【艦これ】提督「風病」 2【SS】

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52 : ◆jc3o0gJHYo [sage saga]:2017/12/31(日) 12:13:43.84 ID:rVvkDkxp0






 ■

 私は、やり直す。

 提督の側で。提督の温もりに抱かれるために。





陽炎「浜風?」

 陽炎姉さんの言葉で我に帰る。怪訝そうなアメジストの瞳が私を捉えていた。

 いけない、また提督のことを考えていた。彼のことを考え出すとどうしてか止まらなくなってしまう。思考がいつの間にか彼で埋まってしまうのだ。

 任務中は、考えないようにしていたのだが。

浜風「すいません」

陽炎「分かっているとは思うけど、任務に集中しなさいよ」

浜風「はい」

 注意を受けてしまった。私としたことが。

 私は、連装砲のグリップをしっかりと握り直した。辺りを見渡す。海。水平線の向こうが空と溶け合うほどに青い海だ。波を砕く飛沫に洗われながら、私は海上を疾駆している。前方には眼を凝らす時津風と深雪、隣には陽炎姉さんがいる。私が所属する南西鎮守府第一駆逐隊のメンバーだ。

 私たちは、重油資源の確保を目的とした遠征任務に就いていた。南西鎮守府は五月に入り東部オリョール海の攻略を終え、鬼門と言われる沖ノ島海域への挑戦権を得ていた。それに備えて重油を蓄えておきたいからだろう。ここ一週間はほとんど重油資源の確保に重点を置いた遠征が行なわれていた。

時津風「どうしたの浜風〜? 浜風がぼーっとするなんて珍しいこともあるもんだね」

 時津風が振り返り、言った。

浜風「少し考え事をしていました」

時津風「考え事? なになに?」

浜風「それは……」

 提督のことだとは言い辛い。適当に誤魔化そうと言葉を選んでいると、陽炎姉さんから肩を叩かれた。
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