【艦これ】提督「風病」 2【SS】

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56 : ◆jc3o0gJHYo [sage saga]:2017/12/31(日) 12:18:26.43 ID:rVvkDkxp0



 遠征を終えて鎮守府に戻ると、遠征隊のみんなが私たちを出迎えた。帰還の鐘が静寂を揺らしていた。

 私たちはドラム缶を携えて港に上がる。みんなが集まって囲ってきた。

「陽炎、お帰り!」

「資源はどう? 回収できたの?」

「敵とは遭遇した?」

 矢継ぎ早に飛んでくる質問は恒例のものである。そんなに毎回大袈裟に聞く必要もないと思うが、ただでさえ娯楽が少ないのが鎮守府という場所だ。出迎えも、艦娘にとって楽しみの一つになるのも無理はない。

 陽炎姉さんはドラム缶を豪快に地面に置いて、胸を張った。

陽炎「何事もなく回収できたわよ〜。それもいつもの二倍くらいね!」

 感心する声が一斉に上がった。

「二倍! そんなに回収したんだ!」

「すごいね……」

時津風「浜風が考案した遠征ルートが見事に当たったね〜。ほとんど敵と合わなかったよ」

深雪「ああ。いつもより若干遠回りだったけど、びっくりした。あんないいルートがあったんだな」

 時津風と深雪の言葉に、視線が一斉に私の方へと向いた。説明をせがまれているようだったので答えることとした。

浜風「以前所属していた鎮守府で私が発見したルートです。あの場所は、地図上には記載がない岩礁地帯と被っていて潜水艦の活動には適さないんですよ。それに、それ以外の艦種も『餌』である魚類の活動が活発ではないからか、避けてくれます。深雪の言うとおり遠回りになってしまうから、提督の皆さんは最初から無視しているようですが」

陽炎「まさに、急がば回れってやつよね。浜風の言う通りドラム缶の量をいつもより増やしていて良かったわ。いつも通りの量だったら、回収しきれなくて油まみれになるところだったろうし。――さすが私の妹」

 陽炎姉さんは満足気に笑いながら私の背中を叩いてくる。たぶん、手を抜いてはいてもそれなりに力が入っているはずだ。後で赤くなるのだろうな。
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