁ」
京太郎「そりゃそうだ」
「え?」
京太郎「ん?」ニコッ
ワイワイ、ガヤガヤ
「あー、クロチャーだ!!」
「ねぇねぇグラウンド使ってもいいでしょ!!」
「んー、内野は今グラウンド整備しているから外野なら使ってもいいよ」
「それと硬球は危ないから使わないように!」
「「「はーーい!!」」」
ダッタタタ!!!
「あ、ごめんなさい」
「話の続きだったのに――ってあれ?」
「どこに行ったんだろう?」
「早熟高校の人」
215 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:24:27.13 ID:RQAa2nKeO
京太郎「あれが『クロちゃん』か」
京太郎「確かにどっかの妹よりは、しっかりしてそうだな」
京太郎「……………」
グゥゥ
京太郎「腹減ったぁ……」
京太郎「流石に駅の方へいけば何かあるよな」
………………………。
何かあった。
『和菓子の高鴨』
京太郎「…………」
京太郎「いやいや、俺は昼飯を食いに来たんだ。和菓子屋に用なんて――」
『和菓子ランチ!』
『おしるこ定食あります!!』
京太郎「なんちゅう和菓子屋だ」
京太郎「…………」
京太郎「偵察しとくか」
――ガラッ
216 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:24:56.95 ID:RQAa2nKeO
穏乃「いらっしゃいませー!」ニコッ
京太郎「すいません、間違えました」
穏乃「あっーー!!」
京太郎「………」
穏乃「あっーー!!」
穏乃「あ――フガフガ」
京太郎「分かった、分かったから」
………………。
穏乃「ご注文は?」
京太郎「……おしるこ定食 」
穏乃「へい!おしるこ入りまーす!」
「「「毎度おおきに!!!」」」
京太郎「……ここはなに屋だ?」
穏乃「和菓子屋。他にも土産品とか売ってるけど」
穏乃「ほら、奈良県名物の鹿せんべい」
穏乃「京太郎の好物でしょ?」
京太郎「そうそう!」
京太郎「この糠で出来た味がたまんないのよ」ニコニコ
京太郎「――ってか!!」
――グイッ
穏乃「い、痛いれふ……。つねらないでぇ……」
パッ
217 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:25:27.12 ID:RQAa2nKeO
穏乃「今日は吉野に何しに来たの?」
京太郎「偵察だよ」
穏乃「この辺に高校ってあったっけ?」
京太郎「……阿知賀学院ってとこがあるらしいぜ 」
穏乃「阿知賀学院?」
穏乃「聞いたことあるような、ないような……」ウムム
京太郎「……………」
穏乃「……あっーー!!」
穏乃「私の高校だ!!」
京太郎「……………」
穏乃「っで、何しに来たんだっけ?」
京太郎「おしるこはまだかなぁ!? 」
……………………。
綾乃「はい、おしるこ定食」
京太郎「ありがとうございます」ペコッ
綾乃「珍しいわね。穏乃が男友達を連れてくるなんて」
穏乃「うん!友であり、かつてのチームメイトであり、そして――」
穏乃「……これから3年間戦い続ける最高のライバル。」
京太郎「……………」
綾乃「……おしるこ、冷めちゃうわよ」
京太郎「あ、はい」
京太郎「頂きます」
218 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:26:02.82 ID:RQAa2nKeO
穏乃「じゃ!行ってきまーす!!」ブンブン
綾乃「気をつけてねー」
京太郎「………………」
…………………………………。
京太郎「何で店の手伝いなんかしてんだ?」
穏乃「『なんか』って……。」
穏乃「この辺は、みんな店の手伝いしてるよ」
京太郎「子供でもか?」
穏乃「うん」
京太郎「わー、耳が痛いなぁ 」
穏乃「あ!」
穏乃「おーい、灼さーん!!」ブンブン
京太郎「灼さん?」
灼「……穏乃。」
穏乃「こちら鷺森 灼さん。私たちの部長です」
京太郎「……どうも」ペコッ
灼「……どうも」ペコッ
京太郎「………………。」
灼「……………。」
京太郎「(おかっぱ、ネクタイ、この辺の子……)」
灼「(金髪、高身長、穏乃と一緒……)」
灼「……分かった。この人が――」
京太郎「もしかして、実家はこけし屋ですか?」
灼「え?」
京太郎「ん?」ニコッ
219 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:26:29.72 ID:RQAa2nKeO
灼「……ウチに偵察?」
京太郎「あ、いや、偵察というと大げさというか……」
穏乃「はい!いいですよね?」
京太郎「むしろ、みなさんがどのような練習をしているのか参考にしたいというか……」
灼「別にいいとおも……」
京太郎「あ、やっぱりダメですよね」テヘヘ
灼「ハルちゃ――先生には私から言っとく」
京太郎「え?」
穏乃「やったね!いいってさ!」
京太郎「…………」
灼「……高校の名前は?」
京太郎「あ、はい。 早熟高校っていいます」
灼「すぐにバレる嘘はよくないとおも……」
灼「スクールバックくらい隠したら?」
京太郎「あ」
灼「そんな嘘に騙されるのは、よっぽどのお人好しかおマヌケさん」
京太郎「……………」
220 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:26:56.94 ID:RQAa2nKeO
玄「あー!!さっきの早熟高校の人だ!」
灼「クロ…… 」
玄「どうしたの?灼ちゃん」
玄「可哀想な人を見る目をしてるよ?」
宥「わぁー、京太郎君だぁ」
宥「お久しぶりー」
京太郎「久しぶりってほど、時間経ってないですよ」
宥「そうだっけぇ?」
憧「……はいはい」
憧「はやく練習しましょ。どっかの高校と違ってナイター設備もないんだから」
京太郎「…………」
憧「……なによ」
京太郎「べっつにィ」
玄「……あんま仲良くなさそうだね」
玄「同じチームだったはずなのに」
灼「…………」
221 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:27:43.06 ID:RQAa2nKeO
穏乃「いきますよー!レフト!」
――スカッ
穏乃「……………」
憧「……ノックできないなら、投げれば?」
穏乃「……その手があったか! 」
…………。
京太郎「……緩いな」
「そりゃ、晩成と比べたらそう見えるかもな」
京太郎「……………」
「初めまして。私は、ここの監督の――」
京太郎「……『阿知賀のレジェンド』」
京太郎「赤土 晴絵」
晴絵「何だ知ってたのか」
京太郎「有名人ですから、晩成では」
晴絵「……相変わらず嫌われてるみたいだな」
京太郎「どっかの先輩にはね」
穏乃「いきますよー、センター!!」
ブンッ!
晴絵「一度、喋って見たかったんだよ。キミとは」
晴絵「私の教え子を4人も預けたからな」
京太郎「4人?」
京太郎「……そうか原村もか」
晴絵「ああ、元気そうで安心したよ」
晴絵「色々と成長したみたいだし」
穏乃「次、ライト!!」
ブンッ!!
222 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:28:17.59 ID:RQAa2nKeO
京太郎「……こどもクラブってここで練習してたんですか?」
晴絵「ああ。この辺じゃ、他にグラウンドもないしな」
京太郎「そうですか……」
あの三人はここにいた。
揃って過ごした時間は僅かだったのかも知れないけど
確かに、ここにいた。
晴絵「……『阿知賀とは戦えません』か」
晴絵「それは友情かな?それとも――」
晴絵「恋かな?」
京太郎「……………」
――ゴンッ!
京太郎「痛ッ!?」
晴絵「『何言ってんだ、このオバサンは?』」
晴絵「……って思ったろ?」
晴絵「隠しても無駄だぞ」
晴絵「鼻っから情報戦ではウチが圧勝してるんだ」
京太郎「………………」
晴絵「遠慮はいらんぞ」
晴絵「お前も甲子園にいく資格は十分あるからな」
タッタタタ……。
晴絵「おーし、穏乃。ノック代わるぞ」
京太郎「………ったく」
京太郎「最近のオバサンは」
223 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:28:45.26 ID:RQAa2nKeO
晴絵「最後、キャッチャー!」
カキーン!!
憧「………………」
――ポテーン、ポテーン
晴絵「……おい、何ボケッとしてんだ?」
晴絵「せっかく上手くあげてやったのに――」
宥「……帰っちゃったね」
宥「京太郎くん」
穏乃「……だよ。一言くらい言ってけよ」
晴絵「……………」
憧「敵にいちいち声をかける必要もないでしょ」
憧「ほら、早くキャッチャーフライあげてよ」
晴絵「……『ロミオとジュリエット』か」
憧「誰がジョージエッタだって?」
晴絵「誰がロメロだって?」
――カキーン!!
224 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:29:12.35 ID:RQAa2nKeO
『皆様、本日は○○空港をご利用頂き誠にありがとうございます。』
『お出口は前方と中央2箇所にございます。皆様にまたお会いできますことを――』
乗務員「お客様、お客様。お休みのところ申し訳ございません」
「んぁ?」
乗務員「目的地の羽田に到着いたしました」
「あーそ、ありがとさん」
「……正月以来か。元気にしてっかなぁ」
「杏果たちは」
225 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:29:40.68 ID:RQAa2nKeO
そして、次の日。
奈良県大会開幕――
須賀母「今日から合宿所にいくのかい?」
京太郎「おう」
須賀母「そうか。何回勝てば甲子園?」
京太郎「シード校は5回」
須賀母「そうか、そうか」
須賀母「その後はどうすんだい?」
京太郎「は?」
須賀母「甲子園にいった後は、プロにでもなんの?」
京太郎「……知らね」
京太郎「高校生活は3年間あるからな。他にやりたいことが見つかるかも知んねえし」
須賀母「あ、そ」
須賀母「お前にそんな沢山の取り柄があるなんて知らなかったよ」
京太郎「…余計なお世話だ」
――バタンッ
須賀母「いってらっしゃい」
「行ってきまーす」
226 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:30:07.41 ID:RQAa2nKeO
「オン!オン!」ハッハ
京太郎「よう、バカカピバラ」
京太郎「元気か?」
「………オン?」
京太郎「……『誰だテメェ』みたいな顔してんな」
京太郎「たった3ヶ月でご主人様の顔を忘れやがって」
京太郎「………………」
『――たった、3ヶ月か』
はい、奈良県大会開幕。
227 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:30:42.28 ID:RQAa2nKeO
我ら王者晩成高校が見守る中、下々の諸君で争う一回戦。
無名、有名、初出場。何でもござれの中、久しぶりのご参加
阿知賀学院。
……ズバーンッ!!
「ストライク!バッターアウト!!」
「ゲームセット!!」
ワーワー!!
穏乃「ッシャ!!灼さん、ナイスピッチングです!!」
穏乃「憧もナイスリード!!」
穏乃「宥さんと玄さんはナイスバッティング!!」
灼「賑やかなセンター……」
エースの高鴨 穏乃はセンターで温存したままの
5回、13対3。
コールド勝ちで初陣を飾った。
晴絵「おーし、勝ったな。大勝だ」
憧「どこがよ」
憧「エラーにバントミス、サインの見逃し、その他諸々。」
憧「まだまだウチの野球は荒い」
晴絵「そう言うなよ」
晴絵「この間までズブの素人を3ヶ月でここまで育てたんだ」
晴絵「まずは初戦突破を喜ぼうな」
晴絵「な!」ニコッ
憧「………………」
228 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:31:23.95 ID:RQAa2nKeO
そして、二回戦から登場
王者・晩成
やえ「………………」
ガヤガヤ、ガヤガヤ
「小走先輩、出ないのか?」
「そりゃそうだろ。ベンチスタートで温存だよ」
「うへぇー、流石ウチ。余裕あんなぁ」
初瀬「……………」
京太郎「やーい、ベンチ内選手」ケラケラ
初瀬「……うん。ありがとう」
京太郎「…………」ポリポリ
……………。
やえ「最後、18番!」
やえ「岡橋 初瀬!!」
初瀬「……………」
京太郎「おーい、岡橋 初瀬くん?」
京太郎「呼ばれてんぞ」
初瀬「変だな。いないのかな」
やえ「岡橋 初瀬!!」
ビクッ!
初瀬「うぇぇ!?」
初瀬「私ですか!?」
やえ「他に誰がいるんだ?」
……………。
京太郎「……流石にこんなとこで負けたら笑いモンだよな」
京太郎「おーし」グッ
京太郎「少し遅めの高校野球を始めよう」
「プレイボール!!」
229 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:31:51.08 ID:RQAa2nKeO
結果は言うまでもなく……
『お見事!相手に一本のヒットも許すことなく、15対0!!』
『流石は王者ですね。今年も盤石の体制で二回戦を突破しました』
憧「これが本当の大勝」
晴絵「いやー、恐れ入ったよ」
宥「当たり前のようにノーエラー」
玄「息をするような連打」
灼「しかも――」
穏乃「エースの小走さん抜きで」
『それでは、エースの小走 やえさんに話を伺いましょう』
『大勝でしたね』
『はい、大勝でした』
憧「……にゃろ 」
そして、三回戦もエースの小走 やえをベンチで温存したまま突破。
ベスト4へと駒を進めるのであった。
230 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:32:36.63 ID:RQAa2nKeO
京太郎「『臨海高校ベスト4進出』」
京太郎「『愛宕姉妹、完封勝利』」
京太郎「『哩姫バッテリー、夜のアベックホームラン』」
京太郎「……みんな、ちゃんと勝ってるみたいだな」
京太郎「強豪校の面子は。」
京太郎「……………」
京太郎「有珠山、有珠山」
京太郎「――よし、勝ってる」
かつての仲間たちの目覚ましい活躍ぶりを調べながら、一つ気がかりとなっているのが……
京太郎「清澄――」
京太郎「……は1番心配いらねぇよな」
京太郎「原村に咲がいるんだから」
『お前があの姉妹にしてやれることは何もないぞ』
京太郎「……って」
京太郎「何の心配してんだ、俺は」
由華「須賀くん。練習の時間だよ」
京太郎「はいはーい」
タッタタタ……。
『清澄高校、強豪・風越を下しベスト4進出!!』
『二人のヒーロー、原村・宮永!』
231 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:33:06.13 ID:RQAa2nKeO
京太郎「ジョージ・マッケンジー!!」
カキーン!!
京太郎「イチロー・スズキ!!」
カキーン!!
京太郎「ムネノリ・カワサキ!!」
カキーン!!
京太郎「……ッシャ!絶好調!!」
記者1「明日は準決勝ですが、なにか意気込みは?」
やえ「特には。いつも通りやるだけです」
記者2「なるほど、なるほど。『いつも通り、感謝の心を忘れずに全力で自分たちのプレーが出来るよう精一杯の努力をすると』」メモメモ
やえ「……………」
記者1「そういえば勝ち上がっているみたいですね。今から10年前に晩成を負かした唯一の高校」
記者2「ああ!名前は確か――!」
記者2「……なんだっけ?」
やえ「阿知賀学院」
記者1「そうそう!ピッチャーが結構いい球を投げるんですよ」
記者1「名前は――……」
やえ「高鴨 穏乃」
記者2「そうそう!そんな名前!」
やえ「……ニワカ記者が」ボソッ
京太郎「カミカゼ!」
カキーン!!
京太郎「タカ・タナカ!!」
232 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:33:32.42 ID:RQAa2nKeO
「おおい、京太郎」
京太郎「はい?」
「変な服装のオバサンがお前の名前を呼んでんぞ」
「メイド服ぽいのを着て、サングラスをかけたオバサン」
京太郎「……もしかして、首からヘッドホンぶら下げてました?」
「おお!やっぱり知り合いか!」
「この熟女好きめ!」ニヤニヤ
京太郎「………………」
……………………。
はやり「しまってこー☆」
はやり「おーー!!」
京太郎「……何やってんスか?」
はやり「おお!私の愛弟子!」
京太郎「変な服装のオバサンが大声で叫んでてうるさいってクレームが来てますよ」
はやり「おかしいね。オバサンなんかいないのに」
京太郎「…………」
はやり「文句あっか☆」
京太郎「あ、ないです」
京太郎「帰りに観音様にお参りします?」
はやり「ここが浅草だよ、おっかさん♪」
はやり「――ってか!」キャハ
京太郎「……………」
はやり「なんか言えよ☆」
233 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:34:24.94 ID:RQAa2nKeO
「準決勝は明日?」
「はい」
「なら決勝は明後日か☆」
「はい」
はやり「なるほど、なるほど☆」
はやり「なら決勝は杏果ちゃんと観に行くよ」
京太郎「負けるかもしれませんけどね」
はやり「負けたがってるの間違いでしょ☆」
京太郎「……は?」
はやり「そんなわけないか☆」
京太郎「……若者いじめて楽しいスか?」
はやり「はやや〜?」
ミーン、ミーン
はやり「奈良って暑いね」
京太郎「どこでも熱いですよ、この季節は」
はやり「そっか 『熱い夏』か」
京太郎「羨ましいですか?」
はやり「京太郎君にしかなかったならね。」
はやり「私にもあったから」
はやり「『熱い夏』は」
ミーン、ミーン
――ミーン、ミーン
234 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:34:52.23 ID:RQAa2nKeO
はやり「いい言葉教えてあげるよ 」
京太郎「はぁ」
はやり「『 この道を行けばどうなるものか。危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。』」
はやり「『踏み出せばその一歩が道となり、その一足が道となる 』」
はやり「『迷わず行けよ、行けばわかるさ」 』」
京太郎「……誰の言葉ですか?」
はやり「世界一有名なプロレスラー☆」
京太郎「プロレス好きなんスか?」
はやり「人並みにはねぇー」
京太郎「あ、そ」ポリポリ
はやり「そうそう、言い忘れてた」
はやり「草野球大会優勝おめでとう☆」
京太郎「……………」
「勝つと信じてたよ――」
235 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:35:36.49 ID:RQAa2nKeO
合宿所
『お前にもあるぞ、甲子園にいく権利は』
『負けたがってるの間違いでしょ?』
京太郎「……ったく、最近の大人は」
タッタタタ……。
ワーワー!!
『ストライク!バッターアウト!!』
『決まったぁ!ベスト4最後の椅子は阿知賀学院!!』
『これで10年ぶりのベスト4進出です!』
京太郎「……阿知賀勝ったんですか?」
良子「ん?ああ、そうみたいだな」
※上田 良子。髪型がすごい人です
日菜「10年ぶりのベスト4。まさか、本当にここまで来るなんて……」
※木村 日菜。メガネの人です
紀子「…………」
※丸瀬 紀子。小走さんを羽交い締めしていた人です
紀子「……さっきから何これ?」
京太郎「あ、一応念のために」テヘヘ
『これで40校あった高校も残りは、わずか4校となりました。』
『明日の第一試合は晩成高校対……』
『注目の阿知賀は第二試合となります』
『果たして甲子園への切符を掴むのはどの高校となるのか!』
ピッ
236 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:36:12.89 ID:RQAa2nKeO
「おおい、京太郎電話ー」
※モブの人。特にないです
京太郎「電話?俺に……?」
「お前もモテるなぁ。オバサンの次は女子校生か」
京太郎「……女子校生?」
…………………。
京太郎「はい、もしもし」
『私ですよ、私』
京太郎「……どの『私』ですか?」
『あなたにそんな電話をかけてくる女性が多いなんて知らなかったです』
京太郎「その生意気な『私』は原村だな」
『別に生意気ではありませんよ』
『あなただけ特別です』
京太郎「おー、そいつは光栄だねぇ」
京太郎「じゃあな」
『まだ要件は言ってませんよ』
京太郎「……誰か殺してほしいなら、頼む相手を間違えてんぞ」
『穏乃たちについてですよ』
『……………』
『……あなたに戦えますか?』
『穏乃たちと』
京太郎「……やっぱり殺す気なのか!?」
『………………』
京太郎「あ、どうぞ続けて」
237 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:36:57.02 ID:RQAa2nKeO
『戦うって試合の方ですよ』
京太郎「そりゃそうだ」
『……もう一度聞きます』
『穏乃たちと戦えますか?』
京太郎「…………」
京太郎「……無理って言ったら?」
『はっ倒します』
京太郎「弁護士の娘が暴力か」
『殴られなければ分からないこともありますよ』
京太郎「……日本の法曹界に1石を投じる一言だな」
『勝ちたがって負けるのなら、許します』
『負けたがって負けるのなら、許しません』
京太郎「どいつもこいつも……」
『はい?』
京太郎「原村」
京太郎「お前はどっちに勝って欲しい?」
『………………』
『穏乃たちです』
京太郎「…………」
『……バカ』
京太郎「……ごめん」
――ピッ
238 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:37:25.84 ID:RQAa2nKeO
ピッ
「京ちゃんに電話してたの?」
和「……咲さん」
咲「いいよ。隠さなくたって」
和「……はい」
咲「明日はあっちも準決勝か」
和「はい」
咲「好きなんでしょ?」
和「はい?」
咲「京ちゃんのこと」
和「……………」
――バンッ!!
和「そんなオカルトありえません!!」
咲「……………」
和「……………」
咲「……いいよ。別に隠さなくたって」
和「隠してなどいません!! 」
咲「ムキになるところが――」
和「ムキになどなっていません!!」
和「至って冷静です!!」
和「…………!」ハァハァ
咲「…………」
咲「……明日は準決勝か」
『勝ち上がってきなよ。私の幼なじみ』
和「勝手に話を終わらせないで下さい!!」
239 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:37:53.55 ID:RQAa2nKeO
初瀬「誰と電話してたの?」
京太郎「なんだ。そんなに聞きたいか!」
京太郎「聞いておどろけ!なんと――!」
初瀬「別に……」
京太郎「…………」
初瀬「……なに?」
京太郎「べっつにィ」
良子「流行ってんのか?」
良子「エリカ様ごっこ」
由華「絶対に違うと思います。」
…………………。
京太郎「そういや、小走先輩いないよな」
京太郎「夕飯の後からどこ行ったんだ?」
初瀬「外」
京太郎「……外?」
京太郎「なんでまた?」
初瀬「……………」
この道を行けばどうなるものか。
危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし。
踏み出せばその一歩が道となり、その一足が道となる。
240 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:38:20.70 ID:RQAa2nKeO
外
やえ「……ッ!」
ビュッ!!
……バシーンッ!!
やえ「…………」ハァハァ
京太郎「……………」
『小走先輩のお姉さん。10年前は晩成のエースだったんだ』
『でも、その時に連覇を止めてしまって……』
ビュッ!!
……バシーンッ!!
『迷わず行けよ、行けば分かるさ。』
人知れず影で頑張る小さなエースの姿を見て、何故かこの言葉が浮かんだ。
タッタタタ……。
ビュッ!!
……バシーンッ!!
京太郎「よっしゃこーい」バンバン
やえ「…………」
京太郎「ピッチング練習の壁役ならいつでもなりますよ 」
やえ「………」
京太郎「さぁ、こい!」
京太郎「小走 やえ!!」
やえ「フルネームで呼ぶな」
ビュッ!!
……バシーンッ!!
手に伝わる懐かしい感覚と共に夜は更けていった。
京太郎「……痛ってぇ」
京太郎「キャッチャーなんて、あの姉ちゃんがどっか行った以来だな」
241 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:38:56.98 ID:RQAa2nKeO
そして、次の日。
奈良県大会準決勝の朝。
やえ「よし、全員いるな」
やえ「今日の試合のスターティングメンバーを発表する」
やえ「1番、ショート 巽」
由華「はい」
やえ「2番、セカンド 紀子」
紀子「はいはーい」
やえ「3番、センター 須賀」
京太郎「…………」
やえ「……須賀。いないのか、須賀!」
良子「……おい、呼ばれてんぞ」ヒソヒソ
京太郎「…………」
京太郎「……小走先輩」
やえ「……なんだ? 」
京太郎「俺にキャッチャーやらせてくれませんか?」
242 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:39:34.76 ID:RQAa2nKeO
初瀬「……ちょっと、何に言ってんだ!」ヒソヒソ
初瀬「試合前にそんな勝手が許されるわけないだろ!」ヒソヒソ
京太郎「…………」
やえ「キャッチャー経験は?」
京太郎「中1の時に宮永 照とほんの少し組んでました」
由華「宮永 照!?」
京太郎「……お願いします」
やえ「……………」
やえ「……分かった」
初瀬「え」
やえ「須賀は三番でキャッチャーだ」
やえ「須賀の代わりのセンターは岡橋、お前が入れ」
初瀬「ちょ、ちょっと待ってください!!」
初瀬「それはいくら何でも……!」
やえ「異論はないな!」
良子「……まぁ、小走がそう言うなら」
紀子「異議なーし」
初瀬「そ、そんなぁ……」
京太郎「……………」
243 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:40:38.18 ID:RQAa2nKeO
ミーティング後。
初瀬「おい!いったいどう言うつもりだ!」
京太郎「……何が?」
初瀬「『何が?』じゃないだろ!」
初瀬「私の為にやってんなら、大きなお世話だ!」
京太郎「お前の為?」
京太郎「……バーカ」
京太郎「俺の為だ」
初瀬「……何だと!」
京太郎「コレが一番手っ取り早いんだ」
京太郎「阿知賀を倒して、甲子園にいくには」
京太郎「この方法が――」
初瀬「阿知賀を倒す……?」
京太郎「それにお前にだってあるぞ」
京太郎「グラウンドに立つ資格はな」
244 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:41:06.88 ID:RQAa2nKeO
ワーワー!!
『さぁ、試合は中盤。5回のオモテとなりました』
『試合は両チーム共に0点、白熱した投手戦となっております。』
晴絵「まさかこの方法で来るとはな」
憧「……………」
晴絵「ウチの一番のアドバンテージは情報量の差だと思っていたけど」
晴絵「1人いたな。ウチの主力、三人の情報を沢山持ってる奴が」
玄「で、でも!外野の要のセンターがいなくなったら元も子もないんじゃ……」
ワーワー!!
憧「いや……」
憧「案外そうでもないかもね」
カキーン!!
『打ったぁ!センターへ大きな当たり!!』
『センター、下がる!下がって――!』
『……捕った!捕っています!』
『フェンスにぶつかりながらのナイスプレー!』
『この試合からセンターに入った一年、岡橋にいい守備が出ました!』
『これでスリーアウト!!』
穏乃「あの子って、 阿太中の子だよね?」
穏乃「パン屋にいた……」
憧「……ったく」
憧「やってくれんじゃん……!」
245 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:41:41.16 ID:RQAa2nKeO
京太郎「ナイスキャッチ」
初瀬「センターに打たせすぎでしょ」
京太郎「変な緊張をしてもらっても困るからな」
京太郎「今のうちにほぐしてもらわないと」
初瀬「あのね……!」
京太郎「声援に答えてやれよ」
初瀬「え?」
ワイワイ、ワイワイ
「「いいぞ、いいぞ、岡橋!」」
「「いいぞ、いいぞ、岡橋!」」
「「「ワァァァァァァ!!!」」」
『応援されると、元気が出るな』
『お前にもいつか分かるよ』
京太郎「……………」
初瀬「……よーし!」
ワーワー!!
初瀬「一点取りましょう、先輩方!!」
初瀬「一点取ればこっちのもんです!!」
京太郎「……単純なやつ。」
初瀬「何か言った?」
京太郎「なにもー」
246 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:42:33.19 ID:RQAa2nKeO
晴絵「……おーし、お前ら。そろそろウォーミングアップにいくぞ」
穏乃「よし!待ってろよ!」
穏乃「絶対に決勝に行ってやるからな!!」
灼「まだ相手は決まってな……」
ワーワー、ギャーギャー
宥「本当に――」
宥「本当に京太郎くんと試合をするんだね」
宥「ついこの間までチームメイトだったのに……。」
憧「別に殺し合うわけじゃないでしょ」
憧「たかがボールゲーム。気楽にやりましょ」
宥「……うん、そうだよね」
憧「………………」
憧「……そんな悲しい顔しないでよ」ボソッ
カキーン!!
ワァッーーーー!!!
『大きな当たり!!これは文句なし!!』
『同じ1年の須賀!レフトスタンドへ膠着状態を破る先制のホームラン!!』
『これで0対1!ついに試合が動き出しました!!』
247 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:43:16.13 ID:RQAa2nKeO
レフトスタンド、応援席
――ゴンッ!!
観客1「うわ!危ねえな。」
観客2「ここまで飛ばすのか、最近の高校生は」
ワーワー!!
はやり「………………」
「なんだ、なんだ」
「お前のコピーがいると思ったら、本物がいやがった」
はやり「……閑無ちゃん。」
閑無「どうなってんだよ」
閑無「旅館にいったら誰もいねぇじゃねえか」
はやり「連絡もよこさずに急に帰ってくるからだよ」
カキーン!!
『四番の小走も後輩たちに負けじと続く!』
『さらに追加点のチャンスとなります!』
閑無「気に入らねぇ」
はやり「え?」
閑無「何が気に入らねぇって、お前のコピーがいることだ」
はやり「ひどい言い方だなぁ……」アハハ
閑無「お前の真似したって、小鍛治 健夜は倒せねえだろ」
はやり「………」
カキーン!!
『またいい当たり!これは長打となって、一点が入る!!』
『晩成高校、牙城を崩したかのような連打で追加点を入れます!!』
はやり「……確かにその通りだね」
248 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:43:43.96 ID:RQAa2nKeO
閑無「……じゃあな」
はやり「観てかないの? 」
閑無「杏果は明日、奈良に来るんだろ?」
はやり「たぶん」
閑無「なら、私はそれまでブラブラしてるよ」
はやり「……………」
はやり「……閑無ちゃんって今、何してんだっけ?」
閑無「フッフフ」
閑無「――旅人さ」キラーン
はやり「……………」
はやり「(ダメな大人だ)」
249 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:44:15.50 ID:RQAa2nKeO
穏乃「どぉりゃ!!」
ビュッ!!
……バシーンッ!!
「ストライク、バッターアウト!!」
「スリーアウト、チェンジ!!」
穏乃「ッシャ!!」
穏乃「……………」
『第一試合』
『……高校 0』
『晩成高校 7』
穏乃「……待ってろよ」
穏乃「絶対にいくから」
……………………………。
記者1「それでは先制のホームランを打った感想ですが……」
記者2「やっぱり気持ちよかったでしょ?」ニコッ
記者2「なんせ1年生ですもんね!」
京太郎「……ええ、まぁ」
記者1「う〜ん。『後ろの先輩に繋ぐ気持ちで打った結果がホームランになった』」
記者1「そんなところでしょうか?」ニコッ
京太郎「……ええ、まぁ」
――ポツポツ
記者1「それでは、最後に次の試合にむけたコメントを――」
京太郎「……雨?」
記者1「え?」
京太郎「雨、降ってきましたね」
記者2「……そういや、夕方から大雨だとか」
記者2「でも、夜の間に雨雲は東へ流れるらしいから明日の試合の心配はいらないよ」
京太郎「そうなんスか」
京太郎「東へ流れるんですね」
――ポツポツ
250 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:44:54.04 ID:RQAa2nKeO
――ザーーーーッ!!
玄「雨だね。お姉ちゃん」
宥「うん。雨だね」
『そう雨です!!西日本は夕方から大雨!!』
『納期が近い工事現場の方々は大変でしょう』
穏乃「もっと困るのがこっちだよ!」
穏乃「降雨コールドなんてしょっぱい勝ち方してさ!」
穏乃「私の本気は9回からなのに!!」
灼「リリバーいらず。うらやまし……」
晴絵「だが、こちらの手の内を全て見せずにすんだ」
晴絵「延長は1回もやってないからな」
憧「地区予選ではね 」
晴絵「……それなんだよなぁ」ポリポリ
晴絵「なーんで、草野球で本気出すんだか」
晴絵「宮永 照も穏乃も」
穏乃「夏の高校生ですから!」
――ザーーーーッ!!
宥「……はやく止むといいのにね」
宥「雨はあまり好きじゃないから」
玄「……うん」
251 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:45:25.82 ID:RQAa2nKeO
――ポツポツ
まこ「おー、こっちでもポツリ、ポツリと降ってきたわ」
まこ「天気予報が本当なら決勝は大雨で中止じゃな」
和「……雨で中止ですか?」
まこ「まぁ、最近の天気予報はアテにならんからな」
まこ「準備しとくに越したことはない」
和「そ、そうですよね……」
久「……………」
久「和。ちょっとこっちへいらっしゃい」
和「はい?」
まこ「お?なんじゃ、なんじゃ」
まこ「カツアゲか?」
久「まこは来ちゃダメー」ニコッ
まこ「またわしだけ蚊帳の外か」
まこ「寂しいのぉ……」
252 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:45:58.60 ID:RQAa2nKeO
久「明日はこっちは雨」
久「あっちは晴れ」
和「はぁ……」
久「だから、奈良に行きなさい」
久「始発の便でいけば間に合うでしょ」
和「……中止の発表はまだありませんよ」
久「中止の発表なんか待ってたら、試合に間に合わないでしょうが」
和「雨が降る保障はありませんよ」
久「降らない保障もない」
和「……………」
久「……………」
和「……今更、奈良にいって何をすればいいんですか」
久「応援するのよ」
久「どっちかを選んで。」
和「…………」
久「咲は選んだわよ。どっちかをね」
253 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:46:32.30 ID:RQAa2nKeO
久「さて、これで本当に雨が降らなかったらどうしよう 」
久「和抜きで龍門渕はキツイなぁ……」
久「……………」
久「ある意味これも『悪待ち』か」
254 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:46:58.59 ID:RQAa2nKeO
――ポツポツ
初瀬「おー!見ろよ、須賀!」
初瀬「本当に小ぶりになってきた!」
京太郎「ふーん」ペラッ
初瀬「この調子なら明日の試合は大丈夫そう!」
京太郎「……元気だねぇ」ペラッ
京太郎「岡橋さんは」
初瀬「だって、試合に出たんだ!」
初瀬「そりゃ須賀みたいなレギュラーじゃないけど、それでも試合に出た!」
初瀬「もし明日、阿知賀に勝てば――!」
初瀬「阿知賀に勝てば……」
初瀬「勝てば……」
京太郎「『阿知賀に勝てば』なんだよ」
初瀬「……本当に試合するんだな」
初瀬「明日、阿知賀と」
京太郎「分かってたことだろ」
初瀬「そうだけど……」
京太郎「…………」
『負けたがってるの間違いでしょ?』
京太郎「……うるせえよ」
初瀬「?」
初瀬「何も言ってないけど?」
255 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:47:25.90 ID:RQAa2nKeO
そして、次の日。
奈良県大会決勝の朝。
ザッーーーッ!!
久「ッシャ!!雨だ!!」
優希「……部長、うるさいじぇ」
優希「いま何時だと――」
バタンッ
優希「グゥグゥ」
久「…………」
咲「……あれ〜?和ちゃんがいませんよぉ?」ポケー
久「和なら奈良に出掛けたわよ」
咲「奈良ぁ……?」
咲「そっか、京ひゃんのとこ……か……」
――バタンッ
咲「グゥグゥ」
久「……みんな疲れてるわね」
久「あなたも疲れてるでしょうけど、頑張るのよ」
久「和」
256 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:47:57.61 ID:RQAa2nKeO
――チュンチュン
京太郎「……………」
『月島家之墓』
宥「……そのお墓の人、知り合いなの?」
京太郎「いや全然」
京太郎「一応、触れとこうと思って」
宥「?」
………………。
宥「合宿所抜け出して平気なの?」
京太郎「さぁ?」
宥「『さぁ?』って……」
京太郎「みんなが起きる頃に戻れば平気でしょ」
京太郎「だから、宥さんもここにいる」
宥「……ウチは緩いから」
京太郎「……………」
『松実家之墓』
京太郎「お線香くらい立ててもいいですよね?」
宥「……うん。」
宥「お母さんも喜ぶよ」
257 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:48:45.43 ID:RQAa2nKeO
しばらく手を合わせながら振り返ってみた。
中学での出来ごと。
島での出来ごと。
晩成での出来ごと。
そして、考えてみた。
これからの事を。
京太郎「……………」
宥「……お母さんと何を話したの?」
京太郎「『朝、昼、晩。ちゃんと歯磨きをします』」
宥「………………」
京太郎「ウソですよ」
京太郎「『娘さんが甲子園に行けなかったら、俺を恨んでください』って」
宥「お母さんはそんなことしないよ」
京太郎「はい。だから言ったんですよ」
京太郎「本当に恨まれたら困りますから」
京太郎「ちょっと歩きましょうか 」
258 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:49:19.08 ID:RQAa2nKeO
「決勝の時間は?」
「11時から」
「場所は?」
「橿原公苑野球場」
京太郎「対戦相手は?」
宥「阿知賀学院 対 晩成高校」
京太郎「……そうですね」
京太郎「どうせなら楽しくやりましょうか。」
宥「……京太郎くん」
宥「憧ちゃんのこと好きでしょ?」
京太郎「……ええ、はい。」
京太郎「穏乃や宥さん」
京太郎「智葉さん、姫子さん、成香さん、絹恵さん」
京太郎「……原村。」
京太郎「みんな好きです」
宥「……………」
京太郎「ウソですよ」
京太郎「ウソつくの得意なんですよ」
京太郎「昔から」
宥「……ありがとう。嘘でも嬉しかったよ」
京太郎「それじゃあ……」
京太郎「また11時に」
宥「うん」
「また11時に」
259 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:49:54.16 ID:RQAa2nKeO
河川敷
ダッタタタ!!
京太郎「……クソ!」
京太郎「喋ってたら、すっかり遅くなっちまった!」
京太郎「流石にバレるよなぁ……」
ダッタタタ!!
「あー!もう何回言えば、分かるんだ!」
「違うだろ!! 」
女の子「……なら手本くらい見せてよぉ」
「バカ野郎!手本をみせた所で私のコピーになんかなられたら困るんだよ!」
「私の代わりになりたきゃ、オリジナルになれ!」
「無敵のオリジナルに!」
女の子「わけ分かんない、このオバサン……」
京太郎「…………」
京太郎「変なオバサン」
260 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:50:25.51 ID:RQAa2nKeO
橿原球場。
『2008年より、全国高等学校野球選手権奈良大会 のメイン球場となっています』
『ここ橿原公苑球場。通称・橿原球場』
『そこを舞台に開かれるのが……』
『奈良県大会決勝戦』
『阿知賀学院 対 晩成高校』
『実況は私、……が』
『解説はお馴染み車さんでお送りします』
車『どうぞ、よろしく』
やえ「どこに行ってた?」
京太郎「……ちょいと野暮用で」
やえ「そうか。逃げ出したかと思ったよ」
『小走先輩の手、綺麗でしょ?』
京太郎「……ジャーンケーン」
やえ「あん?」
京太郎「ポン」
やえ「……………」
京太郎「綺麗な手してますね」
京太郎「先輩」
261 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:50:58.24 ID:RQAa2nKeO
『10年連続の甲子園出場となるか』
『それとも10年前の奇跡はもう一度起こるのか』
爽「なーに聞いてんだ、成香?」
成香「ラジオですよ」
爽「余裕だねぇ。先輩が緊張で腹下してるのに 」
誓子「昨日、お腹出して寝てたからでしょ」
成香「………………」
………………。
煌「どっちが勝つんだろうね」
姫子「……神様じゃないけん、分からん」
姫子「ただ、どっちが勝っても手強い」
姫子「そいだけは確かっちゃ」
262 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:51:30.08 ID:RQAa2nKeO
洋榎「なーんで、奈良だけちょっと早く試合するんや?」
洋榎「目立つやないかい」
絹恵「……神様が教えてくれてるんよ」
絹恵「試合するってことを私たちに」
洋榎「なーんやそれ」
……………………………。
明華「東京は雨ですね」
智葉「いい休暇になるよ。私たちには」
明華「おかげで試合がゆっくりと見れます」
智葉「…ああ、そうだな。」
智葉「見させてもらうよ」
智葉「お前達の試合を」
263 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 15:52:59.53 ID:RQAa2nKeO
「ああ、はい。ここで大丈夫です」
「はい、ありがとうございます」
バタンッ
和「………………」
『さぁ、そして主審の手が上がり――』
『今、プレイボールです!!』
<コンマ判定>
奇数 晩成先攻 偶数 晩成後攻
↓1
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/07(木) 15:54:40.93 ID:Agzu5Okuo
でやっ
265 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/07(木) 16:00:08.85 ID:RQAa2nKeO
>奇数 晩成先攻
色々考えた結果、これラストゲームです。
勝っても、負けても。
エンディングのパターンも四種類ですかね。
好感度80オーバーしている4人。
誰になるのかは安価次第ってことで。
それでは、金曜に再開します。
気長に待ってて下さい。
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/07(木) 16:44:20.78 ID:TvCyNZcDo
乙!
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/07(木) 19:03:56.83 ID:i9PPIdUQo
乙
やるのか やるんだな
268 :
◆Crh8.oXlyE
[ sage]:2017/09/09(土) 16:13:11.24 ID:qmVlv9kGO
ぎゃー、すいません。
やるやる言っといて、試合展開を考えてる途中で力尽きて寝てしまいました。
明日は……明日こそはやりますので。
お付き合い頂けたらなと思います。
269 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:20:02.73 ID:v4+6/EnrO
先攻 晩成高校
1 遊 巽 由華 ミートB70 パワーB70 走力B75 肩力B70 守備B70 遊投 打力B70 守備力B70 ランクB71
2 中 岡橋 初瀬 ミートC65 パワーD50 走力B70 肩力B70 守備B70 外 打力D58 守備力B70 ランクC65
3 捕 須賀 京太郎 ミートB78 パワーB77 走力B72 肩力B73 守備B70 外捕 打力B74 守備力B72 ランクB74
4 投 小走 やえ ミートA85 パワーB70 走力B75 肩力B70 守備A85 投外 打力B73 守備力A80 ランクB77
5 三 上田 良子 ミートB75 パワーB75 走力C60 肩力B70 守備C60 三一 打力B75 守備力C65 ランクC68
6 右 木村 日菜 ミートC67 パワーC67 走力C67 肩力C67 守備C67 外捕 打力C67 守備力C67 ランクC67
7 二 丸瀬 紀子 ミートC65 パワーC65 走力C65 肩力B70 守備B70 二三遊 打力C65 守備力B70 ランクC67
8 一 モブ ミートC60 パワーC60 走力C65 肩力C65 守備C65 打力C60 守備力C65 ランクC63
9 左 モブ ミートC60 パワーC60 走力C65 肩力C65 守備C65 打力C60 守備力C65 ランクC63
270 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:20:57.75 ID:v4+6/EnrO
後攻 阿知賀学院
1 中 鷺森 灼 ミートB75 パワーC60 走力B75 肩力B70 守備B70 外投 打力B68 守備力B70 ランクB70
2 捕 新子 憧 ミートB75 パワーC65 走力A80 肩力A80 守備A80 捕外 打力B70 守備力A80 ランクB76
3 遊 松実 宥 ミートA80 パワーA80 走力B70 肩力B70 守備B70 遊二 打力A80 守備力B70 ランクB74
4 二 松実 玄 ミートA80 パワーA85 走力D55 肩力B70 守備B70 二遊 打力A83 守備力B75 ランクB72
5 投 高鴨 穏乃 ミートC65 パワーC65 走力B70 肩力B70 守備C65 投外 打力C65 守備力C68 ランクC69
6 三 モブ ミートC60 パワーC60 走力C60 肩力C60 守備C60 打力C60 守備力C60 ランクC60
7 一 モブ ミートC60 パワーC60 走力C60 肩力C60 守備C60 打力C60 守備力C60 ランクC60
8 右 モブ ミートC60 パワーC60 走力C60 肩力C60 守備C60 打力C60 守備力C60 ランクC60
9 左 モブ ミートC60 パワーC60 走力C60 肩力C60 守備C60 打力C60 守備力C60 ランクC60
271 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:21:52.08 ID:v4+6/EnrO
ワーワー!!
ビッ!
「……ストラーイク!」
『さぁ、まずは初球入れてきました!』
『変化球でワンストライク!』
『マウンド上の1年生ピッチャー、高鴨 穏乃』
和「穏乃……」
ワイワイ、ガヤガヤ
「わー!やっぱり、のどチャーだ!!」
「本当だぁ!久しぶりー!!」
和「の、『のどチャー』?」
「うん!……忘れちゃった?」
和「…………」
和「……阿知賀こどもクラブの?」
「おお!やっぱり覚えてた!」
「ほら、こっちだよ。阿知賀の応援席は三塁側!」
グイグイ
和「ちょっ……ちょっと待って!」
和「待ってください!私は――!」
グイグイ
……キーン!
272 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:22:21.22 ID:v4+6/EnrO
『いい当たりだが――セカンド正面!』
『松実妹がしっかりと捌いてワンアウト!』
和「(結局、連れてこられてしまった……)」
『応援するのよ、どっちかを選んで』
和「……………」
ワーワー!!
「いいぞー!クロちゃー!!」
「ナイスキャッチ!」
和「これで……いいんですよね」
…………。
『そして準決勝からスタメンとなりました、1年 岡橋 初瀬選手 』
『今日は2番に入っております』
京太郎「いけー!岡橋ー!!」
京太郎「同じ一年だ!打てねえわけがない!」
『まずは初球……ボール!』
『難しいコースですが、よく見た!』
京太郎「…………」
京太郎「……やっぱ少し似てるよな」
『さぁ、二球目――セーフティバント!』
――コツン
273 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:22:48.76 ID:v4+6/EnrO
『しかし、これを読んでた阿知賀学院。前進したサードが捕り1塁へ!』
『……これでツーアウト!』
初瀬「読んでた?」
憧「まぁ、一応」
憧「伊達に三年間一緒だったわけじゃないし」
『ツーアウト、ランナーなしですが、晩成高校もう一人の1年生』
『須賀 京太郎くんへ回ります。』
『先日ありました、セントラルタワー野球大会では素晴らしい成績を収めています』
車『え、本当に?』
『……車さんも解説として呼ばれていましたよね?』
車『も、勿論ですとも!』
車『素晴らしい選手ですよ、彼は!』
車『何が素晴らしいって、高校生なのに金髪なのが素晴らしい!』
初瀬「……気合入れて守れよ」
初瀬「なんか今日はやってくれそうだぞ」
憧「まだ初回でしょ」
初瀬「あっと言う間だよ。9回なんてのはね」
274 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:23:18.20 ID:v4+6/EnrO
京太郎「初回、ツーアウト、ランナーなし」
京太郎「これは大きいの狙ってもいいですよね?」
やえ「……勝手にしろ」
京太郎「あ、そ」
京太郎「では、勝手にします」
やえ「……………」
………。
穏乃「初回、ツーアウト、ランナーなし」
穏乃「これは勢いづける為にも三振狙ったほうがいいですよね?」
宥「先生の許可は出てないよ」
穏乃「……チェ」
穏乃「…………」
穏乃「じゃあ、打たせまーす!!」
275 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:24:08.34 ID:v4+6/EnrO
ビッ!!
……キーン!!
「ファール!!」
晴絵「コラコラ」
『粘ります!須賀くんファールで粘って、フルカウントになってからの8球目!』
『これもファール!』
穏乃「……往生際が悪いぞ、京太郎!」
穏乃「いい加減に三振しろ!!」
京太郎「やなこった」
……キーン!!
「ファール!!」
晴絵「コラコラ。……憧!」
晴絵「穏乃のバカを止めろ!」
憧「…………」
ワーワー!!
ビッ!!
京太郎「(ストレート――!)」
京太郎「に、みせたツーシーム!」
――ストン!
京太郎「あらん?」
「ストライク!バッターアウト!!」
穏乃「ッシャ!」
276 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:24:35.76 ID:v4+6/EnrO
『最後はストンと落として空振りの三振!』
車『最後はフォークですね』
『リプレイを見ると、挟んでいませんね』
車『……え、マジで?』
京太郎「……アイツのツーシーム」
京太郎「あんな落ちるようになったんだな」
やえ「…………」
京太郎「あ、言われた通り勝手にしました」テヘヘ
…………。
穏乃「言われた通り、打たせようとしました」テヘヘ
晴絵「……………」
憧「心配しなくても、アイツだけよ」
憧「あんなムキになって投げるのは」
晴絵「……あんま手の内みせんなよ」
晴絵「まだ初回なんだから」
憧「あっと言う間でしょ。9回なんて」
晴絵「ムキになってんのは、どっちだかなぁ」
277 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:25:04.09 ID:v4+6/EnrO
晴絵「穏乃、憧、宥。」
晴絵「お前たち三人が小走 やえと対戦経験がある」
晴絵「それがウチの持つアドバンテージの1つ。」
バンッ!!
晴絵「……あの速球も」
――ストン
晴絵「鋭く落ちる変化球も」
……バシーンッ!
晴絵「……コースいっぱいに決まるコントロールも」
晴絵「お前たちは経験済だ」
『お見事!初回いきなりの三者三振!』
『これぞ小走 やえというピッチング! 』
車『はっは。そうでしょ、そうでしょ』
晴絵「だから、気楽にやれよ」ニコッ
憧「はいはい。大したアドバンテージね」
278 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:25:33.43 ID:v4+6/EnrO
穏乃「飛ばしてるねぇ、小走さん」
憧「そりゃそうでしょ」
憧「準決勝からの登板で、その準決勝も勝ち越したらそそくさと降板」
憧「体力があり余ってんでしょ」
憧「……分かってんでしょうね?」
穏乃「何がぁ?」
憧「……………」
穏乃「はいはーい。分かってます」
…………。
『二回のオモテ、晩成高校の攻撃は四番の小走さんからです』
車『このバッターに中途半端なピッチングは出来ませんよ。』
車『自信がある球を思いっきり投げるでしょう』
『……高鴨さんの自信のある球は?』
車『無論、ストレート』ニコッ
――フワッ
『初球、スローカーブ!』
『ワンストライク!』
車『……………』
279 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:26:05.86 ID:v4+6/EnrO
良子「アイツ、スローカーブなんて投げれたのか?」
京太郎「さぁ……」
良子「一緒のチームだったんだろ?」
京太郎「『男子三日会わざれば刮目して見よ』っていいますからね」
良子「……アイツ、男なのか!?」
京太郎「…………」
……………。
ワーワー!!
閑無「気に入らねぇ」
はやり「今度はなにが?」
閑無「杏果が来ないことだよ」
はやり「電車が遅れてるんだってさ」
『またもスローカーブ!これでツーストライク!』
車『……………』
閑無「……阿知賀の監督」
はやり「うん。赤土さんだね」
閑無「だから、あんな小賢しい真似させてんのか」
はやり「小賢しいって……」
閑無「小手先だけの変化球なんてたかが知れてるぜ」
閑無「あんなピッチングで晩成に勝てんのか」
はやり「あれ?阿知賀の応援してたんだ」
閑無「……気に入らねぇ!」
はやり「なにが!?」
280 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:26:33.68 ID:v4+6/EnrO
――フワッ
『3球連続スローカーブ!?』
車『いけません、これは無謀ですよ!』
「ストライク!バッターアウト!」
車『――え』
『これは、驚きました!一球も振らずに見逃しの三振!』
『小走 やえから三振を奪いました!』
はやり「そうか……。どうしても勝ちたいんだね」
はやり「あのピッチャーも」
閑無「負けたい奴がいんのか?」
閑無「地区大会の決勝戦で 」
はやり「さぁ……どうなんだろ?」
281 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:27:08.77 ID:v4+6/EnrO
やえ「…………」
京太郎「タイミングが合わなかったんですか?」
やえ「あんなピッチングもできるなんて聞いてなかったからな 」
ビッ!!
「……ストラーイク!」
日菜「ここまで変化球主体のピッチング」
日菜「今までのデータと違いますね」
京太郎「ウチ対策に色々変化球を覚えたんでしょう」
紀子「野球をナメてる」
京太郎「心配しなくても、一巡目だけです」
京太郎「小手先だけで覚えた変化球を使うのはね」
京太郎「二巡目からは――」
キーン!
『いい当たり!ピッチャーライナー!』
『……アウト!』
『高鴨 穏乃よく捕った!』
京太郎「また別人です」
穏乃「――ッシャ!」
282 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:27:39.94 ID:v4+6/EnrO
『2回のオモテも0点に終わり、2回のウラ』
『阿知賀の攻撃は、四番の松実・妹』
『松実 玄選手です』
ワーワー!!
「「いけいけ、クロちゃー!!」」
「「うてうて、クロちゃー!!」」
やえ「かわいい応援団だ」
京太郎「そうですね。かわいい応援団です」
ワーワー!!
京太郎「…………」
『三塁側か――』
やえ「……いつまでマウンドにいるつもりだ?」
京太郎「あ、失礼」ペコッ
…………。
宥「ウチのスタンドを見てたね」
憧「和を見てたんでしょ」
宥「……気づいてたんだ」
憧「元気な応援団のおかげでね」
キーン!!
『打った!今日初めて前に飛んだ打球!』
『しかし、センター真正面!』
『ワンアウト!』
宥「この試合――」
宥「ウチに勝ってほしいって思っている人は何人いるんだろうね」
283 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:35:19.63 ID:v4+6/EnrO
憧「一塁側にはいないでしょ」
宥「なら、三塁側にいる和ちゃんは――」
宥「私達に勝ってほしいのかな」
憧「…………」
憧「当たり前でしょ。三塁側にいるんだから」
「ストライク!バッターアウト!!」
『その後5番、6番を凡退!』
『小走 やえ。2回のオモテもパーフェクトに抑えました!』
ブン!ブン!
憧「……何やっての?」
穏乃「小走さんのマネ。綺麗なピッチングフォームだったから」
憧「ああ、そ」
憧「それはよかったね」
穏乃「うん!」
284 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:36:03.44 ID:v4+6/EnrO
3回のオモテ。晩成高校の攻撃
キーン!
穏乃「うげっ」
ワーワー!!
『ヒット!3回のオモテ、ついにこの試合初めてのヒット!初めてのランナー!』
『7番の木村 日菜選手にヒットが出ました。』
晴絵「……流石、晩成。下位打線でもしっかりと振れてやがる」
晴絵「後は、どう攻めてくるかだな」
晴絵「ノーアウトでのランナー」
晴絵「ウチをナメてくれてるのなら――」
『8番、しっかりと送る!』
『これでワンアウト2塁!得点圏へランナーを進めました!』
晴絵「……なるほどな」
………。
穏乃「うぅん……」ポリポリ
穏乃「やっぱり、もっとこうかな?」
玄「こうじゃないかな?」
憧「……まだモノマネ大会やってんの?」
穏乃「いやはや、学ぶべきことは多い」ニコッ
憧「あのねぇ……!」
宥「これがいつもの穏乃ちゃんだから」
穏乃「そうだぞォ」ニッ
憧「……………」
285 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:36:46.90 ID:v4+6/EnrO
『さぁ、9番を打ち取り、打順は1番へ!』
『1番の巽 由華選手です』
車『いい選手ですよ。2年生でショート』
車『ポジション、打順からわかる通り晩成の主軸とも言える選手です』
京太郎「……ここで間違うと手痛いぜ。バッテリー」
穏乃「……だな」
穏乃「打順も二巡目」
穏乃「肩も暖まってきた」
穏乃「おーし!」グッ
………。
バンッ!
「ストライク!」
『145km/h』
由華「……1年生だよね?」
憧「ええ」
バンッ!!
「ストライク!ツー!!」
『146km/h』
由華「……女の子だよね?」
憧「ええ」
穏乃「これで最後!!」
由華「……ッ」グッ
ビッ!!
286 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:37:20.39 ID:v4+6/EnrO
――フワッ
『スローカーブ!』
『速球で追い込んでからのスローカーブ!!』
『見逃しの三振!!』
穏乃「……どうだ!」
穏乃「星野 伸之直伝のスローカーブ!」
由華「……1年生だよね?」
憧「まぁ、一応」
…………。
ザワ、ザワ
「晩成が3回終わってヒット1本?」
「もしかして……あるぞ」
「10年前の奇跡がもう一度」
良子「……ふざけた一年だ」
良子「そう簡単に奇跡なんか起こるかよ」
京太郎「あなたの髪型も――」
良子「なんか言ったか?」
京太郎「あ、素敵な髪型ですねって」テヘヘ
やえ「……ふざけた一年だ」
287 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:37:46.58 ID:v4+6/EnrO
バンッ!!
「ストライク、バッターアウト!!」
「……スリーアウトチェンジ!!」
『しかし、それ以上に阿知賀が晩成から点を取るのは至難の業でしょう!』
『3回を投げてパーフェクト!』
車『素晴らし三振、桂は三枝』ニコッ
『……………』
車『今は文枝ですけどね』ニコニコ
晴絵「やっぱ下位打線の差が一番デカイな」
晴絵「あっちはヒットを打てるが、こっちは打てない 」
憧「この間までズブの素人だったんでしょ?」
憧「贅沢言ったらダメでしょ」
晴絵「……だなぁ」
晴絵「せめて、あと1人いれば」
憧「……………」
288 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:38:13.51 ID:v4+6/EnrO
4回のオモテ。晩成高校の攻撃
2番 岡橋 初瀬
京太郎「何で岡橋が2番なんですか?」
やえ「文句なら試合前に言って欲しかったな」
京太郎「文句じゃありませんよ」
京太郎「質問です」
やえ「…………」
やえ「積み重ねてきた物は誰にだってある」
やえ「だから――」
「……ストラーイク!!」
初瀬「阿知賀にいったこと後悔してないな」
憧「まったくね」
初瀬「そう…… 」
ワーワー!!
穏乃「(2番、3番、4番)」
穏乃「京太郎の前には絶対に――」
初瀬「須賀と小走先輩の前に絶対に――」
「出さない!」
「出す!!」
ビッ!!
289 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:38:41.05 ID:v4+6/EnrO
ワッ!
『今日、最速の147キロ!!』
『しかし――』
初瀬「アイタタ……」
『岡橋 初瀬選手のお尻に当たるデットボール!』
車『ダメですよ。女子の選手に向かって『お尻』って言ったら』ニコッ
『……失礼。時代は変わりましたね』
『女子の選手が一線級で活躍しているのですから』
やえ「……それにかけてみた。」
京太郎「……なるほど」
京太郎「ところで、ノーアウトで先頭バッターが出ましたけど送りバントしますか?」ニコッ
やえ「勝手にしろ」
京太郎「あーい」ニコニコ
タッタタタ……。
290 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:39:07.13 ID:v4+6/EnrO
穏乃「す、すいません!」ペコペコ
初瀬「大丈夫、大丈夫……」アイタタ
晴絵「……ぶつけた側が言うのもあれだけど」
晴絵「ぶつけた方も痛いな」
『3番 キャッチャー 須賀くん』
京太郎「……ノーアウト、ランナー1塁」
京太郎「『勝手にしろ』か」
………。
憧「送りバントは100パーセントない」
宥「……うん」
玄「最高はゲッツー!次は三振!」
憧「なら、どうする?」
ワーワー!!
穏乃「……決まってるだろ」
291 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:39:35.02 ID:v4+6/EnrO
ワーワー!!
京太郎「…………」
『積み重ねてきた物は誰にだってある』
初瀬「……………」
…………。
良子「……この場面、最悪はゲッツーだよな」
良子「送りバントさせないのか?」
やえ「…………」
『さぁ、ピッチャー足があがり――』
ダッ!!
『ランナースタート!?』
良子「おいおい!」
良子「いつ、そんなサイン出した!?」
やえ「さぁ……」
やえ「いつかな?」
『バッター見逃す!これは――』
『単独スチールだ!!』
292 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:40:01.97 ID:v4+6/EnrO
憧「……ナメんな!」
ビッ!!
『あのキャッチャーの肩は?』
『どこでやらせても恥ずかしくないですよ』
『それを1番分かってるのは――』
京太郎「……アイツだよ」
ザァッ――――!!
「……セーフ!!」
「セーフ!!」
『スチール成功!!』
『これでノーアウトで得点圏でのランナー!!』
『晩成高校、先制の大チャンスです!!』
良子「危ねえな……。もし、アウトになったら周りになんて言われるか分かってんのか?」
由華「ここは1つ結果オーライってことで」
……………。
玄「……これでゲッツーはなくなったね」
宥「次に最高なのは?」
穏乃「三振!」ニコッ
293 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:40:28.11 ID:v4+6/EnrO
『ノーアウトでランナー二塁ですが、ここは車さん?』
車『右方向を意識して、コンパクトにいくことが大事ですよ。コンパクトに』ニコッ
『さぁ、初球――』
キーン!!
『フルスイングで思いっきり引っ張った!』
『しかし、ポール際僅かに切れてファール!!』
車『コンパクトにですよ、コンパクトに』ニコニコ
良子「ウチの1年生は『繋げる』って言葉を知らねぇのか?」
やえ「教えた覚えはないからな。私はアイツにはなにも」
…………。
ワーワー!!
憧「後でどやされるわよ。そんなバッティングで打てなかったら」
京太郎「そんなもんだろうよ。野球なんて」
京太郎「打てば褒められるし、打てなきゃどやされる」
ビッ!
京太郎「――でも、振らなきゃどっちもない」
キーン!!
『またもフルスイング!!』
『今度はバックネットへ!!』
『さぁ、これで追い込まれました!』
車『コンパクトにですよ、コンパクトに』ニコニコ
憧「……最後はストレートよ」
京太郎「知ってるよ。お前のことはよくな」
294 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:40:55.43 ID:v4+6/EnrO
ワーワー!!
閑無「誰だ、アイツ?」
はやり「昨日会ったじゃん」
はやり「私のコピーだって」
閑無「…………」
閑無「……名前は?」
「須賀 京太郎くんだよ。」
杏果「あの子が」
閑無「…………」
はやり「……杏果ちゃん」
『さぁ、一球ボール球を使いカウントを整えました。』
車『恐らく次が決め球でくるでしょうね。三振がほしい場面ですから』
閑無「どうでもいいけど、アイツ打つぜ」
閑無「この打席」
はやり「……本当?」
閑無「ああ。私がお前たちに嘘いったことあるか?」
はやり「……………」
杏果「……………」
杏果「……本当に打つのかな?」
閑無「打つんだよ!!」
295 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:41:21.66 ID:v4+6/EnrO
ビッ!!
京太郎「…………」グッ
『これは――』
――ストン
『ストンと落としてきた!初回と同じくツーシームです!』
京太郎「……やっぱ嫌なヤツだよ、お前」
キーン!!
『それを狙っていたかのようなスイング!左中間を真っ二つ!』
『これは長打コースだ!』
ワッ――――!!
『3塁ランナーは悠々とホームイン!』
『これで先制点が晩成高校に入ります!』
『3番、須賀くんのタイムリーツーベースヒット!!』
憧「……どっちが嫌なヤツよ」
憧「少しは人の言うことを信用しろっつうの」
灼「日頃のおこな……」
憧「なんか言ったぁ!?センター!」
灼「何でセンターからの声が聞こえるの…?」
296 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:41:48.56 ID:v4+6/EnrO
三塁側、阿知賀スタンド。
ワイワイ、ガヤガヤ
「くそー、何だよあの金髪」
「高校生らしくないぞ。金髪なんて」
「ね、のどチャー!」
和「……ホント、何なんでしょうね」
和「(打つと思ったら本当に――)」
和「……………」
『そして、なおも状況はノーアウトのまま4番の小走選手へと回ります』
車『ついに捕まりましたね。晩成高校はこのまま1年生ピッチャーに黙ってるほど優しくはありませんよ』
ワーワー!!
宥「……ナイスバッティング」
京太郎「…………」
「4番 ピッチャー 小走くん」
京太郎「……宥さん」
宥「?」
京太郎「死ぬ気で守れよ。俺は阿知賀を甲子園へ連れて行く気はねえんだ」
玄「ちょ、ちょっとキミ!」
玄「試合中にそんな――!」
宥「……うん。」
宥「分かったよ、京太郎くん」
玄「……お姉ちゃん!?」
ワーワー!!
宥「……ありがとう」
京太郎「………」
297 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:42:25.21 ID:v4+6/EnrO
京太郎「……さぁ!」
京太郎「遠慮なく追加点を取りましょう!」
京太郎「ノーアウト二塁!1打で追加点のチャンスです!!」
キーン!!
『打ったぁ!!二遊間!!』
京太郎「よし!」
バシッ!!
『捕ったぁ!ショートファインプレー!!』
京太郎「え?」
『そのまま2塁ベースを踏んで、一気にツーアウト!!』
京太郎「おや?」
ワーワー!!
穏乃「……ナイスキャッチ、宥さん!」
宥「任せてよ〜」
京太郎「……おや?」
やえ「……………」
『天丼ですね』
車『はい、天丼ですね』
車『そもそも天丼の語源はですね、天丼にはエビが2匹乗っていることから付いたのですよ』
『なるほど。解説の車さんでした』
車『どうも、ありがとうございました』
298 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:42:53.46 ID:v4+6/EnrO
『4回のオモテ。阿知賀学院の攻撃は、1番の鷺森 灼から』
『そう、つまり!ここまでパーフェクト!』
『しかし――』
バンッ!
「ボール!フォアボール!」
『粘りに粘った12球目!ついにフォアボールで今日、初めてのランナーが出ました!』
『ノーアウトでのランナーです!』
ワーワー!!
穏乃「ナイセン、ナイセン!」
穏乃「流石、鷺の目!『鳥目』ってヤツですね! 」
晴絵「それじゃあ、意味が違うぞ。穏乃」
憧「……チャンスをつくってくる」
宥「……うん」
『ここは定石なら送りバントでもいい場面。しかし、ここは強攻策を選択するのかバントの構えはありません。』
車『送っときゃいいのに』
キーン!!
『いい当たりがショートへ!しかし、真正面!』
『注文通りのダブルプレー!』
車『ほぉら。私の言った通り』ニコッ
『………………』
車『……なんですかな?何か文句でも?』
ワーワー!!
穏乃「ドンマイ、ドンマイ!」
穏乃「来年にはコハダになってるから心配すんな!」
穏乃「そして、再来年にはコノシロになってるぞ!!」
晴絵「そりゃ、新子(しんこ)だろ」
晴絵「奈良に海はないんだから、よく分からん魚ネタは使うなよ」
穏乃「そりゃそー海(かい)」テヘヘ
憧「……ごめん、忘れて」
宥「……うん」
299 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:43:20.68 ID:v4+6/EnrO
晴絵「ノーヒットか。流石に焦ってきたよ」
玄「大丈夫ですよ。こういう時のお姉ちゃんは1番頼りになるんです」
玄「チームが追い込まれそうになった時のお姉ちゃんは、誰よりも」
晴絵「……そうだな」
晴絵「お姉ちゃんだもんな」
…………。
ワーワー!!
京太郎「誰が納得すんだよ。そんな理由で」
宥「何がぁ?」
京太郎「……………」
ビッ!!
「……ボール!!」
『おっと、ここは一球内角高め。』
『少し危ないコースへ投げてきました。』
ビッ!!
「ボール、ツー!」
『もう一球同じコースへ!』
『しかし、バッターピクリともしません』
ワーワー!!
京太郎「……怖くないんスか?」
宥「うん。全然」
宥「京太郎くんのリードだから」
京太郎「…………」
京太郎「……誰が納得すんだよ。そんな理由で」
300 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:43:47.15 ID:v4+6/EnrO
ワーワー!!
……キーン!!
『ファール!!またファール!!』
『一番の鷺森選手同様に粘ります。松実・お姉ちゃん! 』
杏果「必死だね。阿知賀」
はやり「上位じゃないと、小走さんからは点は取れないからね」
はやり「それが分かってるから必死になる 」
キーン!!
『ファール!!しかし、今度はしっかりと捉えた当たり!』
閑無「必死じゃねえ奴がいんのかよ」
閑無「勝てば甲子園なんだぜ」
杏果「……さぁ、どうなんだろ?」
閑無「………ケッ」
タッタタタ……。
杏果「どこに行くの?」
閑無「便所!!」
杏果「あ、ごゆっくり」
はやり「……変わらないね。閑無ちゃん」
杏果「少し変わったよ」
杏果「前より大人になった」
301 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:44:14.22 ID:v4+6/EnrO
ワーワー!!
「あと一球!あと一球でチェンジですよ!!」
「見苦しいぞ!いい加減に三振しろ!!」
ワーワー!!
閑無「あー、うるせぇ、うるせぇ」
閑無「何でうるせぇんだ。野球場って」
記者1「おい、最後に晩成が負けたのっていつだ?」
記者2「えぇと……」ポリポリ
記者2「今から10年前ですかね」
記者1「なに!?10年間、一度も負けてねえのか!」
記者2「はい!まるでヒョードルですね!」
閑無「……何がヒョードルだ」
閑無「本当のヒョードルは私みたいな奴のことを言うんだよ」
閑無「……………」
閑無「便所、便所」
ワァァァァァァァァ!!!
閑無「うるせぇな」
閑無「……うるせぇよ」
『入った、入った!』
『4回ウラ!ツーアウトからの松実 宥のソロホームラン!』
『コレで同点!試合を振り出しに戻しました!』
302 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:44:43.18 ID:v4+6/EnrO
ワーワー!!
やえ「……………」
京太郎「ホームラン打たれたの初めてなんですか?」
やえ「……何回味わっても気分のいいモンじゃない」
京太郎「あ、そりゃ確かに」アハハ
京太郎「では」
やえ「おい」
やえ「なんか声かけろ」
京太郎「頑張って」
タッタタタ……。
やえ「……………」
由華「息ピッタリのいいバッテリーですね」
良子「お前が言っても、嫌味にも冗談にも聞こえねえよ」
由華「ええ、そうですから」
303 :
◆Crh8.oXlyE
[ saga]:2017/09/10(日) 16:45:16.31 ID:v4+6/EnrO
そして、両チームともに得点を入れた4回が終わり
試合は中盤の五回へ
ビッ!!
「ストライク!バッターアウト!!」
穏乃「おっし!」
ワーワー!!
やえ「さらに速くなってるな。」
京太郎「そういう体質らしいですよ」
やえ「ふざけた体質だ
」
ビッ!!
「ストライク!!バッターアウト!!」
やえ「……瑞原 はやりのモノマネはやめたのか?」
京太郎「元からモノマネをしてたつもりはないですよ」
京太郎「ただ、打てそうなフォームを探していったらそうなっただけです。」
ビッ!!
「ストライク!!バッターアウト!!」
京太郎「それに気づいたんですよ」
京太郎「俺が瑞原 はやりになったところで何の意味もないことに」
ワッ!
『な……何と、この回は三者三振!!』
『エンジン全開!阿知賀学院 エース、高鴨 穏乃!!』
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