【ミリマスSS】田中琴葉「新しい幕開け」

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1 : ◆uYNNmHkuwIgM [sage saga]:2017/08/06(日) 17:33:19.51 ID:oOCecuP20

夏休みのある日、照りつける日差しは暑さを超えて少し痛いくらいです。

私はシアターの前で、扉の中の風景を思います。きっとみんなそれぞれレッスンをしたり、お仕事のスケジュールを確認したりしていると思います。まさか、野球はしてないですよね。

私は今からその賑やかで楽しい世界に戻ります。普通なら、きっと笑顔で元気に『ただいま』って言うんだと思います。

でも、私にはそれはできそうにありません。

 

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2 : ◆uYNNmHkuwIgM [sage saga]:2017/08/06(日) 17:34:08.95 ID:oOCecuP20

私のせいで、たくさん迷惑をかけました。

私のせいで、たくさん心配をかけました。

私はそれを、どうやって償えばいいのでしょうか?

どうやって謝れば、赦してもらえるのでしょうか?

何度も何度も頭の中でリハーサルをして、一番いい答えを探します。

 
3 : ◆uYNNmHkuwIgM [sage saga]:2017/08/06(日) 17:34:56.76 ID:oOCecuP20

でもやっぱり答えはわからなくて、なんだか泣きたくなってきた時、後ろから両脇をガッと抱えられました。

琴葉「きゃっ!?なんですか!?」

急なことに慌てていると、背中から聞き慣れた親友の声がしました。

エレナ「コトハー!!久しぶりダネー!!待ってたヨー!おかえり!!!」

ウキウキと弾む声は本当に私を待っててくれた証のようで、とても嬉しいです。

うん。でもなんだかがっちりと抱え込まれちゃって動けないかな。

 
4 : ◆uYNNmHkuwIgM [sage saga]:2017/08/06(日) 17:35:59.63 ID:oOCecuP20

なんて、少々過激な親友のお出迎えにあたふたしていると、その親友は悪い声で誰かに告げました。

エレナ「ふっふっふっ、コトハはガッチリ捕まえたヨ!!みんな!いまだヨ!!!」

その言葉を合図に、後ろから4つの影が私の目の前に回り込んできました。その4人は、大切な大切なユニットメンバーでした。

恵美「にゃははは、琴葉おかえり」

環「ことは!待ってたぞ!!いっぱいあそぼーね!!」

海美「無事に戻ってきてくれてよかったよー」

美也「みんなも喜ぶって思いますよ〜」

それぞれに暖かい言葉をくれます。さっきまでの不安が、ゆっくりゆっくり消えていくようです。

でも、何でしょう?嫌な予感がします。エレナは後ろから私を抱えたままだし、なんだか4人の視線が生暖かいような・・・。

 
5 : ◆uYNNmHkuwIgM [sage saga]:2017/08/06(日) 17:37:48.82 ID:oOCecuP20

恵美「んじゃまぁ、立ち話もなんだしさ、みんな準備はいい?」

恵美はそう言って残りの3人に目配せをしました。すると3人はそれぞれ私の足と腕をガッチリと掴みました。

環「右足つかまえたぞ!」

美也「左足もらいました〜」

海美「右腕オッケー!」

恵美「んじゃ、アタシは左腕だね」

琴葉「ちょっと!?みんな私の腕と足掴んで...ってきゃぁ!」

私がみんなの行動の意味を聞こうとした時、ふわっと体が宙に浮いた感じがしました。

どうやら私はみんなに担ぎ上げられてるみたいです。なんで、私、こんなことに?

琴葉「みんな、これどういうつもりなの?」

恵美「だって、ずっと後ろから見てたけどさ、30分も玄関の前で行ったり来たりしてたじゃん?」

海美「中に入るのに戸惑ってるなら、私たちが連れて行けばいいんじゃないかなって」

エレナ「コトハは頭がいいのにおバカさんネ!みんな待ってるのに、待ちくたびれちゃうヨ!」

環「よーし、出発しんこー!」

美也「お〜!!」

 
6 : ◆uYNNmHkuwIgM [sage saga]:2017/08/06(日) 17:38:57.32 ID:oOCecuP20

わっせわっせという合言葉とともに、私の身体はどんどんシアター内に向かっていきます。

久しぶりの出勤がこんな形になってしまって、すっごく恥ずかしいです...。

あれ?恥ずかしいっていえば、何か忘れているような...?



琴葉「スカート!!!」

海美「わっせ!わっせ!え?琴葉今なんか言った?」

琴葉「私、今日スカートなの!これ、全部見えちゃう!」

恵美「あー、大丈夫だって。今はプロデューサーも社長も出かけてるから」

美也「女の園ですよ〜」

琴葉「もぅ!そういう問題じゃないでしょ!!」

環「うわうわ、暴れちゃダメだよことは!」

エレナ「これだけ元気なら、もう心配いらないネ!」


 
7 : ◆uYNNmHkuwIgM [sage saga]:2017/08/06(日) 17:41:49.30 ID:oOCecuP20

そんなこんなでジタバタ抵抗したんですけど、すんなりシアター内に連れていかれちゃいました。

みんなに担がれながら見上げた天井は、あまり馴染みがありません。そっか、リニューアルオープンのために改装したんでしたよね。

私のいない間にシアターにもきちんと時間が流れていた。そんな当たり前の現実を知ってちょっぴりだけ感傷的になってたところに、奇声が聞こえました。

亜利沙「んほー!!!!!これはこれは琴葉ちゃんのセクシーショットですよ!!!!!亜利沙イケないことだってわかってますけど、溢れるパッションを抑えきれないですー!!!!!」

この声は亜利沙!!ということは嫌な姿を撮られちゃう!頭が警報を鳴らし始めた時、不意に亜利沙の声が止まりました。

のり子「琴葉おかえり!!さて、そんなおめでたい日に悪さを働く子は許さないよー」

桃子「琴葉さんおかえり。はぁ...亜利沙さん何やってるの?信じらんない...」

亜利沙「あぁー!これは違うんですよ!亜利沙は琴葉ちゃんのセクシーショットなんて撮る気は一ミリもなくてですね、これは単なるアメリカンジョークですよアメリカンジョーク!あぁ、でも蔑むようなのり子ちゃんと桃子ちゃん先輩の視線たまりませんね!こっちは写真に収めても問題ないですよねフヒヒでは、ハイチー」

朋花「静かに」

亜利沙「ひっ!」

朋花「琴葉さんおかえりなさい。それと、ダメですよ〜亜利沙さん、これはお仕置きが必要ですね〜」

亜利沙「ちっ、違うんですよ亜利沙ちょっと琴葉ちゃんが帰ってきてくれたことが嬉しすぎて調子に乗っただけで、いや、やめて、あれー」

どうやら亜利沙は朋花ちゃんに連れて行かれたみたいです。ふぅ、どうやら私のスカートの中は守られたみたいで安心しました。

って、私はいつまで担がれているのでしょう?

琴葉「ありがとう、でも、もうそろそろ降ろしてくれるともっとありがたいかな」

恵美「あー、そういやそだね。よーし、みんな!降ろしちゃおう!」

そーっと、優しく私を降ろしてくれるみんな。ようやく私は、自分の足で劇場に立てました。

 
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