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叔母「今日からもココに住んで」男「ラブホテルですね」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 19:01:33.73 ID:/Csgie4PO
学校 放課後
男「さようなら、先生」
「あら。男くん、今日も遅くまで委員長のお仕事?」
男「はい。早急に済ませておきたいことがあって」
「頑張ってるわねー、うちのクラスの生徒も見習ってほしいわ〜」
「オイこら! 待てって!」ダダダダ
「ギャハハハ! ウェーイ!」ダダダダ
「──コラァー!! 廊下は走らない! 危ないでしょう!」
男「えっと。それじゃあ先生、これで」
「まったくもお。あ、うん、男君はあんな風になっちゃ駄目よ?」フリフリ
男「……」ペコリ
男(あんな風にか。でも自分を客観的に見るのは難しいと思う)スタスタ
男(けれど周りから『頑張ってるね』と言われる内は、うまくやれているんだろう)
男「うん…そう思おう…」グッ
スタスタ ガタゴトン プシュー
ガヤガヤ ガヤガヤ
男「けれど…」スッ
〜スィートランド・ラブホテル〜
男(ラブホテルに住んでる時点でアウトだよなぁ……)シミジミ
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1502618493
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/13(日) 19:05:41.54 ID:/Csgie4PO
前作↓
叔母「今日からココに住んで」男「ラブホテルで?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464445806/
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 19:12:35.45 ID:/Csgie4PO
〜ラブホテル・44号室〜
叔母「唐突だけど、今度この部屋を改装します」
男「………」ピタ
叔母「いただきます」パシン
男「え? それ初耳なんですが。え、改装? え、いつ?」
叔母「一週間後ぐらい?」モグモグ
男「何故もっと早く言ってくれないんですが…」
叔母「大丈夫。色々曰くつきでも絶対にやってくれる改装業者だから、安心して」
男(なにそれ逆に怖い……)
叔母「気になるなら部屋の整理手伝うけど」
男「あっ、いえいえ! 居候の身ですし、自分の身の回りぐらいはどうにかしますって」
叔母「ふーん…」モグモグ
叔母「でも、私もきっと暇だろうし手伝えることがあるなら、」
男「ぜんぜん大丈夫です!」ペカー
叔母「……。君がそういうのなら別にいいけど」モグモグ…
男「自分のことは自分でしますよ」ニコ
叔母「そっか……」モグゥ
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 19:14:11.56 ID:/Csgie4PO
ガチャ!
受付「──やっほー! 今日も今日とてご飯食べきたよー!」
男「ハイハイ用意してますよ、っていうか大丈夫なんですか、このままで」
受付「いただきまーす! ほぁん? どったの急に?」モグモグ
男「一週間後、俺ここから居なくなるんでご飯ないですよ」
受付「ああ。改装ね、そんときゃ巫女ん家にお世話なるよ。てか、準備とか手伝おっか?」
叔母「………」フフッ
男「え、手伝ってもらってもいいんですか?」
叔母(──アレッ!?)バッ
男「助かりますよ、色々と」
受付「どんとお姉さんにおまかせよ」ニッ
叔母(お、男くん…私には頼らないで、受付には頼るの…?)ワナワナ
男「実は冷蔵庫を運ぶ方法に困ってたんですよねぇ」キャッキャッ
受付「コラコラ。なぁに重たいの持たせようとしてるのかな〜?」キャッキャッ
叔母(しかも楽しそうに計画してる…)ブルブル
男「今週の飯のお代がまだですから。ツケるぐらいなら身体で払ってください」
受付「ぐっ…うまく使うじゃない、お姉さんのことを…!」
男「嫌なら月イチで借用書作りますけど」
受付「淡々と怖いこといったなあ!? ウチはもっと穏やかな関係性で居たいのに!」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 19:15:37.99 ID:/Csgie4PO
叔母(するい…私も手伝ったり、楽しい会話したい…)ソワワッ
男「それは貴女次第です。今の手持ちは?」
受付「まったくアリマセン!」
男「じゃあ荷物整理で。お話はこれで終わりです」モグモグ
受付「ウチとキミとの繋がりはお金だけなのかい!?」
男「どーせ無駄遣いしたんでしょう。知ってるんですよ、ケータイ新しくしたの」モグ
受付「何故ソレを…目敏いな…」
受付「あ! でもでもぉ、お姉さん今すぐにって話ならぁ身体で払うのもやぶさか無いヨ?」チラ
男「………」モグモグ
受付「サラッと無視するのやめて?」
男「叔母さんお代わりいりますか?」ニコ
受付「ウチのお話きいてあげて!」ヤダーッッ
叔母「……………」
男「叔母さん? どうしたんですか?」
叔母「そういえば私、ココのご飯代払ってないけど…」
男「え! 結構ですよ! 叔母さんにからはいただきません!」
叔母「いやちゃんとそこは…」
男「大丈夫です! 叔母さんには大変お世話になってるんですから!」ペカー
叔母(なんてまぶしい信頼度…)ウッ
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 19:21:50.39 ID:/Csgie4PO
受付「……」じぃー
受付「最近、オーナーに対して優しすぎない? あとウチに冷たくない?」
叔母(お…)ソワ
男「そ、そうですか? 特に態度変えたつもりは…」
叔母「実は私も思っていた」キリッ
男「叔母さんも!?」
受付「ほらご本人登場じゃん」
男「え、でも…お世話になってる人に対して気を使うのは普通じゃ…」
叔母「私はもっと頼って欲しいよ、男くん」
男「叔母さん…」
受付「お姉ちゃんはもっと優しくして欲しいなぁって!」
男「ちょっと今は黙ってて」
受付(ホント冷たい…)シクシク
男「俺は十分頼ってると思うんですが…立場的に…」
叔母「いや、もっとさ、キミ個人の問題で困ったこと、あるだろう?」チラチラ
男「困ったこと…個人の問題…」
叔母「…」ドキドキ
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 19:24:43.21 ID:/Csgie4PO
男「ああ、確かに。俺は家族として言わないと駄目なコトがありました」
叔母(男くん…! そうとも君はもっと頼っていい。私をこき使っていいんだ…!)
男「叔母さん…」ニコ
叔母「ハイ!」
男「──ちゃんと服を着て下さい」スッ
叔母「……………」(ブラ&パンツ)
受付(今まで言わんかったケド、この人、素で露出っ気あるよね)ヒソヒソ
男(シッ! 家族として優しく諭すんですよ、あと貴女の格好も相当だから)ヒソヒソ
叔母「ハイ、ゴメンナサイ」ドンヨリ
次の日 44号室
男「よっこら、しょっと。ふぅー…」ストン
受付「あれ? ねえ男くん、アレ知らなーい?」オーイ
男「あ、はい! ガムテープですか? それともダンボール?」
受付「いや、エロ本だけど」
男「働いて?」
受付「まさか一冊も無いの…?」
男「あっても教えないよ…」
受付「えーっ! 今日はコレだけを楽しみにしてたのに、ガッカリだよお姉さん!」
男「勝手にガッカリしてて下さい」ガサゴソ
受付「冷たいんだから、もー」スタスタ
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 19:25:54.81 ID:/Csgie4PO
受付(あ。そうだ、客の忘れモンのエロ本隠して驚かしたろ)ニシシ
受付(確か、階段踊り場に纏めて置いてたハズ──)チラ
叔母「………」ズモモモモ
受付「──なにやってんスか、オーナー……?」ビクッ
叔母「う、受付っ!」ビク
受付「えっと、なんスか、下は暇なんスか? だったらコッチ手伝って下さいよ」
叔母「くッ…そう簡単にはいかないから困ってるんだ…ッ!」グッ
受付(なに言ってんだこの人)
叔母「私のことは気にしなくていい…好きに男くんに使われろ…」ゾモモ
受付「そりゃ終わるまでは好きに使われるつもりですけど…」
受付「あの。先に言っておきますケド、──お金はちゃんと払いましたからね?」
叔母「え?」
受付「飯代ッスよ、飯代」
受付「ウチこんなんですけど、金に関しては結構キビシイほうなんで」ポリポリ
受付「事故で携帯壊しちゃって、それで彼に飯の支払い遅れてたんですよ」
叔母「……」
受付「──ま、だらしなさで誤魔化そうとしたら、くっく、どうやらバレてたッスけど」クス
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 19:26:44.02 ID:/Csgie4PO
受付「だから友達に金借りて払いました、今回の手伝いは……利子払いってコトで」
叔母「……羨ましい……」ズモモモモモモモ
受付「なんて?」
叔母「じゃあ、なんだ、お前はなんの罪もなく彼の手伝いをしてるのか…!?」
受付「そこまで殺伐した関係じゃないッスけど!?」
叔母「どうしてお前だけ…」サメザメ
受付(そういやこの人。昨日も様子が変だったな…いつも以上に…)
受付「なにか問題でもあるんスか、彼の引っ越しに」
叔母「ぇ、引っ越し?」
受付「いや、だって、引っ越しデショ? 改装するなら住む部屋が無いと」
叔母「………あっ」
受付「えっ!? もしかして引越し先を考えてあげてないの!?」
叔母「じゃあ今、彼はどこに荷物を運んでるんだ……?」
受付「ウチが知るわけねーデショ! ちょっ、男くーん!?」
ハーイ
受付「どこにいるの!? ていうか何処に荷物を運んでるのさー!?」ダダッ
叔母(……ぉ、ぉぉ……)ブルブルブル
ガックシ
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/13(日) 19:34:06.16 ID:LQKyE8hmO
舞ってた!
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 19:36:43.22 ID:/Csgie4PO
叔母(私は、なんて情けない叔母だ…彼のために何もやれやしない…)ギュッ
叔母「……心を、決めねばならぬッ」キッ
〜〜〜
男「確かに改装中は住む場所どこかなって、思ってましたけど…」
受付「地下の用具入れスペースに、荷物を押し込んでる姿は…ウチでも切なくなったよ…」グス
叔母「……男くん。私は決めました」
男「は、はい? なにをですか?」
叔母「私はかれこれ、君の住む場所を有耶無耶にしてきたと思う」
男「今さらですね本当に…」
叔母「でも、今日でそれは終わりなんだ」
叔母「──一緒に住もう。私と一緒に、同じ部屋で」
男「それは、つまり叔母さんの部屋で…?」
叔母「そうともさ…」キラキラ
男「あそこでかぁ〜…」ウーン
叔母「そういうと思った!」
叔母「なので私は、この一週間をかけて部屋の掃除をしておきます!」
男「モロモロ無理だと思います」フリフリ
受付「無理ッスよ」コクコク
叔母「私は折れない! 覚悟を決めたのだ、男くんの保護者として鉄壁たる志をな!」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 19:38:47.28 ID:/Csgie4PO
男(叔母さんの様子おかしくありません…?)ヒソヒソ
受付(いつも以上よね…)ヒソヒソ
叔母「さらば。過去のだらしない私……」スッ キラキラ…
男「提案はとても嬉しいですけど…でも…」
受付「ラブホとオーナーの部屋、けっこう距離あるッスよ?」
男「そうですよね。それに部屋の掃除と荷物運びが同時期になりますし」
叔母「……」
受付「人居ないのにこれ以上仕事増える選択する必要あります?」
男「ケル君もまだ帰ってこないし…」
叔母「…うん…」コク
受付「むしろラブホの従業員増やしましょーよ、全然足りて無いッス」
男「俺の心配よりこっちが大丈夫なんですか、ここの営業方針…?」
叔母「……ん……」コクコク
男(静かになっちゃった……)
受付「しゃーない、もうウチに住めば?」
男「でも、どっこいどっこいでしょ?」
受付「フフーン! 巫女がこの前に遊び来て片付けたのだよ。めっちゃキレイ、ビビるぐらい」
男「そ、そうなんですか? でも荷物とかあるし…」
受付「ミコに頼めば喜々としてやってくれると思う。十代の荷物って単語だけで」
男(意味がわからない…)
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 20:02:18.47 ID:/Csgie4PO
受付「てーことで、オーナー。そんな感じに勧めてオッケーッスか」
叔母「ソレデイイヨ」
受付「声ちっさッ!?」
男「自分も周りの負担が少なく済む方がいいと思いますけど…」チラチラ
叔母「…ハイ…」トボトボ…
受付「ん〜…? 今日のあん人、マジでどうしちゃったワケ?」ポリポリ
男「………」
〜叔母宅〜
叔母(お腹減った)グゥー
叔母(引越し準備中に出向くのは気が引けるし、なにより、当初の目的であったお手伝いを放棄してる今…)
叔母「むしろ最初より状況が酷くなってる気がする…空回りしてばっかりだ…」
ゴロン
叔母(私はただ、彼の手助けをできれば良いだけなのに)
叔母「…相変わらず、わがままだな」
prrrrr
叔母「む…もしもし…?」ムクリ
『ハロー! まだワタシの妹ちゃん、元気してる?』
叔母「お義姉さん…お久しぶりです…」
『あん? どうしたよ寂しそうな声しやがって、欲求不満か?』
叔母「間違っちゃいないですね…」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 20:14:57.91 ID:/Csgie4PO
『カカッ! 暇なら男作れよ、ラブホばっかりかまかけてないで外で歩いてみろって!』
叔母「男…」
『そーそー。なんなら、上流階級の頭空っぽ野郎ども紹介してやるけど?』
叔母「それはそれで、楽しそうですね」
『おっぱいポロリするだけで金落としてくれるから、妹ちゃんなら稼ぎ放題だぜ』
叔母「ははは。それはいい…」
『ん。まァ、そーいうこと言ってっと息子に怒られそうだから、ナイショな今の話』
叔母「え? 彼がなぜ怒るんです?」
『あん? そりゃアイツが妹ちゃんにお熱上げてるからだろ』
叔母「………」
叔母「……ほ、ほんとに?」
『……………。何、今のガチっぽい感じ…』
叔母「んぇっ!? いやいやいやっ!? そちらの気のせいだと思いますが!?」ビックゥウウ
『まさかアンタ手ぇ出してないよね…? ウチの息子に…?』
叔母「バッ、ちょっ、馬鹿だな義姉さんーッ!? なわけないでしょーッ!?」ダラダラダラダラ
『そういうテンションの妹ちゃん初めてなんだけど……』
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 20:26:08.50 ID:/Csgie4PO
叔母「こ、こういう態度の時もたまにはあります…!」
『じゃあタイミング考えてね…お義姉さんもう年だし、すごいびっくりするから…』
叔母「コホン。それで久しぶりの電話ですけど、何用ですか?」
『ああ、息子のこと』
『離婚裁判。勝っちった、って伝えておいて。当分、日本で暮らせるよってさ』
叔母「……」
叔母「おめでとうございます、お義姉さん」ペコ
『おうよ。今、一人で祝杯あげてる。ワイン二本目』
叔母「寂しそうですね…」
『まったくだ。一人になるための裁判だってぇのに、いざ独りになりゃ惨めなモンだな!』クック
叔母「今度お邪魔しますよ、いい酒残しておいて下さい」
『うむ。その時、妹ちゃんのことなんて呼べばいいかね?』
叔母「そうですねー…」
『息子の彼女?』
叔母「えっ! んえーっ!? ちょっ、そーいうのはやめてくださいよぉ〜」テレテレ
『…………………………………………』
叔母「じょ、冗談ですから! 今のも!」ダラダラダラダラ
『なんか怖いよ、今の妹ちゃん……』
叔母(私自身もヤバイと思ってる……)ダラダラ
『と、とりあえずさ、うん、まー息子のこと頼んだわ。……ムスコって意味じゃないよ?』
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 20:41:47.80 ID:/Csgie4PO
叔母「わかってますってば!」カァー
『くっく、元気になったねえ妹ちゃん。良いことだ、良いことだ』クスクス
叔母(からかわれていたのか…っ)ぐす
『じゃあとは宜しく。色々やること終わってまあ暇だし、仕事の合間にでも一回そっち行くわ』
叔母「え? こ、これるんですか?」
『おうとも』
叔母「楽しみにしてます。ぜひ、いらして下さい」
『カッカ! おう!』
ピッ
叔母「……。うん、いい話を聞けた、とってもいい話だった」
グッ パタン
叔母(彼の周りがどんどん幸せになっていく。どんどん住みやすくなっていく)
叔母(──あぁ、そう、私は彼をサポートするべくして家族になった)
だから彼を支え、認められ、私も満足できる。
叔母「きっとこれが幸せってコトなんだろうなぁ…」シミジミ
叔母「……」
叔母(お酒飲みたくなってきた、飲もう)ゴロン
〜〜〜
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 20:52:44.33 ID:/Csgie4PO
男(──よし、準備はちゃんとしてる。後は鳴らすだけだ)スッ
ピンポーン
男「……」
ガチャ
叔母「ん〜…」ボリボリ
男「叔母さん、こんばんわ。夜分遅くにすみません」ペコリ
叔母「……」じぃー
叔母「え? あ、うん。男くん? アレ? なんでここに…うん…?」グラグラ
男「実は今日は晩御飯を作ろうかと思って──叔母さん?」
叔母「ん〜〜〜ッ…」
叔母「──ああ、そっか。これ夢なのかな、うんうん、キミと会いた過ぎて…見た夢なんだ…」キィ
男「ちょっと大丈夫ですか!? さっきからフラフラとして…!」バッ
叔母「おっ? えへへー」ムギュー
男「おっぷ!?」ぽふっ
叔母「んん〜〜〜〜」ナデナデナデナデ
男「ぉおぉおぅむぉおうっ!?」ぐりんぐりんぐりんぐりん
叔母「つーかまーえた☆」ぐいっ
男「うわぁっ!?」
きぃ パタン!
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 21:04:08.91 ID:/Csgie4PO
叔母「んんーー……髪の毛いい匂い、ホテルのシャンプー使ってないなぁキミ」クンクン
男「ちょ、ちょっと!? 叔母さ、んっ!?」
叔母「むちゅう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ」ジュボボボボボボボ
男「ぐぁー! 頬が喰われるー!」ギャー
ジュボッ!
叔母「あはは! 頬は食べないよ! んふふ!」デレー
男「…!? …!!!? お、叔母さん一体どうしちゃったんですか…!?」ビクビク
叔母「好き」
男「はいッ!?」
叔母「好きだよ、男くん。だーいすきぃ〜…」ちゅっ
男「ちょっ、待って、叔母さッ! んむぅ!?」
叔母「ん、んっ、んー!」ちゅっちゅっ
男「──痛いッ! 頬に歯が当たって凄く痛い! やめて…! 本当にやめてください!」バッ
叔母「えぇ〜…」シュン
男(ぐッ、この匂い! もしやお酒を飲んで…にしても叔母さんが酔うことなんてそうそう…)チラ
【お酒の空き缶】?五本以上 カランコローン
男「洒落にならないぐらい飲んでる!!」
叔母「うッぷ…」ビクン
男「おわーっ!? 駄目…! ここで吐いちゃ、だ…ッ! ───あ……」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 21:13:53.20 ID:/Csgie4PO
一時間後
叔母「ずびばべん…でびば…」ズビー
男「大人しく寝てて下さい…謝罪は明日でも良いですから…」ぽんぽん
叔母「ごべんね…叔母さん、本当にどうしようもなくって…」ボロボロ
男(泣き上戸…)
男「良いですよ、構いません。もうキ…キス…なんて前にしちゃってますから」テレ
叔母「二回も奪ってごべん…」
男「二回目はノーカンです、ノーカン。お互い、そういうことにしときましょう」
叔母「……。おとこくん、超大人…」グス
男「褒めてます?」
叔母「そういうこと好き…」
男(ああ、酔っぱらいに会話求めても駄目だな…)
男「叔母さん。寝たままでいいですから聞いててください、俺の話を」
叔母「………」コク
男「ずっと言いたかったことがあったんです。けれど機会がなくて言えなくて、だから今言っておきますね」
叔母「……?」
男「俺、いつかラブホテルを出ようと思います」
叔母「だべぇー!!」バッ
男「寝てて」ぐぃ
叔母「ぐぇッ」ぽすんっ
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 21:28:34.47 ID:/Csgie4PO
男「……。酔ってる貴女に宣言する自分は、とっても卑怯だと思うし意気地なしだと思います」
叔母「男くん…居なくなっちゃヤダ…」
男「………」
男「駄目です。俺はいつか、俺自身の頑張りでラブホテルを出たいんです」
男「数ヶ月、ここで過ごして──変わりたい、もっと自分らしく生きようと思えるようになりました」
叔母「………」
男「それは悪いことでしょうか? 駄目なことでしょうか? …俺にはわかりません、けれど…」
男「そう思えたことを俺は誇りに思いたい」
叔母「…男くん…」
男「貴女のお陰です。有難うございます、本当に…本当に…ありがとうと、貴女に伝えたかった…」
ギュッ
男「叔母さん。俺はきっと、あのラブホテルが好きなんです。絶対に絶対に離れたくないんだと思います」
男「でも…」
叔母「……?」
男「……いえ」
男「──これは言わないでおきます。多分、叔母さんには言えない、かな」
叔母「どうして…?」
男「そりゃあ勿論、あれです。男の意地ってやつです、意地っ張りってやつです」
男「言ったら色々と終わっちゃうというか、頑張りがなくなるというか、…そんな感じなんです」ニコ
叔母「…そっか」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 21:33:08.60 ID:/Csgie4PO
叔母「なら私は…応援するだけだよ、キミの頑張りを心から支えるだけだ…」ムクリ
男「はい」
叔母「ずっと変わらない。今も昔も、君だけを見てるよ」
男「…ありがとうございます」
叔母「男くん」
男「…」コク
叔母「頑張って。応援してる、…いつか君が君だけの意思で飛び出せる日まで…ずっと…」クタァ
ぎゅっ
叔母「──愛してるからね…」
男「……」ブルッ
パタリ…
叔母「すー…すー…」
男「…俺もです、叔母さん」
〜次の日〜
叔母「すみませんでした」ドゲザー
男「お決まりになってません、それ?」
叔母「まったくもうどうしようもない叔母でスミマセン!」
男「い、良いですってば! 確かにこの部屋で寝るのは大変でしたけど…」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/13(日) 21:41:11.37 ID:/Csgie4PO
叔母(あれ? 何気に色々と片付いてる…もしや寝てる間に彼が…)
男「ちょっとシャワー借りてもいいですか?」
叔母「エッ!」
男「…今から学校なんですよね」
叔母「ウッス」
男「いっ、言っときますけど! 寝てる間になにもしてませんからね!? そーいうことしませんよ俺は!?」
叔母「し、知ってるよ! 男君はすごい紳士だって!」コクコクコク
男「…そもそも叔母さんなんですから、そこで否定してくださいよ…」ボソボソ
スタスタ
男「叔母さん」クル
叔母「は、はい? なにかなっ?」
男「……」
男「これからもよろしくお願います。貴女のラブホテル『スィートランド』で」
叔母「──……」
叔母「…はい、こちらこそ、よろしくお願いします」ペ、ペコリ
男「三年間。お願いしますね」
叔母「…うん」コク
男「って俺の身体…ちょ、待ってゲ───臭い!? 臭くないですか!? うそっ!?」クンクン
叔母「うん。ごめんけど、結構くさい…」
男「お風呂入ってきます!!」ババッ
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/13(日) 21:41:58.93 ID:/Csgie4PO
第十三話 終
だいたい日曜日辺りで投下
ではではノシ
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/13(日) 21:56:54.07 ID:pGPCXHXY0
待 っ て た
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/13(日) 22:26:54.07 ID:JGw0sUn5O
叔母さん…お義姉さんの言葉伝えなくていいのか
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/13(日) 22:53:42.84 ID:SL1O5/Zs0
待ってたぞい
乙!
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/14(月) 09:50:53.04 ID:AsDbapVk0
乙
続編まってた!
頬に葉があたるのはなかなかきついなwww
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/14(月) 12:13:55.22 ID:9jl7V7xLO
イケメン書いてた人?
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/14(月) 19:55:32.37 ID:Bwd3T8QTo
待ってたよ待望の叔母さんイベント
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/19(土) 15:14:37.13 ID:G/yyg8keO
ちょくちょく見てたかいがあった
楽しみにしてる
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/20(日) 23:35:57.73 ID:Uo3gtjDz0
前作を一気読みしてからこっちの新作スレに来たぞい
これは次回も期待して待たねば(使命感)
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 18:17:19.16 ID:697PwSibO
受付宅
男「よいしょっと」ポスン
男「ふむ。予め荷物整理してたけど、やはり量はどうにもできなかったか」キョロキョロ
ゴチャアア
男(これを期に、少しは捨てようかな。余計なものが増えてる気がするし)
男「…しかし、それにしても」チラ
受付「ぐがぁあああ…ごぉおお……っ」ムニャムニャ
男「酷い…」パシッ
男(部屋はキレイなのに…部屋の主がこの場でもっとも憐れだよ…)
受付「あーん、むにゃむゃぁ…ケヒヒ! ガハハ! むにゃ…」
男(恋人が出来れば変われるのかな。全然想像つかないけれど)スッ パサァ
受付「むひひ」ムニャ
男(この人だって普段から最低限の化粧ぐらいしてれば、まだ──)ポンポン
受付「んぁ?」パチクリ
男「あ。起きた」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 18:18:32.99 ID:697PwSibO
受付「んん〜〜…ッ? なんで、君がここに居るの…?」ボリボリ
男「ちょっと、今日からここに住むんでしょうが」
受付「あんで?」
男「あんでじゃない。まったくもう…」スッ
男「じゃあ朝ごはん作ってあるので、食べて目を覚ましてください」スタスタ
受付「ん、んん」コク…
男「俺はもう学校の時間なので、お皿は水につけて、シャワー浴びてください。お酒くさいから」
受付「わかりました…」コクコク…
男「お昼ごはんも冷蔵庫に入ってますからね」トントン
受付「どうも…」
男「じゃあ、いってきます」
受付「いってらっさ〜〜い」フリフリ…
きぃ パタン
受付「……。もうちょっと寝よう」パタリ
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 18:19:31.79 ID:697PwSibO
〜ラブホテル『スタッフルーム』〜
受付「ふんふーん♪」
叔母「受付いるか?」ガララ
受付「む? チィ〜〜ッス! 今日は珍しく早いッスね〜〜」
叔母「……」ガララ ピシヤ
スタスタ スタスタ
受付「客は少なくてラクチンっすわ。あと電話があってケル君が明日──」チラ
叔母「受付」ずずいっ
受付「うわッ、顔近っかッ!? なにッ!?」ビク
叔母「お前に話があるんだ」ずずずいっ
受付「ちょっと距離近いって…な、なんスか今更改まって…」
叔母「ああ。今更ながらにお前に言いたいことがあって早めに出てきた」
受付「えっと、そうなんですか。じゃあどうぞ…?」
叔母「実はだな…」
受付(なんだろ。また男くん関連か、最近は彼に構いたがりだもんな)
叔母「──男くんの責任者としての覚悟が如何程か、今から私に教えて欲しい」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 18:20:18.23 ID:697PwSibO
叔母「返答次第では即返還を望む」コクコク
受付「ほんっと今更なにを言ってんのアンタ?」
叔母「いや、勿論だが、私一人でこの状況の落とし所は考えたんだ」
受付「落とし所もなにも部屋が汚いからデショ」
叔母「ああ、それもあるだろう」
受付「それだけだよ」
叔母「とにかくそうやって悩んだ挙句、私がたどり着いた答えがお前だった」
受付「ど、どういうこと?」
叔母「自分一人じゃ認めきれないから、私を説得してくれない?」ペコ
受付「こっちに負担ありまくりじゃないッスかそれ!?」
叔母「いやはや身勝手なのは認めるよ」フッ…
受付「身勝手過ぎるでしょ…もっとがんばってくださいよ…」
叔母「頑張ったさ…私なりにちゃんと沢山考えたんだ…」
受付「つか、説得もなにも結局、他に決着方法が無いなら認めたらどうです?」
叔母「無理だと思う」フリフリ
受付「今、速攻に思考放棄しましたけど、本当に今日まで悩んでました?」
叔母「頑張ってました」キッパリ
受付(こういった話題だと絶対にブレないなこの人は…)
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 18:47:10.65 ID:697PwSibO
受付「オーナー、あのですよ?」ハァ
叔母「ん」
受付「何をそうも意固地になってんのか知りませんし興味もないッスけど」
受付「男くんが納得した上の今なんで、我々がくっちゃべっても仕方ねえつーか、意味ないデショ」
叔母「? 端から私個人の問題だから、彼は関係ないだろ?」
受付「なんでそこは割り切れるんスか!?」
叔母「私が悩み事程度に彼を巻き込むわけ無いだろ」
受付「元の原因が彼の住居問題なんですけど!」
叔母「だからお前に相談してるんだろう?」キョトン
受付「うッ…なんか頭痛くなってきた…頭痛が痛くなってきた…」グリグリ
叔母「ハハ、言ってることおかしいぞ受付」フフフ
受付(そりゃアンタでしょーが。ったく、たまに見せるおバカっぷりは何なんだ)
受付(ウチと一緒に男君が住んでほしくない。納得以前に、他人に説得してほしいぐらい)フゥ
受付(なのに彼を巻き込みたくない、とか…あれ…?)
受付「ふと思ったんですけど」
受付「なんかこれ、オーナーから恋愛相談受けてるみたいで気持ち悪いッスね」
叔母「そおなの?」シュン…
受付「いや、この程度の悪口ぐらい割り切ってくださいよ」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 19:02:04.70 ID:697PwSibO
叔母「そっか……気持ち悪いのか、これ……」
受付(いや、そういや元より気持ち悪かったわ、相談事自体が)
叔母「もし彼の耳に入りでもしたら、うぉお、怖い怖いすぎる」ブルブル
受付「そんなの気にしても今更感ありますけど…」
叔母「このことはあまり公言しないようにする。受付、今日はすまなかったな」
とぼとぼ…
受付「──オーナー、ウチが理解できる限りでなら言っておきますけれど」
叔母「え?」チラ
受付「別に彼のことなんて、どーーーーでも良いですからね」
叔母「お前…」
受付「そらちょっかいとか出しましたよ? でも年下だしそれに以前に、男とか作る気まったくないんで」
受付「特に家に居るときは、モードが違うんで。自宅モードは一言も喋りもしないっすよ」
叔母「む。そういや家だと妙に静かだったな」
受付「外弁慶なんスよ。つまり、心配するよーなコトなんて起こりませんし起こしません」
叔母「……」ピク
受付「どーぞご安心を。そも提案したのウチだし、テキトーに過ごしてみせますよ」ニッ
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 19:03:38.35 ID:697PwSibO
〜〜〜
受付「……」パチクリ
男「ん? まったく、やっと起きましたね受付さん」パサリ
受付「……」ぽけぇー
男「また寝ぼけてるんですか? つか、どんだけ寝てるんですか」スタスタ
受付「なんか…」クンクン
男「はい?」カチャカチャ
受付「めっちゃいい匂いする…」
男「煮込みハンバーグです。今から温めるんで待っててください」カチン
チッチッチッ ボォオ
受付「……。今何時なの?」ファアア
男「えーと、七時半回ったぐらいっすね」スタスタ
受付(だいぶ寝てたな…休みだからってダラケすぎた…)
受付「ん、そうかい。それじゃあ君はご飯済ませちゃったんだね」むくり
男「いや、食べてませんけど」
男「──出来れば受付さんが起きてから食べようかと思ってたので」ニコ
受付「………」
男「今日のは自信作です。ガスで料理が久しぶり過ぎて気合入っちゃいましたから」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 19:06:29.77 ID:697PwSibO
受付「へぇ、そおなの、ほぉーん」フワワワァ
男「はい! それにそれに、野菜ジュースが安く買えたので二本ぐらい買ってしまって〜」ニッコニコ
受付「……。今日の君、なんだか元気だよね」
男「? そうですか?」
受付「いや、私がいつもどおりじゃないだけかも…」
男「あぁそれはちょっと思ってました。家じゃ受付さん、わりかし静かですよね」
受付「まあね。一人の時までワチャワチャしてたら頭おかしいでしょ…」
男「でも、俺が居ますよ?」
受付「え? じゃあ襲ってほしいの?」
男「アクセル振り切れ過ぎじゃないですか、それ」
受付「くけけ。元気なお姉さんが良いなら頑張っちゃうけど、ウチ?」キラリン
男「まあまあ。自然体が一番ですよ、どっちの受付さんも俺、嫌いじゃないですし」
受付「あり? 意外とお姉さんに脈あり的な?」
男「わさび入れますよ、ハンバーグの中に」
受付「地味に酷いよねそれ……」
男「じ・つ・は! ハンバーグにわさびって、これが妙に合うんですよ!」パン
受付「えぇ〜…本当にぃ〜…?」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 19:09:34.94 ID:697PwSibO
男「ものは試しです。さっそくやってみましょう」
男「でも煮込みハンバーグに合うかどうかは知らないんで、実験台になってください」スッ
受付「さらっと嫌らしいこと言ったね今!?」
男「くくく。俺も試すんで一緒に食べましょうよ」
受付「ったく、仕方ないな〜」
〜〜〜
男「おはようございます」
受付「おひゃよー」シャカシャカ
男「今日は早いんですね。隣、失礼します」スッ
受付「どうひょー」シャカ
男「どうも、ってアレ?」キョロキョロ
受付「? どったの?」
男「いや、えっと、受付さん、まさかですけど…」
受付「なんでひょ?」モゴモゴ
男「それ俺の歯ブラシなんじゃ…」
受付「え? あ! そうかも、うん」ピタ
男「……………………………………」ドンビキ
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 19:14:26.14 ID:697PwSibO
受付「……」シャカシャカ…
男「なんで再開するの!? ちょっとやめッ、イヤァアーー!! やめてッ!!」グイグイ
受付「ぺっ! なんで君が焦ってんのさ」
男「アンタほんとすっごいな! 人の歯ブラシ使って抵抗ナシなの!?」
受付「別に…」
男「おぇっ! マジで、おぇぇ! ですよ!」
受付「仕方ないなぁ、もう。じゃあかわりにお姉さんの使っていいよ?」スッ
男「ばっちぃ!!」バシィイ!
受付「ばっちいはヒドイ!!」
男「どう考えても汚いでしょうが! ムキィー! ヒドイ! アンタは酷いよ!」
〜〜〜
男「行ってきます」ムスッ
受付「男くん。今日はバイトの日だから鍵持っててよー」
男「もう持ってますよ。貴女とは違うんですから、だらしない貴女とは」ジトー
受付「へいへい。しっかりものだね、頑張って勉強しておいで〜〜」ヒラヒラ
男「………」クル
キィ パタン
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 19:23:36.57 ID:697PwSibO
受付「まったく、ここまで根に持つタイプだったとは」フゥ
受付(乳児じゃあるまいし、歯ブラシぐらい気にしすぎだっつの)
受付「……まったく」チャリチャリ…
数時間後
受付「ただいま〜あっついなあ今日も〜」ガチャ
男「…おかえりなさい」カチャカチャ
受付「ウッス。今日もお疲れ、頑張って勉強してきた?」パタン
男「ええ、まあ」フィ
受付「おっと、なになに? まだ今朝のことで怒ってる? ちっちゃい男ですな〜」スタスタ
男「………」トントントン
受付「それじゃあ何時までたっても彼女なんてできないよぉ〜」アハハー
男「………」ピタ
男「受付さん」
受付「な、なによ?」゙
男「そこに座ってください。良いから早く」
受付(え…? ヤバ、もしかして本気で怒らせちゃった…?)
男「お願いします」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 19:30:28.71 ID:697PwSibO
受付(目が本気だ。…短かったなー同棲生活、ま! 端からそうなると思ってたケド)ストン
受付「それで? お姉さんに何の用事?」
男「………」じっ
受付「早くしてよね〜〜汗かいて疲れてるんだし、さっさとシャワー浴びたいんだけど〜〜」パタパタ
男「これ、どうぞ」スッ
受付「は? ナニコレ?」
男「開けたらわかりますよ」
受付(なんなのさ一体…)
ガサガサ ビリッ
受付「──え……これ……」ガサリ
男「新しい歯ブラシです。俺が床にはたき落としたやつ、もう捨ててしまったので買ってきました」
受付「……」
男「今度は見分けしやすいようにピンク、にしたんで…もう間違えることも無いと思います…」テレ
受付「……くっ」プルプル
男「よく考えたら怒るほどでもないなって──ちょっと、なにを笑ってるんですか」
受付「あはは! だって笑っちゃうよこんなこと!」
男「お、俺だって一応は気にしてたんですよ!? 居候の身だし…むしろ迷惑かけたのは俺だったかなって…」
受付「いやいや、そうじゃなくってさ。うん、まあコレみてよ」スッ
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 19:40:57.55 ID:697PwSibO
男「え、これって…?」ガサリ
受付「開けてみても良いよ」ニコ
男「──新しい歯ブラシだ…これ、受付さんが…?」
受付「ごめんね」
男「! いや受付さんが謝ることなんてちっともありませんよ!」
受付「いいや、ごめんだよ。ウチが勝手に一人突っ走って、一人で完結しちゃってたからさ」
男「どういう…?」
受付「ううん、なんでもない、なんでもないんだ」スッ
受付「──ありがと、大切に使わせてもらうね」
男「……っ」ドキ
男「……はい、俺も大切に使わせてもらいます……」ギュッ
受付「うん」ニッ
男「受付さん。改めてすいませんでした、そしてありがとうございます」ペコ
受付「いーってコトよ。それよかさ、晩飯食べながら生活上での取り決めしない?」
男「良いですねそれ! 不介入な所や、持ち物の場所取りとか決めましょうよ!」
受付「おっ、乗ってきたね〜〜じゃあじゃあ、ウチは月・火・水・木・金はお掃除しない感じで〜」
男「あぁ〜〜元よりやる気ないんですね〜〜」ニッコニコ
受付「おっとその怖い笑顔は誰に似たのかな〜〜?」ニコニコ
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 19:52:21.61 ID:697PwSibO
〜〜〜
男「今日はいい天気だったのでお布団干しておきました」ビシッ
受付「良くやった居候一号くん! …はて? お布団とかウチにありました?」
男「まさかの雑魚寝だったので、クローゼットの中から発掘させていただきました」グッ
受付「なんたる…流石だよ君…」ブルブル
男「どうです? もふもふです、もふもふ。気持ちいですよ、ほら」ぽふぽふ
受付「おりゃーっ!!」バッッ
男「おわっ!? ちょ、待ッ!?」どしーん
受付「…ふふっ」
男「あはは…」
受付「んーーー、まさに太陽の匂い。イイネ、久しぶりに嗅いだよコレ」クンクン
男「まあ、それってダニの死骸の匂いらしいですけどね」ニコ
受付「いま言う必要あるそれ?」
男「でも俺も好きですよ、この匂い」くんくん
受付「やだもお、男くんったら。お姉さん家の布団嗅いでスキとか……えっち☆」ツンツン
男「ダニですよ」
受付「そのパワーワード凄いわ…」
〜〜〜
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 20:01:59.77 ID:697PwSibO
男「受付さーん、もう寝ますけど何処に居るんですかー?」
「ここだよ、ここー。ベランダにいるー」
男「…なにやってんですか、ここで」ガラリ
受付「みてごらん、ホラ。超きれいだから」
キラキラキラ
男「え? うわっ! おぉっ! すげー綺麗な星空だ…!」
受付「でしょでしょ? 都会じゃ珍しいよね、前に旅行でみた北海道並だわ」
男「へぇ〜〜…」
受付「お酒飲みたくなっちゃった。男くん、君も一緒のむ?」ニヘヘ
男「…ちょっとだけなら」
受付「うぇっ!?」
男「べ、別に俺だって少しぐらいは嗜みますよ? 親父の部屋にあったの舐めたことあるし…」
受付「そりゃ飲んだとは言わないでデショ。つか、その一舐め超高そう…」
男「くっっそ苦かったですけどね。あ、ちょうどいい! 戸棚で見つけたマグカップ使いましょう!」
タタタッ
受付「………」クス
受付(なんだろ、妙に元気もらっちゃってるな私。ま、そーいうのも悪くないか)クスクス
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 20:11:20.67 ID:697PwSibO
男「お待たせしました、これで良かったですかね?」カチャ
受付「君が飲みたいのでいいよ。お姉さんも、それが飲みたいから」
男「そ、そうですか? じゃあこれで…」スッ
受付「うんうん。じゃあ君にはちょっとだけ注いで、ウチもこっちに注いでっと」コポコポ ジュワワ
受付「はい、どーぞ。お姉さんから貴重なお酌だぞー味わって飲みなさい!」
男「ウッス! あざっす!」スッ
受付「乾杯」
男「か、乾杯…」
カチン
「苦っ!?」
「カッカー! まだお子ちゃまには早いにゃー! ウチだって結構きつめのやつにゃしししし!」ケラケラ
「たった一口そうなるアルコール度やばいでしょ!?」
「つべこべいうにゃー! ほれほれー!」
「イヤァーーーーーッッッ!!!!」
〜〜〜
〜〜
〜
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 20:18:56.37 ID:697PwSibO
〜数日後・受付宅付近〜
清掃「そういえばフォクシィーがラブホきてないの珍しいね?」スタスタ
叔母「そうでもないよ。ここ最近は意味もなくラブホに来なくなったからね」スタスタ
清掃「オトコが居ないから?」
叔母「それ以前に入り浸っていなかった?」
清掃「でもでもオトコ来てからほぼ毎日きてた思う。ご飯目的で」
叔母「そういやそうだ。羨ましい、よくよく思えば男君のご飯を食べ放題なんだなアイツ…」
清掃「ケルケルもはやくオトコ飯たべたい!」
叔母「そうだね。連絡入れてあるし、タイのお土産ついでにいただこうか」
ぴんぽーん
「──はーい、今あけまーす!」
ガチャ
男「あ! 叔母さん! …それにケル君おかえり!」
清掃「ただいまオトコー♪」
叔母「おはよう男くん」コクコク
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 20:26:24.61 ID:697PwSibO
男「おはようございます。ささ、上がってください」ススス
叔母「もう既に我が家の立ち振舞だね…」シュン
男「そ、そうですかね?」テレ
清掃「あれ? フォクシィーは?」
叔母「まったく居候に出迎えさせるとは…」
男「あ。受付さんならお風呂入ってますよ」ニコ
叔母「……オフロ……?」
男「はい。昨日は夜遅くに帰ってきて、そこから一緒の布団で寝てたらしく…」
男「朝起きたら二人とも汗ダラッダラなんですよ! あはは、笑っちゃいますよね〜」
叔母「え……え……なにそれ……え…?」
清掃「羨ましい! ジェラシーよケルケル! ボクも今度誘って!」プンプン
男「あはは。流石にあの小さい布団じゃ、三人も寝られないよ」
清掃「じゃあオトコの上でイイヨ!」
男「ケルくんは俺を蒸し焼きにしたいのかな?」
叔母「……………」
男「それじゃあどうぞ、上がってください。スリッパも用意してますから」
ススッ
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 20:37:12.81 ID:697PwSibO
清掃「ワーイ!」タタッ
叔母(お客用のスリッパの隣に、ペアの使いこなされた男女用のスリッパがある)ピキーン
叔母「……」スッ スススッ
叔母(ハッ!!? 二つの家鍵にお揃いのキーホルダー…!?)ズガシャーン!!
男「なにしてるんですか、叔母さん?」ひょこ
叔母「なんっ、でもないよー…っ!? ぜんっぜん、気にしないでいいからー…!」ダラダラ
男「そうですか? 麦茶を用意してるので、どうぞ飲んでください」
叔母「う、うん…」
スタスタ
叔母(なんだろう、このひしひしと伝わってくる──この内装、このグッズ、このマグカップ──)
【洗いたて☆ お揃いのマグカップ】
【一つのコップに二本並んだ歯ブラシ】
【女性用衣服&学校指定ジャージ混濁の干し物】
叔母(や、やだぁーーーー!! やだーーーーー!!! これ以上このさきに行きたくなぁーーーいっ!!)ボロボロボロ
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 20:44:35.45 ID:697PwSibO
叔母(私が想像していた日々が、ところせましと現実となって広がっている───)
ポタ パタタ パタ…
叔母「あ…」ツツー…
叔母(叔母さんはもう、もしかすると必要なかったのかな。もう君にとって…私は、もう…)
受付「……なに人ん家を眺めてガチ泣きしてんスか……」ドンビキ
叔母「──受付ッ!!?」ぐるん
受付「ひっ!? なんスか!?」
叔母「お前いったじゃあないかっ!? 全然興味ないって! なんだよー! このラブラブカップルみたいな部屋はー!」ワーン
受付「ハァッッ!? アンタこそなにいってんだ!?」カァァ
叔母「照れてるじゃないか!」
受付「お、お風呂あがりだからですケドー!? つか、意味わかないですしッ? ウチ興味なんてねーですしッ?」プ、プイ
叔母「顔を見て言え…っ! 私の顔を見て…!」
受付「…………」
叔母「私の顔をみろーッ!!」
男「何を騒いでるんですか、ちょっと───って受付さん!? バスタオル! 外れそう!」
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 20:53:49.18 ID:697PwSibO
叔母「そんなことよりも男くん!? やっぱり君はここには置いとけないよ!」バッ ビシッ
男「ええっ!? いきなり何を言って、ああっ!?」
ハラリ ハラリ パサリ
叔母「わっ! すっ、すまない受付───」
受付「…ぁ…」カァァ
受付「きゃあ!? だ、だめ! 見ちゃだめ男くん!」ババッ
叔母「え?」
男「……え、今の……」
受付「……!」ハッ
受付「ッ!? ッッ!!?!!?」ボッ
叔母「えぇ…お前その反応…ぇぇぇ……」
受付「ち、ちがッ! 今のはわたしっ! ガチの反応じゃなく! そーいうノリというか…!?」ブンブン
清掃「──今の超プリティな反応のスクリーム誰ッ!? そんな人ここに居る!?」バババッ
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 20:59:37.21 ID:697PwSibO
男「えっと、その…」チラ
受付「…っ……っ……っ」プルプルプル
叔母「ケルケル君と男くん、少し居間の方で暇をつぶしてもらってていいかな」
男「ハイ」
清掃「エー? ケルケル知りたいよさっきの純情そうな声あげた人…」ちぇーっ
スタスタスタ
叔母「受付」
受付「……ウッス……」ボソ
叔母「もう男くんと一緒にすまないほうが良いと思う、お前の為にも…なんか、その、ね…」ポンポン
受付「ハイ」
第十四話 終
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 21:00:22.63 ID:697PwSibO
〜オマケ〜
男「このお菓子うま〜〜い!」
清掃「でしょー! フフーン! ケルケルこれ超すきなの」
55 :
ていせい
:2017/08/22(火) 21:06:48.32 ID:697PwSibO
〜オマケ〜
男「このお菓子うま〜〜い!」
清掃「でしょー! フフーン! ケルケルこれ超すきなの! もとイートしてオッケーよ!」
受付「あ。これってあのお茶が合いそうじゃない? なんだっけ、あのー…そのー…」
男「あ! この前買ったハーブティーですね!」
受付「そうそう! それそれ!」
男「確かにそうだ! って、受付さん。そういえば光熱費払ってなかったのでやっておきましたよ」
受付「あれ? そうだっけ?」
男「まったくもう。あと夕方から用事あるので、晩御飯冷蔵庫に入ってますからね」
受付「へへー! 今日限りとは言えお世話になります〜〜〜、って待って。財布どこ?」
男「玄関に戸棚があるんで、そこに置いときました」
受付「そっかそっか! どーもどーも!」ヘヘー
叔母(敢えて言わなかったことが一つあるが……)もぐもぐ
受付「あれ? そういやテレビのリモコンどこにあるの!?」(男のジャージ姿)
叔母(コイツすっごい生活力低くなってるな…男くんと住むとこうなるのか…)
受付「あれーどこー? あれどこー? ねー? どこー?」
叔母(ちょっと怖い…)
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/22(火) 21:07:18.98 ID:697PwSibO
また日曜日、あたり、で
ではではノシ
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/22(火) 21:13:20.51 ID:3xVrMxWTo
期待
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/08/22(火) 21:53:25.96 ID:QXEqj07H0
期待感MAX☆
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/08/23(水) 05:25:36.45 ID:THB9By9XO
途中までは「あー兄弟みたいな感じかー」と思ってたら最後の方で「ん?んん?」となった
受け付けさんみたいな姉ちゃんいたら楽しいだろうなー…なんで俺にはウザい兄しかいないの?
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