【モバミリ】佐久間式P独占法

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12 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/08/06(日) 02:57:25.01 ID:nUQ6Xw160

「百合子ちゃん、聞きたいことがあるんだけど」

「はい」

「読書で女子力は上がるかな?」

 ここで会ったのも何かの縁。

 ダメ元で私が訊いてみると、二人はお互いの顔を見合わせて……。

 今にも「フフン」と鼻を鳴らしそうな得意顔で、百合子ちゃんが自分の胸を叩きました。

「と、当然です! 私たち二人の姿を見れば、一目瞭然じゃないですか」

 ああ、驚きの白々しさ。

 案の定な反応だったと言えますが、そのお粗末な虚言の出来栄えは、
 隣に並ぶ文香さんも黙って顔を伏せるレベル。

 でも、私にとってはこれで良いんです。
 むしろ、だからこそソレが良いんです。

「だったら、おススメの一冊を教えてくれますか? ……その、素敵な女性になれるような」
13 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/08/06(日) 02:58:36.61 ID:nUQ6Xw160
===

「もう無理、限界、我慢できない」

「まだ五分しか経ってませんけど……」

「五分も経ったら十分だよ! 一キロは走れる時間だから!」

 言って、持っていた本を机に投げ出してしまう海美さん。
 そしてそのまま、彼女はカーペットの上に転がって。

 ……ここは女子寮まゆの部屋。
 静かに本を読むのには、まぁ、困ることのない場所です。

「頑張ってください海美さん。これも女子力のためですよ」

「うぅ〜、でもぉ〜」

「……素敵な女性に?」

「ならいでかっ!」

 カーペットから勢いよく起き上がり、海美さんは再び本と睨めっこ。

 元気があるのは良いことですが、意外とめげないものですねぇ。

 私としては、ぼちぼち降参の白旗を上げてもらいたいところなんですけど。
14 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/08/06(日) 03:00:15.65 ID:nUQ6Xw160

「むぅ〜、むむむぅ〜っ!」

「唸っても早く読めたりしませんよ」

「くぅ〜、ふぅぅ〜っ!」

「泣いたってしょうがないじゃないですか……」

 それでも記録は五分更新。

 十分ぶりに本を投げ出した海美さんが、「ダメだよ、コレ向いてない!」と私に泣きつきます。

 でも、これこそ私の求めた反応。気の毒だなんて思いません。

「手伝ってくれるまゆちゃんには、ホント感謝してるけど。もっとこう、私に合ったやり方が――」

「忍耐無くして良妻成らず。何事も我慢と経験です」

「いやいやいやさ? 私が欲しいのは主婦力じゃなくて女子力で」

「……ワガママですねぇ」

 アナタには愛想が尽きました。そんな顔をして突っぱねます。
 ですがこれも、私の立てた作戦のうち。

 結果の出ない"特訓"を、ここまで続けてきたのは……
 全ては、こうして彼女が痺れを切らす瞬間を待つために。
15 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/08/06(日) 03:01:26.87 ID:nUQ6Xw160

「残念ですけど、私にはもうこれ以上思いつきません」

「ま、まゆちゃん……」

「大見得を切った手前、私も何とかしようと頑張りました。だけど、当の本人にやる気が無いんじゃ」

「やる気はあるよ! 滅茶苦茶あるよ! ……ただ、方法が全然合わないっていうか」

 いじけたように人差し指をくっつけて、申し訳なさそうに呟く海美さん。

「もっとこう、体を動かすのが好きだなー」

 その一言が、引き金でした。「ありますよ」私の返事に、海美さんがパッと笑顔で顔を上げます。

「ありますよ。とっておきの、体を動かす方法が」

「ホ、ホント? もーっ! だったら最初から教えてくれれば良かったのに」

「でも、この方法は少し特別で……」

 言いつつ、私は彼女に詰め寄ります。

 ジッとその目を真っ直ぐに見て、「秘密は守れますか?」と問いかける。

「秘密……って、なんかこう、ヤバいことなの?」

「危ないことでは無いですけど。私を信じて貰えないと」

 一秒、二秒。互いの吐息が触れ合う距離で、私たち二人は見つめ合う。

 海美さんの瞳に不安の光。

「安心して」と耳元で囁き、まゆは彼女の隣に身を寄せました。
16 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/08/06(日) 03:02:34.93 ID:nUQ6Xw160

「海美さんは女の子の、一番カワイイ姿を知ってますか?」

「ふぇっ? し、知らない……ご飯食べてる時?」

「うふっ。そういう人も、中にはいますが」

 そっと彼女の後ろから、張りのある両肩に手を乗せる。

「まゆの知ってるその姿は、恥ずかしがってる姿です」

「は、恥ずかしがってる……姿」

「はい。……ちょうどそう、今の海美さんみたいに」

 瞬間、海美さんの唇から恥ずかしさと気まずさが混ざったような声が漏れ、
 頬は風邪をひいた子供のように赤く染まり、それでも……それでも彼女は動かない。

「ホントの"女子力"……知ってみたいとは思いませんかぁ?」

 目の前に置かれた赤い果実に、そっと手を伸ばせば届く距離。

 甘い甘い誘惑の実は、彼女がずっと求めていた物の答え。

「そ、そりゃあ……。興味、あるけど……」

 きっと今、海美さんの中ではまゆの誘いに乗るかどうか、
 不安と興味のせめぎ合いが行われているところなんでしょう。

 ……机の傍のベッドの下から、まゆはひと巻きのリボンテープを取り出します。

 色は、もちろんピンク色。女の子を"飾り立てる"のにはピッタリな……。
17 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/08/06(日) 03:03:25.68 ID:nUQ6Xw160

「どうぞこちらに」

 私に促されるまま、海美さんがベッドに体を横たえます。

 恥ずかしいのか目元を右腕で覆い隠し、自慢の足は真っ直ぐに……
 両ももを、ぴっちり閉じているのがいじらしい。

 やり場に迷う左手は今、その引き締まったお腹の上にありました。

「動かないで、くださいね?」

 シュルシュルと伸ばしたリボンを巻き付けて、彼女の足首を固定する。

 ……これでもう、逃げ出すことは叶いません。

「ま、まゆちゃんまゆちゃん。……これ、なにしてるの?」

「さっき説明した通り、海美さんをプレゼントに見立てて飾ってます」

「飾る……リボンで?」

「ラッピングですよぉ。……裏女子力と言いますか」

「裏女子力……。な、なんか強そうだね!」

「ええ、その通り。……どんな殿方も、この方法でイチコロです♪」

「ちょ、ちょっと恥ずかしいけど。イチコロだったらしょうがないかー」

「そうそう、しょうがないことなんですよぉ」
18 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/08/06(日) 03:04:52.77 ID:nUQ6Xw160

 まぁ、今まゆがやっているのは装飾ではなく緊縛ですが。
 その違いについて一々説明する必要なんてないでしょう。

 なぜならもう、彼女に対するまゆの制裁は半分以上終わっています。

 後はそう、今晩一晩を使って、まゆ無しでは生きられない体に仕上げるだけ……。

「ふふっ、うふふ、うふふふふ……」

 これは、非常に合理的な愛の形です。

 あの人に近づく女の人を、みぃんなみぃんなまゆの物にすれば
 ――例え時間と手間がどれだけ膨大にかかろうと――

 あの人に愛を囁けるのは、まゆ一人だけになるじゃないですか。

 こぼれる笑いが止められません。
 これも全て、邪魔なライバルを排除する為。

 ……今回の海美さんのように、まゆのプロデューサーさんに
 心奪われる人が後を絶たないと言うのなら、まゆがその間に入ればいいんです。

 その為だったらまゆは自分を、どれだけ堕としても平気だから……。
19 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/08/06(日) 03:06:26.43 ID:nUQ6Xw160
===

 次の日、私はお仕事を休みました。

 いえ、別に風邪をひいたりなんてしてません。ただ……。

「まゆちゃん、今日お休みするって」

「……なんで海美が報告するんだ」

「えっ!? あ、いやー、そのぉー。……原因が、私にもだいぶあると言うか」

「はぁ?」

「プっ、プロデューサーには秘密なのっ!」

 ……ああ、体力の無さが恨めしい。いえ、今回の場合は逆ですね。

 海美さんの体力が、底なしだったと言うべきか……あぅっ!!?

「あっ、ご、ごめんねまゆちゃん。痛かった?」

「ち、智絵里ちゃん……もう少し、ゆっくり」

「こ、こうかな? ……よいしょ、よいしょ」
20 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/08/06(日) 03:07:08.45 ID:nUQ6Xw160

 はぁ……。智絵里ちゃんの手厚いマッサージが、痛めた腰に染みて行きます。

 予期せぬアクシデントもありましたが、海美さんも何とか籠絡することもできましたし……
 当分は彼女のことで頭を悩ませることもないでしょう。

「智絵里ちゃんもありがとう。私のお世話に来てくれて」

「えへへっ♪ わざわざお礼なんて言わなくても、まゆちゃんの為ならなんだってするよ」

 智絵里ちゃんがそう言って、天使のような微笑みを浮かべます。

 流石は愛の虜の第一号。

 その従順さと扱いやすさは他の子に比べて飛びぬけて――。

「ところでまゆちゃん。さっきから気になってたんだけど」

「ん〜♪ ……なんですかぁ?」

「ベッドの上のこの匂い、私の知らない人の匂い」

 ……あっ。意外とそうでも、なかったかな。
21 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2017/08/06(日) 03:09:24.20 ID:nUQ6Xw160
===
 以上、おしまいです。

 ちょっと海美が書きたくて、まゆも久々に書きたくて
 この二人の組み合わせも楽しそうだなーなんて考えて
 後思いついたネタを放り込んでみたらこんな感じになりました。

 では、お読みいただきありがとうございました。
22 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2017/08/06(日) 03:39:53.61 ID:t+OeWa3W0
ちょっと、うみみ籠絡した描写をくわしく
乙です

>>1
高坂海美(16)
http://i.imgur.com/7fjDCne.jpg
http://i.imgur.com/CWoUc4t.jpg

佐久間まゆ(16)
http://i.imgur.com/RyvjYGu.jpg
http://i.imgur.com/kSvirQ1.jpg

>>5
高垣楓(25)
http://i.imgur.com/EUpX74W.jpg
http://i.imgur.com/E0FFIAo.jpg

>>8
菊地真(17)
http://i.imgur.com/1VFHCP6.jpg
http://i.imgur.com/UAstQlT.jpg

>>11
七尾百合子(15)
http://i.imgur.com/zdoxXRJ.jpg
http://i.imgur.com/MeJaqUS.jpg

鷺沢文香(19)
http://i.imgur.com/Z5hDrHk.jpg
http://i.imgur.com/EyouMGw.jpg

>>19
緒方智絵里(16)
http://i.imgur.com/uvL0onA.jpg
http://i.imgur.com/lG7WHtI.jpg

豚肉つまみ食いでもしたんだろうか
http://i.imgur.com/VqYXAZ5.png
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/06(日) 07:36:18.50 ID:5xuKI7XqO
まってあれをベースで書き直してどうしてこうなった
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