【艦これ】阿武隈「皆がお布団に潜り込んでくるんですけど」

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1 : ◆dbGyYYDw8A [sage]:2017/08/13(日) 23:51:47.52 ID:qhfAmQpDo

〜一日目 響〜

阿武隈「ふわぁー……もう朝か。さてと、早く起きないと」

阿武隈「って思ったんだけど」

響「……すー」

阿武隈「響ちゃんがあたしのお布団に潜り込んできてるし」

響「……くー」ぎゅー

阿武隈「しかも、あたしの腕をつかんで離してくれません」

五十鈴「どうしたのよ阿武隈、寝起きにブツブツと……ああ、響ね」

阿武隈「忘れた頃に潜り込んでくるんですよ、もう響ちゃんってば」プニプニ

響「うにゃ……」

阿武隈「ふふっ、ほっぺたプニプニしてます。かわいーなー」

五十鈴「アンタもアンタで楽しそうね」

阿武隈「まあ、悪い気はしないですよ。いつもだとちょっと困りますけど」

響「うん……」ぱちくり

阿武隈「あっ、響ちゃん起きた? おはようございます」

響「おはよう……? あれ、なんで阿武隈さんが?」

阿武隈「なんでって響ちゃんがあたしのお布団に潜り込んで来たんだよ? もう、響ちゃんってば寝ぼすけさんです」

響「いや、そんなはずは……なんてことだ、まさか寝ている間に深海棲艦の手によりワープさせられてしまったのか」

五十鈴「そんなわけないでしょ。全く、恥ずかしがってないで素直に阿武隈の布団に潜り込んだって言えば良いのに」

響「冗談だよ。私はただ阿武隈さんの護衛任務でここにいただけだよ」

五十鈴「はいはい」

阿武隈「えへへ、かわいい護衛さんですねえ」

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2 : ◆dbGyYYDw8A [sage saga]:2017/08/13(日) 23:53:12.36 ID:qhfAmQpDo

響「もう、阿武隈さんは私を信頼していないのかい?」

阿武隈「そんなことないよ。ありがとうね、響ちゃん」

響「別に大したことはしてないさ」

阿武隈「後は普段からもうちょっと素直に言うこと聞いてくれると、完璧なんですけど」

響「それは無理だね」

五十鈴「阿武隈に構ってもらいたいからって、たびたび指示に従わずに困らせてるらしいじゃない。若葉や暁から聞いたわよ」

響「……さて、なんのことかな」

阿武隈「もう、とぼけちゃって。ほら、そろそろ離してね。これじゃあ起きられないから」

響「了解した、Верный (ヴェールヌイ)起床する」

阿武隈「はい、改めておはようございます、五十鈴お姉ちゃん」

五十鈴「ふふっ、おはよう阿武隈。今日も良い日になるといいわね」

阿武隈「はい! 響ちゃんもおはようございます」

響「おはよう阿武隈さん、今日も良い日になると良いな」

阿武隈「はい!」

響「と言うわけで……ウラー!」バッ!

阿武隈「ってお見通しなんだから!」ガシッ!

響「……なんてことだ。阿武隈さんへの飛び付きが防がれるなんて」ぷらーん

阿武隈「ふふーん、そう何度も背中に貼り付かせたりしないんだから」

五十鈴「阿武隈……響を抱きかかえながら言ってもカッコつかないわよ」

響「完全に不意を突いたと思ったんだけど」ジタバタ

五十鈴「事あるごとに阿武隈の背中に貼り付こうとして、不意をつくもなにもあったもんじゃないわね。完全にワンパターンよ」

響「なんてことだ……それじゃあ、これから阿武隈さんエネルギーをどうやって補給すれば良いんだい?(これはこれでいいな、ハラショー)」

五十鈴「そもそもそんなエネルギーは存在しないわ」
3 : ◆dbGyYYDw8A [sage saga]:2017/08/13(日) 23:53:57.77 ID:qhfAmQpDo

響「阿武隈さんエネルギーが枯渇すると、駆逐艦の稼働率がおよそ80%減少する。すなわち、鎮守府が機能不全に陥るんだ」

阿武隈「響ちゃんはあたしをなんだと思っているの!?」

響「ちなみに暁が昨日元気がなかったのもそれさ。阿武隈さん、早く私達の部屋に行って暁にエネルギーを補給してやって欲しい」

阿武隈「暁ちゃんすごい元気だったんですけど」

五十鈴「アンタ、阿武隈と一緒に遊んで欲しいだけでしょ」

響「そんなことないさ。私には全駆逐艦のために阿武隈さんエネルギーを回収するという大切な役目がある」

阿武隈「意味が分からないんですけど」

響「阿武隈さんはそれで良いんだよ。阿武隈さんは阿武隈さんの、私は私のなすべき事をやるだけさ」

五十鈴「で、アンタのやるべきことが阿武隈にじゃれつくことなの?」

響「……さて、そろそろ準備をしないと。もたもたしていたら時間がなくなってしまう」

五十鈴「最初にふざけたのは誰だと思っているのよ」

阿武隈「でも、そうだね。そろそろ準備しないと」

五十鈴「アンタも早く戻った方が良いんじゃない? 暁達心配してるかもよ?」

響「大丈夫だよ、置手紙をしてきた」

阿武隈「そうなの? それなら、大丈夫かな」



――暁型の部屋にて。

『真の不死鳥になるため、全駆逐艦のために遥かなる理想郷に旅立ってくるよ。 信頼と言う名を持つ駆逐艦より』

暁「なにこれ」

雷「響でしょ」

電「響ちゃんの置手紙なのです」

暁「……で、結局なにが言いたいのこれ」

雷「阿武隈さんのところでしょ」

電「きっとまた布団に潜り込んでいるのです」
4 : ◆dbGyYYDw8A [sage saga]:2017/08/13(日) 23:54:30.36 ID:qhfAmQpDo

阿武隈「さーて、髪をセットしないとね」

響「……」じー

阿武隈「あれ? 響ちゃん、どうしたの? あたしの方じっと見て」

響「……髪」

阿武隈「え? もしかして、髪のセットして欲しいの?」

響「……そうだね」

阿武隈「えへへ、しょうがないなあ。分かったよ、ほらこっち来て」

響「すぱしーば」トコトコ

五十鈴「ふふっ、響は甘えん坊さんね」

響「そんなことないさ」

阿武隈「で、どんな髪型にする? いつものストレート? ポニーテール? ツインテールもいいかなあ」

響「阿武隈さんと同じので」

五十鈴「……え? マジで?」

阿武隈「お姉ちゃん、それどういう意味ですか」

五十鈴「いや、だって、ねえ」

響「一度やってみたくて、何度も試してみたけど再現できなかったんだ」

阿武隈「ふふっ、そうだったんだ。じゃあやってあげるね」

五十鈴「阿武隈も嬉しそうねえ」

響「別に憧れているとか、そういうのじゃなくて気になっただけだから。勘違いしないで欲しい」

阿武隈「えへへ、分かってるよ」

五十鈴「なにその弁明」

阿武隈「それじゃ、始めるね。ふんふーん」

響「……」わくわく
5 : ◆dbGyYYDw8A [sage saga]:2017/08/13(日) 23:55:21.18 ID:qhfAmQpDo

阿武隈「はい、完成です! 響ちゃん、どうかなあ?」

響「これはいいな、すぱしーば」キラキラ

五十鈴「すごく目を輝かせていらっしゃるわ、この子」

響「うん、さっそく暁達に見せてくるよ。阿武隈さんの力作だからね」

五十鈴「また大げさな」

阿武隈「あたし頑張りました!」

五十鈴「アンタも乗ってるんじゃないわよ」

響「それじゃあ、阿武隈さん、五十鈴さん。また後で――」

夕立「ぽーい! おはようございます!」ガチャ!

阿武隈「あ、夕立ちゃん、おはよう!」

五十鈴「アンタねえ、いつも言ってるけどノックぐらいしなさいよ」

夕立「はーい! あれ? 響ちゃんもおはよう! ……ぽい?」

響「ああ、夕立おはよう」

夕立「響、それ……?」

響「ああ、この髪かい? 夕立も気づいたようだね。どうかな、似合ってるかな?」

夕立「フレンチクルーラーっぽい!」

響「そうフレンチクルーラーっぽい……え?」

夕立「ホワイトチョコレートのフレンチクルーラー! 響だけで独り占めなんてずるいっぽい! 夕立にも分けて欲しいっぽーいっ!」バッ!

響「いやちょっと待っ――!?」

夕立「いっただっきまーす! はむっ!」

阿武隈「響ちゃーん!? 夕立ちゃん、ストップストップ!」

夕立「んー? このドーナツ、味がしないっぽい?」がじがじ

阿武隈「当たり前です! 分かったら響ちゃんの髪の毛を口に入れないの!」

夕立「でもこれはこれで新鮮で良いっぽい!」

阿武隈「ふええええっ!?」

響「分かったから、かじるのはやめてくれないかな」

五十鈴「アンタ意外と冷静ね」

響「この鎮守府にはフリーダムな人が多いからね。もう慣れっこだよ」

夕立「響が言うなっぽい!」

響「!?」

五十鈴「なに心外みたいな反応してるのよ、フリーダム筆頭」
6 : ◆dbGyYYDw8A [sage saga]:2017/08/13(日) 23:55:57.90 ID:qhfAmQpDo

〜二日目 雷〜

阿武隈「さて……今日も一日頑張りました。そろそろお休みの時間です」

阿武隈「なのは良いんだけど……」

五十鈴「明らかに阿武隈の布団が盛り上がっているわね」

阿武隈「まーた響ちゃんかなあ……よいしょっと」バサッ!

雷「じゃーん! 響じゃないわ、雷よ! そこんとこもよろしく頼むわね!」

阿武隈「ふえ? 雷ちゃん、どうしたの?」

雷「今朝は響が迷惑かけたわね! お詫びに今日は雷が阿武隈さんを護衛してあげるわ!」

雷「だから安心してぐーっすり眠っていいのよ!」

五十鈴「それは良いけど、なんで阿武隈の布団に潜り込んでいたのよ?」

雷「それはノリってやつよ!」

阿武隈「そうなんだ……それじゃあ、仕方ないね」

五十鈴「え? そういうものなの?」

阿武隈「深く考えても仕方ないよ、お姉ちゃん」

五十鈴「アンタ、この子達の扱い慣れてるわねえ……」

雷「ほら阿武隈さん、早く寝ましょ! 雷が添い寝してあげるわ!」ポンポン!

阿武隈「ふふっ、分かったよ」

五十鈴「ものすごくワクワクしてるわねこの子……なんとなく響と姉妹なのも頷けるわ」

雷「え? どういうこと?」

五十鈴「別に大した意味じゃないわよ」
7 : ◆dbGyYYDw8A [sage saga]:2017/08/13(日) 23:56:49.38 ID:qhfAmQpDo

雷「えへへ、阿武隈さんあったかーい」ごろごろ

阿武隈「もう、雷ちゃんってばそんなにくっついて寝にくくないの?」

雷「この方がぐっすり眠れるわ!」

阿武隈「雷ちゃんが良いなら良いんですけど」

雷「そうだ! 阿武隈さん、眠れるまでお話しましょ!」

阿武隈「うん、良いよ? じゃあどんなお話しよっか?」

雷「そうね……雷は阿武隈さんと司令官の話が聞きたいわ!」

阿武隈「あたしと提督?」

雷「うん! ねえねえ、司令官と阿武隈さんはどうやって付き合うことになったの?」

阿武隈「ふえ!?」

雷「告白はどっちから? 阿武隈さんは司令官のどこが好きになったの? 初めてデートした場所は? それから――」

阿武隈「え、えっと告白してくれたのは一応提督かな?」

雷「そうなの!? 素敵だわ! あ、でも一応ってどういうことなの?」

阿武隈「え、えっとそれは半分くらいはあたしが提督の気持ちを確認するようなことしたからで……」

雷「阿武隈さんもなかなかすごいわね! 具体的にどんなことやったの?」

阿武隈「ふえ!? え、えっと提督が今度伝えたいことがあるって言ったから、あたしがてーとくの胸に飛び込んで……その、ほとんど告白のようなことを」

雷「そうなの? むー、司令官ってば阿武隈さんにそこまでさせるなんて! 明日、雷が注意してあげないと!」

阿武隈「雷ちゃん、そんな必要ないよ。その、あたしもはっきりしてなかったのがいけないんだし。それに提督はちゃんと答えてくれましたから」

雷「そう? ……なら良いけど」

阿武隈「はい。心配してくれてありがとうね、雷ちゃん」

雷「ううん! これくらい当然のことだもの」
8 : ◆dbGyYYDw8A [sage saga]:2017/08/13(日) 23:57:43.79 ID:qhfAmQpDo

雷「ねえねえ、それからどうしたの? え、えっと……キ、キスとかしたの?」

阿武隈「ふえ!? してませんっ!」

雷「えー、じゃあ初めてキスしたのは? やっぱり夜景の見えるタワーとか? それとも高原のお花畑とかかしら?」

雷「司令官と阿武隈さんだもの、きっとロマンティックな場所よね!」

阿武隈「え、えっとその……」

雷「どこどこ? ねえ、雷に教えて!」キラキラ

阿武隈「お、お姉ちゃん助けてー!」

五十鈴「五十鈴は既に熟睡中よ。起こさないで。というか巻き込まないで」

阿武隈「なんてはっきりとした寝言!?」

雷「もう、阿武隈さん教えてってばー!」

阿武隈「雷ちゃんってば、予想以上におませさん……!」

雷「ねえってばー!」
9 : ◆dbGyYYDw8A [sage saga]:2017/08/13(日) 23:58:19.30 ID:qhfAmQpDo

〜三日目 暁〜

暁「響と雷ばかりずるいわ!」バンッ!

暁「じゃなかった……昨日は雷が迷惑を掛けてたみたいね。ごめんなさい、阿武隈さん」

阿武隈「別に良いんですけど……なんで暁ちゃんもあたしのお布団に入ってるの?」

暁「今日こそ阿武隈さんに安眠してもらうために、今日は暁が一緒に寝てあげるんだから!」

暁「また雷や響みたいな子が入り込んできたら、阿武隈さんがゆっくり寝られないもの」

五十鈴「むしろ五十鈴が眠れなかったんだけどね……」

阿武隈「あれ? 昨日はお姉ちゃんさっさと熟睡してませんでした?」

五十鈴「なかなか言ってくれるわねこの子」

阿武隈「冗談です。ごめんねお姉ちゃん」

五十鈴「まあ良いわよ。阿武隈が無駄に駆逐艦にじゃれつかれて、騒がしいのは今に始まったことじゃないし」

春雨「まったく困りますよね。あ、皆さん春雨スープでもどうぞ」

暁「あ、頂くわ! ちょうど寝る前に体を温めるものが欲しかったのよ!」

春雨「そう言ってくれると春雨も嬉しいです。はい、五十鈴さんと阿武隈さんも」

五十鈴「あら、ありがとう」

阿武隈「ありがとうね春雨ちゃん……えっと」

春雨「えへへ、阿武隈さんの膝に座ってるとなんだかほっとしますね」

暁「って! な、ん、で、いるのよアンタはーっ!?」

五十鈴「暁も人のこと言えた立場じゃないでしょうがーっ!」

阿武隈「そもそも春雨ちゃんが膝に座っていると、渡されても飲みにくいんですけど……」

五十鈴「そんなことはどうでも良いわよ!」
10 : ◆dbGyYYDw8A [sage saga]:2017/08/13(日) 23:59:00.13 ID:qhfAmQpDo

五十鈴「ほら、春雨はとっとと自分の部屋に戻りなさい」

春雨「むー……分かりました」

阿武隈「あ、春雨ちゃんスープありがとうね」

春雨「ふふっ、そう言ってくださるとありがたいです。また後日、出直しますね。それでは、お休みなさい皆さん」

バタン!

五十鈴「また来る気なのかしら、あの子」

阿武隈「春雨ちゃんもまだまだ甘えたい年頃なんですよ」

暁「もう、春雨もまだまだお子様ね! でもそんなところもかわいいわ!」

阿武隈「えへへ、そうですねえ」

五十鈴「阿武隈のぽわぽわしたところが駆逐艦の子達を引き寄せるのかしら……?」

阿武隈「むう。それってどういうことですか」

五十鈴「ふふっ、ごめんね。別に悪い意味で言ったんじゃないわよ」

阿武隈「そうなの? それなら良いんですけど」

五十鈴(素直な子ねえ……裏表のなさが駆逐艦の子達に好かれるのかしらね)
11 : ◆dbGyYYDw8A [sage saga]:2017/08/13(日) 23:59:57.67 ID:qhfAmQpDo

暁「それじゃあ暁が護衛を務めるから、阿武隈さんは安心して眠って良いのよ!」

阿武隈「ありがとうね、暁ちゃん」ナデナデ

暁「もー! だから暁はもう子供じゃないんだから、頭をナデナデしないっでっていつも言ってるじゃない!」キラキラ

五十鈴「顔がにやついてるわよ」

暁「そんなことないわよ!」

五十鈴「そんなこと言って。阿武隈と一緒にお休みできるのが嬉しいんでしょ?」

暁「だーかーらー! 暁は阿武隈さんの護衛に来たんだから! これは一人前のレディーとしての仕事なのよ!」

阿武隈「ふふっ、頼りにしてるね」

暁「どういたしまして! 大船に乗ったつもりで良いのよ!」えっへん!

五十鈴「大きく出たわねえ」

暁「ほら阿武隈さん、お布団に入って! 眠るまで暁が見守ってあげるんだから!」

阿武隈「分かったよ。よろしくね」

暁「任されたわ! 見てなさい、いつもの阿武隈さんみたいに立派に護衛を務めてみせるんだからね!」
12 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:00:52.84 ID:fGobI+T+o

――五分後。

暁「すやすや……」

五十鈴「はやっ」

阿武隈「ふふっ、暁ちゃんは良い子ですね」

五十鈴「まあ早寝早起きの健康優良児ではあるかもしれないけど……」

暁「えへへ、阿武隈さん……」ぎゅっ

五十鈴「阿武隈、暑苦しくない?」

阿武隈「ううん、大丈夫だよ」さすりさすり

暁「ふにゅ……」

五十鈴「護衛に来たとか言っておきながら、さっさと寝てるわね。しかも幸せそうに」

阿武隈「寝顔が可愛いですねえ」

五十鈴「ここまで振り回されてぽわぽわしていられるアンタも、大概だと思うわ」

阿武隈「ふえ?」

五十鈴「なんでもないわよ」

暁「暁も、あぶくまさんみたいに……れでぃ……すー」
13 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:01:29.80 ID:fGobI+T+o

〜四日目 電〜

電「もぐもぐ……」

電「ごくごく……」

電「ごちそうさまなのです!」パンッ!

暁「電は最近よく食べるわね」

電「電は早く大きくなりたいのです! だからよく食べて、よく学んで、良く訓練に励んで、良く寝るのです!」

阿武隈「ふふっ、電ちゃん偉い偉い」なでなで

電「はわ〜。阿武隈さんに褒められたのです! 嬉しいのです!」

暁「ふっ、なでられて喜ぶなんて電はまだまだお子様ね」

若葉「そいつはどうかな」ナデナデ

暁「わ、若葉……あのねえ」

若葉「むう……やはり阿武隈さんみたいにうまくは行かないか」

響「若葉、暁に対するなで方はそうじゃない。もっとこう――」

暁「アンタはなに解説してんのよ!?」

電「電は早く大きくなって、阿武隈さんみたいな軽巡洋艦になるのです!」キラキラ

響「けど電は最近ますます頑張っているからね。私も見習わないといけないな」

初霜「そうね。電は前からすごかったけど、ますます頼りがいが出てきたわ」

電「そ、そんなこと言われると恥ずかしいのです」

霞「なに情けないこと言ってるのよ。もっと胸を張りなさいな!」バンッ!

電「霞ちゃんちょっと痛いのです! ……でもありがとう」
14 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:01:58.51 ID:fGobI+T+o

霞「まあ、霞にはまだまだ及ばないけどね」

電「電だって負けないのです!」

霞「言ってくれるじゃない! 霞も負けないわ!」

初霜「ふふっ。私だって二人にも負けませんよ」

白露「ちょーっと待った! あたしがいっちばーん! なんだからね!」

時雨「もう姉さんってば。僕だっていっちばーんは譲れないよ」

磯風「待てお前たち。師匠(阿武隈)の弟子である磯風を置いて一番争いか! この磯風も混ぜてもらうぞ!」

電「磯風ちゃん!?」

霞「ふっ……良い度胸ね! 霞に付いてこれるか、この目で確かめてあげるわ!」

若葉「相変わらずこの六人は熱いな」

阿武隈「ふふっ、でも競い合う仲間がいるって良いことだと思うな」

雷「電は相変わらず大きな夢を追いかけているのね! 雷も応援するわ!」

電「雷ちゃん、ありがとうなのです!」
15 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:02:30.52 ID:fGobI+T+o

――その夜。

電「う……ん?」

電「はわわ! 電の体が大きくなってるのです! 阿武隈さんと同じくらいの身長なのです!」

電「しかも……15.2cm連装砲も装備できるのです! はっ、もしかして――」

電「すごいのです! 艦隊司令部施設も装備できるのです! 嬉しいのです!」ぴょんぴょん!

電「電は阿武隈さんと同じ軽巡になれたのです! これで第一水雷戦隊旗艦にもなれるかもしれないのです!」

電「さっそく阿武隈さんに報告するのです! 善は急げ、なのです!」
16 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:03:12.84 ID:fGobI+T+o

電「阿武隈さん、阿武隈さん!」

阿武隈「ふえ? ……もしかして電ちゃん!? 急に大きくなっちゃってます!?」

電「はい! 沢山食べて、沢山訓練して、沢山寝たら大きくなったのです! 阿武隈さんとお揃いの軽巡洋艦なのです!」

阿武隈「すごーい! 電ちゃん頑張ったね!」

電「ありがとうなのです! 電も頑張ったの……です」

阿武隈「うん、電ちゃんはすごいよ!」

電「なんだか恥ずかしいのです……あの……」

阿武隈「どうしたの、電ちゃん?」

電「……いつものように頭を撫でて欲しいのです」

阿武隈「あ……ごめんね、電ちゃん。もうあたしと同じ軽巡洋艦だから、ナデナデするのもちょっとどうかなって思ったんだ」

電「なのです!?」

電「じゃ、じゃあ肩車して欲しいのです!」

阿武隈「うーん、もうあたしと電ちゃんの身長が同じくらいだし、それもちょっと……ごめんね」

電「はわわ!?」

阿武隈「水雷戦隊の旗艦になるなら、あんまりナデナデしてもらったり、肩車とかされてるのも示しがつかないし……これからは我慢しないとね。電ちゃん、頑張ろう?」

電「っ!? そんなの……悲しいのですーっ!?」
17 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:03:43.60 ID:fGobI+T+o

電「なのです!」ガバッ!

電「……ふえ? ゆめ……なのです?」

電「あっ、小さい電のままなのです……やっぱり夢だったのです」ほっ

電「……なのです」トコトコ
18 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:04:21.14 ID:fGobI+T+o

トントン――ガチャ

電「失礼するのです……阿武隈さんも五十鈴さんも寝てるのです」

電「……ごめんなさい、お邪魔するのです」モゾモゾ

阿武隈「うん……あれ? 電ちゃん、どうしたの?」

電「あっ、起こしてごめんなさいなのです……迷惑掛けちゃったのです」

阿武隈「ううん、そんなことないよ。電ちゃんがそこまで悲しそうにしてるの、久しぶりだね」

電「なのです……とっても怖い夢を見たのです」

阿武隈「そっか……でももう怖くないよ。あたしが付いてるからね」ぎゅ

電「ありがとう……なのです」

阿武隈「ふふっ、よしよし。怖くない、怖くない」さすりさすり

電「温かいのです……阿武隈さん、今日はここで寝てもいいですか?」

阿武隈「もっちろん! 電ちゃんなら大歓迎だよ」

電「嬉しいのですっ」

阿武隈「ほら、こっち寄って。ベットから落ちちゃう」

電「なのです……とっても安心するのです」

阿武隈「そう言ってくれると嬉しいな」

電「なのです……ふわぁ」

阿武隈「安心したら眠くなっちゃった?」

電「……なのです」

阿武隈「えへへ、おやすみなさい電ちゃん」

電「おやすみなさい……なのです」

阿武隈(電ちゃんが見た怖い夢って、どんな夢なんだろう……? オバケの夢とかかなぁ?)
19 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:09:46.94 ID:fGobI+T+o

〜五日目 若葉と初霜〜

阿武隈「うーん、訓練の後に木陰で一休みするのも良いですね」

若葉「ああ、潮風が気持ちいいな」

初霜「ええ、そうですね。夏の暑いこの時期でも、ひんやりとして心地良いです」

若葉「阿武隈さん、今日も指導してくれて礼を言う」

阿武隈「ふえ? あ、改めてそう言われると照れますね……えへへ、こちらこそありがとう」

阿武隈「若葉ちゃん、初霜ちゃんはいつも真面目に訓練に取り組んでくれるから、あたしも助かります」

初霜「いえ、阿武隈さんがしっかりと指導してくれるからですよ。私からも、いつもありがとうございます」

阿武隈「……もー! 二人とも本当に良い子なんだから!」ぎゅー!

初霜「きゃっ!? もう、阿武隈さんってば」

若葉「こら、はつしもふもふをするなら若葉に許可をもらってからにしてもらおう」

初霜「なんで若葉の許可制なんですか!?」

阿武隈「えへへ、初霜ちゃんもふもふ〜」

初霜「ぽー……はっ!? もう、阿武隈さんってば悪ノリしないでください」

阿武隈「んー? 悪ノリなんてしてませんよ? ねっ、若葉ちゃん?」

若葉「その通りだ。これは奇跡のはつしもふもふだ」

阿武隈「そうです、初霜ちゃんもふもふです!」

初霜「だからなんなんですかそれ……あっ、だめ、そこはっ……」

阿武隈「もふもふ〜」

若葉「もふもふだ」

初霜「はぅ……ふぇ……も、もう!」

初霜「私は決して、はつしもふもふなんかに屈したりはしません!」きりっ!
20 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:10:21.36 ID:fGobI+T+o

――五分後。

初霜「ふにゃ……阿武隈さん、もっともふもふ〜」

阿武隈「ふふっ、初霜ちゃんも意外と甘えん坊さんですねえ」

若葉「初霜がこうもふにゃふにゃに……阿武隈さん、おそるべし」

阿武隈「恐れられてもちょっと困ります」

初霜「なんだかとっても安心して心地いいです……」

若葉「初霜……そんなに良いのか?」

初霜「ええ、とっても……ごめんなさい、なんだか眠くなってきました」

阿武隈「そう? 膝貸してあげるから寝ても大丈夫だよ?」

初霜「でも……阿武隈さんにご迷惑が」

阿武隈「あたしは大丈夫だから、良いですよ」なでなで

初霜「ふわ……そうですか? それでは……」

初霜「……すー」

阿武隈「えへへ、初霜ちゃん寝ちゃいました」

若葉「初霜は普段から頑張っているからな。疲れもたまっているんだろう」

阿武隈「そうだね。でもそれは若葉ちゃんもだよ。二人ともすぐ頑張り過ぎちゃうんですから」

若葉「二十四時間寝なくても、大丈夫」

阿武隈「それ絶対大丈夫じゃないから」
21 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:10:49.42 ID:fGobI+T+o

若葉「それにしても……本当にぐっすり眠っているな。そんなに良いのだろうか」じー

阿武隈「あはは、ごめんね。若葉ちゃんにも膝枕してあげたいところですけど、あたしは一人ですから」

若葉「ならパーフェクトボーナスで阿武隈さんがセブンアップすれば……」

阿武隈「なんの話してるんですか」

若葉「阿武隈さん、神経衰弱で勝負だ」

阿武隈「トランプ持ってないんですけど」

若葉「阿武隈……恐るべし」

阿武隈「だから何を恐れているんですか」

若葉「むう……」

阿武隈「ふふっ、また今度膝枕してあげますから」

若葉「……いいのか?」

阿武隈「はい、もちろんです!」

若葉「いつなら大丈夫だ?」

阿武隈「あたしの時間が空いてるときなら、いつでもいいよ」

若葉「そうか……礼を言おう。ありがとう、阿武隈さん」

阿武隈「別にこれくらい、お安い御用です。いつも言っている通り、若葉ちゃんにはお世話になってますから」

若葉「それこそ、こちらこそだ」

初霜「すやすや……」
22 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:11:19.81 ID:fGobI+T+o

――その日の夜。

若葉「というわけで来たぞ」

初霜「あの……私も」

子日「やっほい! 子日もきったよー!」

初春「その……妹達がものすごく乗り気での……べ、別にわらわもして欲しいとか思っておらんからの!」

阿武隈「あ、えっと……」

五十鈴「阿武隈の睡眠時間が無くなるわよ!?」
23 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:12:16.21 ID:fGobI+T+o

〜六日目 村雨と春雨〜

村雨「ふふっ、ぎゅー」

春雨「むー! 村雨姉さんばかりずるいですー! 阿武隈さん、春雨もぎゅーってしてください」

阿武隈「もう、春雨ちゃんも甘えん坊さんなんだから。ぎゅー」

春雨「ふわ……えへへ、春雨とっても安心します……」

村雨「もー! 村雨も放置は趣味じゃないんだってばー」

阿武隈「ところで二人とも、いきなりあたしのベットに入り込んできてどうしたの?」

春雨「えっと、ご迷惑でしたでしょうか?」

阿武隈「ううん、そんなことないよ。けど、何かあったのかなって」

村雨「だってー。暁や若葉達だけ阿武隈さんと一緒におやすみするなんてずるいじゃない」

春雨「春雨達だって、阿武隈さんと一緒にお話しながらおやすみしたいですっ」

阿武隈「そっか……えへへ、そう言ってくれる嬉しいな」

阿武隈「お姉ちゃん、その……」

五十鈴「はいはい、五十鈴は構わないわよ」

村雨「やったー!」

春雨「やりましたっ! 五十鈴さん、阿武隈さん、ありがとうございます!」

村雨「サンキュ、来週の村雨に期待しててね!」

五十鈴「来週なにがあるっていうのよ?」

村雨「それは来週のヒ・ミ・ツ」

五十鈴「ふーん、まあ別に期待してないけど」

村雨「ひっどーい!?」
24 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:12:49.22 ID:fGobI+T+o

春雨「阿武隈さん、あの……お願いがあるんですけど」

阿武隈「うん、なにかな?」

春雨「えっと……春雨のお姉様になってくださいっ」

阿武隈「ふえ……? お姉様?」

村雨「もう春雨ってば、いきなりそんなこと言われても分からないわよ」

春雨「そ、そうですか?」

村雨「変に思わないでね阿武隈さん。最近春雨ってば、少女漫画に凝っちゃって」

阿武隈「そうなの?」

村雨「素敵な先輩を見習って、成長していく主人公の子に感情移入しちゃってるのよ」

阿武隈「えへへ、そうなんだ。春雨ちゃん、頑張ってるんだね」

春雨「もう! 村雨姉さん恥ずかしいこと言わないでください! 春雨は別に感情移入なんて――」

村雨「なに言ってるの。お姉様になってくださいって、思いっきり影響されてなきゃそんな発想出てこないわよ」

春雨「むー! そんなことありません! 女の子は素敵な先輩に憧れるものなんですから!」

村雨「はいはい」

春雨「村雨姉さんってば、春雨の話聞いてないですー!」

阿武隈「こらこら、村雨ちゃん。あまり春雨ちゃんをからかわないの」

村雨「はーい、ごめんね。春雨がかわいくて、ついからかっちゃった」
25 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:13:24.86 ID:fGobI+T+o

春雨「むー。納得いきませんけど、許してあげます」

阿武隈「ふふっ、春雨ちゃん良い子だね」ナデナデ

春雨「はう……お姉様、ありがとうございます」

村雨「この子さらっとお姉様って呼んでるわ……」

阿武隈「村雨ちゃんもちゃんと謝ることができたね。えらいえらい」ナデナデ

村雨「ふふっ、お姉様っ。ありがとうございます」

春雨「村雨姉さんまた春雨で遊んでますーっ!?」

村雨「くすっ、そんなことないってば」

春雨「もう……それでお姉様。春雨、やってもらいたいことが」

阿武隈「ちょっと……いやかなり恥ずかしいんですけどその呼ばれ方。えっと、なにかな?」

春雨「そ、その……春雨のタイを直して、タイが曲がっていてよって言って欲しいんです!」

阿武隈「……はい?」

村雨「もうっ、完全に漫画の影響受けてるじゃない。弁護の余地ないわよ春雨」

春雨「そ、そんなことないです! 女の子なら誰だって一度はやって欲しいって思うはずです!」

村雨「いやー、ないわね」

春雨「ありますーっ!」

阿武隈「こら、二人とも。五十鈴お姉ちゃんも寝ているんだから、あんまり騒がないの」

春雨「あ、ごめんなさいっ」

村雨「そうだった。村雨もごめんなさい」

阿武隈「はい、良くできたね」
26 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:13:52.93 ID:fGobI+T+o

春雨「それでお姉様……そ、そのタイが曲がっていてよって」

阿武隈「うーん。でも春雨ちゃん今パジャマだし……タイつけてないし」

春雨「はっ!? そ、そうでした! ついやってもらいたいって思いだけ先行して忘れてました!」

村雨「春雨……それボケってレベルじゃないわよ」

阿武隈「振りだけやるとか? それか明日やってあげようか?」

春雨「だ、駄目です! ここは……そうです! 単にシーンの再現だけじゃなくて、春雨とお姉様ならではの要素を取り込んでなんとかしましょう!」

村雨「なにそれ」

春雨「こうしましょう! 春雨は今から春雨スープを持ってきますから――」
27 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:14:21.96 ID:fGobI+T+o

〜春雨の想像〜

春雨「お姉様、お待たせしました。春雨特性の春雨スープです」

阿武隈「あら、春雨ちゃん。ありがとう」

春雨「いえ。春雨、お姉様のために一生懸命作りました」

阿武隈「あら。それは楽しみね」

春雨「お姉様のお口に合うといいのですが……はい、どうぞ」

阿武隈「それでは、頂きますね」

春雨「……」ドキドキ

阿武隈「ふふっ、おいしい。優しくて暖かい。まるで春雨ちゃんのよう」

春雨「あ、ありがとうございます!」ぱあっ

阿武隈「あら、春雨ちゃんってば」

春雨「……あ、お姉様」

阿武隈「ほら、(スープの中の)春雨が曲がっていてよ」

春雨「は、恥ずかしい……」

〜春雨の想像終わり〜
28 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:16:01.33 ID:fGobI+T+o

村雨「どういう状況よそれーっ!? 春雨が曲がっててなにが悪いの!?」

春雨「お姉様素敵……」ぽー

阿武隈「どこに憧れる要素があったのか分からないんですけど」

村雨「春雨の感覚が理解出来ないわ……」

春雨「そこはほら、春雨ですから。春雨スープについては村雨姉さんにだって負けませんっ」

村雨「別に勝たなくてもいいんですけど」

春雨「でも、村雨姉さんには村雨姉さんにぴったりのシーンがあると思いますっ」

村雨「いや村雨は別に――」

春雨「そうですね、村雨姉さんなら――」
29 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:16:31.01 ID:fGobI+T+o

〜春雨の想像その2〜


村雨「できたわ……! 長年の試行錯誤を繰り返してついに……妖刀『村雨』が!」

阿武隈「おめでとう村雨ちゃん! 頑張ったね!」

村雨「あっ、お姉様! お姉様がいてくれたから『村雨』を作り上げることができたんです!」

阿武隈「ううん、あたしは大したことはしてないよ。これも村雨ちゃんが頑張った成果です」

村雨「お姉様……」

阿武隈「あっ、村雨ちゃん、ちょっとじっとしてて」

村雨「お姉様……? あっ……」

ベキッ! ボキッ!

阿武隈「ほら、『村雨』が反っていてよ」

村雨「まあ……! お姉様の手で村雨が真っ直ぐに! さすがお姉様だわ!」

〜春雨の想像その2終わり〜
30 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:17:02.28 ID:fGobI+T+o

村雨「刀は反っているものだと思うんですけどぉ!?」

春雨「でも『村雨』なら、まさしく村雨姉さんにぴったりだと思うんです!」

阿武隈「というか、刀を手で簡単に真っ直ぐにする春雨ちゃんの想像の中のあたしって一体……」

春雨「お姉様は素敵な春雨達のお姉様です!」

阿武隈「答えになってないんですけどぉ!」

春雨「あっ、そうでした! 春雨は春雨スープを作ってきますね!」

阿武隈「春雨ちゃん、もう寝よう! ねっ!?」

春雨「え? でも春雨が曲がっていますって……」

阿武隈「また明日やってあげるから!」

春雨「本当ですか!?」ぱあっ

村雨「阿武隈さん……ごめんね、安眠妨害して」
31 : ◆dbGyYYDw8A [saga sage]:2017/08/14(月) 00:17:30.47 ID:fGobI+T+o

〜七日目 白露と時雨〜

白露「いっちばーん!」ぎゅー

時雨「いっちばーん」ぎゅー

阿武隈「あの……二人とも? どうしたの?」

白露「村雨と春雨だけずるーい!」

時雨「僕だって譲れない」

阿武隈「別にずるいもなにもないと思うんだけどなあ……仕方ないですねえ」ぎゅー

白露「えへー、あたしだって譲れないんだからね」

時雨「ふふっ、阿武隈さん大人気だね」

阿武隈「そうかなあ?」

時雨「うん。湯たんぽとして大人気だと思うよ」

阿武隈「それはちょっと微妙なんですけど」ナデナデ

時雨「ふわ……冗談だよ。なんだか、こうやって一緒に寝てるとね、とても温かくて安心するんだって」

白露「暁がぐっすり眠れるって自慢してたよ!」

五十鈴「まあ、たしかにあの子はとてもぐっすり寝てたわね。護衛するとか意気込んでいたのに五分足らずで」

阿武隈「きっと普段から頑張っているから、疲れてたんですよ。暁ちゃん頑張りやさんですから」
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