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【ミリマス】海岸戦線異状なし
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19 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/08/19(土) 10:10:50.00 ID:cXVQkrlI0
途端、ガクンと大きく車が揺れた。突然の反復運動に車内が悲鳴で満たされる。
咄嗟に両手両足を踏ん張って、振動を堪えた紗代子の視界を真っ赤な流星が通り過ぎ……瞬間、彼女は確かに見た。
『た・す・け・て・!』
流線型の赤いオープンカー。運転席にはサングラスをかけた美女が座り、
その隣には真っ青な顔でこちらに視線を向ける少女の姿が。なに見間違おう、アレは野々原の茜じゃないか!
おまけに後部シートに張り付けにされたように座るのも、劇場で見知った仲間たち。
僅か一秒にも足らぬ刹那的邂逅。
しかし、紗代子は確かに彼女たちの声を"捉えた"のだ。
「ありゃ、山組かっ!?」
車体をぶつけられぬよう、ハンドルを切る男の叫びに反応するだけの余裕は紗代子に無い。
突如現れたオープンカーは常識外れのスピードで華麗に追い越しと割り込みをやってのけると、
挨拶代わりのクラクションをその場に置き捨てあっという間に見えなくなって……。
まるで信じられないと、夢うつつな気分で紗代子がズレてしまった眼鏡をかけ直す。
「な、なんだったんです? 今の」
「さぁ? ……ま、全ては丸く収まったよ」
こういう人を、世間ではできた大人と言うのだろうか?
それともただ、全てを諦めているだけなのかも。
直前の光景に対しての一切の返答を拒否しつつ、「何も知らない、見てもいない」とでも
主張したげな男の横顔を眺めて彼女は一人頷いた。
……どうやら自分も、彼に倣った方が悩みを増やさずに済みそうだ。
20 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/08/19(土) 10:13:10.09 ID:cXVQkrlI0
「それでも少し、わ、悪い気がしちゃいます」
まるで車内の空気を戻すように。
紗代子の座るすぐ後ろからおずおずと自分の気持ちを口にしたのは、美希と並んで座る可憐だった。
すると背後から運転席にしがみつくようにして(無論、良い子は真似などしてはいけない)
男の首へと腕を回していた美希が「悪い気?」と彼女に聞き返す。
「は、はい。他の皆さんはその、今もお仕事だったりレッスンだったり、頑張ってるじゃ、ないですか……」
「そうだね。後は命の危険に晒されてたり」
「なのに、えっと、私たちだけこうして海に行くっていうのが――」
「皆にたいして気が引けちゃう? もう、可憐は心配性だなぁ」
そう明るく可憐に答えるのは、最後部の座席から前へと身を乗り出す真である。
彼女の両手は美希のズボンのベルトを掴み、椅子に座らせようと悪戦苦闘の真っ最中。
「みんなお休みは貰ってるし。今回はたまたまこのメンバーが、一緒になったって言うだけで」
「可憐、まこっちゃんの言う通りだって! 私たちがお仕事してる時は、代わりに誰かが遊んでるんだし」
「せっかくのお休みなんですから、考え過ぎもよくないですよ……っと!」
21 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/08/19(土) 10:15:20.65 ID:cXVQkrlI0
海美と紗代子が賛同しつつ、苦戦する真に加勢した。
流石に三人同時は辛いのか、美希も苦しげに顔を歪める……が、恋する乙女は往々にして往生際の悪い物。
彼女は体をくねらせ抵抗すると、いまだ「うぅ、でも……」と納得できないでいる可憐に向かって言い聞かす。
「だったらみんなに、お土産でも持って帰りなよ」
「お、お土産ですか?」
「うん! どんな海でどんなことをして、今度はみんなでも行きたいねって」
笑顔で語る美希の言葉に、男が「そうだな」と相槌を打った。
「土産話は旅の花。残った自分たちのせいで、可憐が楽しめなかったなんて話――」
「やっぱり聞いてもつまんないよ。だからミキね、今日はとーってもやる気なのっ!」
一旦席に着くように見せかけて、美希が足を踏ん張り腰を上げた。
完璧なフェイントに引っかかり、振りほどかれる真と海美の伸ばした手。
ずらされるズボン、顔を見せるパンツ。
だが、そんなことなど気にしていない(あるいは単に、気づいてないか)
美希は先ほどよりも強く運転席にしがみつくと、自信満々に宣言する。
22 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/08/19(土) 10:17:13.43 ID:cXVQkrlI0
「全力でハニーと遊びたいから、今日は絶対にお昼寝しないっ!!」
だがしかし、美希には可哀想であるが……彼女の決意表明は、
車内を賑やかな笑い声で満たす結果となってしまった。
その余りと言えばあんまりである彼女の姿と発言に、
紗代子も思わず彼女を抑える手を緩め、笑い涙してしまったほどである。
「もー! なんでなんで〜? ミキ、面白いことなんて言ってないよ〜!!」
全くワケが分からないと、キュートにむくれてみせる美希。
その隣では可憐が両手をギュッと構えて、「そ、そうですね」と大きく頷くと。
「私も今日は、あ、遊びつくすことにします! ……楽しめなかったなんて話を、みんなにしたくはないですから」
言うが早いか次の瞬間、可憐は美希の両脇に手を伸ばした。
無防備に曝け出されていた美しいくぼみが弄ばれる。
車内に木霊す少女の嬌声、跳ねる四肢によりふらつく車体。
「今からはしゃぎ過ぎてると、海につく前にバテちゃうぞ」
ドライバーは忠告しつつもわれ関せず。
けたたましい笑い声が消えて車内に静寂が戻った時、使命を果たしたと満足気に座る可憐の隣に
お行儀よく力尽きた美希の姿があったとは、後に語られることになる土産話からの一節だ。
23 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2017/08/19(土) 10:19:30.54 ID:cXVQkrlI0
とりあえずここまで。
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/19(土) 11:00:13.36 ID:1GnniFQQO
ぷっぷかさん…海外じゃあんな普通に運転してたのに自分の車だとこうなるのか…
被害者はクレブルメンバーっぽいなぁなんとなく
乙
25 :
◆NdBxVzEDf6
[sage]:2017/08/19(土) 11:38:31.57 ID:tkClwe/I0
美希の両脇コショコショ
>>18
高山紗代子(17)Vo/Pr
http://i.imgur.com/9pkDRQo.jpg
http://i.imgur.com/tJyjnM7.jpg
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/19(土) 12:27:05.55 ID:qYV4AxCV0
後部座席に真顔で縛られてる志保創造したらワロタ
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/09/07(木) 11:15:10.10 ID:eJSkNPHT0
保守
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/10/03(火) 22:11:12.27 ID:McxtXiN30
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