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「藤原肇がそれを割る日」
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65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:07:05.78 ID:pXJ6Ifkk0
「ん? その日……あー、私の誕生日だー!」
後ろで聞いていた夕美さんが、大きな声を上げました。
「むふふー、ひょっとして肇ちゃん、何かプレゼント期待しちゃっていいのかなー?」
「えぇ、夕美さん。とびきりです」
胸を張って答えます。絶対に――。
「ハッハッハ、何だよそういうことか。分かった、その日は俺が全力で死守しよう」
ドンッ、とPさんが胸を叩きます。
「ただ、本番はしっかり頑張ってくれよ? フェスに出れなかった子らのプロデューサー達からも、俺プレッシャーかけられてんだからな」
笑い合う私達――それから私は、夕美さんに誘われ――。
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:11:25.67 ID:pXJ6Ifkk0
「何か、久しぶりだね」
夕美さんの部屋で、フラワーアレンジメントです。
「そういえば、中に入れた鉢は?」
「あぁ……この間、一人で出し直しちゃった」
「言ってくれれば…」
「あぁごめんね! いいのいいの、こう、セッティングの仕方とか、考え込んですごく時間かかっちゃうし、付き合わせちゃうの悪いしさ」
手を振って、夕美さんはことさら、大きな声で笑いました。
何かを誤魔化すように――。
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:19:10.50 ID:pXJ6Ifkk0
最初と比べると、私もようやく少し、慣れてきたような気がします。
夕美さんのように、あまり悩まず、感性で花の生けたい位置が見えるようになってきました。
――――。
――――。
――――――。
――私は、あまり自分から喋る方ではありません。
一方で、この部屋で、こんなに沈黙が流れたのも、今までに無いことです。
人のせいにする訳ではありませんが――夕美さんがずっと黙っているのが、その理由に違いありませんでした。
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:23:38.62 ID:pXJ6Ifkk0
そして、黙っている理由も、何となく分かります。
彼女はおそらく、私の言葉を、待っているのです。
夕美さんの方を、そっと見ます。
夕美さんは、一見すると黙々と、自分の作業に集中しているように見えます。
しかし――やはりどこか、精細を欠いているようでした。
手の中で花をモジモジと回したり、紅茶に手を伸ばそうとして引っ込めたり、落ち着きがありません。
「夕美さん」
私は、この沈黙が、耐えられませんでした。
「ありがとうございます。お気遣い、いただいたようで……」
私に言いたいことがあるはずなのに、それを隠している夕美さんに、イライラしてしまいました。
そして、それ以上に――自分の気持ちを押し殺し、夕美さんに社交辞令じみた皮肉を言う自分に。
――とうとう、手が止まりました。
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:26:29.10 ID:pXJ6Ifkk0
私の方から、手を動かす音すら聞こえなくなったのを感じ取ったのでしょう。
やがて夕美さんの手も、止まりました。
「肇ちゃん」
夕美さんの、こんなに小さい声は、初めて聞きます。
「ごめんね、変な気を回しちゃって……緊張、してるんだろうなって、思ったからさ」
「えぇ、そうですね」
私は、努めて冷静に、言葉を選んで、彼女に答えます。
「何せ、私達の今後のアイドル人生を占うフェスです。しっかり研鑽を積んで…」
「ウソ」
「……え」
「肇ちゃんが、そんなに気負っているの、フェスのせいじゃないでしょ?」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:29:32.39 ID:pXJ6Ifkk0
――――。
しばらく、沈黙が流れ――。
「……はい」
観念したように、私が返事をすると、夕美さんは息を一つ吐きました。
「言い辛いことだったら、何も言わなくて、いいよ。言えるようになったらで、いいから」
夕美さんも、とても言葉を選んでいるような――いや――。
「ただ……肇ちゃんを追い詰めているものが、私のせいじゃなければ、いいなって……」
単純に、とても声が小さくて――まるで、必死に泣くのを堪えているような、そんな声でした。
「ごめんね……自分でも、自意識過剰だ、って思う」
「いえ……! ……私こそ、すみません」
――――。
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:32:03.62 ID:pXJ6Ifkk0
――外で、電車の走る音が聞こえます。
冬はとても日が落ちるのが早く、まだ17時にもなっていないのに、辺りはすっかり暗くなってきています。
「……今日は、そろそろ失礼します」
「そうだね……明日も、早いしね」
私の住んでいる寮は、夕美さんの家から30分も離れていません。
「今日は、あの……本当に、すみませんでした」
「な、何言ってんの! 私こそ、何だかごめんね。ヘンだったよね」
「いえ、本当に……でも、これだけは、言わせてください」
私は、たぶん今日初めて、夕美さんの目をしっかり見ました。
「私の気負いは、夕美さんのせいでは、決してありません。いつか……ちゃんとした形で、お見せします」
「ありがとう、肇ちゃん」
別れ際、夕美さんはようやく、穏やかな笑顔を見せてくれました。
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:35:57.11 ID:pXJ6Ifkk0
それからおよそ一ヶ月後――夕美さんから、お誘いを受けましたが、初めて断りました。
ちょうど、窯詰めの日だったからです。
夕美さんは――何も言わず、了承してくれました。
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:37:51.92 ID:pXJ6Ifkk0
いつもお世話になっている窯元は、山奥にある実家の工房から、車で麓まで降りて20分ほどの所にあります。
「おう、藤原さん」
窯元のご主人は、車から降りたおじいちゃんの側へ歩み寄り、握手を交わしました。
「今日はワシのだけでなく、孫のモンもひとつ面倒見て欲しい」
「分かってますよ、むしろそっちが本命でしょ?」
チラッと、ご主人がおじいちゃんの後ろに目をやります。
それを両手に抱え、モソモソと車から降りる鈍臭い私を見て、ニヤッと笑いました。
「肇ちゃん、しばらくだね。雑誌見とるよ、全国ネットに出るのもそろそろかい?」
「私は……いえ、今日はそんなことより」
「ハッハッハ、分かっとる分かっとる」
それを渡すと、ご主人はまじまじと見つめ、ため息を漏らしました。
「ほぉ……いや〜若いコの感性ってのぁ、さすがにすごいね。どう焼き上がるか楽しみやわ」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:42:31.98 ID:pXJ6Ifkk0
窯元さんの登り窯には、4つの部屋があります。
一番下の部屋にくべられた薪火の熱が、順にその上層、陶器を詰めた部屋をかけ登り、煙突を抜けていくのです。
主な燃料となるのは、油分の多い、岡山県産の赤松の割木を、およそ10トン。
10日間、昼夜を通して薪をくべ続ける、大変な作業です。
そして、窯炊きと同じくらい重要となる工程が、今日の窯詰めです。
作品を窯のどの位置に、どの向きに置くか。縦に置くか横に寝かせるのか。
熱のかかり方だけでなく、灰の飛ぶ位置も考慮するのは、それによって焼き物にかかる模様も変わってくるからです。
二つとして同じものが生まれないこの模様は、窯変(ようへん)と呼ばれ、備前焼の大きな特徴の一つです。
やり直しのきかない、一発勝負――そして、狙った通りに窯変を起こすこともできません。
いかに焼き上がりをイメージし、作品を詰めていくか、慎重に検討するため、窯詰めだけでも一週間近くかかります。
でも――。
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:45:00.90 ID:pXJ6Ifkk0
「もうちょい火元の近い所に置くか?」
ご主人は、私の作品を優先的に配慮し、詰めてくださいました。
「い、いいんですか?」
「だって大事なモンなんでしょ? こういうのは図々しくやったもん勝ちよ、気にすんな」
ご主人は豪快に誘い笑いをしながら、しかし、とても真剣に微調整を繰り返します。
「あまり近いと、割れるかもしんねぇな。厚みも均一じゃないようだし」
「すみません……」
「いや、こういう冒険しまくってる作品、オレぁ好きだ。良いモンになるといいな、藤原さん」
そう言って、ご主人はおじいちゃんに同意を求めましたが、
「知らん」
と、無愛想に返します。もう、せっかくお世話になる窯元さんに、なんて態度っ。
「ワハハハ。あのジイさんが壺を割る音を目覚まし代わりに、オレらぁ育ったようなもんだ。
今更いいってことよ。さて――」
「ここで、いいかな?」
最後のチェックです。信頼のおける窯元さんが、入念に調整してくださった位置と向き。
文句の付けようがありません。私は、大きく頷きました。
「はい」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:48:25.86 ID:pXJ6Ifkk0
4月になり、学校も新学期が始まりました。
アイドルである私がどのクラスになるのかは、校内の先生や生徒達にとって、高い関心事でもあったようです。
昨年、仲の良かった子達とは――良かった、同じクラスです。
どうしても休みがちになりますので、また、ノートを写してもらわなくてはなりません。
お仕事でも学校でも、地元でも、私は他の方々のお世話になってばかりです。
そして、フェスに向けたレッスンも佳境が近づくとともに――。
「どうした、藤原っ! 半拍遅れているぞ!」
夕美さんの誕生日が――窯出しの日が、すぐそこまで迫ってきました。
「らしくないな、何をボーッとしている……おい、聞こえているのか藤原!」
「は、肇ちゃん……?」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:50:44.89 ID:pXJ6Ifkk0
「トレーナーさんが心配していたぞ。あんなに集中力の無い肇は初めて見るって」
椅子から立ち上がり、Pさんは私の前で少し屈んで、私の顔を心配そうに見つめました。
「調子悪いようなら、無理しなくていいぞ? 俺から他の子達に代役頼むから……」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
予定した新幹線に乗れるなら、何も問題はありません。
踵を返し、足早に事務所を出ます。
さっさと終わらせないと――。
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:53:37.41 ID:pXJ6Ifkk0
その日のお仕事は、旅行雑誌に使われる写真の撮影でした。
普段着のまま、等身大の女子大生としての快活な格好で臨む夕美さん。
一方、それとは対照的に、私は着物姿です。
「うわぁ、いいねー肇ちゃん、すっごく似合ってる!」
浴衣とかは普段でもよく着ていましたので、着物は私としても特に抵抗はありません。
数点、撮影するだけと聞いているので、おそらく1時間程度で終わるでしょう。
岡山へ向かう新幹線の時間までには、十分間に合います。
とうとう、この日が来たのです。
「えっ……機材トラブル?」
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:57:58.95 ID:pXJ6Ifkk0
「?」
スタッフさん達が、バタバタと慌ただしく動き回っているのが見えます。
準備は終わっているので、こちらはいつでも撮影は可能なのですが――。
「す、すみません。ちょっとカメラマンさんの機材に不具合があったみたいで……。
換えのパーツというか、カメラそのもの? を調達するのに結構時間かかっちゃうみたいなんですよ」
「え、えぇ!?」
思わず、私は現場のスタッフさんに問い質します。
「時間かかっちゃうって、どれくらいですか!?」
「うえぇ、と……どれくらいかな。たぶん行って帰ってだから、2時間くらい…」
「2時間……!」
今は10時。新幹線は、13時過ぎに東京駅を発ちます。
「最悪、自由席になっちゃうけど、一本後の新幹線に乗る?」
私の心中を察した夕美さんが、コッソリと提案してくれます。が――。
「絶対に、絶対にその時間までにはお仕事を終えたいんですっ!」
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/17(木) 23:59:37.38 ID:pXJ6Ifkk0
「そうは言われましてもぉ……今日来てくれるカメラさん、なかなか忙しくてですねぇ。
今日中に撮らないともう原稿の納期にも間に合わないんすよ」
「こっちだって、今日は外せない大事な用事が……!」
「肇ちゃんっ」
夕美さんの弾くような声に、私はハッと振り向きました。
「スタッフさん達も一生懸命なんだよ。私達だけが、ワガママ言っちゃダメだよ」
「……はい」
とにかく、時間まで待つことになりました。
――できる限り、です。
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:03:38.73 ID:dZyp/T120
「! …………ッ! ……」
遠くでスタッフさん達が奔走する声を聞きながら、スタジオの隅の椅子に腰を下ろし、ジッと堪えます。
「たまたま近くに来てる代わりのカメラマンさんが捕まらないか、探してたりするのかな」
夕美さんが、私を慰めるように、ボソッと独り言を言います。
チラッと、時計を見ました。
11時10分――ここから東京駅までは、1時間ほどかかります。
撮影に割ける時間が、どんどん削られていきます。
どうか、早く――。
「えっ……えっ、ちょっと待って、あと2時間!?」
「!?」
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:05:33.70 ID:dZyp/T120
「いや、勘弁してくださいよ! もうこっちスタンバってんすよ!?」
スタッフさんが必死に電話で誰かと話しています。
非常に、良くないことが起きているのは、傍目にも明らかです。
「そんな……わ、分かりました。とにかく急いでください、CGプロさん達も限界っぽいので」
電話を切り、大きくため息をついて、スタッフさんが私達に駆け寄ってきました。
「あのぉ、本当にすみません非常に言いにくいことなんですけどぉ……なんか、踏切で事故があったみたいです。
すごく渋滞してるみたいで、しかも迂回できないみたいなんすよ。それで、あとぉ2時間以上…」
「もういいです」
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:09:47.93 ID:dZyp/T120
私は、席を立ちました。
えっと声を漏らすスタッフさん。慌てて、夕美さんが私の肩を手で押さえます。
「私達……いいえ、私にとって、どうしても譲れないんです。今日だけは。
すみません。どうか分かってください」
スタッフさんが必死な顔で食い下がろうとしますが、どうしても話を聞く気にはなれません。
こうしている間にも、時間が――!
「い、いやいやいやマジですみませんって! 俺達、今日の企画成功させないと色んな人達に迷惑が…!」
「迷惑っ……私達への迷惑は、どうでもいいんですか!? さっき私、ちゃんと…!」
「落ち着いて肇ちゃん! 待ってあげようよ。いくらなんでも、さすがにそういうのまずいよ!」
「だって……だって……!」
頭の中がぐちゃぐちゃで、何が何だか分かりません。
子供の頃の、大声で泣く私――おじいちゃんの手を何度も払った記憶が、今の私に重なります。
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:15:49.19 ID:dZyp/T120
どうしようもなく身勝手なのは、分かっています。
信用を売り物にするこの業界で、依頼された仕事を放って私用を優先させたと知れ渡ったらどうなるのかも。
でも、逸る気持ちが、どうしても抑えられません。私は――。
私は、アイドルである以前に、藤原肇という個の人間なんです。
選択をしろと言われれば、私は迷わずアイドルの自分を捨て、すぐにでもあれを迎えに行きます。
納得を迫る理性と、子供じみた感情がない交ぜになり、それが溢れ出るのを堪えることができません。
「あんまりです……私は、ただ……なのに、ずっと……!」
夕美さんの――大切な人の、今日のために、ずっと――!
「は、肇ちゃん……」
「ヤッホー☆ 呼ばれてないのにフレデリカー♪」
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:20:16.85 ID:dZyp/T120
「へ……?」
「いや、呼ばれたから来たんやん」
満面の笑顔で手を振るフレデリカさんと、その後ろで呆れたように腰に手を置く周子さんがそこにいました。
「ど、どうしたんですか?」
夕美さんが聞くと、周子さんは――。
「夕美ちゃん達のプロデューサーさんに頼まれてさ。
女子大生と和服美人、ってコンセプトなら、ウチらでもいけるかなって。スタイルもそう変わんないし」
「髪色的にもフレちゃん、割と夕美ちゃんっぽいでしょ?
いやー持つべきものはおフランス産のナチュラルキューティコーだよねー♪」
「Pさんが……?」
以前から、私の様子を心配していたらしいPさんは、予めフレデリカさん達に代役を頼んでくれていたのです。
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:22:41.09 ID:dZyp/T120
「ほれほれ、時間無いんでしょ? 肇ちゃん、さっさと脱げ〜い!」
「えっ、うえぇ!?」
「ここはCGプロが誇るナンバー2和服美人のシューコちゃんに任されよう。ちなみに高いよ?」
「よいではないか☆よいではないか」
「い、いや私これ私服だから! フレデリカちゃんはそのままでいいんだって!」
「ンー? じゃあ後でね?」
「何が!?」
「あ、ありがとうございます! どうか、どうかよろしくお願いしますっ!」
スタッフさんが、ほとんど土下座もせんとばかりの勢いで二人に頭を下げます。
お二人がその場を引き受けてくれたおかげで、私達はそのまま東京駅へ向かい、予定された新幹線に無事乗ることができました。
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:27:55.75 ID:dZyp/T120
東京駅から岡山駅までは、およそ4時間。
そこから在来線に乗り継ぎ、私の家には着くのは、たぶん夜になるでしょう。
「…………」
しばらく私達は、無言でした。
夕美さんも、先ほどのこと――私が、醜く騒いでしまったことには、触れないようにしてくれていました。
「…………」
でも、やっぱり――そういうのは、良くありません。
「夕美さん……」
「ん?」
「ごめんなさい……自分でも、信じられない我が儘を、してしまいました」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:34:00.73 ID:dZyp/T120
冷静になれば、この新幹線にこだわる必要なんて、無かったんです。
多少遅くなろうと、何本か遅らせてでも、今日中に――いや、明日でも良かった。
家に着くことさえ出来れば良かったんです。なのに――。
「ううん」
夕美さんは、首を振りました。
「あんなに感情的になった肇ちゃんを見たの、初めてだったから、少しビックリしたけどね」
えへへっ、と――俯きながら、夕美さんは少しだけ、笑いました。
「他の人達に迷惑をかけたのは、良くなかったけど……肇ちゃんにも、しっかりした考えがあってのことだって、私、知ってるもん」
「……しっかりだなんて、とんでもありません」
本当に、自分勝手でしか――。
「しっかり屋さんだよ、ちゃんと。肇ちゃんは」
「えっ……」
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:36:17.21 ID:dZyp/T120
「ここ最近、ずっと口数が少なかったのも……一生懸命、我慢していたんだよね」
夕美さんは、そっと私の手を取りました。
「口を開くと、抱えてる不安とか、不満とか、嫌な言葉をふとした拍子で皆にぶつけちゃいそうで、それが怖くて……だから、我慢していたんでしょう?」
「肇ちゃんは、ずーっと私や、皆のことを想ってたんだね……よく、我慢してきたね」
私は――目を瞑り、黙って首を振りました。
違いますと、言おうとしましたが、言葉が出ません。
夕美さんは、窓の外を見ています。
私の方を、見ないようにしてくれています。
静岡を過ぎました――たぶん、そろそろ窯出しが終わった頃でしょう。
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:39:11.93 ID:dZyp/T120
最寄り駅に着く頃には、辺りは真っ暗でした。
予め待ち合わせをお願いしていたお父さんの車に急いで乗り込み、家に向かいます。
夕美さんを乗せて家に行くのは、何度もありましたが、こんな遅い時間に行くのは初めてです。
いつもと違う、街灯が無い真っ暗な山道を登る間、夕美さんは少し緊張しているようでした。
そして、私も――。
いよいよ、その時が近づいてきます。
あぁ、家が見えた時――ようやく、私は気がつきました。
その先に待っているのは明るい結末であると、信じて疑わなかった。
その時が近づくにつれ、黒い不安が膨れあがり、抑えきれなくなっていることを。
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:40:56.57 ID:dZyp/T120
「私、居間で待ってた方が、良いのかな?」
私の目的が工房にあることを、夕美さんはとっくに察していたようです。
私は、車を降りて、無言で頷きました。
その時、玄関のドアが開き、おじいちゃんが出てきました。
「おう……ご苦労だったな」
工房の方へ、顎を向けます。
私は、やはり無言で頷いて、足早にそこへ向かおうとすると、
「肇」
と、おじいちゃんが呼び止めました。
「イムラさんがな……お前に、すまん、と」
「えっ」
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:45:02.20 ID:dZyp/T120
――――。
――それは、素晴らしい出来映えでした。
私が思い描いた非対称性が、篦目が、陰と陽が――そして、想像以上に見事な窯変が、さらなるアクセントを与えています。
備前の陶芸に携わってきて、備前焼を好きで良かったと、心から思える代物です。
大きなヒビが、それの背面――ステージの壁をイメージした箇所に入っていたことを除いては。
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:47:08.45 ID:dZyp/T120
誰もいない、ひんやりとした工房で、私はそれを手に持ち、しばらく立ち尽くしていました。
放心状態と言っても、良かったかも知れません。
焼く前から、窯元のご主人が懸念されていたことではありました。
そこは厚みが他より少し薄く、耐力的にも脆い箇所です。
しかし、厚くすればかえって重たくなり、バランスが悪くなって後ろに転がってしまいます。
それより、元々不安定な形状であるため、焼き上がり後、冷ます間の収縮が不均一となってしまった可能性もあります。
つまり――どうやったら防げたのかは、今の私には分かりません。
窯元さんのせいではありません。単に、私のこだわりのせい。
私の技量不足です。
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:48:52.99 ID:dZyp/T120
急に、自分がすごく、恥ずかしくなりました。
おじいちゃんの言うとおりです。
私は結局、どこまでも独りよがりだったのです。
この作品に与えたコンセプトだけでなく、無理を言って窯元さんに窯炊きをお願いしたのも。
今日ここに来るまで、一人で気負って、色々な人を不愉快にさせて、迷惑をかけたのも、全部。
夕美さんへのプレゼントを建前に、私の自分勝手を、通したいだけだったんです。
それが――こんな――!
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:49:53.06 ID:dZyp/T120
こんな結果になるなんて――!
私は一体、何なんでしょうか。
私は、それを両手に持ち――。
高く――高く掲げ――。
――――ッ。
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:50:58.56 ID:dZyp/T120
ッ――――。
――――――。
「肇ちゃん」
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:53:38.18 ID:dZyp/T120
「…………夕美さん」
いつまで経っても工房から出てこない私を、心配したのでしょう。
「…………」
彼女は、私の様子を見て、全てを悟ってくれたようでした。
「……お願いが、2つだけあるんだけど、いい?」
「お願い?」
「まず…………それを一旦、置いてもらえるかな」
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:56:55.23 ID:dZyp/T120
「…………」
言われた通り、机の上に置きます。
「ありがとう。それから……あぁ、ごめんね。2つじゃなくて3つだったね」
「涙を拭いて」
「…………」
「うん…………ありがとう」
「じゃあ、最後のお願い……少しだけ、語ってもいいかな?」
「えっ?」
「この間みたいに、熱くなっちゃうかも知れない……何言いたいのか、分かんなくなっちゃうかもだけど」
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 00:59:25.92 ID:dZyp/T120
この間――たぶん、お花が好きだと語った時の、あのことを言っているのかと直感しました。
「どうぞ」
「えへへ……ありがとう」
「ガーデニングを、しててね? 私……んーと、さ。とにかく花が好きなの。それは、本当に」
夕美さんは、手を後ろに組んで、下を向きました。
「色んな花があるんだけど、皆大好き。だって、皆生きてるから。精一杯、頑張ってるから。
私も、そんな子達のために、お世話している時、あぁこの子達の生に寄与してるんだーって。
この子達のために、私もいるんだーなんて。自分がすごく、素敵で優しい人になれたように思えて」
その通りです、と言おうとした所で、夕美さんは言葉を切りました。
「でも……」
「そんなの、正しくないの。本当は、全然違うんだ……綺麗事の、上っ面なの」
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:04:17.08 ID:dZyp/T120
「上っ面?」
私には、夕美さんの言うことが、よく分かりません。
「花を生かすために、私は何度も選択をしなくちゃいけないんだ」
「選択……」
夕美さんは、天井を見上げ、大きく息を吐きました。
「数えきれないくらい、何度も、何度も摘み取ってる」
「綺麗な花を咲かせるために、その妨げになる雑草を、たくさん摘み取っているの」
――言いたいことが、少しずつ見えてきたような気がします。
「おかしいよね。すっごい矛盾してるじゃん、って自分でも思うよ。
生きてる元気をもらえるとか言って、綺麗な花を咲かせる方を可愛がるくせに、その横に生えてる10や100の雑草を殺すんだよ」
「今まで、どれだけの命を奪ったのか、分かんないくらい、たくさん殺したよ」
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:07:20.86 ID:dZyp/T120
「仕方が無いことです」
「そう言って、簡単に片付けられればいいんだけどね」
夕美さんは、笑いました――やはりそれは、初めて見る笑顔です。
とても悲しそうな笑顔でした。
「可愛い子を選択したら、それ以上の命を捨てなくちゃならない。
すごく残酷なことをしてるって自覚が無いと、私にとって、それはガーデニングじゃないの。きっと……」
夕美さんは、机の上に置いてあるそれを、指差しました。
「きっとそれの中でも、私は、同じことをすると思う。
ステージの上で、自分の好きな可愛い子を生かして、そうじゃない子達を切り捨てる」
「まるで、アイドルの世界みたいに」
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:10:23.08 ID:dZyp/T120
「……ッ!」
「奇遇だね……私、ずっと似てるなぁって思ってた。
アイドルも、こんな感じなんだろうなぁって、それがさ……その植木鉢、ステージそっくりに見えてさ。
私がずっと直面して、思い描いてきた世界、そっくり」
「私、雑草になりたくない……でも、雑草だと言われて、切り捨てられた子達も、ずっと多いんだよね」
――何を言ったら良いのか、分かりません。
夕美さんは、私よりもずっとこの世界の過酷さを、ガーデニングを通して既に受け止めていたのです。
「……えへへっ、やっぱり、何か変な風になっちゃったね。でもね?
やっぱり私、それでもガーデニングは好きなの」
もう一度、笑いました――心なしか、先ほどよりも、明るくなっています。
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:12:38.84 ID:dZyp/T120
「だって、選択をしたら、それを大切にしなくちゃって、思えるから」
ちょっと俯いて、首を振って、また顔を上げます。
「省みたらいけないと思うの。捨てちゃった子達のことを省みたら、その子達が余計に可愛そう。
……ううん、そんなの、言い訳でしかないし、私の勝手な思い込みだよ。でも……そう思うようにしてる」
夕美さんは、後ろに組んでいた手を、胸の前で握りしめました。
「その子達を犠牲にした分、ちゃんと自分で選んだ子達は、しっかり咲かせてあげなくちゃって。
綺麗に、輝かせてあげなくちゃって。そうでなきゃ、その子達を捨てた甲斐が無いもの!
自分の身勝手な選択を、自分がちゃんと受け止めなきゃ、ダメだよって! 私、ずっと思うの」
「自分の選択を……自分だけは、肯定して、大切にして、しっかり生かさないとって……私、思うんだ」
「…………」
「……あっ、えへへ……ごめんね! 何が言いたいんだって話だよね!? よし、ごめんごめん!」
顔をゴシゴシと拭いて、夕美さんはピシッと気をつけをしました。
「結論を言います!」
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:14:24.16 ID:dZyp/T120
「私は、肇ちゃんには、それを割ってほしくありません」
「……はい」
何となく、ホッとしました。
それは、そうだろうなと思います。自分へのプレゼントを――。
「あっ、ううん! ウソウソ、今の正しくない。言葉が足りないな、えーとね……」
「えっ?」
「肇ちゃんには、私のために、それを割ってほしくありません」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:19:00.28 ID:dZyp/T120
「……夕美さんの、ために?」
夕美さんは、鼻を鳴らしました。なぜか、どこか得意げです。
「それを割るのも、割らないのも、肇ちゃんの自由だよ。
どっちを選択したとしても、私はそれを尊重する。でも……」
「誰かのためとか……もちろん、誰かのせい、っていうのもダメ。
他の人の器に自分を嵌め込んでいったら、どんどん“肇ちゃん”じゃない、丸っこくて特徴の無い、普通の人になっちゃうと思う」
「器……」
「ううん、変なこと言ってるなぁ……でも、言いたいこと、きっとそういうことなの。
肇ちゃんは、誰にも媚びたり、阿るようなこともしない、しっかりした器?“肇ちゃん”っていう個を持っていて、私はそれが大好き」
「だから……」
大きく深呼吸をして、夕美さんは私の目を、もう一度見ます。
「肇ちゃんには、絶対に私や誰かのためじゃなく、自分のために選択をしてほしいの。
そして、その選択に誇りを持って。絶対、私だけは肇ちゃんの味方だし、何があってもその選択を尊重するよ。ねっ?」
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:22:36.43 ID:dZyp/T120
「夕美さん……」
「自分で選ぶから、自分が一番それを大切に出来るんだって、思うから」
夕美さんは、今日一番の――。
いえ――いつか見て、今まで少しだけ忘れていた、とても眩しい笑顔です。
「凜としてて、しっかり屋さんで、でもちょっとだけ頑固で、視野がアレしちゃう、真っ直ぐな子――。
私が好きな、雑味が無い肇ちゃんでいてほしいから、自分のために、それを選択してほしいんだ」
「…………」
「あれ? 返事は?」
「ふふ……」
涙を拭いて――負けないくらい、しっかりとした笑顔で返します。
「はい」
私も、そういう雑味の無い自分――いえ、そうあろうとする自分。
そして、それを好いてくれる夕美さんが、好きです。
「あはは、それそれっ! うん、よろしい!」
「はい……それと」
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:25:00.90 ID:dZyp/T120
「お誕生日、おめでとうございます、夕美さん」
「言うの遅くない? あはははっ!」
「ふふっ……」
どんな自分でありたいか。
それを見出すために、自分のための選択が必要なのだと、彼女は教えてくれました。
ありがとうございます。夕美さん。
私は、夕美さんに頷くと、改めてそれに向き直り――。
大きく、深呼吸をして――。
両手で持ちました。
***
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:27:41.71 ID:dZyp/T120
***
「……肇ちゃん? おーい、肇ちゃん」
「えっ?」
「えへへっ……肇ちゃん、結構ボーッとしぃだね?」
本番直前にも関わらず、少し、あの時のことを思い出していたようです。
舞台袖に立つと、会場の地鳴りのような歓声が、すぐそこまで聞こえてきます。
「夕美さん」
「ん?」
「これからも、よろしくお願いします」
「……うん! こちらこそ、よろしくね、肇ちゃん!」
「はい」
どちらともなく手を差し出し、ぎゅっと、握りました。
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:32:04.67 ID:dZyp/T120
結局、私はそれを、割ることが出来ませんでした。
どこまでも独りよがりで、我が儘を通したそれは、夕美さんへの誕生日プレゼントである以上に、私そのもの。
雑味ばかりの、未熟な私そのものでした。
我が身可愛さとは、このことでしょう。
夕美さんにそれをプレゼントすると、彼女はとても喜んでくれました。
何だかんだで、やはり割らないことを願ってくれていたのだと思います。
その日から、ちゃんと花を生けて、玄関に飾ってくれています。
でも、もし今後、自分が作り上げていくそれを、私が――。
藤原肇がそれを割る日が、いつか来るとしても――。
今の私なら、それを素直な気持ちで肯定し、大切にすることが出来ると思います。
夕美さんがいてくれるなら、きっと――。
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:34:44.74 ID:dZyp/T120
すぐそこに見える会場を、満員のお客さん達を見つめます。
なぜこの人達が今日ここに集まり、期待に満ちた声を上げてくれるのか。
何を期待されているのか。そして――私達はなぜここにいて、それにどう応えるべきなのか。
私と夕美さんが、これからも選択を繰り返しながら、見出していく道。
「見極めました。行きましょう」
「うん!」
私達は、輝くステージに飛び出しました。
〜おしまい〜
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2017/08/18(金) 01:42:03.01 ID:dZyp/T120
この二人は何となく仲良さそうだなぁと思いながら書きました。
ただ、キャラだけでなく、備前焼等の専門的な話についても不勉強が多いです。
変なところがあったらすみません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、失礼致します。
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/18(金) 02:20:54.48 ID:LHTfNSLQO
乙
良かった
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/18(金) 05:22:09.25 ID:rk/p75qDO
乙
相葉ちゃんはやっぱり、笑顔で誰にでも優しい子であるのが似合うなぁ
114 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/21(月) 09:54:56.06 ID:HKdYZI3Z0
良かった・・・乙
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